『ネギまちっく・ハート〜Love and War〜』
第八帖『DAYS OF PEACE』
「たっだいま〜♪」
エヴァのログハウスを後にした眞莉紗はとりわけ急いであやかのいるであろう自分の部屋に戻った。
あやかにすら秘密で明日菜を生き返らせる計画を進めてきたのだ。明日菜からどうやって生き返ったのかを聞けば、
あやかはすぐにでも眞莉亜を問い詰めたはずである。しかし、そんな眞莉亜は、正確には眞莉紗は恭也との手合わせで姿を消したのだ。
おそらく探しもしただろう。そんなことも考えてみると、本来ならば、恭也たちに話をする余裕は無い。
しかし、してしまった以上、少しでも早く帰らなければ、ずるずる延ばせばどうなるか容易に想像できる。
眞莉紗はそれをかんがみ、エヴァのログハウスから一回のジャンプで女子寮の屋上に着地し、部屋に急いだのだ。
「だいま〜・・・・・いま〜・・・・・ま〜・・・・・・ドップラー効果〜・・・・・みたいな〜・・・・・」
場の雰囲気も考え、なるべく明るめにドアを開けた眞莉紗だが、そこにあやかの姿は、それどころか、ルームメイトの千鶴、夏美の姿さえも無かった。
あやかのことだからここにいるはずと思った眞莉紗は首を捻る。時間は既に10時を回っているのに、こんな時間に一体どこに行っているというのだろうか。
「おっかしいなぁ・・・・。」
見当がつかず、眞莉紗はとりあえず部屋を出てあやかを探そうと思い立った。部屋にいないとすると、まだ食堂にいるということだろうか。
ともかく、眞莉紗は食堂に足を運んだ。と、食堂に近づくにつれてかなりの声が聞こえる。どうやら正解だったようだ。
しかし、どうも声が大きい。夜遅いというわけではないが、さすがに大きすぎはしないだろうか。そう思いながら、眞莉紗は食堂のドアを開いた。
「うわっ!酒くさっ!!!」
眞莉紗は開口一番、驚きの声を上げた。広い食堂に充満した強烈な酒の匂い。ここまで充満しているのだ。
尋常でない量を飲んでいるに違いない。というか、そもそも女子寮なのに、どうやって酒を持ち込んだのだろうか。
しかし、眞莉紗には心当たりがあった。そう、何を隠そう眞莉紗の酒なのだ。『鬼』ということもあって眞莉紗はかなり酒を好む。
しかし、まがいなりにも『鬼』。一回で一升瓶を軽く3,4本ほど空けるのだ。
そのため、眞莉紗たちの部屋には相当な数の、正確には眞莉紗が一ヶ月飲む分のお酒が天井裏に隠されている。
つまり、100本以上のお酒があの部屋にはあったということである。しかも、その存在をあやかを始め、誰もが知っている。
ということは。
「あー!!!眞莉紗ちゃんだぁ〜!!こっちこっち〜!!」
と、そんな眞莉紗に気付いたまき絵がそういって眞莉紗を呼ぶ。手には透明の液体が入った飾り気の無いコップ。
中に入っているのは間違いなくお酒だろう。顔も赤い。おまけにかなりテンションが高い。間違いなくかなり酔っている。
眞莉紗はまぁ、こんなのもありかと頭をかいてその輪の中に入っていく。
(明日は学級閉鎖だねこれ・・・・。)
今日はまだ水曜日。つまり明日は木曜日。学校もある。が、これだけの酒の匂いをさせているのだ。
そもそも、まだ高校生でお酒を飲める年齢ではない。当然お酒の飲み方なんか知るわけが無い。
間違いなくここにいる誰もが二日酔いになるだろう。根本的に間違えている気もしないでもないが、そんなのはどうでもいい。
眞莉紗は鬼。楽しければそれでいいのだ。それに、みんな楽しんでいるわけだし、水を差すのも気が引ける。
「よ〜し、今日は飲むよ〜!!!」
眞莉紗の声にこたえるようにみんなが声を上げた。こうして明日菜が再び生を受け、みなの前に姿を現した日が終わっていく。
ちなみにこの後、恭也、エヴァ、茶々丸も呼び出されることになったのはいうまでも無い。
「ん・・・・・。」
瞼が重い。頭も重い。というか、ここがどこなのかはっきりしない。しかし、瞼越しの明るさからして既に夜は明けているのは間違いない。
あやかはおきなければと重い瞼を何とかこじ開けた。
「おはよ、あやか。」
と、そんなあやかの眼に飛び込んだのは眞莉亜の顔だった。しかし、どういう状況なのか把握しようにも頭が回らない。
それどころか、あやかは突然の眞莉亜の顔のアップに気が動転してしまった。
「え!?眞莉亜!?痛っ・・・・・。」
あやかは飛び起きようとしたが、体を半分くらい起こしたところで頭の鈍痛により、ぽすっと眞莉亜の膝の上に落ちてしまった。
「落ち着けって。昨日アレだけ飲んだんだから、二日酔いになってるってば。」
眞莉亜はそういうとあやかの額に手を当てる。あやかは少し冷たいその手が心地よく、少し眼を閉じて、一度気持ちを落ち着かせて口を開いた。
「あ・・・・そういえばそうですわね・・・・・。」
