第63話「決戦!? 血戦!? 恐怖のドッチボール大会」






「ヴァルハラで後悔するが良い!!」
「ヴァルハラなんて存在するわけないだろう……」
 バカにしたように笑う。
「本当に死にたいようですわね」
 カーテローゼから魔力が溢れ出る。
「殺るものなら殺ってみろよ」
「後で後悔しても知らぬぞ」
 そう言ってバカにした男子にボールを投げつけた。
 ボールは、バカにした男子に迫る。
「こんな玉、止めてやる!!」
 イキ込んだが……。

 ドボォッ!!

 無常にもボールは、男子のお腹に命中した。
 目を大きく見開いて口から昼に食べたものをまき散らした。
 男子はコート外まで吹き飛ばされた。
「おえぇぇぇ」
 男子は、腹を抱えもがき苦しみ出す。
「苦しいよ……。誰か……助けて……くれぇ」
 少しもがき苦しんだが急に動かなくなる。
「ごふっ」
 男子は血を吐いた。
「ヴァルハラの門は見えたかしら?」
 戦慄の瞬間を見た対戦相手はガタガタ震え出す。
 ボールを投げても恐怖で力のない球を投げ返してしまう。
 それは、すずかチームのチャンスである。
 逆に対戦相手にとっては避けようのない悪夢であるのだ。
 繊維を失った相手は、すずかチームの敵ではなかった。
 当然、試合はすずかチームの勝利に終わった。
 後に、口々に語る。
 ヴァルハラの門を潜りかけたと……。
「これに懲りたらヴァルハラのことをバカにしないことでしてよ」
 6年E組は、カーテローゼの前に敗れ去った。
 最大の敗因は、カーテローゼに禁句を言ったためである。
 それも1度ならず何度も……。
 自ら掘った墓穴によって自滅したのである。


 戦慄の空気が無くならないうちに次の決勝トーナメント第三試合に移った。
 第三試合は、5年生同士の戦いだ。
 体力に差がないため、白熱した試合になる。
 拮抗した戦力は試合を盛り上げる。
 一方で、試合時間も長くなる。
 すずか達の試合時間が極端に短かった為、ほぼ予定通りの時間進行だ。
「それっ!!」
 男子がボールを投げる。
「そんなヘナチョコ球、よけるまでもないぜ」
 対戦相手の男子がボールをキャッチする。
「投げ方の手本を見せてやろう……」
 手本を見せると言う。
「ボールはこう言うふうに投げるんだよ」
 その男子は、ヘナチョコ球を投げた男子に投げ返した。
 投げ返されたボールは、ヘナチョコ男子の顔面にヒットした。


「今の球、どう思う?」
「大したことないよね」
「うん」
「大したことないわ」
 彼女たちの目には、止まって見えるのだ。
 恐るべし吸血鬼の動体視力。



 試合は……。
「タイムアップ!!」
 コートには同じ人数が残っている。
 時間内に決着がつかなかったようだ。
「ただいまより延長戦を行います」
 決着が付かなかった為、延長戦が始まる。
 5分ハーフの延長戦だ。
 延長戦は、白熱する。
 どっちが勝ってもすずかチームと当たる確立が高くなることに変わりはない。
 熱が入り、罵り合いながらの投げあいだ。
 遂には汚い言葉で言い合う。
 試合は、舌戦になってしまうのか?
 何時までも舌戦は続かなかった。
 制限時間までに決着をつけなければならないのだ。
「この試合、俺たち5年A組がもらう」
 その宣言通り試合は5年A組の勝利で終わった。
 準決勝の残る椅子はあと一つ……。
 6年F組と4年C組のどちらかである。

 準々決勝、第4試合が始まる。
 この試合も盛り上がる。
 グラウンドコンディションの悪さはどっちも変わらない。




「この次の試合は、なのはちゃん達の決勝を賭けた戦いだね」
「吸血鬼であるフェイトたちを撃墜出来る奴なんていないさ」
「それもそうだね。すずかちゃん達に勝てる人間がいるわけないよね」
 すずかたちに勝てる人間はいない。
 いるとすれば、某カレー星人ぐらいだ。
 勝てなくてもいい勝負はするだろう。
「フェイトたちが本気で投げたら死人が出るからな」
「死人が出たら、流石に隠蔽はできないからね」
「まぁ、優勝は決まったもんやろう」
「おっ。ケロちゃんも見物!?」
「わいはカエルやない!!」
 いつの間にかケルヴェロスまで見物に来ていた。
「あんさん、仕事はえぇのか?」
「いいの。いいの。エロ助に押し付けて来たから……」
 相変わらずエロ助と呼ばれるクロノ。


