この物語はオリジナル主人公登場の魔法少女リリカルなのはASの二次創作です。

  自分の文才の無さが原因で登場人物の人格及び性格が変わっている可能性もあります。その様な事に耐えられない方は気合を入れられて見るかブラウザの戻るを押される事をお勧めします。

 

 

 

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魔法少女リリカルなのはAS二次創作

【八神の家】

 

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  なのはのデバイスを無力化するという最優先目的を達成した速人は静かにアリサが居る部屋へと戻った。

  フェイトとなのはが離れたのは腕時計に携帯端末が離れることを示す明りが明滅していることから窺い知れ、またフェイトとなのはが魔法使いと認めるに足る事象を引き起こしているのを見ると、説明や釈明時に偽証しなければならない可能性が有るので、あえて振り向かなかった。

  目的は果たしたので後は証拠物品を回収し、アリサを安全地帯へ護送するだけだった。

  しかし速人は一段落がついたためか少し熟考していた。

(何故俺は突入時に特殊閃光弾が炸裂してから突入しなかった?

  僅か三秒ほどの時間であの状況下でアリサが死亡するとは考え難い。

  俺がした事は俺とアリサの生存率を下げ、さらにこれが失敗すれば高町なのはやフェイト・テスタロッサのデバイスを無力化する機会を失い、高町なのはやフェイト・テスタロッサと戦闘をする家族を危険に晒し続ける結果になる所だった。

  全く非論理的且つ非合理的で、先程の行動説明が出来ない)

  速人は室内に入り、指貫の手袋の上に指貫では無い普通の手袋を嵌めて、無力化した者達を一箇所に集め、服を剥いで服とコンビニやスーパーと思しきレジ袋を縄代わりにして縄抜け出来ないように縛って廊下に放り出し、そこで脊髄をナイフで損傷させ、眼球に毒を垂らして失明させ、重要な神経と血管を避けて声帯を切裂き、内耳を傷つけないように鼓膜を破った。

  あまり血が流れない範囲で一通り無力化の作業を終えるとアリサの傍へと再び赴きながらまだ熟考していた。

(先程の行動は非合理的且つ非論理的で愚かな行為だ。しかし合理性と論理性を無視しての咄嗟の行動に何の理由も無いとは考え難い。

  俺が自覚している以外に何らかの重要な理由があの時の行動には在る筈だ)

  戦闘時の様な高速思考ではなく、通常速度の思考で噛み締める様に自己の行動を振り返り先程の行動の理由と意味を熟考する速人。

  しかしアリサの前に到着したので熟考を中断し、とりあえずアリサの容態確認やはやてへの報告やその他を優先する事にした。

「この建物内部に居るアリサを拉致した者は恐らく全て無力化した。更に周辺に潜伏者も侵入者もいないと判断される為、一時的ながらも安全は確保した。

  身体異常の有無を診察するので触診と視診を行うので暫くの間動かないでくれ」

  速人はそう言いながら重ねた手袋を抜き取り、指貫の手袋の状態に戻し、殆ど裸のアリサを触診と視診をする。

  アリサの身体には先程の者達の精液と思われる物が付着しているが、速人は気にせずに身体のあちこちを視診と触診をしていく。結果速人の手は精液が付着するが何事も無く診察を進めていく。

  一通りの診察が終わるとそこいらにある緑茶と持ち合わせのハンカチを一緒にアリサに渡す速人。

「それで精液が付着している箇所を拭き取るといい」

  アリサに渡した後、速人はブラックのコーヒーで手を洗いティッシュで拭き取る。

  アリサはノロノロと無言で自分の身体に付いた精液を拭き取っていく。

  速人はそれを見ながらコートを床に脱ぎ落とし、上着を脱ぎ上半身裸になり、素肌にコートを羽織って肌着と上着をアリサに渡す。

「それを纏って寒さを凌ぐといい。

  それと診察の結果だが、一番の怪我と思われる右脹脛と左肩甲骨下が恐らくゴム製のスタン弾を被弾としたと思われるが、骨に異常は無く筋肉も断裂していないので5日もすれば痣も残らないだろう。他は全て軽度の打ち身と擦り傷で異常はないと判断した。

  ただしアリサの処女性及び膣内に精液が残留している事は調べていないのでそれは解らない。しかし通常アリサの年齢ならば生殖は不可能な為膣内洗浄の必要は無い。処女性の確認をしたければ後日にでも専門医に調べてもらえばいいだろう。ただ万全を期すならば急ぎ膣内洗浄を行ったほうが良いとは言っておく。膣内洗浄を受ける気ならば発言してくれ。直ぐに手配する」

  速人はそう言いながら未だ血を流す頭と肩に血止めの薬を塗って止血し、携帯電話のメールで後始末と移動用のヘリを依頼する

  後始末と逃走経路を確保の準備を終え、はやてにアリサ生存の報告を入れる為に連絡する速人。

  八神家へ電話し、呼び出し音の1度目が終わる前に繋がり相手の声が聞こえてくる。

『もしもし!?速人はんか!?アリサちゃんは…………速人はんは無事なんか!?』

「此方は天神速人。報告を行う。俺とアリサは生存しており、現在アリサを誘拐した者達は全て無力化したと思われる。報告は以上だ」

『ちょっ!?もう少し―――』

  出発前の発言通り詳細な報告を行わず一方的に通信を打ち切る速人。

  移動用のヘリが到着するまで時間が有るので速人は一休みをしようと考え、とりあえず先程大金槌代わりに使用したパイプ椅子を拾いアリサにそれに座るように勧め、速人本人は壁に背中を預け、そのままずり落ちながら座り込んだ。

(薬物強化の副作用が想定以上に酷いな……………。睡眠不足や薬物乱用に因る体力低下で様々な病を発症しているためだろうな……………。

  だが事前にその事が発覚したのは収穫だ。副作用を抑える薬品を用意し、自身の身体状況を今まで以上の頻度で検査し、緊急時に備えるとしよう)

  周囲に速人の家族は存在せず、八神家で留守番している訳でもないので気を抜き休もうとした速人だったが、アリサがいる為気を入れ直して周囲を警戒し直した時にふと疑問が湧いた。

(…………何故アリサが居るからといって今俺は警戒している?

  ここで休憩を取り、体力を回復させる事は緊急時に対する必要な備えだ。

  アリサの生死はさして重要度は高く無く、家族の緊急時に備えての回復をアリサの為に中断する理由は無い筈だ。なのに何故俺は今周囲を警戒している?)

  一時的に身体能力を向上させたツケが速人の身体に襲い掛かり、激しい疲労感と頭痛が速人の身体を満たすがなんて事の無い様に壁から背中を離して立ち上がる速人。

(………………今は思考するだけでも高い労力を要するのでこの件については後回しにするべきだな。

  休息を取らないならば何をするべきか…………家族への報告は現状でする事は無い。ならば次は友人関係構築中のアリサだな、…………鼓舞する意味合いを籠め先程の戦闘中に取り乱さなかった事を賞賛でもするべきだな)

  そう決めたらアリサに向き直り口を開く速人。

「アリサ、先程の戦闘中は冷静に意識を保ったまま取り乱さなかったのは見事だ。

  縋り付くことも逃走しようともせず、その場で静止し続けた為余計な労力を払わずに無力化できた。その判断力と自制心は価値あるモノだろう。誇るといい」

  その言葉を聞きアリサの緊張の糸が切れたのか、どこか虚ろな微笑を浮かべながらフラフラと速人に歩み寄りながら話しだす。

「良かった………………………………速人の邪魔にならなくて……………………………………本当に……………………………………………良かっ…………………………………………」

  速人に手が届く距離まで接近したアリサは速人のコートを掴みながら膝から崩れ落ちていく。

「あ…………あああああっ!あああああああああっっっ!!あああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!

  イヤッ!………………………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!!やめてっ!見ないでっ!触らないでっっ!!近づかないでッッッ!!!……………………………………………………………………イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!」

  抑え付けていた恐怖心や嫌悪感が一気に噴出してきて錯乱状態になるアリサ。速人のコートを握っていた手は解かれ、膝立ちの状態で身体を抱きしめながら頭を振り乱しながら叫び続けるアリサ。

「イヤだ!気持ち悪いっ!!近づけないでッ!!!………………あ………………あ……………あ………………………………………いや……………………速人…………………頭から血が……………………イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!

