「そんな事がこの街で・・・・・。」

 

俺は話を聞いて呆然とした。馬鹿げてる、はっきり言ってそう思う。7人の魔術師が英霊サーヴァント(従者)として召還し何でも願いをかなえてくれる聖杯というものを求めて殺しあう。それは俺には到底納得がいくようなものではなかった。

 

「それで、衛宮君はどうするの?」

 

「えっ?」

 

どうする?言った何をどうすると言うのだろうか。俺は遠坂の言葉の意味する所がすぐにはわからなかった。

 

「衛宮君も参加するつもりなのかって聞いているの。あなたも魔術師である以上聖杯戦争に参加する資格はあるわ。もっとも既にサーヴァントが7体召還されているならどうしようも無いけど。」

 

「俺はそんな馬・・・いや、殺しあいになんか参加する気はない。」

 

馬鹿げたと言おうとしてやめた。少なくとも遠坂はこれに対して真剣に臨んでいるのだ。女性に対して下手な事を言うと怖いというのは学習済みである。もっとも、遠坂が一般人にも迷惑をかけるつもりならばその時は話は別だが。

 

「そう、なら教会に行きなさい。マスターでなくても魔術師ならば巻き込まれる可能性が高いわ。さっきの男、ランサーもあなたを狙ってくるでしょうし。教会には聖杯戦争の管理者がいる筈だから保護してもらえる筈よ。」

 

遠坂がそう教えてくれる。正直、その心遣いは嬉しい。だが、

 

「いや、俺は聖杯戦争って奴に参加するつもりは無いが関わらないつもりじゃない。」

 

「どういうこと?」

 

遠坂の目がきつくなる。だが俺はひるまずはっきりと答えた。

 

「そんな争いが起って、中には一般人にも危害を加えても気にしない魔術師もいるかもしれない。俺はそういう奴等から街のみんなを守る。」

 

「なっ!?あなた正気なの!?あなたがいくら強くてもそんな事をしたら命がいくらあっても足りないわよ。それに、あなたの力が知られれば教会からも目をつけられる。確実に殺されるわよ、あなた。」

 

「リスクは覚悟の上だ。もっともそれでも殺されるつもりはないけどな。」

 

俺は仮面ライダーになると決めたその時からあらゆる危険は覚悟している。例え遠坂が何を言ったとしてもここで引く気はない。その時、赤い服を着た男、遠坂のサーヴァントであるアーチャが一歩前にでた。その表情は険悪で先ほど同様憎しみのようなものを感じる。

 

「何故、そんな事をする。それでお前にどんなメリットがあるというのだ?」

 

「別に損得でやっている訳じゃない。俺はただ自分の手の届く範囲で助けられる人を助けたいだけだ。」

 

そう答え、俺に対し憎しみをぶつけてくるアーチャーに対し睨み返す。

 

「自分を犠牲にしてもか?それに貴様如きに全てを救えるとでも思っているのか?」

 

「自分を犠牲にしているつもりなんてない。確かに俺は危ない事をやってるかもしれない。けどだからと言って、何もせずそれでたくさんの人が傷ついていく、そんなのは俺は嫌だ。だから俺は戦う。それから話を聞いていなかったのか?俺は全てを救えるという程自惚れちゃあいない。確かにそれができれば理想だけど、そんな力が俺に無い事は分かっている。だから、俺は俺の救える範囲で人を救う。」

 

その言葉にアーチャーは何故か眉をピクリとさせ、更なる問いかけをしてきた。

 

「それは貴様の自己満足ではないのか?」

 

「それの何処が悪い。例え自己満足でもそれで誰かが救えるなら何もしないよりマシだろ?」

 

挑発しあうように言葉をかわす。何故だろう、この男とは決定的に合わない、何か根本的な部分で食い違う、そういう風に感じるのだ。

 

「あー、もう!!アーチャー勝手に喧嘩してるんじゃないわよ。いいわ、衛宮君、好きにしなさい。けど、私の邪魔をする気ならその時はあなたも敵よ。」

 

「ああ、わかった。けど、遠坂、お前がもし関係の無い人達に危害を加える気なら、その時はお前の敵になってしまうとしてもお前を止める。」

 

