第40話「悲しい決意、勇気の選択なの」






 
 フェイトとアリシア、アリサはベットで眠っていた。
「フェイトさん、アリシアさん、アリサさんはリカーコアに酷いダメージを受けているけど命に別状はないそうよ」
「私の時と同じように『闇の書』に吸収されちゃったんですね」
「アースラが稼働中でよかった。なのはの時以上に救援が早かったから」
「「だね」」
「三人が出動してしばらくして駐屯所の官制システムがクラッキングでダウンしちゃってね。それで指揮や連絡が取れなくて…… ゴメンね。私の責任だ」
 重い空気が漂う。
「んなことはないよ。エイミィが直ぐにシステムを復旧させたからアースラに連絡が取れたんだし……仮面の男の映像もちゃんと残せた」
「でも、可笑しいわね。向こうで使っている機材は管理局と同じものなのに、それを外部からクラッキングできる物なのかしら?」
「そうなんですよ。防壁も警報も全部素通りでいきなりシステムをダウンさせるなんて……」
「ちょっとありえないですね」
「ユニットの組み換えはしているけど……もっと強力なブロックを考えなきゃ」
「それだけ凄い技術者が居るってことですか?」
 なのはが聞く。
「若しかしたら組織だってやってるのかもね」
「キミのほうから聞いた話も状況や関係もよくわからないね」
「あぁ。私が駆けつけた時には、もう仮面の男は居なかった。けど、アイツが……シグナムがフェイトとアリシアを抱きかかえていて……言い訳は出来ないが、すまないと伝えてくれって」
「アレックス! アースラの航行に問題はないわね?」
「在りません」
「予定より少し早いですが、これより司令部をアースラに戻します。各員は所定の位置へ」
「「「はいっ」」」
「と、なのはさんは、おうちに帰らないとね」
「あっはい。でも……」
「フェイトさんとアリシアさんとアリサさんのことなら大丈夫。私たちでちゃんと見ているから」
「……………………はい……」



「助けてもらったってことでいいのよね」
「少なくても奴が『闇の書』の完成を望んでいるのは確かだ」
「完成した『闇の書』を利用しようとしているのかもしれんな」
「ありえねぇ!! 完成した『闇の書』を奪ったって、マスター以外使えないじゃん」
「完成した時点で主は絶対的な力を得る。脅迫や洗脳に効果があるわけないしな……」
「まぁ、家の周りには厳重なセキリティを張っているし……万が一にもはやてちゃんに危害を及ぶことはないと思うけど……」
「念のためだ、シャマルは主の側を離れないほうがいい。前回のこともある」
 ザフィーラは、はやてが吸血鬼に襲われたときのことを言う。
「うん」
「ねぇ。『闇の書』を完成させてさ、はやてが本当のマスターになってさ、それではやてが幸せになれるんだよな」
「なんでだ!?」
「『闇の書』の主は大いなる力を得る。守護者である私たちがそれを誰より知っているでしょう?」
「そうなんだよな……そうなんだけどさ、私はなんか……なんか大事なことを忘れている気がする」


「ぅ……ぅうん」
 はやてが目を覚ます。
 はやては、目を擦って起き上がる。
 リモコンで電動カーテンを開ける。
 カーテンを開けると朝日が差し込んでくる。
 車椅子に乗ろうとするはやてに異変が起こる。
 胸を押さえて苦しみ倒れる。

