近道しようと公園を通り抜けようとする俺。だが、そんな俺の前に赤い外套をきた男が立ち、道を塞いだ。

 

「こんな時間にどうしたのかな?」

 

「邪魔だ、どけ、今はお前の相手なんかしてる暇なんかないんだ!!」

 

俺は叫ぶ。だが、赤い外套を来た男、アーチャーはニヤリとした笑みを浮かべた。

 

「貴様には無くとも私にはある。ちょうど前回の戦いでマスターが令呪を使い切ってな。これで、何の縛りもなく目的を果たせる。」

 

「目的・・・だと?」

 

アーチャーの言葉に俺は訝しげな顔をする。そして、男は言った。

 

「お前を殺す事だ。衛宮士郎!!」

 

その言葉と共にアーチャーは剣を投げてくる。俺はそれを何とか回避する。だが、その瞬間、その剣が爆発した。

 

「変身(トレース・オン)!!」

 

爆発と同時に変身する。ここ数戦を経て相手が攻撃を仕掛けた瞬間に変身できるようになっていなければ、それで終わっていただろう。俺は魔力の爆発に身を焼かれ吹き飛ばされる。

 

「くっ。」

 

それでも、何とか体制を建て直す。それに対し、双剣を両手に携え飛び込んでくるアーチャー。俺は、その一撃を両手で受け止める。

 

「ちっ。」

 

舌打ちするアーチャー。俺は激昂して叫ぶ。

 

「俺を殺すだって!!何でだ!!俺はお前に恨まれるような事をした覚えはないぞ!!」

 

「ふん、貴様の存在そのものが害悪なのだ。借り物の理想でしか動けぬ、貴様の歪な正義はいずれ取り返しのつかない事をする。」

 

言葉と共に両手に握った双剣を振るうアーチャー。俺はそれを後方に飛んでかわして叫ぶ。

 

「俺の理想は借り物なんかじゃない!!」

 

俺はアーチャーの双剣を拳で砕き、そのまま、蹴り飛ばす。吹っ飛ぶアーチャー。俺はそこで人避けの結界を張る。投影と変身以外、ほとんど魔術の才能を持たない俺だが、無関係な人を巻き込まないようこれだけは必死に習得したのだ。

 

「借り物ではないか・・・。貴様の正義など、所詮は仮面ライダーという存在を模倣したものに過ぎないのではないか?」

 

「違う!!先輩のライダーも親父も俺を助けてくれた人もみんな違う正義を持っていた。俺の正義もその人達とは違う。絶対の正義なんてきっとない。けど、それでも、俺は俺の信じた道を行く!!」

 

「ふん、それが間違っていたとしたらどうする?」

 

俺の言葉に対し、嘲るように言うアーチャー。だが、そんな問いに対してはとっくに決まっている。

 

「その時は、それを認めて新しい道を歩めばいい!!」

 

「貴様がそれに気づく時などとっくに後戻りできない、手遅れな状態になってるさ。」

 

その言葉と共に先ほどとは違う剣をどこからか生み出し、再び飛び掛ってくる。アーチャー。俺もシャインセイバーを出して迎え撃つ。

 

「手遅れなんてない!!そんなものは諦めを肯定する為の方便だ!!過ちはとりかえせないかもしれない。けど、人は生きている限り例え少しでも進める。人には無限の可能性なんて無いけど、本当に一つしか選択肢が無いなんて事もきっと無い!!」

 

互いの剣はぶつかりあい、そしてアーチャーの剣が砕け散る。

 

「俺は諦めと戦う!!幸せになる可能性を見失っている人に気付かせてあげるために!!光輝く太陽の剣(シャイン・セイバー!!)」

 

俺は剣の真名を開放し威力をセーブした光を放つ。それに吹き飛ばされるアーチャー。

 

「ふん、人の諦めと戦うか。まるで、貴様は絶対に諦めない特別な人間とでもいうような口ぶりだな。」

 

地面に座りながらも毒づくアーチャー。何故だろう、何故この男の姿を見ていると俺はこんなにもいらつくのだろう。

 

