学校を出た俺達は一端俺の家へとやってきた。そして、俺は彼女達を居間に通し、お茶を差し出す。彼女はそれには手をかけず、自己紹介を始めた。

 

「まずは、改めて自己紹介をしよう。私はバゼット・フラガ・マクミレッツ、こっちは私のサーヴァントのセイバーだ。」

 

「よろしくお願いします。」

 

二人は挨拶し、セイバーは礼をする。それに対し、おれも礼を返し、自己紹介をした。

 

「えっと、俺の事は知っているみたいだけど、俺は衛宮士郎、好きに読んでくれていいから。」

 

「ふむ、ではシロウと呼ばせてもらおう。」

 

「はい、それではシロウと。」

 

二人の声が重なる。どうやらこのマスターとサーバントはかなり気があうらしい。

 

「じゃあ、俺はバゼットさんとセイバーって呼ばせてもらうけどそれでいいかな?」

 

「ああ、かまわない。」

 

「私もかまいません。」

 

こうして自己紹介をかわした後、バゼットさんは俺を助けた事に関する事情説明を始めてくれた。

 

「私はこの街に聖杯戦争のマスターになる為に来たんだが、ちょっとへまをしてね。こうなっちまった訳さ。」

 

そう言って、無くなった左腕を指し示した。俺はそれに対し、つい痛々しそうな顔をしてしまう。

 

「ふっ、そんな顔をしないでもらえるかな。これは私のミス、自業自得だ。それに同情されるのはあまり好きじゃない。」

 

「す、すいません。」

 

自嘲ぎみにいうバゼットさんに俺は謝る。彼女は気にするなと言って話を続けた。

 

「それで死に掛けた私はミナミコウタロウと言う男に助けられて、こいつを受け取ったんだ。」

 

そう言って鞘のようなものを差し出してきた。軽く解析しただけでもそれがとてつもなく強力な魔術関連の品である事がわかる。

 

「これは?」

 

「セイバーを召還する触媒となったものだ。悪いがこれ以上はいえない。私は君を助けることを約束したが、それは恒久的なものではない。君の命を一度救った事、借りの半分は返したと言える。残りは君の“力”に関する隠蔽、これで対価としては十分だろう。私は必要以上の対価を支払うつもりはない。つまり、場合によってはこの先、私達は敵対関係になる事もありえると言う事だ。これ以上のこちらの手の内を明かすわけにいかない。」

 

その言葉に俺は息をのむ。できれば、できれば彼女とは戦いたくなかった。だから、俺は一つ尋ねてみる。

 

「そうですか・・・・。あの、バゼットさんは無関係な人を巻き込んだりしますか?」

 

「出来る限り気をつけるつもりだ。私の心情に反するし、私だって無駄に敵を増やすのを得策だと思っている訳ではない。」

 

俺の方見てそう言ってくれる。その言葉に俺はほっとした。理由はともかくこれでバゼットさんと戦う恐れは少なくなった。命の恩人と殺しあいなんかする羽目ににはならないですみそうだ。その時、俺はいい考えを思いついた。

 

「そうですか。あ、そうだ!!せっかくだから夕食だけでも食べていってください。助けてもらったせめてものお礼に。」

 

「い、いや、それは代価でしたことだ。礼を受ける必要などない。」

 

その提案に対し、バゼットさんは何故か驚いた顔をして断りを入れてきた。けど、俺は少し粘ってみる。

 

「でも、それは南さんがしたことで、俺は何もしてませんし。」

 

「わかってるのか?私達は敵になる可能性がまったく無いと言った訳ではないのだぞ?」

 

「でも、バゼットさんは無関係な人には手出ししないんでしょう?だったら俺が敵対する理由はありませんよ。こう見えても料理には割りと自信がありますし。」

 

「いや、やはり『ぐううううううううう』」

 

・・・・・・その時、バゼットさんの声に重なり、何か音がなった。音のした方を見てみる。そこには顔を真っ赤にしたセイバーの姿があった。ああ、あれはお腹のなった音か頭の片隅でそんな事を思う。

 

「本来、サーヴァントに食事は必要ないのだが、昨日戯れに夕食を食わせてやったら予想外に彼女は食いしん坊である事が判明してな・・・・。」

 

バゼットさんがポツリと呟く。

 

「違います!!私はそのような食欲の塊ではありません。ただ、私の生まれ育った国、時代は料理があれほど発達していなかったので、つい過剰な興味を持ってしまっただけです。」

 

「まあ、そういう事にしておこう。」

 

顔を真っ赤にして否定するセイバーをバゼットさんがいなす。そこで俺は少々意地の悪い笑みを浮かべ切り出した。

 

「それじゃあ、夕食は食べていってもらえますね?」

 

