設定は、とらはの方はAllエンドで恭也は誰とも付き合っていません。
With Youの方は、乃絵美は拓也に振られています。

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とらいあんぐるハート3×With You(伊藤 乃絵美)

ずっと二人で・・・

第四章 とまどい、そして・・・ 後編
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桜美町から鳴海までは電車で三時間ほどの旅。
恭也は乃絵美を連れ、鳴海へと帰省するのである。


午後九時前。
鳴海駅の改札。

「やっと、着いたな。乃絵美、疲れていないか?」

「大丈夫だよ。恭也さん」

「ふむ。・・・・迎えが来ているはずだが・・・・」

と、恭也は周りを見渡しながら、周りの気配を探ると、フィアッセの気配がしたので、そちらを向いてみると笑顔を浮かべて二人を見ているフィアッセを
見つけた。

「おかえり、恭也。それから、いらっしゃい」

「ただいま、フィアッセ」

「・・・・・・あっ、はじめまして。伊藤乃絵美です」

乃絵美は光の歌姫ことフィアッセに見とれつつ、挨拶を済ました。

「じゃあ、恭也に乃絵美さん、車に乗って」

「は、はい。わかりました」

「ありがとう。フィアッセ」

車に乗り込むと、フィアッセはゆっくりと車を走らせて、高町家へと帰って行った。

「それはそうと、恭也、黙っていなくなるから、こっちは大騒ぎだったよ」

「む・・・。母さんとなのはは知っていたのだが・・・」

「桃子は『私に聞かないから関係ないわ』って知らんっ振りしてたし、なのはには聞いてもわからないだろうなって思って聞かなかったよ」

「・・・」

「それに、美由希や忍、晶、レン、那美はあっちこっち、探していたみたいだよ」

「・・・」

「フィアッセさん、私の母が無理を言って、恭也さんをバイトに誘ってしまったらしいですから、こちらにも責任はありますよ」

「乃絵美さん、いいのよ。みんな、恭也のことを心配してただけだから」

「・・・。フィアッセ、俺って、そんなに心配されるようなことをしていたのか?」

「恭也、それ、本気で言ってる・・・?」

「・・・ああ。本気だが・・・」

フィアッセは、毎度の事ながら、呆れた顔をして、恭也のほうをバックミラー越しに見ていた。

「む・・・?フィアッセ、俺は何か、変なことを言ったか?」

「はぁ〜・・・。もう、いいよ。恭也には、何を言っても無駄なのね・・・」

「あはは・・・」

乃絵美は苦笑いをうかべながら、こちらを見ていた。

「・・・・・。乃絵美、俺は何かおかしなことを言ったのか?」

「恭也さん?」

「ん?」

「鈍感さんだね」

乃絵美はにっこりと微笑んで、死刑を宣告したかのように言い放つ。

がーーーーーーーーん。
っと、ショック音がなったかのように、恭也は落ち込み始めた。

フィアッセは、楽しそうな二人をバックミラー越しに少し寂しそうな表情で見ながら、高町家へと車を走らせていた。


車を走らせること、十数分後、恭也と乃絵美とフィアッセは高町家の玄関前に立っていた。

「む・・・」

「恭也さん?」

「どうしたの?恭也」

「・・・・・・。いや、ここに居てはいけない人が居るような気がして家に入りにくい」

「恭也。気にしちゃだめだよ」

「フィアッセ。最近、よく思うのだが、ティオレさん化してきていないか?」

「ひどいよ、恭也。私はあそこまで、いたずらしないよ」

「・・・。まぁ、いいか。家の前で突っ立てても仕方が無いので入るとしようか」

「はい」

ガラッ

ドタバタドタバタ。

「む・・・・・。相変わらず、騒がしい連中だ。もうちょっと、静かに出てこれないのか」

「あはははは。恭也、それを言わないの」

「恭也さん。皆さん、元気があっていいですよ」

騒がしく近づいてくる足音と、これから、起こるであろう事を考えると恭也は頭を抱えたくなった。
そんなこととは、いざ知れず、美由希・晶・レン・(なぜかいる後の二人)那美・忍の五人が玄関に現れると同時に恭也を問い詰め始めた。

「恭ちゃん。今までどこに居たの?」

「お師匠。どこに行ってたんですか?」

「師匠。何も言わずに居なくならないでください」

「高町くん。居なくなるならなるって言ってくれればいいのに」

「恭也さん。私が着いて行ったのに・・・」

「こら。那美。抜け駆けしない」

「そうですよ。那美さん」

などと、マシンガンのように質問やら何やらが次々に飛んでくる。
最初のうちは、恭也も苦笑いを浮かべて様子を見ていたが、一向に治まる気配が無い。それどころか、より一層、にぎやかになってきたのである。
そこに、母さんとなのはが現れて、こちらに近づいてきた。

