第100話「大宴会」






 タタリによる異変が解決した幻想郷では……。
「何で、あたしらが片づけないとならないんだ!?」
 戦闘によって破壊された後始末をさせられている霊夢と魔理沙。
 戦闘による破壊は、各所に及んでいた。
 中でも最大の激戦地は、紅魔館周辺だった。
 とりわけ紅魔館は、半壊状態だ。
 タタリなのはの砲撃を何度も受けたからだ。
 随所に巨大な煉瓦の破片が点在している。
 それを撤去しなければならないのだ。
「魔理沙、早く片付けなさい!! 宴会で飲みまくるんだから」
 霊夢は、宴会で飲みまくるつもりのようだ。
 だが、二人は知らない。
 自分たちのお金で開かれる宴会だという事を……。
 それも博麗神社お賽銭がいっぱい事件のである。
 そうとも知らない霊夢は、飲むことで頭がいっぱいだ。

 半壊状態の紅魔館に妖怪たちが集まってくる。
「宴会、霊夢のおごりって本当なのか?」
「は、春ですよ〜」
 ルーミアとリリイ・ホワイトも来ていた。


「咲夜、宴会の準備は?」
「はい。準備は出来ました」
 宴会の準備は、咲夜と紅魔館のメイドによって準備が完了していた。
「宴会の会費は!?」
「今回は、魔理沙と霊夢のおごりとふれてあります」
「それで、宴席の酒は?」
「タタリ異変が解決した次の日には頼んでおいたので今日には届くはずです」
 咲夜は、霊夢の賽銭箱の賽銭で酒を頼んでいた。
「そう。それで、異変を起こした本人は?」
「大人しくしているようです」
「異世界の吸血鬼は?」
「宴会までの間、作業を手伝ってくれるそうです」
「霊夢と魔理沙は、仕事をサボっているのね……」
 実際、霊夢と魔理沙はサボっていた。



「貴女達は、何をサボっているのですか?」
「殺人メイド!!」
 咲夜が現れた。
 咲夜の攻撃。
 咲夜は、ナイフを投げた。
「あぶねえじゃないか!!」
「物に投げて何が悪いの?」
「あたし達は、物じゃねえぜ」
「今の貴女達は、人じゃないわ。物よ」
 咲夜は、続ける。
「お嬢様の所有物である以上は物……。判ったかしら?」
 霊夢と魔理沙を物と言う咲夜。
「物扱いされたくなかったらヒトになれるよう努力することね」



 別の場所では……。
「魔導元帥も来てるとは……。異世界で祖と逢うとは運命の悪戯か」
「ズェピアよ、元の世界に戻らぬか?」
「戻っても私は、代行者にも狙われる。それに、この世界の真祖に縛られてしまってね」
「あの娘か……」
「あの娘は、普通の吸血鬼ではない。最早、この世界の紅い月だ」
「紅い月か……。この世界もあの娘の支配を認めているようだ」
 すずかは、星に支配者として認められているようだ。
 ゼルレッチとズェピアは話を続ける。
「私が勝てなくても当然か……」
「ワシも酷い目に遭ったぞ」
「元帥もか」
「ワシの魔法に干渉しおった。」
「第二魔法に干渉!?」
 すずかは、ゼルレッチの魔法に干渉したことがあった。
「あの娘は、ワシらの世界に来れば魔法使いに成れたじゃろう」
 二人は、酒を酌み交わしながら話している。


