第14話「思い出は時の彼方なの」
エイミィのアホ毛?が立つ。
「戦闘開始みたいだねぇ」
「あぁ」
エイミィのアホ毛が動く。
「しかし、ちょっと珍しいよね。真面目な執務官研修生が、こんなギャンブル許可するなんて」
「まぁ、高町さんが勝つに越したことはないけど、あの二人の勝負自体はどちらに転んでもあまり関係ありません」
「なのはちゃんが戦闘で時間を稼いでくれているうちに、あの子の帰還先追跡の準備をしておく……ってね」
「頼りにしています。逃がさないでください」
「でも、あのこと……なのはちゃん達に伝えなくていいの? プレシア・テスタロッサの家族とあの事故のこと……」
「勝ってくれるにこっしてくれることはありません。今は、高町なのはを迷わせたくない!!」
「じゃぁ、さつきさんかすずかちゃんに伝える?」
「いやいい。話を聞かれて、なのはさんの気持ちが乱れたらいけない。それより謎の魔導師の動向は?」
「それが、まったく引っかからないまま……。何処に居るんだろう?」
なのはとフェイトは海上で戦闘を繰り広げている。
≪Photon Lancer≫
≪Divine Shooter≫
それぞれ魔法をチャージする。
「ファイアッ」
「シュートッ!!」
双方の魔法が放たれる。
なのはのデバインシュートがフェイトに直撃する。
フェイトがなのはの方をみる。
すると次弾がチャージされていた。
「シュートッ!!」
≪Scythe Form≫
バルディッシュが変形する。
カマでデバインシュートを打ち落としていくフェイト。
高速機動でなのはに迫るフェイト。
≪Round Shield≫
シールドを展開するなのは。
シールドでフェイトの斬撃を防ぐ。
シールドで防ぎながらデバインシュートをフェイトの背後へ動かす。
フェイトの背後からシュートが迫る。
そのシュートに気付きシールドで防ぐフェイト。
なのはがいた方を見るが、そこにはなのはの姿が無かった。
なのはを探すフェイト。
≪Flash Move≫
なのはは、フェイトの上空にいた。
レイジングハートをフェイトに振り下ろす。
衝突により魔力爆発が起きる。
≪Scythe
Slash≫
フェイトの攻撃を紙一重でかわすなのは。
だが、完全にはかわしきれずにリボンが破れる。
今度は、なのはの前にフェイトの魔法があった。
≪Fire≫
フェイトの魔法をシールドで防ぐなのは。
フェイトとなのはは、肩で息をする。
大分疲れてきているようだ。
初めて会った時は、魔力が強いだけの素人だったのに……。
もう、違う。早くて、強い。
迷っていたらヤラれる。
フェイトは、バルディッシュを強く握る。
≪Phalanx Shift≫
「あっ」
なのははレイジングハートを構えようとする。
しかし、一瞬早くバインドに捕らえられてしまう。
「ライトニングバインド……不味い……フェイト本気だ!!」
「(なのは、今サポートを……)」
「(なのはちゃん!?)」
「ダメぇぇぇっ!!」
「(アルフさんもユーノくんもすずかちゃんもさつきさんも手出さないで。全力全開の一騎打ちだから……わたしとフェイトちゃんの勝負だから……)」
『(でも、フェイトのそれはヤバいんだよ)』
「平気!!」
『(ならば、我が与えし使い魔を使え!!)』
「アルカス・クルタス・エイリアス…………バルエル・ザルエル・ブラウゼル……」
フェイトが目を見開く。
「フォトンランサー・バラックシフト」
フェイトの詠唱が完了する。
「ファイアッ!!」
フェイトの魔法がなのはに迫る。
「くっ!!」
フェイトの魔法がなのはを襲い続ける。
「なのはっ!!」
「フェイトっ!!」
なのはとフェイトを心配するユーノとアルフ。
「撃ち終わるとバインドと言うのが解けちゃうんだね……今度は、コッチの……」
≪Divine≫
「番だよ!!」
≪Buster≫
なのはが、バスターを撃つ。
「はあぁあああっ!!」
フェイトが投げた魔力の塊を飲み込む。
フェイトは、慌てずシールドを張って防ぐ。
直撃……。
耐え切る……。あの子だって耐えたんだから……。
しかし、耐え切れずにバリアジャケットが裂ける。
なんとか堪えきったフェイト。
「……フェイト……」
フェイトのバリアジャケットはボロボロだ。
その上、肩で大きく息をしている。
「受けてみて? デバインバスターのバリエーション!!」
≪Starlight
Breaker≫
魔力が、なのはの元に集まってくる。
「はっ……」
フェイトは、気付いたが、既にバインドに捕らえられていた。
「バインド……」
バインドから逃れようともがく。
