『ネギまちっく・ハート〜Love and War〜』
第九帖『煉獄へのカウントダウン』
翌日、さすがに今日は昨日休んでいた旧2−Aの面々も出席し、いつもの学校風景が戻ってきた。しかし、昨日休んだ旧2−Aの面々は気が気ではない。
休んだ理由が理由なのだから。しかし、そんなのを気にしていない面々もいる。眞莉亜やエヴァといったマイペース集団だ。
エヴァはまるで気にしていないのか恭也とストロベリートークをしているし、眞莉亜は修学旅行の話をグループを集めてしている。
そう、もうすぐ修学旅行なのだ。この高校の修学旅行は四月二十日から三十日までの十日間。高校にしては非常に長い修学旅行である。
それも間近に迫っているのだからこういう光景はある意味どこでも見られるようになっている。
「はーい、ホームルームはじめますよー。」
と、チャイムと同時にネギが教室に入ってきた。眞莉亜たちも話を打ち切って銘々席に着く。
「えっと、昨日の件についてですが、それはあとで聴くことにします。今日はまず、転校生が2人いるのでご紹介しますね。どうぞ、入ってきてください。」
ネギはとりあえず昨日の件は置いといてと先に転入生二人を教室に招きいれた。当然一人は明日菜で一人はかな。二人は並んで黒板の前に立つ。
両者顔立ちもよく、美少女と言っても遜色ない。当然数少ない男子生徒は色めきたった。しかし、同時にかなの異常ともいえるその姿格好に目を点にもしている。
腕が使えない拘束服に、その代用として使っている黒い影を全く隠そうとすることなく入ってきたのだから。
ネギはここに来る段階で話を聞いたのかそのことには触れず、明日菜に自己紹介を促した。
「えっと・・・都内からきました、天ヶ瀬明日菜です。1年という短い時間ですが、よろしくお願いします。」
明日菜はそういって頭を下げる。終わったことを確認し、かなが一歩前に進み出て一度教室を見渡す。誰もが目をぱちぱちしてかなを見ている。
当然だ。こんな格好、世界探してもかなしかいないと断言できるような格好なのだから。かなもそんなみんなを予想どおりという顔で見回し、
そして一点で顔をとめた。その視線の先にいたのは裕奈。裕奈もかなを見て目を丸くしている。かなの表情は一変、子供が喜んでいるように明るい顔になった。
「ゆーなー♪♪♪」
と、かなは裕奈をそう呼んでその場から、黒板の前から窓側後方の裕奈のほうに向かって跳んだ。常人から考えれば尋常でない跳躍力。
しかし、どう見ても常人でないかなにとっては大したことないのかもしれない。
しかし、そんなことは一目でわかっても突然そんなことをされても頭が追いつかないのが普通の人の反応だ。
しかし、当の裕奈にしてはたまったものではない。いくらかなが小柄とはいえ拘束服で腕が使えず、そのままダイブしてきたのだから。
当然裕奈は危ないと判断して机から緊急回避。結果、かなはすさまじい音をたてて机に突っ込むことになった。突然の出来事に教室内に静寂が訪れる。
どこからどう考えても無事なわけがない。しかし、かなはにゃ〜といいながら右足を回しながら仰向けになり、そのまま首跳ね起きで起き上がる。
「ひどいですよ〜・・・。避けることないです・・・・。」
かなはその黒い影で頭をさすりながら裕奈にそういった。
「そんなこといったって、受け止められるわけないでしょ!」
裕奈がそう声を上げるとかなは言われればそうなのです。失敗失敗と頭をかきながらとりあえず黒板の前に戻り自己紹介を始める。
「えと、自己紹介です。ぼくの名前は不破かな。とりあえず色々秘密はありますがそれは秘密と言う方針でよろしくです。」
そういって頭を下げるかな。どうやら黒い影の話などはそのまま受け入れてくれということなのだろう。と、かなが言い忘れてたですと言葉を続けた。
「ぼく、家庭の事情でこんな風に育てられましたが、男の子なので間違えないようにして欲しいです。」
その言葉に再び教室に沈黙が訪れる。身長130センチほどで童顔、女子用の制服を着ているのに中身は男とはこれいかに。
しかし、よくよく考えると前からそういう人はいたではないかということにだんだんと気付いてきた。それが一人増えたと言うだけの話。
整理がついたのか、みな触れずの方針を決めたようだ。
