「えと・・・、高町美由希です。 この学期間の短い間になりますが、よろしくおねがいします。」

 

ワカラナイ・・・

 

「席は窓際の一番後ろの席ですが、え〜と眼のほうは大丈夫ですか?」

 

ナゼニイマジブンガココニイルノカ・・・

 

「あっ・・・、はい。眼鏡かければ大丈夫です。」

 

「そう・・・。では、席のほうへ。」

 

そうして、壇上から教室の後ろのほうへ歩いていく中、クラス全体の視線を一身に感じる。

前後で、ヒソヒソ・・・

隣同士でヒソヒソ・・・

どうも、この面々を見渡す限り、私はやはり浮いているのではないだろうか・・・?

 

(あ〜いけない。いけない・・・)

 

私は、ここには学生として勉学を励みに来た訳ではなく、

御神の剣士としてやってきたのだ。

考えがカタカナになってるいる暇などない(?)。

 

で、席に着いてみたら・・・

ちょうど、「彼女」の後ろになってしまった。

まだちょっと、信頼関係の構築がうまくいってないので、

私個人としては実は、困っていたりもするのだが・・・

 

(運がいい・・・よね。・・・たぶん)

 

とりあえず、出来ることを1つずつやっていこう。

恭ちゃんみたいにうまく出来るかどうかはわからないけど、

私なりに頑張ろうと思うのだ・・・

 

 

 

 

 

8. 『 はめられた・・・』

 

 

 

 

「・・・と、言うわけだ」

 

え〜と、何が?

 

「まぁ、考えようによっては、いいチャンスだ。 頑張って来い」

 

だから、何を?

 

「恭也・・・、妹君が、眼を白黒させてるぞ・・・」

「いつものことですから、気にしないでください」

 

なんかひどいことも言ってるし・・・

 

本日、学校での授業が終わって、特にすることもない私は早々に帰宅することにした。

そうして、家に着いてみると・・・

いつもと変らない恭ちゃんと、

いつもより、すごく笑顔のリスティさんが待ち構えていたのだ。

部屋に鞄を置く間もなく、そこに座れと言われた私・・・

で、あ〜だこ〜だという話が始まり今に至る。

 

で・・・、この二人が何を言ってたのかというと・・・

 

「それは、話は判りますけどね・・・。 だからって、さすがにこの時期にいきなり転校というのはちょっとぉ・・・」

「まぁ、おまえの言い分もわからないでもない・・・」

 

先日、学業優先とか言ってた人が何をぬかしますか・・・

 

「しかし、さっきも言ったとおり、適任なのは君しかいないんだ。 

まさか恭也が女子校に通うわけにはいかないだろう?」

 

あはは〜、もし平行世界というのが存在してたら、きっとあなたは恭ちゃんでも、おもしろいという理由だけで、転校させてるような気がプンプンですよ・・・

 

「まぁ、しかし大変だな・・・。なにせ一学年下にいくわけだし」

「・・・・・・へ?」

 

なんかいま・・・

さりげなく凄い事いってたような・・・

 

「『へ?』じゃない。 護衛対象は一学年下だと言っている 」

「うん。それはわかる 」

「だから、美由希もその護衛対象と同じ学年にいくと・・・ 」

「・・・」

 

とりあえず、先程まで空回りしていた脳をしっかりと固定して高速で回す・・・

え〜と・・・

もしかして、私の人生はここで大きくかわりますか?

 

「まぁ、一留くらいどうってことないよ。 恭也も一留だろ?」

「いや、俺の場合はどっちかというと一浪ですけど・・・」

「まぁ似たようなものだよ」

 

私が口をはさむ間もなく、どんどん話を先に進めていく二人・・・

しかし、ここで黙って頷けるほど、私は人間が出来ていないのだ。

 

「あの〜、さすがにそれはちょっとぉ〜、というよりかなり困るんですけど・・・、

私、もう大学への進学が決まっているわけですしぃ・・・」

 

弱腰だけど・・・

 

「残念だけど・・・」

「勘弁してください」

 

引けない・・・

ここで引くわけにはいかない。

浪人ならまだしも留年だけは本当に勘弁だ。

すると、リスティさんが「クク・・・」と笑いをこらえるような仕草をみせて言った。

 

「悪い悪い・・・。さすがにさっきまでの話は半分くらいは冗談だよ」

「半分・・・?」

 

半分・・・

って、どのくらい?

