ミッドチルダ中央区画湾岸地区、古代遺物管理部機動六課本部隊舎。

つい先日、管理外第97世界「地球」海鳴市へ出張任務に向かったばかりであったが、

それを終えたばかりの六課に1つの波紋が生まれようとしていた。

 

舞台は、機動六課本部隊舎の一角・・・部隊長室からである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはStrikerS Kalt Schwert(凍てついた刃)

第1話 『始まりの時』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「六課に異動?こんな時期に?」                                                              

「そや、首謀者が広域次元犯罪者の可能性が高いからこその配慮なんやて」

「それも地上本部からの要請だそうです」

 

現在この部屋にいるのは、部隊長である八神はやて、部隊長補佐をしている人格型ユニゾンデバイスであるリインフォースU、

そして、ライトニング分隊隊長フェイト・T・ハラオウンの3人である。

彼女らは一様に、今度六課へ異動してくる隊員について意見交換している。

 

「六課は本局所属やけど地上部隊やからな。地上本部からの圧力が人事部にかかっとるんやろうね」

 

そんなはやての言葉を聞き、全員が手元の資料に目を移す。

 

 

 

『ソウシ・エスクード』

年齢:19歳

出身:ミッドチルダ南部 レスザイル地方

所属:時空管理局 地上本部 航空魔導師隊第27部隊

階級:三等空尉

役職:第3分隊隊長

魔法術式:近代ベルカ式・空戦AAランク     

 

 

 

「ベルカ式でランクはAAの空戦魔導師。間違いなくエース級や」

「ベルカ式で空戦はあんまりいないからね」

 

 時空管理局において、空戦魔導師の大半はミッドチルダ式である。

 何故ならば、近代における空戦の基本はミッド式の長射程&大火力が主流であるからだ。

 ベルカ式ではどうしても近接においての個人戦闘力で戦うため、空中という広範囲に対応できないからである。

 

 そのベルカ式で空戦をメインとし、部隊の分隊長を務めているほどの存在なのだ。

 そんな人間を地上本部が強引にでも六課にねじ込んできたとしたら、

 

「やっぱり・・・・・・内部調査でしょうか?」

 

 不安そうにリインが問いかける。

 だが、2人の表情はあまり浮かないものだった。

 

「普通やったらそう考えるんやけど・・・・・・」

「彼が内部調査をすることはない筈だよ」

 

 帰ってきた答えは意外なものだった。

 リイン自身、この部隊がいかに反則的な戦力を保有し、なおかつ多くの支援を受けているかを知っているのだ。

 もし自分が地上本部側の人間だとしたら、真っ先に内部調査を行いかねないというのに。

 

「どうしてですか?」

 

 

「彼の父親・・・・・・ヴァーム・エスクード少将は()()()()()の筆頭なんだ」

 

 

本局擁護派――これは、地上本部において本局との関係を重視し、本局からの地上への介入を円滑に進めている存在である。

 もっとも、地上本部の事実上のトップであるレジアス・ゲイズ中将が本局からの介入を極端に嫌っているため、

必然的に地上本部全体が本局を敵視するような空気になっているのが現状である。

 ゆえに、本局擁護派は数が非常に少なく、大っぴらにも活動できないのがネックとされている。

 

ヴァーム・エスクード少将は、そんな本局擁護派を取りまとめる位置にいる存在であるからこそ、

その息子であるソウシ・エスクードが内部調査に加担するとは考えにくい。

 

「確かに・・・・・・それなら彼が内部調査に来るという線が薄いというのも分かります」

「だからこそ分からないんだ。彼が六課に送られる意図が」

 

 そろって唸り声を上げるフェイトとリインを尻目に、はやては1つの仮説に行き着いた。

 

「ひょっとしたら、彼自身が布石なのかもしれん・・・・・・」

「えっ?」

「彼自身が布石って・・・・・・はやて、どういうこと?」

 

 

「ようするに、彼が何かをするために六課に来るんやない。

 地上本部はソウシ・エスクードを疑惑の種にしときたいんよ」

 

 

 本局を擁護すること自体が、レジアス側の地上本部の上層部にとって目障りであること以外の何物でもない。

 ましてや、それを取りまとめていたのが、他ならぬ上層部の一員だったのだから。

 