「しかたない。ここで断ればセイバーが暴れだすかもしれんからな。」

 

バゼットさんが溜息をついて頷いた。

 

 

 

 

 

「ふん、ふん。」

 

俺は気分よく料理を作っていた。体はまだダメージが残っていたが料理を作る分には問題ない。そして、スープの味を調整しようとしたバゼットさんが俺に話しかけてきた。

 

「楽しそうだな。」

 

「え?ええ、色々と工夫を考えるのも楽しいですし、それにそれを食べた人が喜んでくれる姿を想像すると楽しいですね。」

 

俺は少し驚きながらも答えた。その答えを聞くと元から奇妙なものを見たと言った表情になる。

 

「君は魔術師としては本当に規格外だな、あらゆる意味で。」

 

そう言って呆れたように言った後、その表情に微かな笑みが浮かんだ。その表情に俺は一瞬見とれる。その時だった。

 

チリリリン

 

「!!」

 

結界に反応があった。この家に張られた結界は害意を持ったものに反応する者の進入に反応する。つまり・・・・・

 

「これは何だ!?」

 

バゼットさんの問いかけに対し、俺は端的に答える。

 

「敵です!!」

 

その言葉にバゼットさんとセイバーがすぐさま戦闘体勢を取り、庭にでる。その場には金色の鎧を着た男が立っていた。そして男は口を開く。

 

「久しいな、騎士王。」

 

「アーチャー!?何故、あなたがここに!?」

 

セイバーがその男を見て驚いた顔をして叫ぶ。だが、アーチャー?それは遠坂のサーヴァントじゃないのか?それに騎士王、セイバーの事か?だとするとセイバーの真名は・・・・。

 

「セイバー知っているのか?」

 

バゼットさんの問いかけにセイバーが頷き答える。

 

「はい、あれは前回の聖杯戦争でアーチャーとして参加していたサーヴァントです。」

 

「バゼットさん、今回の戦争には他のサーヴァントがアーチャーとして参加しています。だとすると、奴は他のクラスかもしれません。」

 

セイバーの話を聞き、俺はその事実を教える。バゼットさんは僅かに驚いた顔をして警戒を強める。

 

「と、言う事は奴は複数のクラスに適応できる技能を持っている可能性があるということか。それにしてもセイバー、普通、サーヴァントに以前限界した時の記憶など無い筈だが、お前も奴もそうではないようだな。」

 

「私は少々特別な契約方法をしたので、あの男に関してはわかりませんが。」

 

再び、男が口を開く。こうして対峙をしているとわかる。バーサーカーのようなプレッシャーこそないがこの男は強い。そう、本能が伝えてくる。

 

「ふふ、騎士王よ、我のものになる気はないか?」

 

「くどい!!10年前も言った筈だ。私はお前のものになる気などない!!」

 

「そうか。ならば、お前もその雑種もろとも消してやろう。我の者にならぬものなど興味はない。」

 

そう言って、男は俺に視線を向けてきた。奴の狙いは俺だというのか!?

 

「お前の存在は少々目障りだと我のマスターが言ってな。聖杯戦争においてマスターでもないのに影響を及ぼしかねない存在。消して来いと言うのがその命だ。別に聞いてやる義理などないが、暇つぶしぐらいになるとは思ってなわざわざ出向いてきてやったという訳だ。光栄に思うのだな。」

 

そう言って男が攻撃態勢を取る。それに対し、俺は変身しようとした。だが、バゼットさんがそれを押し留めた。

 

「君はさきほどの戦いの傷が癒えていまい。先ほどで恩は返した以上魔術師の原則である等価交換には少々反するが、まあ、アフターサービスと夕食の代価を兼ねるということでここは私達が相手をしよう。それにこいつは私達にとっても敵だしな。」

 

そう言って、彼女とセイバーが前に立ち構える。確かに今の俺は足手まといにしかならない。しかたなく、引き下がり僅かに後方に下がる。

 

「さあ、覚悟はいいか。見るがいい我が宝具を!!ゲート・オブ・バビロン!!」

 

男の真名の発動に答え、空中に穴が開く。そしてその穴から無数の武器が発射された。それを見て俺は驚く。その武器は全て宝具だったからだ。

 

「アヴァロン(すべて遠き理想郷)!!」

 

それに対し、セイバーはさきほどバゼットさんが見せてくれた鞘、宝具の真名を解放した。そして光の障壁を生み出した。しかし、アヴァロン!?俺でも知っている聖剣エクスカリバーの鞘、騎士王という呼び名といい、まさか彼女は・・・・。

 

キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

 

男が生み出した宝具をまるで矢のように発射する。それらはアヴァロンによって生み出された障壁に阻まれ砕け散る。だが、それを見て男は面白そうに笑った。

 

