『ネギまちっく・ハート〜season of lovers〜』
第二十三符『決意の沖縄旅行』
「それでは皆さん、一ヶ月の夏休み、楽しんでくださいねー。」
ついに一学期の修行式がおわり、長い夏休みが始まった。今年の夏休みは例年の夏休みとは違う。
今年の夏休みはPRIDE〜麻帆良祭り〜で恭也が優勝したこともあり、沖縄旅行に行くことになった。
それに加え、麻帆良祭で2-Aの出し物だったネコミミメイド喫茶の総売上が300万を越えたため、一人当たり十万円ほどの配当があったのだ。
ほとんどの人がそのお金を持って沖縄旅行になだれ込むわけだから、何を買おうか出発前から大騒ぎである。
「はーい、それじゃあ、あさってからの沖縄旅行について少し時間もらうわよー。」
ネギの一学期終了の言葉が終わると、忍がすぐにそういって席を立った。生徒は待ってましたとかばんから旅のしおりを取り出す。
「えーっと、じゃあ、日程の説明ねー。まず明後日は朝一の飛行機で那覇空港までいって、そこからバスでまずチェックインするわよ。
それからは班別に分かれて自由行動になるからそこのところは班で決めて頂戴。
夕食の時間は一応6時って決めてるからそれまでにホテルに帰ってきてね。外食してきてもいいけど、
話によるとものすごくおいしいらしいから、ホテルで食べたほうがいいかもよ。二日目はちょっとやることがあるから予定を空けといてね。
三日目、四日目は自由行動だから、別の場所に泊まってもいいから。最終日は一番遅くの飛行機に乗るから5時にはホテルに帰ってくるように。
大きな流れはこんなところかな。班別行動でどこに行くかは各自話し合ってで決めてね。と、言うことで大きな流れについてはこんな感じかな。
あさって遅刻しないよーに。それじゃ、解散!!」
忍の最後の一言を皮切りに分けられた班ごとに集まって生徒たちは班別行動の最後の調整に入った。
教室で集まって話をする班、学食に足を運ぶ班とそれぞれだ。
「さて、俺たちはどこで話し合うかな。」
鼎は隣の席の恭也にどうするといった感じで聞いた。恭也は少し考えたが、いい場所があるとかばんを手に取った。
「翠屋でどうだ?あそこならこの人数でも入ると思うぞ。」
確かに、翠屋ならこの人数も入るだろう。ちなみに、恭也たちの班は恭也、エヴァ、茶々丸、鼎、さよ、和美、勇吾、風香、史伽の九人。
班の中でも一番多い班である。
「それじゃ、早速移動しよう。」
話を聞いていた勇吾はかばんを手に立ち上がると風香と史伽を呼んだ。鼎もそうするかとかばんを手に取るとさよと和美を連れてドアのまで歩いた。
恭也もエヴァと茶々丸にそれでいいかと確認を取って三人で廊下に出る。9人はそのまま流すように特段急ぐこともなく翠屋に向かった。
「さて、班別行動で行くところだけど、みんなの行きたいところをリストアップして、重なってるところに行こうと思うんだけど、それでいい?」
翠屋について早速話し合いに入った恭也たちは軽食を頼んで和美の進行の下、どこに行くかを決めていた。
「えっと、まず一日目はあんまり時間もないから水着に着替えてホテルの前の海岸で海水浴ね。それから夕食を食べて一日目は終了かな。
三日目は首里城に行って、それから西表島に行って山猫探しして、マリュドの滝まで歩きね。四日目は市街地観光とお土産探し。
五日目は午前中は海水浴で昼からはホテルでまったりとするってプランになったけど、ほかに行きたいところとかある?」
和美のプランに一同異議なしということになったが、エヴァが少し聞きたいんだがと声をはさんだ。
「この山猫探しって言うのは何だ?西表島のネコといえばたしか天然記念物とか言うので手出しできないんじゃなかったか?」
エヴァの言うとおり、イリオモテヤマネコは特別天然記念物指定がされていて手出しできないはずである。
