「RXキィィィィック」

 

俺は渾身の蹴りを放つ。だが、その蹴りは回避され、神社へと続く石階段を砕いた。

 

「ふむ、凄まじき威力だな。だが、いきなりそんな大技をくりだしても当たるものではないぞ。」

 

アサシンは余裕の表情を浮かべながら刃を振るう。俺はそれを左腕でガードした。

 

「ぬっ、硬い・・・・。」

 

「はああああ!!!」

 

刃を表面で止まり、俺は身をひねりながらパンチを繰り出す。それはまたもや回避されるが今度は一撃では止めない。

 

「くっ、こうも連続で繰り出されると辛いか・・・。」

 

技量では大きく劣るものの身体能力に置いて圧倒的に上回る俺の動きは徐々にアサシンを追い詰めた。そして、ついに俺はアサシンが回避し切れない一撃を放つ事に成功する。

 

「RXパーンチ!!」

 

バアアアアアアアン

 

俺のパンチをアサシンは刃を横にして防いだ。だが、その圧力に押され、数メートル以上吹っ飛び階段の脇の林の中へと突っ込んでいく。だが、俺の強化された感覚はいまだアサシンが健在であることを捕らえていた。アサシンはゆっくりと立ち上がり林の中からでてくる。

 

「凄まじき強さだな異形の姿を持つ戦士よ。こちらもその強さに答え、我が秘剣をお見せしよう。」

 

そう言ってアサシンは構えを取る。本能が警告を訴えかける。俺は構え、それに備えた。

 

「秘剣・燕返し!!」

 

アサシンが刀を振るった瞬間、振られた刃は一振りの筈であるにも関わらず、同時に5本の刃が俺を襲った。それはRXの硬い皮膚すら切り裂く。

 

「くっ。」

 

「ふむ、この技でその程度しか傷つかぬか。数日前に出会っていたら打つ手の無い所であったな。」

 

だが、それは外殻の傷つけたのみで内部の俺には届いていない。にもかかわらず、アサシンは余裕の表情を浮かべていた。

 

「数日前なら駄目って事はいまなら何かあるのか?」

 

「うむ、本来なら英霊は成長などできないが、この身は少々特殊でな。ここ数日、複数の実力者と戦った事でより高みへと上り詰める事ができた。」

 

俺の問いかけに男は答え、そして構えを取る。先ほどとは段違いのプレッシャー、感じる脅威。俺は反射的に魔術を構成した。

 

「秘剣・真・燕返し」「トレース・オン(超変身)」

 

俺はその姿をロボライダーに変える。同時に先ほどは別々の場所に発生した5本の刃がほぼ同一な座標に発生し強烈な一振りの刃となって俺にせまる。

 

「ぐわあああ。」

 

その刃は英雄王の宝具すら防いで見せたロボライダーの身体を切り裂き、俺本来の肉体さえ、傷つけた。俺は衝撃で階段を転げ落ち、そして何とか体勢を立て直すと起き上がり、上方のアサシンを見上げる。

 

「ふむ、あと一歩と言ったところか。」

 

アサシンの呟きが耳に入った。たった今、目にした脅威的な奇跡とすら言える技ですら未完成だという事実に俺は驚愕する。

 

「貴公には感謝する。次の一撃で我が秘剣、完成の域にたどり着けそうだ。」

 

その言葉に俺はたじろぐ。次の一撃を喰らえば自分は間違いなく死ぬ。何とかかわすか防ぐかしなければならない。“バイオライダーに変身するか”、一瞬そう考え、すぐに却下する。オリジナルのバイオライダーと違い、俺のそれは肉体そのものを変化させるのではなく、肉体の周りに仮面ライダーという存在を投影するものである為、俺本来の身体は液状化できず、また、身体能力を多少上げたところであの秘剣を完全に回避するのは難しい。そしてロボライダーの強度でも今度は耐えられない。なら・・・・・

 

「トレース・オン(超変身)」

 

俺は姿をRXにもどし、さらに投影を行なう。

 

「トレース・オン(投影開始)」

 

生み出したリボルゲインを俺は利き腕とは反対の左腕に持ち、そしてアサシンと正面から対峙する。

 

「・・なるほど、それは剣ではなく、盾として生み出したという訳か。」

 

アサシンは俺の姿を一目見て俺の目論見を見破ってきた。そう、俺が思いついた唯一の対抗策、それはリボルケインを使って、アサシンの刃を防ぐ事。

 

