第101話「さらば幻想郷 また逢う日まで」






 大宴会の翌日……。
 復旧作業中の紅魔館の庭には、酔い潰れた妖怪たちが死屍累々していた。
 明け方近くまで、宴会をしていたようだ。
「よくも、此処まで散らかせたものね」
 紅魔館の庭は、宴会のゴミで散らかっている。
 紅魔館の壁には、大穴があいたままだ。
「咲夜!!」
「はい。お嬢様」
「霊夢と魔理沙は、何時になったら私の城を元通りに直すの?」
「たった二人でやらせているので時間は掛かると思います」
「それで、当の本人たちは仕事をサボって何をしているの?」
「のんきに寝ているようです」
「従者の身でありながら主人より遅くまで寝ているなんって……」
 主人より遅く起きる従者にはお仕置きが必要である。
「咲夜、魔理沙の腸引きずり出してやりなさい」
「はい。お嬢様」
 主人の命令を実行しに行く咲夜。


「従者の身で、寝坊とはいい身分ね。霊夢、魔理沙」
 咲夜が現れた。
「さ、殺人……」
 咲夜は、時間を止め魔理沙に接近した。
 時間を動かし始めると寝ている魔理沙の腹をナイフで裂いた。
 切り裂くと腸を引きずり出した。
「何……しやが……るん……だ」
「お嬢様の命令を実行したまでよ」
「うぅ。お腹すいたのだ」
 そこへ空腹のルーミアが現れた。
「それ、食べても良いのか?」
 ルーミアは、魔理沙を食べるつもりのようだ。
 魔理沙の腸を掴むと……。
「いっただきま〜す♪」
 魔理沙の腸に噛みついた。
 噛みつかれた魔理沙は、人が発するとは思えない声を出した。
「うぇ。不味いのだ」
 魔理沙の腸は、不味かったようだ。
「咲夜、お腹がすいたのだ」
「其れなら食べても良いわよ」
 物扱いされる魔理沙。
「不味くて食べられないのだ」
 不味くて食べられないと言うルーミア。
「それは、ゴミです。妖精メイド達に食事を頼んでください。私は、このゴミを処理しないといけません」
 ゴミ扱いまでされる魔理沙。
「ゴミ扱いも良いけど、あたしの腹を早く塞いでくれ!!」
「ゴミの分際で人の言葉を喋らないでください」
「咲夜、早くしないと魔理沙が死ぬわよ!! フランが悲しんでも良いの!?」
「フラン様が?」
「私の治癒でもこの傷を治せないわよ」
 霊夢でも治療は出来ないようだ。
 まして腸を引き出されたのを治すのは……。
「早くしてくれ……。長く持ちそうにない」
 魔理沙は、限界だ。
 顔は、血の気を失っている。
 幻想郷に外科手術の設備はない。
「咲夜、アンタが何とかしなさいよ」
「わたしは、命令を遂行しただけです」
「それより……も……あ、あたしの……は、腹を……」
「腹減ったのだ」
 一人だけ空腹を訴えるルーミア。
「お腹すいたのだ!!」
「そんなにも食べたければ、之でも食べているがよい」
 何かをルーミアの口に突っ込むすずか。
 口に突っ込まれたルーミアは、目を回して気絶した。
「あんた、ルーミアに何を食べさせたのよ」
「世界一美味い肉だ!!」
「其れよりもあんた、魔理沙の治療できる!?」
「出来ぬことはないが、対価は貰うぞ」
 対価を求めるすずか。
「何が対価なのよ!?」
「そうだの。幻想郷の酒を100本を5年間用意して貰おう」
「そんな数用意できないわよ。うちの神社、貧乏なのに」
「宴会する金が集められたのだから用意できるであろう?」
 すずかは、対価の支払いを要求する。
「それとも払えぬとでも言うのか!? その女は、後30分で死ぬぞ」
 霊夢に決断を迫るすずか。
「払うわよ」
「もし契約不履行の場合は……」
「それは、ないわ」
 レミリアが現れた。
「その時は、わたしが立て替え払いをするわ」
「お嬢様……」
「フランが悲しむ顔は見たくないからね」
「では、治してやろう……」
 魔理沙を治療すると言うすずか。
「其の前に、契約の立会人に登場してもらおう。」
「毎度おなじみの文々新聞です」
 カメラを手に文が現れた。
「いきなり私を呼び出してニュースでもあるんですか?」
 文は、ある物に気づいた。
 魔理沙の腹を割かれて引きずり出された腸だ。
「『魔法の森の盗人魔法使い腸を引きずり出される』之は、良い記事になりそうです」
 魔理沙の引きずり出された腸を写真に撮る。
「それから文さん」
「何ですか? 外界の吸血鬼さん」
「これからすることを盗み見たて記事にしたら、貴女にも対価を支払ってもらうよ」
「わかりました。その時は、何を払えば宜しでしょうか?」
「幻想の酒を500本用意して貰う」
「その程度ですか? その程度なら取材しようかな」
 何が何でも取材したい文。
「ならば、取材でき無くしてやろうか?」
「どうやってですか?」
「知るのは貴女の勝手だけど文。その娘の能力を体験してみる?」
「いや。止めておきます。取材が出来なくなっては敵いませんから」
 本当は、取材をしたい文。
「では、この部屋より妾が呼ぶまで全員出ていてもらおう」
 退出を求めるすずか。
「皆、退出するわよ。無用な代償を払いたくないから……」
 部屋からレミリアを筆頭に出ていく。
「霊夢、貴女もよ」
 霊夢も引っ張り出される。


