第71話「これから 中編」






「うはぁ。肉肉!!」
 肉に目がないアルフ。
「アルフ! そんなに取るな!! 俺たちにも少しは……」
「五月蝿い!! お前ら、人間なんだから野菜を食え!! 私は狼だから肉を喰う」
 アルフは、肉を頬張る。
「肉を前にして野生化か?」
「アルフ!?」
 仁王立ちしたリニスが黒いオーラを放って立っている。
「アルフダメだよ」
「フェイトぉ」
「フェイトちゃん、アリシアちゃん」
「ごめんね。アレックス、ランディ。」
「アルフ!? みんなでちゃんと分けなきゃ」
 アルフは、ごまかし笑いをする。
「いやだなぁ。冗談だってば」
「アレは、野生の目だった……」
「噛むぞ!?」
「脅さないの」
「アルフは、もう十分肉を食べたからもういりませんね」
「リ、リニス。私が悪かったから許して」
「いいえダメです。今日は、肉を食べることを禁止します」
 リニスに肉食禁止令を出されてしまうアルフ。
 肉を独り占めした罰があたったようだ。

「なんだろう?」
「カラオケやっているみたいだね」
「フェイトちゃん、アリシアちゃん、歌ってくれば?」
「「えっ!?」」
 フェイトとアリシアに歌を進める。
「いいじゃん。フェイト!! リニス直伝の歌……」
「私が採点してあげます」
 リニスが直接採点するようだ。
「恥ずかしいよ」
「フェイトちゃんも結構うまいって聞いたけどなぁ」
「そうそう」
「え。えっと……」
 人前で歌うのが恥ずかしいフェイト。
「だったら私が一緒に歌ってあげるよ」
「アリシア、それではフェイトの為になりません」
 リニスは、フェイトを一人で歌わせるようだ。
「何が恥ずかしいの?」
「子供を虐めているのは、アレックスとランディか?」
「「シグナム!」」
「シャマルさん」
「嫌だなぁシグナムさん……滅相もない」
「一寸、歌を進めただけですよ」
「そうだぞぉ」
「歌?」
「あぁ。あの音楽端末と拡声機が一体化したデバイスか」
「いい加減、こっちの用語を覚えて! あれ、カラオケって言うのよ」
「そ、それです」
「歌か……」
 フェイトは、恥ずかしそうだ。
「シグナム、なんで私をじっと見るの?」
「いいじゃないか。聞かせてくれテスタロッサ」
「ふぇぇ」
「フェイト!!」
 フェイトの背中を押すアリシア。
「えぇと……なのはちゃんにユーノ君もいた」
 最良のメンバーを見つけたシャマル。
「なのはちゃん♪ ユーノくん!! フェイトちゃんの歌、聞きたい?」

「聞きたいでぇす♪」
「僕も……」
「だそうだ……」
「次、フェイトが歌うって」
 フェイトの逃げ場はなくなった。

「「はぁい」」

「逝ってらっしゃい」
「みんな下手でも笑わないでね」
「楽しみに聞かせてもらおう」


 * フェイトの歌は、魔法少女リリカルなのはA's サウンドステージ03 第14話で聞いてください。


 フェイトの歌が終わると拍手がおこる。
「フェイトちゃぁん!!」
「どうも、ありがとうございました」


「はぁ。恥ずかしかった」
「まぁ、及第点はあげましょう……」
 リニスは、及第点を出した。
「テスタロッサ……」
「どうでしたか?」
「良い歌だった……。お前は歌が上手いんだなな」
「あっ、ありがとうございます……。シグナム」
「テスタロッサちゃんすごいわね。」
 テスタロッサは、二人いる。
 姉アリシアと妹フェイトだ。
「なんだか、ドキドキしちゃった」
「フェイトは、歌上手いだよ」
「良い歌を聞くのは好きだ!」
 シグナムはフェイトの歌を気に入ったようだ。
「良ければ此れから時々聞かせてくれるか? テスタロッサ」
「まぁ、ご希望でしたら……」
「それでいい」
「フェイトは、帰ったら歌のレッスンも加えましょう」
 リニスによって歌のレッスンも加えられた。
 頑張れフェイト。
「あぁ。ところで、そこのお肉、美味しそうね? 一寸貰っていい!?」
「あぁ、どうぞ」
「其処の狼に噛みつかれないように注意が必要ですが」
「ガルルルル!」
「気をつけまぁす♪」
「お前は、いい加減にその言葉遣いを止めろと言うのに……少しはアリシアを見習え!!」
「そんなことは言っても、年上の人には丁寧語と言うのはうちの家庭教師の教えなんですよ」
「私が、そうフェイトを教育しました」
「ふ〜ん」
「まぁ、あれです。模擬戦の勝率が5割を超えるようになったら、胸を張って対等に話せますかね? えへんっと……」
「なんだ、それじゃ一生無理だろう?」
「無理じゃないです。まだまだ、身長に魔力も伸びますしね。それに私達は吸血鬼ですから……」
「背が伸びたくらいで、そうそう強くなることも無かろうが、お前達は吸血鬼だからな」
「まぁ、見ててください」
「まぁ、私も立ち止まっては居ないがな……精々、走って追いついて来い!!」
「はい。なるべく早めに追い抜くつもりで」
「生意気な」
「私もフェイトには負けないからね」