いや、10円の半分は5円です・・・とかそういう話ではないんですよ。

 

「護衛対象と同じ学年に転校はしてもらう」

「はい・・・」

「けど、それが終わり4月を迎えたら、大学への進学も保証する」

 

え・・・?

けど、それはいろいろ問題があるはずだ。

するとリスティさんは、こちらを表情を窺ってか・・・

 

「大丈夫だよ。美由希・・・」

 

と微笑んだ。

きっと、よっぽどの自信があってのことだろう。

たぶん、私には思いも着かないようないい方法をこの人は知っているのだ。

 

(見た目はけっこう、幼い感じなんだけどなぁ・・・)

 

しかし、その言葉には信頼に値するような『何か』を感じさせる。

そんなリスティさんに感心し、次の言葉に期待する・・・

 

 

「文部省に知り合いはいくらでもいる・・・」

 

 

と、笑顔でぬかす銀髪の小悪魔がここに一匹・・・

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

・・・・・・・・・

 

「ち・・・」

「ち?」

「ちがぁ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----う!!!」

 

感情を爆発させた私は立ち上がりリスティさんの肩に手をかけた。

 

「なんで・・・?、どうして、あなたはそういつも知恵の輪を力で引き千切るような方法しか提案してくれないんですかっ!!(;;`Д´)」

 

私に、肩を揺さぶられて自由を奪われながらも楽しそうな悪魔・・・

 

「失礼な。 僕はいつだって、美由希のことを思ってだね〜(´∀` )」

 

その隣ではまったく、何もないかのように緑茶をすすっている恭ちゃん・・・

 

「そうですね! あなたはいつもそうやって、ちゃんとした結果が得られる範囲で可能な限り、

私をおちょくって遊ぶんですよね…(;ノノ)。

っていうか、そもそも犯罪じゃないですか!」

 

「犯罪・・・? それ以前に君だって許可無しに、

危険物所持して街を徘徊するじゃないか・・・(=´ω`=)y─┛~~」

 

「うっ・・・、それは確かにそうですが・・・Σ(・ω・;) 」

 

まずい・・・敗色濃厚かも・・・

 

「美由希・・・、ことは既に重大な事件なんだ。 こういう時に一番必要なのは、

柔軟性だよ」

 

「柔軟性・・・」

 

・・・・・・・・・

確かにそれはあるかもしれない・・・

 

「だから仕方ないんだよ・・・(*´∀`)」

 

って、なんであなたはそこで満面の笑みを浮かべるんですか?

 

しかし、悔しいかな、まったく反論の言葉が浮かばない・・・

 

「わかりました。 納得は微妙に出来ませんが・・・」

「それはよかった」

「ただ1つだけ訊きたい事が・・・」

「なんだい?」

 

「実はもっと、合法かつ合理的な方法を知ってるんじゃないですか?」

「・・・・・・」

 

あさっての方角へ向き沈黙・・・

そこで、急に自分の腕時計をみるリスティさん

そして・・・

 

「おっと、これはいけない。 そろそろ戻らないと。

それじゃ二人とも、また連絡するよ」

 

と残して、小悪魔は風のように去っていった・・・

残っているのは、私たち兄弟だけ。

そこで、兄が空になった湯呑をおいて口を開いた・・・

 

「まぁなんだ・・・がんばれ…(;´Д`)」

「ウン…(|||´Д`)」

 

空は晴れ、日差しは暖かくいい天気だが・・・

私の心は曇り空・・・_| ̄|○

 

 

 

 

9. 『小笠原家』

 

 

 

 

「おおきい・・・」

 

リスティさんから話を持ち込まれてから早2日・・・

既に私は、護衛対象である『小笠原祥子嬢』の住まう邸宅の前にいた。

インターホンを鳴らして、敷地の中にいれてもらうとますます、圧巻・・・

 

「忍さんの家といい勝負かも・・・」

 

お金のいうのは、あるところにはあるんだなぁ〜。

敷地内は非常に整然とした庭園になっていて、

まるで、話によくある中世のお城のようだ。

そして、建物の入り口のほうを見ると、門番・・・ならぬ執事っぽい人が立っている。

よくある老人のような人ではなくて、まだ若い感じだ。

年は30〜40といったところだろうか・・・?

