第24話「再開、そしてお引越しなの!」
12月2日 PM8:45 。
時空管理局本局。
なのはは、本局の医療施設に運び込まれていた。
「検査の結果、怪我は大した事ないそうです」
報告するエイミィ。
「ただ、魔導師の魔力の源、リンカーコアが異様なほど小さくなっているんです」
「そう……。じゃあ、やっぱり一連の事件と同じ流れね」
「はい。間違いないみたいです。休暇は延期ですかね? 流れてきにウチの担当になっちゃいそうですし」
「しかたないわ。そういうお仕事ですもの……。」
「あはっ」
「うふっ」
「いや、君達の怪我が軽くてよかった」
「クロノ、ごめんね心配かけて」
「わたしは、吸血鬼だから……」
「キミとなのはで、もうなれた。気にするな!」
「うん……さすが、若いね! もうリカーコアの回復が始まっている。ただ、暫くは殆ど魔法が使えないから気おつけるんだよ」
「は、はいっ! ありがとう御座います!」
其処へ誰かが入ってくる。
「あぁっ、ハラオウン執務官」
何故か、フェイトとアリシアも一緒だ。
「ちょっと宜しいでしょうか?」
「はい! なんでしょう?」
「こちらへ」
医師に言われ場所を変える。
病室になのはとフェイトとアリシアが残される。
「フェイトちゃん、アリシアちゃん……」
「なのは……」
「ごめんね。折角の再会がこんなんで……怪我大丈夫?」
フェイトは、包帯が巻かれた手を後ろに隠す。
「うぅ〜ん、こんなの全然……」
「それよりなのはは?」
「私も平気。フェイトちゃんたちのおかげだよ! げんきげんき!!」
フェイトの顔を見て心配するなのは。
「フェイトちゃん?」
ベットから起き上がるなのは。
だが、立っておれず倒れかける。
慌ててなのはを支えるフェイトとアリシア。
「「なのはっ!?」」
「あはははっ。ゴメンね。まだ、ちょっとフラフラ」
「うん」
「助けてくれてありがとう。フェイトちゃん、アリシアちゃん……。それから……また会えて嬉しいよ」
「うん、わたしもなのはに会えて嬉しい」
なのはとフェイトが抱きしめあう。
それを見たアリシアが嫉妬する。
「わたしも、すずかとさつきに早く会いたい!!」
レイジングハートとバルディッシュとヴァルディッシュは、修理を受けていた。
ユーノが修理をしている。
何もすることがないアルフとリニスも一緒だ。
其処へなのは達が入ってくる。
「なのは、フェイトぉっ!!」
「アリシア」
「ユーノくん、アルフさん、リニスさん」
「なのは久しぶり!」
「なのは!?」
「直接会うのは初めてだね。アリシアの使い魔のリニスです」
「……みんな……」
「……ん?」
フェイトは、バルディッシュに歩み寄る。
「バルディッシュ……ゴメンね……。私の力不足で……」
「破損状況は……正直あんまりよくない。今は、自動修復をかけているけど、基礎構造の修復が済んだら、一度再起動して部品交換とかしないと……」
「そうか……」
なのはとアリシアも愛機の前に進む。
「ねぇ、そう言えばさ、あの連中の魔法ってなんか変じゃなかった?」
「アレは多分……」
「ベルカ式であろう?」
さつきが部屋に入ってきた。
「ベルカ式?」
いきなりアリシアがさつきに飛びつく。
「これ、いきなり飛びつく奴があるか! 話が出来ぬであろう……」
だがアリシアはいう事を聞かない。
「その昔、ミッド式と魔法勢力を二分した魔法体系だよ」
「遠距離や広範囲攻撃をある程度度がえしして対人戦闘に特化した魔法で優れた術者は騎士と呼ばれる」
「確かにあの人『ベルカの騎士』って言っていた」
「最大の特徴は、デバイスに組み込まれたカートリッジシステムて言う武装……儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで瞬間的に爆発的な破壊力を得る危険で物騒な代物だな……」
「ちょうど良い機会だから実物を見せてやろう」
実物を見せると言うさつき。
「実物って……持っているのか?」
「持っておる。アリシア、危ないから離れてくれぬか?」
アリシアが離れるのを待ってさつきは懐からミニチュアの日本刀のような物を取り出す。
「目覚めよ、『ゴールデンバウム』!!」
≪Anfang.≫
ミニチュアの日本刀が日本刀の姿になる。
日本刀と違うのは、握り手の部分にカートリッジが付いていることだった。