昨日の記憶がだんだんと戻ってきたのか、あやかは自分が相当はめをはずしたことを思い出し、さすがにこの状況は仕方がないと納得したようだ。
しかし、納得したからといって気分がよくなるわけではない。何せ『二日酔い』なのだから。
「ま、一升瓶二本も一人で空ければさすがにつらいよな。」
眞莉亜はあやかの生気の無い顔を見て苦笑いを浮かべると、あやかの頭をゆっくりと膝からクッションに移し、ソファーから立ち上がって台所に姿を消した。
「あー・・・・・・。」
さすがのあやかも二日酔いには勝てず、ソファーに横になったままピクリとも動かない。もっといえば、横になっていること自体きつい状況なのだ。
とりあえず、これに懲りて場に流されてお酒を飲むことだけはやめようと心に誓ったあやかであった。
「ほい。」
そうこうしている内に眞莉亜がリビングに戻ってきた。持ってきたのはあやかが午後のお茶に使うセット一式。
「起きれるか?」
眞莉亜はそれをソファーの前にあるテーブルの上に置き、ティーセットを準備しながらあやかに問う。
あやかは何とか・・・・といい、頭の鈍痛を堪えながら起き上がった。
「ふぁ〜・・・・・・あ、いいんちょ、眞莉亜君、おはよー。」
と、ちょうどそのとき寝室から明日菜が姿を現した。パジャマに身を包み、ぼさぼさの髪は間違いなく寝起きであることを示している。
「おはようございます・・・・。」
元気そうな明日菜に元気なく返事を返すあやか。明日菜はそんなあやかにどうかしたのと聞き返す。
「明日菜さんのほうこそ大丈夫ですの・・・・?」
あやかはアレだけ飲んだにもかかわらずぴんぴんしている明日菜のほうが疑問なのか、質問に質問で返す。
明日菜は洗面所に既に移動し、身なりを整えながら、ぜんぜん大丈夫よと軽く答えた。
「多分、新しい体のほうがザルだったんだろね。」
眞莉亜はそういいながらも準備を進め、あやかにカップを手渡す。
「ほれ。これ飲めば楽になるだろ。」
あやかはそういって差し出されたカップを受け取り少しずつ口にする。と、見る見るうちに青白かった顔に赤みが戻っていき、生気が戻ってきた。
「あ、紅茶?私にもくれない?」
髪を拭きながら洗面所から出てきた明日菜はそれを見て眞莉亜にそう頼んだ。しかし、眞莉亜はそれじゃ準備しましょうかねと立ち上がり台所に姿を消した。
「いや、カップもあるし、いいんちょと同じのでも・・・・。」
明日菜はそういってあやかの持つカップに目をやる。
「ちょ・・・・あ、あんた・・・・・な、なに飲んでんのよ・・・・・?」
そして直後、明日菜はその目を疑うことになった。そう。カップの中に入っていたのは琥珀色の澄んだ紅茶ではなく、
真っ赤な何かわからない液体だったのだ。しかも、紅茶のにおいがしない。どちらかといえばあまりかぎたくない、鉄の混じったようなにおいがする。
「え・・・?血ですわよ?」
あやかがあっさりと口にした言葉に明日菜は目を丸くした。
「は・・・?血・・・・?」
明日菜はもう一度聞き返すようにあやかに聞く。
「ええ。」
そういってカップに注がれた血を飲み干すと、あやかは自らカップに二杯目をついで口にする。
「俺たち吸血鬼にとって、血は完全栄養飲料だから。それに、血は体調不良も直してくれるし。ああ、当然吸血鬼限定だけど。」
眞莉亜は台所からティーセットを持って再びリビングに姿を現し、テーブルにそれを置き、明日菜用に紅茶を入れ始めた。
「ちょ・・・・あんたらなに考えてるのよ!!!」
と、突然明日菜が声を上げた。当然といえば当然である。血を飲んでいるのだから。
しかし、あやかや眞莉亜のような吸血鬼にとって血を飲むということは至極当然の行為である。
「なにって・・・・?ああ、言わんとすることはわかるよ。大丈夫。これ、輸血用の血液だから。
別に誰か襲って血ぃ抜いたってわけじゃないし。」
眞莉亜はそういいながらも紅茶を入れ終わり、明日菜の前にそれを置いた。明日菜はありがとといいながらも、そうじゃなくてと首を振った。
「血って、その血でしょ!?そ、そんなもん飲んで・・・いいんちょ、頭沸いたんじゃない!?」
明日菜の言葉にあやかはああ、そういうことですわねと首を縦に振った。
「私も、眞莉亜に噛まれて吸血鬼になったんですの。いろいろと経緯はあるんですけど、眞莉亜と生きていく覚悟ができたといえばそれですべてですわね。」
そう、明日菜はあやかが吸血鬼になったことをしらなかったのである。明日菜はああ・・・・と頷きながらも傍目から見てわかるくらいに頭が処理落ちしているようだ。
「それに、私のような力のない吸血鬼は一日300ccは飲まないと日の下で活動できないんですのよ。吸血鬼になって、これだけが不便ですわね。」
あやかはため息をつきながらも3杯目を口にする。明日菜は自分がこうして生き返った手前、