和美はそういえばそうだねと鼎になぜこれを提案したのか聞いた。
「沖縄って言ったらこれしかないじゃん。行ったらやっぱり会いたいわけよ。博物館にいけばいるだろうけど、野生のやつがやっぱりいいよ。」
鼎のまるで子供のような発言にその場にいたみんながあきれ返ってしまった。まあ、ネコ好きなら一度は触ってみたいと思うかもしれないが、
普通はそこまで考えることはないだろう。
「あ、探すって行ってもマリュドの滝に行く道で出てきたらって程度だから。」
鼎はそういって特別に探すというわけではないといったが、みんなジト目で鼎を見ている。どうやら信用してないようだ。
「とりあえず、これはどうでもいいことに入る方針でっと・・・。」
和美のあきれた口調の言葉にみんなため息をついた。
それから昼食はどこで食べるとか部屋はどうするかなどを話し合って二時間ほど経つとほとんど流れ解散という形でその場はお開きになった。
「はーい、皆さんいますねー。」
早朝の空港にネギの声が響いた。ネギの前に集まった生徒たちは元気に返事をする。
「これから四泊五日の沖縄旅行です。でも、あまりはしゃいで怪我をしないようにしてくださいね。」
ネギの先生のお決まりの言葉にやはり生徒は元気に返事をする。
「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
ネギの声に生徒はやはり元気に返事をしてネギの後をぞろぞろと追うように飛行機の中に入っていった。
多くの生徒は飛行機に乗るのが初めてで飛ぶ前からすでにかなりはしゃいでいる。
「これが飛行機なんですね。うわー、初めて乗りますー♪」
かくいうさよも飛行機は初体験である。というよりもさよにとって飛行機が民間機であるということ自体驚きである。
さよの時代の飛行機は戦闘機しかなかったわけだから当然だろう。
「そういえばエヴァ、おまえ大丈夫なのか?」
エヴァの隣に座った恭也がエヴァに聞く。エヴァは大丈夫?何のことだ?と何について聞かれているかわからず不思議な顔で聞き返した。
「吸血鬼っていうのは確か、川とか海とかを渡れないんじゃなかったのか?」
恭也のいうとおり、吸血鬼は川や海といったようなものを渡ることはできない。
しかし、エヴァは何を言うかと思えばと半ばあきれ気味で恭也の問いに答えた。
「そんなのができないのは死徒だよ。真祖であるところの私にそういったものは関係ないさ。」
エヴァの答えに恭也が首をひねる。そして、真祖と死徒の違いについて聞いてきた。
「そういえばお前にはまだ話したことがなかったな。ちょうどいい。この機会に話してやろう。」
エヴァがそういったそのとき、飛行機の速度が急に上昇した。どうやら離陸するようだ。初めて乗った生徒たちは大騒ぎである。
そしてすぐに離陸。一瞬の無重力感に再び生徒が声を上げる。
「さて、まず、真祖についてだが。」
エヴァは離陸にはあまり興味を示さず、恭也に話し始めた。
「真祖っていうのはな、もともとは人間だったが、秘術によって自らを吸血鬼化した人間のことだ。
次に死徒っていうのは真祖にかまれることで吸血鬼になったやつのことを示してる。両者共通なのは『限りある命』から開放されるということだな。
私は前者で真祖に分類される。基本的な力関係は真祖のほうが死徒よりも圧倒的に上だが、一概にはそうとは言えない。
中には真祖に匹敵するような力を持っている死徒だっているからな。特に『大時計(ビッグ・ベン)』にくくられる死徒は私に匹敵する力を持っている。
普通の死徒ならばある程度のレベル・・・そうだな、お前ほどの力があればそこそこのランクの吸血鬼とは戦えるだろう。
とはいえ、このご時世にそんなやつらと出会うことなんかないだろうがな。」