「これがベルカ式デバイス?」
「これ以外にもあと二つモードがある。使える者が居るとしても第二モードまでだ。最終形態は、我以外は使うことは出来ぬ」
「最終形態まで見せてくれますか?」
「それは、無理な要求だ!」
「無理って……」
「話だけはしてやろう……」
さつきは、デバイスを待機モードに戻す。
「最終形態は、船をも落とすことが出来る」
「船って、管理局の艦船をか?」
「我の力なら太古の戦舟を数隻まとめて消し去ることができる」
さつきの言う戦舟とは、ベルカの戦舟のことだ。
「「「「「「「……………………」」」」」」」
さつきの話に言葉を失う。
「物騒な話はここまでにしておこう」
さつきの話は確かに物騒だ。
船をも落とすことが出来るという話は……。
「ありがとね、レイジングハート。今はゆっくり休んでいてね」
「フェイト、そろそろ面接の時間だ!」
「うん」
「なのは、アリシアもちょっといいか? それから、さつきさんも……」
「ユーノ!」
「なんですか?」
「すずかのデバイスのメンテナンスと改造を頼めるか?」
「テンテナンスは引き受けるけど、改造って……」
「ベルカ式カートリッジシステムを搭載して欲しい……。六連リボルバータイプを」
「なんだってぇ!! ミッド式のデバイスにカートリッジシステムを組み込むなんて聞いたことがないぞ」
「それが必要な事態になるやも知れん。そのこらも搭載して欲しいというぞ」
「スグには無理だけど……やってみるよ」
「任せたぞ」
ユーノに難題を押し付けてさつきは部屋を出て行った。
「ユーノくん、アルフ、リニス!」
「エイミィ?」
「レイジングハートとバルディッシュとヴァルディッシュの部品、さっき発注してきたよ」
エイミィがユーノたちに話しかける。
「今日明日中には揃えてくれるって」
「ありがとう御座います」
「ユーノくん、発注リストにあったカートリッジシステム、何に使うの?」
「そ、それは……」
ユーノは、経緯を話す。
「すずかちゃんのデバイスのメンテナンスついでに改造を頼まれちゃったんだ」
「はい。何でも新魔法の為にどうしても必要らしいんです」
「新魔法って?」
「それが良くわからないんです。ただ、全体的に強度を上げて欲しいって」
「すずかちゃんだけが知っているって訳ね」
「はい……」
「でね、さっき正式に今回の件がウチの担当になったの」
「えっ? でも、アースラは整備中じゃ……」
「そうなんだよね……。あっ、クロノくん知らない?」
「なのはとフェイトとアリシアとさつきさんと一緒に面接だって」
「なんか、管理局の偉い人らしいですけど」
「へぇ〜っ」
「失礼します」
「クロノ! 久しぶりだな……」
「ご無沙汰しています」
「保護監察官と言っても、まぁ、形だけだよ。リンディ提督から先の事件やキミの人柄についても聞かされたしね……とても優しい子だってね」
「ありがとうございます」
「グレアム提督は、クロノくんの指導教官だった人なんだよ。歴戦の勇士! 一番出世していた時で艦隊指揮官、後に執務官長だったかなぁ?」
「めぇっちゃくちゃエライ人じゃん」
「うん。でもいい人だよ。優しいし」
「ん? なのはくんとさつきくんは日本人なのかね? なつかしいな〜日本の風景は……」
「えっ?」
「私も君達と同じ世界の出身だよ。イギリス人だ」
「あぁぁぁっ! そうなんですか?」
「あの世界の人間は、魔力を持たないが、稀にいるんだよ君達や私のように高い魔力資質を持つ者が……」
「提督、もう一人魔法資質を持つ者がいるんです」
「まだいるのかね?」
「はい。その資質は、なのはをも遥かに凌駕しています」
「是非あってみたいね」
「資料だけ見ますか?」
「見せてもらう」
すずかの資料を見るグレアム。
「確かに高いな……と言うか高すぎる」
「其の娘もですが提督の前にいる方がもっと高いんです」
「そんなにも高いのかね? さつきくんは……」
「高いなんてレベルでは済まないんです。管理局ランクの枠に収まらないんです」
「管理局のランクと言うとSSSランクより上だと言うのか」
「更に言うと、彼女はなのはと同じ世界の人ではありません。平行世界から来た吸血鬼の王族です」
「そうか、異世界の王族なのかね」
「は、はい」
「さて、話を元に戻すか」
