『赤き翼と漆黒の双剣』




  第15話  〜思考の迷路〜

※この話は13話終了直前からの続きです。なのでこの話は14話より時間的に前と言うことになります




 「後のことは警察に任せて帰りましょう」

恭也はそう言いながら微笑んだ。

その顔を見て、落ち着き始めていた祥子と祐巳、既に冷静さを取り戻していた蓉子は頬を赤くする。

そんな中、志摩子だけはまだ弱冠震えているようだった。
そのことに気付いた恭也は

「もう大丈夫ですよ、怖いことは去っていきました」

と言い志摩子の頭を優しく撫でてあげた。

その手の温かさと、目の前にある優しい微笑みに志摩子は少しずつ自分を取り戻していった・・・・・・・・・途端

「はっ、はい、って、へ?」

いきなり慌て始め、あたふたし始めた。ついでに頬も赤くしていたりする
その変わりぶりに恭也もおどろいてしまい

「そんなに怖かったんですね、もう大丈夫です俺が護って見せますから」

そう言って志摩子を抱きしめた、まぁかなり勘違いが入っているのはご愛敬

「へ?あ、あの・・・・・・・」

いきなり包容を受けてしまった志摩子はもうりんごのように赤くなり、何か言おうとするが
抱きしめられていて落ち着くと思っている自分が居ることに気付き、おとなしくしておくことにした。

それから2分ほどして

「え〜、ごほん、お二人さん?その〜そろそろ帰らないと拙いのではないかしら?」

蓉子の一声で恭也も恥ずかしくなり離れる。

「そ、そうですね。志摩子さん落ち着きましたか?」

「ええ、私はもう大丈夫です」

そう言いながらも先ほどの感触を思い出し、さらに頬を赤くしていたりする志摩子

「ホントに大丈夫ですか?先ほどより顔が赤い気がしますが?体調が悪いならタクシーで帰った方が良いと思いますよ」

志摩子の事を心配してそう言っている恭也だが

「だ、大丈夫です。体調が悪いわけでは無いので歩いて帰れますよ」

恭也の顔が近くに来たため弱冠慌てながら、大丈夫だと返事をする志摩子

「なんか、今日の志摩子さん可愛いね」

2人の話も祐巳のこの一言で終わりを告げた。まぁ志摩子がさらに赤くなったのは言うまでもない

そんな会話を繰り広げている横で祥子は一人眉間にしわを寄せていた

(どうも何か、何かがひっかかってるわ・・・・・・・何かを忘れているんだけど、それを思い出しそうで思い出せない感じ・・・・・・・・そう、何か前にも似たようなことがあったような・・・・)

そんな祥子に蓉子が気付き、

「どうしたの祥子?体調が優れないの?」

蓉子に話しかけられ、思考の世界から帰ってくる

「いえ、だいじょうぶですわお姉さま。少し考え事をしていただけですわ」

「そう、ならいいのだけれど。でもこの事はあまり考えすぎない方が良いと思うわよ」

「そうですわね」

蓉子が自分の考えていることと違うことを言っていると分かっているが、余計な心配を掛けたくない祥子は頷いておいた。

「じゃあ、帰りましょうか、明日も学園だしね」

祐巳はさっきの事を既に記憶の彼方に追いやったのか、元気いっぱいだった

「では本当に帰りましょうか」

そう言って恭也達は歩き出した。




その後、蓉子達を送り届け小笠原家へと戻った2人
その玄関先で

「そういえば、まだちゃんとお礼を言っていませんでしたわ」

「は?」

いきなりそう言い出した祥子に思わず変な返事をしてしまう恭也

「先ほどの事です。私達恭也さんに助けていただいたのですからお礼を言うのは当然ですわ」

そこまで言って、微笑みながら

「恭也さん、先ほどはありがとうございました。おかげで私達無事に帰ることが出来ましたわ」

言いながら頭を下げる祥子

「いえ、当然のことをしたまでです。あまり気にしないで下さい」

苦笑いをしながらそう返す恭也

その言葉と恭也の表情を見ながらまた、考え込んでしまう祥子

(また・・・・・だわ、前にもこんな事があって似たような会話があった気がするわ・・・・・・)

いきなり黙り込んでしまった祥子が気になり

「どうしました祥子さん?」

そう顔を近づけながら話しかけてみる。

「へ?あ、だっ、大丈夫です」

恭也の言葉で思考の世界から帰ってきた祥子だが、目の前に恭也の顔があったため
素っ頓狂な返事をしてしまう。

「ならいいのですが・・・・・・・・。」

「そろそろ家に入りましょう。流石に玄関先で突っ立っているのも変ですから」

祥子の言葉で2人は屋敷の中へ入っていった。




 夕食後、恭也は祥子の父親である小笠原融に呼ばれていた。

「恭也君、今日はありがとう。また助けてもらったね」

恭也が部屋に入ってくるの見ると融氏はそう言って頭を下げてきた

「融さん頭を上げて下さい、俺は当たり前のことをしただけです」

と、恭也と自分の父親がそんな会話を繰り広げている中、祥子はまた思考の迷路へと足を踏み入れる

(私何を忘れているんだろう・・・・・、恐らくこの感じは恭也さんを見てから始まったのだと思うのだけれど・・・・・・・。何かきっかけがあれば思いだしそう・・・・・・・)

そこまで考えていた時、恭也がリビングへと入ってきた。
そして向かいのドアから母親である清子も入ってくる。

「あら恭也さん、旦那との話は終わったの?」

「ええ、終わりました。ちょっとした世間話をしてましたよ」

(あ、恭也さんが微笑んでらっしゃる・・・・・・・・お母様、少し頬が赤くなったわね)

「では、自分はこれで」

恭也がそう言って離れていく。

清子はしばらくその場でぼうっとしていたが、ふと思い出したように動き出した。

だが、その向きが悪かった

ろくに確かめずに足早に動こうとしたため、進行方向にあった壺にあたり倒れてしまう

「あ、お母様危ない!!」

倒れた清子の上に追い討ちをかけるかのように降ってくる壺

がしゃーん!!

