PM 3:45 薔薇の館

 

「へぇ〜、祥子の親戚ねぇ・・・」

 

と、ロサ・キネンシスこと水野蓉子・・・

「全然似てないねぇ」と、笑いながらコメントをつけるのは、ロサ・ギガンティアこと佐藤聖・・・

 

「血は繋がっていませんので・・・。 それで、この件は了承してくださりますか?」

 

貫禄たっぷりの三年生に負けず劣らずの存在感のロサ・キネンシス・アンブゥトゥンの祥子・・・

 

「了承もなにも、ここの生徒は皆、山百合会員なのだから私たちに意見を求める必要はないわ」

 

と、ロサ・フェティダこと鳥居江里子・・・

 

「というわけだから・・・。よろしくね。美由希さん」

 

高校生そこらとは思えないほど、愛嬌よく笑顔でそういうロサ・キネンシスに・・・、

 

「あっ、はい。 よろしくおねがいします」

 

緊張で固まっている小心者の件の中心人物が一名・・・

 

(そ・・・、育ちが違いすぎるよ〜・・・)

 

転校初日、かなりいろいろあったが、とりあえずは一通りの授業をこなし、放課後を迎えた・・・

祥子が山百合会(生徒会)の一員ということで、自動的に自分も着いて行くことになり、

今に至っている。

現在この場にいるのは、山百合会の一年生を除く全員。

 

ここに来てからというもの、

右を見てもお嬢様・・・

左を見てもお嬢様・・・

普通育ち(?)で、普通の学校に通ってきた美由希にはまったくの異世界といってもいいほどの

環境である。

ただでさえ、学校自体がそうなのに、現在この場に居る山百合会メンバー・・・

明らかに、他とはランク(?)が違い会った瞬間に緊張感が倍増した。

 

「それで転校初日なわけだけど、どうだった?」

「異世界に来たみたいです・・・」

 

美由希は聖の質問に素の答を返した。

なんとなく無難に取り繕ってもバレる気がする。

・・・のも確かなんだが、どちらかというと既に開き直ってる感があるかもしれない。

 

「あぁ〜、私はそれわかるかな・・・」

「そっか、蓉子は中等部からだったもんね」

「あと・・・」

「あと?」

「若い男性教師がいたのが意外でした・・・」

「へぇ〜・・・、なんで? って、今若い先生いたっけ?」

「神代先生のことでしょ。英語の・・・」

「うーん、覚えてないなぁ・・・」

 

季節は冬だから、この時間になるともう夕方の気配を感じ、

今、美由希たちのいるこの薔薇の館は古い木造建築でなにかしらの趣がある。

そんな中で今日初めて会った人達と、こうやって談笑していると、

別の人生を歩んできた自分になったような錯覚に陥ってくる。

 

(あ〜いかん、いかん!)

 

危うくも、本来の目的を忘れるところであった・・・

気をしっかりと持ち直し、自分で心の中で喝をいれたりしてると、

ちょうどその時に、

 

トッ、トッ、トッ・・・

 

と、廊下のほうから階段を昇ってくる音がする。

音から察するに3,4人だろうか?

 

(小柄な人間が三人・・・)

 

こういうのが判っちゃうあたり、美由希も十分に普通ではないのだが、そのへんは割愛・・・

自分の精神状態に問題がないことを確認して少し安心の美由希・・・

 

「たぶん、由乃たちね」

 

と、ロサ・フェティダ・アンブゥトゥンこと支倉令・・・

 

すると、ガチャッという音とともにビスケット扉が開く。

 

「すみません。遅れましたぁ」

 

と、現われたのは三人・・・

いずれも先にここに来ていたメンバーよりもまだ少し幼さを残すような印象がある。

 

(ということは、一年生・・・?)

 

「まだ大丈夫よ。 それより、あなた達にも紹介しないとね・・・」

 

祥子がそういうと、3人は初めて美由希の存在に気づいたようだ。

美由希もそこで、初めて3人の顔を正面からみた。

すると・・・

 

「「・・・あっ!?」」

 

三人のうちの一人と声がはもる・・・

 

「・・・みゆゆん?」

 

その声の主は、一年生にしてロサ・ギガンティア・アンブゥトゥンの藤堂志摩子・・・

そして・・・

 

「その声、そしてその名前を知っているということは・・・!?」

 

なんだかよくわからない・・・というか理解できない雰囲気が部屋を包む。

 

「もしかして、もしかして、もしかすると・・・・・・・・・『しまぽん!?』」

 

・・・・・・・・・

 

((((((( ・・・・・・しまぽん?)))))))

