第26話「奪還作戦なの?」
なのは達が激しい暴行を受けている頃……。
「すずかやなのはちゃん達が誘拐されたと言うのは本当なの?」
「わかりません。誰も家に帰っていないそうです」
月村家でも混乱していた。
「忍! なのはとすずかの居場所は?」
「携帯電話のGPS機能で探そうとしたんだけど……」
「したんだけど?」
「それが、携帯を壊されたみたいなの」
「どうやって探せと言うのか!」
恭也も苛立っている。
「恭也様、お茶でも飲んで落ち着いてください」
お茶を出すノエル。
「お茶を飲んで落ち着いていられれるか!」
ノエルが差し出したカップを叩き落す。
カップが床に落ちて割れる。
「恭也?」
「す、すまん」
「何時もの恭也らしくないわよ」
今の恭也からは冷静さが消えうせていた。
その時、ドアフォンが鳴る。
来客のようだ。
その来客とは……。
「久しぶりね、忍。すずかが攫われた問いのは間違いないのね」
「えぇ」
「恭也君も久しぶりね」
「お久しぶりです」
「相変わらず忍と仲がいいようね。もう、夜のお楽しみはしたの?」
顔が真っ赤になる恭也と忍。
「お、おば様! すずかが誘拐されている時に何を言うんですか!」
「そうだったわね。貴女と恭也君が一緒になれば、いい子が生まれてくるでしょうね」
この女性、忍と恭也の子を楽しみにしているようだ。
「貴女は、はじめて見る顔ね。お名前は?」
「弓塚さつき・ブリュンスタッドです」
「初めて聞く名前だけど、貴女、吸血鬼でしょう? それも力のある」
「わかるんですか?」
「えぇ。私も吸血鬼だから……。正確には吸血鬼と人狼のハーフだけど」
「あのう、お名前は?」
「まだ名前を言っていなかったわね。私の名前は綺堂さくら、忍とすずかの叔母に当たるわ。これから貴女に私達の……」
「あぁっ、その話はもう知っています」
「そう。じゃあ、貴女は契約を結んだのね」
「はい。忍さんとすずかちゃんにしか言っていないんですけど、私、吸血鬼の真祖なんです」
「貴女も純血種なのね」
「私は、夜の一族ではないんです。異世界から来た吸血鬼の王族なんです」
「私達の一族にも王族は存在しているのよ」
「それって、すずかちゃん?」
「そう。すずかなの。すずかは、『夜の一族』のなかでも特別な存在なのよ」
すずかは、特別な存在のようだ。
「すずかは、生れながらにして強大な力を持っていたから勢力争いの道具にされる可能性が常につきまとったの。それを回避するため大半の力をすずかの精神世界に封印したの。それでもすずかの持つ力は巨大だった。今日まで、何度も誘拐をされたわ。大半は金目当ての者ばかりだったけど」
すずかは、過去に何度も誘拐されていたらしい。
「今回の事件を起こしたのは、一族の中でも過激な一派が起こした物よ。事件の首謀者は氷村遊」
犯人の名が明らかになる。
「長話をしている時間はないかもしれないわ。氷村の居場所へ乗り込みます」
其処へ黒服の男がやって来てさくらに耳打ちする。
「事後処理班を待機させていて。現場の証拠を隠蔽する為に」
一方、管理局は……。
「まだ、フェイトさんやなのはさんの居場所は分からないの?」
「わかりません! 現在、探査中です」
リンディ達も、『闇の書』の捜索を中断して誘拐されたなのはたちの捜索を行っていた。
「なのはさん達のご両親へ連絡は?」
「なのはさんのご両親は、事態を知って行動を開始しているようです」
「普通の誘拐では無いのではないでしょうか?」
普通の誘拐では無いというヒバリ。
「この国での誘拐は、身代金目的ですることが多いみたいです」
現に身代金を要求する電話は掛かってきていない。
「クロノくん、顔色悪いよ?」
「ちょっと、嫌なことを思い出しただけだ」
嫌なことを思い出したと言うクロノ。
そして、なのは達は……。