「シグナムさん、ご機嫌ですね」
「わかります? シグナム、テスタロッサちゃん姉妹がお気に入りだから」
「フェイトとアリシアもなのはとは別の意味でシグナムのこと好きみたいだし」
「結構、名コンビかも……」


「それじゃあ、改めて乾杯!!」
「かんぱ〜い!!」
「うん。美味しい!! 之は、こっちのお酒?」
「うちの父が持ち込んだワインだそうです」
「ブドウって言う果物から作った果実酒なんですよ」
「そう。いい香りで素敵」
「すずかさんもアリサさんも管理局員になるのよね?」
「「はい」」
「すずかさん、服着替えたの?」
「アルクェイドさんとアルトルージュさんに……」
 すずかの服は黒のドレスだ。
 白か黒で姉妹喧嘩に巻き込まれた挙句、黒を着させられたのだ。
「ところで、すずかさん。そちらの人は?」
 アルクェイドとアルトルージュのことを聞く。
「アルクェイドさんとアルトルージュさんですか?」
「教えてくれる?」
 リンディとレティは、命令して聞くことが出来るのだ。
「今から言うことを誰にも言わないと約束してくれますか?」
 約束を求めるすずか。
 リンディとレティは、何か話し合う。
「分かったわ」
 約束が取れたことで話を再開する。
「アルクェイドさんとアルトルージュさんは、平行世界の地球の王族なんです」
「平行世界!?」
「平行世界と行き来できるというの?」
「すずかちゃんが持っている、そのカードも元は私達の世界の魔術師が作ったもの何だけど、クロウ・リードって魔術師の名前、 聞いたこと無い?」
「レティは聞いたことある?」
「リンディは?」
 リンディもレティも聞いたことが無いようだ。
「若しかしたらユーノ君なら知っているかも」
「ユーノ?」
「ほら、無限書庫の……」
「あぁ、彼……」
 その後、ユーノに聞いたら驚いていた。
 ユーノの耳にもクロウ・リードの伝聞は入っていたようだ。
 アルクェイドの世界には、化け物みたいなのがたくさん居ると……。
「さくらさんも管理局に入ってほしいなぁ」
 リンディは、最凶の魔力を持ったさくらのことを思い出した。
 話が弾み、飲む量も増える。
「本当に美味しいわね。これ。もう一本開けちゃっていいかしら?」
「「「えぇっ!!」」」
「も、もう一本飲んじゃったんですか?」
「まずかった?」
「と言うか、大丈夫ですか?」
「あぁ、平気よ二人とも。レティ、学生時代から底なしなの」
「こっちも次を頼む」
 アルトルージュ達もビンを開けてしまった。
「まだありますから、とって来ますね」
 ワインを取りに行くアリサとすずか。
「すずかちゃんだっけ!? 在学中にデバイスマイスターの資格取ったんだって」
「そうみたい。フェイトさんやアリシアさんもデバイスを弄ってもらったみたいよ」
「すずかちゃんとその守護騎士も欲しかったんだけど……」
「私もフェイトさんとアリシアさんを手に入れるだけで精一杯だし。本当は、なのはさんも欲しいんだけど」
 フェイトとアリシアは、例外的に認められるようだ。