そんなことがあってもおかしくないと頭ではわかっていながらも、それでもやはり、理解できていないようだ。
明日菜が処理落ちしている間にあやかはつい先ほどまで二日酔いだったのかと疑いたくなるよほど、顔色が戻り、いつもの状態に戻っていた。
「ふう。やっと落ち着きましたわ。」
あやかはカップを置き、口をティッシュで拭くとソファーから立ち上がり、洗面所へ姿を消した。
眞莉亜はそれがわかっていたかのようにあやか用のティーセットを片付け始める。
明日菜は頭がまだ追いついておらず、紅茶を口にしながら難しい顔をして考え込んでいた。それから30分ほどたって、あやかが洗面所から姿を現した。
シャワーも浴びたらしく、バスローブに身を包んでいる。あやかはそのままソファーに腰をかけた。
すると、それが始めからわかっていたかのように眞莉亜はあやかの後ろに回ってドライヤーで髪を乾かし始めた。
「あれ?そういえば何で眞莉亜くんが女子寮にいるの?」
明日菜は余りにも自然だった為、今が今まで気付かなかったがふと気付き、髪を乾かしている眞莉亜にそう尋ねた。
「ん?あれ、あやか教えてなかったの?」
眞莉亜はてっきりあやかが話ていると思っていたため、さも当然にいつものように振舞っていたのだ。
あやかもそういえば言ってませんでしたわねと忘れていましたと返す。
「私、眞莉亜といえ、正確には眞莉亜、眞莉紗、眞莉慧とお付き合いさせてもらっていますの。
それに、眞莉紗と眞莉慧は体は眞莉亜のものとはいえ女性。そういうこともあって、ここで一緒に暮らしているのですわ。」
まぁ、千鶴さんたちもいるので同棲というわけではありませんけどと微笑んで説明した。
「はぁ〜・・・・。いいんちょにも春が来てたんだね〜・・・・。」
明日菜は感心したように紅茶を口にしながら頷いた。
「だから丸くなったってわけだ。昨日の騒ぎも昔のいいんちょなら止めてただろうしね。」
明日菜は笑ってあやかにそういう。明日菜の時間は動き出したばかりで、まだ時間は中学2年で止まっているのだ。
そのため、あやかの角が取れて丸くなっていることに少なからず驚いたのだろう。それもそうですわねとあやかも返す。
「確かに眞莉亜達とお付き合いし始めて丸くなったというか、いろいろ余裕が出てきたというか、いろいろと楽しめるようになったのは事実ですわね。」
眞莉亜も確かにあやかは変わったねぇと髪を乾かし終わり、ドライヤーを片付けながらそういってあやかのとなりに座った。
「それはそうと眞莉亜。あなた、私に何か言わなければならないことがあるんではなくて?」
あやかは眞莉亜が隣に座ったことを確認し、頬をつねりながら笑顔でそう尋ねる。怒っていないところが逆に恐ろしい。
「いふぁい!いふぁい!ひゃんとへふへいふるひもひのうはへろへろひはっへはえっふぇふるひ!!へふへいふるひもふぇふぃははっふぁんはっへ!!!
(痛い!痛い!ちゃんと説明するにも昨日はへろへろになって帰ってくるし!!説明するにもできなかったんだって!!)」
眞莉亜は全く加減がされずにつねられていたため痛がって何とか説明しようと弁明を続けた。あやかはならば聞きましょうと頬をつねる手を解いた。
「あやかにいわなかった理由はたった一つ。失敗したときを考えてだよ。中途半端な希望は絶望よりもタチが悪い。あやかは大切な人を失う経験をもう2回もしてる。
まして、明日菜嬢を生き返らせるといって、失敗したらまたあの時と同じような経験をさせてしまうことになるだろ。だから言わなかったんだ。」
眞莉亜の説明にあやかはそういうことだったのですねと納得したように頷いた。自分をいつも隣で見ていてくれた眞莉亜だから、
眞莉紗だから、眞莉慧だからこそとったあやかにとって最善の策。それがあやかに知らせないことだったということを理解したのだ。
「失敗って・・・・する確率のほうが低いって眞莉紗が言ってなかった?」
明日菜は話の内容に首を捻ってそう聞いた。眞莉亜はああ、アレは嘘だよとあっさりと答えた。
「成功確率はいいとこ0.3%くらいだったかな。まぁ、そんな低確率で生き返ったんだから、その命、大事にしないとね。」
眞莉亜はそういうとソファーに横になってあやかのひざに頭を乗せた。
「とりあえず今日はみんな二日酔いだろうし、のんびりしようよ。」
眞莉亜のその言葉にあやかはそうですわねと眞莉亜の頭に手を乗せて答える。
「あ〜・・・お邪魔みたいだから、私、ちょっと出てくるね。昨日の今日だし、木乃香とかとゆっくり話したいし。」
明日菜は自分がこうやって生き返った確率は聴かなかったことにし、そういうと自室に戻って服を着替え部屋を後にする。
その際、二人のほうに目をやったが、春の日が射すなか、早くも仲良く舟をこいでいる。
「・・・・私もどうなるであれ、がんばらないとな・・・・。」
そんな二人を見て明日菜は微笑みながらそうつぶやくとそのまま部屋を後にした。
