第95話「恐怖!? 白い悪魔降臨」






 紅魔館に魔理沙と霊夢の処刑を今や遅しと待つ妖怪たちが集まってきている。
 アレだけ暴れれば、恨みを買うのも当然だ。
「早くO・HA・NA・SHしたい……」
「なのはちゃんの病気は限界みたいやな」
 なのはの『O・HA・NA・SHしたい病』は、限界だ。
「私は、病気じゃないってば」
 だが、なのはは病気だ。
「だから、私は病気じゃないってばぁ」
 だが、なのははO・HA・NA・SHしたい病である。
「そんなにO・HA・NA・SHがしたのならしてあげようか!? O・HA・NA・SH……」
「なのはちゃん、さっきから誰と話しているの?」
「なのは、頭おかしくなったんじゃない?」
 フェイトとアリサが聞く。
「フェイトちゃんとアリサちゃんも私は可笑しくないってば」
「ほんなら確かめようか、なのはちゃん」
 確かめようと言うはやて。
「すずかちゃん、頼むで」
「うん」
 すずかは、一枚のカードを取り出す。
 そう。
 すずかカードである。
「なのはちゃん」
「何!? すずかちゃん」
「素直に答えてね」
 笑顔で言うすずか。
ライブラリ
 すずかは、『ライブラリ』を使った。
「なのはちゃん、今、O・HA・NA・SHしたい病!?」
「だから、O・HA・NA・SHしたい病じゃないって!!」
 だが、ライブラリは嘘の方に傾く。
 なのはのO・HA・NA・SHしたい病確定である。
「なのはちゃん、嘘はあかんで? 嘘を吐いたなのはちゃんは、おっぱいモミモミの刑や」
 はやてが、なのはの刑を決める。
「はやて!! なのはの刑は、帰ってからすること!!」
 ここでの刑をしないように言うアリサ。
「そうやな。ここじゃ、落ち着いてなのはちゃんの胸を揉めへんな」
 ここで、なのはの胸を揉むつもりだったはやて。
「なのはちゃん。O・HA・NA・SHしたいのなら言ってくれればいいのに」
「そうよ。なのは」
「嘘を吐いたなのはちゃんには、あの二人にO・HA・NA・SHしてもらいます」
「ふぇ?」
 間抜けな返事をするなのは。
「なのは、聞いていなかったの?」
「何が?」
「だから、すずかの言葉……」
「すずかちゃんの!?」
 なのはは、未だに理解できないようだ。
「なのはちゃん、あの二人でなら好きなだけO・HA・NA・SHして良いって」
「本当!?」
「なのはちゃん。命令しても良いんやで」
 命令すると言うはやて。


「話は、まとまった!?」
 レミィが聞く。
「まとまったで」
 纏まったと言うはやて。
「誰が戦うの?」
「なのはちゃんや」
「そう」


 そして、霊夢と魔理沙の公開処刑が始まる。
「霊夢、あたしから行かせてもらうぜ」
「いいわよ」
 魔理沙から逝くようだ。
 之から、ヴァルハラを見ることになるとも知らずに……。
 なのはと魔理沙が、空に浮かび上がる。
 開始を待ちきれない様子だ。
「悪いけど、速攻で方を付けさせてもらうぜ」
 速攻で、方を付けたい魔理沙。
「じゃあ、私は貴女に戦い方をO・HA・NA・SHしてあげる」
 なのはは、戦い方をO・HA・NA・SHするようだ。
 双方、スペルカードを出す。
 宣言してスペルカードを発動させる。
 直ぐに弾幕戦が始まる。
 双方の弾幕が無秩序に飛び交う。
 流れ弾があっちこっちに着弾する。
 流れ弾は、観客席にも飛び込む。
「其の程度の弾幕じゃあたしには勝てないぜ」
 魔理沙は言う。
「じゃあ、カードを変更してもいいんだね」
「あぁ。したければしても良いぜ」
 魔理沙は、処刑命令執行書にサインした。
「ふっふっふっふっ。お、おっきいの逝きます」
 なのはの眼は、座っている。
 なのはは、別のスペルカードを取り出している。
 そう。
 スターライト・ブレイカーをスペル化したカードだ。
 之にも欠点がある。
 オリジナル同様に発動まで時間が掛かるという事だ。
「星砕魔砲『スターライト・ブレイカー』!!」
 なのはが、スペル名を唱える。