  速人!速人!速人!速人!速人ーーーッッッ!!!死なないで!!!お願いだから逃げてっ!!!イヤだイヤだイヤだイヤーーーッッッ!!!やめてよっ!!!速人を殺さないでーーーーーーーーッッッッ!!」

  アリサは先程までの体験が脳内で再現されているらしく完全に錯乱していた。

  速人はアリサが自力で落ち着くことは相当時間が掛かるか衰弱して気絶するかのどちらかと判断した為落ち着かせることにした。

「………………アリサ」

  その声は決して大きくは無く、錯乱して叫び続けるアリサの声に掻き消されそうな声だった。

  そしてその声には優しさも、思い遣りも、憐れみも、蔑みも、……………そして打算も含まれていなかった。

  しかしその声にはアリサを落ち着かせるという意思だけは籠められていた。

  打算も想いも一切含まず、ただ意思のみが籠められた声はまるで速人の意志がそのままアリサに働いたかの様にアリサの叫びをピタリと止めた。

  しかし直ぐにアリサが錯乱するだろ事は容易に予測が出来るため、速人はアリサが話を聞ける程度に落ち着いている今のうちに落ち着けるべく話し始めた。

「アリサを拉致した者は廊下に散乱している。現代医学では一生寝たきりで、二度とアリサの前に現れる事は無いだろう。

  俺の負傷についてだが既に応急処置をしており、心配する必要など何処にも無い」

  在り来りな言葉だが、虚偽も打算も想い一切無く、意思のみが籠められた透明な言葉は、錯乱状態にあるアリサの精神に冷水を浴びせるように落ち着かせる効果を持っていた。

「…………………………………………ここまで錯乱する恐怖心と嫌悪感をよく抑え込んでいた。その精神…………………敬意に値する」

「……………………………………………………………………………………………………」

  呆然とその言葉を聞いているアリサ。

「俺はアリサが何を思い、恐怖心と嫌悪感を抑え込んでいたのかは知らない。

  しかしどのような理由であろうと、自らの精神が崩壊しかねない状況下で自己を見失わずに冷静にいられるという事は非常に稀有で価値のある精神だ。

  その精神を先程の者達の行為程度で壊されるなよ」

  アリサはその言葉を聞き、自分が張った意地が決して無駄ではなかったと解り、安らかな顔で瞳を閉じて速人に凭れかかりながら気絶した。

  速人は自分の足に凭れかかって気絶しているアリサを抱え上げ、到着した軍用の静音設計のヘリから垂らされる梯子に捕まり、とりあえず屋上に引き上げさせた。

  屋上に降り立った速人は証拠隠蔽を依頼してヘリに乗り込んだ。

  そしてそのままヘリは軍の基地に向かった。

 

                                     

 

  12月09日05:43、某県某国軍基地。

  現在アリサは廃ビルからずっと眠り続けており、未だベッドで眠り続けていた。

  ただ眠り続けている間に女性軍医がアリサの身体を丁寧に拭き、麻酔を打って目覚めない様にしながら膣内洗浄と処女性の検査をした。

  その間速人は軍医が不審な真似をすれば即座に行動不能に出来るよう見張っていた。

  検査も終わり軍医からカルテを受け取り、控えのカルテを処分させ、速人はノートパソコンを借り受け、今回の代金代わりの情報を打ち込んでいった。

  当然最初この基地に速人とアリサが来た時は不審がられたが、本国の最高司令官からVIPとして扱えと通達を受けている事を知らされ、この軍事基地の全員から最大級の礼儀でもって接されていた。

  しかしそんな事を特に速人は気にせず、代金代わりの電磁投射砲(レールガン)の基本設計及び砲弾が溶解しない為の特殊金属の精製方法をCD―Rに焼き、この基地の最高司令官に内容を簡単に説明して渡した。(電磁投射砲の次世代理論の為、前回の取引と同程度の金銭を支払っても尚価値の有る情報(以前の取引時も速人は相当の安値で売っていた)をただ同然で入手出来て本国連中は狂喜していた)

  軍を使用した対価を支払い、後はアリサが目覚めるまでの間特にやる事が無く、速人は昨日の自分の行動について考えていた。

(昨日俺が実行した行動は、家族の安全確保を放棄した行動であり、また家族の次の優先順位の、友人関係構築中のアリサの安全確保すら放棄及び無視する行動で、俺の身の安全を優先した行動でもなかった)

  空調が効き、清潔感溢れるベッドで安らかに眠るアリサを見ながら速人は更に熟考する。

(俺があのような行動を実行することで家族、友人関係構築中の者、俺、これらが利する事とは?

  他者の行動ではなく自身の行動なのだからその答えは自身の中に在る)

  しかしそうは思っても依然として速人はアリサを優先した理由がサッパリ思い当たらず、先程から思考の堂々巡りを繰り返していた。

  通常ならば理解出来ない時点で別の事を思考したりするのだが、この場には特に別にする事は無く、さりとて休もうとしてもなぜか警戒態勢を解く意思が少しも湧かず、思考を切り替える事も休息することも無く、只管昨日の行動の理由を考えていた。

  しかしどれだけ思考しようと僅かな進展も無く、速人は生まれて初めて自身を理解出来ない状態に陥っていた。

(自らの中に在る答えに自らで気付けないとは…………………………なるほど、これが無様や滑稽という事か……………………)

  速人が無様と滑稽という意味を実感している時にアリサの瞼がゆっくりと開かれた。

  目を覚ましたアリサはぼんやりと辺りを見回し、見慣れない風景である事に首を傾げたが、速人の姿を視界に収めた瞬間昨日の事を思い出す。

  しかしアリサは錯乱する事も無く、穏やかに速人に問いかけた。

「速人………………ここは何処?」

「日本に在る外国軍の基地だ」

「そう。え〜とあれからどうなって、これからどうなるか聞いてもいい?」

  普段通りとはいかないが、十分落ち着いた状態で速人に訪ねるアリサ。速人はそれを首肯して答える。

「アリサが気絶した後軍用ヘリでこの軍事基地に移動した。

  そしてアリサを移送した後に女性軍医に膣内洗浄と処女性の検査を行ってもらった。

  結果を読み上げるが構わないか?」

  アリサはスタン弾で気絶し、意識が戻った時には既に男に群がれており自分の身体がどうなっているのかを詳しく知らず、知る事はとても怖かったがそれでも取り乱さずに静かに答えを返した。

「構わないわ。教えて頂戴」

「了解した。

  結論だけを述べるが、アリサは処女性を有しており、他者の唾液以外の体液が進入した形跡は無く、膣内洗浄も行い、初潮も迎えていないと判断されたので妊娠はまず起こりえない」

  速人はカルテを見もせずに簡潔に答えた。

  それにアリサは深い安堵の息を吐いた。

「カルテに詳細が独語で記載されているが見るか?」

「結果さえ解れば詳細はどうでもいいわ」

「解った。それとカルテはこれ一つだけだ。写しは無く、電子カルテも存在しない。

  つまりアリサは診察されていない事になっている。情報漏洩の心配は不要だ」

「……………………ありがとう………………………」

「それとアリサを拉致した者達だが、喋る事も聞く事も見る事も味わう事も嗅ぐ事も半身不随で首から下を動かす事も出来ない状態だ。その者達から情報が漏れる事も無いだろう。

  念の為に言っておくが一人も死者はでていないので安心するといい」

  その言葉を聞き色んな意味で安堵するアリサ。

 

  なおアリサを誘拐した者達は速人が軍事基地に到着した後に、速人は以前なのはを無力化する案で述べた事と、さらに抜歯、片肺及び両腎臓及び肝臓破壊、四肢を高熱の刃物で焼き切る、皮膚を濃硫酸で焼き触覚を奪うという事を依頼した。

  怨念めいた念の入れ方で殺さずに口を封じ、警察に通報し逮捕させた。

  当然誘拐犯達は即座に緊急入院になった。

  そして普通ならあまり重要な裁判では無いので、適当な医療を受けて直ぐに死にそうなのだが、裏工作で誘拐犯達は寿命で死ぬまで最高の医療待遇で入院して生かされ続ける事になった。

  またはやてに余計な心労を負わせない為に、報道関係にはただ重傷とだけ報道するようにさせていた。

  なお今回の裏工作は全てここの軍が行っていた。

  軍は協力の見返りに、軍としては極少の労力で莫大な対価を得て喜んでおり、次回も喜んで協力すると言い、速人は強い軍事関係のコネを持つに至った。

 

  当然アリサは速人がそのような事をしていたとは知らず、速人も態々報告する気も無かったのでこの事は闇に葬られた。

  速人は安堵しているアリサに更に話しかける。

「これからの事だが、俺は本日09:00までに一度八神家に帰宅する事になっているので、後150分以内にここを一度離れる。

  体調が優れないならばアリサは落ち着くまでここにいて構わない。必要な物があるなら大抵の物は取り寄せる手筈はしてある」

  その言葉を聞き、呆れながら微笑むアリサ。

「ふぅ……………普通こういう時は傷心のあたしを最優先にしたりしない?」

  その言葉を聞き、速人は僅かの間熟考してアリサに話しかける。

「……………………………アリサを家族の次の優先順位にするとは言ったはずだが……………………」

「うん?どうしたの?即断即決の速人が言い淀むって珍しい…………………っていうか初めてよね?」

  アリサの質問に特に躊躇せずに今の自分の状況を話す速人。

「昨日から行動理由が理解出来ない行動を幾度も繰り返し、現在アリサの優先順位を把握しかねている」

「?昨日あたしが接した速人の行動で、特に変な点は無かったけど?

