第39話「壊れた過去と現在となの」
『こっちのデータは以上よ。お役に立っている?』
「えぇありがとう。助かるわ!」
『ねぇ、今日はこっちに顔を出すんでしょ?』
「うん。アースラの件でね」
『時間合わせて食事でもしようか? あの子達の話も聞きたいし』
「あの子達って……?」
『ほら、貴女が預かっている養子にしたいっていってた子』
「あぁ、フェイトさんとアリシアさんね」
『そう。フェイトちゃんとアリシアちゃん。元気にやっている?』
「うん。事件につき合わせちゃって、ちょっと申し訳ないんだけど、仲良しの友達と一緒だしなんだか楽しそうにやっているわ」
「なんだか一杯あるね」
「まぁ、最近はどれも同じような性能だし、見た目で選んでいいんじゃない?」
見た目で選んだらと言うアリサ。
「でも、やっぱメール性能のいいやつもいいよね」
「カメラが綺麗だと色々楽しいんだよ」
カタログを見て悩むフェイトとアリシア。
「でも、やっぱ色とデザインが大事でしょう?」
「操作性も大事だよぅ!」
「外部メモリー付いていると色々便利でいいんだけど」
「そうなの?」
「うん! 写真とか音楽とか沢山入れておけるし……」
携帯談義をするなのは、フェイト、アリシア、すずか、アリサ。
「そうそう、メールに添付してお友達に送ることも出来るの」
「あーそうだよね♪」
「うん結構使われ……」
「あ〜いいよね」
「ありがとうございましたぁ」
「はい。どうぞ」
店員が何かを渡す。
「フェイトさん、アリシアさん、はい」
リンディがフェイトとアリシアに何かを渡す。
「「ありがとうございますリンディ提督」」
礼を言うフェイトとアリシア。
なのは達のほうへかけって行くフェイトとアリシア。
「お待たせ」
「ううん、うん」
「いい番号あった?」
「「うん」」
「え〜何番?」
何番って聞くなのは。
「えっとね……これ」
「「「あぁ!」」」
「うふっ!」
「管理局の管理を受けている世界の書籍やデータが全てが収められた超巨大データベース……」
「幾つもの歴史が丸ごと詰まった、言うなれば世界の記憶を治めた場所」
「それがここ、『無限書庫』……とは言え、中身の殆どは未整理のまま」
「ここでの探し物は大変だよ?」
「本来なら、チームを組んで年単位で調査する場所なんだしね」
「過去の歴史の調査は、僕らの一族の本業ですから……検索魔法も用意してきましたし、大丈夫です」
「そっか……キミは、スクライアの子だっけね?」
「私もロッテも仕事があるし……ずっとと言うわけにも行かないけどなるべく手伝うよ」
「可愛い愛弟子、クロ助の頼みだしね」
「そっかぁ、アリサとすずかはヴァイオリンしているんだね」
「うん。良くメールでお稽古の話とかしてくれるんだよ」
「「そうなんだ」」
「たっだいまぁ」
エイミィが買い物から帰ってきた。
買い物袋から買ったものを出す。
その整理を手伝うなのは、フェイト、アリシア。
「艦長、もう、本局に出かけちゃった?」
「うん。アースラの武装追加が済んだから試験航行だって……アレックス達と」
「武装っていうと『アルカンシェル』か……。あんな物騒なもの最後まで使わずに済めば良いんだけど」
「クロノくんとヒバリさん居ないですし、戻るまではエイミィさんが指揮代行だそうですよ」
エイミィが指揮代行のようだ。
「(責任重大!!)」
「それもまた物騒な……。まぁ、とは言え、そうそうに非常事態なんて起こる訳が……」
フェイトが持っている南瓜を片手で鷲掴みにするエイミィ。
その時、警報が鳴る。
南瓜を落とすエイミィ。
「文化レベル0。人間は住んでいない砂漠の世界だね」
モニターには、シグナムとザフィーラが写っている。
「結界を張れる局の集合まで最速で45分! まずいなぁ」
フェイトとアルフ、アリシアとリニスが決意する。
「エイミィ、私とアリシアが行く」
「私もだ」
「私も……」
「うん。お願い!」
「うん」
「おう」
「なのはちゃんは、バックス……此処で待機して」
「はいっ」
フェイトとアリシアは、愛機とカートリッジを手に出撃する。
シグナムは戦っている。
「ヴィータが手こずるわけだな……少々厄介な相手だな」
背後からの不意打ちに囚われてしまうシグナム。
「しまった……」
?のようなものでシグナムを締め上げる化け物。
≪≪Thunder blade.≫≫
フェイトとアリシアが魔法を放つ。
フェイトとアリシアの存在に気付くシグナム。
「「ブレイク!!」」
蛇のような化け物に雷撃を浴びせる。
「「ご主人様が気になるかい?」」
「おまえたちか……」
「ご主人様は、2対1。こっちも同じだ!」
構えるザフィーラ。
「シグナムは、我等が『将』だが、主ではない」
「あんたの主は、『闇の書』の主って言うわけね」
『フェイトちゃん、アリシアちゃん。助けてどうするの!? 捕まえるんだよ』