「さて、そろそろ、入れるか……」
すずかの胸を揉んでいた氷村がいう。
お楽しみの最終段階に移た。
鎖で吊るしていたすずかを台の上に降ろしパンツを脱がした。
そして自らはズボンを脱いで肉棒を出しすずかの秘部に差し込んだ。
「おい、度数の高いヤツ、栓を開けてコイツの口に突っ込め!」
そう言われて度数の高いアルコールの瓶をすずかの口に突っ込んだ。
突っ込まれたすずかは飲むしかない。
両手は頭の上で縛られたままだ。
「うぶっうぶっ」
傷ついて痛んでいるすずかの腹の中に流れ込んでいく。
強烈なアルコールは、傷んでいるすずかの胃には、きつ過ぎる。
胃が焼ける激痛に暴れる。
「もう一本、口に突っ込め!!」
もう一本、瓶がすずかの口に入れられる。
すずかの胃に流れ込むアルコールの量が倍になる。
見る見るうちにすずかの腹が膨れた。
「締め付けが緩いぞ!? もっと締め付けんか!!」
そう言ってアルコールで膨れたすずかの腹を何度も殴りつける。
アルコルで膨れたすずかの腹に氷村の拳がめり込む。
膨れた腹を殴られたすずかの口と鼻からアルコールが噴射する。
「折角の酒を吐きやがって……。おい! ハンマーでコイツの腹を叩き潰せ!!」
「でも、内臓が破裂してもいいんですか?」
「構わん!! コイツも吸血鬼だ、ヤレ!!」
「そぉれっ」
振り下ろされたハンマーがすずかの腹にめり込む。
すぐに振り上げる。
今度は、反対側からハンマーが振り下ろされる。
ハンマーがめり込む度にすずかの口からアルコールが吐き出される。
餅つきのように交互にハンマーが打ち込まれる。
その度にすずかの膨れた腹が揺れる。
時間と共にすずかの腹からアルコールが押し出されていく。
腹が元の大きさに戻るとすずかの内蔵を潰してく。
アルコールの後は、血が吐き出された。
アルコールが消えてからの何度目かのハンマーがすずかの腹に振り下ろされた時……。
鎖が引きちぎられる音がした。
「なんだ? 今の音!」
「気のせいだろう?」
再びハンマーを振り上げてすずかの腹へ振り下ろす。
今度は、叩き込まれることは無かった。
すずかが片手で掴んでいたのだ。
大ダメージで動けないはずのすずかが……。
そして掴んだハンマーの枝を握りつぶした。
「下種が、何時まで汚い物を我に入れているつもりだ!?」
「雌の分際で俺に逆らうな!!」
「おっと、動くなよ? 動いたら、こいつが如何なってもいいのか?」
アリサを人質にする取り巻き。
「卑怯だぞ!」
「ひっひっひっひっ」
「下種共が……」
「動いたな?」
凶悪なハンマーが、アリサの腹に叩き込まれた。
仰向けに寝かされていた為、エネルギーの全てがアリサの腹の中で炸裂した。
「うがぁ!」
胃の中に溜まった血が一気に押し出された。
身を捩ってもがき苦しむ。
獣のような呻き声が苦しさが尋常でないことをものがったって居る。
「ごふっ」
アリサの口から血が逆流してくる。
「下種共、許さんぞ!」
「はぁ? 手も足も出せない分際で寝言を言うな!」
「寝言でないことをその身体で味わうがよい」
そう言って、すずかは、軽く下種を払った。
たったの其れだけで氷村の取り巻きAは壁まで弾き飛ばされ壁に叩き付けられた。
壁にたたき付けられたきりピクリとも動かない。
「なんなんだよ。その目の色は……」
氷村が怯える。
「吸血鬼は目の色は赤だろうが!」
「その前にその汚い物を抜け!!」
「雌の分際で僕に指図するな!」
「自ら抜かぬか……仕方あるまい。その汚い肉棒を引きちぎってくれよう」
すずかが氷村に言う。
すずかの怪力で氷村の身体を引き離す。
その時、すずかの秘部に刺さっていた肉棒も抜けた。
「ぐっ!!」
氷村の首を右手で掴んで締める。
「下種の分際で我を犯そうとしたことを後悔するがいい」
ズン!!
