第35話「それは小さな願いなの(後編)」
「あの、使い魔でも人間でもない擬似生命って言うと、私みたいな?」
「違うわ!」
「「「……………………」」」
「フェイトさんは、生まれ方が少し違っただけで、ちゃんと命を受けて生み出された人間でしょ!?」
「検査の結果でもちゃんと、そう出てただろう? 変なことを言うものじゃない」
「はい。ごめんなさい……」
「誘拐された時に私が吸血鬼にしちゃったけど……」
そこへ、さつきがやって来た。
「さつきさん、なんでここに?」
「吸血鬼事件の事でちょっと……」
さつきは、吸血鬼事件のことで来たようだ。
「吸血鬼事件の方は?」
「コレまでに吸血鬼の手下、死者を50人ぐら処理したかな?」
「50人!?」
「この街に死者と呼ばれる人はどの位居るのですか?」
「少なく見ても、2〜300人くらいかな?」
「ふぇ? 海鳴市の人口は、70万人ぐらいだから……」
「数千人は、犠牲になっちゃうかな」
人口の数パーセントが吸血鬼の犠牲になる可能性があるのだ。
「その50人ももとは人間だったんだろ?」
「うん」
「だったら、何故処理するんだ!?」
元人間を50人も殺したさつきに怒りをぶつけるクロノ。
「じゃあ、彼方達の身内が吸血鬼に殺されても?」
「それは……」
「一度吸血鬼に血を吸われたら終わり。もう、元に戻すことは出来ないの」
「ふぇ!?」
「若しかして、私たちも?」
「うん。貴女達は、私の血を受けているから、人に戻る事は出来ないよ」
「じゃぁ、じゃぁ、血を飲まないといけないんですか?」
「長期間飲まないと吸血衝動が襲ってくるよ?」
「吸血衝動を抑える方法はあるんですよね」
「あるよ。1〜2週間に一度の割合で血を飲めばね……♪ すずかちゃん家に頼めば、輸血用パックを分けてくれるよ」
そう言って、バックから輸血用パックとストローをなのは、フェイト、アリシアに渡す。
「今後の為に今から飲んでおいて」
血を飲めというさつき。
「ちょっと、ここでは……」
「う、うん」
ここでは飲めないというなのはとフェイト。
その横で、ストローで血を吸うアリシア。
「「「……………………」」」
「如何したの!? なのは、フェイト、飲まないの?」
血を飲み終えたアリシアが聞く。
「わかったよ。飲むよ」
「え? 飲むのフェイトちゃん!」
「飲むよ、なのは。じゃあ、一緒に飲もうよ」
「うん。フェイトちゃん」
同時に血を飲むなのはとフェイト。
「こうしてみていると、シュールな光景だ」
「クロノくん。血を吸って欲しいなら早く言ってくれればよかったのに……」
「えっ? 血を吸う?」
ニコニコ顔で近付くなのは、フェイト、アリシア。
「ちょっと待て! 僕の血を吸っても美味しくないぞ!!」
「そう言えば、此間、お風呂に入っている時にクロノに裸を見られた対価を貰っていなかった」
「アレは、事故だ!」
「私の裸を見て鼻血を出してたのは誰?」
「そう言えば、私も見られてた」
「私もだった……」
クロノは、なのは、フェイト、アリシアの裸を見たことがあるようだ。
「見たくて見たんじゃない。見ようと思えば、何処でも見れるから……」
「あっ、クロノくん……!」
エイミィが警告するが時、既におそしだった。
そして同時にクロノに噛み付いて血を吸った。
「あ゛っ!!」
血を吸われて顔色が白くなるクロノ。
「はいはい。輸血するよ!」
エイミィに輸血されるクロノ。
「さて、輸血中のクロノは置いといて……吸血鬼事件にも戦力を割くことにします。今、現在は、さつきさんが吸血鬼の手下達の処理をしてくれています。さつきさんの情報で、複数の吸血鬼が居ることが明らかになりました」
「自分も吸血鬼との戦闘で、死に掛けた経験から言います。武装隊を投入した所で戦力になりません。そこで、『闇の書』事件から吸血鬼であるアリシアさんに『吸血鬼』事件の方に移ってもらう必要があります。如何ですか? リンディ提督!」