  ………………よかったら詳しく聞かせてくれる?」

「話せない箇所は幾つかあるがそれで構わなければ話そう」

「それでいいから話して頂戴」

  アリサのその言葉に速人は首肯し、先程まで自分が疑問に思っていたことを話し始めた。

 

                                     

 

「以上が現在に至るまでの経緯だ」

  速人はなのはとフェイトのデバイスを無力化するという点と、誘拐犯達の末路以外は隠さずに話した。

  つまりアリサは速人が家族の為にアリサを確保しにきたということを知ったという事だった。

  しかしアリサは少しも怒るような事はなかった。

  どのような理由でも、速人が死の危険を冒してアリサを助けた事に変わりはなかったからだ。

  アリサ曰く「助けられる奴が、助ける奴の理由である必要なんて無いでしょ?もしそうでなくちゃいけないなら、警察とかの使命感で助けに行く奴を全否定しているようなも

のでしょ?」らしい。

  そして速人の話を全て聞き終わったアリサは考え込んでいた。

(………………………速人が何を考えて行動に移ったかはサッパリ解らないけど、これって一般的な人間の対応よね……………………。

  いえ、速人みたいに智識も思考も判断力もある奴がどんな危険があるか理解していないわけは無いわよね………………、危険を意識的に無視して勢いで行動してるんじゃなくて、危険を重々承知してここまで出来る奴なんて決して多くは無いから一般的ってワケじゃないわよね)

  アリサは速人が今疑問に思っている事に自分なりの答えを言おうと懸命に考えていた。

(……………………常識的に考えればあたしを最優先したってことなのよね………………。もしそうなら凄く嬉しいんだけど……………………多分違う。普段からあそこまで家族の為に他を犠牲にする事を厭わなかった速人が、今までと特に変わらない今回でその言葉を違えたりするとは思えない…………………)

  自分に都合の良い解釈や一般的な解釈で終わらせようとせずに、アリサは兎に角自分が納得できる答えを考えた。

(…………………………………………………つまり速人は家族を最優先する意思は今も確かに在って、あたしはその次の優先順位にする意思もある。だけど家族やあたしや自分の利にならない行動をしたり、家族よりもあたしを優先しているとしか考えられない行動をしているから速人は自分の判断と行動が理解出来ずに混乱気味になっている。

  …………………………あれ?なんか今自分の大切なモノが壊されるのを後先考えず必死で食い止めようとする子供の様に思えたんだけど……………………)

  アリサはふと思考に浮かび上がったことをまさかと思って考えこんでいく。

(そうよ………………………………今速人が疑問に思っている行動って、目の前のモノを切り捨てられない駄々っ子……………………なのはにそっくりじゃない!

  周囲に危険が及ぶって解っていながら全部救い上げようと足掻いて、周囲も巻き込むけど自分が一番危険な立ち位置に居る……………。

  なのはと決定的に違うのは、無差別に救う気が無いということ。あと違うのは速人の意思と行動理念が対立しているということと、速人が自分の行動理念を全く理解していないこと)

  アリサはそれに思い至った時に驚愕しながら更に考え込んでいった。

(うわっっ!なんか速人の行動が初めて大切なモノ手に入れて無我夢中で庇った子供にしか思えなくなってきた!!

  いえ、ちょっと落ち着きなさいアリサ。もしそうだとしたら今まで速人が極端に感情や表情を発現させないだけと思ったり、異常なまでに冷酷平淡だと思っていたのって、全部勘違いで単純に何かを大切だと思ったりしなかったから!?)

  頬を引き攣らせて驚愕の表情で更に深く思考するアリサ。

(うわあーっ!納得いってしまったわっ!!!

  そりゃーそうよねーっ!正真正銘どうでもいいことで喜んだり怒ったり哀しんだり楽しんだりする奴いないわよねーーーっっ!!

  ってことは何!?速人って智識や判断力や実行力は在っても赤ん坊よりも真っ白……………ていうか色すら無い状態じゃない!!!)

  アリサは頭を抱えて膝に突っ伏しながら更に思考していった

(うわあぁーーっっ!!とんでもない勘違いしていたわ!!!速人って完成された精神なんかじゃなくて、精神の基盤すら碌に構築されてない状態じゃない!!!

  赤ん坊に葛藤なんてあるわけ無いし、赤ん坊未満の精神構造の速人が葛藤しないのは当然じゃない!

  精神構造が未熟なら速人がやたらハイスペックなのも納得いくわね。天才とか呼ばれる奴は大抵精神がどこか常人とはかけ離れているっていうか、未熟な奴が極端に多いもの。

  多分精神が構築される脳の領域が全く別の事に使用されているから速人はあそこまでハイスペックなのよ)

  頭を抱えていた手が力無くベッドに落ちても更に思考するアリサ。

(一体はやては何考えてんのよっ!!こんな自我が恐ろしい程極端に希薄な速人を一人にしたら暴走するに決まってるじゃない!!!

  常に傍にはやてが…………一番の優先順位の家族が居て速人の手綱を確り握らなきゃ、速人は少しでも価値有るモノが目の前に在れば我慢なんて知らないから暴走するのは当然じゃない!!!おまけに速人は自分自身を全然大切とか思って無いみたいだから、暴走したら自分が死ぬことなんかお構い無しで突き進むじゃない!!!)

  昨日チンピラ達に襲われて落ち込み気味だったアリサは一気に怒り心頭状態になった。

  アリサは『がばっ』と顔を上げて、速人を睨み付けんばかりに見詰めて声を発した。

「はやて達に色々文句言いたいけそれは後回しにして、遅くなったけど速人の疑問に答えるわね。

  いい、速人?速人は我慢が一切出来ない赤ん坊みたいなモノで、目の前に速人にとって少しでも価値が有るモノが在れば、思考とかすっ飛ばして護ろうとするのよ。

  いつもは速人にとって一番の家族が傍に居るから優先順位を見失っていないけど、一人だと優先順位は解っていても実感できないから目の前の速人にとって価値有るモノを無差別に護ろうとするのよ。

  あとあたしを助ける為に即座に侵入したのは、あたしの命よりあたしの精神とかそんな別なモノを優先したからよ」

  かなり簡略化された言葉だったが速人はそれを聞きあっさり納得した。

「敬意に値する素部らしい観察力と洞察力だ。今の説明ならば何一つ矛盾無く説明が付く」

「褒めてくれてありがと。さて…………………速人、今から直ぐにあたしをはやてに会わせてちょうだい。家に帰るのはその後にするわ」

「了解した。直ぐに軍用ヘリで向かおう」

  その発言の直後速人は軍用ヘリで八神家まで送るように依頼し、アリサと直ぐに八神家へと向かった。

 

                                    

 

  07時少し前、八神家上空約100mでホバリングしているヘリをはやて達は見上げていた。

「ヘリって滅茶苦茶喧しい音立てるもんやって思っとったけど、なんか不気味なほど静やなー」

「そうだな。なんか宣伝してるヘリなんかあれよりもっと上でも喧しいもんなー」

  そんな感想をはやてとヴィータが漏らしている時に地上からでもヘリのドアが開いた事が解り、そこから速人が飛び降りてくるのが見えた。

「「「≪!!!≫」」」

  はやて達は息を呑み、ヴィータやザフィーラは受け止めようとしたが、地上まで30mという所で突如速人の落下速度は減速し、さして音を立てずに地面に着地した。

  速人が着地したら胸にコアラの様に抱き付いて抱きとめられていたアリサは弛められた速人の腕から抜け出て着地し、速人はコートの上に重ね着していたジャケットを脱いだ。

  速人が脱いだジャケットはピアノ線を使ってヘリに回収され、ジャケットを回収したヘリは飛び去った。

「ただいま帰った」

  呆然と見ているはやて達に何時も通り声をかける速人。

「あ、お帰り速人はん……………って、なんやその頭!!?」

  帰宅の挨拶を告げた速人が乱れた髪を適当に後ろに流して整えていると、昨日左眉尻付近からの痛々しい銃創が見え、驚くはやて達。

  はやて達が心配の声を上げる前にアリサがはやてに話しかける。

「はやて………………話があるから付き合ってもらうわよ。速人は誰かを引き連れてとっとと治療して来なさい」

  落ち込んだ素振りは微塵も無く、不機嫌さ全開で話すアリサにはやては困惑し、はやてや他の面々が問い質す前に速人がはやてに声を掛ける。

「はやて、特に緊急を要する報告や用事が無いので、俺はこれから欠損した頭蓋骨を埋める作業へ移る為に研究所に赴くつもりだが構わないか?」

「はやて、誰か家族を速人に付き添わせてとっとと治療に行かせなさい。ただしはやては残ること。あたしと今すぐ話をしてもらうから。あと付き添わなかった人達も一緒に話を聞いてもらうから」

  押し殺した怒りが言葉に滲み出ているアリサに気圧されながら、はやてはアリサの言う通り誰かを速人につけて送ろうとした。

  しかしはやての言葉を遮るようにシャマルが指名をした。

「ヴィータちゃん、速人さんに付き添っててあげて」

「………………わかった」

「ヴィータちゃんは速人さんに何があったか聞いて頂戴。私達はアリサちゃんに何があったか聞くから。

  はやてちゃん、それでいいですか?」

「あ…………うん。…………………………ヴィータ、速人はんが無茶せんように見張っといてな?」

「任せとけ。じゃあシグナム達、はやては任せたぞ」

  ヴィータはそう言い、シグナム達が頷くのとほぼ同時に何時の間にか速人が呼び寄せたタクシーに速人と乗り込んで去っていった。

「…………………さてと……………………………それじゃあ長話になるから家の中で話しましょうか」

  はやては全く落ち込んでいない事でアリサが無事だというのは何となく判って安心していたが、アリサが全身に纏う怒りのオーラの理由がサッパリ理解できずただその気迫に圧倒されて頷きながらアリサを家に招き入れた。

 

                                     