「アレがスペルか?」
「あんなのスペルじゃないぞ」
 観客も恐怖を感じる巨大な弾幕が現れる。
 既に、広範囲を飲み込むだけの大きさになっている。
「悪魔だ!!」
「いや。『白い悪魔』が幻想郷に降り立ったぞ」
 観客たちも口々に言う。
 『白い悪魔』が降臨したと……。



「ちょ……。冗談じゃないぜ。本気でそれを撃つつもりか!?」
「全力全壊!!」
「おいっ!! 眼が紅くなっていないか?」
 なのはの眼が紅くなっていると言う魔理沙。
「そんなの関係ないよ。全力全壊!!」
 なのはは、悪魔っぷりを発揮する。
 なのはは、スペルを発動させる。
 スペルによるスターライト・ブレイカーは、魔理沙と観客をも飲み込んだ。
 攻撃は、一度だけではなかった。
 何度も襲いかかったのだ。


 なのはの凶悪なスペルが終わったのは10分後だった。
 なのはのスペルによってあっちこっちから煙がたちこめていた。
 土煙の中で魔理沙と観客たちは白目を剥いて気絶していた。

「勝負ありのようね。観客も皆巻き込んじゃったけど……」
 レミィは言う。
 勝者は、なのはだった。
 観戦者も無傷な者は居ない。
 ただ一人を除いて……。

「また、すずかちゃんだけ無傷……」
 そう。
 すずかだけが無傷なのだ。
「すずか!! あたし達も守ってくれてもいいじゃない?」
「其れよりなのはちゃんは……」
 話を別方向に振るすずか。


 なのはは、上空で獲物を探しているようだ。
 完全に『白い悪魔』と化している。
 まだ、O・HA・NA・SHしたりないようだ。


「其れより、なのはを落ち着かせよう」
「そうやな」
 魔砲少女たちは空を飛ぶ。


「なのは、もう決闘は勝負がついたよ」
「今度は、フェイトちゃん達が相手してくれるの?」
 なのはの眼は紅いままだ。
「あかん。完全に血に飲まれとる」
 なのはは、血に飲まれているようだ。
「なのはがあぁなったら簡単には止められないわよ」
「こうなったら、すずかちゃんに止めてもらうしかないな」
 すずかに指名が入る。
「仕方ないわね」
 ため息を吐くすずか。
なのはちゃんは、十分O・HA・NA・SHした
 ただ、一言だった。
「あれ?」
 正気に戻った、なのは。
「私、何をしてたんだっけ?」
 魔理沙と霊夢にO・HA・NA・SHしてたことも忘れていた。
 恐るべし統一言語の破壊力。
「なのはちゃんが正気に戻ったところで……」
 はやてが言う。
「なのはちゃん、この惨状どう思う?」
「この惨状?」
 当たりは、酷い惨状だ。
「ねぇ、これ誰がやったの?」
「誰って、なのはがやったんじゃない」
「私!?」
 吸血鬼化していた時の記憶はないようだ。
「そう言っているのよ」
「そうだ!! 其れよりも救助活動」
 惨状の本人が救助をしようという。
「そうやな。治癒魔法かけな」
「でも、私たち治癒魔法苦手よね」
 なのは達は、破壊は得意でも修復は苦手だった。
「なのはちゃんは、完全な破壊系やな」
「はぁっ」
 ため息を吐くすずか。
「ユーノくんに治癒魔法を教えてもらっておいてよかった」
「流石は、すずかちゃんや!! 無駄に司書資格も取ってへんわ」
「はやてちゃん!? 一言多いよ」
 すずかの眼が黄金に変わっている。
「なのはちゃんとはやてちゃんは、後でO・HA・NA・SHしてあ・げ・る♪」
 その瞬間、震えだすなのはとはやて。
「すずかちゃんのO・HA・NA・SHだけは堪忍や!!」
「そうそう。すずかちゃんにO・HA・NA・SHされたら死んじゃうよ」
「なのはちゃんもはやてちゃんも吸血鬼なんだから全力で殴っても死なないよね♪」
「死ぬ。死ぬ!! すずかちゃんに全力でお腹殴られたら死ぬ!!」
「私がユーノ君の子供を産めなくなっても良いの?」
 爆弾発言をするなのは。
「なのは!?」
「なのは、今何って言ったのよ」
「私のお腹がグチャグチャになったらユーノ君の子供を産め無くなるって言ったの」
「なのは、将来の子供の事より救助活動が先でしょ」
 戦闘狂集団の抑え役、アリサが言う。
「そうだった」
「すずか、こっちは何時でも治療できるよ」
 アリシアが言う。
「集めるのも面倒だし、皆まとめて治療しちゃおう」
 魔力が膨れ上がる。
 なのはが暴れた空間にすずかの魔力が広まる。
 広範囲の負傷者を同時に一気に回復させようと言うのか?
 砲範囲の人に同時多数に治癒魔法をかける。
 普通の魔導師には、出来ない芸当である。
 一人につき一人がついて治癒をかけるのだ。
 だが、すずかは……。
 一人で多数をやってのける。
 一流の医療魔導師も自信を無くす施術規模だ。
「これをシャマルが見たら自身無くすかも……」
 シャマルは、管理局でも一流の医療スタッフだ。
 それ程、すずかの術式は大規模だった。
 処刑対象の魔理沙と霊夢も治療される。
 夜に働いて貰わなければならないからだ。
 そう。
 タタリ魔理沙とタタリ霊夢の退治があるのだ。