「それじゃ、席のほうは・・・天ヶ瀬さんは木乃香さんのとなり、不破さんは裕奈さんの後ろにおねがいします。」
二人はネギの指示通りの席に着く。ネギは二人が席に着くのを確認してではと口を開いた。
「昨日の件ですけど、一体何があったんですか?全員風邪とかじゃなかったみたいですし・・・。」
どうやら昨日の件についてのようだ。しかし、誰も何も言うことができない。まさかお酒の所為というのは自爆行為もはなはだしいのだから。
「あーその件だけど、ネギ先生。」
と、手を上げて発言したのは眞莉亜だ。この状況で眞莉亜が挙手。誰もが何を言うのかびくびくしながらも、しかし同時に眞莉亜なら任せられるという安堵感も同時にあった。
「ちょっと話したいこともあるから昼休みにでも詳しいことは説明するよ。」
眞莉亜はそういってだからとりあえずここでは納得してくれないかなとネギに言う。
ネギはわかりましたと眞莉亜のことを信頼してその場はこれ以上の追及をやめることにしたようだ。
「それじゃホームルームはこれで終わります。次の授業は移動教室ですから遅れないようにしてくださいね。」
ネギがホームルームを終わらせて教室を出て行った後、当然だが恒例行事の転校生への質問コーナーが開かれる。
すでに二人の元には人垣ができているほどだ。
「そういえば、かな君でいいんだっけ・・・は裕奈とどういう関係なの?知り合いとか?」
かなの取り巻きのほうにいた夏美がかなに尋ねる。聞かれて当然、さっき飛びつこうとしていたのだから。
「かなとはかなのお母さんがお父さんの昔からの知り合いでね。4年位前にかなのお母さんの都合で別れてたの。
まっさか転校してくるなんて思わなかったよ。」
どうやら裕奈とかなは昔からの馴染みのようである。
「え?別れてたの?その割に結構メールのやり取りしてたりしてなかった?」
とまき絵が裕奈に尋ねた。何か少し会話がかみ合ってない気がする。
「っていうか、付き合ってるってゆーな言ってへんかった?」
と亜子が首をかしげて裕奈に聞く。
「ちょ!亜子、それは秘密って・・・・!」
亜子の発言を裕奈はあわてて止めようとしたが時既に遅し。みなに伝わり一気に大騒ぎになってしまった。
それからはいつから付き合っていたのかとか、何で秘密にしてたのかとか根掘り葉掘り聞かれはじめる。
裕奈はそれはだからとあせってうまくしゃべれないでいる。
「はいはい、それくらいにして一時間目は移動教室なんですからそろそろ行かないと遅れますわよ。」
そんな状況に助け舟を出したのか、それとも単に委員長としての発言なのか、
あやかのその一言で、みんな仕方ないかという風にぞろぞろと席に戻って移動教室の準備を始めた。
「ありがと、いいんちょ。」
裕奈はその場を収めてくれたあやかに礼を言った。あやかもお礼を言われるほどではありませんわと笑顔で返す。
「ゆーな、教室わからないですから案内よろしくです。」
裕奈の袖を黒い影で遠慮がちにひっぱってかながそういった。確かにこの学園、相当な広さがあり、教室数も半端ではない。
来たばかりのかながわかるわけないのだ。
「はいはい。それじゃ、いこっか。」
裕奈の教科書をかなが持ち二人でそろって教室を出て行く。とりあえず騒ぎは沈静化したものの、今は単純に授業が始まるからというだけで、
昼休みという最大の山場がまだ残っているのだった。
そして昼休み。ネギは眞莉亜の話を聞く為に教室に向かった。お昼休みと言うこともあり学食に言っているものも多く、教室にはまばらに人がいる程度。
ネギが教室に入ると眞莉亜が待ってましたと立ち上がってネギの元に足を運ぶ。
「ここじゃなんだし屋上でも行きましょうか。あんまりほかの人には聞かれたくない話ですし・・・・。」
眞莉亜はそういってきょろきょろと辺りを見回しネギの耳元で小さくささやいた。
「それに、どうやらつけられてるみたいですしね。」
その言葉にネギがえ?と辺りを見回す。しかし、誰がつけているのかさっぱりわからない。
「うし。じゃ、明日菜嬢、それに恭也とエヴァ嬢も一緒に来てくれない?」
眞莉亜はそういって3人を呼んだ。何も伝えられていなかった手前、何で自分がと言う表情をしている。