「恭也。おかえり。・・・にぎやかね」

「お兄ちゃん。おかえり。もう、お姉ちゃんたちも、落ち着けばいいのにね」

「ああ、ただいま。母さんになのは」

桃子となのはは恭也の後ろに隠れて見えなかった乃絵美の存在を見つけて、二人は軽くお辞儀をする。
乃絵美も軽くお辞儀を返した。
ほかのメンバーはそれに気づかず自分たちの会話を進めていた。

先ほどの三人の会話が聞こえていたのか、残りのメンバーが恭也に食って掛かった。

『私たちにはないの?「ただいま」は』

「高町くん。内縁の妻である私には挨拶ないの?」

そんな会話を聞き流しながら、もしくは無視しながら、恭也となのはと桃子は三人で話をしている。

「母さん。これはにぎやかじゃない。うるさいだ」

「確かにこれはうるさいわね」

「お母さん。お姉ちゃんたちはお兄ちゃんが居なくなってからずっとこんなものだったと思うけど・・・」

「確かにね。私たちには関係ないけどね」

「いつもか・・・・。なのはと母さんには悪いことをしたな」

「もう、何言っているのよ、あんたは。そんなこと、私たちは気にしていないわよ。ねぇ?なのは」

「うん。毎日、騒がれるのはやめて欲しいけどね・・・」

なのはが、美由希たちのほうを見て言い放つ。
毎日、騒いでいた本人たちは、恭也のほうを睨んでいた。
まるで、恭也が悪いと言わんばかりに・・・。

そんな恭也はというと、桃子となのはの会話をしつつ、こちらを睨んでいる五人を見ていた。
しばらくはそのままの状態を維持していた。
が、五人がこちらを睨んでいる時間が長くなるにつれて、恭也の堪忍袋の尾は切れかかっていた。

その状態が一分半ほど続いていたのだが、急に恭也の表情が無表情になり始めた。
礼儀を重んじる恭也にしてみれば、これはなんとも、耐え難い行為である。

さらに一分後、完全に無表情になった恭也から、微かな殺気が放たれていた。
恭也の変化に一早く気づいたフィアッセが乃絵美に耳を塞ぐように指示する。

先ほどまで、自分たちの会話に夢中になっていた美由希が恭也の変化に気付き、少し青ざめつつ、恐る恐る恭也に聞いてみた。

「恭ちゃん?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「ひょっとして、私たち、自爆した?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

美由希が聞いてきたのだが、無視して沈黙を貫いた。そして、会話が途切れた一瞬に恭也の大罵声が飛んだ。

「・・・・・・・・。えーーーーーーい。き・さ・ま・らぁ〜、お客さんの前だぞ!!!」

「それに、俺が礼儀を重んじることは百の承知のはず。知っていながら、この有様は何だ!!!!」

「ちょ・・・」

「この有様では、お客さんに恥ずかしくて、「このメンバーが家族と友人です」などと説明もできん!!!!!」

「貴様らは普通に挨拶も出来んのか!!!!それから、忍。俺がいつ内縁の夫になった?いつも、そんなことばかり言うと本当に縁を切るぞ!!!」

「毎回、事ある度に騒ぎ立てやがって、今度という今度は、許さん!!!!!!!!」

「母さん、この五人を締め出して家の中に入ろう。ここじゃ、まともに話が出来ない。なのはとフィアッセもそれでいいか?」

「私はいいけど、ま、ここじゃ、ご近所様に迷惑が掛かるだろうし、うるさくて話なんて出来ないわ」

「お兄ちゃん。私もいいよ。毎日、騒がれて迷惑していたの」

「私もいいよ」

切れた恭也は桃子たちに先に家の中に入るように指示し、桃子たちを先に家の中に入れる。
桃子たちが家の中に入るのを見届けた後、美由希たちが続いて家に入ろうとしているので、恭也は一瞬だけ、五分程度の殺気を開放し、美由希たちを
固まらせて、自分が中に入り、中から、鍵を掛けたのである。


そして、家から締め出された残りのメンバー。

「今回はやり過ぎだったかな・・・」

「確かに、やりすぎだったね。けど、温厚で有名な高町くんがあそこまで切れるとは・・・」

「それに、師匠の後ろに居たあの人は・・・・誰だろう?」

「恭ちゃんと一緒に着いて来ているという事は・・・。まさか?」

「あの恭也さんだよ?」

「本当だね。あの高町くんに限ってね・・・」

「そうだね。鈍感な恭ちゃんだし・・・」

そう言い切る美由希に対して全員がうなづく。

だが、この時、既に恭也の心には微々たる変化が始まっていたことを知らなかった。
そして、この出来事以降、美由希たちにとって、大いなる後悔が着実に近づいていることなど、この時、ここにいる誰もが知る由は無かった。


