第80話「脱獄」






 『赤い悪魔』と『青い女王』が逮捕され取り調べを受けていたころ……。
 すずか達は、家で談笑していた。
 吸血鬼に誘拐されていたカーテローゼ達を救出して一旦撤退したのだ。
 カーテローゼ達を連れたまま吸血鬼狩りをする訳にはいかなかったのだ。
 安全な家に連れ帰って作戦会議を行っていた。
「姫様、御無事でようございました」
 グルリューエルとグリュンヒルデに頭を下げるヨートフ。
「ヨートフさん、各方面への工作は?」
「既に各方面へ圧力を掛けておきました。後は、何時狩を始められても構いません」
 既に各方面へ圧力を掛けているヨートフ。
「のんびりしていて宜しいのですか?」
「うん。死者を狩るには、巣から出てきてもらわないといけないから……」
 死者達が巣から出てくるのを待つようだ。
 死徒一匹は、退治しているがまだ多くが地下に潜んでいる。
 カーテローゼ達の救出を優先にした為、まだ多くの人間が取り残されていた。
 取り残された人間も次々血を吸われている筈だ。
 既に数千人が犠牲になっている。
「さて、休憩も終わり。今夜中に狩り終えられるかな?」
「私達三人なら簡単終わるよ」
 すずか達、三人なら可能だ。
 だが、結界を維持し続けるアルフたちはそうはいかない。
 マスターから魔力を供給されなければいけない。


 海鳴市中心街の地下街の遥か地下……。
「どうやら、我の死徒が一体倒されたか……」
「如何なされるんですか?」
「全ての死徒と死者を地底城に入れるのだ!! そして、城の出入り口に罠を仕掛けろ!!」
「はっ」
「本当は、郊外の城に拠点を移しかったが……」
「ヤツは、拠点を移すべく人質をとったまでは良かったのですが、相手が悪うございました」
「この町の……いや、この世界の夜族の支配者に手を出したのが間違いだった」
「何時まで地底城に籠ることになりますか? 暫くは地上に出ても血は吸えません」
「仕方あるまい。暫くを息を潜めるか」
「パストーレを倒した三人は何者なんでしょうか?」
「わからん。だが、戦えば唯ですまないことは確かだ。此処まで届く程の殺気だ、肉片すら残って居らんだろう……。彼の死者 も残らず狩りつくされたと見るべきだ」
 彼らは、対策を考えないといけなくなった。
「では、城の警備を強化しませんと……」


「!?」
 何者かの気配を感じる。
 地底城にまで届く気配……。
「閣下!! この光の玉は何なのでしょう?」
「捨て置け!! 今は城の警備強化に当たれ!!」
 彼らは、光の玉の正体を知らなかった。
 それは、すずかが放ったサーチャーだった。
 サーチャーは、その場に浮いている。
「閣下、私は何かイヤな予感がするんですが……」
「貴様、此処で弱気になってどうする!? 我が城を手に入れるまで……」
 そこで、初めて悪寒を感じた。
「まさか……」
 そのまさかである。


「突入準備はいいですか?」
「いつでもOKよ」
「いつでもいいぞ」
 突入準備は良いようだ。
 すずかは、サーチャーのある場所に杖を向ける。
 それは、すずかの愛機美姫ブリュンヒルトだ。
美姫ブリュンヒルト逝くよ」
≪All right.≫
 すずかの魔法で二番目に強力なアルテミスブレイカーを撃ち込む。
 コンクリートで固められていようが関係ない。
 土砂を吹き飛ばしながら吸血鬼の居る場所へ突き進む。
 その直径は数十メートルと巨大な物だ。
 だが、アルフとリニスが封時結界を張っているので本来の世界には影響がない。



「なにごとだ!?」
「て、敵襲です」
「敵だと!? どこに敵が居るのだ!!」
「上の階層です」
 時々轟音が轟く。
 その音は、だんだん大きくなっていく。
 上層階では戦闘が行われているようだ。
「第六防壁突破されました」
「上では、何が起こっているのだ!? 各フロアの責任者は何をしている?」
「既に倒されたようです」
「たった数分でだと!?」
「侵入者3人は恐ろしく強いようです」
 すずか、アルクェイド、アルトルージュに狩られていく死者達。
 死者が真祖に敵う訳がない。
 いくら数が居ようと所詮烏合の衆でしかない。
「このままではここに来るのも時間の問題です」
「我が最高の部下、四祖を使う」
「四祖ですか」
「そうだ。お前を含めた残りの三人を呼べ!! ワシと四祖に敵う者などおらん」
「そうでしたな」
「5人の総力をあげれば、恐れる物は何もない!! 敵も後悔するだろう……」