しかし、何かしらいいたいことがあるのだろう、とりあえずやることもないのでついていくことにしたようだ。
「恭也、悪いんだけど、エヴァ嬢にあの魔法空間に直接つれてってもらえないか聞いてみてくれない?『こっち側』じゃどこにいたって魔法先生に話聞かれちゃうし。」
眞莉亜はまた恭也にこそりと耳打ちをする。恭也は何らかの意図があると察し、エヴァに念話でそれを伝える。恭也は眞莉紗との手合わせ以降、
魔法の習得にも精を出し始め今では念話や幻視、軽い下級魔法までなら何とか操れるようになったのだ。
エヴァはわかったと頷き、目を閉じ詠唱を始める。さすがは真祖と言うだけあって、エヴァもここ数年、特に恭也と結婚してからの半年で飛躍的に魔力が上昇し、
ある程度無理な魔法も使えるようになったのだ。何も知らされてないネギと明日菜は何が起きてるのかさっぱりわからず、
いや、ネギは魔力は感じているものの、何がしたいのかわからず、そのまま何も知らされることなくエヴァの家にある魔法空間に移動させられた。
「ありがと、エヴァ嬢。あそこじゃいろいろ話しにくいし、魔法先生がつけてたみたいだから。」
眞莉亜の礼に気にするなとそっけなく返すエヴァ。
「しかし、なぜここに来る必要がある?昨日の説明ならまぁ、聞かれればまずいといえばまずいかもしれないが、それでもここまで来る必要はないだろう?」
エヴァは眞莉紗を見上げるように尋ねる。眞莉亜は当然それなりの理由はあるさと答えた。
「まず、明日菜嬢のこと言っとかないと。ネギ先生には話してなかったし。それに、後一週間後に迫った修学旅行。これについてちと言っとかないといけないことがあるから。」
エヴァはなるほど、天ヶ瀬のことかと納得して頷いた。しかし、その後の修学旅行のこととは一体何のことであろうか。
「と、とりあえず、まず昨日の件から説明してもらえますか?」
ネギはいくつか話したいことがあるらしい眞莉亜の話ぶりからまず昨日の件のことについて聞いた。
ネギとしては明日菜の話というのが気にならないわけではないが、まず、何より最初の用件からと言うことのようだ。
「ん〜・・・簡単に言うと明日菜嬢の復活宴会でかなりの数が二日酔いでダウンしちゃったって言うのが真相だよ。」
あっさりと事実を伝える眞莉亜に恭也はため息をついた。まさか二日酔いとまで言うとは思わなかったようだ。
「え?明日菜さんの復活宴会って・・・?」
ネギは二日酔いという点よりも、寧ろ明日菜の復活という点に驚いた。
「ほんとに鈍いとこは変わってないねぇ・・・。苗字は便宜上かえてるけど、名前はまんまなんだから気付いてもよくない?」
全く気付いていなかったネギに明日菜があきれたようにため息をつきながらそういった。ネギはそれでもまだ信じられないのか、
目をぱちぱちさせている。
「で、でも、人を生き返らせるような魔法は・・・・。」
そう、ネギでも知っている。人を生き返らせる魔法がこの世には存在しないことを。しかし、眞莉亜はそうでもないよと肩をすくめる。
「実際、人を甦らせるような魔法なんてちょっと魔法の裏側を覗けば山のようにごろごろしてる。
まあ、正統なほうじゃないからそもそも異端的魔法ではあるんだけど、それこそ、自分の意のままに操れるように生き返らせる魔法だったり、
生き返らせるだけならネクロマンシーだってそれだ。まぁ、俺の場合、そもそも魔法なんか使えないから、眞莉慧の力をおもに借りて生き返らせたんだけど。」
眞莉亜は回りくどいけど、用は魔法を使って生き返らせたってわけじゃないってこと。と説明した。
「本当に・・・明日菜さんなんですか?」
ネギがもう一度明日菜に問う。
「当たり前じゃない。まあ、いろいろあったけど、こうして戻ってきたのよ。」
明日菜のその言葉にネギは明日菜に抱きついて泣いた。4年前、何もできなかった自分。4年前、生き返らせることをあきらめた自分。
忘れていたわけではない、でも、明日菜の存在が薄れていた自分。万感の思いがやはりそこにはあった。明日菜もそれを汲み取ってかネギの頭を撫でてそれに答える。
「ま、とりあえず、昨日は明日菜嬢のそういうことがあって、眞莉紗の酒を誰が持っていってか知れないけど、
とりあえずその所為で結構な数が二日酔いになっていけなかったんだよ。」