 そして当のクロノは……。
「ハクション!!」
「クロノくん、風邪?」
「いえ、風邪じゃありません」
「その割にクシャミの回数が多いわよ。今日は、帰って休んだほうがいわよ」
「しかし……レティ提督」
「これは、命令です。帰って休みなさい」
「はい」
 命令と言われたら逆らうことは出来ない。
 相手は提督なのだから……。




 そして試合は、4年C組が勝利を収めていた。
 準決勝に勝ち残ったチームは……。
 6年A組、すずかチーム、5年A組、4年C組だ。
「いよいよ決勝進出を賭けた試合が始まります」
 放送部の生徒が実況をする。
「準決勝第一試合は、6年A組と悪魔じみた強さで勝ち上がってきすずかチームの対戦です」
「6年A組には疲労感が漂っていますね。それに対してすずかチームは……」
 疲労の色が見えない。
「この試合も圧倒的は破壊力を見せつけるのか? またまた最上級生の意地を見せるか6年A組!!」
「注目の試合が今開始されます」


「今度は、俺たち6年A組が勝つ!!」
 6年A組の意気込みは違うようだ。
「ガハハハハハッ」
 場を壊すような笑い声。
「絶対に勝つ。ガハハハハハッ」
 空気を壊す。
「お前は黙っていろ!!」
 どこからか出したハリセンで叩く。
「殺るか佐藤!? どこからでもかかってきやがれ」
 内輪もめを始める。
「べふっ」
「ぶへっ」
 ピッピー!
「ダブルヒット!! 2名外野へ」
 内輪もめしている間に二人ともアウトになってしまった。
 試合そっちのけだったのだから当然である。
 何もできないままに6年A組のエース二人が撃墜されたのである。
 エース2名を失った6年A組の勝率は低下した。
 元々低い勝利が更に低くなっただけである。
「おぉっと、6年A組エース2名がイキナリ撃墜された」
「6年A組、エース2枚を失った代償は?」
 エース2枚を失ったがまだスーパーエースが残っている。
 そのスーパーエースもすずか達からしてみれば大したことはない。
 すずか達は、吸血鬼なのだから……。
 真祖とそれに連なる吸血鬼である。
 彼女たちから見れば雑魚になる。
 逆に彼らからはエースだらけに見えるのだ。
 一チームにエースが何人もいることになる。
 エースだらけのチームに勝てるはずがない。
 極めつけは学校最凶の運動能力を誇るすずかが居る時点で試合は終わっているのだ。
 すずかの場合、学校最凶ではなく日本最凶どころか世界最強の運動神経を持っている小学生である。
 次元世界に出ても最凶の座は揺るがないだろう。
 次元世界の場合、魔法戦がある。
 定められたルールの中で戦うインターミドルが……。

 詳しくは、Vividを参照してくれたまえ。


「終わった……俺たちの戦いが……」
 絶望に恐怖する。
 その理由は至極簡単だ。
 すずかにボールが渡ったからだ。
「こうなったら盛大に負けてやる!! 全力で投げて来い!!」
「全力で投げても良いけど、死ぬよ」
 ズーンと死と書かれた岩が落ちてくる。
「お、俺は死を恐れないぞ……」
 だが、言っていることとは逆に震えている。
 死が怖いようだ。
「そんなに震えていたら避けられないよね」
 すずかの左腕に魔力が集まる。
「恐怖を味わう間もなく意識を奪ってあ・げ・る♪」
 すずかの妖艶なセリフは効果覿面だ。
 すずかは、軽くボールを投げる。
 それだけで炎の魔球と化した。
 燃えるボールを止める術はない。

 ドカッ!!