二人の邪魔をしないように音を立てないようにドアをゆっくりと閉めて。
「ん・・・・?なんだ、もう朝か・・・。」
エヴァ宅。いつものベッドの上でエヴァは目を覚ました。時計を見るとまだ朝に8時。いつもに比べれば遅いものの、
しかしそれでも早い時間である。
「昨日は昨日でアレだったからな・・・。どうせ今日は休みだろうが・・・・。」
エヴァは昨日のある意味惨事とも言える飲み会のことを思い出したが、かといってこのまま横になり続けているのも勿体無い。
せっかくの臨時休暇だ。恭也とのんびりするのも悪くない。エヴァはそう思い立って体を起こし、洗面所に向かって身なりを整えリビングに向かう。
「おはようございます、マスター。」
リビングでエヴァを出迎えたのは茶々丸だった。エヴァは茶々丸に恭也がどこにいるか尋ねたが、大方の予想はついている。
茶々丸の答えはエヴァの予想通り、魔法空間にいるということだった。
「やれやれ。何事にも一生懸命なのはいいことだが、のんびりすることも覚えて欲しいものだな。」
エヴァはやれやれといいながら茶々丸の用意したトーストをかじる。
「眞莉紗さんという目標ができたので、いてもたってもいられないのでしょう。」
茶々丸はエヴァの対面に座ってそういった。エヴァはまぁ、目標ができたのはいいことだがと認めながらもだからといってと続ける。
「本気の恭也が相当手を抜いた姫神に勝てなかったんだ。その差は数年、数十年で埋まるようなものではないだろう。
幸い、恭也にも時間は無限にある。もう少し、ゆっくりしてもらいたいものだ。」
エヴァはそう愚痴りながらトーストを口にしていく。
「確かに、エヴァのいうとおりかもしれないな。」
と、エヴァの背後から突然恭也の声が届いた。エヴァは紅茶を飲んでいたため、突然の言葉にむせてしまった。
「けほけほ・・・・。背後から気配を消していきなり話しかけるな・・・・。」
恭也はすまなかったと謝りながらエヴァの背をさする。
「自分でもわかってはいる。あの強さは尋常じゃない。でも、ああいうのをみせられると、じっとしていられないのも事実なんだ。でも。」
恭也はそういいながらエヴァの隣に座り、茶々丸の入れてくれた紅茶を口にしながら話を続ける。
「一日一時間は魔法空間で稽古。それ以外は二人と一緒にいる時間にしよう。急いてはことを仕損じるというわけではないが、
やはり、あの強さにはじっくりと腰をすえて取り組まないとどうにもなりそうにない。今しがたそれをはっきりと確認してな。
それで、これからは今言ったように生きていこうと思う。強さを求めることも、大事でないというと嘘になる。
でも、それ以上に、エヴァ、そして茶々丸とともにいることのほうが大切だ。」
恭也はそういいながら二人の顔を見た。エヴァはそうかと短く返すが、笑みを浮かべて嬉しそうにしている。
茶々丸も、エヴァ同様小さい笑みを浮かべて嬉しそうにしている。
「とりあえず、今日は学級閉鎖らしいから、どうする?どこかに出かけるか?」
恭也は紅茶を飲み干し、エヴァと茶々丸に聞く。
「そうだな・・・。私はとくにはないが・・・・茶々丸はどうだ?」
エヴァは特にこれといってやりたいことはないと答え、茶々丸にも意見を求める。
「そうですね・・・。毎日ここにいるので、恭也の実家に顔を出すのも悪くないかと思います。」
茶々丸の意見にエヴァもそれもそうだなと賛同し、恭也もたまには悪くないなと3人で実家に行くことに決定した。
「だが、よく考えると、3日前にも来たばかりだったな。」
恭也の実家の門の前まで到着し、エヴァがふとそんなことを漏らした。
「そういえばそうだな・・・・。」
ここ3日ほど実に濃い内容の毎日を送っていたため、ここに最後に来たのが一ヶ月ほど前のような気がするのだ。
「ですが、ここは恭也の実家ですし、恭也が来たいときに来ていいと思います。」
茶々丸のその言葉にそれもそうだなと恭也は門を見上げてしみじみと言った。そして、門を開く。
「うにゃ?」
「?」
「?」
「?」
門を開いたとたん、3人の目に入ってきたのは見たこともない黒髪の小さな女の子だった。背丈としては130センチほど位しかない。
それどころか、上着はカスタムされて入るものの、凶悪犯罪者が刑務所で着る拘束衣を着、腕がまるで使えないのだ。
それにもかかわらず、門の前を竹箒で掃いている。腕の代わりになっているのはその背にある黒い陰のようなもので、
手のように竹箒を操っているのだ。何もかにもがわからなさ過ぎて恭也たちは?を浮かべたまま固まってしまった。
と、その小さな女の子は何かに気付いたのか、黒い何かで器用に引き戸を開けて家の中に入っていく。
「フィアッセさ〜ん!恭也くんたちが帰ってきましたです〜!!」