「それにね、少し暮らしてて思ったの。この世界は、幼くて未成熟だけど綺麗だわ」
「うん。お酒の美味しい世界に悪い世界は無いわね」
「聞いてよ、まじめな話……」
 笑うレティ。
「事前に聞いているわよ。今年中に巡航艦の艦長を降りて、こっちの世界から本局に通うんでしょ」
「あら? お耳の早いこと!」
「やっぱりフェイトちゃんとアリシアちゃんの為?」
「まぁね。フェイトとアリシアも執務官目指すって言っていたけど、中学卒業までは、こっちの世界で暮らすほうが良いと思う し、少し遅くなっちゃったけど、なるべく一緒に居てあげたいのよ」
「クロノ君の時もそう言ってたよね。まぁ、クロノ君と時はあの子がグレアム提督の所に行っちゃてたから、一寸微妙だけど」
「まぁ、子供なんてそんなもんでしょ。親の思い通りなんてならないわ」
「確かにうちの子もそうだし……」
「「うふっふっふっふっ」」
「お待たせしました」
「赤、白、ロゼ、色々持ってきました」
「うわぁ、ありがとう……じゃなかった。ご苦労」
「私もちょっと頂いちゃおうかな?」
「どうぞ、どうぞ」
「それと、士郎さんとうちの父が合流したいそうですが良いですか?」
「あらぁ。本当?」
「あら、いやだ。大丈夫かしら? わたし、お色気で過ぎていない?」
「うちの母も後で合流すと思います」
「ありがとう。すずかさん。お話してみたいわ」
「いらしていただけるなら是非」
「此方から伺っても良いけど……」
「あぁ。一寸聞いてきますね」
「ごめんね。歩かせちゃって」
「大丈夫です」
「王よ、こんなところに居たのか?」
「シェーンコップ、警備は?」
「何も問題ない!! 鼠が居れば、オレが始末してやる」
「行こう。すずか」
「うん」


「今のがすずかさんの守護騎士?」
「そうなの」
「でも、すずかちゃんってミッドチルダ式でしょ?」
「レティ、『創世の書』って聞いたことある?」
「全ての魔導書の原典って言われているアレ!?」
「すずかさんは、『創世の書』のマスターなの」
「ミッドとベルカ、両方使える魔導師なんていないわ」
 ミッドとベルカ双方を使える魔導師は存在しない。
「彼らも局入りするの? 全員SSSランクなでしょ」
「そうなのよ」
 リンディとレティは、すずかのことで話し合う。


「じゃぁ、パパ。あんまりハシャギ過ぎないでね」
 釘を刺すアリサ。
「ふぅ。次はっと……」
「アリサちゃん! なのはちゃんとユーノ君が」
「あっ。本当だ」
 偵察を始めるすずかとアリサ。
 それに引っ付いてくるカーテローゼ。

「なんだか賑やかすぎて、どこに居ていいかわからないね」
「そう? 僕は、こう言う雰囲気、好きだな。スクライア一族のテントって、何時もこんな感じだから」
「そうなんだ。一度行ってみたいなぁ〜ユーノくんの故郷」
「あっ、うん。時間があったら案内できると思うけど」
「うん♪ 行ってみたい♪」
「うん。じゃあ、何時かきっと……」



「よし。はい。焼きそば5人前、完成です」
「あぁ、ありがとうクロノくん。ごめんね手伝ってもらっちゃって……」
「いえ。エイミィがフラフラ出歩くのがいけないんです」
「クロノくん、何をするのも手際がいいね。お姉さんは、びっくりだよ」
「士官学校では、サバイバルもやりましたから……」
「ふ〜ん。すごいねぇ」
 何かを思い出す美由紀。
「士官学校って言うと、なのはもそういうのやるのかな?」
「なのはは、武装隊の方ですから僕とはコースが少し違うと思いますがやると思いますよ」
「そうなのか……。なんか、いまだに想像できないんだよね。私の中ではなのはは、まだちちゃい子供だから」
「僕の中では、初めて出会った時から腕のイイ魔導師でしたから……。同じ人物を見ても見解は違うものですね」

