『An unexpected excuse』

〜夜明け前より瑠璃色な フィーナ編〜









「俺が好きなのは・・・・・・」

恭也が言うとその場に居た全員が一語一句聞き逃さないように、全員が息すら潜める。
そんな静寂の中、ゆっくりと恭也は口を開く。

「言っても誰も知らないと思うんだが……」

『それでも知りたいんです!』

「フィーナだ。」

『フィーナ・・・・さん?』

その場居た全員が首を傾げている。

「恭ちゃん。フィーナさんって人とどこで知り合ったの?」

「恭也。どこの人なの? ・・・・・っ!恭也!!内縁の妻である私に内緒で・・・」

「恭也さん。どこの高校に通っているのですか?」

「お師匠に・・・・・・」

「師匠に・・・・・・」

と、ショックを受けている高町家の住民と友人達とFC。

「一年くらい前にリスティさんからの依頼で満弦ヶ崎に行ったときだ。」

「どこの人なのかは伏せておくとしよう。知ると色々と面倒だからな・・・。」

「確か、満弦ヶ崎大付属カテリナ学院三年だったと思う。」

「あ、あのー」

恭也たちの会話へと遠慮したような声が掛かり、一斉にそちらを見る。

FCの一人が、恭也に話し掛ける。

「何か?」

「フィーナさんというのは、フィーナ・ファム・アーシュライト様のことでしょうか?」

「そうですが、なぜ、あなたがそれを知っているのでしょうか?」

「実は・・・・私の知り合いが満弦ヶ崎大付属カテリナ学院に通っているのです。」

「様?様付けしたよね?なぜ?」

「知らないんですか?つ「ちょ、ちょっと、待った。」」

恭也が止める。

「恭也、なんで止めるのよ?」

「恭ちゃん、なんでよ?」

「恭也さん、なぜ、止めるんですか?」

「そうですよ。お師匠」

「なぜですか?師匠」

恭也に詰め寄る。

「フィーナにも事情があるからだ。」

それでも、しつこく食い下がる高町家の住民と友人達。

「恭也様。ここにいらっしゃいましたか?」

と、声がかかった。
声のしたほうに一斉にいろいろな顔が向く。
そこには、メイドの姿をしたかわいらしい少女と独特の空気を持つ女性が立っていた。

「その声はミアか?」

「恭也・・・・・様?プッ」

「恭也様?プッ」

「「あはははははは。似合わないよ。「恭ちゃん」「恭也」」」

「失礼な奴だな。美由希と忍は・・・・(怒」

「パーーーーッン」←美由希に対して徹を込めた強烈なデコピンの音

「パチッッン」←忍に対して強烈なデコピンの音

「「痛いよ・・・・。」」

と、額を抑えて、悶えている二人を放置して

「恭也様、お久しぶりです。」

と、カレンさんが声を掛けてくる。

「ええ。お久しぶりですね。カレンさん。その後、お変わりないですか?」

と答える。

「ええ、変わりないです。」

「ところで、二人がここにいるということは、フィーナに何かあったのか?」

「いいえ。何もないのですが、フィーナ様が恭也様に会いたいと申されたのでお連れ致しました。」

と、答えるミアにカレンが継ぎ足す。

「今、フィーナ様は、校門の前で待っておられます。」

カレンの言葉を聞くと同時に、恭也は校門に向かって走り出す。
それを見た美由希や忍が追い掛けようとする。

「ここは追い掛けないで下さい。お願いします。」

と、ミアが頭を下げて言う。

「フィーナ様の邪魔をするなら、たとえ、誰であっても斬ります。」

と、カレンがちょっと怒ったように言う。
高町家の住民と友人達とFCたちはしばらく呆然と立ち尽くしていた。




「フィーナ!!!」

校門の前で待っている少女の下に駆け寄りながら、声を掛ける。

「恭也!!!」

フィーナも声を掛けられて気づいたのか、こちらに走り寄ってくる。

「フィーナ。元気そうで何よりだ。」

「恭也も変わりないようですね。」

「達也やさやかさん、麻衣ちゃんは元気か?左門さんや仁さんたちも」

「ええ、元気よ。元気すぎてこちらが疲れちゃうくらいだわ。」

「元気なのはいいことだ・・・。」

「恭也、さやかや麻衣達がまた、貴方に会いたがっていたわ。」

「そうか・・・。今度の連休にでも会いに行ってみるか。」

「さやかたちには、そう伝えておくわね。」

「ああ、頼む。」

フィーナと並んで、みんなの元に歩いていく。
恭也とフィーナが並ぶと美男美女のカップルである。
それを見ていた赤星が

「ついに、高町にも春が来たのか・・・」

しみじみ、つぶやいていたと言う。
後から藤代さんにそう聞いた。


「この人が俺の好きな人、フィーナだ。」

何の予告もなしに、そんなことを言われたら、月の王女様も顔を赤くして、はずかしげに
はにかむのであった。

「先ほど、ご紹介に預かりましたフィーナ・ファム・アーシュライトです」

ゆっくりと優雅に頭を下げて挨拶をした。

しゃんとした背筋と、艶やかな長い髪。
そのひとつひとつの所作にその場にいた全員が魅了されていたのだろう。

魅了されていたFCの少女たちが我に返ったか、諦めたのか一人、また一人と帰っていった。




一通り自己紹介も終えた。

「フィーナさんってどこ人なのかな?」

美由希が小声でつぶやく。

「日本の人じゃないことは確かね」

忍もそれにつられたかのようにつぶやく。

「イギリスのほうじゃないですよね?」