 

  速人とヴィータは地下研究所に到着し、速人は貯蔵していた人工多能性幹細胞(iPS細胞)を瘡蓋が剥がされた銃創の痕に整形するように埋め込んで治療を施し、速人とが一息付いた時にヴィータが話しかけてきた。

「……………………なぁ………………その傷…………………ハヤトは平気そうにしてるけどあと1センチズレてたら……………いや、あと5ミリズレてたら死ぬような傷だろ?シャマルに治させないで本当にいいのか?」

  心配げに話しかけるヴィータに速人は答える。

「平気だ。頭部に強い衝撃が加わらない限りは死にはしない」

「!!それって全然大丈夫じゃ無いだろ!!もう動くな!!あとでシャマル呼ぶからそれまで寝てろ!!」

「今意識を手放して眠り、睡眠中に寝返りを打てば頭蓋骨が破損し即死する可能性が有る。姿勢制御等の為に睡眠は取れない」

「あたしが寝返り打たない様にしててやるから寝ろ!」

「あまり頭蓋骨に圧力を掛けたくないので横たわるという意味合いの寝るという事も拒否する。

  そして頭部に圧力をかけずに寝るとしても、ヴィータには高町なのは達についての詳細を報告する必要があるのでそれはまだ後だ」

「………………………………わかった………………………………とりあえずどうなったのか教えてくれ。

  あとえーと……………アリスだっけか?そいつを助けようとしてどうなったのかも教えてくれ」

「アリスとは本日07時前俺と一緒に居た者の事だな。了解した。なお名前はアリサ・バニングスだ」

「そう、そのアリサを助けようとしてどうなったかも詳しく聞かせてくれ。……………っていうか、ぶっちゃけ家を出て戻ってくるまで何があったか全部教えてくれ。なんか速人、様子が変だし」

「了解した。それと先に何が変なのか聞かせてもらっても構わないか?」

「うん?別に構わないぞ」

  ヴィータはそう答えると速人が座っているベッドに近づき、速人の横に座りながら話した。

「変なところだけどな、例えば今のハヤトのセリフも変だ。いつもなら自分の話が終わってから聞くだろ?他にも治療するなら一人で行くって言って、アタシ達を全員はやての傍に残そうとするだろうし、一番変なのは帰ってきてからいつもよりアタシ達の近くに寄ってることだな。

  ……………………へへへへへ、確かに変なんだけど今のハヤトはなんか凄くアタシ達を頼っている感じがしてメチャクチャ嬉しいぜ」

  満面の笑顔を浮かべて足をブラブラ振りながらヴィータはそう言う。

「はやてもそうだけど、ハヤトも一人で何でもかんでも背負い込もうとするからな〜。もっともっとアタシ達を頼ってくれてもいいんだぜ?」

  嬉しそうな笑顔で速人の顔を見上げながら言うヴィータ。

  速人はヴィータの言葉を聞いて少しの間思考して言葉を発する。

「いや、既にこれ以上無い程頼っていたようだ。しかも頼るというより依存と言う方が正しいという程に。特にはやてにはな」

「………………………どのあたりが頼られていたのかサッパリ分かんねえけど………………その言葉、はやてが聞いたら喜ぶぞ。帰ったらはやてに言ってやってくれ」

「説明を求められた時に高確率で不快にさせると判断しているので、はやてが尋ねてこない限りは話さないつもりだ」

「…………………………………何がはやてを不快にさせるか解んねえけど、ハヤトがそういうなら文句は言わねえよ……………………。

  だけどはやてがハヤトに頼ってばっかりだと思ってて気にしてるってのは気遣ってやってくれよな?」

「了解した。そしてそれは重々承知しているつもりだ」

  速人がはやてを気遣っている事が聞けて満足気に頷くヴィータ。

  そして会話が一区切りし、速人が家を出て何があったのかを詳細に説明していった。

 

 

 

  速人は要点を纏めずに兎に角起きた事を順に詳細に説明していった。

  ヴィータは途中何度か眉を顰めたが口を挟む事無く黙って聞いていた。

  そして全てを聞き終わった後考え込み、少し間を置いた後に話しだした。

「とりあえず先にデバイスの話にするけど、デバイスの中身をグチャグチャにしたらしいけど、どれくらい効果が有りそうなんだ?」

「時空管理局の技術が10として、あのデバイスに投入された技術が10ならば30週以上は復帰不可能。8ならば10週以上、6ならば2週以上というところだ。デバイス内の情報から推測するとデバイスの復帰は恐らく2週以上、細かく述べるならば約365時間必要とし完成状態にする時間を足すと380時間±3時間かかると予測している。

  それと復帰した時は魔力を周囲に大量放出し、復帰した旨を感知しやすいように細工してあるので完全に不意打ちをされるということはないだろう。また対象が復帰しても俺からのクラッキングが発覚しないように復帰時に偽装記録を5重に展開し、偽装記録を不用意に解除しようとすると即座にウィルスが展開し再度同じ状態になるように細工を施してあり、更にクラッキングを受けたという記録を削除しているのでそのデバイスから俺がクラッキングしたという証拠は何一つ出てこないだろう。

  尚俺が干渉したデバイスは【レイジングハート・エクセリオン】の未完成品で、ベルカ式カートリッジシステムCVK792−A搭載型。登録されている魔法等の詳細は後程紙面通達するが、高町なのはがレイジングハート・エクセリオンを装備時の戦闘様式は【大出力遠距離攻撃型及び防御重視反撃型】で、近接戦闘は能力任せで技術は殆ど無く、警戒能力等はフェイト・テスタロッサと同じく一般人並だ

  またレイジングハート・エクセリオンからの情報によりこの件を担当している者達の大まかな人員及び戦力等は把握できた。レイジングハート・エクセリオン内部の登録魔法等と共に紙面化して渡すつもりだ」

  それを聞きヴィータは驚いた顔をしていた。

「スッゲーな……………………。無力化しただけでなくて中の情報も読み取って活用したり、中の情報を弄くったり出来んのかよ…………………」

「インテリジェントデバイスは多岐に渡る情報が記録されているので可能だっただけだ。偽装記録も多岐に渡る情報がその存在を隠蔽するので、さして難しい作業ではなかった。

  デバイス無力化の事について何か質問はあるか?」

「…………………デバイスは兎も角、魔導師本人は何時頃回復するんだ?」

「相手側に治療系魔法が使える魔導師が居ることを考えれば今日中には復帰するだろう」

「…………そっか…………ならもうデバイス関連については聞くことはねえ」

  ヴィータはそう言ってベッドから降り、椅子を速人の前に持ってくるとそれに座って向かい合う形にした。

「それじゃ…………………アリサって奴がハヤトの考え方とかについて言ってた事について話すぞ?」

「ああ」

  自分の事に話の焦点があるというのに何時も通りに答える速人を特に気にしないままヴィータは話し出す。

「色々聞きたい事も言いたい事もあるけど………………………これだけは確り答えてもらうぞ。……………………ハヤト、お前………………………自分のことどうだっていいとか思ってるだろ?無価値とか無能とかじゃなくて本当にどうでもいいって……………道端の石ころとかそんな風に…………いや、それよりもどうでもよく思ってるだろ?」

「その通りだ」

  全く躊躇せずに即座に発せられた速人のその発言にヴィータは少しの間下唇を強く噛んだが、直ぐにそれを止めて話を再開する。

「……………………………………大分前にはやてからハヤトがはやてを色んな事から護ってきたのを聞いたんだけど、……………………その時聞いた感じじゃハヤトははやてと一緒に生き残ろうとしてるって思えたけど、………………………今は自分のこと全然見て無い様に感じる………………。

  ハヤトがアタシ達と戦闘訓練してた時から薄々思ってたけど…………………、ハヤト………………お前、自分が死んだらはやてやアタシ達に迷惑がかかるからってだけで死なないようにしていなかったか?血流しすぎて死に掛けた時も………………心臓破裂しかけた時も、頭から血流してブッ倒れた時も!お前全然死にたくないとかそんな事考えなかっただろ!!死んだら家族に迷惑かかるから死なないとしか考えなかっただろ!!!」

  喋っている間に激昂してきたのか声を荒げて顔を真っ赤にして椅子から降りて怒鳴りつけるヴィータ。

  そんなヴィータを何時も通りの眼差しで見ながらいつも通りの声色で答える速人。

「その通りだ」

  それを聞いてヴィータは歯が砕けんばかりに歯を噛み締め、血が滴る程に拳を握り締めて怒りを必死に抑えこみながら話すヴィータ。

「ハヤト、お前が生きて家族の為に何かしようとするのは構わねえ。良い事だと思うし、アタシもはやてもそんなハヤトが大好きだ。

  だけどな……………生きようとする事まで家族の為にしようとするんじゃねえよ………………………。だからお前……………………………………………………………自分のことどうでもいいんだよ………………。

  そんなんだから平気で死ぬ様な事するんだよ…………………。

  そんなんだから何が大切か実感出来ねえんだよ…………………、だから家族以外の大切なもんが在った時に暴走したんだよ」

「……………………興奮していて単語の欠落や文法が狂っていると思われる箇所が多数存在していて理解し難いが、要約すると自身のみで生きる欲求乃至理由を持っていないので自身に価値を見出せず、自身に価値を見出せない故に自分の生死に無頓着で、大切なモノの価値を実感出来ず、目の前に価値有る物が存在する時に暴走すると言いたいのか?」

「そうだ!!