「すずか、お疲れ様」
 労をねぎらうフェイト。
「お疲れ!!」
「負傷者の治療も終わったし、あのことを説明する?」
 彼女達には、重要な仕事が残っている。
 タタリの処刑と言う……。
「其れより、困ったことになったかな?」
「困った事?」
「なのはちゃんの事がね」
「そうか、なのはちゃんが暴れたもんな」
 既になのはが『白い悪魔』と言う噂が広まっていた。
 幻想郷の噂が広まる速度は速い。



 そして、すれ違う人から……。
「あっ、『白い悪魔』だ!!」
「本当だ!! 『白い悪魔』が居るぞ!!」
 なのはが、『白い悪魔』だと知れ渡っていた。
「好きで呼ばれるようになった訳じゃないのに……」
 好きで呼ばれるようになった訳じゃないなのは。
 だが、なのはの衣服と戦闘スタイルが原因なのだ。
「嬉しいやろ、なのはちゃん。『白い悪魔』って呼ばれて……」
「嬉しくないよ!!」
 『白い悪魔』と呼ばれるのは嬉しくないようだ。
「フェイトちゃんとアリリシアちゃんは、いいよね。姉妹揃って『金色の死神』で……」
 フェイトとアリシアは、バリアジャケットからデバイスまで同じだから当然である。
「アリサちゃんは、『炎髪の騎士』だよね」
「なのは、燃やしてほしい?」
 首を振るなのは。
「はやてちゃんは、『歩くロストロギア』?」
「そうか、なのはちゃん。そんなに、うちに胸を揉んでほしんやな」
 そう言って、はやてはなのはの胸を服の上から鷲掴みにして揉み始めた。
「うにゃぁぁぁぁっ!!」
「そんなにも気持ちいいか?」
 はやては、テクニシャンだ。
 はやての手の中で形を変えるなのはの胸。
「き、気持ち……」
「それっじゃ、直接や」
 なのはの隙を突いて懐に手を潜り込ませるはやて。
「ブラをずらして……」
 はやては、なのはのブラをずらして直接揉みはじめた。
 なのはの胸に食い込むはやての指。
 はやては、之までになく激しくなのはの胸を揉みこむ。
 胸を揉まれるなのはの身体がピクンっと反応する。
「どうや!?」
 なのはは、はやてに胸を揉まれるのを必死で耐えているようだ。
 だが、それも直ぐに限界を迎える。
 はやての胸揉みで、限界を迎えたなのはの身体から力が抜けた。
「なのはちゃん、逝ってしもうたんか?」
 身体の力が抜けたなのはの胸をはやては揉み続ける。
 完全になのはの胸を揉むのを楽しんでいるようだ。