話を元に戻すグレアム。
「魔法との出会い方も私とそっくりだ!」
魔法との出会いを語るグレアム。
「私の場合は、助けたのは管理局の局員だったんだがね……。もう、50年以上前の話だよ」
「はぁぁっ」
「フェイトくん! キミは、なのはくんの友達なんだね?」
「はい」
「約束して欲しいことは一つだけだ! 友達や自分を信頼してくれる人のことは、けして裏切ってはいけない。それが出来るなら、私はキミの行動について何も制限しないことを約束する。出来るかね?」
「はい。必ず」
「うん。いい返事だ」
なのはたちは退出時に一礼する。
「提督! もう、お聞き及びかも知れませんが、先程、自分達がロストロギア『闇の書』の捜索、捜査担当に決定しました」
「そうか……キミがか……。言えた義理ではないかもしれんが、無理はするなよ」
「大丈夫です。急事にこそ冷静さが最大の友……提督の教えどおりです」
「うん……そうだったな」
「では……」
クロノも退出する。
同日 同時刻。
海鳴市 八神家。
「はやてちゃん! おふろの仕度出来ましたよ」
「うん。ありがとう」
「ヴィータちゃんも一緒にはいちゃいなさいね」
「はぁい」
「明日は、朝から病院です。あまり夜更かしされませんよう」
「はぁい」
「では、よいしょっと」
はやてを抱きかかえるシャマル。
「シグナムは、お風呂どうします?」
「私は、今夜はいい。明日の朝にするよ」
「そう……」
「お風呂好きが珍しいじゃん」
「たまにはそう言う日もあるさ……」
「ほんなら、お先に……」
「はい」
「今日の戦闘か?」
「さといな! その通りだ」
服をめくるシグナム。
シグナムの腹に傷があった。
「お前の鎧を撃ち抜いたか?」
「澄んだ太刀筋だった。良い師に学んだのだろうな」
服を元に戻す。
「武器の差がなければ少々苦戦をしたかもしれん」
「だが、それでもお前は負けないだろう……」
「そうだな……ただあの女にだけは勝てる気がしなかった」
「ヴィータに大怪我を負わせた奴か?」
「あぁ。武器もなしに素手でベルカの騎士を倒した唯一の存在」
「ヴィータの治療はしたのか?」
「シャマルに治療をさせたがまだ、相当なダメージが残っているだろう」
「主には言わない方がいいだろう」
「今もヴィータの腹にどす黒い痣が残っているからな……」
ヴィータの腹には痣がまだ残っているようだ。
「ありがとう、シャマル。気持ちえぇよ」
シャマルがはやての足をマッサージする。
「何よりです」
「……?」
「どうしたんですか? はやてちゃん!」
「シャマル! ヴィータどないしたん?」
「ヴィータちゃんが!?」
「お腹に真っ黒な痣が出来ているやないか!」
はやてが気付いた。
「ヴィータ、そのお腹どうしたんや!?」
「なんでもねぇよ」
「何かなければ、そんな痣は出来へんやないか? 何があったんや?」
「だかぁら、なにもねえよ!!」
本当のことを知っているシャマルも言えない。
内臓が破裂するまで腹を殴られ一杯血を吐いたとは……。
「じゃあ、その痣さわるで」
はやては、ヴィータの腹を触ると……。
「……………………」
声にならない悲鳴を上げ両手で腹を抱えて苦しんだ。
「ヴィ、ヴィータ!? 大丈夫なん?」
「ヴィータちゃん!?」
慌てて風呂から上がったシャマルがタオルも巻かずにヴィータを抱えて出て行った。
ヴィータを部屋に運ぶ為に……。
「我等、ヴォルケンリッター……騎士の誇りにかけて」
「あっ」
「あっ」
「あら、フェイトさん、アリシアさん」
「リンディ提督」
「親子って、リンディさんとフェイトちゃんとアリシアちゃんが?」
「そっ。まだ、本決まりじゃないんだけどね、養子縁組の話をしているんだって! プレシア事件でアリシアちゃんが生き返ったけど、姉妹二人きりじゃん。艦長の方から、『うちの子になる?』って……。フェイトちゃんとアリシアちゃんとプレシアのこととか色々あるし……いまは、気持ちの整理がつくのを待っている状況ね」
「そうですか……」
「なのはちゃん的にはどう?」
「ふぁ?」
数瞬の間が空く。
「凄くいいとおもいます」
「そっか!」
「でも、そうするとクロノくん、お兄ちゃんですね? フェイトちゃんとアリシアちゃんの」
「そうそう。でも、気が合うみたいだし……案外いい感じの姉妹かも」