眞莉亜はネギにそういうとネギはそうですか、事情はよくわかりました。と答えた。
「こんな風にいうのはおかしいのかもしれないですけど、ありがとうございます。」
ネギはそういって眞莉亜に頭を下げた。
「礼をされることじゃないって。ま、とりあえずそういうことだから。で、これからが話したいことの本題。明日菜嬢の話だけならエヴァ嬢や恭也を呼ぶ必要ないからね。」
眞莉亜はそれじゃ仕切りなおしとエヴァ、恭也を呼ぶ。
「さて、今から話すのはとりあえず確定した不確定の未来の出来事と思って聞いてほしいんだ。」
口調がいっぺんした眞莉亜に恭也たちも何か感じ取ったのか、表情が変わった。ネギも涙をぬぐって眞莉亜のほうをむく。
「そろそろ修学旅行があるけど、今回の修学旅行、何かあると思っていてほしいんだ。」
眞莉亜の言葉にその場にいた全員が首を捻る。
「わかりにくいとは思うけど、本当にそういう風に言うしかないんだ。危機察知能力っていうか、そういう類のものだから、何が起こるかまではわからない。
でも、間違いなく何かがおきると思うんだ。それも俺じゃなくて眞莉紗や眞莉慧が出張るようなそんなことが。」
眞莉亜の言葉に恭也が問う。
「つまり、そういったことがおきると?」
恭也の言葉に眞莉亜はそうと首肯する。
「だが、何がおきるかわからないのだろう?なぜそこまで断言できるんだ?」
眞莉亜はエヴァ嬢の疑問はごもっともとそれを認めた。
「最初にも言ったとおり、この話は確定した不確定の未来の出来事なんだ。『眞莉紗、眞莉慧が出張るような何か起きる』って言うのは確定した未来。
でも、『何が起きるか』っていうのは不確定の未来の出来事なんだ。」
よくわからないかもしれないけどとりあえずそこのところは納得してくれないかなと眞莉亜は言う。
「中学のときの修学旅行のときみたいなことが起きるって言うんですか?」
ネギが眞莉亜にそう尋ねるとそれは確定した未来、間違いなく起きるよと答えた。
「もし、中学の修学旅行のときみたいなことが起きるとすれば、狙われるのは誰かって話になる。で、これは俺たち3人で考えたことなんだけど、
もし、狙われるとすれば候補は3人。ネギ先生、木乃香嬢、そしてエヴァ嬢だと思んだ。」
眞莉亜の話にエヴァは確かにそういうことがあって狙われるとすれば妥当な人選だなと頷く。
「返す返す本当に『何がおきるか』っていうのはわからない。だから、備えあれば憂いなし、とりあえず、その気構えをしてて欲しい。
あと、エヴァ嬢たちのグループに木乃香嬢を入れてやってほしいんだ。このことは俺からも伝えとく。そうなると多分刹那嬢も一緒になると思うけど、
お願いしたい。それに、そうすればエヴァ嬢のグループは仮に二人が狙われても大体一通り戦える面子になるから。
で、ネギ先生は俺たちのグループと行動してほしいんだ。とりあえず、こっちのグループで近くにいてくれれば眞莉紗か眞莉慧が何とかしてくれるはずだし。」
眞莉亜は一通りいって強制はしないけど、よければ今言ったグループで行動してほしいんだといった。
「・・・・わかった。おまえの言葉を信じよう。」
エヴァは眞莉亜の表情から嘘偽りでないと読み取り首を縦に振った。
「わかった。おまえたちが言うことなんだ。おそらく事実だろう。引き受けた。」
恭也も眞莉亜だけならまだしも、眞莉紗、眞莉慧の言葉であることから切羽詰っているということを察知し、了承した。
「わかりました。でも、無茶はしないでください。何があるかわからないなら、なおさらのことです。」
ネギも眞莉亜の言葉を信じ、行動を共にすることを決めたようだ。
「はっきりとわかれば対策云々もできるんだけど、はっきりとわからなくて申し訳ない。
でも、『何か起きる』のは間違いないにしても『何が起きるか』っていうのはわからないから、学園町に掛け合うにもさすがに不確定すぎるし、
既に予定だってることだから突然中止って分けにはいかないと思う。だから、こうして少しでも危険に対処できるようにしたかったんだ。」
眞莉亜はそういうと本当にすまないと頭を下げた。
「それはかまわない。だが、一つ聞かせてもらう。なぜそんなことがわかった?最初に危機察知能力といったが、それは一体なんだ?