その時、遠坂が割って入ってきた。そして俺に指差し宣言する。それに対し、俺もまっすぐに彼女の目を見据えて答えた。出来れば遠坂とは戦いたくないが、それでも彼女が非道な事をするつもりなら放ってはおけない。

 

「私は、そんな事をする気はないわ。」

 

その言葉に嘘もごまかしも感じなかった。むしろ俺の言葉に対し侮辱だとでもいうように怒って見える。彼女はきっと信じられる。おれはほっとした。

 

「そうか、よかった。それからごめん。遠坂に失礼な事言っちまったみたいだな。」

 

「え、ええ。わかればいいわよ。」

 

?何やら遠坂は動揺しているように見える。顔も赤くしているようだし。一体どうしたのだろう?

 

「じゃあ、俺はこれで。」

 

「ええ、さようなら。夜道に気をつけてね。」

 

そして互いに挨拶を交わし、俺達は別れた。

 

 

 

 

 

 

「聖杯戦争か・・・・・・。」

 

家への帰り道、俺は物思いにふけっていた。今日戦ったランサーやアーチャーそれと同等かあるいはそれ以上の実力者が後5人もいるというのだ。

 

「俺一人で街を守れるんだろうか・・・・。」

 

正直、全ての魔術師が一般人に気を使ってくれればいいが、そんなに世の中が甘くない事ぐらいわかっている。最悪サーヴァントと戦う覚悟だけはしておく必要はあるだろう。そんな風に考えていると目の前から誰かが近づいてくるのに気付いた。

 

「また、あったね。お兄ちゃん・・・。」

 

「君は・・・・。」

 

それは先日街であい、何やら意味深な言葉を言っていた少女だった。そしてその後方。

 

「化け物・・・・・。」

 

アルクェイドと青子さんを除けばいままで相対した事もない化け物。全長2メートルを軽く超える存在。まちがいなくサーヴァントだと俺は確信した。

 

「だから、早く召還しないと殺されちゃうって言ったのに。もう最後のサーヴァント召還されちゃったよ。この街にいる魔術師はみんな敵のルールだから悪いけど殺しちゃうね。」

 

「・・・・こんな所で暴れる気か。騒ぎになるぞ。」

 

俺は緊張を隠し、少女に話しかける。戦うにしてもここは住宅街のど真ん中である。こんなところで戦う訳にはいかない。

 

「結界が張ってあるから人は来ないわ。けど、場所を変えたいなら変えてあげる。死に場所位選ばせてあげるわよ。」

 

そう言われて結界に気付く。俺はそういうのを探知する状態はかなり弱い。変身している時は全身の感覚が鋭くなっているのでそうでもないのだが。

 

「それじゃあ、そうさせてもらうよ。」

 

「言っとくけど逃げようと思っても無駄よ。」

 

「逃げないよ。」

 

そして、俺達は郊外にむけて歩きだした。彼女のつれたサーヴァント、バーサーカーは霊体化して姿を見えなくしたようだ。

 

「そういえば、名前聞いていなかったな。」

 

その道中ふと、思いついて少女の名前を尋ねる。その問いに少女は驚いたような顔をした。

 

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、イリヤでいいわよ。けど、お兄ちゃん変わってるわね。今から自分を殺す相手の名前が聞きたいなんて。」

 

「名前ぐらい聞いてもいいだろう?」

 

確かにおかしいかもしれない。けど、俺は彼女の名前を聞きたいと思った。それに、俺は殺される気も殺す気もない。

 

「そうね、私とした事が名前も名乗らないなんて失礼な事をしたわ。」

 

少女がなにやら納得する。そしてそうこうするうちに人気の無い場所までたどり着いた。

 

「こんな寂しい場所でいいの?」

 

「ああ、ここなら・・・・・・。」

 

存分に戦える。既に結界も張りなおされたようだ。ならば、後は・・・・・・・

 

「トレース(変)・・・・・・・・・・・・オン(身)!!」

 

俺の姿が変わる。その姿を見てイリヤは驚いた顔をする。

 

「へえ、面白い魔術を使うわね。けど、そんな事じゃあ、バーサーカーには勝てないわよ。」

 

「やってみなくちゃわからないぞ!!」

 