 シグナム達も異変に気づく。

「はやてぇ!!」
「はやてちゃん!?」

「はやて!? はやてぇ!」
 ヴィータがはやてを揺する。
「病院……救急車!!」
「あぁ」
「動かすな! そっとしておけ!!」
「……うん……」


 そのころフェイトとアリシア、アリサが目を覚ました。
「フェイトさん、アリシアさん、目覚めた!?」
 リンディが二人に聞く。
「リンディ提督……」
 フェイトは起き上がろうとする。
 それをリンディが支える。
「?」
 寝ているアルフに気づく。
「アルフ……」
「アルフも夕べから貴女の側についていたから」
「あれ? 私、ここ……」
「ここはアースラの艦内。貴女とアリシアさんは、砂漠での戦闘中に背後から襲われて気を失っていたの」
「……………………」
「リンカーコアを吸収されているけど、直ぐに直るそうよ。心配ないわ」
「私とアリシア、やられちゃったんですね」
「管理局のサーチャでも確認できなかった不意打ちよ。仕方ないわ」
 仕方ないって言うリンディ。
「あの。アリサも襲われたって本当なんですか?」
「えぇ。吸血鬼との戦闘中に貴女達と同じように背後からね……」
「すずかは?」
「すずかさんは、吸血鬼の城って言うのを幾つか落としたそうよ」
 すずかは、吸血鬼の城を幾つか落としたようだ。
「吸血鬼事件の方も進展は無いのですか?」
「残念ながらね……。さつきさんたちもがんばってくれているんですけど。彼女たちも学業があるから」
 さつきたちも倒しているが、イタチゴッコが続いている。
 さつきたちが倒せば、その分血を吸っての繰り返しである。
 親である吸血鬼を倒さない限り永遠に続くのだ。
「それで、吸血鬼は?」
「後数日で退治できるそうよ。でも、タタリとか言う方は、なかなか尻尾が掴めないって言ってたわ。タタリは、今度の満月に決着を付けるって」
「私たちも加われるかな?」
 吸血鬼との戦闘に加わりたいようだ。



 リンディがフェイトの手を握る。
「……………………」
「ごめん。嫌だった?」
「い、嫌とかではなく、その……」
「少しうなされていたみたいだから……でもよかったわ貴女達が無事で」
「すみません。ありがとうございます」
「学校には、家の用事でお休みって連絡してあるから……もう少し休んでいると良いわ」
「はい」
「お腹減っているでしょう? 何か軽い食事と飲み物を持ってくるわ。何がいい?」
「あっ、いえ。そんなぁ」
「良いから……」
「えっと……お任せします」
「うん」




「もう大丈夫みたいね。よかったわ」
「はい。ありがとうございます」
「はぁ。ほっとしました」
「せやから、ちょい眩暈がして胸と手が攣っただけやと言っただけやん。皆して大事にするんやから……」
「でも、頭打ってましたし……」
「何かあっては大変ですから」
「はやて! よかったぁ」
 ヴィータの頭を撫でるはやて。
「まぁ来て貰ったついでにちょっと検査とかしたいから、もう少しユックリして行ってね」
「はぁい」
「さて、シグナムさん、シャマルさん。ちょっと……」
「はい」
「ん?」


「今回の検査では何の反応も出ていないですが、発作だけということは無いと思います」
「かなりの痛がりようでしたから」
「麻痺が広がり始めているのかもしれません。今まで、こう言う兆候は無かったのですよね」
「っと、思うんですが……。はやてちゃん、痛いのとか辛いのとか隠しちゃいますから」
「発作がまた起きないとも限りません。用心の為にも少し入院してもらった方が良いかもしれません。大丈夫でしょうか?」
 シグナムを見るシャマル。
「はい」


「入院?」
「えぇ。そうなんです」
「……………………」
「……………………」
「あっでも、検査とか念のためとかですから。心配ないですよ? ね?」
「はい」
「それは、えぇねんけど……私が入院しとったら皆のごはんは誰が作るんや?」
「そ、それは、まぁ、何とかしますから」
「そうですよ。大丈夫です。たぶん……」
「毎日会いにくるよ。だから、大丈夫……」
「ヴィータはえぇ子やな」
 ヴィータの頭を撫でるはやて。
「せやけど、毎日じゃなくてもえぇよ? やることないし、ヴィータ退屈やん」
「……うん……」

「ほんなら私は三食昼寝付の休暇をのんびり過ごすわ」
 何かを思い出すはやて。
「あかん! すずかちゃんがメールくれるかもしれんわ」
「あぁ。私が連絡しておきますよ」
 すずかに連絡しておくというシャマル。
「おねがい」
「では、戻って着替えと本を持ってきます。ご希望がありましたら……」
 希望を聞くシグナム。
「なんにしようかなぁ?」

 病院からでるシグナム、ヴィータ、シャマル。
「ヴィータ!?」


「うっ。くっ……」
 胸を押さえて苦しむはやて。


 ユーノは、相変わらず無限書庫で調べ物をしていた。
「(うん。ここまでで解ったことを報告しておく)」


『(まず『闇の書』ってのは本来の名前じゃない。古い資料によれば正式名称は『夜天の魔道書』……。本来の目的は、各地の偉大な魔導師の技術を蒐集して研究するために造られた主と共に旅をする魔道書……。破壊の力を振るうようになったのは、歴代の持ち主の誰かがプログラムを改変したからだと思う)』
 ユーノは説明する。