 玉座の間に集められる四祖。
「ブラウンシュヴァイク公、お呼びですか?」
 ブラウンシュヴァイクは、四祖を呼んだ。
「呼んだ!! 今、ワシに刃向う愚か者が攻め込んできておる。幸い上層階から降りられずにおる」
 四祖を呼び集める時間は十分にあった。
「リッテンハイム!!」
「はっ」
「フレーゲル」
「此処に」
「シュターデン」
「はっ」
「オフレッサー」
 四祖の集結。
「城を移す。この城を放棄する」
「巨額費用を使ったこの城をですか?」
「そうだ!! この城を捨てる」
「では、どこに……」
「隣町の地下にはこの城を遥かに凌ぐ迷宮城を用意してある」
「おぉ。では……」
「死者達の8割は事前に移動させておきました」
「そうか、よくやった」
「爆弾の起爆装置をさせました。後十分で侵入者ごと吹っ飛びます」
「よし。脱出だ!!」
「「「「はっ」」」」
 爆弾を作動させた為、城を放棄して脱出する。


 爆弾が作動したとも知らないすずか達は……。
 地下へ地下へと死者を狩りながら進んでいた。
「いったい何匹いるのよこの城!!」
「既に数百は狩ったぞ」
 三人で数百の死者を狩っていた。
「すずか、どうした!?」
 すずかの嗅覚が何かを捉えた。
「この匂い、火薬……。アルクェイドさん、アルトルージュさん! この城、爆弾が仕掛けられています」
「爆弾!? 面白そう」
 面白そうと言うアルクェイド。
「面白そうじゃありませんよ。この匂いから推測する火薬の量は、この周辺、数百メートルを吹き飛ばす量はありますよ」
「やば、流石の私でも不味いかも……」
 真祖である為、死ぬことはないが黒焦げ又は、肉片に化すことは確実だ。
「一時撤退するぞ」
 撤退を選ぶアルトルージュ。
「消し炭になるのだけはイヤ!!」
 壁を爪と足を使って駆け上る。
 地上までは数十メートルある。
 吸血鬼の跳躍力で数メートルを飛ぶ。
 地上に出ても爆心地と思われるところから逃げないといけない。
 すごい勢いで地上に飛び出ると全速力で駆けた。
『(すずか、どうかしたのか?)』
 念話で聞いてくるアルフ。
「(爆弾が仕掛けられているの。アルフもリニスも今すぐ逃げて!!)」
『(それってヤバイんじゃ)』
「(下手したら直径一キロは吹き飛ぶから)」
『(分かった)』
 アルフとリニスも爆発予想地点から避難する。
 どこから爆炎が吹き上がるか分からないからだ。
 全員が逃げた直後、大爆発が起こった。
 アスファルトと大量の土砂が吹き飛びビルも吹き飛ぶ。
 穴から巨大な火柱が上がる。
 巨大な火柱の火が周囲のビルに燃え移る。



「うわぁ。家、大丈夫かな?」
 家の心配をするアルフ。
「其れよりも消火しないと」
「そうだな。急いで消火しないと……」
 だが、此処は管理外世界だ。
 魔法を使って消火することは出来ない。
「流石に復旧には時間が掛かるだろうな」
「そのあたりの事は、すずかさんとアリサさんが手を回すでしょう」
 復旧工事と再開発は、月村、バニングスの両企業体を中心に行われるだろう。


 消火をするために消防車が近づいてくる。
 爆発によって飛び散った土砂や倒壊したビルに阻まれてなかなか現場に到達できない。
 海鳴市の全ての消防車が出動しているようだ。



