第37話「いまは遠き夜天の光(中編)」
「よしっと。もう、11時ね。そろそろ行かないと……」
はやての診察時間のようだ。
「もしもし石田です。八神はやてさん、もう来ている?」
内線で確認する石田医師。
「そう。じゃあ今向かうから……」
はやての診察に向かう石田。
「こんにちわ。いらっしゃい」
「石田先生、こんにちわ」
「「こんにちわ」」
シャマルとヴィータは付き添いのようだ。
「あら? 今日は、ヴィータちゃんも一緒?」
「はい。この後、お買い物に行こうかな? っとおもいまして……」
「ふふっ。何か買ってもらうの?」
「えっと、どうでしょう……?」
「さて、じゃあ検査室ね。案内するから」
「はいっ」
検査室へ移動する。
「(はぁ。……おつうや!)」
「(そうなの?)」
「(この検査退屈なんよ。じぃ〜っと寝転んでないとあかんねんけど、眠ってもうって寝返りうったらあかんし)」
「(そ、それは大変だ……)」
「(まぁ、じっとしていれば大変ですが……がんばって受けてきてください! はやてちゃんの体がよくなる為ですから……)」
「(うん……)あっヴィータは、下で待っててえぇよ!? 知り合いのお爺ちゃんとかも居るかもしれんし」
「おう。はやて、がんばってね」
「はぁい」
はやては、検査を受けている。
「う〜ん。相変わらず退屈やぁ。眠ったらあかんと思うほど、ねむぅなるなぁ」
はやては、眠いようだ。
「また、この夢や……最近よくみる不思議な……ユメ」
はやては、ユメを見ている。
「今度は戦場!? こっちのセカイじゃない! 騎士達がたくさん居る」
何処かの戦場の記録を見ているようだ。
「敵は、4名。首魁と思われる女騎士が将軍と交戦中! 防御布陣は壊滅状態!!」
「うわぁぁぁぁぁっ!」
悲鳴を上げる騎士。
「ぬるいな! 手にした剣が泣くぞ?」
「シグナム!? なんや? そのゴッツイ甲冑姿は……」
「ぐぅ……」
「勝者は、私だ! 約束のモノを頂こう」
騎士からリンカーコアを抜き取るシグナム。
「ぐわぁぁぁぁっ! ……貴様、何者……」
「覚えて貰う理由はない。貴様はただ、『闇の書』の糧となれ!!」
「ぐぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「『闇の書』? シグナムあかん! そんなんしたらあかん!!」
「将軍、倒されました。救援を……至急救援を……あっ」
「どうぞ、お静かに」
「シャマル!? シャマルも甲冑が……」
「あなた方の命も、こちらのお城にも私たちは、なんの興味もありません。頂きたいのは……」
女騎士からリンカーコアが抜かれる。
「貴女方の魔力の源……リンカー・コアだけ」
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
声にならない悲鳴を上げる。
「シャマル……」
「城を守る一軍とその将ととてこの程度か? 僅か100年あまりでベルカの騎士も地に落ちたな!」
「そう言わないで! 仕方ないわ」
「これもまた時の流れだ」
「ザフィーラも……」
ユメと思っていたはやてが気づく。
「これって、もしかして……」
「近頃はベルカでも戦はまれだもの……もう騎士の時代じゃないのかもね」
「これでは、コアの蒐集も心苦しい。弱者を蹂躙しているのも性にあわん」
「だが、此度の主の下での我等の望みはページの蒐集のみだ!」
「効率1番……早く蒐集しないとまた怒られるわ」
「あぁ……ヴィータは?」
「そうや! ヴィータ……」
「でぇやぁぁぁぁぁっ!」
グラーフアイゼンを振り回す。
「ぐわぁぁぁぁっ!」
「ぐひゃぁぁぁっ!」
「ひっ! 爆撃!? なっ、何なんだ!? 今の攻撃は……ぐ、ぐわぁぁぁぁっ! う、腕が……腕がぁぁぁぁぁぁっ!」
この騎士、腕を失ったようだ。
「鬱陶しい……あぁっ、鬱陶しい!! 戦場で悲鳴を上げるぐらいなら、はじめから武器なんか持つんじゃねぇっ!!」
「ヴィータ? あかん!! やめてぇ」
