『白薔薇と黒剣士』
第四話「クリスマスパーティー・後編」
パーティーが進み、恭也もみんなと打ち解け始めた時、”黄薔薇のつぼみ”・支倉令が恭也の顔をみながら何かを考えていた。
「どうしたの?令ちゃん。」
”黄薔薇のつぼみの妹”・島津由乃がそう尋ねると、
「うん、実は恭也さんの事なんだけど何処かで見たことがあるようような気がして。」
「あ、それ私も思った。」
「実は私も、」
令の言葉に由乃と祐巳がそう答える。
「あら、三人は恭也さんと面識があるの?」
「いえお姉様。会うのは今日が初めてです。」
江利子の問いに令がそう答える。すると三人とも何か思い当たったようでみんなに向かってこう言った。
「「「思い出した!漫画だ!」」」
「「「「「「「漫画?」」」」」」」
普段漫画などを全くといっていいほど読まないメンバーは不思議そうに聞いた。それに対し令が話し始めた。
「私達が読んでる月刊の少女漫画で、ある漫画家が少し前から新連載を始めたんです。それで、その漫画の主人公が恭也さんにそっくりなんです。
しかも作者のコメントではキャラクター全員にモデルがいて、そのモデルを忠実に再現しているほとんどノンフィクション漫画らしいんです。」
「たしか今日、単行本の第一巻の発売日だよね。令ちゃんその先生のファンだから早速、大学の購買で買ってきたよね。」
「あっ、私も買いました。」
それを聞き、とりあえずみんなで読んでみようと言うことになり、二グループになって読み始めた。
漫画の内容は、小太刀の二刀流使いの高校生が家族や友人たちを襲う危機や事件からみんなを救うと言った話と、
その友人や家族達から好意を寄せられているがそれに全く気付かないと言った、シリアスとギャグの入り混じった内容だった。
それを見て恭也は某女子寮の大魔王を思い浮かべたが、まさか。と思い、
「他人の空似じゃないですか?世の中に自分にそっくりな人が二,三人はいると言いますし。」
その言葉に令たちがそれもそうか。と思い始めたが、次の恭也の言葉にさっきまでの予想が確信に変わった。
「それに、こんな無愛想な男を好きになる女性なんかいないですよ。」
その時、由乃が漫画のあるページを開いて見せた。そこには恭也と同じ台詞を言う主人公が描かれていた。
恭也は恐る恐る漫画の表紙を見た。
”草薙まゆこ”
表紙の作者名の所にその名が描かれていた。それを見た瞬間、恭也は携帯を取り出しどこかへ電話を掛けはじめた。
プルルルルップルルルルッ、、、、、ガチャ。
「はいもしもし、さざなみ寮ですが。」
「もしもし、耕介さんですか。高町ですが真雪さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、真雪さんなら今、漫画の原稿渡しに行ってるけど、あ、今帰って来たみたいだから代わるね。」
そう言って耕介は真雪に受話器を渡した。
「よう恭也、何か知らんがいきなり転校したそうじゃねえか。今日桃子さんに聞いたぞ。」
「真雪さん、新連載単行本第一巻発売おめでとうございます。」
皮肉を込めてそう告げる恭也。
「見たのか!?お前が少女漫画を読むなんて意外だな。」
「転校した先で偶然読ませて頂きまして。で、どう言う事です?」
「ん?何のことだ?」
惚けた口調でそう答える真雪。
「この漫画の登場人物全員にとても見覚えがありますし、内容についてもどれも知っている事ばかりなんですが。」
「そりゃそうだろ。その漫画はお前達をモデルにしたノンフィクション漫画なんだから♪」
「モデルになることを了承した覚えはありませんが?」
「お前以外のみんなには了解をとってあるぞ。」
「俺の家族や忍達はともかく、薫さん達がよく許可しましたね。」
「それは、これで少しでも気付いてもらえたらと思ったんじゃねえのか?」
「何のことですか?」
その言葉を聞き、真雪は溜め息をついて、
「いや、何でもねえ。」
「それと真雪さん、本を貸してくれた人が真雪さんのファンらしくて電話代わっていいですか?」
「おお、かまわねえぞ〜。」
それを聞き、恭也は令に受話器を差し出して、
「どうぞ。」
「えっ、え?」
「どうも草薙まゆこです、ご愛読ありがとう。」
「あっ、は、はじめまして。私リリアン女学園の支倉令と申します。先生の作品いつも読ませていただいてます。」
(ん?リリアン女学園?ほっほう、恭也の奴、女子校に通ってんのか。こりゃまたネタにしがいがあるな。)