凄まじい打撃音と共に氷村の腹にすずかのパンチが叩き込まれた。
「うがぁはっ」
氷村は胃の中のものを吐いた。
「氷村さんを放せ!! 放さないと、コイツがどうなってもいいのか?」
仰向けにされたなのは腹のうえにあの凶悪なハンマーが置かれている。
いや、乗せられている。
「貴様……」
怒りで氷村の首を更に強く握る。
メリッと骨が軋む。
「氷村さんと同じ苦しみをコツらには10倍返してやる。」
そう言って、ハンマーが振り上げられる。
振り上げられたハンマーがなのはの腹に振り下ろされる。
グチャッと何かが潰れる音がする。
なのはが目を大きく見開いて血を吐いた。
ハンマーがめり込んだ腹がピクピクと痙攣している。
「貴様等は、もう許さん!」
すずかの怒りが爆発する。
すずかから今まで以上に巨大な魔力があふれ出す。
すずかの瞳の色は赤ではなく金色だった。
氷村の首を掴んだままなのはたちの方へ歩を進める。
何度も殴られて黒く変色していた腹の痣も見る見るうちに消えていく。
強大な魔力で服が編まれていく。
「それ以上近寄るな! 近寄れば、こいつ等がどうなってもいいのか?」
「それがどうした?」
「それ以上近寄れば殺すぞ!?」
「先ずは、貴様が死ね!」
すずかの足元が爆発する。
次の瞬間には、氷村の取り巻きBの前にいた。
一瞬で間合いに入り込んだようだ。
ドンッ!
すずかの強烈な蹴りが氷村の取り巻きBの腹に極まった。
「う゛ぇっ!!」
口から血を吐きながら吹き飛ぶ。
そのまま壁に激突する。
壁にめり込んだまま痙攣している。
「次は誰だ?」
すずかは、残りの取り巻きたちに聞く。
「うっ……なのはたちを助けないと……」
腹が激しく痛むのをおして地を這うアリシア。
腹が痛む為、なかなか前へ進めない。
「早くしないと……くっ」
腹部の激痛に顔を歪める。
「早く……吸血鬼の……私の血を送り込まないと……」
「てめぇ! 何処へ行くんだ!」
ドボォッ!!
取り巻きDがアリシアの腹を何度も蹴り付ける。
すずかは、アリシアのほうへ視線を向ける。
するとアリシアが腹を蹴り付けられている姿が目に入った。
「最早、一刻の猶予も無い」
再びすずかの姿が消える。
すずかの姿は、アリシアの腹を蹴り続けている男の前にあった。
「今度は、お前が楽しませてくれるのか?」
「貴様は死ね!」
取り巻きDの胴が真っ二つに分かれていた。
「うぎゃぁぁぁぁ!!」
「目障りだ、肉片も残さず消えろ!!」
すずかが爪を振るう。
其れだけで胴が二つに分かれた男は跡形も無く消滅した。
その光景を見たアリシアがガタガタ震える。
「貴様は磔になっているがよい」
氷村を力の限り壁にたたき付ける。
遠くでグチャと何かが潰れる音が聞こえた。
「アリシア、大丈夫か?」
「す、すずかなの?」
ガク!
アリシアは、意識を失ったようだ。
「お前達が受けたダメージは我が何倍にもして奴等に返してやる。今は、休め!」
「よくもやってくれたな」
氷村が言う。
「イレイン! ヤツを殺せ!!」
氷村が、イレインにすずかを殺すよう命じる。
『イレイン』は、『夜の一族』に伝わる自動人形だ。
その自動人形が数十体、氷村の前に立つ。
「ちっ、『イレイン』まで持ち出したか」
「此れで僕の勝ちは決まりだ! 僕の肉奴隷になると言えば助けてやるよ」
「そんなガラクタ程度で我に勝てると思うのか? 『夜の一族』の王族である我に……」
「王族など存在しない! 王族は数百年も前に滅んでいるんだぞ」
「その王族が復活したといたら如何だ?」
「王族が復活している筈はない」
「ならばその目でしかと見よ!」
その目で見ろという覚醒すずか。
今までより一層巨大な魔力があふれ出す。
鋭い目で氷村を睨む。
そして『イレイン』に手をかざす。
一瞬、覚醒すずかの手が光る。
次の瞬間、数体のイレインが爆発した。
「何が起こったんだ!?」
状況を呑み込めない氷村。
覚醒すずかによって破壊されたイレインの残骸が床に散らかっている。
「何をした!」
「……………………」
覚醒すずかは答えない。
「何をしたんだ!?」
「……………………」
其処へやってくる人たち。
「なのは!」
「すずか!?」
捜索隊がやって来たようだ。
そして、全裸で血とゲロの海に沈んでいるなのはたちを発見する。
「なのは! 無事か!?」
なのはは、グッタリしているままだ。
なのはの腹に痣が出来ていることに気付く。
「アイツか!? アイツがなのはを……」
恭也が怒りの炎を燃やす。
「アレはすずか……」
すずかが戦っている物に目を向ける。
そしてイレインの背後に居る男へ……。