 なのは達は……。
「今回は、貴女達もボロボロになっちゃったね」
 今回、なのは達も肉体的にボロボロだった。
「そうやな、うち等ぼろ負けや」
「其の割りにはやては元気よね」
 ぼろ負けした割にはやては元気だった。
「アリサちゃんに元気もろうたから……」
「あたしの胸をアレだけ揉めば、元気にもなるでしょうね。はやては、今後一ヶ月、あたし達の胸を揉まなくても元気よね」
「一ヶ月も皆の胸を揉まんかったら元気を維持できへんわ」
 相変わらず胸を揉むこと意外に楽しみがないはやて。
「それだけは、堪忍や!!」
「それじゃあ、宴会までの時間、はやての胸を皆で揉み続けてあげる」
「うち、皆の胸を揉むのは好きやけど、揉まれるのは……」
「すずか、お願い」
 アリサは、すずかに頼む。
「はやてちゃん」
 笑顔で言うすずか。
「何や!? すずかちゃんが揉ませてくれるんか?」
はやてちゃんは、宴会が始まるまで、皆に胸を揉まれたくなる
 すずかは、統一言語ではやてに命じた。
 すずかの統一言語がはやてに炸裂した。
「はやて、宴会までの間、お仕置き開始!!」
 アリサの号令ではやてのお仕置きが始まった。
 なのはが、フェイトが、アリシアが、アリサが、すずかがはやての胸を交代で揉んだ。
 当然、はやての服を脱がして……。
 だから、なのは達の指がはやての胸に直接食い込む。
「はやて、気持ち良い?」
 フェイトが聞く。
「気持ち良いというか、くすぐったいわ」
「それじゃあ、一巡眼の最後、すずかの番ね」
 すずかがはやての胸を揉む番だ。
「はやてちゃん。覚悟してね♪」
 すずかが、はやての胸を鷲掴みにして揉みはじめた。
 すずかの凶悪な握力ではやての胸が潰れる。
「すずかちゃん、ちょう痛いやけど……」
「はやてちゃんも吸血鬼だからこれくらい痛くないよね♪」
「痛いから、それ以上は……」
 すずかは、更に握る力を強くする。
 はやての胸は、すずかの怪力によって形を歪める。
「はやてには、いいお仕置きね」
 アリサが言う。
「あかん!! それ以上は、本当に……」
 はやての胸は、危険な状態だった。
「それじゃ、2週目!!」
 すずかの怪力から解放されるはやて。
 はやてへのお仕置きは続く。
「あっ、すずかちゃん!!」
 お天気、アルクェイドが現れた。
「私も混ぜて」
「アルクェイドさんも遣ります?」
「何かわからないけど、やる!!」
 アルクェイドが、はやてのお仕置きに加わった。
 アルクェイドははやての胸を揉み始めた。
「さっちんも大きかったけど、はやてちゃんも結構大きいね」
 アルクェイドの手で形を変えるはやての胸。

 それから30分後……。
 はやては、開放された。
 解放されたはやては、死んでいた。
 揉むのは好きだけど揉まれるのは苦手なのだ。
「それじゃあ、死んでいるはやてを引きずって宴会に行くわよ」
 胸を揉まれて死んでいるはやてを引きずって行くアリサ。


「飲め飲め!!」
 既に宴会を始めている妖怪たち。
「どうせ、魔理沙と霊夢のおごりだし」
 幻想郷の妖怪たちは、お酒大好きである。
 既にドンチャン騒ぎだ。
「がっはっはっはっ」
「酒は一杯あるんだ。飲め!!」
「樽ごと逝け!!」
 既に出来上がっている妖怪もいる。
「遠慮せずに煽れ!! 煽れ!!」
 終には樽ごと飲みはじめてしまう。



 はやては……。
「皆に揉まれ過ぎて胸が痛い。まだ、ヒリヒリしとるわ」
 はやては、皆から胸を揉まれ過ぎて痛いらしい。
「少しは加減してほしいわ。うちの胸が潰れたまま元に戻らんかったらどないしてくれるんや!!」
「元に戻ったんだから良かったじゃない」
「まぁ、元に戻ったから良かったけど……。今度からすずかちゃんは、うちの胸を揉むの禁止や!!」
「その代り、あたし達がはやての胸を揉んであげる」
 すずかの変わりにアリサがはやての胸を揉むと言う。
「アリサちゃんは、うちの胸を好きなだけ揉んだんだから今度は、うちがアリサちゃんの胸が大きくなるように揉んだる」
 イヤらしい手つきでアリアの胸を揉もうとする。
 アリサは、揉まれまいと両手で胸を隠す。
「はやて!! 懲りてないわね」
 はやては、懲りていないようだ。
「はぁ」
 ため息を吐くアリサ。
「はやての『おっぱい揉みたい病』は、重症化していくわね」
「うん。早く手を打たないと被害者が増えるね」
 はやての『おっぱい揉みたい病』は、危険な域にまで来ている。
「はやての病気、学校、管理局、関係なしに発症している。」
 女子ならところ構わず揉みたがるのである。
 はやての犠牲になった数は、数知れない。
 中には、男子の居る前で揉まれ、逝って恥ずかしい思いをした娘もいる。
「なのはちゃんは、この夏こそユーノくんに揉んでもらうん?」
「はやてちゃん!!」
 なのはが、顔を赤くして言う。
「アレだけ付き合い長いのにヤったことないん?」
 ますます顔が赤くなるなのは。
「この夏は、ヤらなあかんで」
 終には、なのはの顔から湯気が噴出した。