「あにすんだよっ!!」
「熱くなるなと何時も言っているだろ? 蒐集対象をミンチにしてどうする?」
「うぜぇよ!」
「魔力の無駄遣いを避けるべきだ! 十分な休息をとれるわけではないのだぞ?」
「うっせっと言ってんだっ!」
「いいから、早く蒐集して戻りましょう……主様の下へ」
「はんっ。主様ね」
「みんな…………」
「驚きました」
「……………………」
「こんな場所までご自分で入って来られたのですか?」
「えっ!? はぁ? え、えっと……貴女は?」
「現在の覚醒段階で、ここまで深いアクセスは貴女にとっても危険です。安全空域までお送りしますので、お戻りください」
「待って! ちょい待って! 私、貴女のこと知っている」
「はい。貴女が生まれてからすぐのころから私は、傍にいましたから」
「やっぱり『闇の書』!?」
「そう呼ばれてもらっても結構です。私は、本魔導書の管制プログラムですから……」
「うふっ♪ そっかぁ、そっかぁ! そうやない! その前に現状の説明してもらってもえぇか?」
「えぇ」
「これは、私と騎士達が共有する記憶……『闇の書』の歴史であり過去です。蒐集と第二の覚醒をえ真の主になった際、我等の真実を理解していただくものなのですが……貴女は、それより随分と早くここにいらしてしまったようです」
「ヴォルケンリッター、ただ今戻りました。本日の成果は、西の城を一つ」
「蒐集頁は54頁……合計316頁になりました」
「遅い! 遅いわ!!」
「はっ」
「私は『闇の書』に選ばれた絶対たる力を手に入れる権利がある」
「はい」
「神にも等しい『闇の書』の力……早くこの手にもたらすのじゃ! 早く……早く『闇の書』の真の主に……」
「心得ております」
「こちらの記憶は、もう随分と昔ですね。この時の主は、ベルカの女性領主でした」
「シグナムもシャマルも、なんや随分感じがちゃうなぁ」
「明朝には出発する。それまで可能な限り回復をしておけ!」
「ヴィータちゃん! 寒いから、こっちにいらっしゃい」
「いらねえ! 一人で寝る」
「あっ! ちょい待って! なんや? これ! まさかこれが、この子らの部屋か?」
「この主の時は、そうでしたね」
「日もあたらん地下で、ジメジメの石の床で、こんなんまるきっり牢屋やん」
「仕方がないのです。守護騎士たちは、異形の技によるものたちでしたから、人目につく場所に置いては……」
「そうやかて、そんなんおかしいやん! 事の良し悪しは別にして、主の為に一生懸命に働いている子らをこんな寒そうな場所で……もう、ご飯はちゃんと食べさせて貰ってたんか? それに、みんな、普段用の服とか貰ってないんか? あんな薄着で震えてるやんか! もう、もうっ!!」
「すでに過去の出来事です。あまり、心を乱されませんように」
「せやけど、これはあんまりや!」
「彼女たちの過去は、優しい貴女には刺激が強いようですね? いったん映像を消します」
「……………………」
「それに、今現在の騎士たちは幸福です。貴女の元で暮らせるのですから……」
「う〜ん!? えっと、なんやろう?」
「ありがとうございます。私からも改めて感謝の言葉を述べさせていただきます」
「いえ、こちらこそ……。そっかぁ! 貴女が『闇の書』の意思なら、私をあの子らに会わせてくれたんは、貴女なんやね?」
「残念ながら、私自らの意思で選んだ訳ではありません。私の転生先は乱数決定されますから……」
「そんなんえぇねん! 貴女が私のところに来てくれたから、私は、あの子らに会えた!」
「はい」
「で、今は貴女とも会えた。素直に嬉しいし感謝したいと思う。あかんか?」
「いいえ。それでしたら何も問題ありませんね」
「えぇ子や! そやけど、ごめんな。私、今まで貴女のこと気づかんで……シグナムたちも言うてくれたらえぇのに……」
「頁の蒐集が進まないと私は、起動出来ないシステムですから、頁蒐集を望まない貴女への烈火の将と風の癒やし手の気遣いです。くんでやってください」