そこまでわかるならそれはもう危機察知能力ではないだろう?」
エヴァのその言葉に眞莉亜はさすがエヴァ嬢と感心したように口笛を吹く。
「『運命視』。眞莉紗や眞莉慧みたいな化物的能力持ってるわけじゃない俺が持ってる唯一の能力だよ。
とはいえ、あんまり遠くの未来の運命は漠然と鹿見えないんだ。だから『何か起こる』のはわかっても『何が起こるか』ってのはわからない。」
眞莉亜は要は俺の能力によって察知したんだよとエヴァの問いに答える。エヴァはなるほど、やはり一筋縄でいく相手ではないなと認識を改めたかのように返す。
「とりあえずそういうことだから、本当に注意だけはして欲しいんだよ。」
眞莉亜の言葉に恭也はわかったと返事をする。
「はぁ・・・中学のときは中学のときでアレだし、高校は高校でだなんで・・・。よっぽど運がないのね私たち・・・・。」
明日菜は勘弁してよと辟易したようにため息をついた。
「まぁ、類友でこれだけの人数の魔法使いやら吸血鬼やラオにやら幽霊が集まれば、世界樹のあるこんなとこじゃない限り類友効果でいろいろ引き寄せるよ。」
眞莉亜は明日菜嬢のいうとおり、運がなかったんだよと少し笑って返した。
「さて、それじゃ俺の話はここでおしまい。とりあえず、修学旅行に向けて気を抜かないでほしいんだ。」
眞莉亜はそういって時間をとらせて悪かったねと頭を下げた。ネギはそんなことないですよ、貴重な情報ありがとうございますと眞莉亜にそういって頭を下げた。
「それと・・・明日菜さんのこと、僕がお礼を言うのはおかしいとわかってますけど、ありがとうございます。」
ネギは眞莉亜にそうも言って頭を下げた。眞莉亜はそれこそお礼なんか言われることじゃないよと肩をすくめた。
「さて、それじゃ話も終わったようだし、教室に戻るぞ。」
エヴァは話が終わっていることを確認し、そういって魔法空間から全員を教室に飛ばした。一瞬にして教室に戻る恭也たち。と、教室に戻ってみると眞莉亜の姿がない。
全員戻ったはずなのに、l一体どうしてだろうか。
「なに、あいつらのことだ。こっちに戻ろうとする魔力を利用して大方どこか違うところにいったんだろう。」
眞莉亜がいないことに首をかしげていた恭也とネギに向かってエヴァがそういった。
「でも、何でそんなことを・・・。」
理由に皆目見当が浮かないネギは首をかしげたままだ。確かに昼休みはまだ半分以上あるが、
かといって今更学食に行っても食事にありつけるほど甘くない時間でもある。
「さてな。さて、恭也。茶々丸が屋上で昼食の準備をしているから待たせると悪い。行くぞ。」
エヴァは一切興味が無いようで恭也とともに教室を後にする。
「まぁ。眞莉亜くんには眞莉亜くんの事情があるんでしょ。さて、この形に私たちの分の急き取らせてるから、こっちも待たせるのは悪いわ。行くわよ、ネギ。」
明日菜にそういわれてネギもそうですねと眞莉亜のことを考えるのをやめて明日菜について学食に向かった。確かに、彼らにとってこれからの眞莉亜の、
いや、正確には眞莉亜たちの行動は関係ないものだろう。しかし、眞莉亜にとって、これからの行動は修学旅行で万に一つをなくすためにも非常に重要なものであることを誰も知らない。
「遅いです。約束の時間から五分も遅れているですよ。」
広大な麻帆良学園の敷地内にある、今は使われていない廃校。そこに不破かなの姿があった。かなの目線の先には金髪、そして金の瞳。
何より鬼特有の立派な角。そう、姫神眞莉紗がそこにはいた。
「ごめんごめん。説明にちょっとてまどっちゃってね。」
眞莉紗はそういうと前置き無しに指輪に口付け、巨大な双刃剣を手にする。
「っと・・・今回はこっちじゃないんだっけ。」
