第23話「戦いの嵐、ふたたびなの」






 
「あはははっ、そっかぁ! そうだったんだぁ」
『うん! そうなの! それでね……』
「うん。うん」
『へぇ〜!』
「でも、フェイトとアリシアに会えるのちょっと楽しみよね」


「うん。そうだね」
 すずかは膝の上の猫を撫でる。
「でも……私達でもこんなに楽しみなんだから、フェイトちゃんと一緒の思い出が沢山あるなのはちゃんは、もとっもっと楽しみなんだよね」
『そうね』


「フェイトとアリシアがコッチにくるって聞いて、なのは嬉しそうだったもんね」
『うん』
「フェイトとアリシアのお迎えイベント、今のうちから考えておこうか?」
『あっ、いいね!』
「うん。パァーッとやろう」
『誰のおうちでやろうか?』
「う〜ん……喫茶翠やとかどう?」


『(すずか、異様な魔力の気配を感じておるだろう?)』
「(さつきさん?)」
『(オマエは動くな!)』
「(どうして? なのはちゃんが襲われているのに……)」
『(様子がわかるのか?)』
「(うん)」
『(なのはは我が救出に向かう……。その前に、管理局が駆けつけてくるだろう)』
「(管理局って、フェイトちゃんたち?)」
『(それよりも厄介なことになった)』
「(厄介なこと……ですか?)」
『(力のある吸血鬼が、この世界に入って来たようだ)』
「(私が死に掛けたときの吸血鬼とどっちが強いんですか?)」
『(今回の吸血鬼のほうが数段強い)』
「(アリサちゃんが襲われないとも限らないし……)」
『(ならば我が使い魔を数体護衛に付けさせよう……)』
「(アリサちゃんの護衛にするなら、犬がいいです)」
『(何故だ?)』
「(アリサちゃん、犬が好きだから……)」
『(では、使い魔は、犬に擬態させよう)』
「(じゃあ、わたしはアリサちゃんに頼んでみる)」
『(では、妾は、なのはの救出に向かう)』
 

 フェイトとアリシアは、赤髪の少女に対峙する。
「む……」 
 赤い髪の少女は、グラーフアイゼンを上にかざす。



 なのはのレイジングハートは、大きく破損している。
「民間人への魔法攻撃……軽犯罪では済まない罪だ!!」
「なんだ!? てめぇら! 管理局の魔導師か?」
「時空管理局嘱託魔導師フェイト・テスタロッサ」
「フェイトの姉、アリシア・テスタロッサ」
「抵抗しなければ、弁護の機会がキミにはある……。同意するなら、武装の解除をして……」
「誰がするかよ!! 同じ姿と同じ声で気持ち悪い!!」
 赤い髪の少女は、間合いを取る。
「ユーノ、なのはをお願い」
「くすっ」
 アリシアは、不気味な笑いをする。
「うん」
 フェイトは、赤い髪の少女を追う。
「……ユーノくん」
「うん」
 ユーノがなのはに治癒魔法をかける。
「フェイトの裁判が終わって、皆でなのはに連絡しようとしたんだ! そしたら、通信は繋がらないし、局の方で調べたら広域結界が出来ているし……さつきさんから連絡を受けてたんだ……。だから慌てて僕たちが来たんだ」
「そっかぁ……ゴメンね。ありがとう」
「アレは、誰? なんで、なのはを……」
「わかんない。急に襲ってきたの」
「でも、もう大丈夫……フェイトとアリシアもいるしアルフとリニスもいる」
「アルフさんとリニスさん?」
 アリシアは、何時の間にか使い魔を作っていた。
 嘗て自分が可愛がっていた山猫の名を与えて……。


「バルディッシュ!」
≪Arc Saber.≫
「ヴァルディッシュ!」
≪Arc Saber.≫
 フェイトとアリシアがゴスロリ少女へ同時に攻撃を仕掛ける。
「グラーフアイゼン」
≪Schwalbefliegen.≫
 ゴスロリ少女は、ハンマーで鉄球を撃つ。
「障壁!」
≪Panzerhindernis≫
 障壁を張って、フェイトとアリシアのアークセイバーを防ぐ。
 フェイトとアリシアは、ゴスロリ少女の鉄球から逃げる。
「そんな……」
「「バリアー」」
 アルフとリニスも連携してゴスロリ少女に攻撃する。
「「ブレイクッ!!」」
 ゴスロリ少女の障壁にヒビが入る。
「このぉっ!」
 すかさず、アルフへ攻撃する。
 その攻撃を防ぐも吹き飛ばされる。
「……む……」
 ゴスロリ少女の足に何かが絡み付こうとする。
「はあぁぁぁっ」
 フェイトは、ゴスロリ少女と切り結ぶ。

 ブッ潰すだけなら簡単なんだけど……。
 それじゃあ、意味ねぇんだ!
 魔力を持って帰らないと……。
 ……カートリッジ、残り2発……。
 やれっかぁ?