「うん、頁蒐集しないと貴女は外に出られへんの?」
「対話と常時精神アクセスの機能起動に400ページの蒐集と主の承認……私の実体具現化と融合起動には全頁を完成させて貴女が真の主となられなければ無理です」
「……そっかぁ。実体……具現化言うのをするとシグナムやヴィータたちと一緒に暮らせるん?」
「えぇ。この姿で実体化できますから……そして、必要に応じて貴女と融合し魔導書の力の全てを使用することが出来ます」
「そっかぁ。私が、真のマスターになれたらえぇねんけど……」
「望まぬ蒐集を命じることもありません」
「うん」
「現状でここまで深層なアクセスは危険です。目覚めのタイミングで表層までお送りします。以降、間違って入られ事がないようシステムでロックをかけておきます」
「う〜ん……」
「すみません」
「謝らんでもえぇけど、寂しいな! 折角会えたのに……」
「私もです」
「ほんなら、お別れまでの時間、主としてお願いしてえぇか? シグナム達には申しているお願いで、私の騎士になるには絶対にやらんやならんことや!」
「はい! なんなりと」
「ほんなら……はい!」
「えっ!?」
「だっこや!!」
「……………………」
だっこを要求するはやて。
「は、はいわかりました。では……」
「えへ」
「烈火の将のするように膝の上におのせすればよろしいですか?」
「うん。あっ、こうして抱っこしてもらうとな、顔が近いやろ? 瞳の奥がよう見えるんよ」
「えぇ。よく見えます」
「なんやかで、綺麗な目しているなぁ!」
「ありがとうございます」
「銀の髪もサラサラやぁ!」
「はい」
「そんで、おっぱいもけっこう大きい!」
「烈火の将ほど恥ずかしがる気もありません。ご自由に触れてもかまいません」
「う〜ん。ほんなら後でな」
「くすっ」
「やっぱり、笑うともっと綺麗やで」
「ありがとうございます」
「時間まで、色々お話聞かせてくれるか?」
「はいっ。何をお話しましょう?」
「う〜ん、昔話。悲しくないやつ」
「そうですね。それでは、こんな話があります」
「うん!」
「これは、かなり昔の話なのですが……」
「お帰り。フェイト、アリシア、なのは、すずか!」
「「ただいまぁ」」
「おじゃましま〜す♪」
「おじゃまします」
「クロノ一人?」
「エイミィは、アルフの散歩がてらアレックスたちの所へ食事を差し入れに行っているよ。二人ともインスタントばかりなんだそうだ」
「はぁ」
「なるほど」
「艦長は、フェイトとアリシアの学校。担任の先生とお話だそうだ」
「「うん」」
「しかし、キミ達……本局でリーゼ達に妙なことを吹き込まれなかったか?」
「えへっ。妙なことって……」
「「どんなこと?」」
「あの二人は、腕は立つし、仕事はしっかりしているんだが、プライベート面がどうにも猫だから」
「別に、そんなに妙なこと言われてないもんねぇ」
「「ねぇ」」
「うん」
「……なら、いいんだが……」
「将来のことについて、ちょっと話していたの」
「リーゼさん達によると私とアリシアは、執務官。なのはは、武装局員の教官が似合うって」
「それは、また、あの二人にしてはエラくまともな話を……どう言う風の吹き回しだろう?」
「クロノは、どう思う?」
「確かに慧眼だな……似合うと言うか、それぞれの資質に合わせて的確だ!」
「本当?」
「なのはの戦闘技術は大したものだ! 魔力任せの出鱈目に見えて、要所で基本に忠実だからな」
「……………………」
「頑丈なのと回復が早いのもいい。吸血鬼になってより強くなった」
「喜んでいいのやら、傷ついていいやら……」
「なのは、大丈夫! 褒められている褒められている」
「「フェイトとアリシアは、勉強好きだし、厳しい執務官試験もそれなりに楽しめるかもしれないしな……」」
「「うん」」
「ただ、どっちも大変だぞ? 教官訓練は、ものすごい高いレベルの魔力運用が要求される。教導隊を目指すのならなお更だな……」
「うん」
「執務官試験は、僕が言うのもなんだが採用率がかなり低い」