 某所……。
「紫様、霊夢と魔理沙が怪異を起こしている犯人のようです」
「知っているわ」
「何故、出て行かれないのですか?」
「だって、霊夢と魔理沙が退治される機会なんて滅多にないから」
 霊夢と魔理沙が退治されるのが面白いらしい。
「其れより、あの者達、かなりの力を持っているようですが」
「そうね。特にあの娘は、危険度は最高レベルよ。それに能力が……」
「あの言葉ですか」
「えぇ。あの言葉を使われたら私でも行動の自由を奪われるでしょうね」
「では、捕えますか!?」
「今は、敵にしたくないわ」
「偽者が現れる異変ですか」
「そう。その首謀者を倒すには、彼女たちの力が必要よ」
「私は、簡単に信用することは出来ません」
「濫。貴女は、紅魔館に行って話を聞いて来てちょうだい」
「しかし、紫様」
「今回は、巫女が容疑者だから頼りにならないから」
 今回は、霊夢は容疑者である。
 何時もなら、霊夢をこき使って異変を解決させている。
 だが、今回はそうもいかない。
「私は、結界の維持で動けないから、貴女の裁量に任せるわ」



 そして、時空管理局本局では……。
「今日は、如何して頭にコブを作った局員ばかりやってくるのかしら?」
 何故か、医務室にはタンコブを作った局員が次々やってくるのだ。
「ねぇ、如何してタンコブが出来たのかO・HA・NA・SHしてくれる?」
 タンコブが出来た局員に聞くシャマル。
「お話したいのですが、話したら命が……」
 誰かに脅されているようだ。
「誰が命を盗ると言ったか言って下さいまし」
 弓子が現れた。
「だから言ったら命が……」
「言わないのでしたら、無理やり話させて差し上げますわ」
 ケルケイヨンを手に言う。
「此処で魔法を使わないでくださいね」
 剣のコードを使おうとする弓子に言うシャマル。
「そんなことわかっておりますわ」
「では、改めてどうしてタンコブが出来たのかO・HA・NA・SHしてくれる?」
「O・HA・NA・SHしてくださいまし」
 その局員に逃げ場は、なかった。
 シャマルと弓子によって逃げ道を塞がれO・HA・NA・SHをされた。
 O・HA・NA・SHの結果、犯人がこよみだと判明する。
「こよみは、どこに居ますの?」
「特捜の人が、転移で連れていった」
「その人は、誰ですの!?」
 言い迫る弓子。
「紫の髪の女……」
「名前を言いなさい!! それだけでは、わかりませんでしてよ」
 シャマル達は、あえて知らないふりをした。
 特捜に紫の髪の人物は、一人しかいないからだ。
「なぁ、黙っていないで知っているなら教えてくれよ」
 だが、シャマルは答えない。
「特捜に転属願いを出せば簡単でしてよ」
「その手があった!!」
 彼は、後悔することになる。


 そして、再び幻想郷……。
「ここは、どこなんですか?」
 すずかに強制転送されてきたこよみ。
 全く知らない場所に混乱する。
「新しい、お客様?」
 レミィが聞く。
「あのう、ここどこですか?」
「貴女、知っていて来たんじゃないの?」
「知らないです。急に此処に飛ばされたので……」
「そう」
 状況が、掴めないこよみ。
「貴女、面白い運命を背負っているわね」
 こよみには、弓子の曽祖父クリストバルドの呪いがかかっている。
「流石に私の運命を改変する程度の能力でも貴女にかかっている呪いを解くことは出来ないわ」
「の、呪いって、私、呪い殺されるんですか?」
「そんなことは、ありませんでしてよ」
「あっ、弓子ちゃん!!」
 弓子まで幻想郷にやって来たようだ。



 そして、幻想郷の某所では……。
「役者も揃ったことだし、劇を始めるとしよう」
 タタリはいう。
「今度こそ悲劇を完成させねば……」


「さぁ、開幕といこうか」


 次回予告

 なのは「再びその姿を現すタタリ」
 フェイト「再び各地で悪事を働くタタリ魔理沙」
 アリサ「わたしの遮那で燃やしてやるわ」
 はやて「それよりタライを落としたらどうや?」
 タタリ「開幕といこう」




 はやて「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第94話『タタリの夜再び!!』」

 タタリ「カットカットカットカット!!」



魔理沙とのお話のはずが、霊夢はおろか観客まで巻き込むとは。
美姫 「可哀相だけれど、白い悪魔の噂がすぐに広まるのも仕方ないわね」
だな。で、本題とも言うべきタタリの方だが。
美姫 「次回から動き出すようね」
それに加えて、新たに幻想郷にやって来た者もいるみたいだし。
美姫 「どうなるかしらね」
ではでは。



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