「クロノ?」
「艦長! フェイトとアリシアも一緒か」
「「うん」」
「今回の事件資料、もう見た?」
「はい。さっき全部……」
「なのはの世界が中心なんですよね。魔導師襲撃事件って……」
「そうね。なのはさんの世界から個人転送で行ける範囲にほほ決定されている」
「あの辺りは本局からだとかなり遠いですね。中継ポートを使わないと転送できない」
「アースラが使えないの痛いですね」
「空いている艦船があればいいんですが……」
「長期稼動できる船は二ヶ月先まで空きがないって」
「そうか……と、言うかフェイト、キミはいいのか?」
「何が?」
「嘱託とは言え、あくまでキミは外部協力者だ! 今回の件まで無理に付き合わなくても……」
「クロノにリンディ提督が大変なのに呑気に遊んでなんか居られないよ。アルフにアリシアとリニスも手伝ってくれるって言っているし……手伝わせて」
「うん。有り難くはあるんだが……」
「やっぱり、アレで行きましょうか!?」
「「アレ?」」
「さて、私達アースラスタッフは、今回ロストロギア『闇の書』の捜索及び魔導師襲撃事件の捜査を担当することになりました。それと急遽、もう一つの事件も担当することになりました」
もう一つの事件も担当することになったと言うリンディ。
「ただ、肝心のアースラが暫く使えない都合上、事件発生地の周辺に臨時作戦本部を置くことになります」
海鳴に臨時本部が設置されるようだ。
「分割は、観測スタッフのアレックスとランディー」
「「はいっ」」
「ギャレットをリーダーとした捜査スタッフ一同」
「「「「「「はい」」」」」」
「司令部は、私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん、ヒバリ執務官研修生、以上三組に分かれて駐屯します。因みに司令部は、なのはさんの保護を兼ねて、なのはさんのお家のすぐ近所になります」
「あっ」
なのはとフェイトが見詰め合う。
「わぁぁっ!!」
「うわぁぁぁ。凄いっ近所だぁ」
「本当?」
「うん! ほら、あそこが私んち」
なのはの家が見えるようだ。
エイミィは司令部の設営作業をしている。
「ユーノくんとアルフは、コッチではその姿か……」
「新形態、子犬フォーム!」
「なのはやフェイトの友達の前ではコッチの姿でないと……」
「キミ等も色々大変だね?」
「「あぁっ」」
「アルフちっちゃい! どうしたの?」
「ユーノくんもフェレットモード久しぶり」
「可愛いだろう?」
「なのは、フェイト、アリシア! 友達だよ」
「「「はぁぁい」」」
返事と共にアリシアはダッシュした。
そのターゲットは……。
「こんにちわ」
「来たよ〜」
ドン!
「ア、アリシアちゃん?」
ターゲットは、すずかだった。
「アリサちゃん、すずかちゃん」
「はじめましてって言うのもへんかな?」
「ビデオメールで何度もあっているもんね」
アリシアは、すずかに抱きついたままだ。
「ちょっと、何時まですずかに抱きついているつもり!?」
「……………………」
だが、アリシアはすずかに抱きついたままだ。
「会えて嬉しいよアリサ……」
「うん!」
「フェイトさん、アリシアさん、お友達?」
「こんにちわ」
「こんにちわ、アリサさんよね」
「えっ」
「ビデオメール見せてもらったの」
相変わらず、アリシアはすずかに抱きついたままだ。
「そうですかぁ」
「良かったら、皆でお茶でもしていらっしゃい」
「あっ、それじゃあ、うちのお店で……」
「あっ、そうね。折角だから私もなのはさんのご両親にごあいさつを……ちょっと待っていてね」
「フェイトとアリシアのお母さん?」
「えっと……その……。今は、まだ違う」
アリシアが、すずかから引き離されたのはリンディが支度をしてきてからだった。
「ユーノくん久しぶりだね」
すずかはユーノ……。
「なんか、アンタの事を何処かで見た気がするのよね? 気のせいかな?」
ドキッとするアルフ。
なのはたち5人はお茶を楽しんでいる。
其処へ箱を抱えた人が……。
「そう言う訳で、これから暫くご近所になります」
なのはの両親に挨拶をするリンディ。
「よろしくお願いします」
「あぁ、いえいえ。こちらこそ」
「どうぞ、ご贔屓に……」
話を変える士郎。