 クロノは、決して言えないことがある。
 自分の失敗で血を吸われたりO・HA・NA・SHされたことがあると……。

「まぁ、ねぇ」

「あれれ? おねえちゃん!? クロノくん?、なんで焼きそば作っているの?」
「こんにちわ」
「見つかったか……」
「誰かがこの鉄板セットを持ち込んでてさ、材料もあるし、せっかくだからってエイミィが作り始めたんだけど」
「当のエイミィが注文だけ受け、ふらりと出かけてしまって、このざまだ……」
「にゃははは。美味しそうだね」
「美味しいよ? もう少し待っていたら食べられるよ」
「そう言えば、ユーノ! 今日は、フェレットモドキの姿じゃないんだ」
「1年が経って魔力適合が大分進んだんだよ。もう、この姿で居ても問題ないんだよ」
「ふ〜ん」
「えっ!? じゃあユーノ、もうフェレットには戻れないの?」
「あ、あのう……。えっと」
「去年は、急に居なくなっちゃって寂しかったんだよ!? あの撫で心地、忘れられなくて……」
「おねえちゃん、あんまり無茶言ったらダメだよ!? フェレットモードは、あくまで仮の姿なんだから」
「はぁい。でも、ユーノあの姿になったら私のところに来てね。是非撫でさせて」
「ま、前向きに善処します」

「よし。6人前終了!!」

「あっはっはっはっ。ごめんごめん。おまたせっ!!」
「エイミィ、おかえり」
「遅いっ!! 何をしてたんだ!!」
 怒るクロノ……。
「通信主任は、色々と挨拶も多いのだよ」
 エイミィは、あいさつ回りしていたようだ。
「じゃあ、美由紀さん、休憩してください」
「いいの?」
「ごめんね、美由紀ちゃん」
「じゃあ、皆の様子見たり、何か摘んだりしてくるね」
 摘まみ食いをしてくるようだ。
「直ぐに戻ってくるから」
「よし。クロノくん、材料も持ってきたから、久しぶりにアレをやるか?」
「アレ!? 例の焼きそばか」
「例の!?」
「なにか秘密が?」
「いやぁ。士官学校の自炊の時に良く作っていたメニューがあるのよ。結構、人気もあったから、こっちの人にも如何かな〜って 思って」
「うわぁ♪」
「完成したら呼ぶから、良かったら食べてみてくれ」
「うん♪」


「ねぇ、ユーノくん。気づいた?」
「ん?」
「クロノくん、なんだかどんどん優しい感じになっているの」
「あぁ。そう言えば、そうかな? 僕にも前ほど当たりが強くなくなっているかも」
 クロノのユーノに対する当たりは強かったようだ。
「去年の冬当たりからは……」
「話したっけ? クロノくん、昔はあまり笑わない子で、エイミィさんと出会ってからよく笑うようになったんだて」
「少し聞いたよ」
「今度は、フェイトちゃんとアリシアちゃんが妹になったからかな?」
「そうなのかな?」


「えぇ、スパイスを入れてっと」
 咳き込むクロノ。
「ごめんクロノくん。スパイス飛んだ!?」
「あぁ、違う。最近、少し喉の調子が……」
 再び咳き込む。
「そう言えば、そろそろ声変わりかな?」
「あぁ、そうか……」
「少し背も伸びたし、もう15歳だもんね。まぁ、早いとこ身長で私を追い抜いてくださいな」
「そうなる予定だよ」
「がんばって育ってね。立派に育ったら、私の旦那さん候補にしてあげるから」
「そんな重大事項、身内で済まそうとするな!! 足を使ってちゃんと探せ!!」
「クロノくん、可愛くない!!」
「昔からだし、これからもずっと可愛くなるつもりはないわけだが……」
「まぁ、そう言う所が可愛くもあるわけだが」
「不本意だ!!」
「フェイトちゃんとアリシアちゃんの寝込みを襲った獣さん」
 獣扱いのクロノ。
「さぁ、フィニッシュ! 火入れるよ!!」
 エイミィは、仕上げをするようだ。
「待て、まだ一寸早くないか?」
「えぇい!! 料理は苛烈さと勢い、逝くよ」
「逝くよの字が違わないか?」
「ファイヤー!!」
「うわぁ!!」
 クロノは、黒焦げになった。