「(ロストロギアを使って無闇やたらに莫大な力を得ようとする輩が今も昔も居るってこと……)」


『(その改変のせいで、旅をする機能と破損したデータを自動修復する機能が暴走しているんだ)』
「転生と無限再生はそれが原因か?」
「古代魔法ならそれくらいありかもね」


「(一番酷いのは、持ち主に対する性質の変化……。一定期間、蒐集が無いと持ち主自身の魔力や資質を侵食し始めるし、完成したら持ち主の魔力を際限なく使わせる。無差別破壊のために……。だから、これまでの主は皆完成してすぐに……)」


「あぁ。停止や封印方法についての資料は?」
『(それは、今調べている。だけど、完成前の停止はたぶん難しい……)』
「なんで?」


「(『闇の書』が真の主と認識した人間じゃないとシステムへの管理者権限を使用できない。つまり、プログラムの停止や改変を出来ないんだ!)」
 主以外に操作は不能のようだ。
「(無理に外部から操作をしようとすれば、主を吸収して転生するシステムも入っている)」
「(そうなんだよね。だから『闇の書』の永久封印は不可能って言われている)」


「元は健全な資料本が、なっと言うかぁ……」
「……『闇の書』……『夜天の魔道書』も可哀想にね」
「調査は、以上か?」
『(現時点では……)』


「(まだ、いろいろ調べてみる。でも、流石は無限書庫……探せばちゃんと出て来るのが凄いよ)」
「(って言うか、私的にはキミがすごい! 捜索能力)」


「じゃあ、すまんが、もう少し頼む」


「(うん)」
『アリアも頼む』
「(あいよ。ロッテ、後で交代ね♪)」
『オッケ〜アリア♪ がんばってね』


「ユーノくん凄いねぇ」
 感心するエイミィ。
「あたしも正直驚いた」

 何かを考え込んでいるクロノ。
「エイミィ! 仮面の男の映像を……」
「はいなっ」
「何か考え事?」
「まぁね」
「この人の能力も凄いというか……」
 モニターに仮面の男の映像が映し出される。
「結構、ありえない気がするんだよね」
 エイミィは、キーボードを叩く。
「この3つの世界……最速で転移しても20分は掛かりそうな距離なんだけど……。なのはちゃんの新型バスターの直撃を防御、長距離バインドをあっさり決めて、それから僅か5分後には、吸血鬼事件に当たっていたアリサちゃんを急襲、その4分後には、フェイトちゃんとアリシアちゃんに気づかれずに後ろから忍び寄って一撃……」
「可也の使い手ってことになるねぇ」
「そうだな。僕でも無理だ」
 クロノでも無理らしい。
「ロッテはどうだ?」
「あぁ、無理、無理ぃ。私、長距離魔法苦手だし」
 ロッテは、長距離魔法が苦手らしい。
「アリアは魔法担当、ロッテはフィジカル担当でキッチリ分担しているものね」
「そうそう♪」
「昔は、それで酷い目に逢わされたもんだ」
「その分、強くなっただろう? 感謝しろ、っうの!!」
「ヒバリ、キミはどうだ?」
「私は出来ませんって……」
 ヒバリも出来ないようだ。
「ところで執務官!」
「なんだ!?」
「話が済んだのなら、自室で休まなくて宜しいのですか? まだ安静にしていなくていいのですか?」
「ぶはっ」
 血を吐いて倒れるクロノ。
「クロノくん?」
「エロスケ?」
 クロノは、再びベットの上に逆戻りになった。
 まだ、色々ダメージが残っていたようだ。



 なのはとフェイトとアリシアは一緒に登校する。
「体調、大丈夫?」
「うん。魔法が使えないのが一寸不安だけど、身体のほうはもうすっかり」
「こんな時に吸血鬼に襲われたら大変だね」
 吸血鬼として蘇ったアリシアとて例外ではない。
 魔力がない状態では、肉体強化も復元呪詛も働かない。
 現状では血を飲んで回復させるしかない。