俺は叫び同時に飛び出した。そして全力のパンチをバーサーカーの腹に叩き込む。だが・・・・・。

 

「グヲオオオオオオオオオオオオオ」

 

バーサーカーが吼えると、俺の斧剣を振り下ろした。俺はそれをなんとかよける。

 

「効いてないのか!?」

 

バーサーカーは全くの無傷だった。その事実に俺は戦慄する。

 

「そんな攻撃、私のバーサーカーには効かないわよ。」

 

イリヤが笑っていう。確かにこのバーサーカーというのは他のサーヴァントと比べても桁違いらしい。だが、だからと言って負ける訳にはいかない。

 

「ライダーキィィック!!」

 

石の力を引き出し、必殺の蹴りを胸に叩きこむ。だが、その一撃に対してもバーサーカーはダメージを受けていないようだった。

 

「くっ、なら、これでどうだ!!ストーンフラッシュ!!」

 

俺の体の中にある石から直接エネルギーを放射する。物理的破壊力はライダーキックより小さいが、神秘としての力は俺の攻撃の中で最も強い。もし、これが通用しないならば打つ手はない

 

「グウウウウウウ」

 

だが、その攻撃は通用した。バーサーカーの身体の表面が火傷を負い、苦悶の悲鳴をあげる。そのチャンスを逃すまいと俺は飛び上がる。

 

「フルチャージライダーキック!!!!」

 

俺は引き出せる限りのエネルギーを石から引き出し、全力の蹴りを頭部めがけて放った。頭蓋骨が割れる感触がして、バーサーカーの巨体が倒れた。

 

「嘘!?サーヴァントでも無い人間にバーサーカーが1回殺されるなんて・・・」

 

イリヤが驚いた顔をしている。地面に着地した俺は立ち上がると彼女に降伏を持ちかけた。

 

「君のサーヴァントは俺が倒した。大人しく降参してくれ。」

 

「降参?何、言ってるの私のバーサーカーを1回殺したぐらいで倒したつもり?」

 

少女は不敵に笑う。そしてその瞬間、再びバーサーカーのおたけびが響き渡った。

 

「グヲオオオオオオオオオオオオオ」

 

「なっ!!そんな、確かに殺した筈・・・・。」

 

俺は驚愕の表情を浮かべる。確かに頭蓋骨を破壊した感触があった。頭部を破壊して死なないなどいくら英霊とはいえ信じられない。すると、イリヤは面白そうに語り始めた。

 

「残念ね。私のバーサーカーの宝具はゴットハンド(十二の試練)。12回殺さないと彼を本当には殺せないの。」

 

「な、それってまさか・・・・・。」

 

「そう、ヘラクレスよ。」

 

ヘラクレス。ギリシャ神話最強といわれる英雄。目の前の相手がまさかそんな大物とは思わなかった。それに、後、11回も殺さなければならないというのはあまりに絶望的すぎる。

 

「けど、今日はこれで引き下がってあげる。」

 

「えっ?」

 

イリヤの言葉に俺は驚く。今の戦いで俺はかなりの力を消耗してしまっている。俺の体の中の石は無限にも近い力をもっているがそこから俺が一度に引き出せる力には限界がある。今、戦えば圧倒的に有利、いや、俺にほとんど勝ち目は無いといえた。それなのにひくというのは理屈に合わない。

 

「バーサーカーを1回殺せた御褒美に今回は引き下がってあげるわ。」

 

そう言って、イリヤとバーサーカーは闇の中へと消えていった。後に残された俺の手には汗がびっしりと浮かんでいた。

 

 

 


(後書き)

変身形態の士郎の能力を掲示します。次回は原作のライダー初登場です。何がでてくるかはお楽しみに。

 

仮面ライダーBlack(模倣)(RXではありません。)

 

ジャンプ力20メートル

パンチ力2トン

キック力6トン

100メートル6秒

 

必殺技

ライダーパンチ C+

ライダーキック B

ストーンフラッシュ A−

ストーンフラッシュ&フルチャージライダーキック A

 




さて次は原作ライダーが登場するらしいぞ。
美姫 「そうみたいね。一体、どんな事が起こるのかしら」
わっくわく。どっきどき。
美姫 「それじゃあ、次回もまた待ってまーす」
待ってます〜。



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