Snow drop 第5話「Blue sage」
「で、雪花ちゃんはどこにいるの?」
「雪花以前にまずお前はやることがあるんじゃないのか?」
月村をじろりと睨み付けて言う
「解ってるわよ、ちょっと言ってみただけじゃない」
ブツブツ言いながら月村は鞄からドライバーを取り出す
こいつ、日頃から鞄にドライバーを入れてるのか?
月村は鞄から更にペンチ、ハンマー等の各種工具を・・・って、待て
どう考えてもポケットの容積より入れてる物の容積の方が圧倒的に多いような
・・・まぁいいか、放っておこう
「あ、おししょ帰ってはったんですか。おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
洗濯物カゴを胸に抱えたレンがパタパタと足音を鳴らして寄ってくる
「月村さん、何してはるんですか?」
いつの間にかねじり鉢巻までして作業を開始した月村をレンが見て言う
「なんか今の時代は毒電波がそこらへんから飛んでくるとかで遮断できるように工事してくれるそうだ」
「はー、よーわかりませんが、大変そうですねー」
流石に真実は言いにくい
「ところで、雪花はどこにいるか知らないか?見掛けないんだが」
「あ、雪花さんならおさるとなのはちゃんと神社に行ったみたいですよ」
「そうか、じゃちょっと行ってくる」
「お夕飯までには帰ってきてくださいねー」
レンに見送られて家を出た
「おーい、なのはー晶ー」
「あ、おにーちゃん」
神社の方に行くとすぐ見付かった
「あ、師匠、雪花さん凄いですよ」
「何がだ?」
「ほら、あれですよ」
晶の指差す方向を見ると神社の階段に座った雪花が見えた。それと・・・
「久遠?」
雪花の膝の上で久遠が寝ているのも見えた
「なのちゃんでも久遠を馴らすのに結構時間がかかったのに雪花さんは一瞬だったんですよ」
「ほう」
確かに雪花はそうさせるような柔らかい雰囲気があるな
「まぁそれはいいが、そろそろ夕飯の時間だから帰るぞ」
「と、もうこんな時間ですか。雪花さーん帰りましょうー」
「うん、帰ろー。あ、お兄ちゃん来てたんだ」
「ああ、お前の顔を見たいと言う友人が来てるんでちょっとな。・・・ところで、久遠置いていかないで良いのか?」
雪花はまだ久遠を腕に抱えたままだった
「あ、帰り道に美由希ちゃんと那美さんに会ったんですが、今日は久遠をお持ち帰りしても良いとのお墨付きを」
「そうか」
なら問題はないか
「私を見たいお兄ちゃんの友達ってどんな人?」
雪花が頭に?マークを浮かべて聞いてくる
「そうだな、一言で言うとマッドサイエンティストだ」
「まっどさいえんてぃすと?」
雪花の頭の上の?マークが更に増えた
「・・・月村さんですか」
晶が苦笑を浮かべて言う
「その月村さんだ」
「あ、月村さんなんだ。ゲームの対戦してもらおーっと」
唯一なのはだけが元気だった
「あ、おかえり恭也」
家に帰ると出迎えてくれたのは月村だった
「ただいま、で終わったのか?」
「うん、終わったよ。あ、その子が雪花ちゃん?」
「ああ。雪花こいつがお前を見たいと言ってた奴だ」
「初めまして雪花ちゃん。私月村忍。よろしくね」
そう言って月村は雪花に右手を差し出す
「はー・・・・」
「雪花?どうした?」
雪花は月村を見たままぽけーっとしている
「はっ!あ、あの、えと、三原雪花です。よろしくです」
雪花は慌てて返し、月村の右手を握る
「うん、よろしくー」
月村は笑顔でそう返すが、雪花はまたぽけーっと月村を見ている
「・・・雪花ちゃん、私の顔になんか付いてる?」
「え、いや、その、綺麗な人だなー、と・・・」
雪花は少し赤くなり、語尾を消え入らせて答えた
「あはは、ありがとう。でも雪花ちゃんも充分可愛いと思うよー」
雪花はそれには答えず、俺と月村を見て
「月村さんはお兄ちゃんの彼女なの?」
と言った
「違う、断じて違う。そんなことは有ってはならない」
俺は瞬時に答える
「うん、私は恭也の彼女じゃないよー」
「そうなんですか?」
雪花は不思議そうにそう返す
俺は思った。何で何時も月村と一緒に歩いたりしてるとカップルと間違われるんだろうか。しかも月村はいつも悪ノリして自分が俺の彼女だと―
いや待て、今回は俺の彼女だと言ってないじゃないか。おかしい、いつもは自分は俺の彼女だと言うんだが
「だって私は恭也と結婚してるもの。だから彼女と彼氏じゃなくて妻と夫よ」
とんでもない爆弾投げやがった!
「月村ぁ!お前は毎回毎回毎回毎回毎回変なことを言うなっ!」
「まぁまぁ、こんなことを普通信じるわけないじゃない」
焦って詰め寄る俺に冷静に返す月村
「馬鹿!お前うちの家族のことをよく知ってるくせに何故そんなことを平然と『えぇぇぇぇえええぇえぇえええ!!』遅かったか・・・」
後ろから絶叫が聞こえた
これから起こることが一瞬で頭に流れ、うんざりしながら振り向くと晶と雪花となのはだけでなく、何故か美由希と神咲さんまで居た
「恭ちゃんが・・・」
「高町先輩が・・・」
「月村さんと・・・」
「結婚・・・」
「済み・・・?」
場に痛いほどの沈黙が流れる
「月村」
「ん?」
「お前、もしかして解ってて言ったか?」
「当たり前じゃない」
「・・・・・・」
また場に沈黙が訪れる
「月村」
「何よ」
「責任取れよ」
「えぇ!ちょっとそうゆうこと言うならもっと雰囲気のあるとこで・・・」
何故か月村は1人で悶え始める
「ちょっと待て、何を勘違いしている」
「え?責任取れよ、って「俺と結婚しろ」って意味じゃないの?」
「何でそうなる!」
俺は思わず声をあげる
「そりゃ嘘の責任を取るということはその嘘を真にするってことになるんじゃ・・・」
「なるか!」
この後、月村を―体罰を加えると脅して―説得をし、ようやく「月村と俺が結婚している」という誤解を解かせた
そして月村はちゃんと夕食まで食べて帰って行った
もう月村を家に来させるのをなるべく少なくさせよう・・・
そう心に固く誓った
あとがき
Snow drop第5話をお届けしましたー
いやー、なんか月村がよく出る感じになってますね。まぁ、次から出番が少なくなるかもしれませんが・・
まぁ、気分次第によって変わったり変わらなかったりするので自分にもよくわかりません(え
それではまた次のお話で会いましょう。今日はこの辺で。
あははは〜。
流石は忍、おいしいところを…。
美姫 「次回はどんなお話になるのかしら」
それは、次回のお楽しみだな。
美姫 「きりしまさん、投稿ありがとうございます」
次回も、待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」