家の中から聞こえてくるのはおそらくさっきの女の子の声。かなりのアニメ声だ。どうやらフィアッセが今日はいるようである。
するとすぐに奥のほうから足音が聞こえ始め、玄関からフィアッセが姿を現した。
「久しぶり〜。恭也にエヴァちゃん、茶々丸ちゃん。とはいっても3日ぶりだけどね。あれ?ところで学校は?」
フィアッセのその言葉に恭也はいろいろあって学級閉鎖になったから顔を出したんだと答える。フィアッセはそうなんだ、
じゃあ、ゆっくりしていってねと3人を家に上げた。
「そういえば、フィアッセ。さっきの女の子、あれは誰だ?」
靴を脱いで家に上がったとき、恭也が軽くスルーしていたことをエヴァがフィアッセに尋ねた。
「ああ、そういえば連絡してなかったね。彼女、士郎さんのいとこで不破真理奈さんの娘の不破かなちゃん。士郎さんの姪ってことで預かってるの。」
フィアッセはそういいながら3人をリビングに案内する。リビングのソファーに座ってから、恭也がフィアッセに尋ねる。
「だったら一言言ってくれればよかったのに。ところで、彼女の母親は不破真理奈といっていたが・・・。」
恭也が引っかかったのは彼女の母親の名前である。それが本当だとしたら、彼女の母親は「光紅龍」を宿す、
眞莉紗が教えてくれたブラックリストとも言うべき中に入っている。その娘ということになるのだ。
「そうなのです。ぼくのお母さんは不破真理奈なのです。」
と、そういいながらかなが茶々丸と一緒にティーセットを持ってリビングに入ってきた。
「それじゃ、私はこれから翠屋に行ってくるから、ゆっくりしていってね。」
フィアッセは時計を確認すると時間が迫っていることに気がつき、ぱたぱたと部屋を後にして、翠屋に向かった。
恭也はそのまま茶々丸とかなの入れる紅茶を口にしながら、かなになぜここに来たのかの事情を聞き始めた。
「ぼくのお母さん、有名ですね〜。まさか、そういった世界とかかわりのない恭也くんが知っているとは思わなかったです。」
恭也は直接的に知ったわけじゃないが知り合いに詳しい人がいてなと言って返す。
「ですですか。えっと、ここに来たのは、お母さんの手伝いに疑問を持ち始めたからなのです。一種、良心の呵責と言うものなのです。
わるい人たちを裁くことに関して、殺すことに関してはなんら呵責は抱かないです。
でも、さすがにいいことしてる人をわるいことしてる人の依頼で殺すのはおかしいのです。
だからお母さんにきっぱり言ったです。そしたら、ここを紹介してくれたのです。」
つまり、かなはこれ以上の手伝いはできないと言って家から出てきたということらしい。
「歳相応の判断と言うか、至極当然の判断と言うべきか・・・。用は足を洗いたかったと?」
恭也の問いかけにかなはそういうわけではないですと首を振る。
「足を洗うとかそういう理由ではなくて、いいことをしている人を殺しているのがおかしいと思ったから出てきたです。
別に、わるいことしてるひとが殺されようが、翻ってぼくが殺そうがなんの呵責も感慨もないのです。ただ、それだけの理由です。」
かなは笑顔でそういってのけるが、どう考えてもまともとは思えない。しかし、母は何でも屋。そういう風に育ってもおかしくない。
いや、こんな風に育ったことは、何でも屋の子としては稀なほうではないだろうか。
「なるほど。理由はよくわかった。だとすれば言い方は悪いが、無害と思って大丈夫なんだな?」
エヴァの歯に衣着せぬ問いかけにかなは大丈夫ですと笑顔で答える。
「たとえみんなが悪い人でも、ぼく、身内にはものすごく甘いのです。だから、大丈夫なのです。」
かなの答えにわかったと恭也が答える。かなはありがとうなのですと笑顔を見せた。
「あ、それとぼく、明日から、三人と同じ学校、クラスに転入することになるのです。」
かなが空になった3人のティーカップに紅茶を注ぎながら突然そんなことを言い出した。3人はは?と言う表情でかなを見る。
「ぼく、こう見えても高校3年生なのです。よく小学生に間違えられるですけど。」
かなは笑いながらそういった。確かに、身長130センチあるかないか、しかも声はアニメ声という高校生に見えないため、仕方ないと言えば仕方ない。
「と、言うことで、これからよろしくなのです。」
かなはそういって深々と頭を下げた。恭也はそれならこちらこそよろしくと軽く頭を下げる。
「しかし、ここ数日、本当にいろいろあるものだ。」
エヴァはソファーに背を預け、天井を見上げてそういった。エヴァの言うとおり、ここ2日は立て続けに濃い日々だった。
バイクレースにはじまり、明日菜とクラスメイトの引き合わせ、そして眞莉紗との手合わせ。既に何があってもおかしくないとはいえ、
次は今は亡き不破の血を引くものとの再会。ここまで来ると作為的な何かを感じずにはいられないのも頷ける。