「らしいね……」
「確かに何時も管理局は人手不足だから、腕のいい魔導師が入ってくれるのは助かる」
「うん」
「事件は、何時だって起こっている。今、僕らが担当している『闇の書』事件、吸血鬼事件以外にも、何処かで何かが起こっている」
「うん」
「僕らが扱う事件では、法を守って、人も守る……イコールに見えて実際にはそうじゃないこの矛盾が何時でも付きまとう。自分達を正義だと思うつもりはないけど厳正すぎる法の番犬になりきるつもりもない!」
「なんとなく……わかるよ」
「難しいんだ! 考えるのを止めてしまったら楽になれる。まともにやろうと思ったら戦いながら……事件と向き合いながら、ずっと考え続ける仕事だよ」
「「「「……………………」」」」
「だから、自己矛盾するけど、僕は自分の妹や、その友人にもう少し気楽な仕事についてもらいたい気もするな」
「「「「……………………」」」」
「難しいね?」
「まぁ、キミ達には、まだ時間がある。前にも言ったが、フェイトとアリシアも中学卒業までは、こちらの世界で一般教育を受ける方がいいと思うし……並行しながら出来ることもある。ゆっくり考えるといい!」
「うん」
「まぁ、それより当面は、今の事件だけどな」
「そうだね」
「うん」
「クロノ、『武装執務官』ってなに?」
「『武装執務官』だって!!」
クロノが驚く。
「すずかとさつきさん、『武装執務官』に向いているってリーゼ達が……」
「あの二人がそう言ったのか?」
「う、うん……」
「それで、合格率はどのくらいなんですか?」
「合格率は、極めて低い。100万人に1人の確率だ!」
「そんなに低いんですか?」
「低い以前に受験資格がな……」
受験資格がすごく厳しいらしい。
「戦技教導隊レベルの戦闘技術と執務官相当の知識が無いと受験できない。殆どの受験生は、事前審査でふるい落とされる。本試験に残れるのは年10人ぐらいだ」
かなりの厳しい試験のようだ。
「ここ10年は、合格者いない」
「私、合格できるんでしょうか?」
「実技は、間違いなく合格できるだろう。魔力ランクは、言うのも嫌な桁だからな」
「現役の人はいるんです?」
「いや、残念ながら今は一人も居ない」
今は、一人も居ないらしい。
「すずかなら、絶対になれるよ!」
「『武装執務官』に!?」
「『武装執務官』にも執務官と同じように補佐が付くの?」
「確か、付いていたと思う……」
『武装執務官』にも補佐がいるようだ。
「こっちの補佐は、執務官補佐より数段レベルが上だ!」
「そんなに凄いの?」
「凄いを通り越して化け物だ! 犯罪者からは、化け物と恐れられている」
さつきとすずかは、吸血鬼の真祖っと言うだけで条件を満たしている。
今現在でも規格外の戦闘力を持っているのだ。
それだけで、有利な条件を得ている。
クロノから、『武装執務官』のあれこれを聞いたなのはたちの姿があった。
「じゃあ、なのは、すずか、気をつけて」
「また、明日ね」
「ばいばい」
ハラオン家? から帰るなのはとすずか。
「ユーノくん、携帯通じるかな?」
携帯をいじるなのは。
「あっ! もしもし? ユーノくん? 今、平気?」
電話で話すなのは。
「よかった。そっちはどう? もう、無限書庫には入れた?」
向こうの様子を聞く。
「うん。そうなんだ……けっこう大変なんだね」
歩きながら話しているようだ。
「今、家に向かっているところ。……うん。私たちの将来についてとか、いろいろ話していたの。それで、私の魔法の先生にも是非是非意見を聞いておきたいなぁっと思って……えへへへっ」
ユーノの意見を聞くなのは。
「うん……。それは、そうかもしれないんだけど……あのね! フェイトちゃんの事件のときはね……あの時は、これが全部だと思っていたの。先のことなど分からなくて最初は、ユーノくんとさつきさんの三人でジュエルシードを集めなきゃ……で、その後はフェイトちゃんとわかり合いたいって……でも、今回の事件はなんだか少しヴィータちゃん達や『闇の書』の事は勿論気になるんだけど……こう言う事件は、世界中に沢山あるんだろうなって……それで、そんな事件の一つ一つに、あの時のユーノくんやフェイトちゃんやプレシアさんみたいに、困ったり、悲しんだり、間違っちゃったりする人が居るんだろうなって……。そんな中で、私に出来ることって……」