「さて、その方に残された時間は少ない」
 魔理沙に言うすずか。
「其れよりも早く治してくれ!!」
「その方の傷は、普通の方法では治すことは出来ん。その為、生命力の強い幻想種を体内に埋め込む」
「そんな話、いいから早くしてくれ」
「では、同意したとみなし術式を始める」
 すずかの魔力が膨れ上がる。


 部屋の外では……。
「この重くのしかかるような重圧は何なのですか? それに彼女は?」
 重圧を感じる文。
「あの子は、外来の吸血鬼……。それも真祖の王族よ」
「そうですか。絶対不可侵の博麗の巫女にも手が出せたのですか?」
 幻想郷の妖怪たちは、何があっても博麗の巫女である霊夢に危害を加えることは出来ないのだ。
「それに色んな能力を持っているみたいよ」
「例えば、どんな?」
「そう言えば、人の心を読んだり、未来が判っていたりしたわ」
「人の心を? さとりさんと同じ能力を?」
「同じかは分からないわ。敢えて幻想郷の枠に収めるとしたら『すべての能力を使いこなす程度の能力』かしら」
 すずかの能力を勝手に命名するレミリア。
「ねぇ、魔理沙、死んじゃうの?」
 フランが聞いてくる。
「魔理沙は、助かるわ。ヒトじゃ無くなるかも知れないけど……」
 魔理沙はヒトじゃなくなるかもしれない。
「あら? 魔理沙、人辞めちゃうの?」
 スキマ妖怪が現れた。
「紫。貴女、今まで何をしてたの?」
「藍に指示を出すのに忙しかったのよ」
「まぁ、本当だとしても、後ですずかに聞かせれば嘘かわかるわ」
「それから、幻想郷の管理者としての要求をするわ。この部屋に入らせてもらうわ」
 管理者権限を行使する紫。
 部屋の中に入ろうとする紫。
「!?」
 部屋に入った筈の紫が出てきた。
「おかしいわね。部屋の中に入った筈なのに……」
 紫は、すずかのいる部屋に入れなかった。
「紫、部屋に入るんじゃなかったの?」
「入るつもりだったわよ」
 だが、紫は部屋に入れなかった。
「でも、入れなかった」

