『ネギまちっく・ハート〜Love and War〜』






     第五帖『生きるということ』



 その女性が入ってきたとき、誰もが声を失った。場所は麻帆良学園高等部女子寮の食堂。

眞莉亜に集まるように言われた旧2−A女子の面々は、声を失った。食堂に現れたのは一度も見たことのない女性。

セミロングの黒髪で麻帆良学園高等部の制服を着ているものの、一度もみたことはない。しかし、3-Cの女子はその女性に覚えがあった。

忘れるわけがない。その雰囲気、その身のこなし、その歩き方。そして、何より見紛うことなき蒼の右目と翠の左目。

誰もが知っている、そして、既にいないはずのその生徒のもの。しかし、それでもしかし、その生徒を髣髴と、いや本人だと思わせるその人物。

その女性はみんなの前に歩を進め、そしての視線と向かい合う。となりには集まるように指示を出した眞莉亜の姿。

黒髪の女性は眞莉亜のほうを一瞥し、眞莉亜が頷くのを確認して声を発した。

「えっと・・・・はじめまして・・・・じゃないや・・・・・久しぶりだね。」

 その声は紛れもなくあの女性(ひと)のこえ。中等部2年のときに他界した、紛れもなくあの人の声。

「・・・・・いろいろあって・・・・・いろいろ考えたけど・・・・・

でも、私は、まだ生きたかったから・・・・・だから・・・・・『神楽坂明日菜』は・・・・・・かえって・・・・・きた・・・・・・よ・・・・・。」

 大粒の涙をその双眸からあふれさせ、涙声になりながらもその女性はそう口にした。そして、自らの名前を名乗った。『神楽坂明日菜』。と。







「本気・・・・・なのか・・・・?」

 恭也の声が春風のそよめく高等部校舎の屋上に響く。始まりは一ヶ月前。恭也は何かに誘われるように高等部校舎に足を進めた。

そこに待っていたのは姫神眞莉亜。ただ何をするでもなく空を見上げて屋上のど真ん中に一人立っていた。

眞莉亜は恭也に気付くと来てくれたねと出向いてくれたことに感謝の意を表す。そして、暫くの沈黙の後、眞莉亜が口を開いた。

前置きは全くない。ただ、来てもらった理由のみを伝えた。「神楽坂明日菜を生き返らせる。」と。

「本気だよ。ふざけて口にできることじゃないし。」

 眞莉亜はまじめな顔で恭也をまっすぐ見てそういった。恭也は本気であることをそれ一つで確信できた。

しかし、なぜ自分にそれを言ったのか、それがわからない。

「そうか。だが、なぜ俺にそのことを伝える?俺は魔法使いじゃない。何も手助けにはならないぞ。」

 恭也はその疑問を眞莉亜に投げかけた。恭也の言うとおり、恭也は魔法使いではない。

生き返らせるといった以上、魔法を使うことになるのだろう。だとしたら、恭也にこのことを打ち明けるのはお門違いだ。

「恭也が魔法使いじゃないのは知ってる。かく言う俺も魔法使いじゃない。」

 眞莉亜はそういって続ける。

「そもそも、この場合、『生き返らせる』という表現自体、厳密には当てはまらない。」

 恭也は一体眞莉亜が何を言いたいのかわからず首をかしげた。無理もない。実際、何が言いたいのかわからないのだから。

「今回のケースの場合、明日菜嬢の体は既に火葬されててもう存在しない。

そこから『生き返らせる』となるとどうしても魔法に力を借りないといけないよね。

肉体から作り出すんだから、ホムンクルスの技術が必要になる。でも、ホムンクルスの技術なんて使える魔法使い自体、

世界中探しても10人いるかいないか。もう一つの手は神楽坂明日菜の『人形』を作ってその中に明日菜嬢の魂を入れる方法。」

 そこまで聞いて恭也は眞莉亜が自分に話した理由を悟った。

「つまり、俺の口からエヴァに手伝ってくれといって欲しいわけか。」

 エヴァはドールマスターとして名をはせており、実際それくらいのことたやすくこなすだろう。

だが、直接言いにくい為に恭也に間に入ってほしいといっているのだと恭也は思ったのだ。

「違うよ。かれこれ5年前、エヴァ嬢は一度明日菜嬢を生き返らせようとしたネギ先生を止めてる。

そんな魔法はないと突っぱねたらしいけど、本当のとこの理由は察しがつく。だから、頼んだところで手を貸してくれるわけないだろうね。」

 眞莉亜は首を横に振って真剣な表情で恭也にいった。

「俺が恭也に話したのはね。恭也のその力、『永夜封』を貸して欲しいんだ。」