  ……………………………………………どうしてハヤトはそんなに自分をどうでもいいなんて思えるんだよ…………………………………………。

  笑わなかったり喜ばなかったり怒らなかったり哀しまなかったりしないのはまだいい。だけど……………………自分がどうでもいい奴なんて思うなんて絶対変だ!なんで自分がどうでもいいなんて思えるんだ!?なんで…………………自分がどうでもいいのに………………………………………感情が欲しいと思ったんだよ!!!………………………………………………なんで……………………………はやてと家族になろうとしたんだよ…………………………………。

  全然分かんねえよ………………………………………ハヤトのこと理解してやるって言ったのに……………………………………………アタシ……………全然解ってやれてねえよ……………………チクショウ………………………」

  下を向いて、肩を震わせて泣き出しそうな声を投げ掛けられた速人は相変わらずの無感動な眼差しをヴィータに向けていた。

  速人は慌てるでもなく何時も通り無感動に、無感情な顔で淡々とヴィータに話しかけた。

「俺のことが解らずとも、解ろうとさえしているのならヴィータは自身が言った事を違えた事にはならない。悔やむことなど何処にも無い。

  ヴィータは現状でアリサと同じく一番俺を理解しているだろう。ヴィータが俺のことを全く理解していないと言うなら、俺は知ろうとすらしていないどころか知れるとすら思っていない無様な恥曝し者だろう」

  速人にしては珍しく自発的に他者をフォローしたのだがヴィータは依然俯いたままだったが速人はそのまま話を続けていく。

「それと俺が何故はやてと家族に成ろうとしてまで求めたのかという問いだが、これは人間という群体に俺が興味を持った為だ」

  その言葉を聞き、泣きそうな顔で速人を見上げるヴィータ。

  速人は特に気にせずに話しを勧めていく。

「俺の自己等が欠落している原因は過去に単体と群体のどちらとして存在するかを選択し、単体としての存在を選択して自ら人間らしさというモノを得ないことを選んだからだ」

  どんな内容でも不快になるだろう内容ということをヴィータは解っていたが、何が何でも耳を塞がずに話を邪魔せずに最後まで聞こうと決めて速人に話を促すヴィータ。

「群体として生きようとせずに単体として生きようとした理由は、その方が生存率は高いと判断した為だ。

  そして単体として生きていくと決めたなら様々な能力を身に付ける必要が有る。群体ならば一個体が全ての能力を保有する必要は無いが、単体ならば全てを保有する必要が有る。単体は己の所業の全てが己に還り、他者との交流が必要ないので精神……………人間らしさ若しくは心と言ってもいいソレを形成する必要が無く、他者と交流を図る機能を持ち合わせていないが代わりに様々な機能や技能を保持し続け発達させる。

  しかし群体の中で単体として存在するならば大なり小なり他者と交流を図る機能、即ち言語を理解する必要があり、本来は鏡像段階を経て獲得するものだが胎児の時点で未熟ながら自己等を既に形成しており尚且つ言語を解しており、群体の様に本来の自己を捨て去って他者の価値観の自己へと変更せずに保持することに成功した。

  こうして単体としての自己を保ちつつ群体として必要最低限の言語という機能を獲得し、群体を維持し発展させる為の知識を吸収しながら単体としての完成を目指していた

  ………………説明を簡略化しているのでかなり解り難いだろうが何か質問はあるか?」

「………………殆どがなんとなくしか解んねえけど、鏡像段階ってヤツはサッパリ解んねえ」

  いきなりヴィータの理解力を超えかける話が出てきたが、ヴィータは何とか話についていっていたがサッパリ解らない単語が出てきたので尋ねる。

「鏡像段階とは精神分析学の一つの考え方だ。噛み砕いて説明すると、ヒトが人間になる過程で本来の自己を捨て去り他者の価値観の自己を構築しつつ他者と交流可能な機能の言語・価値観・感情・反応等を構築する過程を指す。解り難ければ獣から人間になるための過程と捉えてくれても構わない」

「……………………………………………………………………………何となく解った」

  ヴィータのその返答を聞き、速人は話を続けることを眼で問い、ヴィータが頷いたので話を再開する速人。

「群体の機能一部を使用可能とはいえ感情や価値観その他諸々は獲得していなかったが、群体の中の異端は直ぐに弾かれるということを理解した俺は人心掌握術を修得し他者の思考をある程度理解し操作する技能と、他者に異端と認識されずにすむ一般的な振る舞いを擬態する技能を手に入れた」

  と、急にヴィータが目を見開いて驚いた表情をするので速人はヴィータに話しかけた。

「何か看過出来ない疑問点があるのか?」

「いや…………………今一般的な振る舞いを擬態していたって言ってたけど………………一体いつしてたんだ?

  それとアタシは間違ってもハヤトが擬態でアタシ達と暮してたなんて思ってねえからな………………絶対勘違いするなよ………………勘違いしたら本気で怒るぞ………………」

「はやてに遭う前、大学を出た頃までだ。

  それとヴィータが俺の擬態を見抜けない程の間抜けでないことは重々承知している。擬態で接すれば1分もせずに見抜かれるだろう」

「…………………なんか釈然としない答えだけどまあいいか………………」

  イマイチ自分の想いを汲み取ったと思えない発言にヴィータは不満だったが、自分がそんな事を思っていない事と高く評価されている事を理解したヴィータは不満気ながらも納得した。

「話を元に戻す。

  人心掌握術を修得しそれに付随する二つの技能も獲得し、より群体の中で自らの異端性を隠蔽していった。

  しかし人心というモノを紙面上でしか理解しておらず実感した事が無い俺の人心掌握術は長時間誘導すると誤差が拡大していき最終的には収拾がつかなくなる事が殆どだった。俺の人心掌握術は短時間先の行動か大まかな行動しか制御出来ず、それすらも一定周期で干渉しなければ満足に行えない精度だ。

  人心掌握術の精度上げるには俺自身が人間らしさを実感する必要が有り、それを入手しようとしている最中にはやてと出遭った。

  そして今に至るというわけだ」

  かなり簡略化されているのはヴィータにも解ったが、それでも話の要点は理解出来た。

(………………………つまり必要だから求めたって事か………………………今とあんまり変わんねえな………………)

  案の定人間らしい理由が出て来ずに少し落胆気味に考えるヴィータの思考を遮るように速人は更に話し出した。

「――――と今まで俺は考えていた」

「え?」

  突如今までの長い説明を否定するようなことを述べられ驚くヴィータ。

「しかし実際は単純に知りたかったからだとアリサやヴィータの指摘で気付いた」

「は?」

  意味が全く解らず素っ頓狂な声を上げるヴィータ。

  速人はヴィータに解り易く話し始めた。

「俺も人間の様に一つ一つの事象や現象に心と言うモノを持って震わせる事が出来るか?俺が単体として生きていく為に得なかったモノは価値あるモノだったのか?

  つまり動機は単純な興味、若しくは手にすることを放棄したモノへの悔恨だ」

  速人の口かららしく無い言葉が放たれ、少し呆然としながらもヴィータは尋ねた。

「…………………動機は物凄く意外でビックリしたけど納得した。

  だけど……………………そこまでして手に入れようとしているもんがあるのに、なんで死ぬとしか思えない事が平気で出来るんだ?説明つかねえだろ?」

「それは簡単だ。最早人間らしさというモノに振り分ける脳の領域は使用されているのだろう、何処にも振り分ける事が出来ないならば何かを削ぎ落とす必要がある。そして削ぎ落とされたのが自己だった。それだけだ」

「なっ!?」

  速人は何でもないことの様に言っているが、それは一生歪なままだと言っているのと変わらなかった。

「……………………ってことは何か?ハヤトは人間らしく成ろうとしたら自分がどうでもよくなって、自分が大切だったら人間らしく成れないって事か!?」

「その通りだ。理解が早くて手間が省ける」

  その言葉を聞いてヴィータは速人と出遭ってから今まで在った事を高速で思い返す。

(最初会った時は死に掛けてたけど一緒に庭の施設に逃げ込もうとしてたからはやてと一緒に生き延びる気はあったんだろうな。死んでも構わない気なら心中してでも倒そうとした筈だし。

  けど、アタシ達がはやての家族に成ってからのことを考えてみたら、警察にバレた時ヤバイって解ってて情報流して自分を切り捨てようとしたり、蒐集する事を話した時に自分が死んでもいいから自分から蒐集させようとしたり、ボロボロになっても力を得ようとしたり、ついさっきなんか頭吹っ飛ばされかけたのに殆ど手当てしないで帰ってくるし………………………。ハヤトは優しくなった分だけ自分がどうでもよくなっていってたんだ……………………。

  ど…………どうしよう…………………………はやてになんて説明すればいいんだ!???ハヤトが優しくなればなるほどどんどん自分がどうでもよくなっていって、平気で危ない目に遭おうとするなんてはやてが知ったら絶対絶対悲しむ!!)