「アルフさんとリニスさんも来てくれたんだ」
「クロノ達もアースラの整備を一旦保留して動いてくれているよ」


「アレックス! 結界抜き、まだ出来ない?」
『解析完了まで、後少し……』
「術式が違う……。ミッドチルダ式の結界じゃないな」
「そうなんだよ……。何処の魔法だろう? これ」
「さつきさんに聞けば判るのでは? 彼女、アルハザードの事を知っていた筈では?」


 ゴスロリ少女とフェイト、アリシアが戦っている。
「こんのぉっ!!」
 ゴスロリ少女が追いかける。
「……ん」
 次の瞬間、ゴスロリ少女は、アルフとリニスの二重バインドによって捕らえられた。
「……ん……んぐっ……」
 バインドから逃れようと足掻くゴスロリ少女。
「「おわりだね」」
 フェイトとアリシアの声が重なる。
「名前と出身世界、目的を教えてもらうよ!」
「くっぅ!!」
「なんかヤバイよ、フェイト!」
 新たな敵が現れフェイトとアリシアを弾き飛ばした。
「シグナム?」

「ぐぉぉぉぉっ!!」
 謎の男も現れアルフを蹴り飛ばす。


「レヴァンティン、カートリッジロード!」
≪Explosion.≫
 レヴァンティンからカートリッジが吐き出される。
 すると魔力が噴出す。
 剣は、炎を纏っている。
「紫電一閃!」
 シグナムは、フェイトに斬りかかる。
 バルディッシュの杖の部分があっさり切断される。
「はぁぁぁっ!!」
≪Defensor.≫
 防御魔法を張るバルディッシュ。
 防御もろとも叩き落すシグナム。

「フェイトッ!!」
 フェイトの元へ向かおうとするアルフ。
「こぉんのぉっ」
 謎の男は、拳を握り締める。


「フェイトちゃん、アルフさん……」
「マズイ……助けないと……」
 戦況は悪いようだ。
「妙なる響き、光となれ、癒しの円のその内に、鋼の守りを与えたまえ」
 なのはを緑色の半球状の何かが覆う。
「回復と防御の結界魔法……。なのはは、ここから絶対に出ないでね」
 なのはは、頷く。
 なのはを残し戦場へ向かうユーノ。


「どうした? ヴィータ、油断でもしたか?」
「うるせぇよ! こっから逆転するとこだったんだよ」
「そうか……それは邪魔をしたな。すまなかった」
 シグナムがヴィータに手をかざす。
 するとアルフとリニスの二重バインドが砕けた。
「だが、あんまり無茶はするな! オマエが怪我でもしたら、我等が主が心配する」
「わぁってるよ」
「それから、落し物だ!」
 シグナムが落し物をヴィータの頭に載せる。
「破損は直しておいたぞ」
「ありがとう……シグナム」

 ヴィータとシグナムの眼下では、既に戦いが行われている。
「状況は、3対5……。1対1なら我等ベルカの騎士に……」
「負けはねぇっ!!」
 シグナムとヴィータが戦闘に移ろうとした時……。