 男子は、何も出来ずに炎の魔球によって場外へ吹っ飛ばされた。
 炎の魔球に吹き飛ばされただけならよかった。
 炎の魔球は男子の腹部にめり込んで背中にボールの形が見えていたのだ。
 口から血を吐きながら……。
 また一人、すずかによって大ダメージを受けた。
 コートに立つことが出来ないほどのダメージを受けて……。
 それは、この試合と次の試合に出れないことを意味していた。
「月村すずか、炎の魔球を投げた!!」
「おっと、炎の魔球を受けた高杉くん、ピクリとも動きません」
 それも其のはず、彼は白目を剥いて気絶していたのだ。
 ボールがお腹にめり込んだ瞬間に意識をそぎ落とされていたのである。
 意識を失ったままピクリとも動かない。
 悪夢にうなされている様だ。
「救護班によって高杉くんが運ばれていきます」
「どうやら、高杉くん、リタイヤのようです。代わりに控えの選手が外野に入ります」
 控えの選手が外野に入ることになったようだ。
「月村すずかによって戦線離脱になった選手はこれで何人目でしょう!?」
 この日、すずかによって多くのリタイア者が出ていた。
 当然、高杉も順位決定戦に出ることは出来ない。
 ドクターストップで順位決定戦にも出れない選手が大勢いる。
 それだけすずかの投げるボールは凶悪だった。
 血が流れている時点で決戦ではなく血戦だ。
 すずか達は、血にまつわる事が多い。
 それは、魔法においても然りだ。
 普通の人間が吸血鬼と体育をしようというのが間違いである。
 相手を殺さないよう力を押さるのも大変である。
 同年代の子の全力が吸血鬼の0.00001%の力と同じなのだ
 最初から勝負にはならない。
 彼らが対抗出るとすれば学力だけだ。
 今は、ドッチボール大会中なので話を元に戻そう。


「準決勝第二試合は、5年A組と4年C組の試合です」
「この試合で、決勝ですずかチームの対戦相手が決まります」
「決勝に勝ち上がるのは5年A組か? それとも4年C組か?」
 準決勝第二試合が始まる。
 グランドコンディションは更に悪化している。
 それでも試合は行われる。
 行わなければならない。
 足場が悪いため、よろけたところを狙われアウトになる。
 お互いが同じ戦術を使う。
 同じ戦術を使うため試合は膠着する。
 試合時間も長い。
 結局試合は、5年A組が勝利を収めた。
「この試合で勝利を収めた5年A組には最凶のチームとの決勝が待ち構えています」
「その前に、順位決定戦を行うようです。満身創痍の6年A組と4年C組の対戦です」
 戦う前から勝敗は明らかだ。
 ボロボロの6年A組に勝目はない。
 本来なら勝てるのかもしれない。
 だが、すずかチームから受けたダメージは想像以上に大きかった。
 普通の試合なら少しは体力が回復する。
 彼らが受けたダメージは肉体に深く刻みこまれ、精神的にもダメージを負っている。
 体力を回復させるには短すぎる時間しかなかったのだ。
 当然、ダメージはないが連戦となる4年C組も同じである。
 違うのは、メンバーに余裕がある点でだ。
 4年C組の控え選手が無傷なのに大して6年A組は控え選手もボロボロだった。
 最初からまともな試合にはならない。
「試合は、4年C組が優位です。勝ったほうが3位です」
「6年A組、全くキレがありません。また一人アウトになった!!」
 4年C組によって6年A組は次々アウトになっていく。
 もはや勝負にならない。
 あっという間に6年A組は全滅した。
 何もできずに……。


「さぁ、残す試合は後1試合です」
「本年度のドッチボール大会の優勝はどっちの上に輝くのでしょうか?」
「最凶の強さで驀進したすずかチームか? はたまた、順調に勝ちすすできた5年A組か?」
 残る試合は決勝のみだ。
「この試合で優勝すれば、すずかチーム本年度のスポーツ大会完全優勝です」
 すずか達のクラスはスポーツ大会完全優勝がかかっている。
 全てのスポーツ大会は、すずか一人によって優勝していた。
「ドッチボール大会の決勝戦の開始です。」
 ボールの支配権を得るジャンプは、フェイトと日向だ。
 プレイ開始直後ボールの支配権を得たのはすずか達だった。
 ハイジャンプでボールを得た。
 ジャンプ力も普通の人とは違う。
 軽くジャンプしても2メートルも飛べるのだ。
 本気で飛べば10メートルは軽い。
 ボールがすずかに渡ったことで5年A組の地獄が始まる。
 相手が受身を取る前にボールを投げた。
 開始早々にすずかによって一人が場外に飛ばされアウトになる。
「5年A組、開始早々に一人アウトだ!!」
「恐るべし最凶のスーパーエース」
 アウトになった選手が起き上がり外野につく。
 プレイ続行は可能なようだ。
 すずかチームのボールで再開される。
 外野から内野へボールをパスする。
 誰もが思った。
 すずかへボールが渡ったと……。
 渡ったのは……。
「おっきいの逝きます」
 なんとなのはだった。
 予想外の人物にボールが渡ったことで動きが鈍る。
 なのはを野球選手のように足を大きく上げ勢いをつけて投げた。
 そう。
 なのはは左利きである。
 サウスポーだ。
 なのはの投げたボールは、5年A組のど真ん中で炸裂した。
 着弾点を中心に選手が中に舞う。
 地面に命中した反動で飛ばされたようだ。
「なのは選手の投げたボールで5年A組の選手が爆発したように吹っ飛んだ!!」
「ここで確認が入るようです」
 派手に吹っ飛んだためセーフ、アウトの確認が入る。
 本当に当たったのか確認をしなければプレイは再開できない。
「すごいショットでした」
「確認作業が終わったようです」
 確認作業が終わったようだ。