  ヴィータが困った顔で狼狽しているのを見て、原因を推測しフォローする速人。

「はやてに話すことで困っているようだが、話す必要は無いだろう。

  アリサは俺が暴走する理由を看破してはやて達に話しているはずだ。恐らくそれ以上も看破しているだろうがアリサの人格などを判断する限り話すことはまず無い。

  よってヴィータが悩む事は黙っていればバレはしない。俺から何を話されたかを尋ねられれば「多分はやて達がアリサから聞いたのと同じで、ハヤトが暴走する理由についてと、どんな風にアリサを助けたかとかだ」と言えば嘘を吐かずに納得され追及されないだろう。

 自らにとって望ましくないことを知って暫くの間は思考に隙が出来易く、その時に一端納得すれば望ましくないことは積極的に思い出し、更に細部まで思い返すことは少ないので追求される可能性も少ない」

「あ、なるほど!…………………………って、そんなわけいくか!!

  このこと何とかしないとお前いつか自分から昨日みたいに自分から危険な目に遭いに行って死んじまうぞ!!!」

「だからといって相談して俺の脳の中を弄くる算段でも立てるのか?脳死しても蒐集して有効活用するならば構わないが、そうで無いのならば断らせてもらおう。

  もし脳を直接弄くらず、俺にそちらが提示した機能乃至情報を破棄させて脳の空き領域を確保する気でも断らせてもらう。

  どんな情報であろうと自ら破棄するつもりは微塵も無い」

「うっ………………………」

「それにそんなに深刻にならずともこの先どの様に変化するかは解らないが、はやてが傍に居れば暴走はしないだろう。

  家族たるはやては最優先事項で、さらにヴィータ・シグナム・ザフィーラ・シャマルの存在を繋ぎ止める楔。しかしその存在は単独で己の身を碌に護れず、護衛たる俺の死はそのままはやての死に高確率で直結し、さらにはやての死はヴィータ達の死にも直結する。

  俺がはやてを護るという事はそのまま俺の身を護る事になる。その事に気付いたので先程俺ははやてにはこれ以上無いほど頼っていたと発言した」

「あ……………」

  先程の発言ではやてを不快にさせると言って話さないと言っていた事をヴィータは思い出し納得していた。

(たしかにこんな話をはやてに聞かせたら不快になるどころか塞ぎ込んじまう)

  ヴィータが納得顔で頷いているのを見て速人は話の締めに入る。

「俺が自身を省みないとしても傍に家族………………特にはやてがいれば暴走はしない。家族が傍に居なくても現在家族以外に価値があると思っているのはアリサだけなので、単独時にアリサが危機に陥らない限りはまず暴走しない。

  単独行動中にアリサの危機を知る事は通常起り難く、それ以外のことは今まで通りしていれば問題ないだろう。

  結論が出たのでこの話はこれまでだな」

「………………………………………………………………………………………………スッッッ……………………………………………………ゲエッ納得いかねえけど、ハヤトにばっかり変われ変われ言ってアタシ達は文句言うだけってのも納得いかねえからな。

  だいたいハヤトは頑張って変わろうとしてんだから、ハヤトが変なら文句言うんじゃなくてアタシ達が頑張ってどうにかしねえとな…………………」

  納得いかずに不満げな顔だが、瞳と声には決意が窺えた。

「うん……………ハヤトを理解してやるって言ったのに理解してやれなかったんだ。ハヤトが変で危ない事自分からするんだとしても、その分アタシが頑張ってそうなら無い様にしなきゃな」

「………………………………………………」

  ヴィータの言葉に返事を返さず沈黙する速人を見てヴィータは不安そうに速人に話しかけた。

「あ、あれ?なんかアタシ、ハヤトの嫌がること言ったか?変…………ってことをハヤトは気にし無いだろうし……………ええと…………」

  ヴィータが速人を不快にさせたと勘違いしてその原因を考えている最中に速人がそれを否定した。

「別に不快に思ったというわけではない。ただヴィータが俺を理解しようとするのを控えた方がいいだろうと考えていただけだ」

「な!何でだ!?アタシがハヤトを解ろうとするの迷惑なのかよ!?」

「迷惑ではないが望ましくない事態になる可能性が高いので止めるべきだとは思う」

「望ましくない事態って何なんだよ!?………………………………って、はやてに関する事か?」

「その通りだ。他者に対する理解が深まり、好意や共感が強まれば緊急時に判断が鈍る。

  例えばヴィータ、はやてを無傷で助けるならば俺が死に、俺を無傷で助けるならばはやてが指を一本失う。そういう状況下になった時ヴィータは瞬時に判断が下せるか?」

「そ…………それは……………」

  速人の問いに言葉が詰まるヴィータ。

「そういうことだ。更に迷った末にはやてを選択するならまだ良いが、迷った末に情に惑わされ俺を選択しようものなら目も当てられない。

  念の為に言っておくが指を失ってショック死する可能性も僅かではあるが存在し、更に止血が遅れれば十分命にかかわる傷でもある。まぁヴィータ達がはやてが傷を負うというのに俺を優先するという選択をすることは無いが、ショック死するという事も念頭に措いて護衛するといい」

「うぅ……………………………………」

  ヴィータとしてははやての指一本と速人を天秤に載せれば速人を選びたいのだが、守護騎士の本分を放棄する事も出来ず、また指を一本失ってショック死する可能性があるなら確実にはやてだけでも助ける方が良いというのもヴィータには理解出来てしまったので唸ることしか出来なかった。

「つまりはそういうことだ。

  俺としては初対面の時の様に蛇蠍の如く嫌悪してくれるのが緊急時に判断を誤ることが無いので最善だと思う」

  ヴィータは怒鳴り散らして速人の案を否定したかったが、速人の言葉が正論だというのは十分理解しているので押し黙ってしまう。

「ここで俺に掌返して蛇蠍の如く嫌悪しても俺はヴィータの評価を上げこそすれ下げはしない。そして理由を説明すればはやて以外は納得するだろう。

  そしてはやてに嫌われようと守護騎士の勤めとヴィータ自身が一番としているはやての為ならばそれくらいの汚名は甘んじて被るべきだ」

  全く持って正論なのでヴィータは俯きながら歯を食いしばっていた。

  ここで反論すると言う事は守護騎士の務めを放棄するという事に等しい事を十分理解している為、ヴィータは泣きそうな顔で俯きながら歯を食いしばって手を握り締めながら震えていた。

「以前「自分の存在が原因で壊すなら手放す」と言ったが、俺の存在が家族を崩壊させ始めているこの現状で俺が取るべき行動と、はやてを除くヴィータ達が取るべき行動は何だと思うか?」

  その言葉を聞き弾かれたように反論するヴィータ。

「ちょっと待て!!別にハヤトが居るからって家族が崩壊しかけているなんて事は全然無いぞ!?」

「はやて以外が緊急時にはやてと俺を天秤にかけて一瞬でも迷うのは、家族を維持するという大前提を侵食していると思うが?

  シグナムもはやてが毛程の傷が付くのと引き換えに俺が死なずにすむならば俺を選択するだろう。しかし傷口から神経系の毒でも侵入すれば即死する可能性も十分ある」

「っ!!そんな事言ったらはやてとハヤトを選択する時全部はやてを選択しなきゃならないだろうが!!!」

  顔を真っ赤に染め、瞳に涙を溜めたヴィータの怒声に物怖じする事無く速人は平淡な声を返した。

「その通りだ。最優先とは何時如何なる場合に置いて何よりも優先されるモノだ。最優先事項を前にすればあらゆる選択肢など存在しない。

  初対面の時のヴィータ達ははやてと俺を天秤に載せる事すらしなかっただろう?はやてが俺を擁護する意見を出した時、はやての意見を尊重するかはやての安全を確保するか、この二つが天秤に乗っていて俺は天秤に載っていなかっただろう?最優先とはそういうモノだ」

  相変わらず正論で構成されているのでヴィータは満足に反論を行えず、容貌がどんどん泣きそうに歪んでいき、それに比例して歯を噛み締める力と拳を握り締める力が上昇する。

「納得いったようだな。

  それでは俺はこれからヴィータ達と別れても高町なのはやフェイト・テスタロッサのことで問題が起こらぬように海鳴市で核爆発を引き起こす。可能ならばこの二名以外に戦闘に参戦した残り二名と執務官と提督を纏めて蒸発させる。3時間後から7時間後までの間はやてをこの地下施設に軟禁しておいてくれ。それと可能ならばはやての友人もここに避難させるといい」

  感慨も何も含まずにはやて達と別れると、聞き逃しそうなほどあっさりと言いながらこれからのことを頼む速人。

「ここに避難しなくても別の場所に避難するならば、その場合最低でも八神家から150kmは離れなければ被爆する可能性がある。

  この場所に避難しないのであれば念を入れてシャマルに別の天体にでも転移させてもらうのが妥当だろう」

  そう言って準備に移ろうとする速人をヴィータは呆然と見ている。

(本気だ…………本気でアタシ達と別れてこの辺の数万人を巻き込んででもあいつらを消し去る気だ……………。

  止める……………とにかく何が何でも止める!

  はやての為にここ辺りを吹っ飛ばすのはまだ構わねえ。だけどハヤトが出て行くのだけはぜってー止める!アタシはハヤトと一緒に居て笑ってるはやてが大好きなんだ!それにハヤトのことも好きなんだ!

  本当にどうしようもなくなる時までは……………ハヤトの足を圧し折ってでもはやてと一緒に居させる!!!)