「それが最良であろうな。しかし、だからと言って我が秘剣も簡単に防げるほど甘くは無いぞ。」

 

アサシンの言葉。それは十分過ぎるほどわかっていること。しかし、俺には3つのアドバンテージがあった。一つは、アサシンが出してくるのは5つの刃を生み出す燕返しではなく、極なる一刀である真・燕返しだと限定できること。そうでなければRXの身体は切り裂けないからだ。相手の手札を絞る為、俺はあえて、身体速度が高いバイオライダーではなく、それよりも防御力が高いRXの形態を選んだ。

 

トン

 

俺は一歩階段を上り、アサシンに近づく。そして二つ目のアドバンテージ。俺とアサシンの圧倒的身体能力差。普通攻撃を繰り出された後に、反応しても防御は間に合わない。しかし、両者の身体能力差があれば、相手が技を繰り出した瞬間に反応すれば、ぎりぎり防御は間に合う。とはいえ、それは紙一重のタイミングな綱渡りである。

 

トン

 

俺はさらに一歩階段を上る。それは後一歩進めばアサシンの射程圏内に入る位置。俺の最後のアドバンテージ、それは俺が戦士として唯一達人に匹敵するもの。

 

トン

 

最後の一歩をのぼる。その瞬間、アサシンの刃が放たれた。

 

――――――秘剣・真・燕返し

 

先ほどとは違い完全に同一座標に生み出された5つの刃。俺はその一撃を・・・・・・・・・・・受け止めた。

 

「!!」

 

「RXパーンチ!!」

 

俺の唯一の才覚。それは集中力。アサシンの一撃を見切った俺は左手に握ったリボルケインでその攻撃を受け止め、そして右腕がアサシンをとらえた。

 

 

 

 

 

 

 

「私を殺さないのか?」

 

「言っただろう、俺は話し合いに来たんだって。」

 

「ふっ、そうであったな。出来れば貴公とはもう一度戦いたいものだな。」

 

「ああ、機会があったらな。ただ、その時は、できれば殺し合いじゃなくて試合がいいけどな。」

 

「ふっ、わかった。」

 

俺はアサシンと短い会話をかわし、彼を背に境内に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ・・・・・・・・。」

 

アサシンは満足していた。敗れはしたものの秘剣を完成させ、真に強きものと渡り合えた。そこに悔いは欠片もない。

 

「そういえば、数日前に戦ったあの者と先ほどの少年は動きがよく似ていたな。」

 

そこで、アサシンは数日前に戦った男の事を思い出す。その男はサーヴァントでなく、魔術師ですらないにも関わらずそれに匹敵するほど強かった。

 

「確か、南光太郎といったか。光太郎、そして士郎、かなうならもう一度仕合いたいものよ。」

 

アサシンはそう願う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だが、その願いはかなう事がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐふっ。」

 

アサシンの背に腕が生え、身体が消える。そしてその腕の持ち主は異形の姿の持ち主だった。

 

「衛宮士郎、少なくとも衛宮切と南光太郎の後継者として最低限の力は持ち合わせいるらしいな。しかし、心の方はどうか。」

 

その異形は呟き、闇夜に薄く笑うのだった。

 


(後書き)

2部は全6〜8話の予定です。そろそろ、他のライダーがだしたいですねえ。




異形のもの現る。
美姫 「心と呟いていたけれど、一体、どんな事を仕掛けてくるのかしら」
まさか、美姫のように毎夜、枕元で耳元にSSを書け〜、とか一晩中囁きかけて来るとか。
あれは、精神にくるからな〜。
美姫 「失礼ね。可愛い美姫ちゃんの声を聞きながら、夢を見れることを喜びなさいよ」
だって、夢の中でもお前にお仕置きされつつ、SSを書いてるんだぞ。
せめて、せめて、その夢で書いていたSSを覚えていれば……。
美姫 「はいはい、馬鹿な事は良いから」
馬鹿とは何だ、馬鹿とは。
美姫 「あー、はいはい。えっと、次回は一体、誰が出てくるのかしら」
柳洞寺だから、あのサーヴァントだと思うけどね。
美姫 「それはどうかしらね〜」
うーん、一体、どんな敵が次に待ち構えているのか。
美姫 「次回も楽しみにしてますね」
ではでは〜。



頂きものの部屋へ戻る

SSのトップへ