椿鈴音
小田正
かくして彼女と彼は出会った
片方は日常を知らぬ、異常な高校生
片方は情報化社会の孤児と化したような時代遅れの剣道馬鹿
彼女は普通を求めた
彼は普通という名の幸せを愛した
彼は彼女が・・・・
彼女は彼を・・・・
新式日常 第3話「殺意上昇警報発令」
9月1日(水)
AM9:50
桜花高校1年A組教室
やっと人が消えたか・・
さすがに授業がはじまると消えるな
しかし、これから休み時間のたびに俺は自分の席から叩き出されるのか?
畜生、厄介だな・・
「えっと・・・小田くん?」
「あん?」
考え事をしていたら急に隣からの声によって現実に引き戻された
声をかけてきたのは勿論(俺の席は窓際なので自動的に横の席は1つしかないことになる)隣の席の椿である
「私、教科書まだ買ってないからまだ持ってないんだ、見せてくれない?」
「ああ、いいよ」
次の授業は・・・国語か
俺は国語の教科書を取り出し、椿に渡す
「あれ・・・?小田くんは教科書見ないの?」
「俺は良いんだよ、国語は寝るから」
「え!?ちょ、寝るって!?」
「大丈夫、俺は国語のテストはいつも満点だから勉強なんてしなくて良いんだ」
勿論ウソだ、ここで下手なことを言うとまた厄介ごとになりそうなのでそう言っておく
「何言ってんだよ正、いつも国語は赤点ギリギリかそれより下くらいじゃないか」
後ろの席の二郎が極めて余計なことを言ってくる
「二郎!余計なことを―――」
「・・・小田くん、やっぱり机引っ付けて教科書二人で見ようよ、ね?」
ぐあ・・・やはりこうゆう展開になったか・・・
しかし、俺の素晴らしい睡眠ライフは何人たりとも踏み込ませてはならない
ここは男らしく断って・・・・
「一緒に見ようよ・・・ね?」
ぐ・・・こいつ顔が可愛いからって上目使いで見てくるのは反則だろ・・・
結局俺は・・・折れた
「解った・・・一緒に見よう・・・・」
「うん、机くっつけるね」
俺の了解を得た椿が何故か嬉しそうに机をくっつけてくる
くそ、なんで教科書を見せるだけでこんなに疲れ・・・・うお!?
今更ながら俺は気付いた
教室中の男からの嫉妬、羨望、殺意の視線!
もしそれで人が殺せるならば俺はもう100回くらい死んでるだろう
俺は今日生きて帰れるんだろうか?
場違いながら俺はそんなことを考えていた
「小田くん、どうかした?」
そんな殺意など微塵も感じていない椿が冷汗をダラダラ流してる俺を見て心配そうに尋ねてくる
「いや、大丈夫だ・・・少なくとも今は」
「そう?」
一瞬椿は怪訝な顔をしたが、すぐ前を向き授業に集中していく
俺は更に寝ようとしたが、周囲から絶え間なく襲来する殺意のせいでとてもではないが寝れたものではなかった
「こういうのって久しぶりだな・・・」
「え?」
突然呟く椿に間抜けな返事を返す俺
「私ね、ここ最近はずっと仕事だったから、こうゆう普通のことができて嬉しいなぁ、って・・・」
普通、か
「ああ、普通が、日常が一番だよな」
・・・少なくとも俺は今その普通が味わえなくなっているのだが・・・
俺の言葉を聞いて何故かびっくりしたような表情を浮かべる椿
「どうかしたか?」
「え?あ、いや、なんでもないなんでもないよ?授業に集中しよ、突然変なこと言っちゃってごめんね」
「ああ」
俺は授業を過ごした、全身に更にきつくなった殺意を浴びながら・・・
神様、俺は何かしましたか?
あとがき
ここまで読んでくださった方たち、ありがとうございます。きりしまです
これで初めて投稿するSSをとりあえず第3話まで書いてみました
いかがでしょうか?
良ければ感想などお願いします
ほのぼの〜。
美姫 「正の周り以外はね」
あ、あははは。
さて、正は無事に一日を終えることが出来るのでしょうか。
美姫 「それは、神のみぞ知る〜」
ちょっとしたハプニングがやっぱり起こるのかな?
美姫 「それはどうかしらね」
面白いですよ、きりしまさん。
美姫 「次回も期待してますね〜」
ではでは。
美姫 「また、次回で〜」