 眞莉亜の言葉に恭也は驚いた。恭也はいまだかつて眞莉亜と剣を交えたことがない。

つまり、恭也の吸血鬼としての固有能力に関して知っているわけがないのだ。にもかかわらず、眞莉亜はそれを貸して欲しいといってきた。

つまり、固有能力の名前は当然として、その能力の内容までも知っているということになる。『永夜封』。

恭也の固有能力であるそれは、バイオリズムや肉体をある一定のラインで静止させることができるというものだ。

もともと、吸血鬼は新月になるとその力の大半を失ってしまう。

しかし、恭也の『永夜封』は自分の体を満月の時点で固定させることによって時間や状況にかかわりなく最大限の力を行使できるようになるのだ。

また、それは自分だけでなく、自分が作用させようと思った相手に対しかけることができる。しかも、一度かければ周囲に影響されず永続的に持続し、

解除は恭也自身が行わなければならない。そういった面で、この力は吸血鬼にとってまさに鬼に金棒の能力なのだ。

「・・・・・なぜ『永夜封』が必要なんだ?」

 恭也は眞莉亜をまっすぐに見て聞く。なぜ自分の能力を知っているのかよりも、なぜ明日菜を生き返らせるのに永夜封が必要なのかを。

「今回俺が取った明日菜嬢復活プランはこうだ。肉体は別途用意する。というか、実際、既に肉体のほうは用意できてる。

外国に在住だった18歳の日本人女性。死因は心室細動。つまりは突然死。器にはもってこいの条件。

そして、その器の中に眞莉慧が明日菜嬢の魂を『埋め込む』。定着までに時間がかかるから、その間、恭也の『永夜封』で状態を静止させて欲しい。」

 眞莉亜のプランを聞いて恭也は一瞬正気を疑った。亡くなった人間の体に亡くなった人間の魂を入れようとしているのだから当然といえば当然だろう。

そして、なぜそこまでして眞莉亜が明日菜を生き返らせようとしているのか、同時に疑問に思った。

いわば背徳行為とも取れるほどの手を使ってまでなぜ明日菜を生き返らせようとしているのか。恭也にはそれがわからなかった。

「なぜそこまでする?おまえと神楽坂は特別な仲でもないし、特別親しかったというわけでもないだろう。なぜそこまでして生き返らせようとするんだ?」

 恭也の問に眞莉亜は至極簡単なことだよと答えた。

「明日菜嬢自身が生きたいと願っているからだよ。純粋なまでの生きたいという願い。俺はそれに答えることにした。眞莉慧が力を貸すといってくれた。

眞莉紗が知恵を授けてくれた。だから俺は明日菜嬢を生き返らせる。」

 眞莉亜はそういって恭也にまっすぐと伝えた。恭也は考えた。果たしてそれはいいことなのか。

それは明日菜が真に望んでいることなのか。仮にそうだとしても、生き返らせることは本当にいいことなのだろうか。

倫理観などではない。生きたいという想いを抱いて死んでいった人は星の数ほどいる。

それなのに、このような特例を認めていいのだろうか。恭也は深く悩んだ。

「・・・・一日・・・・考えさせてくれ。」

 恭也は答えを見つけられず、眞莉亜に頼んだ。それが最善の策だったのかもしれない。

一晩で答えが出るとも思わないが、それでも恭也はそう頼んだ。少なくとも、エヴァに相談だけでもしたい。恭也の素直な考えだった。

「そういうと思ったよ。エヴァ嬢と相談するもいいし、一人で考えてもいい。明日もう一度同じ時間にここに呼ぶよ。答えはそのときに。」

 眞莉亜はそういうと目を閉じた。と、髪の色が黄金に変わり、頭に角が現れる。時刻は4時。どうやら交代の時間のようだ。

目を開けた眞莉紗は体をほぐすように伸びをして恭也のほうを見る。

「眞莉亜はいわなかったけど、この復活のさせ方、恭也くんの永夜封の力を前提にして立ててるから、

恭也くんが加わらなかったら自然とお流れになっちゃうんだ。かといって、強制はしないから。そこのところは恭也くんに任せるよ。」

 眞莉紗はそういうと屋上のフェンスの上に登って風を感じるように大きく手を広げた。特別な風景ではないが、一枚の絵になるその風景との融合。

眞莉紗は正しく、それであった。

「仮に俺が手を貸さないといっても手はあるんだろう?」

 恭也は確認するように眞莉紗にそう尋ねる。眞莉紗はそうだよと一切の否定もなくあっさりと頷いた。

「ただ、ものすごく複雑だし、成功する可能性も低い。はっきり言っちゃうと面倒なのよね。

だから簡単かつ確実な方法である恭也くんの力を借りようと思ったの。それじゃ、そういうことだから。明日、またここでね〜。」