「5年A組、5名外野へ……」
 なのはのショットで5人がアウトになった。
 入れ違いに外野の5名が内野に入る。
 無傷なのは後25名である。
 5年A組のボールで試合が再開される。
「月村すずかを狙ってもキャッチされる……。狙うは……」
 すずかチームの普通の選手を標的に選んだ。
 その作戦は、読まれていた。
 あっさりとすずかにキャッチされてしまう。
「総員、絶対回避!!」
 だが人数が固まっているため回避出来るはずもない。
「逝くよ」
 すずかは、軽くボールを投げる。
 軽くキャッチボールをする感じで……。
 それだけでも一般人には驚異であることは変わらない。


 ドカッ!!

 誰かに当たったようだ。
 一人だけではない。
 何人かがコート外に吹き飛ばされる。
「10人アウト! 外野へ行ってください」
 外野からアウトになって居ない10人が内野へ入る。
 5年A組は、後15人アウトになったら負けである。
 5年A組には後15人しか残されていない。
 たった、3分で半数に減らされたのだ。

 そしてボールは、すずかチームの外野の手にある。
 外野から内野へパスする。
 すずかへのパスだと誰もが思う。
 実際にパスが渡ったのテスタロッサ姉妹だった。
 一人でも威力のあるボールを投げる二人が協力して投げる。
 協力して投げる分、威力が増す。
「そっくりそのままお繰り返して殺る」
 男子はバレボールのレシーブの格好をした。
 跳ね返されたボールは、普通の女子生徒にヒットする。
 彼は、殺れる相手からアウトにしていくつもりようだ。
 だが、彼の腕は痺れている。
「さぁ来い!! 俺が全員、殺ってやるから……」
 すずかチームを煽る。
「言ったわね!!」
 短気なアリサが挑発に乗ってしまう。
 挑発した男子に炎の球を投げる。
「かかった!!」
 再びレシーブの格好をする。
 反射ターゲットはアリサだ。
 反射されたボールは見事にアリサへヒットした。
「アリサ選手、アウト!! 外野へ移動居てください」
 5年A組の逆襲が始まった。
 投げる事に反射されすずかチームの人数が減っていく。

「おっと、5年A組の沖田くん、バレーボールのレシーブでダイレクに反射!!」
「気づいたら5年A組逆転!! 10人と6人でリード!!」
 だが、まだスーパーエースのすずかが健在である。
「圧倒的な強さを見せていたすずかチームがリードを許しています。残り時間、あと3分!!」
 残り時間は3分だ。
 だが、3分もあれば逆転は可能である。

「楽しい試合だったぜ、海鳴最凶の悪魔……」
「じゃあ、最凶のショット、受け止めてみて」
 すずかが言う。
 ボールを握る力を強くする。
 凶悪なすずかの握力でボールが変形する。
 破裂するんじゃないかというぐらいボールの形が変わっている。
「貴様を撃墜して俺たちが優勝を頂く!!」
「貴方たちの望み、打ち砕いてあ・げ・る」
 すずかから殺気が溢れ出る。
 魔力での肉体強化もプラスされる。
 吸血鬼というだけでも危険なのに魔力での強化もされ破壊力も大幅に上がる。
「さぁ来い!!」
「両チームのスーパーエース同士の直接対決だぁ」
 すずかが5年A組のスーパーエースを撃墜すれば、すずかたちの勝ちだ。

