設定は、とらはの方はAllエンドで恭也は誰とも付き合っていません。
With Youの方は、乃絵美は拓也に振られています。
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とらいあんぐるハート3×With You(伊藤 乃絵美)
ずっと二人で・・・
第ニ章 かわっていく、想い 第一話
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8月31日午後、ロムレット店内
恭也はバイトに励んでいた。
その仕事ぶりは、翠屋と変わらなかった。
そして、ロムレットの噂はあっという間に知れ渡った。「モデル並みにかっこいい店員がいる」と。
噂を聞きつけた女性客でロムレットは一杯になったのである。
閉店まで、こういう状態が続いたのである。
そして、閉店後。
「お疲れ様。恭也くん、乃絵美」
「お疲れ様。恭也さん、お父さん、お母さん」
「お疲れ様です」
「ああ。お疲れ」
「今日はすごい人だったね」
「そうだな。貴美恵さん、いつもこんな感じなんですか?」
「違うわ。こんなことは初めてなのよ。ねぇ、あなた」
「ああ、そうだな。ここまで多いのは初めてだな。それにしても、女性客ばかりだったな」
「そうですね」
「噂が噂を呼んでというところかしらね・・・・」
「噂?」
「ロムレットに『モデル並みにかっこいい店員がいる』と言う噂だったらしいわよ」
「それなら、私も聞いたよ」
貴美恵と乃絵美は恭也のほうを見る。
「む・・・・。忠志さんの事じゃないですか?」
「恭也くん・・・・・。本気で言ってる?」
「本気も何も・・・。忠志さんじゃないとすれば、かっこいい店員なんていないでしょう」
「どうやら、本気らしいわね」
恭也の自分に対する鈍感ぶりは留まる事を知らなかったのである。
まさか、自分がかっこいい店員などと噂されているとは夢にも思っていなかった。
呆れた顔で恭也のほうを見ている忠志と貴美恵。
恭也は、ここにいるはずのない赤星と高町母や友人達がいるような感覚に陥っていた。
貴美恵は恭也のほうを向き、盛大にため息をつきつつ、一言。
「恭也くん。もう少し、自分のことを知ったほうがいいわよ」
「む・・・・。それはどういう意味ですか?貴美恵さん」
「そのままの意味よ。ねぇ、乃絵美」
「・・・・・・・・・・」
「乃絵美?」
「・・・・・・・・・・」
「乃絵美?どうした?」
「恭也さん・・・・・」
「ん?どうした?乃絵美」
「疲れたので、部屋に帰ります」
乃絵美はそう言って、この場を離れる。
「恭也くん。乃絵美をお願いね」
「はい」
そこに正樹が帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
「なんか、店のほうがすごかったらしいな」
「ああ。そう思っているのなら、正樹、お前も手伝え」
「俺は菜織のところに行っているんだよ」
「まぁ、いいが。あまり、乃絵美の前でそれを言うなよ」
「なぜ?乃絵美も知っている」
「だからだ。乃絵美は・・・・・・」
そこまで言うと、口をつむぐ。
「恭也?」
「いや、別にいい。俺の言ったことは気にするな」
「ああ」
「じゃあ、後は頼む」
そう言って、乃絵美の部屋へと行く。
コンコン
「乃絵美?」
「・・・・・・」
「入っていいか?」
「・・・・・・・・ぃぃょ」
小さな声で答えてくる。
恭也は扉を開ける。
常夜灯のみの乃絵美の部屋。
夜目の利く恭也にすれば、明るいほうだった。
乃絵美の寝ているベットへと近づいていき、腰を下ろす。
「乃絵美、大丈夫か?」
「・・・・・・・」
乃絵美は答えない。
「む・・・・」
少し困った顔を見せる恭也。
お互いの間に微妙な空気が流れている。
「恭也さん。もうちょっとだけ、こっちに寄って下さい」
「??????????」
恭也の頭の中には?マークで一杯になった。
が、乃絵美のお願いを無為に出来ないので、しぶしぶ、近寄った。
「恭也さん。私が寝るまで、手を握っててもらえませんか?」
「ああ。わかった」
恭也は、乃絵美の寝ているベットに腰掛けると、乃絵美から言われたとおりに手を握る。
握る瞬間に、少し、恭也の心でためらいが出た。