 それから、数分後……。
 ドアが開いてすずかが出てきた。
「貴女が、外界の吸血鬼ね」
「さっき、部屋に入ろうとしたのは、その方か?」
 双方、直球で聞く。
「聞いてどうする!?」
「幻想郷で血を吸えないようにね」
「血を飲む必要はない」
「あら? 血を飲まなくて、力を維持できるの?」
「あの戦いを覗き見ていたのなら聞かずとも分かるであろう」
「私が、覗いていたの何時から知っていたのかしら?」
「ずっと視線を感じておったから、少しお仕置きしてやった」
「そう。あの落し物は、貴女の仕業だったのね」
「妾がしたのは、空間を弄っただけだ。アレを召喚した者は、別におる」
 タライを召喚した者は、別にいる。
「貴女、何者!? 幻想郷は、一つの能力が普通なのに」
 幻想郷では、一つの能力が普通なのである。
 だが、すずかには、それが当てはまらない。
 幾つもの能力が使えるのだ。
「あっ、いたいた」
 アルクェイドとアルトルージュが現れた。
「貴女が、此処の主?」
「わたしが、幻想郷の管理者八雲紫です」
「わたしは、アルクェイド・ブリュンスタッドよ」
「妾は、アルクェイドの姉のアルトルージュ・ブリュンスタッドじゃ」
 之が、真祖三姫と幻想郷の管理者のそろい踏みした瞬間だった。
「紫! 貴女は、この三人を相手に勝てる?」
「無理わね。謎の言葉を使われたら勝てないわ」
「霊夢は?」
「紫が勝てないのに私に勝てるわけないでしょ」
「博麗の巫女が戦わずに負けを認めるの?」
「自分のスペルで自滅するのはいやよ」
 霊夢は、戦う前に負けを認めた。
「それで、貴女達は、いつまで幻想郷に居るの?」
「もう少し居たいけど、あまり向こうを空けると大変なことになるから」
「そう。それじゃあ、引き止めるわけにはいかないわね」
 引き止めるのを諦める紫。
「向こうで暴れる妖怪が居たら、こっちに送って頂戴。こっちで引き受けるわ」
 外の世界にも妖怪が居るようだ。
「じゃあ、向こうに帰ったら直ぐに送ることになるよ」
「直ぐに!?」
「私が不在で、叛乱分子が出ていると思うから」



 現実では……。
「げへへへへへ」
「あいつが不在だけで、こうも勢力を拡大できるとは思わなかったぜ」
「アイツの治世に反対する者はこの何倍も居るんだぞ」
 叛乱分子達は、勢力を拡大させていた。
 すずかの治世をよく思っていない連中はたくさん居る。
「だが、いいのか?」
「何が!?」
「玉座を簒奪したら、書類地獄が待っているんだぞ!!」
「書類地獄が何だ!! そんなもの選民に押し付ければよい」
 彼らは知らない。
 すずかの帰還と同時に粛清され幻想郷に送られるとも……。




 再び幻想郷……。
 すずか達は、慌しく撤収準備をしていた。
 対価として貰って帰る品などである。
「フェイトちゃん。そっちはどうや?」
「うん。準備はいいよ」
「後は、すずかちゃんたちだけやな」
 すずかは、幻想郷の主要メンバー達と話をしていた。
 渡した魔理沙と霊夢に対する絶対命令券の扱いなどである。