 

 

あれ?・・・この学校に何しにきたんだっけ?

 

 

 

 

 

11. 薔薇の館にて

 

 

 

 

・・・・・・・・・

沈黙が部屋を包む。

というか、当事者以外は話についていけない+何かしらのショックを受けているようだ。

とりあえず、判ることといったら先程の会話からおそらく、当事者二人は知り合いなのだろう・・・ということだけ。

 

( 『しまぽん』・・・『しまこ』だから『しまぽん』・・・・・・? 【ロ・ギ】)

( けど、なんで『ぽん』なのかしら・・・? 【ロ・フェ】)

( でも、こういうのを訊くのってなんだか失礼よね・・・ 【ロ・キ】)

( なにげに、『みゆゆん』も気になるんだけど・・・ 【ロ・フェ・ア】)

( やっぱり、『しまぽん』の方が気になる・・・【ロ・キ・ア】)

( っていうか、そもそもこの人誰?【ロ・フェ・ア・プ】)

 

「あのぅ〜、いいですか・・・?」

 

部屋中に充満する沈黙の空気を破るべく最初に挙手をしながら口を開いたのは、

三人の一年生の内、最初に扉を開いて入ってきた祐巳だった。

 

「その〜・・・、『しまぽん』というのは・・・?」

 

・・・

 

(((((( よく訊いてくれた!祐巳(ちゃんorさん)!! ))))))

 

・・・

「え〜と、あ〜・・・」

 

祐巳の質問によりとりあえず冷静さを取りもどしたのはよいのだが、

非常にまずい・・・

こんな事態は想定していなかった・・・

 

( どうしよう・・・? え〜と、とりあえず・・・)

 

「あの、ちょっと、え〜・・・『志摩子さん』を借りますね」

 

ハシッと志摩子の手をとり・・・

ビスケット扉を開けて、ひっぱりこむ。

志摩子の方はなんとも思わないのかされるがままにされている。

最後に、扉から少しだけ顔をだして、

 

「すぐ返しますのでぇ〜・・・」

 

バタンッ・・・

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

扉の向こう側でいかなる問答が繰り広げられているのかは気になるが、

その前に・・・

 

「けっきょく、あの方はどなたなのでしょう?」

 

口を開いたのは、ロサ・フェティダ・アンブゥトゥンである支倉 令のその妹である島津 由乃。

 

「『高町美由希さん』ていって、祥子の親戚だって・・・」

 

令は妹にそう応えて、「後は祥子に訊いて・・・」と目線で促す。

無論、気になっているのは由乃だけではなく、祐巳も同様のようだ。

しかたなく・・・というわけではないが、

祥子は先程まで姉たちに説明していたことをもういちど簡潔に説明する。

 

「彼女のご両親の都合で、この学期間の間だけリリアンに通うことになったの。

まぁ志摩子と知り合いだったのは本当に知らなかったんだけど・・・」

 

それを聞いて興味津々の由乃嬢・・・

 

「では、美由希さんは今は一人暮らしなんですか?」

「『美由希さん』ではなくて『美由希さま』・・・。 彼女は二年生よ。 

それと、今は家で下宿をしています」

「お・・・、お姉さまの家に下宿!?」

 

姉の無情(?)なる言葉にかなりショックの妹・・・

そして妹がショックを受けていることに気づかず説明を続ける姉・・・

 

「それで、リリアンにいる期間もそう長くはないわけだから、

この学校に親しんでもらうという意を込めて山百合会の手伝いを彼女に頼んだの」

 

(あぅ〜、そりゃ話はわかりますけどね・・・。 一緒に住んでるっていうことは一緒に住んでるということで・・・

祥子様と朝から一緒に登校したり、一緒に下校したりetc,etc・・・)

 

そんな感じで祐巳が拗ねたりしていると・・・

それを楽しそうに見ているエロ薔薇さま・・・

 

「・・・・・・・・・」

 

そ〜っと・・・

 

「えいっ!」

「ぎゃぅっ!」

 

ズーンと落ち込んでいる祐巳に背後から抱きついた(襲った)のは・・・

 

