『紅き翼と漆黒の双剣』




  第三話 〜恭也と蓮と白い薔薇〜

 


 恭也が理事長室を出て、外へ向かって行こうとすると、どうやらこっちを待っていたらしい
青年を見つけた。

「もしかして、待っていてくれたんですか?」

「ええ、なんとなく気が合いそうだから早めにうち解けておきたいなと思ったので」

「なるほど、そうでしたか。」

相手の話し方を見て、悪い人ではないと思い、和やかに話し始める2人。

「自分の名前は紅 蓮、あまり固ッ苦しいのは好きではないので蓮と呼んで下さい」

「俺の名前は高町恭也です。こっちも似たような感じなので恭也と呼んで下さい。」

「「あとできれば敬語もやめていただけると・・・・・・・・・・」」

そこまでハモると2人とも笑ってしまった

「わかった、普通に話させて貰うね恭也」

「ああ、その方が気が楽だしな、蓮、あぁ、でもちょっとまぎらわしいな・・・」

「ん?どうかしたの?」

「いや、俺の身内にもレンと呼ばれる奴がいてな、ちょっと紛らわしいなと」

そこで、なるほどっと言うようにぽんっと手を叩く蓮

「すまないが紅と、呼んでも構わないか?」

「ああ、構わないよ」

こうして、少し互いの話をして別れることになった。




蓮視点

「ふぅ、それにしても珍しいな、俺があそこまでしゃべるなんて・・・・・・・・」

と自嘲気味にいいつつもそんなに悪い気はしていない蓮だった。

「そろそろ帰るか・・・・・・・・・ん?」

なんとなく目を向けた先になにやら数人の男に囲まれている女性が一人

「もう、しつこいわね!私はもう帰るところだって言ってるでしょ!?」

どうやら、ナンパをして断られたが、それでもしつこく言い寄っているらしい

「なぁ、ねぇちゃんよぉ、ちょっとでいいから遊んでいこうぜ」
「そうだよ、あそぼうぜ」

「嫌って言ってるでしょ、あんまりしつこいと警察呼ぶわよ?」

蓮にとってその光景は見ていて不快だった。なにより集団で弱いモノをという姿に嫌悪感すら抱いていた。
気がつけばその男のうちの一人に手を置き・・・・・・

「何してるんだ?こんな大勢で、女子一人に」

「あん?おまえには関係ないだろ?」

手を置かれた男は王道的な言葉を返したが、蓮は無視して女性に声を掛けた

「大丈夫ですか?」

その一言だけ、しかしその一言を聞いた女性は

「うぅ、見て分かりそうだけどね」

まぁ確かにそうである。

「おい、お前、俺達無視してこの娘に声をかけるとは良い度胸だな」

なんというかここまで典型的な不良というのもめずらしいが、ここまでくるとむしろスガスガしいものがある。

そう言われても無視して、蓮は女性に話しかける。

「とりあえず適当なところまで送っていきましょう」

「へ?」

この状況で、そんな事を言ってくる青年に対して聖は素っ頓狂な返事を返してしまった。
と、そこに・・・・・

「ホントに良い度胸してやがる、お前をどかしてから女の相手をする・・・・・か・・・・・」

男が言い終わる前に、蓮は睨み付けた。男は一瞬たじろいでしまった・・・・・
睨みというより、その殺気にたじろいだのだが。

「おとなしくこの場を去れば見逃してやる、さもなくば・・・・・」

蓮は殺気を一層強くする

男達五人のうち、四人はこの殺気に怖じ気づいているが、おそらくリーダー格であろう男は

「さもなくばナンだって言うんだ?お前一回死んでこいや」

そう言いながら殴りかかってくる・・・・・・・が、

「え?・・・・・・・」

先に手を出していたはずの男の拳より、蓮が遅れて放った拳の方が早く男に当たっていた
男は軽く脳震盪を起こしたのかその場で崩れた。

「う、うぅぅ、化け物だぁっぁあぁぁぁ」

と言い残し残りは逃げていった。

「まったく、仲間想いのないやつらだ」

呆れた口調でそう言うと、そばで少し震えている女性に声を掛ける

「もう大丈夫ですよ?変な奴らはどっか行きましたし」

その言葉を聞き女性は少しホッとした様子だったが、やはりまだ少し震えていた

どうしたものかと、考える蓮だったが、

「ちょっと待っててくださいね」

そう言って近くの自販機で飲み物を買ってくると女性に手渡した。

「?」

いきなりの出来事で頭上にはてなマークを出している女性だったが、

「とりあえず飲み物でも飲んで落ち着いて下さい」

と、落ち着いた蓮の声を聞いて、少しずつ怖さが離れていったのか

「ありがとう」

と答え、素直に飲み物を飲んでいった。

その後、しばらく静かに飲んでいたが、

「ホントにありがとうね、突っぱねてはいたけど、実はかなり怖かったの。だから助けてくれて嬉しかった。」

と笑顔でそうお礼を言った。

その表情に少し見とれてしまっていたが、

「あぁ、気にしないで下さい、俺はあの連中が気にくわなくて勝手にやっただけですから」

微妙に照れた表情でそう返した。

またしばらく静かになるが、

「あ、そろそろ私帰らなきゃ」

っと言って、立ち上がり

「私、佐藤聖、今日はホントにありがとうね」

ホントに綺麗な笑顔で、見ている蓮の顔が赤くなるほどだった

「いえ、ホントに気にしないで良いですよ、それより早く帰らないと行けないのでは?」

そう蓮に言われ、聖は腕時計をのぞき込み

「やばっ、帰らなきゃ。じゃぁホントに助かったよ、ありがとね」

そう言って、走っていった。

「震えたり、笑ったり、走ったり、忙しい人だ」

と、つぶやくき、自分も帰るかと、帰路についた。







蓮と聖の出会い。
美姫 「山百合会の一人と知り合った蓮は、これからどうなるのかしらね〜」
まあ、あの聖が放っておくって事はないだろうな。
美姫 「よね〜。さて、次はどんなお話かしらね〜♪」
次回も待ってます。



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