「コレが私の全力全壊!!」
杖をフェイトに向けて言う。
「スターライト・ブレイカーァァァァァー!!」
ピンク色の魔力の塊に飲み込まれるフェイト。
「なんっう、馬鹿魔力なんだ!!」
「うわぁっ……フェイトちゃん生きているかな?」
モニターしていたエイミィもフェイトの心配をする。
レイジングハートから勢いよく排気される。
フェイトは、意識を失い海へ落ちていく。
「フェイトちゃん!!」
海中へ没したフェイトをフェイトを救出する為になのはも海中へ突っ込む。
フェイトを救出して海面へでる。
「あっ、気付いた?」
フェイトが意識を取り戻したようだ。
「フェイトちゃん、ごめんね。大丈夫!?」
「うん」
フェイトは、頷く。
「わたしの勝ちだよね」
「……そう……みたいだね……」
フェイトが負けを認める。
≪Put out≫
バルディッシュがジュエルシードを吐き出す。
「飛べる?」
フェイトは、飛行魔法を再起動する。
『(さつきさん?)』
「(えっ? さくらちゃん?)」
『(次元攻撃か来るから彼女達を守ってあげて)』
さくらの依頼を受けて空へ飛ぶさつき。
「よし。高町さん、ジュエルシードを確保してください。それから彼女を……」
「来た!!」
戦闘空域を次元攻撃が襲う。
だが、攻撃が届けない。
「さ、さつきさん?」
さつきが、攻撃を防いでいるようだ。
ジュエルシードだけがどこかへ消えていく。
「ビンゴ!! 尻尾掴んだ!!」
「ようし。不用意な物質転送が命取りだ!! 座標を……」
「もう割り出して送っているよ」
「武装局員、転送ポートから出動!!」
『任務はプレシア・テスタロッサの身柄確保です』
「「「はっ!!」」」
武装局員が出動していく。
プレシアは、玉座で血を吐く。
次元魔法は、もう、身体が持たないわ。
今ので、この場所も捉まれた。
フェイト……あの子じゃダメだわ。
そろそろ、潮時か……?
時の庭園に武装局員が転送されてくる。
「第二小隊、転送完了!!」
「第一小隊、進入開始!!」
リンディがなのはたちの方へ歩み寄り労を労う。
「お疲れ様!! それからフェイトさん? はじめまして」
フェイトは、手錠で拘束されている。
その手には待機状態のバルディッシュが握られている。
さつきが攻撃を防いだ為、無傷の状態だ。
「それから、貴女のお名前を聞かせてくれるかしら?」
「木之本さくらです」
「そう、さくらさんって言うの……」
「はい」
「次元攻撃がくる時にフェイトさん達を守るようにさつきさんに指示を出したのは貴女ね?」
「指示をだせるのはさくら以外に居るわけないやろう?」
「この使い魔は、貴女の?」
「ワイの主はさくらやさかい」
「じゃあ、この人も?」
「当然や!!」
「さくらは、我の主だ」
「まぁ、使い魔、二体も持っていたの?」
リンディは、二体の使い魔を持ている人物のことを思い浮かべる。
「普通の奴等にワイらは維持できへん」
普通の人では維持できないというケルベロス。
「そこの小娘も使い魔を持っているのとちゃうか?」
なのはの方を見て言うケルベロス。
「ふぇ?」
「なのは、どうなの?」
「う、うん」
そう言って、混沌を見せるなのは。
その使い魔は、以前さつきが治療に使った時のものだった。
「アレは、さつきはんの使い魔やったはず」
視線が、さつきに向く。
「じゃあ、さつきさんも?」
「は、はい。あれと同じのが数百います」
「数百も……?」
「魔力が一杯あるからできることなんですけど……」
「この話は、この事件が片付いてからにしましょう……」
「(母親が、逮捕されるシーンを見せるのは忍びないわ。なのはさん、彼女をどこか別の部屋へ……)」
「(は、はい)」
「フェイトちゃん、よかったら、わたしの部屋……」
『総員、玉座の間に侵入!! 目標を発見』
「プレシア・テスタロッサ!! 時空管理法違反及び管理局艦船へ攻撃容疑で貴女を逮捕します」
「武装を解除してこちらへ……」
プレシアの捕縛に向かう武装局員。
「こ、コレは……」
別の小隊が捜索を行っている。
「……えっ……」
モニターに写ったものに愕きの声を上げるなのは。
それは、ポット内にあるフェイトそっくりに少女だった。
「ぐわぁっ!!」
「あ゛っ!!」
あっけなく倒される武装局員。
「わたしのアリシアに近寄らないで!!」
残りに局員がプレシアに杖を向ける。
「撃てッ!!」
撃つも、プレシアには通じていない。
「五月蝿いわ」
プレシアは、左手をかざす。
「危ない!! 防いで!!」
「ふっふっふっふっふっ。ふっはっはっはっはっはっ」
『いけない!! 局員たちの送還を……』