「最悪の事態を避ける必要があります。アリシアさんには、吸血鬼事件の対処に代わってもらいます。戦闘指揮は、さつきさんに執って貰います」
「しかし、提督!」
異見するクロノ。
「相手は、吸血鬼です。こちらも吸血鬼であるさつきさん達に当たってもらうしかありません。クロノも身をもって経験しているでしょう?」
クロノは、その身をもって経験している。
「わかりました」
しぶしぶ引き下がるクロノ。
「あっ、モニターで説明しようかぁ!?」
部屋が暗くなる。
「守護者達は、『闇の書』に内蔵されたプログラムが人の形をとったもの。『闇の書』は、転生と再生を繰り返すけど、この4人は、ずっと『闇の書』と共に様々な主の下を渡り歩いている」
輸血をしながら説明をするクロノ。
「意思疎通の為の対話能力は、過去の事件でも確認されてるんだけどね。感情を見せたという例は、今までにないの」
「『闇の書』の蒐集と主の護衛……彼らの役目は、それだけですものね」
「でも、あの帽子の娘、ヴィータちゃんは、怒ったり悲しんだりしてたし……」
「シグナムからもハッキリ人格を感じました。『成すべき事がある!』って」
「仲間と主のためだって……」
「主の為……っか……」
「……………………」
「「「……………………」」」
部屋が明るくなる。
「まぁ、それについては、捜査に当たっている局員からの情報を待ちましょうか」
「転移頻度から見ても、主がこの付近に居るのは確実ですし……案外、主が先に捕まるかもしれません」
「あぁぁっ! それ、わかりやすくていいねぇ」
「だね? 『闇の書』の完成前なら、持ち主も普通の魔導師だろうし……」
『闇の書』の主が吸血鬼化した八神はやてだと言うことを知るのは、もう少し先のことである。
「それにしても、『闇の書』についてもう少しデータが欲しいな!」
なのはの肩に乗るフェレット……いや、ユーノに言うクロノ。
「ユーノ! 明日から少し頼みたいことがある」
「ん? いいけど……」
なのはは、夜の町を自宅へ歩いている。
「(ねぇユーノくん! 『闇の書』の主ってどんな人かな?)」
「(『闇の書』は、自分を扱う資質を持った人をランダムで転生先に選ぶみたいだから……)」
「(そっかぁ……案外、私たちと同い年ぐらいの子だったりしてね?)」
この時のなのはの予感は当たっている。
「(う〜ん……流石にそれは……)」
その時、なのはの携帯が鳴る。
「(すずかちゃん、今日はお友達が泊まりに来ているんだって!)」
「(そうなの?)」
「(うん! ほら)」
メール添付の画像を見せるなのは。
「(八神はやてちゃん! 今度、紹介してくれるって)」
「(へぇ〜)」
「うふふふっ」
「ほんなら、ありがとうなぁ、すずかちゃん! 血まで飲ませてもろうって……」
「うん。またね」
「ぜひぜひ、またお越しくださいね!? はやてちゃん!!」
吸血鬼として復活したファリンがはやてに言う。
「ありがとうございます」
「シグナム!? はやてちゃん、もう時期帰って来るそうよ!」
「そうか……」
冷蔵庫を開けるシャマル。
「ヴィータちゃんは、まだ?」
「かなり遠出らしい……夕方には、戻るそうだ!」
「貴女は? シグナム!」
冷蔵庫を物色するシグナム。
「大丈夫!? って! 大分魔力が消耗しているみたいだから……」
「お前たちの将は、そう軟弱には出来ていない。大丈夫だ!」
「貴女も、随分変わったわよね? 昔は、そんなふうに笑わなかったわ」
「そうだったか?」
「貴女だけじゃない。私たち全員随分変わったわ。皆、はやてちゃんが、私たちのマスターになった日からよね?」
「……………………」
「そうですか……ご親戚の皆さんと一緒だと賑やかでいいですね」
ノエルの運転で送られるはやて。
「はいっ!! なんや、こう、毎日むやみに楽しいです」
「素敵ですね?」
そっかぁ、皆が来てからもう、半年以上になるんやな。