エヴァの話を恭也は真剣に聞き入っていた。恭也はエヴァの話が一段落したのを確認してエヴァに聞いた。吸血鬼と人間の違いについて。
「全部だ。どこが違うかと聞かれてもそう答えるしかない。こと人間にとって恐怖の対象となるのは純粋にその『力』だろうな。」
恭也が聞いていることを確認してエヴァは話を続ける。
「吸血鬼は純粋にとんでもない『力』を持っている。ここでいう力は私の持つ『魔力』のようなものではない。純粋な『力』。
『筋力』といったほうがわかりやすいだろうな。どんな死徒でも人間をぼろ雑巾のように引きちぎることが可能だろう。
それだけじゃない。『筋力』増加することによってその速度も桁違いになる。
速さというてんだけならお前の神速レベルの奴もいるだろう。それが吸血鬼の『デフォルト』だからな。」
エヴァの話に恭也はなるほどとうなづく。
「どうしたんだ恭也。こんなことを聞いてくるなんて。悪いものでも食べたか?」
エヴァはあまりに真剣になって聞き入っている恭也を不思議に思って恭也に聞いた。
恭也はしかし、エヴァの問いには答えることもなくエヴァに問いかける。
「死徒っていうのは真祖の操り人形のようなものなのか?それとも自律して動けるものなのか?」
恭也のその問いにエヴァは疑問を感じながらも答えた。
「ケース・バイ・ケースだな。真祖が自分の操り人形にするつもりで噛めば操り人形にすることもできるし、
同士として仲間を増やすならば自律意思を残したまま死徒にすることだって可能だ。でも、本当にどうした、恭也。
お前がこんなことを聞いてくるなんて。何かあったのか?」
エヴァの二度目の問いかけに恭也がその理由を口にした。
「眞莉亜がいってたんだ。俺は『常人』というくくりでは間違いなく最強だと。あいつは確か吸血鬼。だから、吸血鬼について少し知っておきたかったんだ。」
恭也のその理由にエヴァは真剣にうなづいた。
「なるほど。姫神眞莉亜か・・・。あいつは何なんだろうな。」
エヴァはまじめに考え込んだ。
「吸血鬼じゃないのか?」
エヴァがなぜ悩んでいるのかわからず恭也が口を開いた。しかし、エヴァはあいつはわからないんだとまじめに言った。
「あいつは真祖でも死徒でもない。いわば純血種なんだ。両親はともに人間。しかし、生まれながら吸血鬼だったという話を聞いたことがある。
だから、あいつはいわば吸血鬼の中の吸血鬼。あと、おそらくまだ何か秘密があるだろうな。」
恭也はエヴァのいった秘密が何なのかたずねたがエヴァはわからないと答えた。
「PRIDE〜麻帆良祭り〜の決勝の前、控え室に来ただろう?あの時お前はおろか私でさえ気づかなかった。いくら気配を消していてもどちらかが気づくはずだ。
それなのに気づかなかった。まだまだ何かあってもおかしくあるまい。恭也、間違っても戦ってみようとか思うなよ。
あいつばかりはこの私でさえ下手に手を出そうと思わないんだからな。」
恭也はそんなに強いのかとエヴァに聞く。
「強いとかそういうのじゃない。『わからない』んだ。強ければ強いなりに戦い方はあるが、『わからない』ほどやりにくいものは無い。
『強い』か『弱い』かもわからないから戦いようが無い。私が一番戦いたくない相手だ。」
エヴァはそういうとわかったかと恭也に聞く。恭也はわかったというと話題をこれからに沖縄旅行のことに変えた。
エヴァは特別気にすることも無く恭也の話にのって沖縄に着くまでの時間を潰した。
しかし、恭也はこのときある覚悟を胸に秘めていることをまだエヴァは知らない。
「沖縄ー!!!」
飛行機ゆられること約二時間。2-A一行は那覇空港に降り立った。南国特有の焼けるような日差しと都会とは異なるその熱気に誰もが熱を上げた。