那美が続く。

「恭也、まだ、言っていないのですか?」

「フィーナに迷惑がかかると思って話していません」

「恭也、話してください」

「フィーナ、しかしだな・・・・」

「私がいいって言っているんです」

「はい、わかりました」

美由希たちがそのやり取りを聞いていたのか、

「恭ちゃん、どこの人なの?」

「恭也、はっきり、言いなさい!!!」

「そうですよ。お師匠」

「そうですよ。師匠」

恭也は観念したかのように話し出す。

「フィーナは、月の王女様だ」

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

恭也の一言に、美由希達は固まる。



「「「「「月の王女様ぁぁぁぁぁっ!!!!?」」」」」



そして、美由希達がおもむろに叫ぶ。

「お前ら、いきなりなんだ?」

叫びだした5人に向かって言う恭也。

「恭ちゃん。頭、大丈夫だよね?」

「月ってあの月よね?」

「王女様?」

「お師匠の人間関係もここまで来ると・・・・なぁ。猿」

「信じられなくなるなぁ・・・・・。亀」

一人だけ、なにやら、おかしなことを言っているので、目殺しておく。

「夜に見える月だ」

「月にあるスフィア王国の王女様だ」

恭也が思い出したように一言つけ加える。

「あまり、このことは言わないように。とくにさざなみではだめだ」

釘を刺しておく。




忍が言う。

「恭也、カバンの方は私が何とかしておくから、フィーナさんたちに街を案内してきてあげたら?」

「いいのか?」

「事情はこっちで説明しておくから、ね」

忍の言葉に頷いて、恭也はフィーナとミアとカレンさんとともに学校を出て行った。



「フィーナはどこに行きたい?」

「そうね。恭也のお母様に会いに行きたいわ。」

「そうですね」

フィーナとミアが言う。

「かあさんですか。はい、わかりました」

三人を翠屋に連れて行く。



「いらっしゃいませ・・・って、恭也学校は?」

店に入ると、フィアッセがそんなことを聞いてくる。

「フィアッセ、母さんは?」

恭也は手短に用件を言う。

「桃子?厨房にいるけど・・・」

「すまないが話がある。呼んでくれないか?」

恭也は真剣な表情で言う。

「うん・・・じゃあ、奥の席で待ってて」

そう言ってフィアッセは厨房に入る。

「フィーナ、ミア、カレンさん、こちらに」

そう言って恭也は奥の席に行く。


恭也とフィーナたちは席に座る。

「恭也〜どうしたの?」

そこに、桃子がやってきた。

「母さん、紹介する。フィーナとミアとカレンさん・・・・・」

「「「はじめまして」」」

そう言って頭をさげるフィーナたち。

「あっ、この子の母の高町 桃子です」

そう言って桃子も頭を下げ、恭也の対面に座る。

「恭也。フィーナちゃん、ミアちゃん、カレンさんの誰が恭也の恋人なの?」

さすがは桃子だ。

おもわず、コップを落としそうになる。
なんとか、持ちこたえ、答える。

「フィーナだ」

桃子は真剣な顔でフィーナを見る。
フィーナも真剣な顔で桃子を見ている。

桃子の顔がふっと緩み、そして、フィーナに

「フィーナちゃん、恭也は鈍感で朴念仁で盆栽が趣味ですけど、よろしくね」

「はい、こちらこそ、よろしくお願い致します」

桃子とフィアッセが家に帰り、美由希たちからフィーナが月のスフィア王国の
王女であるということを聞いて焦っていたのは、また、別のお話です。









終わり



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あとがき


私の処女作品はいかがだったでしょうか?
浩さんが書いているAn unexpected excuseをお借りてみました。
小鈴「遅いよ。京梧」
うっ。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
弓を構えないで下さい。小鈴様。
小鈴「しかも、文才がないと来ているでしょ?」
また、痛いところをついてきたなぁ。
小鈴「だって、事実でしょ」
まぁ、そりゃあ、そうだけど・・・。
小鈴「三日坊主で終わらなきゃいいのだけど・・・」
そんなに私をいじめて面白いですか?小鈴様。
小鈴「うん。くちごたえしたね?お仕置きだね」
チャキッと小鈴が弓を構える。

今回は前回(BBS)のようには行かないぜ。
木刀を出してきた。

法神流 陽炎細雪!!!!
小鈴「京梧、甘いよ。九龍烈火!!!!」

ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
・・・・・・・・・・・
小鈴「ありゃ、灰すら残らなかったね」
小鈴「でわでわ。感想等は掲示板でね。」
幽霊化した京梧が「よろしくね。」




恭也に様付けか。
美姫 「でも、ノエルも様だし」
まあ、そうだけどな。
月の王女フィーナ。いやー、恭也は自身の能力だけでなく、知人まで正に色々と広がっていくな。
美姫 「うんうん。という訳で、今回は京梧さんから夜明け前よりも瑠璃色な、を頂きました」
ありがとうございます。
美姫 「ありがとうね〜」



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