はやては、シグナム達との出会いを思い返す。
恐怖に震えるはやて。
『闇の書』の封印が解ける。
「あっ、あぁぁぁっ!」
≪Anfang.≫
「ふぇ!?」
はやてからリンカーコアが出てくる。
『闇の書』が一瞬激しく光る。
「うあっ!!」
驚くはやて。
「『闇の書』の起動を確認しました」
「我等、『闇の書』の蒐集を行い、主を守る守護騎士でございます」
「夜天の主の下に集いし雲……」
「ヴォルケンリッター……なんなりと命令を……」
ヴォルケンリッターは、はやての前に跪いている。
その時、ヴィータが立ち上がる。
「(ねぇねぇ! ちょっとちょっと!!)」
「(ヴィータちゃん! しっ!!)」
「(でもさぁ!)」
「(黙っていろ! 主の前で無礼は許されん!)」
「(無礼てかさぁ、コイツ、気絶しているように見えんだけど……)」
「(うそぉっ!?)」
はやての目は、くるくる回っていた。
「はやてちゃん、よかったわ。なんともなくって……」
「えっと、すみません」
「で、誰なの? あの人たち」
「あっ……」
「あの時は、本当にビックリしたわよね」
「まぁな……」
「どう言う人たちなの? 春先とは言え、まだ寒いのに、はやてちゃんに上着もかけずにつれて来て……それに変な格好しているし、言っている事は訳わかんないし、どうも怪しいわ」
「あぁ……えっと……そう、なんって言いましょうか……」
説明に苦慮するはやて。
「(ご命令を頂ければ力になれますが……如何致しましょう?)」
「は? はぁ?」
「(思念通話です。心でご命令を念じて頂ければ……)」
シグナムの説明を理解して実行するはやて。
「(ほんなら、命令というか、お願いや! ちょい私に話し合わせてな)」
「はい!」
「えっとぉ、石田先生。実は、あの人たち、私の親戚で……」
「親戚?」
「遠くの祖国から私のお誕生日をお祝いに来てくれたんですよ。そんで、ビックリさせようと仮装までしてくれてたのに私がそれにビックリしすぎてしもうたと言うか、その……そんな感じで……なっ!」
「あっ、そうなんですよ」
「その通りです」
「ははははっ」
我々の新しい主……主はやては、歳の若さもそうであったが、コレまでの主とは随分違っていた。
「そうかぁ、この子が『闇の書』ってもんなんやね?」
「はい」
再びはやてに跪いているヴォルケンリッター。
「物心がついた時には、棚にあったんよ。綺麗な本やから大事にはしてたんやけど……」
「覚醒の時と眠っている間に『闇の書』の声を聞きませんでしたか?」
「う〜ん、私魔法使いとちゃうから漠然とやったけど……あっ、あった!」
何かがあったようだ。
「わかったことが一つある。『闇の書』の主として守護騎士みんなの衣食住、きっちり面倒をみなあかんいうことや! 幸い住む所あるし料理は得意や! 皆のお洋服買ってくるからサイズ、測らせてな!?」
ポカーンっとするヴォルケンリッター。
そう……本当に今までの主と何もかもが違っていた。
主はやての我々への対応は、コレまでの主のように高圧的であったり、道具のように扱う者でなく、まるで家族にするようなものだった。
「うふっ! あははははっ」
湯船でシャボン玉で遊ぶはやて。
興味ありげに見るヴィータ。
「さぁ出来た! 食べようか? 頂きます」
「「「いただきます」」」
我々は、戸惑いながらも……しかし、新たな主の望むままに静かな日々を暮らし始めていた。
「おかわり……」
「はぁいっ!!」
「騎士甲冑!?」
「えぇ。我等は武器は持っておりますが、甲冑は主に給わなければなりません」
「自分の魔力で作りますから、形状をイメージしてくだされば……」
「そっかぁ……そやけど、私は皆を戦わせりせぇへんから……」
感がえるはやて。
「あっ! 服でえぇか? 騎士らしい服! なっ!?」
「えぇ。構いません」
「ほんなら資料探して、かっこえぇの考えてあげなな」
「ここは?」