『たった今入ってきた情報です。失踪事件があった現場付近で大規模な爆発があった模様です。海鳴市郊外の山頂に設置されて いるお天気カメラからの映像をご覧ください。山頂のカメラからの映像でも分かるように現場は数百メートルにわたって吹き飛んで いるのがわかります。周辺は爆発によって停電しているようです』
 夜の為、詳しい状況カメラ映像からは分からない。
『現場付近に取り残されて人たちの安否が気遣われます。爆発に巻き込まれていないことを祈りましょう』
 海鳴テレビは、再び臨時ニュースを伝える。
『当、海鳴テレビは、爆発の影響で本社ビルの窓ガラスが割れるなどの被害はありますが放送には影響ありません』
 海鳴テレビは、放送に支障はないようだ。
 局内のニュースセンターの混乱ぶりが伝わる。
 取材班が慌ただしく現場取材ヘ向かう。
 カメラとテープ、バッテリーを抱えて飛び出ていく。
 周囲が転電で真っ暗だ。
 懐中電灯もなければ穴の底に落ちかねない。
 落ちれば大けがでは済まない。
 爆発の規模から穴の底は相当深いようだ。


『謎の大爆発が起こりました海鳴市の中心街から中継でお伝えします』
 テレビは地元局、海鳴テレビ以外の各局が駆け付けて来て取材を始めていた。
 他の局は中継車での中継だ。
 海鳴テレビは、中継車を出せず局までケーブルをつないでの放送だ。
 道路状況から言えば已む得ないと言える。
『現場は、爆発の影響で跡形もなく吹き飛んでいます。爆発によって発生したビルが燃えているのが遠くから見ても分かります』
 海鳴市の火災はハラオウン邸かも見える。
 爆発地点を中心に外側へ燃え広がろうとしている様子が……。
「これは、流石にまずいわね」
 リンディも危機感を感じる。
 火災規模は、ミッドの空港火災を凌ぐ規模だ。
 魔法を知らないこの世界ではホイホイと出て行くわけにはいかない。
 ここは管理世界ではない。
 ただ見ているし出来ないのだ。
『爆発によって発生した火災の勢いは増しています。近隣の市町村からも消防車が応援に駆けつけ消火活動を行っています』
 近隣の消防も消火活動を開始している。
 市内にも防火水槽があったが爆発で殆どが使用不能で消火作業に手間取っていた。
 幸いにも海鳴市は海に面している。
 だが、現場までホースを繋がなければならない。
 重いホースを消防隊員が抱えて走る。
 急がないと消失面積が増えるのだ。
 海鳴市、全消失だけは防がないとならない。
 消失面積が増えれば、復興にかかる費用が増す。
 消失したビルの立替にも時間がかかる。




「まずいんじゃない!?」
 月村邸で惨状を目の当たりにするアルクェイドとアルトルージュ。
 吸血鬼退治が、大惨事となったのだ。
 爆弾が仕掛けられているなど予想外だった。
 あんな高威力の爆弾が……。
「すずか、そなたがクロウ・カードを使えば簡単に消せるだろう?」
「確かに消せるよ。でも、偶然を装って天候操作するしか手はないよ」
「じゃあやればよかろう」
「うん」
 すずかは、月の杖を手に城の上で詠唱を始める。
 この世界の魔法でも管理局の魔法でもない。
 アルクェイド達の世界の魔法だ。
 今まで星空が見えていたのが火災現場上空に雨雲が湧き上がりはじめていた。
 火災現場では炎と煙で星空すら見えない。



『炎の勢いは衰えることをしりません。この火災を消し止めることが出来るのか判りません』
 その時、雷鳴が轟く。
『雷鳴です。雷鳴が轟きました。雨が降るのでしょうか?』
 また雷鳴が轟く。
 それは、さっきより大きな雷鳴だった。
『また雷鳴です。先ほどよりも大きい雷鳴です』
 それは、一際大きな雷鳴と共に降り出した。
『雨です。雷鳴と共に雨が降りはじめました』
 雨は、降り始めると同時に大雨になった。
 激しい雷を伴いながら……。
 消防車の放水など問題にならないくらい激しい雨である。
 雨水は爆発でできた穴に流れ込む。
 流れ込む雨水で地面が削られる。
 削られた土砂が穴に流れ込む。
 雨脚は激しさを増す。
『降り始めた雨は、あっという間に豪雨になりました。激しい雷も……』
 その直後、キャスターの近くの木に雷が落ちた。
『近くの木に雷が落ちました。身の危険を感じる為、避難しようと思います』
 中継映像が切れる。