「(当面、私とアリシア姉さんとなのはは、呼び出しがあるまでこっちで静かに暮らしてって)」
「(出動待ちみたいな感じかな?)」
「(うん。武装局員を増員して追跡調査のほうをメインにするみたい)」
「(そっかぁ。吸血鬼事件の方は?)」
「(吸血鬼の方は、さつきさんとすずかが引き続いて担当するって……)」
「(私、吸血鬼事件から外されたし……)」
「(しょうがないよ、アリシアちゃん。アリシアちゃんも奪われちゃったから)」


「入院? はやてちゃんが?」
「うん。昨日の夕方に連絡があったの……。そんなに具合は悪くないそうなんだけど……検査とか色々あって暫く掛かるって」
「そっか……。じゃあ、放課後に皆でお見舞いとか行く!?」
 お見舞いを提案するアリサ。
「いいの?」
「すずかの友達なんでしょ? 紹介してくれるって話だったしさ、お見舞いも賑やかなほうがいいんじゃない?」
「う〜ん、それはどうかと思うけど……」
「でも、いいと思うよ」
「「ね♪」」
「うん! ありがとう」


 シャマルは、弁当を作っている。
 鼻歌を歌いながら……。
 その時、携帯が鳴る。
「すずかちゃん……」
 すずかからのメールのようだ。


 シャマルさんへ
 こんにちは
 月村すずかです

 今日の放課後、友達と一緒に
 はやてちゃんの お見舞いに
 行きたいのですが、
 行っても大丈夫でしょうか?
 お返事いただけるとうれしいです。


「すずかちゃん……」
 シャマルは、添付ファイを開く。
「えっ!?」


『もし、お都合が悪いようでしたら、この写真をはやてちゃんに見せてあげてください』
 箸を落とすシャマル。




「なに? テスタロッサ達がどうしたって?」


「だから、テスタロッサちゃんとなのはちゃん……管理局魔導師の三人が、はやてちゃんに会いに来ちゃうの! すずかちゃんのお友達だから……。どうしよう……どうしよう」
『(落ち着けシャマル! 大丈夫だ)』


「(幸い主はやての魔法資質は『闇の書』の中だ!! 詳しく検査されない限りはバレはしない)」
『(それは、そうかもしれないけど……)』
「つまりは、私たちと鉢合わせることが無ければ良いだけだ!」


「顔を見られちゃったの失敗だったなぁ。出撃した時、変身魔法でも使っていればよかった」


「今更、悔いても仕方ない……。ご友人のお見舞いの時は、私たちが外そう」
『(うん)』


『(後は、主はやて……それから石田先生に我らのことを出さぬようにお願いを……)』
「はやてちゃん、変に思わないかしら?」
『(仕方あるまい。頼んだぞ)』



 病室の扉がノックされる。
「はぁい。どうぞ」
 はやてが、病室に招き入れる。
「「「「「こんにちわ」」」」」
 すずかは、花。
 なのはは、翠屋の箱を持っている。
「こんにちは。いらっしゃい」
「おじゃまします。はちゃてちゃん! 大丈夫!?」
「うん。平気や! あっ、皆、座って」
 はやてが座るよう促す。
「ありがとう……」
「腰掛、そこにあるから……」


 シャマルは、部屋の外で変装して中の様子を伺っている。
『(シャマルさん、そんなところで何をしているんですか?)』
「(え? すずかちゃん? こんな所で念話をしたら気付かれんじゃ……)」
『(大丈夫ですよ。なのはちゃん達に聞かれないよう別の術式で話していますから)』
 すずかが、シャマルに念話を送る。
『(はやてちゃんを襲った吸血鬼の居場所が分かったから今夜処刑してくるよ)』
「(はやてちゃんを襲った犯人の居場所が分かったんですか?)」
『(分からなかったら連絡しないよ)』
「(じゃあ、その吸血鬼を倒したら、はやてちゃんが再び襲わることはないんですね)」
『(はやてちゃんを襲った吸血鬼に関してはね)』
「(はやてちゃんを襲った以外の吸血鬼が?)」
『(シャマルさん、不安を抱かないで。その吸血鬼は不安を実現するから……)』

