『紅き翼と漆黒の双剣』




  第2話 〜初顔合わせ〜

 


コンコンコン、そうドアをノックし中からの返事を聞いて静かにドアを開ける

「失礼します」

そういって蓮は理事長室へ入っていった。

「はじめまして、私ここの理事長を勤めている上村といいます。あなたは・・・・・・・え〜っと紅さん、でよろしいかしら?」

「はい、紅 蓮です、宜しくお願いします」

そういい、静かに頭を下げる連。

「はい、こちらこそよろしくね。あ、そうそうもしかしたら既にお聞きになられているかもしれませんが、あなたと同じ視察でここにいらっしゃる方がもう一人います。その人が着いてから話しをしましょう」

「分かりました、でも初耳ですね。もしかして、その方も男性ですか?」

「ええ、確か・・・・・・・あ、ありました、高町恭也さんという方ですね。素敵な方ですね。あなたもですが」

そう微笑みながら言うと、蓮を見つめている理事長

その視線に気付いてはいたが、その男の名前にどことなく聞き覚えがある気がして首を傾げていた

と、そこへ

コンコン、と静かなノック音の後に

「今回視察できました、高町恭也と申します、入ってもよろしいですか?」

「どうぞ、入って下さい」

ガチャリ、とドアが開き、

「失礼します」

と一礼して恭也が入ってきた。

「さて、話を始めましょうか?高町さん、紅さん」

「「はい」」




 ここはリリアン女学園、古くからある学園で良家の娘があつまり、幼稚舎から大学までエスカレーター式に登れるマンモス校。その中で過ごしていくうちにお嬢様に仕立て上げられていくといった、今では珍しい学園である。
 ふだんなら、生徒が華やかに過ごしているのだが生憎今日は日曜日、生徒はおろか教師もそんなに来ていないのである。


「さて、大体の話はこれで終わりです。何か質問は?・・・・・・あぁ、ちなみにクラス変成などは明日お教えしますので、またここに来て下さいね?では、今日はこれで」

と、その言葉を聞き二人は表に出ようとしたが、

「あぁ、そう高町さんはちょっと残って貰えるかしら?書類に少しミスがあったので」

恭也、と呼ばれた彼は素直に頷き、ここに残るという意思表示をしたため

「では自分はこれで」

そういって蓮だけが先に出ていった。

「さて・・・・・・・・・・・、高町さん、ずいぶん若いですね、それなのにこのようなお仕事をなされて・・・・・・」

「いえ、これが自分の道ですから」

少し、悲しそうな目で話しかける上村に対し、平然とした調子で答える恭也。

「依頼内容については既に聞いていますよね?それで護衛対象ですが・・・・・・・」

そう言って、数枚の書類を取り出し、恭也に見せてくれた。

「この書類にある皆さんはそれぞれ山百合会と呼ばれる会の方々です。平たく言うと生徒会みたいな役割をしています。それぞれに呼称として薔薇の名前がついていたり、その薔薇の妹であったりしますね」

「薔薇、なるほどそういうことですか・・・・・・・・・・」

来る間にリスティからスール制や学校環境についてはいくらか聞いていたのでとりあえず理解は出来た。

それから2,3学園での注意事項を聞き、それでお開きとなった。

「では、高町さんなれない場所で大変だと思いますが、あの子達を頼みます」

と、まるで母親であるかのように深く頭を下げ、お願いしている上村。
それを見て

「はい、任せて下さい」

と静かに優しくそういうと、理事長室を後にした。




恭也と蓮との初顔合わせはお終い〜。
美姫 「理事長の前だから、会話はなかったわね〜」
まあ、それは仕方ないだろうな。
それに、初めて会う者同士だし。
美姫 「さて、いよいよ始まる護衛の任務」
果たして、どうなるのか。
美姫 「次回も待ってますね〜」



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