「ちょっ!ロサ・ギガンティア・・・! 止めてくださいよぉ」

「いやぁ、祐巳ちゃんがなんだか抱きしめて欲しそうだったから♪」

「う〜、そんなこと思ってませんよ・・・」

「そう?」

 

これは聖からすれば、いつもの他愛ないスキンシップなのだが、

今日は周りの目が多いのでこれだけで切り上げることにする。

――祥子嬢の視線も痛いことだし。

 

「まっ、祐巳ちゃんの気持ちもわからなくもないけど、彼女のお家の事情だってあるんだし、

わかってあげなさい」

「・・・はい」

 

「よろしい♪」・・・そういって聖は元居た自分のポジションに引き下がる。

そうこうしていると、再びビスケット扉が開き、先程まで主役だった二人が戻ってきた。

 

「いや、失礼しました」

 

頭を下げてから入ってくる二人。

二人の間ではなんらかの解決をみたようである。

 

「それであなた達の関係も伺ってよろしいからしら?」

 

実は孫以上に興味津々な江利子・・・

すると、その質問を予定していたかのように志摩子が応えた。

 

「『美由希さま』のお父様と、家の父が知り合いで、美由希さまとは、

小さい頃から何度か会っていたんです。

ただ、ここ数年はお互いに連絡もしていなかったので、偶然とはいえ

このような事態になって少々取り乱してしまいました」

 

まったく最初の祐巳の質問の答えにはなっていないのだが、

今更そんなことを聴けるわけもなく、無念にも「そう・・・」とだけ相槌をうつ江利子・・・

 

「ところで、二人は具体的に何の話をしていたの?」

 

と、そこで今まで黙って静観していた蓉子が口を開いた。

いまココに居るメンバの中では一番貫禄があるといってもいい蓉子。

その在り様は一言で言い表すと『総司令』・・・

 

「え、え〜と・・・、互いの状況確認・・・?」

 

本当は同じ年齢なのだが、上級生としての蓉子の作り出す空気にのまれる美由希。

とりあえず、あたらずとも遠からずの応えを口走ってみたのだが・・・

 

「なにそれ・・・?」

 

何をやっても余計に突っ込まれるだけかもしれない・・・

 

 

 

 

12. 帰り道

 

 

 

 

「けど、渥美先生もリリアンに来た頃は若くて格好よかったんだってさ 」

「それは、にわかに信じがたいですね・・・」

「まぁ〜ねぇ。鹿取先生の話が本当だとしても、今となっては中年太りの中年教師だしね」

「聖・・・、失礼よ」

 

時刻は午後の5時半を過ぎ、季節もあいまって既に空は暗くなってきている。

本日の活動を終えた山百合会メンバーは、薔薇の館の戸締りをして、帰宅路につこうとしていた。

当然、美由希もその中にいる。

先程までは、メンバーとの接し方にまだぎこちなさが残っていたが、志摩子の存在もあってか、

いまではすっかり打ち解け、美由希も積極的に話しに参加している。

とりあえず美由希の当面の課題である一つ・・・

『周りの人に打ち解けること・・・』

これは達成されたと考えてよいだろう。

 

(・・・・・・・・・)

 

ちらりと前方を歩いている祥子を見る。

祥子は一年生である祐巳と仲良さそうに話しをしながら連れ歩いている。

姉妹制度・・・、祥子は祐巳と姉妹ということを先程の薔薇の館で聞いていた。

彼女ら・・・というよりはこの学園の生徒たちには何ら普通のことなのであろうが、

ただ、今の美由希にはこの制度こそが一番の難点であった。

 

(もし、何かあると祐巳ちゃんに今で被害が及ぶ可能性があるかもしれない・・・)

 

では思い切って、祐巳に理由を話して当分の間は祥子との接触を控えてもらうか・・・。

だが、それは否だ。

こんな裏の『事』は知らないに越したことはない。

では、どうするか・・・

 

「美由希ちゃん・・・?」

 

と、突然の蓉子の声に現実に呼び戻された。

 

「あ・・・なんでしょう?」

「いえ、なにやら前の二人を凝視していたから・・・」

「う・・・」

 

 そんなことしていたのか・・・と、ちょっとショックの美由希。

 

「いえ、なんでもないんです。 ちょっと考え事を・・・」

「なら、いいんだけど」

 

少し冷や汗かいたが一安心といったところ。

すると蓉子が新たに話を切り出してきた。

 