「フェイトちゃんとアリシアちゃん、三年生ですよね? 学校はどちらに?」
「はい。実は……」
「リンディ提……」
途中で言い直すフェイト。
「リンディさん!」
「はぁい、なぁに?」
「あの、これ……コレって……」
制服を見せるフェイトとアリシア。
「転校手続きとっておいたから、週明けからなのはさんのクラスメイトね」
「あら、素敵!」
「聖祥小学校ですか? あそこはいい学校ですよ? な? なのは!」
「うん」
「良かったわね? フェイトちゃん、アリシアちゃん」
「あのっ、えっと……ありがとう御座います」
顔を真っ赤にするフェイト。
「ロストロギア『闇の書』の最大の特徴は、そのエネルギー源にある。『闇の書』は魔導師の魔力と魔法資質を奪うたびにリンカーコアを喰うんだ」
「なのはちゃんのリンカーコアもその被害に?」
「あぁ、間違いない。『闇の書』はリンカーコアを喰うと蒐集した魔力や資質によって頁が増えていく。そして最終頁まで全て埋めることで『闇の書』は完成する」
「完成するとどうなるの?」
「少なくともろくなことにはならない」
ヴィータは、はやての隣で寝ている。
不意に目を覚まし起き上がる。
「来たか?」
「うん」
「ヴィータ、ダメージが残っている状態で無理はするな」
ヴィータの腹部にはまだ巨大なダメージが残っている。
其の為、ふらふらして足元がおぼつかない。
「管理局の動きも本格化してくるだろうから、今までのようにいかないわね」
「少し遠出をすることになるな……。なるべく離れた世界で」
「今、何頁まで来ているっけ?」
頁を捲るシャマル。
「340頁……。此間の白い服の子でかなり稼いだわ」
「おっし! 半分は超えたんだな? ずバット集めて、さっさと完成させよう! 早く完成させて、ずっと静かに暮らすんだ! はやてと一緒に」
何かを思い出したようにいうヴィータ。
「その前にアイツだけはぶっ殺してやる! なあ? アイツを襲えば、完成するんじゃねぇか?」
「手負いの状態で戦っても意味がない。戦うのは、ヴィータ、お前が完治してからだ!」
「行くか? もう、あまり時間もない」
「あぁ……行くぞ!! レヴァンティン」
≪Sieg.≫
「導いてクラールヴィント」
≪Anfang.≫
「ヤルよグラーフアイゼン」
≪Bewegung.≫
「それじゃあ、夜明け時までにここで」
「ヴィータ、熱くなるなよ」
「わってるよ」
「ん? はいは〜い! エイミィですけど」
『あっ、エイミィ先輩! 本局メンテナンススタッフのマリーです』
「ん。なに? 如何したの?」
『先輩から預かっているインテリジェントデバイスなんですけど……なんだか変なんです』
「え?」
「部品交換と修理は終わったんですけど、エラーコードが消えなくて……」
『エラー? 何系の?』
「えぇ。必要な部品が足りないって……いま、データの一覧を」
「あっ来た来た! えっ!? 足りない部品ってコレ?」
『えぇ。コレ、何かの間違いないですよね』
「エラーコードE203 必要な部品が不足しています」
「エラー解決のために部品、“CVK-792”を含むシステムを組み込んでください」
エラーメッセージが表示される。
『三機ともこのメッセージのままコマンドを全然受け付けないんです。それで困っちゃって……』
レイジングハート、バルディッシュ、ヴァルディッシュ、本気なの?
ブリュンヒルトが望んだのを聞いていたの?
“CVK-792”……ベルカ式カートリッジシステム。
「お願いします」
次回予告
なのは「フェイトちゃんとアリシアちゃんの編入……そして新たな戦い」
フェイト「どっちの準備も万端です」
アリサ「何時までもべたべたするなっ!!」
すずか「そんなある日……」
???「キミ達には人質になってもらうよ」
???「そして、僕の欲求を満たせてくれ」
さつき「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第25話『吸血鬼殺人再びなの』」
グレアムとの顔見せやデバイスのパワーアップ。
美姫 「すずかのデバイスはどんな物になるのかしらね」
新魔法用というのが気になるけれど。
美姫 「ヴォルケンリッターの方はやっぱりヴィータが完治とまではいってないみたいね」
みたいだな。一体どうなるやら。
美姫 「それでは、この辺で」