 ズンと鈍い音が聞こえた。
「あ゛っ……う゛ぅぅぅ」
 ヴィータの口の端から血が流れる。
「ヴィ、ヴィータ!」
 シグナムが見たのは、何者かの拳がヴィータの腹部にめり込んだ光景だった。
「て、てめぇっ……がはっ!!」
 ヴィータは口から大量の血を吐いた。
「貴様! ヴィータになにをした?」
「ちょっと強く殴りすぎたかな?」 
「……!」
 シグナムは何かを感じて間合いをとった。
 ヴィータの腹には、さつきの深々と拳がめり込んだままだ。
「うがぁっ」
「先ずは一人……」
 さつきは、ヴィータの腹から拳を引き抜くや目にも止まらぬ速さで何度もヴィータの腹を殴りつける。 
 目にも止まらぬ速さで腹を殴られる為、ヴィータは呼吸も出来ずに血を吐き続ける。
 ヴィータの内臓を何度も強制移動させる。
 内臓が元の位置に戻ることが出来ない。
 ヴィータの腹を何度か殴って襟首を掴んで地面へ投げつけた。
 投げられたヴィータは真っ直ぐ地面へ向かっていく。
 受身も取れずドゴォンという音共に地面に直撃した。
 ヴィータが激突した地面へ急行するシグナム。
「大丈夫か? ヴィータ」
 ヴィータは腹を両手で抱え苦しみながら血を吐いていた。
「シ、シグナム?」
「戦えるか?」
「は、腹がイテェッ!! 苦しいよ……。せっかくはやてが作ってくれた旨い飯を食べられねぇよ」
 起き上がろうとするヴィータ。
 しかし、腹部のダメージが大きすぎて立てない。
「ヴィータ!! 無茶はするな! 今はダメージの回復を図れ!」
「わったよ……。苦しいよシグナム……」
 地面に腰を下ろしてダメージの回復を図る。
「戦いが終わった後、シャマルに治療してもらえ」
「戦闘中に余所見とは、余裕だね」
「貴様、何者だ!?」
「私?」
「そうだ! 何者だ!?」
「わたしは吸血鬼だけど」
「吸血鬼か……」
「でも、ただの吸血鬼じゃないよ?」
「ただの?」
「真祖と呼ばれる吸血鬼だよ」


「大丈夫?」
 ユーノは、フェイトのところに居た。
「ありがとうユーノ……」
「バルディッシュは?」
「大丈夫……本体は無事」
≪Recovery.≫
 バルディッシュの破損が修復される。
「ユーノ! この結界内から全員同時に外へ転送いける?」
「うん! アルフとリニスと協力できれば……何とか」
「私とアリシアが前に出るから……その間にやってみてくれる?」
「わかった」
「(アルフとリニスもいい?)」

「(ちょっとキツイけど、なんとかするよ)」


「それじゃあ、がんばろう」
「うん」
 フェイトは、戦闘に復帰していく。
 飛行中のフェイトは、なのはに気づく。

 なのはも飛行しているフェイトに気付く。

「フェイトちゃん……」


 はやては、車椅子で夕飯の支度をしている。
 なぜか、鼻歌を歌いながら……。
「よしっと」
 その時、携帯が鳴る。
「もしもし?」
『あっ、もしもし、はやてちゃん? シャマルです』
「あっ、どうしたん?」
 はやては、電話をしながら車椅子を操作する。
 どうやら、電動車椅子の様だ。
『すみません。いつものオリーブオイルが見つからなくて……ちょっと遠くのスーパーまで行って探してきますから』
「あぁ、別にええよ。無理せんでも……」
 はやてはガスの火力を弱める。

「でたついでに皆を拾って帰りますから」
『そうか……』


『お料理、お手伝いできませんですみません』
「あはっ、へいきやって……」


「なるべく急いで帰りますから……」
『あっ、急がんでええから、きぃつけてな』
「はい。それじゃぁ」
 シャマルの手には『闇の書』があった。
「なるべく急いで確実に済ませます」
 シャマルの顔から日常は消えている。
「クラールヴィント、導いて」
≪Ja.≫
 指輪のようなものが光る。
≪Pendelform.≫
 二つの宝石のようなものが指輪から出てくる。


 フェイトとアリシアがシグナムと切り結んでいる。
 さつきがシグナムをフェイトとアリシアの方へ投飛ばしたようだ。
「ぐっ」
≪Photon lancer.≫
≪Photon lancer.≫
 フェイトとアリシアが同時にフォトンランサーをセットする。
「レヴァンティン! 私の甲冑を……」
≪Panzergeist.≫
 シグナムが甲冑を着装する。
「「撃ちぬけ! ファイアッ!!」」
 フェイトとアリシアのフォトンランサーがシグナムを襲う。
 シグナムは、何もなかったようにランサーを弾き逸らす。
「あっ」
 驚きの声を上げるフェイト。
「魔導師にしては悪くないな……。だが……ベルカの騎士に挑むには、まだ足りん!!」
 フェイトとアリシアの視界からシグナムの姿が消える。
 シグナムの剣戟をバリアで防ぐフェイト。
 そのバリアもスグに破られバルディッシュで防ぐ。
 それもデバイスの最も大事な部分で……。
「うおぉぉっ!!」
 レヴァンティンから空の薬莢が排出される。
「レヴァンティン! 叩き斬れ!!」
≪Jawohl.≫
「うぁぁっ!!」
 炎の剣にバルディッシュが破損する。
 そのまま吹き飛ばされビルに激突するフェイト。
 立て続けにアリシアもビルに激突する。