「それじゃ、バスが待ってるからまずはホテルに行くわよー。」
忍の率先の声に一向は子供のような返事をして空港の前に止まっていたバスにぞろぞろと乗り込んだ。そしてバスにゆられること数十分。
宿泊予定のホテルに到着した。
「すげー・・・・。」
ホテルを前に誰とも無くそんな声が漏れた。それもそのはず、宿泊先のホテルは沖縄でも頂点に君臨する超高級ホテルだったのだ。
地上50階建てのそれはどこから見てもあまりにも沖縄の地においては異色で、明らかに浮いていた。
「えーっと、私たちの泊まる階は49階のスイートルームで、高町君と鳳くんと赤星君は最上階のロイヤルスイートルームね。」
チェックインを済ませた忍はロビーで待っていた2-Aの面々に自分たちが泊まる階を伝えた。
屋上に近いこともあってふだんそんなところに泊まれない生徒は大いに沸いた。しかし、ごく一部の生徒の待遇はそれ以上だ。
「なんで、高町君たちはロイヤルスイートなのー?」
桜子がそんなごく一部の生徒の待遇に不満を示した。しかし、忍はその問いがはじめから来ることを見越してあらかじめ用意していた答えを口にした。
「だって、『そういう時』に入ってこられちゃ台無しでしょ?それに、声が聞こえてくるのもあれだしねぇ。」
その言葉に桜子はなるほどそれもそうだねとうなづいた。桜子だけではなく、2-Aの生徒全員が首を縦に振る。
恭也たちは反論することなく沈黙するしかなかった。
「じゃ、班ごとに部屋に行って荷物を置いたら自由行動だからねー。夕食は六時までだからそれまでに帰ってきてねー。」
忍の散開の合図に2-Aの面々は元気に返事をすると各々自らの宿泊部屋に足を運んだ。
「うひゃー、いい眺めだぁー♪」
ホテルの最上階に位置するロイヤルスイートルーム。ガラスは一枚張りで海を一望することができる。鼎はそこからの眺めに驚きの声を上げた。
「それもいいけど、中もすごいよー♪」
和美はロイヤルスイートルームの内装をカメラに収めながら目を輝かせていた。
それもそのはず、とんでもない広さのリビングルームに、超大型の液晶テレビ、一目で高いとわかる高級感のあるソファー。
部屋のどこを見ても安いものなんか見当たらないのだ。
「わー、ベッドはキングサイズですよー♪」
さよの言うとおり、ベッドはキングサイズ。しかし、ひとつしかない。寧ろ、一緒に寝ることを前提にひとつしか置かれていないようだ。
「うをっ!ワインセラーまでついてるし!」
部屋をあさっていた鼎はドアのひとつを開けると、その先にワインセラーを見つけた。
そこにおいてあるワインはどう見ても一本数万はするようなものばかりだ。鼎はその中に入るとどれを飲もうか品定めを始める。
「大丈夫なんですか?別料金でとられたりしたら・・・・。」
さよは鼎のいるワインセラーに入ってくると、品定めをしている鼎に話しかけた。
鼎は大丈夫大丈夫とその中から一本の見るからに高そうなワインを手に取る。
「ロマネコンティ・・・・うひょ、これってウン十万はするよ。こいつに決まりだね。」
鼎はそのワインを手に取るとワインセラーの入り口の棚に移した。どうやら飲む気満々らしい。
「ワインなんか飲むの初めてですよ。おいしいんですか?」
さよは鼎に聞く。鼎は最高のディナーと一緒にいくとサイコーだよといってさよの手をとってワインセラーから出た。
「鼎ー。そろそろ海にいこーよ♪」
そんな鼎を和美は水着を片手にせかすように呼んだ。鼎はそうだなと水着を手に取る。と、あろうことかさよと和美はいきなり服を脱ぎ始めた。
「ちょ、お前ら、何してんだよ!!」
突然のことに鼎は驚き、背を向けて叫んだ。しかし、和美たちはなに言ってるのとあきれたようにいった。
「目の前がビーチなんだよ?水着にここで着替えていくに決まってるじゃない。」