「恭也くん、妹さんの様態を見せてくれる?」
「は、はいっ」
なのはの様態を見るというさくら。
なのはの腹部に触れ表情がかわる。
「このままじゃ危険だわ。すぐに病院に連れて行って手術しないと」
なのはは、手術が必要だという。
「そっちの子達は?」
「同様です。危険な状態です。吐血量から見て内臓の幾つかが破裂しているかと……」
「普通の病院に運ぶわけにもいかないわね。一族の病院へ運んで頂戴」
「さくら様! アレを……」
イレインに気付いた黒服の男が言う。
「イレインまで持ち出していたみたいね」
「それから、イレインと戦っているのは……」
「す、すずか!」
忍がすずかに気付く。
「すずかだけどすずかじゃないみたい」
何時ものすずかと雰囲気と違うようだ。
「すずかに施した封印が解けたみたいね。解けなければいいと思っていたけど」
すずかの封印が解けてしまったようだ。
「さくら様、どうしますか?」
「イレインを倒して氷村遊を捕縛します」
「ですが、氷村殿はイレインに守られています。捕縛するまでにこちらに犠牲者が出てしまいます」
「あの!」
「なんですか?」
「あのイレインとか言う機械を破壊すればいいんですよね」
「その通りですが、貴女一人でどうにか出来る相手では……」
さつきの雰囲気がかわる。
それは、御神の剣士である恭也でも立っていることが出来ないほどだ。
「それじゃあ、イレインとか言うのを倒してきますね」
そう言ってイレインを倒しにいくさつき。
そして、救出部隊の誰もが我が目を疑った。
イレインが次々引き裂かれていったのだ。
「……………………」
さくらと忍は、イレインの強さを知っているからだ。
アースラ臨時司令部。
「之より、なのはさん、フェイトさん、アリシアさん、すずかさん、アリサさんの救出作戦を開始します」
管理局側でも救出作戦が始まる。
「戦闘指揮はクロノ執務官、副官としてヒバリ研修生!!」
「「はいっ」」
「司令部は私とエイミィ、観測スタッフ一同!」
「艦長! さっきからさつきさんに連絡をしているんですがつかないんです」
「そう。彼女は戦闘に入っていると見たほうが良いわね」
事実、さつきは戦闘中だ。
「ことは急を要します。各員、迅速に行動してください」
「「「「「「「はいっ!!」」」」」」
「じゃあ行くぞ」
出動していくクロノ、ヒバリ、アルフ、リニス、ユーノ。
「フェレット、なのは達が捕まっている場所はこっちで良いのか?」
「誰がフェレットだ!」
ユーノは、今は人間形態だ。
「二人とも、喧嘩している場合じゃないみたいだよ」
「それに、妙な気配の奴等につけられている」
「妙な奴等って……」
「まるで死人のような気配を放っている」
「それって、まさか……」
「そのまさかのようです」
「キシャァッ!!」
クロノ達に襲い掛かる化け物。
「なんだ!? こいつ等は?」
「さつきさんから提供された情報にあった親吸血鬼の手下のようです」
死者は、クロノの首に噛み付こうとしている。
「そいつに噛まれたら終わりだよ」
「チェーンバインド」
ユーノがチェーンバインドで死者を縛り上げる。
「せめて、襲われる前に言ってくれ!!」
「「「「「「「「「シャァッ!!」」」」」」」」」
死者の集団が襲ってきた。
「皆、血を吸われるなよ」
「こんのぉっ!!」
死者を殴り飛ばすアルフ。
殴り飛ばされた死者が何事もなかったように起き上がる。
「こいつ等、幾ら殴っても限がないよ」
「それにこいつ等の目、赤いんだけど」
死者たちの目は赤かった。
死者たちの数は時ともに増えていく。
「ちょっとマズイよ! 時間とともにコイツ等増えてきている。」
クロノ達は、取り囲まれつつあった。
次回予告
ユーノ「吸血鬼の手下に苦戦する僕達」
アルフ「早くしないとフェイトが死んじゃうよ」
リニス「だれれもいいから助けてよ」
さつき「私でよかった助けてあげるよ」
アルフ「本当かい?」
さつき「妾が必ず助けてやろう」
アルフ「じゃあ、頼むよ」
氷村「今らでも僕の肉奴隷になるんだ!」
覚醒すずか「その方は、謝っても許さぬ!」
ユーノ「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第27話『二極の戦い』」
あっさり解決って訳にはいかなかったな。
美姫 「居場所が分かっても無理だったわね」
クロノたちも動き出したけれど、こっちはどうも死徒みたいなのが現れているしな。
美姫 「なのはたちはどうなるかしらね」
それでは、この辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」