  細かい事は考えずに何がしたいかだけを考え、そして自分が何をするべきかを決めて医療研究室から出て行こうとしていた速人の前に回りこむヴィータ。

「…………………ふざけたこと言ってねえで寝てろ。

  あと………………さっき言ったことを撤回しねえ限りここは通さねえ……………」

「………………ヴィータ、その行為はみすみすはやてが晒される危険を排除しない行為にしか見えないが、ヴィータはどう思っている?」

「ウッセエッ!!言われなくても解ってる!!アタシの我儘だってことくれえ!!

  だけどな!はやてだって同じこと言うぞ!!」

「はやてとヴィータでは立ち位置が違うので比較にはならない」

「ッッッ!そんくれえ解ってらあ!!だけどな!アタシ以外にもはやてもシャマルザフィーラもぜってー反対するぞ!!!家族の半分以上が反対するのに押し切って何かする気か!!!」

「離脱する意思を持った者を強引に留めたところで根本的解決にはならない。

  俺は来る者は拒み、去る者は殺処分が妥当と思うが?故に俺が殲滅対象と共に消え去る瞬間をヴィータ達には確認させ―――――」

「黙れーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!」

  俯きながらも凄まじい怒声で速人の話を中断させようとするヴィータ。

  そして速人は気圧された訳ではなかったが話を中断する。

  ヴィータは騎士甲冑を身に纏い、グラーフアイゼンをラケーテンフォルムで右手に持ち、速人の前に仁王立ちになる。

「さっきから勝手に一人で話を進めやがって!いい加減にしろ!!

  だいたいはやての指一本とハヤトを比べてハヤトを選んで何が悪いんだ!!ショック死してもそれくれえシャマルが治す!!失血死なんかさせる前に止血する!!アタシのせいではやての指がなくなったら何度でも謝る!!!それにな、はやてはハヤトの命と自分の指一本を比べたら迷わずにハヤトを選ぶぞ!!!

  ハヤトは深く考えすぎなんだよ!たしかにハヤトが原因で危険な目に遭うかも知れねえけど、シグナムだってそれを責めたりしねえ!

  あとな…………………アタシを舐めんなよ?はやてがはやてとして生きていけるなら、はやてがどれだけの傷を負うとしても後悔はしても迷わずハヤトを選ぶ。そしてそれ以外なら迷わずはやてを選ぶ」

  言いたいことを全て言ってスッキリしたのか速人がどういう応えを返すのかを見守るヴィータ。

  速人はヴィータの視線を受けながら少しの間熟考し、何時も通りの無感動な瞳と無表情で淡々と喋りだした。

「ヴィータの思考と、ヴィータの他者像、この二つを述べたのは解る。

  だが結局何が言いたいのだ?ただの意思表明か?」

「………………怒らせて愛想尽かせようとしても無駄だぞ。ハヤトがこの意味が解んねえなんてことある筈ないんだからな。あと惚けられないようにハッキリ言ってやるけどな、アタシははやてとハヤトの線引きを確りしたから判断を間違えねえ。他の奴もこのこと言えば確り線引きする。

  だいたいな、はやてが少し傷ついてもアタシ達がハヤトを助けようとするのはそれだけハヤトが大切だからなのに、それが悪い事の様に言ってんじゃねえよ。守護騎士失格なのは解ってるけど、少しぐらいはやてが危険でもアタシ達はハヤトを助けたいんだよ。まぁシグナムはほんっとーに少しぐらいだろうけどな。

  そして忘れてるかもしれないから言ってやるけどな、ハヤトがはやてと一方的に別れたら、はやては這ってでもハヤトを探して追っていくぞ?それがどれだけ危険かハヤトなら解るだろ?」

「…………………………」

  速人はそれを反論もせずにただ黙って聞いている。

「それにな、もし納得しないで出て行こうとしても足を圧し折ってでも行かせねえ」

  瞳と声に確固とした意思と決意を込めるヴィータ。

  速人はそれを普段通りに受け止めるとヴィータから離れてベッドにノートパソコンを持って座り、そしてヴィータを相変わらず虚ろな瞳で見ながら一声発した。

「やってみるがいい」

  その声と同時に速人はノートパソコンのキーボードを素早く叩き、速人とヴィータの間に幾つもの隔壁が高速で床と天井から現われた。それと同時にベッドの傍の壁が急に割れて出口になった。

  しかしヴィータは隔壁が閉じきる前に速人に向かって跳躍し、ラケーテンハンマーで移動速度を加速して隔壁が閉じきる前に速人の傍の壁に叩きつけられるように着地し、割れた壁より出ようとしていた速人をベッドに引き摺り倒し、推進力の無くなったヴィータはベッドの上に着地しながら速人の重心の胸元を踏んで起き上がれないようにした。

  グラーフアイゼンを速人の足へと構えながらヴィータは静かに声を発した。

「降参しろ。そしてさっきのフザケタ理由で別れようとするな。そうでなきゃ足を圧し折って首輪嵌めて鎖付けてでもアタシ達の傍に居させる」

  肯定以外の返事は認めないと言わんばかりの眼差しを速人に向けて告げるヴィータ。

  互いの視線が3秒にも満たない間絡み合いそれからヴィータが更に告げる。

「動くな。アタシ以外を見るな。降参の言葉以外喋るな。そしてあと5秒以内に降参と言え。4……………3」

  グラーフアイゼンがリロードされ、ヴィータの口からゼロという言葉が出た瞬間即座に足を圧し折るどころか叩き潰す気だというのが速人にも理解出来た。

「……………2……」

  速人もヴィータも全く瞳が揺れずに互いを見詰め、

「……1」

カウントが1になり、ヴィータがグラーフアイゼンを構えた瞬間にその言葉は放たれた。

「降参だ」

  その言葉を静かに聞きながら速人を見つめるヴィータ。

「色々と危険要素が残る為理想どころか最善からすら程遠いが、少なくとも俺が別れる事は却って家族維持を困難にし、崩壊速度を加速させると判断した」

  その言葉を聞きヴィータは速人の胸元に置いた足を直ぐに退け、倒れている速人に膝立ちの四つん這いで覆い被さるように速人の顔を泣き笑いのような顔で覗き込みながら話しかける。

「…………………バッキャロー……………………気付くのがおせーんだよ……………………あと少しでハヤトの足圧し折るところだったんだぞ………………………」

「俺の理解力が不足している為にヴィータに要らぬ心労を強いてしまったようだな。すまなかった」

「本当にすまなかったって思ってるなら二度とあんなバカなこと考えんじゃねえぞ………………お前だって家族なんだから二度と自分を追い出そうとか考えるなよ?」

「俺が感染型の致死性の高い病を患う等、俺の存在が直接害になる場合で無い限りは、俺自身が邪魔でも家族と別れる若しくは自滅乃至は殺害されようとはしない。これが譲歩の限界だ」

「…………………………………病気の時は防護服着て会いに行くから別れる必要はねえぞ。あとお前が錯乱したなら、出て行ったり死ぬ前に元に戻すからそれで我慢してやるよ」

  少し不満気な顔で笑いながらヴィータはそう言い、速人の横に寝転がりながら騎士甲冑を解除しつつグラーフアイゼンを待機状態にした。

  速人の横にヴィータは寝転がり、怪我のことを思い出して速人の方を向いて心配気な声をかけた。

「なぁハヤト………………さっきアタシがベッドに倒したりしたけど、頭の怪我……………大丈夫か?」

「衝撃により少々頭蓋骨が欠損したようだが、外側に欠損した為特に措置は必要無い。問題は無い」

「ワリィ………………もう少し優しく倒せばよかったな…………………」

「ヴィータが気にする必要は無い」

  速人はそう言いながら起き上がる。

「って、シャマルが来るまでは寝とけって。なんかパソコンに打ち込むんならそこのノートパソコンアタシが拾ってきてやるから」

「それもあるが、高町なのは達がレイジングハート・エクセリオンを沈黙した原因として、俺のスタンガンに目星を付けていると予測されるので、八神家を訪ねる前に先手を打ってこちらから渡しに赴く必要がある。休息するのはその後だ」

「………………………………わかった。だけどアタシも近くまで行って待ってるぞ。それでいいな?」

  速人を護衛すると瞳に籠めて速人を見るヴィータ。

  しかし速人からはいつも通りの合理的な返答が返ってきた。

「その必要は無いだろう。

  高町なのは達に敵と認識されていない状況で、万が一ヴィータが近辺に居るのが発覚すれば疑われる可能性が上昇する。護衛がある方が却って危険になる可能性が高い。

  敵対されても近隣住民を人質に取ったとでも言えば十中八九離脱可能だ。捕縛及び殺害される可能性は低いだろう。

  第一俺がレイジングハート・エクセリオンを沈黙させた証拠がない限り俺と敵対することはないだろうと予測され、ただの状況証拠から俺と敵対するのであれば遠距離からの護衛は意味を成さない。