(この手は血で汚れている。俺の手は、危険を呼び込むものだ・・・・)
いつもの恭也ならためらって、そして、握らない。
今回は違っていたのだ。
恭也の心にも、ちょっとした変化が始まっていたのである。
お願いされている相手が乃絵美と言うこともあって、手を軽く握ってやる。
乃絵美は嬉しそうな顔をして、目をつぶった。
10分後。
乃絵美は静かに寝息を立てていた。
恭也は乃絵美が寝たのを確認して握っていた手を放そうとした。
寝ているはずの乃絵美の顔が曇った。
空いている手で寝ている乃絵美の頭を優しく撫でてやる。そう、なのはが膝の上で寝ているときにやるように。
やさしく、やさしく、撫でてやる。
そうすると、乃絵美はまた、嬉しそうな顔をして静かに寝息を立て始めた。
そして、恭也は乃絵美の部屋を出て、鍛錬の用意をして一階に降りた。
一階に降りた恭也を待っていたのは貴美恵だった。
「恭也くん。乃絵美は寝たのね?」
「・・・・・・・はい」
「恭也くんは何か感じてるのね。乃絵美の中にあるものを」
「ええ。多分、乃絵美自身が乗り越えないといけない物だと思います」
恭也がそういうと、貴美恵の顔が曇った。
「・・・・・・」
「貴美恵さん。乃絵美はきっと乗り越えられますよ。なんて言ったって、忠志さんと貴美恵さんのお嬢さんですから」
「・・・・・・」
「貴美恵さん?」
恭也が呼ぶと、貴美恵は下を向いていた顔を上げた。
その顔色には、なにやら、決心した顔だった。
「恭也くん。話しておかないといけないことができたから、鍛錬が終わって帰ってきたら、リビングに来てね」
「はい。わかりました」
「それと、はい。スペアの鍵渡しておくわね」
「ありがとうございます。では、いってきます」
「いってらっしゃい」
忠志がこっちに気付き、声をかけてくる。
「貴美恵?」
「なに?あなた」
「恭也くんはがんばるなぁ〜。うちの正樹も少しは見習ってほしい」
「そうね。比べるものが違うけど、正樹は正樹でがんばってるけど、恭也くんに比べるとまだまだね」
「ああ、そうだな。普段の恭也くんは無闇やたらと力を見せないから、そのあたりは士郎と同じだな」
「ええ、そうね。今、どれだけの力があるかはわからないけど、いざとなれば、その力を存分に振るってくれると思うわ」
「だから、安心して乃絵美を任せられるな。正樹と違って、傷付くと言うことの本当の意味を知っているからな。恭也くんは」
「ええ。本当にね」
「今日、正樹が帰ってきたときのやりとりを聞いていたが、本当に『すごい』の一言だ」
「あなた、私からの提案なんだけど、私達二人と角屋さんだけが知っている乃絵美の秘密を恭也くんにだけは話しておきたいの。
いいかしら?」
「・・・・・・・・」
「あなた?」
「正直に言うと、まだ、その時期じゃない気がするがな。でも、恭也くんなら・・・という期待があるのか?」
「そうね。あなた、恭也くんは私達家族ですら、わからなかったことをたった一日で見抜いたのよ」
「そうなのか。乃絵美も恭也くんにだけ、心を開いているみたいだな」
「だから、恭也くんには前もって知ってもらってた方がいいと思うの。それに、話すのなら、早いほうがいいと思うの」
「わかった。貴美恵が決めたことだ。私も同席しよう」
三時間後、恭也が鍛錬を終えて帰宅した。
そのままだったら、お二人に不愉快な思いをさせてしまうので、シャワーを使わせてもらい、汗を落とすことにした。
そして、リビングに入った。
「恭也くん、お疲れ様」
「はい、すみません。遅くなってしまいまして」
「いいのよ。こっちが、言い出したことだし」
「貴美恵、その辺にして、本題に入らないと、恭也くんの睡眠時間が・・・」
と、忠志は苦笑いを浮かべていた。
「そうね。わかったわ」
「乃絵美の事ですよね?」
「ああ、そうだ」
「その前にこの写真を見て」
と、一枚の写真を恭也に渡した。
そこには、二組の夫婦と二人の子供が写っていた。
一組の夫婦は、間違いなく忠志さんと貴美恵さんだった。そして、二人の子供は間違いなく、正樹と乃絵美だ。
もう一組の夫婦は?もう一組の夫婦の女性は、どことなく、乃絵美に似ていた。
そして、その夫婦に抱かれているのは、乃絵美だった。
(どういうことだ?乃絵美は忠志さんと貴美恵さんの子供じゃないのか?)