 眞莉紗は振り返ってそういうとそのままフェンスから落下した。はたから見れば飛び降り自殺のワンシーン。

しかし、眞莉紗にとってはこっちのほうが階段を下りるよりも早く下りられる一つの方法に過ぎない。恭也はやれやれとため息をついて頭をかいた。

「協力するか否か・・・・か。判断材料も少ないし理由も不明確。本来なら断ったほうがいいんだろうけど・・・・。」

 恭也は一人ごとのようにつぶやいて踵を返し屋上を後にした。眞莉亜が語ったのはどれも核心ではない。

そもそも、明日菜が今もなお、純粋に生きたいと願っているのか、自らの耳で確認したわけではない。仮にそうだとしても本当に力を貸すべきなのだろうか。

どれもこれも考え出すとキリがない問題である。恭也は聞くしかないよなとその足を自らの家、エヴァのログハウスに向けた。





「エヴァ、話があるんだが。」

 恭也はエヴァの家に着くといつもエヴァがくつろいでいる書斎に向かい、そこで魔法書を読んでいたエヴァに声をかけた。

エヴァは何だと言い、本を閉じる。恭也はエヴァの向かいに座って話を切り出した。

「今日眞莉亜に呼び出された。」

 恭也の切り出しにエヴァはそれで?と続きを求める。

「神楽坂を生き返らせるのに力を貸して欲しいと頼まれた。」

 恭也の言葉にエヴァは顔を険しくして恭也を見た。

「力をかすか?」

 エヴァは恭也に確認するように聞く。恭也はそれについて話をしたいんだと答える。

「エヴァは5年前、神楽坂を生き返らせようとしたネギ先生を止めようとした。それをわかって聞く。俺は力を貸すべきなのか?」

 恭也の問にエヴァは考えるまでもなくあっさりと答えた。

「おまえしだいだ。おまえがそれをいい事だと思えば貸すといい。おまえが悪いことだと思うなら貸さなければいい。要はそれだけだ。」

 エヴァの答えに恭也はそれはわかっていると返した。

「それはわかっている。俺が聞きたいのはそれがいいことなのか悪いことなのかだ。」

 恭也のその言葉にエヴァは黙った。しかし、すぐにその沈黙を破る。

「おまえしだいだ。おまえが正しいと思うならそれは正しいことなんだろう。が、おまえが正しくないと思うなら正しくないことなんだ。

絶対的な正しい正しくないの境界線は存在しない。判断するのは恭也自身だ。」

 エヴァのその言葉に恭也は頷いた。確かにその通りだ。しかし、それはわかっている。わかっているからこそ、わからないのだ。

それが正しいこのなのか、正しくないことなのか。

「はっきりとわからないんだ。神楽坂が生きたいと思っているならば力を貸すことは悪くないことだと思う。

だが、それでも、死んだ人間は死んだ人間。仮に神楽坂が生きたいといっているからといって生き返らせることは果たして正しいのか・・・・。」

 恭也はふうとため息をついて考え始めた。生き返らせることが果たして正しいのかどうか。エヴァは話しかけるでもなくそんな恭也をじっと見ていた。

しかし、恭也の考えはまとまらない。いいのかわるいのか、まるでさっぱりなままだ。しかし、手を貸すならば、確認しなければならない。

本当に明日菜が生きたいと願っているのかを。

「ん・・・・考えはまとまった。」

 恭也はそういって顔を上げた。そして、固まった体をほぐして立ち上がる。

「手を貸すか?」

 そんな恭也をみてエヴァが問う。

「それは明日しだいだ。明日、眞莉亜に直接聞いてみる。本当に神楽坂が生きたいと願っているのかどうか。

そうだとしたら、なぜ生きたいのか。そこをきちんと聞いてから、判断することにする。」

 恭也はそういってトレーニングのため魔法空間への入り口がある部屋へと向かう。

「生きたいと願っている理由・・・・か・・・・。」

 エヴァは複雑な顔でカップに注がれた紅茶に目を落とした。

「まぁ、腹のうちは決まっているんだろうな。」

 エヴァはそういうと紅茶を飲み干して自らも魔法空間に足を運ぶ。恭也は間違いなく手を貸すだろうという確信を持って。





「さて。きっちり24時間。ぴったり一日。」

 再び昨日と同じ時間に、恭也と眞莉亜が高等部校舎の屋上にいた。眞莉亜のほうが先に屋上についていて、

恭也が誘われるように屋上に姿を現したという点まで昨日と同じである。恭也が屋上のドアを開けて眞莉亜の後ろに歩を進めると、