「な、なのは」
「ヴィータちゃん」
「ユーノも一緒か?」
「うん」
「最近一寸会っていなかったけど、ヴィータちゃん、お仕事のほうちゃんと出来ている?」
「あんだよ!! しっけぇなぁ。ちゃんとやっているっつうの」
 ちゃんと仕事はやっているようだ。
「お前らとは配置が違うからな、一緒になることは少ないけど現場じゃ結構可愛がられている」
 ヴィータは、可愛がられているようだ。
「もとい、重宝されているんだぞ」
「可愛がられているんだ」
「あぁっ!! 人の言い間違いに一々ツッコムんじゃねぇ!!」
 笑うなのは。
「之から、一緒にお仕事する機会、きっとあると思うけど、その時は宜しくねヴィータちゃん」
「おう!! 足を引っ張らなければ、あたしがちゃんと守ってやるぞ! 騎士だからな、あたしは……」
「うん。頼もしい」
 なのはがヴィータを撫でる。
「許可なく撫でるな!! あたしを撫でていいのは、はやてとリイーンフォースと石田先生と他数名だけなんだぞ」
「にゃははは。ごめんごめん!! 今度からちゃんと許可を得るから」
「ださねぇよ!!」



「んっと……。気づけば孤独や! うちの子達は、其々、ばらけているみたいや」
 実際、アンゼロットとリイーンフォースは一緒にお茶を飲んでいた。
「はやてちゃん!!」
 石田医師がかけってくる。
「遅れてごめんね。遅くなっちゃった」
「あっ石田先生、いらっしゃい!!」
「あ〜っ、何だかすごい人数ね。それに凄くいい場所」
「うふっ。色々ご縁がありまして……。まぁ、先生、座って座って! ユックリして行ってください」
「あぁ、ごめんね。少し顔を出して差し入れを持ってくるだけのつもりだったから」
「そんな水臭い。飲み食べしていってくださいよ」
「そう?」
「あっ石田先生!!」
「ヴィータ!!」
「ヴィータちゃん」
「こんにちわ! 着てくれたの?」
「うん。シャマルさんに誘っていただいたから……」
「ヴィータ、石田先生、直ぐに帰るとか言っているけど、どないや?」
「えぇっ!! ゆっくりしていこうよ」
「う〜ん。まぁ、大丈夫かな?」
 喜ぶはやてとヴィータ
「(リイン、シグナム、シャマル、ザフィーラ、石田先生いらしたよ。程よいところで集合してな)」
 はやては、念話でリイン達を呼ぶ。
『(はい。マイスター)』
『(はい)』
『(了解しました)』
『(すぐに向いま〜す)』
「うちの子たちも直ぐに集まってくると思いますから……」
「そう」
「ヴィータ、石田先生に何か食べ物と飲み物を持ってきてあげて」
「うん!!」
「あぁ。そんなに気を使わないで」
「先生の好きそうなの持ってくるね。待ってて!!」
「あぁららっ」

「石田先生。なんや、今こうゆうことを言うのもなんですが、治療中は色々とお世話になりました」
「あっ、あぁ。何!? 急に……」
「わたしは、あまりえぇ患者じゃ無かったと思います」
「まぁねぇ。病気だけじゃ無く、本人の性格方面でちょっぴり手を焼かされる感じはあったかな?」
「はい」
「でも、神経内科を専門にするようになって長期の患者は、はやてちゃんが初めてだったから色々思い出深いわ」
「わたしも、身近な大人とゆうとおじさんと石田先生ぐらいでしたから……」
「うん。でも、本当に良かったわ」
「病気が治ってってるのがですか?」
「そのおかげではやてちゃんが治療に前向きになってくれたことが……」
「自分のからだ、病院じゃ良くならないだろうなって予感は正直有りました」
「うん」
「治る気なかったかもしれません。先生にしたら、随分厄介な患者やっただろうなぁっと……最近思うことしきりで……」
「厄介とかはないわよ。病気は体の症状以外にも心を傷つけるから……。私もそのへん含めてなんとかしてあげなきゃってあせって いたところもあるから、はやてちゃんにしてみたら、結構重荷だったのかぁ? とか……」
 石田は語り続ける。
「最近、少し反省したのよ」
「えぇっと……。ほんならまぁ、お互いちょこっとづつ困ったちゃんやったということで……」
「つまり、悪いのは病気だけ! そういうことにしておきましょう」
「はい♪ そうしましょう」