「美由希ちゃん・・・。こういうことをを言うのも変なんだけど、あの二人の事はそっとしといてあげてね」

 

(・・・・・・)

 

蓉子は祥子の姉にあたり、さらにその妹である祐巳のおばあちゃんという立場にある。

とつぜんの異分子に二人のことを心配するのは当然といえば当然であった。

美由希もソレをくめるだけの人間が出来ているので、首は縦にふった・・・

 

(そう。考えてみれば私がヘマをしなければ済む問題よね・・・)

 

前向き前向き・・・と、この問題は無理矢理納得する事にしておく。

 

 

 

全員でマリア様に手を合わせ、校門の方へ歩いてく。

周りには、クラブ帰りの生徒たちもまばらにいるようだ。

帰宅路につくみな各々に、夕食のこと、テレビ番組のこと、勉強のこと等に対して思考にふけったり、

誰かと話をしたりしている。

いつもと変らない日々・・・日常。

これこそが普通である。

だが、そんな日常がほんの些細な出来事きっかけに崩れていく事を美由希は知っている。

今までにそういう人は何度かみている。

『絶対に助ける』というのが傲慢な考えだというのは理解している。

だとしても助けたいと思った。

助けると誓った。

その誓いは今も忘れてはいない・・・

 

 

 

丸い球だ・・・

地上から高い位置に球がある。

重力に引かれて落下し、その速度が増していく。

あたると痛いだろう。

怪我をするかもしれない。

だというのに、球はさらに速度を増していく。

もし、落下先に誰かがいれば大変だ。

確率でいうと、低いだろう。

だが、もしそれに・・・

なんらかの『意図』があるとすれば・・・

 

 

「祥子あぶない!!」

 

 

蓉子は叫んだ。

急にそういわれた祥子は、何の事だかわかない。

 

そう・・・、遅すぎた。

 

蓉子が叫ぶのも・・・、祥子が振り返るのも・・・

 

そう・・・、遅すぎる。

 

『美由希の反応』の前には!!

 

 

 

 

一瞬のうち、美由希の中で視覚からではない、音と気配から第二視界が形成される。

御神の基本にして要、『心』・・・

 

(落下してくる。 形は球状、爆弾、凶器の類ではない・・・)

 

隣では蓉子がソレに気づき叫ぼうとしている。

だが、その時点で既に美由希は駆けていた。

 

(革・・・これは・・・、ソフトボール!!)

 

視覚と第二視界が重なり合い、現実となる。

球はソフトボール。

 

(届く!)

 

一瞬、制服の内にある仕込み刀も頭によぎるが、必要はない。

そして、祥子が蓉子の声に振り向こうとした時・・・

 

パンッ!

 

ソフトボールは勢いのついた衝撃音たて、美由希の手の中に収まった・・・

 

 

 

 

「痛ぅ〜」

 

ボールをキャッチした手をぶらりと下げ、しゃがみこんだ・・・

かなりの衝撃が体を走ったのだ。

 

「え・・・、あ・・・」

 

周りの人間は、急な出来事に呆気に取られている。

 

「大丈夫ですか!?」

 

真っ先に正気に戻って美由希に駆け寄ったのは志摩子だった。

 

「うん、大丈夫。 ちょっと痺れてるけど・・・」

 

続いて他の人も正気に戻り、美由希に駆け寄った。

 

「すごいねぇ! 美由希ちゃんってもしかして前までは有名なソフトボールプレイヤーとか?」

「あははは・・・。 偶然ですよ。 たまたま空を見上げてたら見えたんです」

 

聖の言葉に美由希はYESともNOともいわずに苦笑しながら曖昧な答を返した。

それよりもと・・・

 

「祥子さんは、大丈夫ですか?」

「えっ・・・」

 

実はまだ、微妙に呆気に取られていた祥子は珍しくも少し取り乱した反応をみせた。

 

「えぇ、大丈夫。 助けてくれてありがとう。 ・・・美由希さん」

 

とりあえずは一安心。

美由希は安堵の溜め息をついた・・・。

 

「あの・・・、美由希さまを保健室にっ・・・」

 

そして実は一番取り乱している祐巳。

そしてそれに同意する一同。

 

「そうね。 いったほうがいいわ。 まだ先生もいると思うし・・・」

「ア〜大丈夫です。 もう痺れもとれましたし、どこも怪我もしてないので」

「・・・ならいいんだけど」

 

