「なるほど、それが君の“正義”という訳か?それで、君はその可能性を守る為に私を殺しその“可能性“を奪い取るかね?」

 

異形は俺の言葉を聞いて楽しそうに言う。今、はっきりわかったこいつは嫌な奴だ。だが、例え嫌な奴だろうと俺の言葉は決まっている。

 

「お前が、この先も他人に危害を加える気ならば。」

 

「他人に危害を加えぬ存在などあるのかね?」

 

「じゃあ、言い換える。お前は“今後他人の可能性”を無闇に奪おうとするのか?」

 

「ふむ、とりあえず私は無闇に“命”を奪う気はない。私は他人の不幸を見るのが好きなのでね。その為のお膳立て、それが私の行動原理の全てと言ってもいいだろう。」

 

「・・・・お前がそういう存在だと言うのならば・・・・・、俺はお前と戦う!!」

 

幸せの可能性を奪う相手、それこそが俺が戦うべき相手なのだから。

 

「そうか、なら来るがいい。」

 

そして、その言葉を最後に両者は同時に動いた。異形の獣、しいて言うなら言い伝えの生物“ぬえ”に似たその異形は鋭い蹴りを放ってくる。だが、俺はそれを軽々と受け止めた。

 

「ライダーパンチ!!」

 

俺は“ぬえ”を殴り飛ばす。そして飛び上がりさらに追撃をしかける。

 

「ライダーキィィィィック!!」

 

だが、“ぬえ”は素早く体勢を立て直すと飛び上がりかわすと、そして剣を投げてきた。

 

「なっ!?あれは!!」

 

俺はその剣をかわしながらそれを見て驚く。その剣は黒鍵と呼ばれる教会の代行者が使う武器だったからだ。

 

「お前!!一体何者なんだ!?」

 

驚き叫ぶ俺に対し、“ぬえ”は何も答えない。だが、奴が薄く笑っていることだけはわかる。そして再び飛び上がり黒鍵を放ってきた。

 

「くっ。トーレス・オン(投影開始)!!」

 

今は考えている暇はない。俺は投影で剣を生み出す。それは何かを模倣したものではない、仮面ライダーシロウという存在に合わせ、俺の内の石の力を受けた剣、シャインセイバー。その剣で俺は黒鍵を破壊する。そして俺はさらにその剣の真なる力を解放する。

 

「シャイン(光り輝く)・・・・・・・・・・セイバー(太陽の剣)!!」

 

剣から放たれた光が上空に舞う“ぬえ”を飲み込んだ。だが・・・・・・

 

「なるほど、これが仮面ライダーの、そして衛宮切嗣を継ぐものの力という事か。」

 

「そ、その姿は・・・・・・・。」

 

俺はその光の中から現れた姿を見て愕然とする。なぜなら、その全身灰色の姿は俺のよく知るものだったからだ。

 

「仮面・・・・・・ライダー・・・・・・。」

 

そうその姿は仮面ライダーの姿によく似ていた。

 

「どうかね?君の信じる証だった正義の味方が悪として立ちふさがった気分は・・・・・。この姿の名は仮面ライダー000。そう、仮面ライダーの一人だ。」

 

俺のショックを受けた様子を見て男はさもおかしそうに笑う。俺は歯軋りした。

 

「くっ・・・・・例え姿が似ていても、それだけで仮面ライダーって訳じゃない!!お前が仮面ライダーだなんて俺は認めない!!」

 

「ならば、見るかね?その力を。」

 

“ライダー”ベルトに何か差し込むと剣をとりだす。そして、それを持って“ライダー”は飛び掛ってきた。俺はシャインセイバーを抜いて迎え撃つ。

 

ギィィィン

 

剣と剣で切り結ぶ。そして数合打ち合った後、俺は一気に押し切る。

 

「はあ!!」

 

シャインセイバーが“ライダー”の剣を切り裂く。そこで奴は飛び引いた。

 

「流石というところか。だが、これならばどうかね。」

 

“ライダー”はベルトに何か差し込んだそしてその姿が全身黒く変わる。

 

Reformation

 

『READY・・・・・・GO』

 

“ライダー”の姿が消えた。俺にはそう見えた。だが、違った、“ライダー”は信じられないスピードに超加速したのだ。俺はそのスピードにまったく対応できず、10秒間の間、滅多打ちにされる。そして“ライダー”の姿が元に戻った。

 

「ぐ、ぐは・・・・・・。」

 

「ふむ、欠陥品とはいえ流石は最強のライダーベルトというところだな。」

 

“ライダー”が自分の手を見て感心したように言う。俺は何とか体を立て直した。

 

「さて、どうするかな。ここで、君に止めをさしても私に何の得がある訳でもなし、生かして置いて無力感を感じさせてやったところでそれほど面白い訳でもない。」

 

そんな俺に視線を向けようともせず、そんな事を言う“ライダー”その時だった。

 

「うっ・・・・・・。」

 

僅かに漏れる声。そちらを見るとそこにはサーヴァントの女性の姿があった。

 

「キャスターの癖に存外しぶといな。いや、キャスターだからこそか。神社に張られた結界に蓄えられた魔力を吸って何とか命を取り留めたか。」

 

そして“ライダー”が女性、キャスターを殺そうとする。

 

「待て・・・・。」

 

俺は“ライダー”の前に立ちふさがった。

 

「んっ?君は彼女を守るというのかね。彼女はこの街に住むものに危害を加え、仮にも攻撃を仕掛けてきたのだぞ。」

 

「言った筈だ。俺は、可能性を守る者だって。彼女がまだ変わってくれる可能性がある限り、俺はぎりぎりまであきらめない。」

 

「なるほど、そうか・・・・・。さて、どうしたものか。」

 

そこで“ライダー”は考え込むような仕草を見せた後、言った。

 

「ならば答えを示してみるがいい。その結果がどうなるのか、私は傍観させてもらうよ。」

 

そう言って、ライダーは変身を説くと“ぬえ”の姿になり、飛び去っていった。

 

 

 


(後書き)

うわっ・・・シロウ弱ええ。借り物の姿を捨てて自分だけの道を歩むのは楽ではなかったようです。シロウはここから真のヒーローに成長できるのでしょうか。

 

武装

シャインセイバー(光り輝く太陽の剣):ランクB+〜A




シロウの敗北。
美姫 「少年は、これから成長する事ができるのか」
黒鍵をつかうぬえも気になるし。
美姫 「うんうん。あのライダーベルトも気になるわね」
おう!
次回以降も楽しみです!
美姫 「次回も楽しみにしてます」



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