「おまたせ!!」
 ヴィータが帰ってきた。
「うっ」
「ヴィータ、それはちょい無敵過ぎ!!」
「あらあら大変」
「クロノとエイミィが焼きそばくれたんだよ」
 袋から焼きそばを出す。
「他にも通りすがりにいろいろくれて」
「でも、美味しそう」
「すみませんお待たせしました」
「石田先生、いらっしゃい」
「シグナムさん、シャマルさん。こんにちわ。お邪魔しています。ザフィーラ君もこんにちわ」
「ワン」
「遅くなりました」
 リインフォースも遅れてやって来た。
「リイーンフォースさんもこんにちわ」
「あら? 随分食べ物が一杯」
「持ってきすぎだろう?」
「いいよ。あまったら私が喰うから」
 食いしん坊のヴィータ。
「石田先生。お飲み物は何を!?」
「あぁ、そうですね。お茶かなにかで」
「お酒は、いけないんでしたけ?」
「残る性質なんで、一応やめておきます」
「そうですか」
「まぁ、お一つ」
「あぁ、ありがとうございます」
 石田のコップに注ぐシグナム。
「はやて! はやても食べる? 管理局特製焼きそばだって!!」
「ほぉっ!! なんや凄そうや!!」
「確かにいい香りです」
「わたしも頂いちゃおうかな?」
「石田先生!?」
「ん?」
「お医者さんとはちゃうけど、わたし、先生とよく似たお仕事をすることになると思います」
「ん?」
「悪いとこ押さえて、えぇところは、えぇままで居させられるようにするお仕事です」
 管理局のことを出さないはやて。
「そんな時、私みたいな不良患者に辛抱づよう接してくれた石田先生のこときっと思い出します」
「うん。でも、ダメよ? もう、治療が終わったみたいなその物言い!! まだ、後1〜2年は治療とリハビリが続くんだから」
「うぅぅっ。それは、わかってますけど……」
「まぁまぁ! 石田先生飲んで、飲んで!!」
 飲み物を進めるシャマル。
「烏龍茶ですけど……」
「いただきます」
 烏龍茶を飲む石田先生。
「(我が主! 伝えられるべきことは伝えましたか?)」
「(うん。大体はな……)」
「(良いことです)」
 ザフィーラは、犬を演じているため念話で話す。
「おほほっ。居た居た!」
 酔っ払いがやって来た。
「ヴォルケンリッター!! ちょっと……。一寸いらっしゃい!!」
 酔っ払いが絡んで来た。
「レティ提督……」
「提督!?」
「わぁああっ」
「どうされたんです?」
「もしかして、お酒入っています?」
「入っているわよぉ。でも、問題ナッシ〜! いいから、ほら、いらっしゃい!!」
「あの、今、お客さんが……」
「ん? あっ、お客さんはどうぞどうぞ」
 完全に酔っ払っているレティ。
「ワインが……ワインがありますよ」
「提督、酔っぱらいだなぁ。迷惑な大人だな」
「ヴィータも失礼な子だね」
「あはっはっはっ」
 騒ぎを聞きつけて駆けつけてくるリンディ。
「ごめんなさいね。ちょっとご迷惑を……」
「「あっ、すみませんでした」」
「なんでリンディとフェイトちゃんとアリシアちゃんまで私を酔っぱらい扱いするの!?」
 酔っぱらい扱いではなく、完全な酔っぱらいだ。
「ひどいなぁ」
「ほら、いいから」
「いやぁ〜ん♪」
「提督戻りましょう。皆、待ってますから……」
「そぅ?」
「そうそう。あの子達は、また後で。ね!? 行きましょう」
「うふふふっ。お説教も色々あるのよ〜あの子達にはー!! じゃぁ、まあ後でね」
「いいから……」
 リンディに連行されていくレティ。
「ほらほら!!」

「ヴォルケンリッタ?」
「あぁぁっ。酔っ払いの人の言うことですから……」
「まぁ、石田先生! 飲んで飲んで!!」
 その場をごまかすはやてとシャマル。


 次回予告

 なのは「盛り上がりのお花見」
 はやて「酔っ払って迷惑をかけている人もおります」
 ヴィータ「人の迷惑を考えろって言うんだ!」
 なのは「そして、それぞれの未来を目指します」
 フェイト「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第72話『これから 後編』」


盛り上がってるな。
美姫 「出来上がっている人も居たわね」
あははは。あちこちで騒いでいるしな。
美姫 「まあ、これぞお花見って感じかもね」
さて、次回はどうなるのやら。
美姫 「それでは、この辺で」
ではでは。



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