 その頃、ある世界では……。
「何故、余の命令通り行動しない!!」
 命令を聞かない局員たちを怒っていた。
 その局員たちは、最高評議会とフォークの陰謀で付けられた貴族達だった。
「最高評議会の覚えの良い俺たちが貴様のような下賤な成り上がりの下に付かねばならないのだ!!」
「そうだそうだ!!」
「おい、お前たちサボっていいぞ!!」
「後は、その金髪の孺子がやるそうだ」
 貴族の部下たちは、怠けてサボりはじめた。
「おぉっ! 若様の命令だ、サボるぞ!!」

「おらおら、事件を解決しろ!!」
「金髪の孺子、早く解決して見せろよ」
 ラインハルトを煽る貴族達。
 武勲を立てさせて横取りするつもりなのだ。
 ラインハルトの怒りゲージが振り切れる。
「貴様ら、命令違反で軍法会議にかけるぞ!!」
「駆けられるなら掛けて見ろ!! 俺たちが裁かれることは、ないがな……」
 ラインハルトを見下して言う。
 貴族たちは、笑う。
「逆におれ達を統率できないと指揮官権限剥奪決議を出すぜ」
 ラインハルトの指揮権を剥奪すべく足を引っ張る。
「赤毛の選民!! おれ達に永遠の隷属を誓えば、お前だけは見逃してやってもいいぜ」
「おれ達に頭を下げ続ければ、退役時には一佐ぐらいには昇進させてやる」
 キルヒアイスにも奴隷化を要求する。
「指揮官さんよ、敵が逃げたぜ」
 貴族達が、ラインハルトの足を引っ張り敵を逃走させた。
「之で、何回目か?」
「敵に逃げられたのって……」
 ラインハルトの失敗を喜ぶ貴族。
「之なら俺たちが指揮を執ったほうが良かったんじゃないか?」
「言えてる言えてる」
「貴様ら……」
「ラインハルトさま」
「止めるな、キルヒアイス」
「止めません」
 キルヒアイスも限界を超えたらしく邪魔をした貴族達をラインハルトと共に殴る。
 貴族と其の取り巻くを殴り倒す。
 其の模様は、フォークによって盗み見られていた。


「手を出しおった。之で、あいつは軍事法廷だ」
 映像を見て喜んでいるフォーク。
「この映像を改変して被害者の貴族と一緒に出せば、金髪は排除できる。金髪の次は、『65年マフィア』の番だ」
 なのは達も蹴落とすつもりのようだ。
 軒並み邪魔なライバルを失脚させるのが目的らしい。
「それにヤン・ウェンリー!! 貴様を雑用で使い潰してやる」
 フォークは、陰謀を加速させる。
 強力過ぎるライバルを出世街道から蹴落とすために……。




 幻想郷……。
「貴女達も飲むでしょ」
「之や!! これが癖になるんや」
 はやては、盃の中身を飲む。
「はやて!! 乾杯がまだでしょ」
 フライングをしたはやてに言うアリサ。
「早く飲みたくて……」
 フライングで空にした杯に液体を満たす。
 乾杯をするために……。
「なんやかんやあったけど」
「「「「「「「「「「「「かんぱ〜い♪」」」」」」」」」」」」
 紅魔館組となのは達の宴会が始まる。
「パチェ。貴女がこの宴会に参加するとは思わなかったわ」
 パチューリの宴会に参加していた。
「その子達となら飲んでもいいと思っただけよ」
「パチューリさま、図書館を無人にしても大丈夫なのですか?」
「心配ないわよ、こあ。あの二人は、石切り場においだしているから」


 そして、霊夢と魔理沙は、石切り場で石を切らされていた。
 紅魔館の修理に使う石を……。
「今度は、石切りか……。紅魔館から遠ざけられていると思うのは気のせいか?」
 実際、霊夢と魔理沙は紅魔館から遠ざけられていた。
「奴隷のあたしが盗むとでも考えているのか?」
「考えているんじゃない? わたしも一緒に飛ばされているから」
 魔理沙は、パチェに警戒されていた。
 宴会の間に盗むんじゃないかと……。
「何が何でも私の物は取り返すぜ」
「取り返しても家が無いんじゃね……」
 魔理沙の家は、跡形もない。
「今度建てる家は、簡単に壊されない城にしようかな」
「城って、あんた一人で立てなさい」
「そのつもりだぜ!! その為に多く石を切り出しているんだぜ」
 魔理沙は、必要以上に石を切り出していた。
「切り出しは良いが、どうやって運ぶかな」
 切り出した石は巨大だ。
 其れを必要な大きさに小さく切らないといけない。
「あぁっ、楽して運べないかな」
 楽したい魔理沙。
 楽をしようとする魔理沙には、天罰が下った。

 ゴン!!