「助かったぜ」
 魔理沙は、復活していた。
「其れよりも腹減ったぜ。なにか、食い物をくれ」
 魔理沙は、空腹を訴える。
「ゴミでも食べれば?」
「ゴミなんかイヤだぜ」
「貴女にそんな時間はないよ。貴女の中に入れた幻想種が勝手に食い散らかす前に……」
「あたしの中に何を入れたんだ!?」
「龍種も入れたから魔力も増えているはずだよ」
 魔理沙には、龍種も入っているらしい。
「中に入れた子達、大食いだからがんばってね♪」
「大食いって、どうやって食費を用意すればいいんだよ」
「その子達の対価は、払ってもらうから」
「わたし、払うもの持ってないぜ」
「全ては、魔理沙の自業自得ね」
 全ては、魔理沙の行いが原因だった。
「がんばって払ってね」
「がんばってねって、いったいどれだけ払えばいいんだ!?」
「まぁ、簡単に払える額じゃないわね。私にも借金をしているからね」
 落ち込む魔理沙。
「それから、各方面への賠償もあるから……」
「じゃあ、もしあたしがお宝見つけたら」
「没収の上、賠償に当てるわ」
 魔理沙が発見したお宝は、清算が済むまでは没収され続けるようだ。
「清算が終わった後、見つけたものは貴女の物よ」
「それじゃあ、腹ごしらえして働くぜ」
 魔理沙は、腹ごしらえに出て行った。
「そう言えば、貴女、図書館の本を写本するんじゃなかったの?」
 パチューリがすずかに聞く。
「本当は、するつもりだったんだけど、色々有ったからね」
 色々とは、タタリ異変である。
「いいよ。貸してあげる。貴女は、魔理沙と違って返してくれそうだから」
「借りても何時返せるかわからないよ」
「向こうにいるアリスがこっちに帰るときに渡してくれれば」
 すずかに本を貸すパチューリ。
「こあ。本を持ってきて」
「はい。パチューリさま」
 本を取りにいく小悪魔。
「パチェ、その子には貸すの?」
「えぇ。貸すわよ。その子は、魔理沙とは違うから……」
 すずかには、本を貸すと言うパチューリ。
「その子だけでは、大変だから写本に協力するつもりよ」
 写本に協力すると言うパチューリ。
「魔理沙も見習って欲しいわ」
 魔理沙にも見習ってほしいようだ。
 それから数刻後、小悪魔が戻ってきた。
「パチューリさま、持ってきました」
「ご苦労様、こあ」
 本を持ってきた小悪魔に新たな指令が出される。
「こあ、図書館に戻って魔理沙の監視をしながら写本を始めて」
 写本することになった小悪魔。
「いったい、何冊あるか判っているのですか?」
「私も研究の合間に手伝うわ」
 パチューリも写本をするらしい。
「すずかちゃん。撤収準備出来たで」
 はやてがすずかを呼びに来た。
「はやてちゃん。この本を運ぶの手伝って」
「うちが手伝わんでも、すずかちゃん一人でも持てるやろ?」
「でも、スキマを開く時は持ってもらわないといけないよ」
「あら? そんなことしなくてもスキマぐらいひらいてあげるわよ」
 スキマを開くと言う紫。
「まだ、食い足りないぜ」
 魔理沙が戻ってきた。
「パチェ、その本、あたしにくれるのか?」
「すずかに貸してあげるのよ。魔理沙、貴女と違って複写したいって言うから」
「あたしは、複写なんて面倒なことはしないぜ!!」
「本が欲しいのなら自分で複写しなさい!! 自分で複写した本なら好きにしていいわよ」
「それを早く言えよ!!」
「但し条件があるわよ」
「その条件ってなんだ!?」
「私とこあが目の前に居る時だけよ」
 魔理沙に出される条件。
「其れも、紅魔館での1日の仕事を終えた後って条件が付くけど」
「仕事もしなきゃならないのか?」
「当然でしょ。貴女と紅魔館の奴隷契約は、解除されていないわよ」
 魔理沙の奴隷契約は解除されていない。
「なんで、そいつには貸すんだ!?」
「誰のせいで貸さないといけなくなったと思っているの?」
「貴女のせいでしょ。魔理沙!! 貴女が異変の原因を作らなければ、こんなことにならなかったわよ」
「あたしのせいではないだろ!? あたしには、あんな異変は起こせないぜ」
 魔理沙には、あのような異変は起こせない。
「其れよりも魔理沙。仕事をして頂戴」
「イヤだぜ」
 拒否する魔理沙。
「貴女に拒否権はないわ。貴女が寝ている間に紅魔館は、すずかに直して貰ったわ」
「何時の間に直したんだ!?」
「貴女が大暴れで、傷ついた書物も……」
「なかには、パチューリ様のお気に入りの本もあったんですよ」
 パチューリは、絶対命令券を出して命令する。
「魔理沙。ミニ八卦炉とスペルカードを出しなさい。没収します」
「い……イヤ……だぜ」
 だが、絶対命令券には、逆らえず差し出した。
 差し出されたミニ八卦路とスペルカードを没収するパチューリ。
「咲夜。管理お願いね」
「はい」
 パチューリから魔理沙のミニ八卦路とスペルカードを受け取る咲夜。
「魔理沙、没収したところで、お掃除をして頂戴。絨緞も汚れているわ」
「はい。パチューリさま」
 うつろな眼で返事をして、掃除を始めた。
「話したいこともあるやろうけど、すずかちゃん。時間や」
 すずか達が帰る時間が来たのだ。