 海鳴市を襲った局地的集中豪雨は一晩中降り続いた。
 その結果、大火災は鎮火した。
『昨日発生した誘拐発砲事件、直後に発生した爆発大火災の現場検証は開始の目途も立っていません』
 火は消えているが所々から煙が燻っている。
『昨夜、海鳴市を襲った局地的集中豪雨は、火災を消火し明け方までに止みました』
 爆発で出来た穴には、雨水がたまり池が出来ていた。
『ご覧ください。爆発で出来た穴には大量の雨水がたまり湖が出来ています』
 海鳴市の惨状は凄まじかった。
 復興には莫大な時間と費用が掛かる。
 その復興もいつ始められるか分からない状況だ。
 爆発の原因も究明しなければならない。
 それには、穴に溜まった大量の水を排水しなければならない。
 穴には、飲食店から流れ出た食用油等が混じった水が溜まっている。
 そのまま海に流すことも出来ない。
 フィルターなどでこしてからでないとならない。
 海鳴市には海水浴場もあるのだ。



 ミッドチルダでは逮捕された『赤い悪魔』が脱獄を企てていた。
「此処からどうやって脱獄すかが問題ね」
「そうですわね」
「如何やって脱獄するんだ!?」
「人が折角小声で相談しているのに大きな声出すな!!」
 そう言って凛は、士郎の股間を蹴った。
 士郎の眼から星が飛び出た。
 士郎は、股間を抑え悶絶する。
「私達の力ではこの壁を破れそうにありませんわ」
「それは同感ね」
 凛とルヴィアには、壁を破れそうになかった。
 士郎に視線が向く。
 だが、士郎は股間を押さえ悶絶中だ。
「シェロ、貴方の出番ですわよ」
 だが、士郎は股間を押さえ悶絶中だ。
「士郎、何時まで悶絶しているのよ」
 士郎の股間を蹴って悶絶させた当の本人は吼える。


「その方ら、何をしておる!?」
 士郎が股間を抑えて悶絶しているのが目に入る。
「プロレスでもしてたんか?」
 何故か、さつきとはやてが一緒に居る。
「そうよ」
「二人がかりでその兄ちゃんの股間を蹴ってたのか?」
 ドキッ!
「それから猿芝居を止めよ! それくらい瞬時に回復できるのであろう?」
 股間を抑えていた士郎が起き上がる。
「内緒話がバレタんか?」
「士郎!!」
「……!」
 士郎は、慌てて口を押える。
「聞こえていないと思うな!!」
「うち等の聴力なめたらあかんで!?」
「あんな小声が聞こえるなんて、どんな耳をしているのよ」
「それは、企業秘密や!!」
「一体、私たちに何の用があるの?」
「その方らには、お仕置きが必要なようだな」
 さつきから、殺気が漏れ出す。
 それもどす黒い……。
 それも、三人だけに正確に向けられていた。
「遠坂、息苦しい」
「私もよ」
「私もでしてよ」
 三人は、さつきのダイレクト殺気によって息苦しいようだ。
「あんさんら、司法取引せんか?」
「し、司法取引!?」
「うちの言う事を聞くんなら考えてやるで」
「もし断ったら、この話はなしや」
 断ったら司法取引はなしという。
「改めて聞くで」
 再びアレを言うはやて。
「この我のものになれ」
「断る!」
「司法取引に応じる気は?」
「ない」
「本当に本当か?」
「あるわけあるか!!」
「この話は、なかった事にするわ。一生、監獄の中で過ごしいや」
 さつきとはやては拘置室から出て行った。
 ガチャっと鍵が掛けられる音がする。


 足音が去るのを確認する。
 ここで派手に動けば、すぐに計画が失敗に終わる。
 それから数時間後……。
「士郎、早く投影しなさい!! この壁を破ることのできる武器あるんでしょ」
「逃走資金もないのにどうやって隠れるんだ!?」
 彼らは、ミッドの通貨を持っていない。
 それに両替にも身分証明が必要なのだ。
 管理局に逮捕された彼女たちには両替所で両替することは出来ない。
 例え脱獄できても生活の糧はない。
 生活するために犯罪者である彼女達は逃げ隠れしなければならない。
 そんなことを失念している凛、ルヴィア、士郎。
「お金は、あんたの投影品を売ってお金を得ればいいのよ」
「俺は打ち出の小槌じゃないぞ」
「あんたは投影をする。それを私達が売りさばく。それで私達はお金持ち」
 凛は、お金を得る計画を勝手に進めていく。
「確認するが、俺に拒否権は?」
「ないわよ。あんたは、未来永劫、私達の所有物なんだから」
 士郎の投影を悪用して逃走資金を稼ごうと言う凛。
 拒否権のない士郎。
 拒否しようものなら再び股間を蹴られかねない。
「この壁を破ればいいんだろ!?」
「取調べに連れ出される前に脱獄するわ」
「トレース・オン」
 士郎は、投影をする。
 壁を破る為に最強の武器を投影する。
 それは、士郎にとっても縁の深い剣だ。
 士郎は、投影した剣の真名を開放する。
 真名を開放した武器を振るう。
 この世界でも真名の解放は出来るようだ。
 拘置室の壁を地上本部の外壁まで大きな穴を開ける。
 最強武器ゆえ、放出魔力量も多い。
 直ぐに警報が鳴り始める。
 脱獄に掛けられる時間はない。
 急いで脱獄しなければ再び拘束される。
 今度は、脱獄不能な地下牢に入れられることは間違いない。