小悪魔的な笑みを浮べながらそんなことを考え、リリアンについていろいろと取材をし始めた。
一方、恭也たちのほうは恭也の交友関係について話していた。
「恭也さんって草薙まゆことお知り合いだったんですね。」
「ええ、あの人は女子寮に住んでいてそこの寮生とうちの妹が親友でしてその関係で。」
それを聞き、志摩子が質問をした。
「恭也さんはどちらからいらしたんですか?」
「海鳴市と言う所の風芽丘と言う学校からです。」
「風芽丘って、あの千堂選手や岡本選手の母校で、今年のIHで優勝した赤星選手のいる学校ですか?」
恭也の答えに由乃は目を輝かせながら反応した。
「あいつはクラスメートであり数少ない男の友人なんです。それと千堂さんや岡本さんとも知り合いですよ。」
「そうなんですか!?うらやましい。」
由乃は心底羨ましそうに恭也を見ていた。
「まあ赤星はともかく、後のお二人については学生時代からよくうちの店をご利用頂いてたので。」
恭也のこの言葉にみんなが?と言う顔になる。
「実は母が喫茶店を経営しておりまして。俺も昔からよく手伝いに入っていましたから。」
その答えにみんな納得した顔になる。
「へ〜、恭也さんのお家って喫茶店なんですか。一度行ってみたいですね〜。」
「よかったら春休みにでもみなさんでご来店下さい。冬休みは三年生が受験の追い込みですからね。」
そこで令から恭也に携帯が返される。
「恭也〜、女子校に転校だなんてかなりおいしいシチュエーションじゃねえか。これでまたネタが増えたな、感謝するぞ。」
「これ以上ネタにするのは勘弁して下さいよ。それにこちらのみなさんにも迷惑が掛かるでしょう、ここの生徒達は純粋無垢なお嬢様達ばかりなんですよ?」
「そこはお前がみんなに迫ってたらしこんで了承させんだよ!お前の特殊技能だろ!」
「なにが特殊技能ですか。それに俺に迫られて喜ぶ女性なんていないでしょう。」
いたって真面目にそう答える恭也に対して、
(鈍感。)
と全員が思った。
「それじゃな恭也、近いうちに何人かこっちに来させろよ!モデルのために!」
そう言って真雪は電話を切った。
(まったく、あいかわらず無茶苦茶な人だな。)
そう考えながら恭也は携帯を懐にしまった。
「さて、それじゃあ時間も遅くなってきたしそろそろお開きにしましょうか。」
と、そこで蓉子がそう告げた。それを聞いた蔦子が、
「それじゃあ最後に集合写真などを撮りませんか?」
その言葉にみんなが頷き、扉をバックに山百合会のメンバーと恭也が集まり撮影した。
「すみませんが恭也さん、最後に恭也さん一人で取らせて頂けませんか?」
「はあ、かまいませんが。」
そう言って恭也一人で立ちいくつかのアングルから撮影した。
「それじゃあ帰りましょうか。」
撮影会の後、手分けして掃除をして薔薇の館を後にした。
「そういえば蔦子さん、今日はあまりフィルムを使ってなかったみたいだったけど?」
校門の前で祐巳が蔦子にそう尋ねると、
「実は他にもたくさんシャッターチャンスがあったんだけど、特に恭也さんのね。」
その言葉に祐巳は驚いた顔をして、
「珍しいね、蔦子さんが男性を撮ろうと思うなんて。」
「ええ、何故かあの人に対しては自分でも驚くくらい撮影衝動が沸くのよ。」
どこか不気味な笑顔を浮べながら小声でそう言う蔦子。
「それなら、なおさらどうして撮り損ねたの?」
祐巳が疑問に思いそう尋ねると、
「だって、あの顔をズームで直視しちゃったら、いくら蔦子さんでもシャッターが切れなくてね。特にあの可愛い表情を見たときは数瞬、意識が飛んだわよ。」
小声でそう言う蔦子の言葉に他の面々はあの時の恭也の表情を思い浮かべ顔を紅くした。
その中、恭也はあいかわらず分かっておらず、帰り道一人で悩んでいた。
美姫 「浩、ハウス!」
バウ!って、まだ続いてたのか!
美姫 「ははは。冗談よ、冗談」
ったく。
しかし、真雪さんが出てくるとは、予想してませんでした……。
美姫 「それにしても、真雪さん恐るべしね」
さすがはさざなみの大魔王(笑)
美姫 「全てが終る頃、真雪の手元には新しい原稿が……」
ありえるな、それは。
まあ、とりあえず、蔦子さん含め、今回のメンバーの次回以降の行動が楽しみだね〜。
美姫 「さて、どんな展開が繰り広げられるのかしら」
続きを待ってますね〜。
美姫 「では、ごきげんよう」