和美はそういいながら鼎に後ろから抱きついた。
「わかったから抱きつくな!!お前、わざとだろ!!」
鼎は顔を真っ赤にして和美を引き離すと自らの水着を手にしてベッドルームに向かった。
「別に隠すこともないじゃん。」
和美笑顔でそういったが、鼎は恥ずかしいと叫んで部屋に入って着替えだした。
「見慣れてるのに、不思議ですね。」
さよは首を傾げたが、和美は気分の問題なんじゃないといって着替えを再開する。そして数分後、着替えを済ませ鼎が部屋から出てきた。
さよと和美はすでに着替えを終えてソファーに座って待っていた。さよはワンピース型の水着、和美はセパレイトのビキニに、
パレオの水着に着替えている。鼎は薄い上着を羽織るとそれじゃあ行くかと部屋を出た。
「うわぁ〜、すごいですよ、ゆーくん♪」
ところ変わって勇吾たちの部屋。内装は鼎の部屋と同じだが、やはりその豪華さに圧倒されていた。
風香はベッドにダイビングして跳ね回り、史伽はソファーに寝転がってごろごろとしている。
勇吾は三人の荷物を適当なところに置くと風香の寝転がっているソファーに座った。
「でも本当にすごいな。こんなところそんなに泊まれないよ。」
勇吾はくつろいで周りを見回し、改めてその豪華さに嘆息した。
「そうだね。ホント、お姫様になったみたいだよ♪」
ソファーに寝転がっていた史伽は勇吾に抱きついてそういった。勇吾はそれじゃあ、俺が王子様かなと笑いながら史伽に答える。
「そーそー♪ゆーくんは私たちの白馬の王子様だもんねー♪」
いつの間にか勇吾の後ろに回っていた風香が首に抱きついてそういった。
勇吾はそうだなと風香を抱きつかせたまま立ち上がった。
「あ、そういえば、ベッドは大きいのがひとつしかなかったよ。」
風香は器用に勇吾の背中を這い上がり、肩車をしてもらって勇吾の顔をベッドルームのほうに向けていった。
勇吾はひとつだけ?と驚いて聞き返したが、風香はそうだよと答える。
「夜が楽しみだなー♪」
風香は体を丸めて勇吾の顔を覗き込むようにしていたずらっぽく言った。勇吾は顔を赤くして少しあわてた。
「ですね〜♪ゆーくん、見かけによらず激しいから今日の夜は要注意ですよー♪」
史伽までもが勇吾の前に立って上目遣いでからかうように言ったが、勇吾は顔をこれでもかというほどに赤くして固まってしまった。
「・・・・と、とりあえず、水着に着替えよう。みんなが待ってるかもしれないし。」
勇吾がそういうと、風香と史伽はそろってはーいと返事をして水着を手にベッドルームに入って。
と、史伽が少しドアを開けて、勇吾をからかうようにウインクしていった。
「覗いちゃだめだよー♪もし、見たいなら堂々と入ってきてねー♪」
勇吾は顔を赤らめたままからかうなってといって風香をベッドルームに押し込み、自らも着替えだした。
数分後、風香と史伽がベッドルームから出てきた。おそろいのセパレイトのビキニの上に薄い上着を羽織っている。
勇吾も薄い上着を羽織り、それじゃあ行くかと二人の手をとって部屋を後にした。
「ふむ。なかなかいい部屋じゃないか。」
エヴァは自分の部屋に入るとそういいながらソファーに腰をかけた。恭也は確かにいい部屋だと三人分の荷物を持って部屋に入る。
「ロイヤルスイートルームですから、当然ですね。」
茶々丸はそういって部屋に入るとテーブルの上においてあったティーセットを調べると、お茶を入れる準備をはじめる。
恭也はベッドルームのクローゼットを開けるとその中に荷物を入れてリビングルームに戻り、茶々丸の入れてくれたお茶に手を伸ばした。
「思いのほか沖縄まで近いものなんだな。」
お茶をすすりながらエヴァがそんなことを言った。恭也も確かに予想以上に早かったなと相槌を打つ。