「シャマルさん? なにやっているんですか?」
 石田医師が声を掛ける。
「はっ。その……一寸気になりまして……」
「中に入ればいいじゃないですかって言うのは禁句なんですよね?」
「あの……えっと……」
 サングラスをずらしながら言う。



「変な言い方かもしれませんが、はやてちゃんの主治医としてシャマルさん達には感謝しているんです。皆さんと暮らすようになってから、はやてちゃん本当に嬉しそうですから……」
 シャマルはサングラスを膝の上に持っている。
「はやてちゃんの病気は、正直難しい病気ですが、私たちも全力で戦っています」
「はい」
「一番辛いのは、はやてちゃんです。でも、皆さんやお友達が支えてあげることで勇気や元気が出てくると思うんです。だから支えてあげてください。はやてちゃんが病気と闘えるように……」
 目を潤わすシャマル。
「はい」
 涙を流して泣く。


「早く良くなるといいね」



「お友達のお見舞いどうでした?」
「うん。皆えぇ子やったよ。楽しかった! また、時々来てくれるって」
「それはよかったですね」
「せやけど、もすぐクリスマスやなぁ。皆とのクリスマスは初めてやから、それまでに退院してパーッと楽しくできたえぇねんけど……」
「そうですね。できたらいいですね」
「うふふふっ」


 病院から戻ったシャマルは、カートリッジを造る。






『(『闇の書』がはやてちゃんを侵食する速度がだんだん早くなってきているみたいなの。すずかちゃんによる吸血鬼化で少し引き延ばすことが出来ているけど、このままでは持ってひと月……。若しかしたらもっと短いかも)』
 はやてに残された時間はほとんど無いようだ。


 ヴィータは、嵐の世界を飛んでいる。


 何かがおかしいんだ……。
 こんなはずじゃないって、私の記憶が訴えている。
 でも、今はこうするしかないんだよな。


 ヴィータは、グラーフアイゼンを振り上げる。
「はやてが笑わなくなったり、死んじゃったりしたらイヤだもんなぁ!!」
≪Ja.≫
 海から化け物が出てくる。
るよ、アイゼン!!」
≪Explosion.≫
 グラーフアイゼンがカートリッジをロードする。
「ギガントォ!! ブッつぶせぇ!!」




 グレアムは、モニターを見ている。
「……ふむ……」
「父さま?」
「あんまり考を詰めると体に毒ですよ」
「そうだよ」
「リーゼか……。どうだい!? 様子は?」
「まぁ、ぼちぼちですね」
「クロノ達も頑張っていますけど……『闇の書』が相手ですから、一筋縄では……」
「そうか……。すまんな、お前たちまで付き合わせてしまって……」
「何言ってのぉ、父さまぁ」
「私たちは、父さまの使い魔……。父さまの願いは、私たちの願い」
「うん。大丈夫だよ、父さま。デュランダルももう完成しているし」
「『闇の書』の封印、今度こそ絶対大丈夫ですよ」
「うふふふふっ」
 笑うリーぜ。




「今宵、この町は完全に余の土地になる。この地を拠点にこの国の吸血種を跪かせてくれる」
 この町の死徒、ケスラーがいう。
「しかし、少々事を急ぎすぎたか……。よりによってこの町の吸血種に見つかるとは……城の場所を変えるとするか」
 城の位置を変える決意をする。
「死者どもよ起きろ! 居城を変える。新たな居城は、ここだ!」
 地図にナイフを突き立てる。
 その場所は、あろうことか月村邸だった。

 次回予告

 すずか「海鳴の地を恐怖に陥れている吸血鬼……」
 すずか「その吸血鬼が新たな居城に選んだのは私の家」
 ケルヴェロス「ワイらがおるの知らんとは運のない奴やな」
 すずか「わたしの命令に従わなかったら、おやつはお預けよ」
 すずか「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第41話『すずかの長い夜なの』に」
 すずか「ドライブ・イグニッション!」


今回は原作に近い流れだな。
美姫 「倒れたはやてに、リンカーコアを取られた後のフェイトたちね」
そして、吸血鬼が動き出すみたいだな。
美姫 「にしても、わざわざ選ぶ居城が」
運がないというか、わざわざ火の中に飛び込むか。
美姫 「さてさて、どうなるかしらね」



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る