「えぇから、えぇから! こう言う所こそ、それっぽい材料が……な?」
ヴィータがふと足を止める。
あるぬいぐるみに釘付けになる。
「ヴィータちゃん!? 如何したの? ヴぃータちゃん?」
「いい風ですね?」
「ほんまやぁ」
「お天気もいいですし」
「絶好のお散歩日和やな」
ヴィータに声を掛けるはやて。
「ヴィータ! もう、袋から出してええで」
ヴィータは、何かを買って貰ったようだ。
袋から出すはやて。
「わぁぁぁっ♪」
ぬいぐるみだった。
「はやて、ありが……」
はやてとシャマルにおいて行かれるヴィータ。
「あはははっ」
時は、ゆっくりと過ぎて行き、我々はただ主と共に何事もない日々を過ごしていった。
「はぁぁぁっ綺麗♪」
はやては、シグナムに抱えられて夜空を見上げる。
「主はやて! 本当に良いのですか?」
「何が!? 」
「『闇の書』のことです。貴女の命あれば、我々はすぐにでも『闇の書』の頁を蒐集し、貴女は大いなる力を得ることができます。この足も治るはずですよ」
「あかんて! 『闇の書』の頁を集めるには、いろんな人に迷惑をかけなあかんねんやろ?」
「うっ……」
「そんなんは、あかん! 自分の身勝手で人に迷惑をかけるんは良くない」
「……………………」
「私は、今のままでも十分幸せや。父さん、母さんはもう、お星様やけど……遺産の管理は、おじさんがちゃんとしてくれてる」
「お父上のご友人でしたか?」
「うん。おかげで生活に困ることもないし、それになにより、今は皆が居るからな」
「あっ」
「はやてぇ!」
「あぁっ、どないした? ヴィータ!」
「はやて、冷凍庫のアイス食べてもいい?」
「お前、夕食をアレだけ食べて、まだ食うのか!?」
「うるせぇな! 育ち盛りなんだよ! はやてのごはんはギガうまだしなぁ」
「しゃあないなぁ。ちょっとだけやで」
「おうっ!!」
アイスを食いにいくヴィータ。
「シグナム!?」
「はい?」
「シグナムは皆のリーダーやから、約束してな!」
「……はい……」
「現マスター八神はやては、『闇の書』になんの望みもない。私がマスターで居る間は、『闇の書』のことは忘れてて! 皆のお仕事は、うちで一緒に仲良く暮らすこと……それだけや」
「……………………」
「約束できる?」
「誓います。騎士の剣にかけて……」
「命の危険?」
「はやてちゃんが?」
「えぇ。はやてちゃんの足は、原因不明の進行性麻痺とお伝えしましたが、この半年で麻痺が少しずつ上に進んでいるんです。この二ヶ月は特に顕著で……このままでは、内蔵機能の麻痺に発展する危険があるんです」
「何故! 何故気付かなかった!!」
「ごめん……ごめんなさい。わたし……」
「おまえにじゃない! 自分に言っている」
「主はやての足は、病気ではなかった。 『闇の書』の呪い……。 主はやてが生まれた時から共に有った『闇の書』は、主の身体と密接に繋がっていた。
抑圧された強大な魔力が、リンカーコアが未成熟な主の身体を蝕み健全な肉体機能はおろか、生命活動さえ阻害していた。
そして、主が第一の覚醒を迎えたことで、それは加速した。
それは、私たち4人の活動を維持するため、極僅かとは言え主の魔力を使用している事も無関係といえるはずだった」
「……………………」
「……たすけなきゃ……はやてを助けなきゃ!」
シャマルに掴みかかるヴィータ。
「シャマル! シャマルは、治療系得意なんだろう!? そんな病気ぐらい治してよ!」
「ごめんなさい。私の力じゃどうにも……」
「なんでだ? なんでなんだよぉ!!」
泣くヴィータ。
「シグナム」
「我等に出来ることは、あまりに少な。だが……」
主の体を蝕んでいるのは『闇の書』の呪い。
はやてちゃんが、『闇の書』の主として真の覚醒を得れば……。
我等が主の病は消える。少なくとも進みは止まる!
はやての未来を血で汚したくないから人殺しはしない。それ以外だったら、何だってする!