「流石だな、騎士王。仮にも王の名を関するだけの事はある。だが、これならばどうだ?」

 

そう言って、再び無数の宝具を生み出す。先ほどよりも数が多く、そして1ランク上の品ばかり。それが一斉に発射される。

 

「くっ。」

 

再び障壁で防ぐ。だが、今度は武器を砕いたのと引き換えに、アヴァロンも砕け散った。

 

「さて、どうする?」

 

「くっ!!」

 

憎たらしい笑みを浮かべる男に対しセイバーは剣を抜く。そして見えなかった剣がその姿を現した。神々しい輝きを持つその剣。俺はその剣の形を絵で見た事があった。伝説の聖剣、エクスカリバー。エクスカリバーとその鞘を持ち、騎士王の呼び名を持つ存在。間違いない、まさか女の子だとは思わなかったが、彼女は間違いなくあの伝説の騎士、アーサー王・・・・・・。

 

「ほう、聖剣か。ならば、こちらもこれをもって応じてやろう。」

 

そう言って、男も剣を取り出す。エクスカリバーと同等、あるいはそれ以上の存在感を感じさせる剣、今まで出した宝具とは明らかに違う事がわかる。

 

「エクス(約束された)・・・・・・・」

「乖離剣・・・・・・」

 

両者の剣に途轍もない

 

「カリバー(勝利の剣)!!」

「・・エア!!」

 

二つの剣から発せられた力がぶつかり合う。途方無い魔力がぶつかり合う。力の拮抗、だがそれが崩れた。相殺しきれなかった力が彼女を弾き飛ばす。

 

「セイバアアー!!!!」

 

Frame!!

 

俺が彼女の名を叫ぶ。そして、そのタイミングでバゼットさんが強力な炎の魔術をギルガメッシュに向かって放った。だが、しかし、盾の宝具の一つがそれを防いでしまった。

 

「ふん、雑種が。」

 

ギルガメッシュが一本の剣をバゼットさんに向かって討ち出した。それを見た瞬間、俺は飛び出していた。

 

「トレース(変)オン(身)!!」

 

変身し、彼女の前に立つとその刃をはじき飛ばす。身体全体に激しい痛みが走る。セイバーの方にちらりと目をやるとその姿は消えていない。どうやらまだ、なんとまだなんとか限界しているらしい。

 

「貴様、我の邪魔をしたな。よかろう、予定通り貴様から殺してくれるわ!!」

 

その行為に激昂した男が無数の宝具を放ってくる。目の前に広がる武器の群れ。絶望的な光景。おれはそれを

 

弾く

 

・・弾く

 

・・・・弾く

 

グサリ・・・・・・刺さる

 

グサリ・・・・・・・・刺さる

 

グチュ・・・・・・・・・・ちぎれる

 

グチュ・・・・・・・・・・・・ちぎれる

 

グチャリ・・・・・・・・・・・・・つぶれる

 

俺の全身に剣が突き刺さり、腕はちぎれかけ、足は潰れた。全身からは多量の出血、血を流しすぎて目も見えない。けれど、それでも俺は立っていた・

 

 

思い出した・・・・・・・

 

 

俺が南さんに、俺があこがれた最初のライダーに唯一つ教えてもらった事があった。正義の味方に必要なこと、それは生き抜きそして最後には必ず勝つ事。精一杯にがんばった、自分を犠牲にした、そんな、いい訳は一切きかない。死んだら、負けたら守りたいものは奪われる、殺される、壊される。だから、最後の最後まで自分の望みを全てかなえるまで仮面ライダーは倒れちゃいけない。負けちゃあいけない。だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・勝つ

 

「トレース(太陽)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オン(進化)!!!!!!」

 

俺の体の中にある石から膨大なエネルギーが供給される。俺の姿が仮面ライダーBlackと呼ばれた姿から仮面ライダーBlackRXと呼ばれた姿へと変化し、さらに全身の傷が一気に回復する。

 

「これは!?」

 

後方にいるバゼットさんの驚く声が聞こえる。それに対し、男は感嘆させたような声を上げる。

 

「雑種、なかなか面白い芸をみせるではないか。」

 

「かの、英雄王様に褒めてもらえるとは光栄だね。」

 

俺の言葉にバゼットさんがかすかに声を漏らした。どうやら俺の直感は当たっていそうだ。

 

「ほう、我の真名に気付いたか。」

 

「ああ、こんだけたくさんの宝具を持っている英雄は他にはいないだろうからな。」

 

英雄王ギルガメッシュ、全ての英雄の祖であり、そしてその武器の祖を持つと言われる伝説の英雄。少し前にその話を聞いていたので思いついたのだがどうやら当たりだったらしい。

 

「では、我にたてつく事の愚かさはわかるだろう?」

 