「だけど、いったいどこから降ってきたんでしょうね・・・?」

 

そういったのは由乃だった。

 

「ホームランボール?」

「だとしたら打った選手はメジャーリーガーを越えてるね・・・」

「・・・たしかに」

 

この場所からソフトボール部の活動場所までは、軽く200Mは越えている。

 

「悪戯とか・・・?」

「やめてよ。 悪質すぎるわ。 下手をしたら殺人事件になるわよ」

 

すると・・・

 

「お〜い、何かあったのか?」

 

校舎の方から、男性教師が駆けつけてきた。

 

「渥見先生、神代先生・・・」

「いや、帰ろうとしていたら、生徒がざわめいていましたので」

 

と、神代先生

 

「で、なにがあったんだ?」

 

渥見先生がその原因を聞いてくるので、

かいつまんで、事情を話した。

 

「・・・う〜ん、そりゃぁ災難だったな。 それで怪我は?」

「怪我人はいません。 けど、このボールがどこから飛んできたのか・・・」

 

先程から、先生を相手しているのは江利子だ。

蓉子のほうは先程からなにやら考えこんでいる。

聖は、美由希の腕の具合を診ている。

となると、残った三年生は江利子・・・

 

「大方、道端で子供がバッティングでもしてたんじゃないのか・・・?

俺も昔はよくそれで、ガラス割って怒られてたぞ」

 

確かに道路までの距離はけっこう近いかもしれない。

 

「・・・はぁ」

「まぁとにかくだ。 怪我もないんなら、暗くならんうちに早く帰ったほうがいい」

「そうですね。 暗くなるとご家族の方も心配になりますし」

「そうそう。 それじゃぁ車に気をつけてな」

 

そうして、二人の教師は去っていった。

 

「・・・とりあえず、私たちも帰りましょうか?」

「そうね・・・。って蓉子?」

「・・・・・・ん?」

 

江利子と聖の言葉にやっと気づいた容子。

 

「いや、だから帰ろうって・・・」

「・・・えぇ、そうね。 帰りましょう」

「美由希ちゃん、大丈夫?」

「あ、大丈夫です。いけます」

 

そうして、美由希を含む山百合会メンバーは校門を過ぎていった。

 

 

 

 

だが容子はまだ考えこんでいた。

 

【あははは・・・。 偶然ですよ。 たまたま空を見上げてたら見えたんです】

 

(・・・本当に偶然? あなたはあの時、祥子を見ていたでしょう・・・)

 

 

 

 

小笠原宅にて、夕食を取り自由になった美由希はベッドにつっぷした。

 

「つ・・・つかれた」

 

とりあえずこの家にいる間は安心をしていいと言われている。

どうやらリスティさんからの応援が警備をしているらしい。

 

「あぁ〜そうだ・・・」

 

美由希は思い出したかのように、携帯電話をとりだした。

なんの飾り気もない簡素な機種だ。

いまいち、こういう機械はなれないのだが、とりあえず妹のなのはにメールの

仕方くらいは教わって使えるようになった。

 

「え〜と・・・」

 

『おかあさんへ・・・

ちょっと、勉強する必要がでたので私の専用ドテラを送ってください。

あと、冬物の衣類も出来れば2着ほど・・・。

なのはへ・・・

私がこちらに滞在している間は、ガン○ム○EEDの録画をしといてください。

これは本当にお願い。

あきらちゃんとれんちゃんへ・・・

あんまり喧嘩しないようにね。

 

(・・・・・・・・・)

 

『恭ちゃんへ・・・

とりあえずやっていけそうです。』

 

 

 

 

 


あとがき・・・

 

ぎりぎり10月・・・?

秋の国家試験のため遅れました。

つーかやっぱり、キャラ増えると書くのが難しい・・・。

 

志摩子や、容子さまなんかは書きやすいです。

だけど、

黄薔薇ファミリーが難しすぎる。

とりあえず、次回からは気をつけようかと・・・

 

 

04/10/30

 

 




投稿ありがと〜〜。
さてさて、これから美由希がどんなドジを発揮してくれるのか……ゲフンゲフン。
もとい、活躍をしてくれるのか。
美姫 「非常に楽しみよね」
おう!は〜やく、こいこい次回作〜。
美姫 「朝晩めっきり寒くなったわね〜、とぼやきつつ布団に包まって待て!」



頂きものの部屋へ戻る

SSのトップへ