「あっ、ごめんなさい。つい……」
「礼は言わぬぞテスタロッサ姉妹!」
「お邪魔でしたか?」
「蒐集対象を潰されてしまった」
シグナムはレヴァンティンにカートリッジを入れる。
「悪い人の邪魔をするのが私たちの仕事ですから……」
「そうか、悪人だったな……」
海鳴の司令部では警報が鳴り続けている。
「もう一箇所?」
スクリーンにヴィータが映っている。
「本命は、こっち?」
本命はヴィータのようだ。
「なのはちゃん!」
「はい」
「久しぶりだね。リンディ提督」
「えぇ」
「『闇の書』の事件、進展はどうだい?」
「なかなか難しいですが上手くやります」
リンディはカップを取って飲む。
「君は優秀だ。私の時のような失態はしないと信じているよ」
「夫の葬儀の時申し上げましたが、アレは提督の失態ではありません。あんな事態を予測できる指揮官なんか居ませんから」
「もう一つの事件はどうかね?」
「こっちも進展はありません」
「それにしても吸血鬼事件まで発生しているとは……」
「さつきさんとすずかさんががんばって対処してくれているんだけど」
「プレシア女史が復活したという話を知っているかね?」
「プレシア女史は、埋葬されたはずです」
「埋葬した墓所から遺体が消えているそうだ」
「遺体が消えた?」
プレシアは、さつきの血を密かに受けていたのだ。
そして復活プレシアとタタリプレシアが存在することになった。
復活プレシアにタタリプレシアが事件の陰で消されたのは別の話である。
ユーノは、調べ物をしている。
「へぇ〜器用なもんだね。それで中が分かるんだ」
「えぇ。その……まぁ。リーゼロッテさん達は前回の『闇の書』の事件を見ているんですよね?」
「うん。ほんの11年前のことだからね」
「その、本当なんですか? その時にクロノのお父さんが亡くなったって……」
「本当だよ。私とアリアは父様と一緒だったから、すぐ近くで見てた。封印したはずの『闇の書』を護送中のクライドくんが……クロノのお父さんね」
「はい」
「クライドくんが護送艦と一緒に沈んで行くところ」
「封印手段は矢張りアルカンシェルになっちゃったな」
「他に方法がないものね。あんな大出力出せる武装……」
「アレは周辺への被害が大きすぎる。撃たずに済めば良いんだが」
「主が見つかれば良いんだけどね」
クロノとアリアは、局内を話しながら歩いている。
「まぁ。例え主を抑えたところで『闇の書』には転生機能があるから新しい主にあたるまでほんの少しだけ問題を先送りにできるだけだけど」
「それでもその場で大規模な被害が出るよりはずっといい」
「まぁね」
「預けた決着は今しばらく先送りしたいが、速度はお前たちの方が上だ! 逃げられないのなら戦うしかないな」
「はい。私もアリシア姉さんもそのつもりで来ました」
各々のデバイスを構える。
三人が同時に動く。
シグナムは、フェイトとアリシアの攻撃を防ぐ。
フェイトとアリシアは素早くシグナムの背後に回る。
シグナムも察知して攻撃を防ぐ。
≪Schlangeform.≫
シグナムの攻撃を躱すフェイトとアリシア。
≪Load cartridge, Haken form.≫
≪Load cartridge, Haken form.≫
鎌に変形するバルディッシュとヴァルディッシュ。
「「ハーゲンセイバー!!」」
間合いを計って鎌の部分を投げ飛ばす。
≪Blitz rush.≫
≪Blitz rush.≫
フェイトとアリシアは、身体強化もしてさらにスピードを上げる。
≪Haken slash.≫
≪Haken slash.≫
シグナムは、フェイトとアリシアの攻撃を鞘で防ぐ。
「鞘!」
「はぁぁぁぁっ!」
シグナムは、フェイトとアリシアを別々の方向へ蹴り飛ばす。
≪Plasma lancer.≫
≪Plasma lancer.≫
フェイトとアリシアは、蹴り飛ばされたままの体制でフォトンランサーをチャージし発射する。
フォトンランサーは、一直線にシグナムへ向かう。
とっさのことに回避もできずに直撃を食らう。
≪Assault form.≫
≪Assault form.≫
バルディッシュとヴァルディッシュが変形する。
≪Schwertform.≫
レヴァンティンも変形する。
三人がカートリッジをロードする。
「「プラズマ……」」
「飛電」
「「スマッシャー!!」」
「一閃!!」
魔法同士がぶつかって爆発する。
三人は空かさず空へ飛ぶ。
上空で空中戦を始める。
「あんたも使い魔なら、守護獣ならさご主人様の間違いを正さなくてもいいのかよ!」
「『闇の書』の蒐集は我らの意思! 我らの主は、我らの蒐集についてはご存じではない」
「なんだって! それはいったい……」
「主の為に血に染まることもいとわず。我と同じ守護の獣よ」