部屋中に響き渡る音

祥子は最悪の状態を想像し、目を閉じていた

それから時間が過ぎた、否祥子が過ぎたように感じただけで実際に1分も経っていない。
おそるおそる目を開けてみる、

「あ・・・・・・・・・」

目の前に映ったのは自分の想像していたのとまったく違う光景だった。
清子の目の前に恭也がいて、清子をかばうようにしてうずくまっていた。

「大丈夫ですか、清子さん?」

「え、ええ、私は大丈夫よ。それよりも恭也君こそ大丈夫なの?!」

2人はそんな会話をしている。
どうやら母親は無事らしい事がわかりほっとする祥子、だが

「あ!!!」

いきなり大声を出す。

(そうだわ、何であんな大切だった思い出を今まで忘れていたのかしら)


 


  恭也は清子と話をしたあと、自室とさせて貰っている部屋に戻ろうとしていた。

「お母様危ない!!」

自分の背後から祥子のヒステリックな声が聞こえ、すぐに振り返る

と、清子が倒れその上に壺が降りかかろうとしていた。

それをみると同時に思考を切り替える。

(この距離だと鋼糸を使うより、飛針を当てて落下点をずらす方が確実か・・・!)

即座にその考えを実行する。

だが、予想以上に壺が重かったためわずかしかそれず、未だ清子に当たる距離だ

(っく!仕方がない)

恭也は思考のスイッチを入れる。

途端に周辺の景色がモノクロになる、そう神速の世界に入ったのだ。

(あれは・・・・・・どけるよりも割ってしまった方が安全かもしれないな)

そう考え、小太刀を手に取り壺を破壊する。

だが破片が当たる可能性があったため瞬時に清子をかばう

その時点で神速から抜け出し、背景に色が戻る。

その後破片が落ちきったのを確認し、清子の様子を見る。

どうやらどこにも負傷は無いようだ。

(どうやら外傷は無いようだ。良かった・・・・・・)

本人にも確認を取ってみる

「清子さん、大丈夫ですか?」

「え、ええ、それよりも恭也君は大丈夫なの?!」

(自分の心配よりも俺の心配をしているのか。なんというか清子さんらしいな)
と、そんなことを考えていると突然祥子が大声を出した

いきなりの大声だったので流石の恭也も驚いてしまった。




 


 (・・・・・・思い出したわ、何故こんなにも引っかかっていたのか。それと似たような光景を見たことがあったのも、前に似たような事があったから・・・・・・・・・そして・・・・・・)

祥子は今自分の頭の中に浮かぶ言葉をそのまま口に出す

「兄さま、恭也お兄さま」

「思い出されてしまいましたか・・・・・・・」

「ええ、何故今まで気がつかなかったのか不思議なくらいです」

ため息をつきながら言った恭也は苦笑い、静かにだが、はっきりと言った祥子は微笑んでいた。

「恭也君、喋っているのはいいのだけれどお風呂に入った方が良いと思うわよ?さっきの壺花瓶がわりになっていて中に水が入ってたから結構濡れているわよ」

「あ、本当ですね。では自分はちょっと失礼しますね」

そう言い、恭也はその場を後にする。




 実は恭也は最初に祥子に対面したとき、昔の事を覚えているかもと思っていたが、どうも忘れているようだったので、護衛という任務から考えてもその方が都合がいいと考え、あえて教えないでいたのだ。
 
(思い出したか・・・・・・・・・・これからはもっと気をつけないといけないな・・・・・・・。護衛として来ている事に気が付かれないようにしないと)

軽くシャワーを浴びながら恭也はそう考えていた













どもです〜紅蓮です。

 今回は恭也、祥子がメインの話になりました〜。

なんか所々ぐだぐだな内容になっていたりしますね。まだまだレベルの足りない自分の

文才に少々ゲンナリしています(苦笑)

次回は多分、14話の終了時点より後の話になると思います

話変わって、先ほど浩さんのSSを読読ませていただいている時に気が付いたことなんですが

自分のHNと美姫さんの武器の名前が丸かぶりしてしまってますね、

ホントに今気が付きました(苦笑)

もしこの点で何か不快に思ったりする事があったらご一報下さいませ〜。

あぁ、でも直接打撃系の攻撃は遠慮していただけると助かります(笑)

ではでは、また次の話で〜┳┳~旦( ̄*)




という訳で、今回は少し時間を戻して恭也サイドのお話。
美姫 「祥子と恭也は過去にも会っていた!」
さて、それを思い出した祥子がどうするのか、どうなるのか。
美姫 「次回も非常に気になるわね」
うんうん。で、HNと美姫の武器の名前に関してですが…。
美姫 「別にそんなに気にしなくても良いですよ〜」
というより、同じものは同じで仕方ないしね。
美姫 「そうそう。寧ろ、たまたま、私の武器がそういう名前だったぐらいで良いわよ」
うんうん。というより、お前の武器の名前を変更すれば……。
美姫 「この悪霊験新たかな魔剣になんて事を!」
嘘です、ごめんなさい。っていうか、何か一字多くないか?
美姫 「そう?」
もう、良いです(涙)
だから、それを抜いて〜。
美姫 「分かればいいのよ。と、そうじゃなくて、次回も楽しみにしてますね〜」
してます〜。



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