「だから地上本部は擁護派の活動を抑えるための方法を色々と考えてた」

 

 そんな折、機動六課が発足したのだ。

 あからさまに胡散臭い部隊であるし、査察を入れることは上層部にとって規定事項だったのだろう。

 

「だから、ただ査察を入れるんやなくて、擁護派のトップの息子を送ってからにしようと考えたんや」

 

 もともと地上本部の査察は厳しいとされている。

 当然六課もそれ相応の対策はしているだろうが、もし六課がそれに引っかかった時本局の人間はどう思うだろう。

 

「そっか!彼が何もしてなくても、本局の人は内部調査をしたんじゃないかって疑いを持っちゃう」

「そうすれば当然、上層部であり父親でもあるエスクード少将に疑心の眼が向けられる。

そしたら本局擁護派もトップが疑われ本局との間に溝が生まれてしまう」

「自然に、擁護派は活動しづらくなり、下手をしたら解体・・・・・・ということですね」

「それだけやない。エスクード少将が地上本部での地位を失いかねん」

 

 擁護派が解体すれば、そのことでエスクード少将は批判を浴びるだろうし。

さらには、今回のことを追求されれば少将に非は無くても上層部での立場が悪化しかねない。

 あくまでもソウシ・エスクードの異動は上層部全体としての決定という扱いなのだから。

 

「まあこれは仮説やからな。正しいとは限らへん」

「でもこれが正しいとなると・・・・・・」

「ソウシ三尉が可哀想です」

「そやね・・・・・・」

 

 この計画は、基本的に失敗すると言うことがない。

 何故なら、六課に何も問題がなく査察を通り、任務がこなされたとしても、

ソウシという人材を推薦したということで株を上げようとする輩が出てくるだろう。

 そういう意味では、ソウシはまさに地上本部にとって都合のいい傀儡と言わざるを得ない。

 

 

「ほんなら、各自このことは頭の片隅にでも置いといて。ソウシ三尉を迎える準備しとこか」

 

その言葉を皮切りにこの部屋での会話は打ち切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話が終わりリインと2人で隊舎内を歩いているとき、おもむろにフェイトが切り出してきた。

 

 

「ねぇリイン、今日のはやてちょっと変じゃなかった?」

 

 

その言葉に思い当たる節があるのか、思い出すようにとつとつと語り始めた。

 

「実は、ソウシ三尉の異動を知ってから様子が変なんです。

 なんていうか・・・・・・そわそわしてるように思えたんです」

「ソウシ三尉と知り合いなのかな?」

「それなら私たちに隠すことは無いと思いますが・・・・・・」

 

 実際、リインははやてに既に聞いていたのだ。

『ソウシ三尉と知り合いなのですか?』と。

 それに対してはやてはお茶を濁すように『違う』といったのだ。

 

「何か事情があるのかな?」

「リインは隠し事なんかしないで欲しいです」

「まあまあ、はやてならいつかちゃんと話してくれるよ」

「はいです・・・・・・」

 

 あまり表情の浮かないリインを連れて、フェイトは別のことを考えていた。

 

(ソウシ三尉・・・・・・か。私、どこかで見た気がするんだよね・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部隊長室での会話から4日後。ソウシ・エスクードが六課に到着するとの報告を受けて、

 はやてとリインの2人が部隊長室で待っていた。

 

そこに・・・・・・・・・・・・

 

コンコン

「失礼します」

 

 そう言って入ってきたのは顔つきの整った青年だった。

 少し茶色がかった黒髪で、どちらかと言えばミッドチルダ圏内に多い西洋的な感じではなく、

はやてやなのはの故郷である東洋人のような顔つきである。

 

 ただその中でも際立って感じるのが、冷たく・・・・・・そして全てを拒絶するような氷のごとき眼差し。

 

初めまして(・・・・・)、本日より機動六課に配属となりましたソウシ・エスクード三等空尉です」

「ッ・・・私が機動六課の課長兼部隊長の八神はやてや、これからよろしくな」

 

愛想の欠片も無いような口調のソウシに、はやてがいつも通りに振舞っていた。

だが、その時リインは見逃さなかった。自身の主がほんの一瞬だけ言いよどみ、悲しげな表情を浮かべたことに。

 