「りょっ、了解です」
「……アリ……シア……?」
「座標固定0120-503!!」
「固定!!」
「転送オペレーション、スタンバイ!!」
「もう、だめね……時間がないわ。たった9個のロストロギアでは、アルハザードに辿り着けるかどうか分からないけど……」
『でも、もういいわ……終わりにする。この子をなくしてからの暗鬱な時間を……この子の身代わりの人形を……娘扱いするの……』
なのはは、フェイトのほうを見る。
『聞いていて? 貴女のことよフェイト……。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ……役立たずで、ちっとも使えない私のお人形……』
「最初の事故のときにプレシアは実の娘……」
『アリシア・テスタロッサを無くしているの。彼女が最後に行っていた研究は使い魔とは異なる使い魔を超える人造生命の生成……。そして、死者蘇生の秘術……
『フェイト』って名前は、当時、彼女の研究に付けられた開発コードなの』
『よく調べたわね……。そうよ、その通り』
「だけど……ちっとも上手く行かなかった。作り物の命は、所詮、作り物……失った物の代わりにはならないわ。……アリシアは、もっと優しく笑ってくれたわ。アリシアは、時に我侭も言ったけど、私のいうことをよく聞いてくれた」
「やめて……」
「アリシアは、いつでも私に優しかった……」
プレシアは、後ろに視線を剥けて言う。
「フェイト……やっぱり貴女はアリシアの偽者よ」
『せっかくあげたアリシアの記憶も貴女じゃ、ダメだった』
「やめて……やめてよぅ」
「アリシアを蘇らせるまでの間に私が慰みに使うだけのお人形……。だけど貴女は、もういらないわ……何処へなりとも消えなさい!!」
「お願い!! もうやめて!!」
『はっはっはっ』
笑い続けるプレシア。
『良いことを教えてあげるわフェイト……。貴女を作り出してからずーっとね、わたしは貴女が……大嫌いだったのよ』
その一言はフェイトの心を完全に砕くのに十分だった。
心を砕かれたフェイトは意識を失って崩れ落ちた。
「フェイトちゃん!!」
「フェイト……」
「局員の回収、終了しました」
『大変、大変!! 一寸、見てください!!』
「屋敷内に魔力反応……多数!!」
「なんだ? なにがおこっている?」
屋敷内に多数のバケモノが現れる。
「庭園敷地内に魔力反応!! 何れもAクラス!! 総数60……80、まだ増えています」
「プレシア・テスタロッ……一体何をするつもり?」
プレシアは、アリサの入ったポットに手をかざす。
ポットを宙に浮かせ一緒に移動を始める。
「私たちの旅を邪魔されたくないのよ……。私たちは旅立つの」
9つのジュエルシードを発動させる。
「忘れられた都……アルハザードへ」
「まさか……」
「この力で飛び立って……取り戻すのよ……。全てを……」
9つのジュエルシードが発動する。
アースラに警報が鳴る。
「次元震です。中規模以上!!」
「振動状況、ディストーションシールドを……」
リンディが指示を出す。
「ジュエルシード、9個発動……次元震、更に強くなります」
「転送可能距離を維持したまま、影響の少ない空域へ移動を……」
「りょ、了解です」
「このままだと次元断層が……」
アラームがなり続ける。
「アル……ハザード……」
「馬鹿なことを……」
「ヒバリ執務官!!?」
「自分が止めてきます。ゲートを開いてください!!」
ヒバリは転送ポートに向かう。
……忘れられた都……アルハザード……。
もはや、失われた禁断の秘術が眠る土地。
そこで、何をしようと言うのだ?
自分がなくした過去を取り戻せるとでも思っているのか?
時の庭園では、プレシアが壊れたように笑っている。
次回予告
ユーノ「発生してしまった次元震……」
ユーノ「プレシアを止める為に時の庭園へと向かう僕たち……」
ユーノ「なのはたちの世界、僕たちの世界……幾つもの世界を壊さない為に……」
ユーノ「そして、その時、フェイトは?」
すずか「私とさつきさんの血をアリシアちゃんに注いだとき奇跡が……」
なのは「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第15話『宿命が閉じるときなの』」
なのは「リリカル・マジカル、きっと最後まで……」
さくらの登場に。
美姫 「次元震の発生」
事態は一気に収束に向かっていく。
美姫 「とりあえず、なのはとフェイトの対決も終わり、いよいよプレシアね」
さくらまでが来た事で、どう変わるのか。
美姫 「それじゃあ、この辺で」
ではでは。