茶々丸は飛行機の時速からして妥当な時間かと思われますと冷静に答えた。
「しかし、何度見ても広いな。」
恭也はお茶を飲み終えると立ち上がってリビングルームを歩き回った。そしてひとつのドアを開ける。その先にあったのはワインセラー。
しかし、ワインの価値のわからない恭也にはどれもこれも同じに見えてしまう。恭也はエヴァを呼ぶとおいしいのかどうかをたずねた。
「物しだいだ。だが、私も名前ぐらいしか知らないからどれがおいしいのかはわからないな。おい、茶々丸。」
エヴァは茶々丸を呼ぶとおいしいワインを探すように言った。茶々丸はわかりましたとワインを一本一本調べておいしいと思われるワインを選び出した。その数五本。
「なかなかのものがそろっていますね。」
茶々丸はそういって二人の前に持ってきた。
「ふむ。一応飲めるようにしておいてくれ。恭也、付き合うよな?」
エヴァの誘いに恭也はもちろんとうなづき、ワインセラーを後にした。3人は再びソファーに座ると茶々丸の入れたお茶に手を伸ばした。
恭也は一口お茶を飲むとエヴァと茶々丸に向かっていう。
「今日の夜、時間あるか?」
恭也の突然の言葉にエヴァはもちろんあるがと煮え切らない口調で答える。茶々丸ももちろんありますと答えた。
「少し話があるんだ。」
恭也は言葉短くそういうと再びお茶を口にした。
「今じゃまずいのか?」
エヴァは恭也が今すぐ言わないのを不思議に思い聞いたが恭也はああと一言返事をした。
エヴァはそれなら仕方ないとと深く追求せずに茶々丸にもそれでいいなと言ってその話を打ち切った。
「そろそろ水着に着替えないと集合時間に遅れてしまいます。」
茶々丸はその後ものんびりとお茶をすすっていた二人にそういった。恭也とエヴァはそうだなと立ち上がり、クローゼットから水着を取り出すと着替えを始めた。
と、恭也がふとおかしいことに気づいた。
「いや、なぜ同じ部屋で俺たちは着替えているんだ?」
ベッドルームには着替えるために恭也とエヴァと茶々丸がいた。恭也はあまりにも自然だったために気に留めなかったが、ふとおかしいことに気がついたのだ。
「別に隠すような仲じゃないだろう?」
エヴァの言葉に恭也は確かにそうだがと言葉を詰まらせたが、恭也とて健全な男子、いろいろな意味でやばいのだ。
「と、とにかく、俺は外で着替えるよ。」
恭也はそういってそそくさとリビングルームに移動した。
「ふっ、意外と恥ずかしがりやだな。」
エヴァは上着を脱ぎ、水着を着ながらドアを見てそういった。
「いえ、恭也も健全な男子ですから、いろいろな意味で大変なのでしょう。」
茶々丸は野言葉にエヴァはなるほどと腕を組んでうなづいた。そして数分後着替え終わった二人はリビングルームで待つ恭也のもとに向かった。
エヴァの水着はワンピースタイプ、茶々丸の水着はセパレイトタイプのビキニ。ともに恭也から買ってもらったものである。
3人は着替えを終えたことを確認し、薄い上着を羽織ると部屋を後にした。
あとがき
ということで遂に始まりました最終章の沖縄旅行。
(フィーネ)本来なら二話で終わらせる気だったんだよね?
まあね。でも、一万字越えたからいいとこで切ってみた。
(フィーラ)ぶった切りすぎじゃない?
そ、そうか?
(フィーリア)うん。いいところとかじゃなくてきってるじゃん。
すまん。でも、これ以上のとこで切ることができなんだよ。
(フィーネ)ま、それならそれで次回予告しなさい。
おう。おねがいね。
(フィーラ)次回ネギまちっく・ハート第二十四符『恭也の想い』!!!
(フィーリア)乞うご期待♪♪♪
いよいよ沖縄へと舞台は移る〜。
美姫 「南のこの島で、どんな出来事が待っているのか」
次回も非常に気になる〜。
美姫 「次回も楽しみにしてますね〜」
ではでは。