眞莉亜は振り返るでもなくそういって振り返った。

「答え、聞かせてもらおうかな。」

 眞莉亜はそういって振り返り、恭也の目をまっすぐに見据える。態度はあくまでいつもと変わりなく。

軽く見えてもその中にまっすぐと恭也を見据える信念を持って。恭也はそれに答えるように眞莉亜を見据えて答えた。

「条件がある。」

 恭也のその言葉を眞莉亜は待っていたかのように、始めからわかっていたかのように条件?と聞き返す。

「本当に神楽坂が生きたいと想っているのか、だとしたらなぜ生きたいと想っているのか、『本人』から聞かせてもらいたい。」

 恭也ははっきりと眞莉亜に伝えた。明日菜が生きたいと想っているのならば、本人の口からなぜ生きたいのかをいうことを聞きたいと。

眞莉亜はそれすらも予測していたかのように、いや、少し考えれば恭也の性格上、この答えにたどり着くのは容易だったのかもしれない。

「いいよ。それで力を貸してくれるっていうならお安い御用だ。」

 眞莉亜はそういうと目をとじて体の主導権を眞莉慧へと譲った。理由は至極簡単。眞莉亜では明日菜の魂を具現化する事はできない。

『白夜の霊姫』だからこそできる、死者との交信。しかし、眞莉慧ほどの力の持ち主になれば一時的であれ具現化させることは可能であるのだ。

眞莉慧はそれじゃあ呼ぶねといって腕を広げて目を閉じ、意識を集中させる。そんな眞莉慧を薄蒼いぼんやりとした鬼火のような明かりが包み込む。

眞莉慧は目を開けて手を前に差し出しそこからひとつの青白い球体を宙に浮かせた。するとその光は見る見るうちに形を成し、明日菜へとなっていく。

その蒼白い光の明日菜はゆっくりと目を開けて恭也のほうを見た。

「久しぶり、高町くん。元気そうじゃない。」

 明日菜は恭也に挨拶をした。その言葉、口調、恭也は今目の前異にいる蒼白い光からなったものを明日菜他と確信した。

「ああ。おかげさまで。そっちも元気そうだな、神楽坂。」

 恭也もそういって明日菜に挨拶をする。しかし、魂だけの存在に元気そうだというのもなかなかに滑稽だ。

「それじゃあ、本題に入ろう。私の力でもあんまり長時間明日菜ちゃんを具現化させておくのは無理があるから。」

 眞莉慧はそういって恭也に本題に入るように促した。眞莉慧でさえも長時間具現化させることができない。

そう考えてみると、鼎がさよを人間として実体化させたことが以下に化物じみたことかが容易に想像できる。

「神楽坂。お前はもう知っているだろうけど、眞莉亜はお前を生き返らせようとしている。俺もそれに力を貸してほしいと頼まれた。

力を貸す前にひとつ教えてほしい。神楽坂、なぜそんなまでして生きかえりたいんだ?なぜこんなことをしてまで生きたいんだ?教えてくれ。」

 恭也は再会の感傷にも浸ることなく本題をきって出した。恭也が聞きたいのはなぜ明日菜がここまでして生き返りたいのかという問いに対する答え。

どうしてそんなに間でして生きたいのかという疑問に対する答え。腹のうちは決まっているとはいえ、恭也にとって聞かないわけにはいかない問題なのだ。

「そ、そんな風に改まって聞かれると困るんだけど・・・・。」

 眞莉慧が本題といって明日菜も何かしら聞きたいことがあるのだろうと予測はしていたが、恭也のあまりにもまじめな質問に当惑してしまった。

「なんて言えばいいのかな・・・・。ほら、私って自分でもよくわからないうちにその・・・・なんていうか、こうなっちゃったの。

だからさ、これから何したいとか、何ができるとか言うのを全然知らないままで終わったわけで・・・。

それに、今までやってきたことも全部中途半端で終わってない状態だから、えっと・・・死んでるんだから、未練が残ってるって言ったほうがいいのかな。

だから、生き返って、もう一度生きて、これから何ができるのか、何がしたいのかを確かめたいの。そして、その確かめたものを生きている間にやってみたい。

全部中途半端で投げ出して一度終わっちゃったから、もう一度やり直したいって言うのが理由かな。」

 恭也はなるほどと頷く。生きたいと思うことは誰しも同じこと。そこに特別な理由などありはしない。

まして、明日菜は中学2年というまだ数多の選択肢を持っているときに死んだのだ。当然である。生きるということ。

それは何ができて、何がしたいのかということを確かめ、それを全力で生き抜く(やりとげる)こと。