 紅魔館の庭……。
 なのは達は、両手に沢山の荷物を持っていた。
 今回の異変の解決で貰った対価などだ。
 当然といえば当然だが、一度に持って帰られる量ではない。
 残りの荷は、定期的にスキマですずかの家に送られてくることになっている。
「準備は、いいかしら?」
「準備はええで」
 それぞれが荷物を抱えている。
「約束の品は、準備できた分からスキマ妖怪に送らせるから」
「何で、私まで荷物を持たなければならないのよ!!」
「一人だけ、落ちてくるタライで遊んでいたのは誰でしたか?」
 アルクェイドは、とりわけ多くの荷物を持たされていた。
「あはははは」
 笑って誤魔化すアルクェイド。
「それじゃあ、スキマを開くわよ」
 空間を弄ってスキマをすずかの家に繋げる紫。
「それじゃあ、すずかちゃんの家に着いたら打ち上げや!!」
 帰ったら打ち上げをしようと言うはやて。
 すずか達が、スキマに消えていった。

「之で、落ち着けるわね」
 スキマを閉じる紫。
 だが、落ち着く前にしなければならないことがあった。
「弁明することがあったら聞こうかしら? 霊夢」
 霊夢に弁明を求める紫。
「今回の異変、貴女が結界の管理をきちんとしていればおきなかったことよ」
「何で私なのよ。わたし、変な爺に知らないところに連れて行かれるわ、奴隷にされるわ大変だったのよ」
 責任逃れしようとする霊夢。
「あの子達が、居なかったら今頃、どうなっていたのかしら?」
 霊夢に反論の余地を与えない。
「之から、暫くの間、異変が起きた時は無報酬で解決してもらうわ」



 そして、海鳴市……。
「ふむ。此処が、我が主の城か……」
 ズェピアが言う。
 現れたのは、月村家の中庭だ。
「ねえ弓子ちゃん。ここ、日本だよね」
 月村家は、本宅とは別に城があった。
 それは、初めて見るものが見せるリアクションだった。
「すずかさん。お帰り早々のところ、お仕事が沢山溜まっておりますわ」
 すずかに言うグリューエル。
 すずかが留守の間に仕事が増えたらしい。
「それから、すずかさんの留守を突いて一部の不平派がクーデターを計画しています」
 クーデターを計画し居ることを聞くすずか。
「帰ってきて早々、すずかちゃんも大変やな」
「すずかに逆らう勇気がある連中は?」
「その事は、作戦室でお話しますわ」
「ズェピアは、荷物を運んでね」
「荷物は、運ぼう……。運び終わったら、そっちに顔を出せば良いかね?」
「貴方には、今後、警備員として仕えてもらうからね」
「わかった。荷物を運んで来よう」
 荷物を抱えて城の中に運んでゆく。


 そして、ゼルレッチは、アルクェイド、アルトルージュと元の世界に帰って行った。
 弓子とこよみは……。
「こよみ!! 私たちも仕事に戻りますわよ」
「少し、ゆっくりしようよ」
「何を言ってますの? 溜まった仕事を片付けませんとお休みが無くなりましてよ」
「イヤ!! それだけは……」
 弓子とこよみは、月村家の転送ポートで慌ただしく本局へ帰って行った。



 そして、過激派達は……。
「時は、来た!!」
 演説を始める男。
「我らが名実共に世界の支配者になる時が……」
 男の周りには、多くの同士が集まっている。
「月村すずかによる支配も今日で終わる。今後は、ワシが全ての法となる」
 場内からは、歓声が起こる。
「皆の者、グラスを掲げよ! 之は、前祝いだ!!」
 ワインが満たされたグラスを掲げる参加者。
「我らの勝利に……」
「「「「「乾杯!!」」」」
 グラスのワインを飲み干すとグラスを床に叩きつけて割った。
「総員出撃!! 目指すは、月村邸だ!!」
 ここに不平派によるクーデターが勃発した。


 次回予告

 なのは「すずかちゃんの家に攻めて来る人たち」
 フェイト「すずかちゃんの家で繰り広げられる戦闘」
 ズェピア「カット! 顔を洗って出直してきたまえ」
 アリシア「少しO・HA・NA・SHしようか」





 なのは「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第102話『流血の月村邸』」



幻想郷の方はどうにか無事に終わったみたいだな。
美姫 「とは言え、魔理沙も人外っぽくなったけれどね」
しかも、対価の支払いまで発生しているしな。
美姫 「どうにか幻想郷から戻ってこれたすずかたちだったけれど」
こっちはこっちでまた何か起こりそうだしな。
美姫 「中々、落ち着かないわね」
だな。それでは、この辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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