うるさい五人を高町家の玄関先に放置し、高町家のリビングに入ってきた恭也と乃絵美、桃子になのは、そしてフィアッセ。

「お久しぶりですね。桃子さん」

「ええ、そうね。乃絵美ちゃん。忠志さんや喜美恵さんは元気かしら?」

「元気ですよ。お兄ちゃんも元気です」

なのはが、乃絵美に遠慮しながら、話しかける。

「えっと、乃絵美さん?」

「はい?えっと・・・。」

「高町なのはです。小学校二年です」

「なのはちゃんだね。よろしくね。私は、伊藤乃絵美って言うの。高校二年だよ」

「乃絵美さん、よろしくお願いします」

「ところで、乃絵美ちゃん。うちの愚息はどうかしら?役に立っているかしら?」

「ええ。とっても、よくしてくれますよ」

「それはよかったわ」

「はい。売り上げが増えたと、母が喜んでいました。しかも、女性のお客が増えたと・・・・」

「あはははは。それは、どこでも一緒ね。それで、恭也は何をしに帰ってきたの?」

「父さんの墓参りだな」

「それだけ?」

「ああ。そうだが・・・。何か、問題でもあるのか?」

「・・・。ほかに何か、ありそうね・・・。私に隠しているでしょ」

さすがは、桃子である。伊達に十数年、恭也の母をしていない。恭也が何かを隠していることを咄嗟に気付いたのであった。

「む・・・。母さんには敵わないな。でも、今ここで、話すようなことじゃない」

「わかったわ。それはそうと、乃絵美ちゃんは、飲み物は紅茶でよかったかしら?」

「ええ。お願いします」

「なのはとフィアッセは?」

「お母さん。私は、オレンジジュースでもいいかな?」

「桃子。私は、乃絵美さんと一緒でいいよ」

「なのはがオレンジに、フィアッセが紅茶ね。恭也は?」

「特盛アイス宇治ち「はぁ〜。特盛アイス宇治茶だけはやめて・・・」・・・」

恭也は例のごとく、特盛アイス宇治茶を注文しようとすると、すかさず、桃子の突込みが入る。

「恭也さん、それは何が何でも無理だと思います」

「恭也。その注文はダメだよ。相変わらずね。ねぇ〜、なのは?」

「うん。お兄ちゃんたら〜」

フィアッセとなのはと乃絵美の三人から突っ込みを入れられて、少し落ち込み気味の恭也はコーヒーを注文する。

「乃絵美ちゃんが元気に成長しているのを見て、安心したわ〜」

「え?桃子さん、それは・・・」

「初めて会った時の事を思い出していたのよ」

「あのころは、本当に、病気ばかりで、外に出られて遊べるお兄ちゃんのことを羨ましく思っていたんです」

「ちゃんと、成長してこんなに可愛くなっている乃絵美ちゃんを見れて、桃子さんは感激よ」

「可愛いかどうかはわかりませんが、元気な姿を見せられてうれしいです」

「母さん、乃絵美が困っているだろう・・・」

「恭也はどうなの?乃絵美ちゃんを見て、どう思ったの?」

「む・・・・・。か、母さん、勘弁してくれ」

妙に動揺する恭也。
桃子はそんな恭也の様子を見て、『我、確信を得たり』と心の中で思った。
今の恭也は、確実に乃絵美に引かれ始めていると・・・。

「まぁ、本人を前にして言うほど、うちの愚息は愚かじゃないか」

「桃子。私もその質問はどうかと思うよ?」

「お母さん、デリカシーなさ過ぎです」

なのはの一言に桃子はとどめを刺されたかのようにがっくりと落ち込んでしまった。
それを見ていた恭也たちは苦笑いを浮かべてことの成り行きを見守っていた。


第五章「恭也の決意と気持ちの変化」へと続きます。



あとがきという名のいいわけ

・・・・・・
小鈴「・・・・・」
・・・・・・
小鈴「で?」
何が?
小鈴「約2年間、何をしていたのかしら?」
転職とか、色々ですよ。
小鈴「まぁ、いいわ」
・・・・・・
小鈴「なんて、言うと思ったかしら。このお馬鹿さん」
うっ。
小鈴「覚悟はできたかしら」
ちょっと、待てぃ。
なんだ、その鎖付きの棒は?
小鈴「あら、知らないかしら。あなたがやっているROで出てくる武器でしょ」

ドカッ
バキッ
ドカッドカーーーーーーーーーーン

あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

パタッ
ドクドクドク←血が流れている音

小鈴「あら。やだわ。失礼しました。作者があまりにもこの作品を放置したから」
小鈴「今後は、しっかりと監視しますので。本当にすみません」
小鈴「感想は掲示板によろしくね」



海鳴へと戻ってきた恭也。
美姫 「そして、その傍には乃絵美と」
しかし、珍しく恭也が怒鳴ってましたな。
美姫 「まあ、仕方ない部分もあるけれどね」
桃子は何かに勘付いたみたいだけれど、美由希たちは気付いていないみたいだな。
美姫 「これが今後どうなるのかしら」
それでは、今回はこの辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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