 

「高町美由希様ですね・・・?」

「あ、はい・・・」

「お待ちしておりました。 こちらへどうぞ・・・」

 

そうして、開かれた玄関のドアから見えるのは・・・

 

(うわぁ〜・・・)

 

とんでもない広さの空間。

なんというか、驚いてばかりで自分がここに何をしに来たのか忘れそうになる。

『ここ』というのがさしているのは、小笠原邸宅・・・

『何をしに』というのは、もちろん護衛だ。

それをなす為の、でっちあげストーリー・・・

 

(そう。たしか、私は・・・)

 

遠縁の従弟として、ここに厄介になるのだ・・・

 

 

 

執事の人に案内されたどこかの部屋(広すぎてどこがどこだかわからない・・・)。

そこには、一人のご婦人がいた。

身なりから察するに、おそらく小笠原の姓を持つ人だろう。

 

「まぁ♪、 可愛らしい娘じゃない!」

 

と、とても可愛らしい仕草で手をパチンとあわせるご婦人・・・

え〜と、誰かわからないから対応が出来ないんですけど・・・

すると、執事さんが小声で「奥様です」と耳打ちしてくれた。

 

「あの・・・、今日からお世話になります。 高町美由希です・・・」

「はい。聴いてますよ。 じゃぁ、美由希ちゃんって呼ばせてもらっていいかしら?

あ、私のことは清子って呼んでね。 にしても大変ねぇ、ご両親が急に海外に転勤されたのですってねぇ」

 

それは、リスティさんが、小笠原グループの会長や社長と作り上げたでっちあげストーリーだ。

どうやら、聴いたとおりこの家で本当の事をしっているのは一部の人間だけらしい。

 

「にしても、遠縁とはいえ、もっと交流があればずっと前に知り合えたのに・・・

残念だわ」

「あははは・・・、でも本当にとても遠いようですから・・・

私にとってはこうして、厄介になれただけでも奇跡のようなものです」

「じゃぁ、その奇跡に感謝しないと・・・♪」

 

うわぁ〜、清子小母様かわいらしすぎる・・・

小母様から発せられているその雰囲気にのまれて、こちらも自然と笑顔になってしまうほどだ。

 

「さて、じゃあ長旅の疲れもあるでしょうし、お部屋に案内するわ。 荷物のほうもそちらにもう運んでいるから」

 

そういって、本当に楽しそうしている小母様の後を追い、

当分の間お世話になるであろう部屋に辿り着くのだった。

 

 

 

 

10. 『the ご令嬢』

 

 

 

 

私が部屋に通された後、荷造りをしていると30分もしないうちに祥子お嬢様が帰ってきたようだ。

時刻は夕刻の6時頃だ。 彼女の通っている学校の授業時間が一般的なものならば、

この時間に帰ってくるということは、クラブ活動か何かをしていたということだろう。

 

(とりあえず、早く会いに行くべきかな・・・)

 

荷造りを一時中断して、軽く着衣を整えて部屋を出ようと思ったら・・・、

ちょうどそこで、誰かが私の部屋に近づいてきてドアをノックしてきた。

「どうぞ・・・」といって、ドアを開けると・・・

 

写真でみたままのお嬢様がそこにいた。

どうやら部屋を出る手間が省けたようだ・・・

 

 

 

 

「お父様から、そういう話を聞いていたけど、本当に来たのね・・・」

 

祥子お嬢様の最初の言葉はそんな言葉だった・・・

恭ちゃんが、「かなり緊張した」と言っていたわけがよくわかった。

とりあえず、今のところ観察できる面だけでも、

これでもか〜!っていうくらいこの人は純粋なお嬢様だとわかる。

正直、清子さんとのギャップが激しいのではないかと・・・

 

「はい。 えっと私は・・・」

「高町美由希さんね」

 

どうやらご当人は存じていらっしゃるご様子・・・

仕方なく次の話題へ移行する。

 

「えっと、とりあえず、お嬢様がどこまでご存知が聴いてもよろしいですか?」

 

お嬢様に椅子を勧め、自分はベッドに腰を下ろす。

 

「父と祖父の会社で、いざこざがあって、

もしかすると私にも危害があるかもしれない・・・っていうところかしら。

それで、ボディーガードが来るとは聴いてましたけど、まさか・・・」

「こんなのが来るとは思ってもいなかった?」

「えぇ。 失礼ですけど年齢を伺ってもよろしいかしら?」

 