「そんなことはないさ。俺は一人だったらきっと強くない。けど、俺には先輩のライダーの人達やさくらや藤ねえがいる。仲間と守るべき人達がいる限り、俺はけっして諦めたりはしない。」

 

「なら、その強さが本物か見せてもらおう!!」

 

アーチャーは立ち上がり呪文を詠唱する。単に奴を倒すならその隙に攻撃する事はいくらでもできただろう。桜を助ける為に本来なら一分一秒すら惜しい。だが、それでも、これは乗り越えなければならない事だと感じた。俺自身の、そしてアーチャーの為にも。

 

 

 

―――体は剣でできている
I am the bone of my sword.

血潮は鉄で心は硝子
Steel is my body,and fire is my blood.

幾たびの戦場を越えて不敗
I have created over a thousand blades.

ただいちどの敗走はなく
Unknown to Death.

ただ一度の理解もされない
Nor known to Life.

彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う
Have withstood pain to create many weapons.

ゆえに生涯に意味はなく。
Yet,those hands will never hold anything.

その体はきっと剣でできていた
So as I pray,unlimited blade wor

 

 

 

そして、世界が侵食されていく。世界そのものを書き換える限りなく魔法に近い魔術。赤い世界。そして広がる荒野に突き刺さる無数の剣。

 

「固有結界・・・・・・・・。」

 

俺は呟く。この俺の変身も、二十七祖10位、混沌のものに近い一種の固有結界だと聞いた事がある。自身の体内とその周囲のみを書き換える事によって、もっとも世界からの抵抗の小さい固有結界。

 

「これを防げるか?」

 

そして、その荒野に突き刺された剣が同時に数十と抜かれ、正面から剣の雨となって俺に降り注がれた。俺はシャインセイバーを斜め上の方向に構える。

 

「光り輝く(シャイン)・・・・・」

 

キングストーンから力が放出され、固有結界に穴を開ける。そして、その穴から、のぼり始めた太陽の光が俺に降り注ぐ。

 

「なっ!?」

 

驚愕を示すアーチャー。強引に上書きされたこの世界は俺が生み出したほころびからまもなく崩壊する。

 

「太陽の剣(セイバー)!!」

 

そして俺の剣から放たれたその光は降り注ぐ全ての剣を消滅させ、アーチャーを吹き飛ばした。同時にアーチャーの生み出した世界が崩壊する。

 

 

 

 

 

「私を消さないのか?」

 

「お前には遠坂を守ってもらわないといけないからな。俺はあいつみたいないい奴に死んで欲しくない。」

 

固有結界を破壊された後、アーチャーはそれ以上何もしようとはしなかった。俺はバイクに乗り、奴の横を黙って通り過ぎようとする。

 

「甘い男だな。私は凛を裏切ったのだぞ?」

 

「それを決めるのは遠坂だろ?少なくともお前には俺を憎む理由はあっても遠坂を傷つける理由はなさそうだしな。」

 

初めて会った時、俺に対するアーチャーの視線は敵意だったが、遠坂に向ける視線はどこか優しげだった。

 

「貴様をまた狙うかもしれんぞ。」

 

「その時はまたお前に勝ってやるだけだ。」

 

それが俺達がかわした最後の言葉だった。俺はアーチャーを背に再びバイクを走らせ、その場を立ち去り桜のもとへとバイクを走らせた。

    


(後書き)

士郎とアーチャーの邂逅。こんなもんでどうでしょうかねえ?おかしくないでしょうか。この辺はFateの根幹に関わるテーマを扱うとこでもありますし、違和感を感じられる人が多くいるようでしたら改訂したいと思います。

  

設定変更

電光ライダーキック

ランクA

シャインセイバー

ランクBA++(太陽の光を浴びないとその真の力を発揮できない)

 




士郎とアーチャー、二人の邂逅。
美姫 「アーチャーは何を思うのか」
そして、桜は無事なのか!?
美姫 「桜に関しては、次回かしら」
多分。ああ〜、一体、桜の身に何が。
気になる〜。
美姫 「次回も楽しみにしてます」
次回を待ってます!



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