「フェイトちゃん、アリシアちゃん!!」


「うっっ」
 苦痛に顔を歪めるフェイト。
「痛たたった」
 吸血鬼の血を受けたアリシアは、大したダメージを受けなかったようだ。
 だが、ヴァルディッシュは破損していた。


「(転送の準備は出来ているけど、空間結界が破れない! アルフ、リニス!?)」


「(こっちもリニスとやってるんだけど、この結界、めちゃめちゃ硬いんだよ)」


 レヴァンティンに新たな薬莢のような物を入れるシグナム。
≪Nachladen.≫

 アレだ……。
 あの弾丸……。
 アレで一時的に魔力を高めているんだ。

「終わりか? ならばじっとしていろ!! 抵抗しなければ命まではとらん!!」
「誰がぁっ!!」
「良い気迫だ! 私は『ベルカの騎士』、『ヴォルケンリッター』が将、シグナム……。……そして、我が剣、レヴァンティン。お前達の名は?」
 名を問うシグナム。
「ミッドチルダの魔導師……。時空管理局嘱託、フェイト・テスタロッサ! この子は、バルディッシュ!」
「テスタロッサに……バルディッシュ」
「私は、フェイトの姉、アリシア・テスタロッサ! そしてこの子の名は、ヴァルディッシュ」
「お前もテスタロッサか……」 
 フェイトとアリシアがシグナムに挑む。


「うがぁっ」
 アルフが吹き飛ばされる。
 そんなアルフを蒼い毛の狼が見下ろす。


 上空では、フェイトとアリシアがシグナムとアルフとリニスが蒼い狼と戦っている。
 ヴィータはというと……。

「腹が……腹がイテェよ」
 未だに腹を抱えて苦しんでいた。
 そして時々、血を吐いている。
「苦しいよっ」
 そんなヴィータを見下ろすさつき。
「このまま放置しててもいいけど……もっと痛めつけておいたほうがいいかな?」
 さつきは、瞳の色を金色に変えヴィータに言う。
「手加減はするが、殺してしまうかもしれぬことを許すがよい」 
 さつきは、ヴィータの首を片手で掴んで、殺さないように注意を払う。
 首を掴んだ手を放すと同時に、再びヴィータの腹に強烈なパンチを叩き込んだ。
 そのパンチは、ヴィータの背中に拳の形が出て風穴が空く寸前の威力だった。
 同じ威力のパンチを何十回とヴィータの腹に叩き込む。
 パンチが叩き込まれる度に血を吐く。
「もう、死んでしまった?」
 拳を引き抜くやヴィータを蹴り飛ばした。
 その蹴りも高威力だと言う事が伺える。
 ヴィータが一際大量の血を吐いたのだ。
 蹴り飛ばされたヴィータは、幾つ物ビルの壁を突き破ってやっとその動きを止めた。
 最後は、ビルの壁にめり込む形で……。
 壁にめり込んだヴィータは、完全に意識を失っていた。
 口周りは血で真っ赤に染まっている。  


 なのはは、レイジングハートを支えに立っている。
「助けなきゃ……」
 激痛に顔を歪めるなのは。
 顔を歪めながら歩を進めるなのは。
「私が、皆を助けなきゃ」
≪Master, Shooting Mode, acceleration.≫
 レイジングハートがなのはの思いに答える。
「レイジング……ハート……?」
≪Let's shoot it, Starlight Breaker.≫
「そんな! む、無理だよ、そんな状態じゃ」
≪I can be shot.≫
 『撃てます』と言うレイジングハート。
「あんな負担のかかる魔法……レイジングハートが壊れちゃうよぉ」
『(無理するでない! スクラップになってもよいのか?)』
「(えっ?)」
『(なのは、身体は大丈夫なのか?)』
「(私は、大丈夫です。でも、レイジンハートが……)」
≪I believe master.≫
 レイジングハートの言葉を聞くなのは。
≪Trust me, my master.≫

 レイジングハートが私を信じてくれるなら……私も信じるよ。


「(フェイトちゃん、アリシアちゃん、ユーノくん、アルフさん、リニスさん、さつきさん! 私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を……)」
 念話を送るなのは。