「何だ!?」
「101拘置室の警報が作動!!」
「直ぐに拘置警備員を派遣しろ!!」
 警備担当の魔導師が問題の拘置室に急行する。
 その間も各種警報が鳴り響く。
「問題の拘置室に警備はまだつかんのか?」
「まだです。拘置室までの通路に煙がたち込めて進めません」
「何だと!? あの犯罪者共、何をしやがった!!」
 カメラには煙しか写っていない。
 煙の為なにがあったのかわからない。
 当然、脱獄など頭を過ぎらなかった。
 凶悪な女二人の魔力は封じたが男は封じていなかった。
 何故なら最低ランク相当の魔力しかなかったからだ。
 だが、それは誤りだった。
 警備司令室の混乱……。
「まだ状況はわからないのか?」
「わかりません」
「レジアス中将に何て言えばいいんだ!!」
「それは……」
「このままでは全員減俸……更には左遷させられる」
「減俸……」
「左遷……」
 後に当直に当たった局員全員が大幅減俸処分を受けたのは言うまでもない。


 そして、当の本人達は……。
 脱獄の邪魔をする局員達を倒しながら突進していった。
 凛とルヴィアがガンドで撃ち倒す。
 接近してきた魔導師を士郎が投影した剣で張倒す。
「それじゃあ逃げるわよ」
 魔導師を張倒して逃げる。
 逃げる為に魔導師を攻撃する。
 再び罪を重ねる3人。
 脱獄だけでも罪が重いのに魔導師への攻撃。
 捕まれば数百年の封印刑は確実である。
「邪魔するヤツは蹴飛ばすわよ」
 逃走の邪魔をする魔導師の股間に蹴りをいれ逃げる。
 新たな魔導師が追跡してくる。
 それを息のあった連携で撃破する。
 何時も喧嘩ばかりしている二人だが息が合えば最凶のコンビネーションを発揮する。
 ここでも最凶のコンビネーションが魔導師を襲う。
 ガンドの雨が魔導師に降り注ぐ。
 二人の強力な呪いが魔導師に命中する。
 ガンドに吹っ飛ばされる。
 魔導師をフルボッコにし逃走する。
 増援が来る前に電光石火での脱獄劇だった。
 それは、次元世界に指名手配されるに十分だった。
「ダッシュ!!」
 凛、ルヴィア、士郎は脱獄した。
 脱獄しミッドの街中にその姿を晦ました。
 その日の午後、凶悪犯が脱獄したことがニュースで報じられた。
 顔写真つきで……。


 次回予告

 はやて「爆発によって壊滅的被害がでた我が海鳴市」
 なのは「喫茶翠屋も営業休止」
 フェイト「原因究明と平行して開始される海鳴市再建計画」
 アリシア「紛糾する都市再生会議」
 アリサ「地権者に賠償請求する入居者」
 はやて「無能な会議出席者」
 グリューエル「私達が最高の再建計画を立てて上げますわ」
 アリサ「私の言うことを聞け『ポルカミゼーリア』」
 バカ息子「断る!」
 なのは「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第81話『海鳴市再建計画』」



海鳴、大惨事だな。
美姫 「四祖とか呼ばれる奴らを集めて反撃かと思ったのに」
あっさりと手土産を置いて撤退したしな。
美姫 「当分は追跡できないかもね」
で、管理局の方は方で。
美姫 「大変そうね」
一体どうなるのやら。
美姫 「それじゃあ、また次回で」
ではでは。



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