眞莉紗はうっかりうっかりと双刃剣を両手で持つ。すると見る見るうちに1,8メートルほどの大剣に変わっていった。
クナイをそのまま巨大化させたといって過言のないシンプルな、蒼白い刀身をした大剣。両手権特有の40センチほどの柄があるにもかかわらず、
両手で構えず片手でそれを持つ眞莉紗。しかし、それだけでは終わらない。唐突に眞莉紗を焔が包み込む。眞莉紗は一拍おいて大剣を振り、
自らまとった焔を振り払った。そこにいたのは鬼の角、蒼青の髪、赤い瞳。まるで3人が同時に顕正したかのようなその容貌。
そして、しかし何より体を支配しているのは眞莉紗であることを示すかのように人すら鷲掴みにできそうな大きさになった、
そしてどう見ても人のものでない風貌の、正しく『鬼の手』が見て取れる。
「今回は手加減なし。ま、何が有るかわからない以上これは最大限の保険。もし、私がこれで認められるようならかなっちにも、
修学旅行で何かあったとき、戦力になってもらうからね。」
眞莉紗の声が静かすぎる廃校に響く。声からして体を支配しているのは眞莉紗のようだ。眞莉紗の言葉からしてかなを試そうとしているようである。
「上等です。もしも、私を組み伏せるだけの力があなたにあるのなら、私はあなたに従うです。ただし・・・・。」
かなはそういうと影を使い拘束服からその封印した腕を白日の下に晒す。細く、白い腕。一体何が隠されているのかわからない。
「ここで私にまけるようなら、あなたの思惑には一切力を貸しませんので、了承するです。」
かなはそういうと影をいっそう濃くし、体に纏う。
「上等よ。軽く捻って修学旅行の戦力になってもらうからね。」
眞莉紗はそういって左腕をかなに向けるように、巨大すぎる剣を、魔剣レーヴァテインを右腕一つで持ちかなに向かう。
突然降ってわいたように相対することになった二人。眞莉紗とかなしか知らない思惑の中、突然本気になった眞莉紗とかなの本気の対峙がここに始まった。
あとがき
(フィーネ)やれやれ。今回もまた間隔あけちゃって・・・・。
(フィーラ)仕方ないじゃない。只今廃人真っ只中なんだし。
(フィーリア)それ、人としてどうかとも思うし、物書きとしてもどうかと思うんだけど・・・。
(フィーネ)ということで引き続きサイトBに島流しにしといたわ。
(フィーラ)多少はまともになって戻ってくればいいんだけど・・・・。
(フィーリア)それは無理なんじゃ・・・・。
(フィーネ)無理とわかっててもやらないって理由にはならないでしょ。
(フィーラ)それもそうね。
(フィーリア)それじゃ、次回予告しましようよ。
(フィーネ)そうね。唐突に始まった眞莉紗VSかな!
(フィーラ)修学旅行中の守護者達(ガーディアンズ)を眞莉紗が試験によって選定する!
(フィーリア)万に一つの可能性、でも、確実に起こるそれを防ぐことはできないがゆえに、最大限の安全を確保する為の人選!
(フィーネ&フィーラ&フィーリア)次回ネギまちっく・ハート第十帖第一間『守護者検定(ガーディアン・テスト)・一時間目 不破かな』
乞うご期待!!
(フィーネ)何この第一間って・・・?
(フィーラ)作者いわく全部を一話にすると字数がすごくなるから一人一話短めに作るから分けたんだって。
(フィーリア)でもさ、毎回思うけど、題名と内容がかみ合ってないこと多くない?
(フィーネ)それは言わないお約束よ・・・。
おおう! 既に大きな事件が起こる事は確定。
美姫 「ただ、それが何なのか!?」
無事には済まないであろう修学旅行の前に、眞莉紗による試験がこっそりと行われる〜。
美姫 「果たして、誰が合格するのかしらね」
戦う人物は結構、いるけれどな。
美姫 「とりあえずは、かなちゃんのお話ね」
さてさて、どうなる!?
美姫 「次回も待ってますね〜」