「永い永い人生だ。こういうときがあってもおかしくないだろう。」
恭也はそういうと立ち上がって縁側に足を運ぶ。エヴァ、茶々丸もそれにつられるように立ち上がって恭也の後を追う。
かなはティーセットを片付けるために台所に姿を消した。
「なんと言うか・・・・ここは落ち着きますね・・・・。」
縁側に座った3人は何をするまでも無く、庭を眺めていた。茶々丸の言うとおり、何をするでもなく、ここは落ち着くのだ。
エヴァもそうだなと突き抜けるほど蒼い空を見上げてつぶやく。
「恭也。」
と、エヴァが恭也を呼んだ。恭也はどうした?とエヴァのほうを向く。すると、エヴァは脚をポンポンと手で叩く。
どうやら、来いということらしい。恭也はそれじゃあと縁側に横になり、エヴァの脚にその頭を乗せた。エヴァはそんな恭也の頭を軽く撫でる。
「本当に平和だな。」
エヴァはそういって恭也の顔を覗き込む。恭也はいいじゃないか。殺伐としているよりはましだろうと答える。
「ふ。これでも一応、悪の魔法使いなんだぞ。」
エヴァは悪戯な笑みを浮かべて恭也に言う。
「だが、案外私が求めていたのはこういった平凡な日常なのかもしれないな。」
エヴァのその言葉に何時までも俺は隣に居るよと恭也が答える。
「私も、何時までも二人のおそばに居させてもらいます。」
茶々丸もそういって恭也とエヴァのほうを見る。
「そうだな。何時までも、3人一緒だ。」
恭也のその言葉にエヴァと茶々丸は笑顔でそれに同意する。何も無いからかけがえのない、
だから大切な一日であることを再確認するように3人仲良く縁側で舟をこいでいた。
さて、ところ変わって女子寮のあやかの部屋。夕刻も近く、そこには明日菜、千鶴、夏美の姿もあった。
ちなみに、夏美は少しのお酒でKOし、二日酔いにはならず、千鶴は相当飲んでいるにもかかわらず、二日酔いになっていない。
「やっぱり那波さん、料理上手だねー。」
夕食を食べ終え、明日菜は満足そうにそういった。今日の夕食当番は千鶴。料理の腕はさすがのもので、この面子の中では一番上手である。
「そういえば、あーちゃん、料理のほうは大丈夫なの?食べられるもの作れるようになった?」
満足そうな明日菜に昨日あれだけ飲んだにもかかわらず、一升瓶をラッパ飲みしながら眞莉紗が尋ねる。
「えっと・・・・それはその・・・・。」
痛いところを突かれどもる明日菜。生前 (?) の明日菜は料理と称した劇物製作しかできなかったのだ。
しかし、それは生き返ってからも変わらず、食べられるものから食べられないものを作るしかできていない。
「あー・・・・それじゃ、当分は料理当番はスルーの方針だね。」
夏美が苦笑いを浮かべていった。明日菜は反論するにも事実である為言い返すことができない。
「練習あるのみよ、明日菜さん。私でよかったらいつでも教えてあげるわ。」
フォローするように千鶴が明日菜に助け舟を出した。明日菜はお願い・・・。とうなだれて答える。
それからは5人で他愛の無い話に花を咲かせ、時間を無為に、有意義に過ごした。そうこうしている内に時間は8時を回っていた。
時間も時間なのでそろそろお風呂に入ろうと言う話になり、みなで大浴場に向かう。
麻帆良高等部女子寮の大浴場ははっきり言って大きすぎるほど大きく、これほど大きくする必要性も考えられない。
ちなみに、この時間帯だと人も少なく、事と次第によれば貸しきり状態になることもしばしばだ。
「でさぁ・・・・。みんなでお風呂に来るのはわかるんだけど、何で、眞莉紗まできてるのよ!?」
余りにも自然な流れで大浴場に来て、湯船に浸かっているが、明日菜が根本的な部分に突っ込んだ。何で眞莉紗までここにいるのかと。
「ふえ?だって、私女の子だよ?確かに、体は眞莉亜のものだから男の子の体だけど。」
眞莉紗は至極当然のようにそう答える。確かに、体は男とはいえ、眞莉紗自身は女の子なのである。だから一緒でもおかしくないと思っているのだ。
「それに、この頭だから、あやかに洗ってもらわないと。自分じゃ角、洗えないしね。」
眞莉紗はそういって自分の角を触る。確かにりっぱな角だが、自分で洗うとなると大変であろう。
「いや・・・・そうだろうけど!そうだろうけど、なんていうか・・・・その・・・・。」
明日菜は顔を赤くして反論する。眞莉紗は言いたいことを汲み取って、それなら心配すること無いよ〜と軽く答える。
「あやか以外の女の子の裸に興味ないし。そもそも、別にそれが目的で入ってるわけじゃないんだから、私からすればどうでもいいって言うか。
それに、私も女の子なんだから、気にする必要ないって。」
眞莉紗はそういいながら湯船を堪能している。明日菜はそうじゃないってと首を振った。
「でもさ、眞莉亜君も出てきてないとはいえ、意識はあるんでしょ?」
私の言いたいのはそっちのほうなのと眞莉紗に言う