「・・・・・・・・・」
「恭也くん?」
「・・・・・はい」
「何か、言いたそうね。遠慮なく言ってくれて構わないわ」
「乃絵美は、忠志さんと貴美恵さんの子供じゃないのですか?」
忠志が口を開く。
「ああ、違う。乃絵美は、俺達の子供じゃない」
「写真に写っているもう一組の夫婦が、乃絵美の本当の両親よ。名前は、角屋真崎と角屋乃恵美」
「・・・・・・・。忠志さん、貴美恵さん。乃絵美は知っているんですか?」
「いや、知らないはずだ」
「まだ、続きがあるのよ。角屋真崎と角屋乃恵美は本当の兄妹なの」
恭也が絶句している。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「兄と妹と言う関係で、それでも愛し合って、そして駆け落ちした事」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
さらに、沈黙する恭也。
「恭也くん・・・・」
「・・・・・・・・・・はい。もう一つ、聞いてもいいでしょうか?」
「ええ、いいわよ」
「今、乃絵美の両親は・・・・・・・俺の父と同じく、この世に居ないと言うことですか?」
「察する通りよ。乃絵美の母親の角屋乃恵美は乃絵美を生んで、二年後に亡くなったのよ」
「乃絵美の父親である角屋真崎は角屋乃恵美が亡くなった一年後に火事があり、正樹と乃絵美を命と引き換えに助けた」
「そうですか。乃絵美には、真実を告げるつもりですか?」
「いつになるかはわからないけど、言うよ。それが、約束だったから。あの二人とのね」
「はい。わかりました。俺の胸のうちに留めておきます。もう一点、戸籍上はどうなっているのですか?」
「ああ。その辺は、わたしたちよりも不破の名を持つ恭也くんの方が知っているのではないかい?」
「!?どうして俺の別の名前を・・・・」
「私達が士郎さんに相談したというよりも、苗字が不破のときの士郎さんと知り合っていたからだよ」
「知り合ったときに『おまえたちが困ったときにはいつでも力になってやる』と言い残してくれた」
「そうですか。あのクソ親父め、俺に隠れてそんなことをしていたのか」
恭也の頭の中では、雲に乗った父さんが出てきて、こんな台詞を残して消えた。
(はっはっはっはっはっはっ、俺の力を思い知ったか。愚息よ)
「恭也くん。クソ親父って、もしかして、士郎さんのこと?」
「ええ、そうですよ」
「なぜと聞いていいかしら?」
「あまり、聞かないほうがいいかと。壮絶さが残るだけですから。それでもいいなら、話しますが」
それを聞いた忠志と貴美恵は引きつったような顔を見せていた。
「聞いてみたい気がするけど、今はやめておくよ」
「ええ。一晩では無理ですからね。あのクソ親父のやってきたことを話すのは・・・・」
「私達からの話は終わりよ。何か、他に聞きたいこととか、話しておかないといけないこととかある?」
「いえ、ないですけど、剣術をしていることは、秘密にしておいてください」
「ああ。わかっているよ。私達からは、ばれないようにするから。恭也くんも気をつけてね」
「ええ。わかっています」
「そろそろ、寝ないと、恭也くんが・・・・」
「む・・・・。一日ぐらいなら、寝なくても大丈夫ですよ」
「駄目よ。寝れるときに寝ておかないとね」
「はい。わかりました。おやすみなさい」
「「おやすみ」」
恭也は自分の部屋へ帰っていった。
そして、一日が終わった。
第二章 かわっていく、想い 第二話へ続きます
あとがき
ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
やっと、書きあがった。
小鈴「京梧〜(怒怒怒怒怒怒怒怒」
ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
小鈴「まぁ、いいわ」
わーーーーーい
小鈴ちゃん。ありがとう
小鈴「今回は、乃絵美の両親のお話でした。って、おいっ!!!」
小鈴ちゃん、何?
小鈴「転校の話は?」
ああ。
ちょっと、両親の話を引っ張りすぎて、次回からということで。
小鈴「こぉぉぉぉのぉぉぉぉお馬鹿!!!!!!!」
ぶべらっ
小鈴「ハァ、ハア、ハァ」
・・・・・・・・
小鈴「すみません。京梧が予定とは違うものを引っ張りすぎて、予定していたものがなっちゃいました」
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
小鈴「次回からのお話は、転校編です」
でわでわ。この辺りで
小鈴「感想は掲示板におねがいします」
いやー、凄い秘密が。
美姫 「本当よね」
だが、これぐらいなら恭也の態度は変わらないと思いたいな。
美姫 「大丈夫よ」
だよな。ともあれ、これからどうなるのか。
美姫 「次回も待ってますね」
ではでは。