リニスとアルフに言うザフィーラ。
「お前たちもまた、そうではないのか?」
「そうだよ。でも……だけどさぁ」
別の世界ではヴィータが飛んでいた。
「(シグナムたちが?)」
『(うん。砂漠で交戦しているのテスタロッサちゃん姉妹とその守護獣の子と)』
「(長引くとまずいな……助けに行くか)」
救援に行こうというヴィータ。
「ん?」
ヴィータが何かに気付く。
『(ヴィータちゃん?)』
「(こっちにも来た。例の白服……)高町なんとかぁ!!」
「ふぇ? なのはだってばぁ。な・の・は!!」
名前を覚えてもらっていないことに落ち込む。
「ヴィータちゃん、やっぱりお話を聞かせてもらうわけにはいかない? もしかしたらだけど手伝えることとかあるかもしれないよ」
ヴィータの心が揺れ動く。
「うるせぇ!! 管理局の人間の言うことなど信用できるかぁ」
「私、管理局の人間じゃないもの。民間協力者」
闇の書の蒐集は一人につき一回……。
つまり、こいつを倒してもページにはなんないんだよな。
カートリッジの無駄遣いも避けたいし……。
「ヴィータちゃん?」
「ぶった倒すのはまた今度だ!」
逃げようとするヴィータ。
「吼えろグラーフアイゼン!」
≪Eisengeheul.≫
鉄球をハンマーで叩く。
「脱出……」
閃光に紛れて逃げるヴィータ。
閃光が収まるとヴィータは遠くへ逃げ行くところだった。
≪Master.≫
レイジングハートがなのはに言う。
「うん」
なのはから距離をとったヴィータ。
「よし。ここまで離せば攻撃はこねぇ」
ヴィータは安心しきっていた。
別世界へ移動しようとするヴィータ。
「?」
≪Buster mode. Drive ignition.≫
なのはは、吸血鬼の眼も使用してヴィータに照準をロックする。
「行くよ。久しぶりの長距離砲撃」
≪Load cartridge.≫
カートリッジがロードされる。
吸血鬼化している魔力にカートリッジの魔力も上乗せされる。
「まさか、撃つのか?」
慌てるヴィータ。
「あんな遠くから」
≪Divine buster. Extension.≫
「デバイン〜」
巨大な魔力の塊が形成される。
「バスターッ!!」
ヴィータ目がけ発射された。
なのはの砲撃はヴィータに直撃する。
レイジングハートから魔力のカスが排気される。
≪ It's a direct hit.≫
「ちょっとヤリすぎた?」
≪Don't worry.≫
「あっ」
ヴィータは、仮面の男に庇われていた。
「あんたは?」
「行け! 『闇の書』を完成させるのだ」
ヴィータは、転送しようとしている。
「デバイン……」
なのはは次弾のチャージに入る。
仮面の男は、カードのようなものをなのはに投げる。
≪Master.≫
レイジングハートが警告を発する。
次の瞬間、なのははバインドに囚われてしまう。
「バインド……そんな、あんな距離から一瞬で」
その間にヴィータの姿は消えてしまった。
「うんっ」
なのはは吸血鬼の力も使ってバインドを引きちぎった。
≪Sorry,
master.≫
「わたしの油断だよ」
海鳴では吸血鬼事件の捜査が行われていた。
「(すずか? こっちはとりあえず片づけたわよ)」
『(無茶したらダメだよアリサちゃん)』
「(わかっているわよ)」
念話で交信したアリサ。
「さてと次を狩りに行きますか」
アリサは不意を突かれた。
いきなり仮面の男が現れてアリサの胸を貫いた。
アリサの胸からは腕が生えている。
「『闇の書』奪え!」
アリサのリンカーコアは奪われた。
リンカーコアを奪うと仮面の男はいずこかへ消えた。
ソニックフォーム、やるしかないかな?
謎の手がフィトとアリシアの胸を背後から貫いた。
仮面の男だ。
「テスタロッサ……」
仮面の男はフェイトとアリシアの意識を失わせた。
仮面の男たちの手にはそれぞれリンカーコアが握られていた。
「貴様!」
「さぁ、奪え」
次回予告
なのは「奪われてしまったフェイトちゃんとアリシアちゃんのリンカーコア」
フェイト「戻ってきたアースラ……だけど事件の謎はさらに深まって」
なのは「ユーノくんの調査でわかった『闇の書』の過去とは?」
すずか「そして吸血鬼事件の行方は?」
フェイト「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第40話『悲しい決意、勇気のせんたくなの』に」
なのは、フェイト、すずか「ドライブ・イグニッション」
アリサも奪われているけれど。
美姫 「これはなのはの所に現れた仮面の男の仕業なのかしら」
アリサって一応、民間人だよな。後々、問題になったりしないかな。
美姫 「どうなるかしらね」
次回を待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」