一方的に話すなのは。
「ごめんね。急に電話を掛けて、こんな勝手に話しててごめんね」
あやまるなのは。
「ありがとう……。それで、ユーノくんに色々相談したいなぁと思ったの。あっ! 今じゃなくていいよ」
今、相談に乗ろうとするユーノ。
「あはははっ。全然。調査の合間とか、休憩のときとか……。うん。折角携帯が繋がるんだし、ね? うん。ユーノくんも困ったことがあったりしたら、掛けてきてね? メールの操作とか大丈夫? うん。そうだね……うん。ひゃはははっ。ありがとう。元気でた! じゃあ、とりあえずお休み! またね、ユーノくん!」
電話を切るなのは。
「うん。がんばろう!!」
家路を急ぐなのは。
「そう言えば、あの携帯電話と言うデバイス、こっちの世界では結構便利だな!」
「クロノは、念話距離凄く長いんだし、そんなに要らなくない?」
「いや。例えば、僕からキミとアリシアに通信するとき、プライバシーの問題もあるからな……あまりぶしつけなのもよくないだろう?」
「気にしなくてもいいのに……」
「まぁ、気にさせてくれ! 学校の友達と話す時もあると便利だろうしな……アレは、普通に店で買えるんだろ!?」
「えっとねぇ。未成年は、親の承認が無いと駄目なはず」
「そうなのか……じゃあ、艦長に頼むとしよう」
「うん。うれしいけど、いいのかな?」
「ダメな理由は、何も無いだろう」
何かを操作するクロノ。
「しかし、エイミィは遅いなぁ。またテレビでも見て話し込んでいるのかな? まったく……」
「あの……」
「?」
「ありがとう……おにいちゃん!」
「プッ、プッ……」
コップを落とすクロノ。
床に落ちてコップが割れる。
動揺してテーブルに激突する。
「わっ、クロノ?」
「クロノ?」
「な、なんでもない!! なんでもない!」
「動揺しているの?」
「気にするな!」
「あの、でも……」
「後で、片付ける! ちょっと、部屋に急ぎの用事が……すぐ戻る」
今度はガラス戸に激突した。
ガラスが盛大に割れる。
「わっ! わぁっ!」
また、ガラスが割れる。
「ちょっと、急すぎたかな?」
「動揺ぶり記録完了!」
アリシアは、クロノの動揺シーンを記録したようだ。
「クロノ、テレやさんなの忘れてた」
テーブルから落ちたものを拾うフェイト。
「でも、やっぱり優しいな。うちのお兄ちゃんは……」
ベランダに出るフェイトとアリシア。
「ねぇリニス。空の上の向こうから見ててくれるのかな? 貴女の名前は、アリシアお姉ちゃんの使い魔に引き継がれているよ。新しい居場所は、本当に優しい人ばかりだよ? プレシア母さんのこと色々思うことはあるし、事件は結構難しくて大変……だけど、頑張れているよ。アルフもバルディッシュも一緒だし……今戦わなければならない人もすごく強い人だけど、母さんに生み出してもらって、リニスが育ててくれた私とリニスが造ったバルディッシュはきっと負けない! きっと頑張るから
……!」
「頑張ろう、フェイト……」
次回予告
ヴィータ「夢から覚めたはやて」
シャマル「はやてちゃん、大丈夫ですか?」
石田「追加検査しようか?」
はやて「大丈夫です」
シャマル「ならいいんですけど」
はやて「追加検査の危機を脱したうち」
はやて「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第38話『いまは遠き夜天の光(後編)』」
はやて「ドライブ・イグニッション!」
大まかな流れは大きな変化はないかな。
美姫 「そうね。それに今の所は表面上は平和だものね」
事件の最中だけれどな。ここからどう動いていくのか。
美姫 「それじゃあ、この辺でね〜」
ではでは。