「仮面ライダーってのはどんなに絶望的な戦いでも勝つもんなんだよ。」

 

「ふっ、愚かな。その過ち身をもって知るがいい!!」

 

そう言って叫び答えた俺に対し、再び無数の宝具を放ってくる。それに対し俺は武器を投影した。

 

「トレースオン(投影開始)!!」

 

俺の右腕にRXの剣、リボルケインが現れる。そしてその光の剣を使い俺はギルガメッシュが放った宝具を片っ端から砕いた。

 

「ちっ、ならばこれでどうだ!!」

 

それを苛ただげにし、先ほどよりも多くの宝具を放ってくる。これは裁ききれない。なら・・・

 

「トレースオン(超変身)!!」

 

五代さんの技?の名前を借りて、俺はRXから地球上のどんな物質よりも硬い体を持つ戦士、ロボライダーへと変化する。幾つかは先ほどと同じように砕き、残りの武器はその身体が弾いてくる。

 

「くっ!!!光栄に思え、貴様如き雑種にもこの剣使ってやろう!!」

 

そう言って英雄王が取り出したのは先ほどセイバーのエクスカリバーを破った剣。あの剣を出されたら俺は負ける。ならば、出させる前に倒せばいい!!

 

「トレースオン(超変身)!!」

 

俺はパワー重視のロボライダーからスピード重視の形態であるロボライダーへと変化した。そしてギルガメッシュに一気に接近する。そして、リボルケインはその姿に超変身すると同時にバイオブレードに変化している。

 

ザシュ!!

 

ギルガメッシュの剣を持つ右腕を切り落とす。激昂する英雄王、だがそれを聞いてやるつもりはない。

 

「雑種が!!!!!!!世の腕を・・・・」

 

「トレース・オン(超変身)!!!」

 

RXの形態に戻り、リボルケインを振り上げる。剣を通して石から伝わった太陽のエネルギーが、まるで太陽そのもののような膨大なエネルギーが輝く。絶叫を上げるギルガメッシュ。そして俺は刃を振り下ろした。

 

「雑種がああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

「リボル(太陽の力を)・・・・・・・ケイン(宿し剣)!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

戦いは終わった。俺は勝利した。幸いセイバーもバゼットさんも無事、だれも死なずにすんだ。けど、これで聖杯戦争が終わったわけではない。俺の戦いは・・・・・・・・これから始まる。

 

 

                  仮面ライダーシロウ第一部 完

 


(後書き)

これで1部完です。ここで連載は一端中断しますが、希望が多ければいずれ(あるいは早く)再開したいと思います。

                       

PS.アヴァロンが砕けたのは、セイバーの心に過去を変えたいなどという後ろ向きな気持ちがあったからです。まあ、そうでなくても無数の宝具を一つで防ぐなんていくらなんでも無理があると思うんですが(笑)

 

 

 

仮面ライダーBlackRX(模)(ロボライダーはパワーが×1.2、敏捷系が×0.8、バイオは逆)

 

ジャンプ力40メートル

パンチ力4トン

キック力12トン

100メートル4秒

 

必殺技

ライダーパンチ B−

ライダーキック B+

リボルケイン  A+

 

 


(おまけ)

この世界におけるパワーバランス・・・こんな感じ(の予定)

 

創世王>ORT=>朱い月=>全盛期ゼルレッチ>アルクエィド=ゼルレッチ>他魔法使い=>上位二十七祖=>上位仮面ライダー(通常RX、金クウガ他)=>上位英霊(セイバー、ギルガメッシュ、イスカンダル、ヘラクレス等)=中位以下二十七祖=>中位以下英霊(ランサー、キャスターなど)=仮面ライダー(V3X他)>シエル>Black形態士郎>一部例外を除く上級魔術師(バゼット、凛など)=平均的代行者>G3などのライダー

 

まあ、とはいえ、アルクェイド等は昼、夜、吸血衝動解放時などでまったく変わるのであくまで平均で比べての事です。強い方が勝つとも限りませんしね。アルティメットクウガや最終回状態のRXなら満月時以外で吸血衝動を解放していないアルクェイドと互角以上に戦えたりします。現在士郎の実力に関してはどの辺にあるのかはぼかしておきます。




一部完、お疲れ様でした。
美姫 「要望次第では、すぐさま再会されるそうなので、希望される方は、今すぐ掲示板へ〜」
急げ、急げ〜。早くしないと乗り遅れちゃう。
美姫 「それにしても、最後の士郎は強かったわね。さすが主人公。やるときはやるわね」
……え〜と、無視ですか?
美姫 「それじゃあ、第二部が始まる事を祈りつつ、さよ〜なら〜。
柿の種さん、お疲れ様でした〜」
シクシク……。



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