「ほんなら、早速やけどうちの前線メンバーと顔合わせしてもろてもええかな?」

「構いません」

「ありがとな、リイン案内したってくれるか?」

「了解です。それではソウシ三尉、こちらです」

 

はやてはリインに連れられて部屋を出て行くソウシの後姿を眺め・・・・・・

 

「失礼しました」

 

 喉元まで上がっていた言葉を無理やりに飲み込んだ。

 

 

ドアが閉まってしばらくしてから、はやてはおもむろにデスクの引き出しを開け1枚の写真を取り出した。

 そこに写っているのは、まだ闇の書″のマスターになっていなかった幼少期の自分と・・・・・・1人の少年。

 この写真を撮った数週間後に引っ越し、以来音信不通になった幼なじみの姿がそこにあった。

 

 しばらくの間写真を眺め、そして・・・・・・ポツリと呟いた。

 

「ほんまに・・・・・・アンタなんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時の表情は、ひどく懐かしそうで・・・・・・それでいて、悲しそうで・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ・・・・・・蒼司″・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続く>

 

 

 


後書き

 

 第1話となりリリキャラも出てきて、いざリリカルなのはの始まりだ!・・・・・・と思ったら何だこの暗い話。

 微妙に企業の汚い部分を除き見てしまった。と感じるお話になってしまいました。本当済みません。

 さて、今回の話でも分かるとおりメインヒロインははやてです。

なんとなく意味有り気な設定にしてしまいましたが、これだけは言っておきます『全ては繋がっている』と。

もっとも、それがハッキリするのは後のほうになってからですけどね。

では気を取り直して、次回の話はバトルがメインです。模擬戦です!ガチンコです!!

そして血沸き肉踊る展開に・・・・・・・・・・・・なってるといいなぁ・・・・・・

 

 

加賀美「さて、今回より後書きにゲストを呼んで色々喋ってもらおうと思います

    第1回のゲストは、六課新人フォワード4名です!」

4人「「「「よろしくお願いしまーす」」」」

ティアナ「てゆーか最初が私たちで良いわけ?隊長達を差し置いて」

加「大丈夫大丈夫・・・・・・本編の出番少ないんだし・・・・・・」

スバル「ええっ!?何で!?」

加「アニメと同じ部分は省略しようと思ってるからさ。必然的に隊長陣との会話のほうがメインになるんだよね」

キャロ「省略しないで書いてくださいよ」

加「いやー何ていうかさ・・・・・・・・・・・・めんどいし」

テ「ファントムブレイ――――」

加「待て!それは待て!!つーかいきなり最大威力魔法使おうとするな!」

エリオ「さっきの言い方が悪かったと思いますが・・・・・・」

加「黙らっしゃい!オリジナルの部分書くだけで手一杯なんだよ!」

ス「うわっ、泣き言でちゃったよ」

加「ぶっちゃけさ、小説書くのなめてたよ・・・・・・・・・・・・

頭の中じゃ構想練れてんのに、書き始めるとちっとも思い通りに書けないんだ」

テ「そりゃアンタが素人だからでしょ」

加「うぐっ・・・・・・あーそうさ!俺は素人だよ!!お前らのことを書く余裕なんてねーんだよ!!」

キ「そこで逆切れされても・・・・・・」

エ「コメントしづらいんですが・・・・・・・」

加「・・・・・・冷静に返されると結構きついもんだなぁ」

テ「ともかく!素人なら素人なりに根性入れて書きなさい!!」

ス「そうそう。それで私たちの出番を増やすってことで」

加「・・・・・・・・・・・・善処しま〜す・・・・・・」

ス・テ「「声が小さーーーーい!!」」(ダブル正拳突き)

加「ごふぁ!!・・・・・・・・・・・・ぜ・・・・・・善処はします・・・・・・」

エ・キ「「皆さん期待して待っててくださーい」」

加「既成事実に発展!?追い討ちかけないでーーーーーーー!!」

4人「「「「それでは、今回はこれで失礼しまーす」」」」

加「お前らが締めるなーーー!!」





はやての最後の言葉は。
美姫 「二人は顔見知りなのかしら」
どうなんだろう。
美姫 「いずれ分かる時が来るわね」
さてさて、どうなるのかな。
美姫 「それでは、今回はこの辺で〜」
ではでは。



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