。眞莉紗はそりゃまあ3人でフュージョンしてるようなもんだからねと眞莉亜の意識も確かにあるよとあっさり認めた。
「まぁ、眞莉亜は私以上にあやか以外の女性に興味なっしんぐだから気にしなくてもいいんだけどねぇ・・・。」
眞莉紗はそういうと湯船から上がって結い上げた長い金色の髪をほどき、あやかを呼ぶ。綾香もそれに答え、
バスタオルを体にまいて眞莉亜の後ろにイスを置いて座り、シャワーで眞莉紗の神を流し始めた。
「それにしても綺麗な髪ですわね。」
丁寧に髪を洗いながらあやかが眞莉紗にそういった。
「そりゃ毎日あやかが洗ってくれるからね。」
余りにもべたなバカップル的回答だが、眞莉紗は恥ずかしいとも思わず、言い返す。
「だとしたら嬉しいですわ。」
あやかもそんな台詞に恥ずかしいとも思わず笑って返した。
「バカップルだ・・・・バカップルがいる・・・・。」
あまり述べたなやり取りに明日菜は目を点にしてつぶやいた。
「さすがはあやかね。いつもはしっかり者だけど、デレのときはこれでも勝手ほどデレちゃって。」
そんな二人をもう見慣れている千鶴は微笑んでそういった。どうやらこれが日常茶飯事のことらしい。
明日菜はこれからもこれを見せ付けられるのかと盛大にため息をついた。
一方高町家。今日は恭也たちもとまるつもりで着ていたため、結構な人数で食卓を囲んでいた。
「で・・・。和食と中華、なぜ両方あるんだ?」
テーブルの上にあるのは和食と中華。あまり見ない組み合わせにエヴァが料理当番の晶に尋ねた。
「すいません。エヴァさんたちが来ると知っていたら帰りに食材買ってきたんですけど・・・。」
どうやら突然きたために、材料が足りなかったらしい。しかし、和食は晶、中華はレン。料理の腕は折り紙つき。味は保障されている。
「ささ、どんどん食べたってください。」
レンの進めにそれじゃあとそろって食事を始めた。
「うむ、美味しいな。」
やはり味は一級品。エヴァも素直に美味しいと口にする。
「そういえば、今日晶ちゃん早かったね。」
と、雑談の中、なのはが晶に聞いた。
「ああ、今日は眞莉紗先輩来てなくて。っていうか、眞莉紗先輩のクラスが学級閉鎖になっててさ。
部屋に押しかけるわけにも行かないから早く帰ってきたんだ。」
晶は箸を止めてなのはにそう答えた。なのははこの時期に学級閉鎖なんて珍しいねと首を捻る。恭也たちは理由を知っているものの、
飲酒が原因とは口が裂けても言えるわけが無い。しかし、それ以上に、晶の口から眞莉紗の名前が出たことに恭也は驚いた。
「晶。お前、姫神のことを知ってるのか?」
恭也のその問いかけに晶ははいと答える。
「週2回、稽古に付き合ってもらってるんです。ものすごく強くていい勉強になるんですよ。」
晶の言葉に恭也はそうだなとつぶやく。今日やノアためによぎったのは眞莉紗が口にした眞莉紗に本気を出させる龍族の存在。
その存在に晶は一致するのだ。恭也の身近な存在であり、眞莉紗と既にかなりの回数手合わせをしているだろう晶ならば、そうであってもおかしくない。
しかし、晶が龍族かどうかの確証もなければ、さっきもそうだが、晶はレンをまだ超えているようには見えない。
しかし、どうしても引っかかる。恭也は思い切ってそれを口にした。
「晶。俺も最近姫神と戦ったんだが、そのとき、俺の身近に姫神が本気を出すほどの使い手がいると聞いたんだが、心当たりは無いか?」
恭也の言葉に晶はうーんと首を捻った。
「俺はまるでかないませんし、誰かいるのかな・・・・?」
頭を捻って考えているがどうやら心当たりはないようである。
「ウチも前来はったときに手合わせしてもらいましたけど、まるで相手にならへんかったですよ。」
レンも自分じゃないし、心当たりもないですと首を振った。
「っていうか、恭ちゃんの身近な人でそんなに強い人って入ったら、エヴァさんがいるじゃない。」
みゆきは違うんですかとエヴァに尋ねる。
「まぁ・・・本気で戦えば戦えないことは無いだろうが、如何せん戦ったこと自体無いからな・・・。なんとも言えん。」
エヴァも私ではないと断言した。だとしたら誰が、と恭也は思いもしたが、わからないものはいくら考えても詮のないことだ。
それほどの使い手なら、いずれ自分の前に現れるだろう。恭也はそう割り切ってこの話を打ち切り、食事を続けた。
今まさに自分の前にその存在がいることに気付くことなく。
「さて、そろそろ時間も時間ですし、寝ましょうか。」
時刻は日付も変わって0時。翌日は金曜日ということもあって、他愛もない話を続けていた中、あやかがそういって話を切った。
千鶴たちもそうねと銘々、終身の準備を始めた。眞莉紗もそれじゃあそろそろ変わろうかなと体の支配権を眞莉慧に譲る。
「でも、今日の言い訳ってどうすればいいんだろうね?」