 すずかは、破壊力最大のボールを投げた。
「貴様に跳ね返して……」
 彼は、跳ね返せなかった。
 逆に彼の両腕の骨が折れる音が聞こえたの当時に重く鈍い音がした。
 すずかの魔球は腕の骨をへし折った勢いのまま沖田の腹部にめり込んだ。
 腹部を突き破らん威力だ。
 沖田は胃液を吐きながら吹き飛ばされる。
 その胃液に赤いものが混じっている。
 血である。
 彼は内臓破裂を起こしたのだ。
 内臓破裂と骨折……。
 この時点で彼の試合からの退場が確定した。

「あぁっと、5年A組のスーパーエースの沖田君、大丈夫か?」
「すずか選手の凶悪なショットを受けた沖田君、プレイ続行可能なのでしょうか?」
 地面に横たわったまま動かない沖田。
 骨折による激痛と腹部に受けたダメージで意識を失っているようだ。
「どうやら、沖田君プレイ続行不能のようです」
「骨折では仕方ありませんね」
 彼は、骨折なんてレベルで済むケガではない。
 内臓にダメージを追っている。

 内野に残っている選手も外野のフェイト、アリシアによってアウトになっていく。
 最後に残った人は、超高速パスで動きを狭めて追い詰める。
 そしてフェイトのスマッシャーで勝負が決まった。
「フェイト選手のショットが決まったぁ」
「すずかチーム、スポーツ大会完全制覇達成!!」
 すずかのクラスのスポーツ大会完全優勝がここに決まった。
 すずかチームの対戦相手に大勢の負傷者を出して……。
 負傷者の大半が中度以上のケガである。
 すずかチームと対戦したチームでけが人にが居ないチームはなかった。
 重傷者が必ず1人はいた。
 なかには半数以上が骨折などの重傷を負ったクラスが存在する。
「えぇ。負傷者の治療が続いておりますが閉会式と表彰式を行います」
 グラウンドでは閉会式が執り行われる。
「優勝チームの代表者、前に出てきてください」
「ほら、なのは行ってきなさい!!」
 なのはの背中を押すアリサ。
 背中を押されたなのはが前に出る。

 なのはが優勝旗と賞状を受け取る。
 優勝旗と賞状を受け取ったなのはが戻ってくる。
 続いて準優勝旗が5年A組に授与される。
 痛々そうに受け取っている。
「次にMVPの発表の前に優秀選手賞の発表です」
 MVPの発表の前に優秀選手賞の発表だ!
「優秀選手賞の発表です。呼ばれた方は前に出てください」
 優秀選手が発表される。
「高町なのはさん、アリサ・バニングスさん、フェイト・テスタロッサさん、アリシア・テスタロッサさん、カーテローゼ・フォン・ローエングラム・月村さん、5年A組沖田くん」
 優秀選手が発表された。
「尚、沖田君、閉会式に出席できないため、代理の方前に出てきてください」
 5年A組からは代理が賞状を受け取りに出る。
 表彰式も最優秀選手賞の発表を残すだけだ。
 この時点で誰がMVPか皆確信した。
 まだ名前を呼ばれていない人の名を……。
「本年度ドッジボール大会の最優秀選手は……」
 沈黙の間が空く。
「月村すずかさんです」
 MVPは、すずかだった。
 皆、ヤハリという顔だ。
 アレだけ活躍すれば当然である。
 その一方で痛い思いや苦しい思いをした人が何人も居る。
 ともあれ、すずかのMVPはかわらない。
 大勢の怪我人を出したドッジボール大会は幕を閉じた。


 次回予告

 なのは「ドッジボール大会も終わり時空管理局の訓練校へ入ることになった私達……」
 フェイト「短期講習プログラム?」
 アリシア「楽しみだね」
 アリサ「楽しい分けないじゃない」
 アリサ「すずかと戦わされたどうするの?」
 すずか「アリサちゃん、戦う?」
 なのは「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第64話『訓練校生活スタートなの』」
 すずか「称えよ紅き月よ」



予想通りすずかたちの優勝だな。
美姫 「うんうん、皆、元気いっぱいで良いわね」
いやいや、怪我人出てるから。
美姫 「まあ、後ちょっとパワーをセーブするべきだったかもね」
ちょっとというレベルなのか。
美姫 「ともあれ、次回は訓練校みたいだけれど」
そっちもそっちで何かが起こりそうな気が。
美姫 「それではこの辺で」



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