「痛っえぇ!!」
 魔理沙にタライが直撃した。
 それも良い音をたてて……。
「あたしに落とした犯人はマスタースパークで吹っ飛ばしてやるぜ」
 だが、魔理沙には降り続ける。
 タライが……。



 そして、タライを降らせている犯人は……。
「ひっく」
 宴会で酔っていた。
「こよみ!! 貴女、酔っていますわね」
「酔っていないよ。弓子ちゃん」
 こよみは、酔っている。
 酔っている分、コードも乱れる。
 酔っている為、無意識にコードを使う。

 その使用されたコードは、タライと化し魔理沙に降り続けたのである。
 タライが降ってきたのは魔理沙だけではなかった。
 スキマ妖怪にも降ってきた。

 ゴワァン


「宴会の席で私にタライを落としたのは誰かしら?」
 そしてまた、スキマ妖怪の頭にタライが落ちる。
 何もない空間から……。
 幻想郷の賢者もタライ召喚師には勝てない。
 酔っ払いこよみが召喚したタライが再びスキマ妖怪に命中する。
 スキマ妖怪に命中したタライを回収する濫。
 脇には何個もタライが重ねられている。
 スキマ妖怪たちも届けられた酒を飲む。
「濫も飲みなさい。魔理沙と霊夢の奢りらしいから」
 スキマ妖怪は、酒を飲む。
 飲む最中も頭にタライが落ちてくる。
 落ちてきたタライをまたどかす濫。



「これ以上、はやてに飲ませると何をしでかすかわかったもんじゃないわね」
 はやては、ある意味危険な状態だった。
 また、あの病気が発症してもおかしくないのだ。
「それにしても、すずか、平気なの? なのはとフェイトは、眠りの園に逝っているのに」
「う〜ん。どうなのかな?」
 すずかは、まだまだいけるようだ。
「そう言うアリサちゃんは?」
「あたしは、これ以上飲んだらなのはとフェイトみたいになるわね」
 これ以上飲むのを自重するアリサ。
「アリシア、あんたも酔ってないわね」
「酔ってないことはないよ。少しは酔っているよ」
「まぁ、あたし達と比べれば、ね」
 アリシアは、少し顔が赤くなる程度だ。
「眠り姫、三人を運ばないといけないわね。それに帰る前までにアルコールを抜いておかないと」
 彼女たちは、まだ未成年だ。
 問題があったとしても月村とバニングスの力でもみ消せるのだ。
 この二つの家を敵にしようと考える人間はすくない。
 だが、ごく少数の人間は、お金目当てで誘拐しようと動いている。
 その犯人たちは、ことごとく壊滅させられた。
 その全員が、病院送りの後、刑務所行きである。
「あんた達、まだ飲み続ける気?」
 すずか、レミィ、フランは、飲み続けていた。
 多くの妖怪たちが撃沈の中、飲み続ける強者。


 そして、タライを降らせ続けこよみも酔い潰れていた。

「魔理沙、何時まで寝ているの!?」
 タライの直撃を受け続けた魔理沙は、白目を剥いて気絶していた。
「自分の家も建て直すんでしょ」
 だが、魔理沙は目を覚まさない。
「之、落としたら目覚めるかな?」
 霊夢は、切り出した石を持ち上げて気絶している魔理沙の腹に落とした。
「ぐぇっ!!」
 魔理沙は、目を覚ました。
「何すんだよ!! 腹が潰れるぐらい苦しいじゃないか」
 魔理沙の腹は、石で潰れていた。
「霊夢、早くどかしてくれ!! 石が、あたしの腹を潰して苦しいだけど……」
 その間にも、石は、魔理沙の腹にめり込んでいく。
「魔理沙、ごめん。重くて持ち上げられない」
「早くしてくれ、あたしの腹が潰れる前……」
 魔理沙は、石の重み耐えきれずに再び気絶した。
 魔理沙が目覚めたのは翌朝の紅魔館の中だった。
 当然、休んだ分点数が引かれたの言うまでない。


 次回予告

 なのは「長いようで短かった幻想郷……」
 はやて「何故か、事件の犯人も一緒に戻ることに……」
 ズェピア「カット!! やり直したま……」
 すずか「ズェピア、我が城の警備をするがよい!!」





 アリサ「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第101話『さらば幻想郷 また逢う日まで』」



何やら無事に終わったみたいだな。
美姫 「まあ、二人ばかりは最後までこき使われていたけれどね」
ともあれ、これで幻想郷の異変も集結したし。
美姫 「後は帰るだけかしらね」
だな。それでは、この辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る