寝る準備をする中、夏美がそういった。さすがに二日酔いが原因ですなどと言えるわけがない。
「そういう日があった。それでいいんじゃないかな?」
そういったのは眞莉慧だ。1年365日。たまにはそんな日もあることがあると言うことだろう。
「そうね。そういう日もあるのよ。」
千鶴も笑ってそれに賛同する。
「まぁ、ネギ先生ですから、事情を説明したら許してくれるとは思いますけどね。」
あやかはそういって綺麗にまとめてドアノブに手を書ける。高校になってからは一つの大きな部屋が割り当てられ、
その中で小さく分けられていて、個室になっているのだ。あやかと眞莉慧は当然のことだが同室。
明日菜も綺麗に片付けられた一室が割り当てられている。
「それじゃ、おやすみ。いい夢を。」
眞莉慧の一日の締め言葉にみなおやすみといって部屋に入っていった。少し特別な、でも、いつもの休日と変わらない一日がこうして終わりを告げる。
そして、再び毎日が始まる。少し騒がしい、でも、楽しい毎日が。
「さて、そろそろ寝るか。」
リビングでくつろいでいたエヴァが時計を見て恭也と茶々丸にそういった。恭也もそうだなといってソファーから立ち上がり、
茶々丸とエヴァをつれて寝室に向かう。そして、押入れから大きな布団を一枚引っ張り出した。昔は一人用の布団だったのだが、
桃子がいろいろと気を使って二回りほど大きな布団を用意してくれたのだ。いわく、夫婦だから一つの布団で寝るべきとのことである。
「しかし、明日は一体どうなることやら。」
布団に入った恭也は暗闇の中天井を見上げてつぶやいた。まさか先日の明日菜の一件のことを話すわけにもいかない。
「なるようになるさ。いや、なるようにしかならないだろう。」
恭也の隣でエヴァがそうささやく。エヴァの言うとおり、なるようにしかならない。下手に言い訳したら、かえってぼろが出てしまうというものだ。
「明日のことは誰にもわかりません。それに、ネギ先生ですから、わかってくれるでしょう。」
隣の茶々丸もそういった。恭也はそれもそうだなと目を閉じる。
「そういえば、そろそろ修学旅行だな。」
少しの沈黙の後、エヴァが小さな声で言った。恭也はそうだなと返す。
「中学のときの修学旅行は散々だったし、今度こそ何も無ければいいんだが。」
エヴァは中学時代の修学旅行のことを思い出し、少しため息をついた。
「そう何度も何度もおきはしないさ。それに、今回は狙われる理由も無い。」
恭也はそういって、楽しいものになるさと明るく答える。
「そうであって欲しいですね。楽しめる修学旅行にしたいものです。」
茶々丸もそういってたのしそうにいった。次のイベントは修学旅行。何も無いだろう。いや、そう信じたい。
恭也は、エヴァは、茶々丸はまどろみに落ちながらそう思った。今日が終われば明日が来る。それが続くだけである。
次のイベントは修学旅行。楽しいものになるとそう信じて、翌日も楽しく過ごしていくのである。
あとがき
(フィーネ)と、言うことで、遅れに遅れたネギまちっく・ハートの第八帖をお送りします。
(フィーラ)あれ?作者は?
(フィーリア)うん。今回はいないの?
(フィーネ)ああ、あの馬鹿ならサイトBに島流しにしといたから。調子に乗ってMH2ばっかしてSS書いてないからお仕置きの意味も兼ねてね。
(フィーラ)ああ・・・書くとか何とかいって全く手つけてなかったしね・・・。
(フィーリア)今回ばかりは情状酌量の余地無しね。
(フィーネ)当たり前じゃない。読者を一ヶ月もないがしろにして。感想書いてくれている人だっているんだから、少しは自覚してもらわないと。
(フィーラ)そうね。今回ばかりはきついお仕置きが必要かも。ちょうど肉食恐竜がいっぱいいるところだからいいお仕置きになるわね。
(フィーリア)死んじゃいそうな気もするけど・・・・。
(フィーネ)ま、大丈夫でしょ。生命力はゴキブリ並だし。
(フィーラ)スリッパで叩いたら死ぬ程度?
(フィーリア)そういっちゃうと身も蓋も・・・・。
(フィーネ)それじゃ、次回予告よ。間近に迫る修学旅行。
(フィーラ)楽しい修学旅行になるはずが、眞莉亜がそれに警鐘を鳴らす。
(フィーリア)今までに無い危機の連続と、度を越えた化物が百鬼夜行のように跋扈する究極のサバイバル修学旅行が幕を開ける!!
(フィーネ&フィーラ&フィーリア)次回、ネギまちっく・ハート第九帖「煉獄へのカウントダウン」!!乞うご期待!!
(フィーネ)次は早く投稿できるようにビシバシしごきますんで、ご期待ください♪♪♪
今回はちょっと落ち着いた感じで。
美姫 「明日菜復活後日談って所かしらね」
ほのぼのと。
美姫 「さて、次回は修学旅行かしら」
一体、どうなるんだ!?
美姫 「予告を見る限り、ただの旅行ではすまないわよね」
次回も楽しみに待ってます。
美姫 「待ってますね〜」