『白薔薇と黒剣士』




  
  〜プロローグ〜



 

  12月の半ば、海鳴市のとある一軒家。その縁側に座っている若者が一人。

  「ふう、今日もまた一段と冷え込んでるな。」

  その若者、高町恭也は熱い緑茶を啜りながら盆栽を眺めていた。
  
  そんな息子の様子を見ていた桃子は、

  「このままじゃダメだわ。このままじゃ30代で孫を抱くという夢が!こんな時はあの人に相談ね。」

  そう言って桃子は誰かに電話を掛け始めた。

  プルルルルップルルルルッ、、、ガチャ。

  「もしもし、ティオレさんですか。桃子です。」

  「あら桃子、久しぶりね。今日はどうしたの?電話なんか掛けてきて。」

  「実は、恭也の事について相談がありまして。あの子ったら推薦で大学に受かって期末試験も終わったって言うのに

   どこかに遊びに行ったりもせずに家でお茶飲みながら盆栽眺めてるんですよ。」

  「それは困ったわね。今時の若者なら彼女を作ってデートの一つや二つくらいしてないといけないのに。でも周りにいる
     
   娘たちの事は家族か友人としてしか見てないから。ここは一つ、恭也に刺激を与えてあげないといけないわね。」

  「でも刺激っていっても具体的にどうするんです?」

  「実は私のメル友が、日本のとある学園の学園長をしているのよ。だからその人に頼んで、そこに恭也を転校させるとか?」

  「でもあの子は超が付くくらい鈍感ですから学校が変わったくらいじゃ今と何も変化が無いと思うんですけど。」

  「その点も考えてあるわよ♪実はその学園って女子校なのよ、だから鈍感の恭也でも刺激があると思うのよ♪」

  「・・・・・・・・・・。」   

   とても楽しそうに言うティオレに対して桃子は無言だった。

   さすがにちょっとやりすぎたかとティオレが思い始めたその時、

  「ティオレさん、今スグ手続きお願いします!そんなおもしろそうな事やらないわけにはいかないでしょう。

   っていうか私も一緒に転校して観察してみた〜〜い!」

  「桃子なら違和感無いだろうけどお店があるからダメでしょ。ちなみに手続きは済んでるから、後は恭也が行けばいいだけよ。」

  「随分手際がいいですね。実は前から計画してました?」

  「あら分かった?だって私も早く恭也の子供を抱きたいしね♪」

   桃子の質問にそう答えたティオレ。それを聞き桃子も楽しそうに、

  「じゃあ今夜その事を伝えて明日にでもそこに行かせようかしら♪ちなみにその学園の名前は?」

   桃子がそう尋ねると、ティオレは楽しそうにこう答えた。

  「リリアン女学園よ♪」













   場所は変わってリリアン女学園。

   その敷地内にある薔薇の館、その中で二人の生徒が窓から外を眺めていた。

  「あれからもうすぐ一年が経つんだね。私達もあと三ヶ月くらいで卒業か〜。」

   生徒の一人、佐藤聖がそう言うと、

  「聖、貴方大丈夫?今回のことで去年のこと思い出したりしてるんじゃない?」

   もう一人の生徒、水野蓉子がそう尋ねた。

  「別に忘れてたわけじゃないんだけどね、あれから一年みんなと一緒に過ごしてきて
 
   あまり気にならないようにはなってたんだけどね。」

  「聖。」

  「いろいろ思い出しちゃってね。もう二度と誰かを愛したりしないだろうって思い始めたあの時こととかね。」

  「聖、きっと逢えるわよ。一緒にいたい、共に支え合っていきたいと思える人が。」

  「栞以上の娘なんていないよ。」

   苦笑しながらそう答える聖。

  「あら、女性とは限らないわよ」

   笑いながらそう言う蓉子。

  「それこそありえないよ。でも、もし本当にそんな人がいるなら会ってみたいね。」

  「さっきも言ったけど、大丈夫きっと逢えるわ。さて、そろそろ帰るわ。また明日ね、聖。」

  「ん、また明日。」

   そう言い二人は別れた。しかし聖はまだ外を眺め続けていた。

  

   


キレンジャーさん、投稿ありがとうございます。

美姫 「今回はプロローグなので、お互いにまだ出会ってないわね」

うん。次回からの展開が気になるよ〜。
果たして、恭也はすんなり転校するのかな?

美姫 「女子校だしね」

まあ、桃子に泣かれたら無下にもできないだろうしな。

美姫 「次回を楽しみにしつつ、またね」

続きを楽しみにしてますので、これからも頑張って下さい。



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