うーん、予想はしていたけど、けっこう手厳しい。

それと、私の知っている事件の全貌とは違うところから考えると、

事は出来るだけ裏で穏便に済ませたいというところだろうか・・・。

まぁ今はそれは置いといて・・・

こういう場合はとりあえず、信頼関係の醸成が最優先事項。

冷静かつ完璧な対応が求められる。

 

「歳は18歳です。 頼りないかもしれませんが、これからこの件が解決するまでの間、

お嬢様のボディーガードとして働きます」

18歳っ!?・・・、もしかして学校のほうにも・・・?」

 

『なんでそんな娘がボディーガードなんだ〜!!』とでも言いたそうな様子。

まぁ普通の反応だろうなぁ・・・

 

「はい。 転入予定です。 学校のほうには少し無理をいって無理矢理同じクラスにしてもらってます。

それと、どうしても安心できないというのなら、私のことは連絡役とでも考えてください。

私が連絡さえいれれば、すぐに何人もの警察官が駆けつけるようになってますので・・・」

 

それを聴くと、お嬢様は目を閉じて大きな溜め息を一つ・・・

 

「・・・わかりました。 そのアタリの件に関しては私から言うことはありません。

ですが、ただ一つだけ・・・。・・・その『お嬢様』という呼び方やめてもらえますか? 」

 

なんというか、意外とすんなりいってる・・・

絶対に文句をいわれると思ったんだけど、もしかしたら今までにもこういう経験があるのだろうか・・・?

 

「えと、では何とお呼びすれば?」

「祥子でけっこう。 それと私たちは遠縁の従弟で、同じ学年ということになるのでしょう?

でしたら、敬語もけっこう。 私もそうします」

 

あ〜考えつかなかったかも・・・

言われてみればそうだ。

でっちあげストーリー上、彼女に対して敬語で話すのは少々、不自然かもしれない。

ということは、いつもの言葉遣いをするわけだけど・・・

 

(そう考えると逆に難しいような気がする・・・)

 

「え〜と・・・、じゃぁ、『祥子さん』・・・でいいかな?」

「えぇ、では私も『美由希さん』と呼ばせてもらうわ。 よろしい?」

 

どうやら、ただのお嬢様ではないようだ・・・

頭の回転もいい。 心のほうも芯があって強い人・・・

 

「はい。 ではこれからよろしくお願いしますね。祥子さん」

「こちらこそ・・・」

 

 

そうして、握手を交わした彼女の手は、その強さとは裏腹にか細いものだった・・・

まぁ、とりあえずは・・・

どうやらこの仕事の最初の難関は、越えれたようで・・・

 

 

 

 

 

 

 

―閑話―

 

「だけどさぁ〜。あんなに反対していたのに、急に態度を変えたね?君は・・・」

「それ以外にいい方法が俺には、思いつかなかった・・・。それだけです」

「ふ〜ん・・・、だけど『それだけ』っていうのは嘘だろう?」

「ノーコメント・・・」

「・・・まぁいいや。 それで君はこれからどうするんだい?」

「俺も独自でいろいろ動こうかと・・・。 だからそのために美由希にはせいぜい頑張ってもらわないといけない」

「ふむ。その心は・・・?」

「美由希にはピエロになってもらう。

観客だけでなく、ライバルも魅入るような立派なピエロにね・・・」

 

―閑話休題―

     

 


あとがき・・・

 

主人公交代。

中編とかいってたけど長編っになってるので話のテンポとるの難しいっす。

ちょっと、つながりが悪いっす。

後、お嬢様言葉(?)ってわからないっす。

 

で、次回マリみてに入るっぽいので、かなり大変になるだろうかと・・・

次回は、10月後半くらいかな・・・

とりあえずであであ〜

 

04/09/27

 


面白いですよ〜。次は10月の後半か。
美姫 「それまで待ってますので、頑張って下さいね〜」
ではで…。
美姫 「それはそうと、平行世界のリスティによって転入させられた恭也くんのお話はいつ頃できるのかな?」
あ、あはははは。何を言っているのかな?
ソレとコレとは違うじゃないか。
それに、平行世界というのは一つではないんだよ。つまり…。
美姫 「屁理屈は良いわよ。わかりやすく言うと、アンタのSSはいつ出来るのかって事」
いや、分かりやすく言ってくれなくても…。
美姫 「良いから、自分の分もさっさとしなさいよ」
は、はいぃぃ。ではでは〜。
美姫 「じゃ〜ね〜」





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