申し訳ありません我等が主! ただ一度だけ、貴女との誓いを破ります。
騎士甲冑を纏うヴォルケンリッター。
「我等の不義理をお許しください!」
砂漠の世界をヴィータは歩いている。
「くっそぉっ!! はやてに貰った騎士服をこんなにグチャボロにしやがって……」
ヴィータは、ボロボロだ。
「騎士服は直るし、そこそこ頁を稼げたからいいけどよ」
その時、靴が破ける。
砂に倒れ顔面キスをした。
「いて……たくない! 痛くない! こんなのちっとも痛くない!」
グラーフアイゼンを杖に立ち上がる。
「帰ったらきっと、温かいお風呂とはやてのゴハンが待っているんだ! 優しいはやてがニコニコ待っててくれるんだ! そうだよ。私は、すげぇ幸せなんだ!! だから、こんなの全然痛くねぇぇぇぇぇっ!!」
ボロボロの体でも戦うヴィータ。
「三人がかりで出てきたけど大丈夫かな?」
「まぁ、モニタリングはアレックスに頼んできたし……」
「『闇の書』について調査をすればいいんだよね?」
「あぁ、これから会う二人は、その辺りに顔が利くから」
ある部屋にクロノが入る。
「「ふぁ!?」」
「リーゼ久しぶり! クロノだ」
「うわぁおっ」
クロノに飛び掛る片割れ。
「クロ助、おひさしぶりぶり!」
自分の胸にクロノの顔を押し付ける。
丁度、谷間に収まる形だ。
「ロッテ!」
「放せこら!」
「何だと!? こらっ! 久々にあった師匠に冷たいじゃん……ウリウリ!」
「アリア! コレをなんとかしてくれ!」
助けを求めるクロノ。
「久しぶりなんだし、好きにさせてやればいいじゃない。それに、まぁ、なんだ。まんざらでもなかろう」
「そんな訳……」
「うにゃぁ!!」
「う゛わぁぁぁぁぁっ!!」
遊ばれているクロノ。
「お久しぶり、リーゼ・アリア!」
「う〜ん、おひさし!」
「リーゼ・ロッテは、相変わらずだね」
「時々、計り知れないことはあるな」
「ごちそうさま……」
「リーゼ・ロッテ! おひさし」
「おぉ! エイミィ、おひさしだ! なんかおいしそうなねずみが居る」
「……………………」
「どなた?」
「うっ」
「なんで、あんなのが僕の師匠なんだ?」
「あぁ、なるほど! 『闇の書』の捜索ね」
「事態は、父様から伺っている。できる限り力になるよ」
「よろしく頼む」
「ねぇ、エイミィさん。この人たちって……」
「クロノくんの魔法と近接戦闘のお師匠様たち。魔法教育担当のリーゼ・アリアと近接戦闘教育担当のリーゼ・ロッテ。グレアム提督の双子の使い魔。見てのとおり、素体は猫」
「……………………」
「な、なるほど……」
「二人に駐屯地方面に来てもらえると心強いんだが……今は、仕事なんだろう?」
「うん。武装局員の新人教育メニューが残っててね」
「そっちに出ずっぱりになれないのよ」
「わるいねぇ」
「いや、実は今回の頼みは、彼なんだ!」
頼みはユーノだと言うクロノ。
「喰っていいの?」
目が光るロッテとアリア。
「ひっ……」
「あぁ、作業が終わったら好きにしてくれ……。焼いて喰うも、生で喰うも、皮を剥ぐも、夜の相手でも好きにしていいぞ」
「なっ……ちょっと待て!」
「それで、頼みって?」
「彼の無限書庫での調べ物に協力してやって欲しいんだ!」
「「ふっふ〜ん」」
「……………………」
次回予告
なのは「事件の最中、時空管理局本局を見学に……」
フェイト「なんで、すずかまでここに?」
さつき「私も居るんだけど……」
すずか「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第36話」
アリシア「『いまは遠き夜天の光(前編)』」
なのは、フェイト、アリシア、すずか「「「「ドライブ、イグニッション!」」」」
吸血鬼事件に管理局が乗り出すか。
美姫 「行っても人員はアリシアだけみたいだけれどね」
二つの事件が同時に起こっているから、人手が足りないんだな。
どちらもどう決着するのか。
美姫 「それじゃあ、今回はこの辺で」
ではでは。