「(なのは?)」


「(なのは、大丈夫なのかい?)」



「(大丈夫……スターライトブレイカーで撃ち抜くから……)」
『(大丈夫なわけ、ないであろう? 立っているのがやっとの状態で無理をするでない)』
「レイジングハート! カウントを……」
 さつきの言葉を無視するなのは。
≪All right.≫
 スターライトブレイカーのチャージが始まる。


「妾の言葉を無視するか……」 
 さつきは、足の裏を爆発させたような勢いでヴィータのところへ向かう。
「あの馬鹿!」
 あっという間にヴィータがめり込んだビルの元へ到着するさつき。
 壁からヴィータを剥がすと上空へ飛んだ。 


≪Count nine, eight, seven, six, five, four...≫


「今日のところは、退くがよい」
 そう言って意識を失ってグッタリしているヴィータをシグナムに投げつける。
 投げつけられたヴィータをキャッチするシグナム。
「ヴィ、ヴィータ!!」
 だが、ヴィータは意識を失ったままだ。


≪Three, three, three...≫
 カウントが止まる。
「レイジングハート、大丈夫?」
≪No problem.≫
 弱弱しく点滅する。
≪Count three, two, one...≫
 カウントが再開する。
 発射しようとしたその瞬間……。
 なのはの動きが止まった。

「なのは?」


「あっ……あっあっ……」
 なのはの胸から腕が生えていた。


「しまった! 外しちゃった」
 なのはの胸から生えた腕はシャマルの物だった。


「なのは!」
 救出に向かうフェイトの前にヴィータを抱えたシグナムが立ちはだかる。


「リンカーコア捕獲! 蒐集開始!!」
≪Sammlung.≫
 すると凄い勢いでページが埋まっていく。


「あっ、あっ」
 なのはのリンカーコアがどんどん小さくなっていく。
≪Count zero.≫
「スターライト……」

 皆がなのはを見守る。


「ブレイカー!!」
 最後の力を振り絞ってトリガーを引いた。
 なのはのスターライトブレイカーは結界をいとも簡単に抜いた。
 それもそのはずだ。
 そのスターライトブレイカーは、結界破壊能力が付与されたバージンなのだ。


「結界破れました」
 結界の破壊は、アースラでも観測した。
「映像来ます!」
 モニターに次々映像が写る。


「何コレ!? どう言う状況?」
 エイミィも状況がつかめない様だ。
「コレは……こいつ等は……」
 クロノは何か知っているようだ。



 スターライトを発射し終えたなのはは、杖を落とし地面に膝を付いて顔面から倒れた。


「(結界を抜かれた。離れるぞ!)」


「(心得た)」


「(うん。一旦散って、いつもの場所でまた集合!!)」
『(シャマル、ヴィータが大怪我を負った。急いで治療を頼む)』
「(ヴィータちゃんが?)」


 逃げるシグナムたちを追跡するエイミィ。
「あぁ、逃げる! ロック急いで!! 転送の足跡を……」
『やっています』
「あっ、アレは……」


「いけないわ! 急いで向こうに医療班をとばして」
 指示を出すリンディ。
「中継転送ポートを開きます」
「それから、本局内の医療施設の手配を」
「了解です!」


『ダメです。ロック、外れました』
「あぁ、もぉう……」
 エイミィは、テーブルを叩く。
「ごめん、クロノくん……しくじった」
 クロノは黙り込んだままだ。
「クロノくん?」
「第一級捜索指定遺失物……ロストロギア『闇の書』」
「クロノくん、知っているの?」
「あぁ……知っている。少しばかり、嫌な因縁があるんだ」



「気に入ったぞ! この街を根城にしよう……」
 新たな吸血鬼が第97管理外世界に降り立った。


 次回予告

 エイミィ「謎が謎を呼ぶ今回の事件!」

 エイミィ「その根っこは、結構深そうです」

 アルフ「でもなのはとフェイトは、やっと再開だね」

 リニス「アリシアもすずかとさつきと再会!」

 エイミィ「ついでにもう一個……いいことがあるんだよね」

 アルフ「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第24話『再開、そしてお引越しなの!』」

 エイミィ「リリカル・マジカル、がんばります」


なのは、リンカーコアやられたな。
美姫 「さつきが居るからどうなるかと思ったけれど」
まあ仕方ないか。代わりという訳ではないが、ヴィータが重症のようだし。
美姫 「闇の書だけじゃなく、新たな吸血鬼も現れたみたいだしね」
さてさて、どうなるかな。
美姫 「それじゃあ、この辺で」



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