中途半端で終われないと思うことのできる強い心で、最後のその時まで生き抜くこと。

だとすれば明日菜が純粋に生きたいと願っていると口にした眞莉亜の言葉はなるほど頷ける。




何がしたいから生き返りたいんじゃない。何ができるか見つけたいから生き返りたいのだ。




何かするために生きたいのではない。見つけたものをやりとげるために生きたいのだ。



「姫神。俺はいつ、どこで、具体的に何をすればいい?」

 恭也は明日菜の言葉を聞き届け、その上で決断した。神楽坂明日菜を生き返らせよう。と。

眞莉慧はそれを聞いて詳しくは眞莉亜が教えるよと体の支配権を眞莉亜にもう一度渡す。

それと同時に明日菜の体がだんだんと透明になっていき、消え去った。

「具体的に何をするか。それは場所を移してからすることにしよう。」

 眞莉亜はそういって恭也の横に階段のほうを向いて並び、そのドアを見たまま、恭也に告げる。

「協力者は何も恭也だけじゃない。それに、こんな大掛かりなことをするんだ。こんなとんでもないことをするんだ。

魔法先生たちにばれたら、最悪流血沙汰になる。そうならないためにも、協力者はちゃんといるから。」

 眞莉亜のその言葉に呼応するかのように校内への会談につながるドアが開き、二人の女性が姿を現す。



超鈴音と葉加瀬聡美。



『天才』と『狂科学者(マッドサイエンティスト)』。



「きちんと場所は用意してあるヨ。絶対にばれない安全な場所ネ。」

 自信満々で二人に告げる超。

「私としてはこんな非科学的なことに協力するのは何ですけど・・・明日菜さんのためです。私の力でいいならば貸しましょう。」

 言っておきますが、超常現象を認めるというわけではありませんからねと付け加える聡美。

「さて、役者は舞台に上った。それじゃあ、演目の始まりだね。」

 眞莉亜はそういって超と聡美の待つドアへ歩を進める。恭也もそのあとにつられて屋上を後にする。






【神楽坂明日菜復活計画】





こうして4人の神への挑戦とも言える計画が幕を開けた。







  あとがき



ということで、第五帖『生きるということ』でした。

(フィーネ)生きるということ・・・ねぇ。

うん。実際そういうことだと思うけど。

(フィーラ)一つのものの見方としてはそうね。

だからそういうことにしてみました。

(フィーリア)重い話なんだろうけど・・・・ぜんぜん重くないね。

だから俺にそこまでできないってば。文才ないんだから。

(フィーネ)さてさて、次は遂に明日菜ちゃん復活の話なのかな?

おう。復活から五帖の冒頭に続き、一気に完結する予定。

(フィーラ)かけるの?

無理かも。

(フィーリア)そんなあっさり!!?

だって、来週からテスト始まるし、メルブラばっかりしててレポートも実は終わってないし、テスト勉強してないしで実は結構やばいかも。

(フィーネ)あ、アンタって人は・・・・。

再来週からはモンスターハンター2だし。あ、これはあんまりしないかも。実家に帰ったらオフラインしかできないから。

(フィーラ)きっちりその間に書いてもらうからね。

それはきちんと。今回の帰省は大学生の特権の春休み2ヶ月近い休息だから友達のところから時折更新するつもりだし。

(フィーリア)大丈夫?感想を書いてくれた人へのお返事とか。

代々その友達の床に行くときは土日で行くから、多分何とかなるんじゃないかな?

(フィーネ)おっけ。それなら許しましょう。それじゃ次回予告、いくわよ。

うん。

(フィーラ)遂に生き返った明日菜を待っていたのは5年という時間の流れ。

(フィーリア)泊まった時間が再び動くとき、本当の時間が動き出す。

(フィーリア)感動の再開、そして失われていなかった『絆』。

(フィーネ&フィーラ&フィーリア)次回、ネギまちっく・ハート第六帖『絆』。

次回もしっとりしてますが、内容に過度の期待は余りしないでくださいね・・・・。



明日菜だったのか!?
美姫 「一話から出ていないから、不思議だったのよね」
謎は解けた訳だ。
美姫 「次回はいよいよ明日菜の復活ね」
神の領域とも言うべき、死者の蘇生。
美姫 「果たして、無事に済むの!?」
次回も楽しみに待っていますね〜。
美姫 「待ってます〜」



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