  故に俺を護衛するよりははやてを護衛していてくれ」

「……………………………………」

  速人の言葉を聞きヴィータはじっと速人の瞳を覗き込んでいる。

  そして速人の瞳に何かを感じ取って嘆息しながらも了承の意を示すヴィータ。

「ふぅー……………………………わかった。はやてのことは任せとけ。大丈夫だとは思うけど危なくなったら直ぐに逃げろよ?」

「逃げられる時は逃げるつもりだ」

「うん。……………なら文句はねえ。頑張ってこい!」

「了解した」

  喋りながら速人は立ち上がり、身支度を整えていく。

  ヴィータはそれを見ながらふと湧いた疑問を速人に投げ掛けた。

「なぁハヤト。ハヤトが戦った奴ってそんなに強かったのか?ハヤトならただ銃持った奴が5人いても無傷で倒せんだろ?」

  ヴィータの疑問は尤もで、本来速人はあの程度の者達に傷一つ負う事無く制圧が可能な戦闘力を持っているというのは守護騎士全員の認識だった。

「負傷した理由を知りたいのか?」

「そうだ」

「負傷した理由は特殊接触感応を行う為には接触する肌の部位が血で濡れている必要があり、怪しまれないように接触する肌の部位を血で濡らす為に左肩を負傷させた。

  頭部の負傷は、曖昧な証言をしても「脳に強い衝撃が加わった為、負傷後一時的に認識力が低下し、証言が曖昧になっている」という言訳が成り立つからだ」

「なっ!?ハヤト!お前その傷ワザと負ったのか!?」

「そう説明したつもりだが?」

「……………………………………」

  あまりの理由に絶句するヴィータ。

  そんなヴィータを無視するように更に話す速人。

「実際頭部を抉られた際、1秒未満だが認識力が低下したのは事実だ。明確に何秒認識力が低下したと言わなければ不利な証言は惚け通せる」

  それを聞き、頬を引き攣らせながらも何とか笑顔で話しかけるヴィータ。

「………………肩の傷はまぁしょうがねえ。許す。

  だけどな……………言い訳の為に頭吹っ飛ばされるような攻撃、二度とわざと喰らうなよ。解ったな?納得したな?だったら今すぐハイと言え。してなくてもハイと言って直ぐに納得して解れ。さぁハイと言え!」

  怒鳴り散らしかねない勢いを強引に笑顔に変えながら速人に返答を求めるヴィータ。

「さぁ言え!今言え!直ぐに言え!!」

「了解し―――-

「返事はハイだ!!」

「はい」

「うん。ならいい」

  速人の返事を聞き、ヴィータは満足気に頷いた。

 

 

 

  その後速人はなのはが死んでいないかを確認する為という口実でなのはの携帯に電話をかけ、電話に出たなのはから速人がなのはに使用したスタンガンが本当に身体に異常が出ない類かを知る為に借り受けたいと申し出、今すぐに速人が渡すというと今フェイトの家に居るのでそちらに持って来てくれと言われ、マンションの位置と名前を告げられ、マンションの玄関口にフェイトが待っている手筈になった。

  ヴィータは速人一人でも傍にアリサが居るわけでもないので暴走しないだろうと思い、不安ながらも見送った。

  ヴィータは速人と別れた後、速人が呼んだタクシーに乗って一人で八神家に戻った。

  一方速人はフェイトのマンション前まで別に呼んだタクシーで移動していった。

 

 

 

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  第十三話:価値あるモノとどうでもいいモノ――――了

 

 


【後書】…………のようなもの

 

  前回に引き続きアリサの描写が全年齢対応ではないというツッコミを入れられ、またもや急遽ソフトな展開に変更されたので、読み返してみると微妙に文章が変な感じがする今回です。……………まぁこのSSの文章がおかしいのは今に始まった事では無いですが。

  そして書きたい事詰め込みすぎてゴチャゴチャ感満載な話になりました。2話に分けようかと思いましたが、そしたら2話続けて重い話しになりそうなので、2話分の話と後書+前話の補足説明を1話に詰め込みました。おかげで後書までゴチャゴチャ感満載になりました。

 

  10話を書いていた時点では、速人の話はゴチャゴチャするのとオリキャラの詳しい設定なんてどうでもいいと思って書く気ゼロだったんですが、11話辺りから暴走しだして「やらずに後悔するより、やって後悔しない程大暴走してしまえ!!」って感じで今回はアリサと速人とヴィータの話になっています。

  今回でアリサは速人の理解者兼友人、ヴィータは相談相手兼家族、という構図が完成してしまいました。おかげではやての出番がこれからどんどん削られていってしまいます。

 

 

 

【作中補足】

 

1.鏡像段階

  フランスの精神分析学の一つ。詳しくは私如きが説明するよりも、御自身で御調べされた方が宜しいと思いますので説明は省略させていただきます。

 

2.トカレフTT―30

  本来銃火器に必須な筈の安全装置の類すら搭載せずに極限までの単純設計化により大量生産性の向上や撃発能力の確保を追及した銃。

  単純な構造の為耐久性が高く、劣悪な環境化に長期間放置されても作動可能為WW2でソ連軍の制式採用拳銃になっていた。

  長期間整備せず劣悪な環境下でも作動し、初速が高速で、コピーされたり密輸されたりの理由から大抵の犯罪組織のスタンダード的な銃。

 

3.スタン弾

  非致死性弾丸の総称で、スタンとは本来英語で【(打撃により)気絶若しくは呆然とさせる】という意味合い。

  アリサに使用されたスタン弾はゴム製の為痣になる程度だが、装薬次第では骨を折る威力にもなる。

  スタン弾は首筋や眼球や口内等に被弾すると死ぬ可能性はあるが、それ以外ならば余程体力が無い状態で被弾しない限りはまず死なない。

 

4.レンジャーSXT

  弾頭に特定の切れ込みを入れたホローポイント弾の一つ。

  人体に命中すると弾丸を覆うジャケット及び弾丸そのものが変形し、体内で花が開いた様に周囲の肉や血管や神経を切裂きながら喰い込む。

  外科手術での除去が困難であり、被弾した箇所は摘出及び切除を強いられ、被弾時は止血すら儘ならない。

  アメリカのマスコミに忌み嫌われた【ブラックタロン】の後継弾丸。と言うより名前だけ変化した物と言った方が近い。

  尚日本ではよく非人道的な弾丸と解釈されがちだが、フルメタルジャケットの弾丸でも対象が非装備ならば対象を貫通して背後の人物に被弾することも有り、一昔前のドイツ警官の発砲の際に問題視されホローポイント弾の採用が許可されるなど、日本以外では犯人逮捕に有効な弾丸としてのイメージが浸透し始めている。

 

5.スタンガン(速人設計)

  接触使用モード・ワイヤー針タイプモードの二つがあり、更にマイオトロンの機能も搭載しており残電量が少ない時でも使用可能になっている。

  一般的なスタンガンは電圧5万V〜150万Vで電流は0.8A〜1A程度で、一時的な感電状態にするのではなく電流を流された周囲を激しい筋肉痛状態にして自己制御不能状態にするもの。

  しかし速人のスタンガンの電圧は1V〜600万V、電流はワイヤー針タイプ時20A固定、接触使用モード時500A固定と冗談の様に危険なものになっています。(雷は約200万V〜10億V・約1千A〜20万A)

  特に接触使用モード時の最大電圧は感電死しかねないほど危険なもので、対象がバリアジャケットを纏ったなのはでなければ死ぬのが普通です。なお普通のスタンガンを濡れた部位に当てても電流が少ないので死ぬどころか気絶すら普通はしません。

  それとおまけ機能ともいうべきマイオトロンですが、マイオトロンとはパルスウェーブで脳内の視床下部の隋運動領域を機能不全させることで相手を無力化する器具です。

  しかし大抵は1〜2秒の接触を必要とし、さらに随意筋がある箇所しか効果がないので脂肪の多い箇所や間接部位に当ててもあまり役に立たないという欠点があります。多人数相手にする時はあまり使う機会の無いものです。ただ後遺症が極めて残り難かったり、効果に個人差はありますが15分前後は対象を無力化できたりと利点も十分あります。

  因みに速人のスタンガンのバッテリーは使い捨てです。

 

  余談ですが本来スタンガンは非致死性個人携行兵器を指しますが、現在は専ら対象に電流を流し無力化する器具という意味合いで使われます。

 

6.速人の行動原理等

  家族第一主義で、家族は家族以外のあらゆる者に優先されるが、あらゆる面で家族の中心たるはやてはその中でも最優先。

  一見完結された思考に見えるが、家族に執着していてもイマイチ価値を実感していないのと自己が極端に希薄な為、家族が手綱を握っていない状態で何かの意思が芽生えると自己を省みず行動するという暴走の危険を孕んでいる。

  アリサの時暴走したのは価値が有ると思っているアリサをチンピラがその価値を損なう可能性がある行為をしているのを見て排斥する意思が芽生えたため。もし家族が傍に居たならば暴走した速人を援護若しくは置き去りにされるという危険性を実感でき踏み止まった。

  ようするに速人は傍に居ないモノの価値を実感できないので、傍に居る価値在るモノを優先してしまう。そして自分の事が本当にどうでもいいのでその際一切自己を省みない。

 

【補足終了】

 

 

 

  今回速人が軍を動かしていますが、第三話の時に理論を売ったコネで動かしています。

  尚問答無用で捕縛されない理由は、以前の取引最中に本国の核ミサイルを発射せずに爆発する寸前まで追いやったり、原子力潜水艦及び原子力空母の原子力発電所がメルトダウンを起こしかけたという、悪夢の様なクラッキング技術を恐れての事です。

  速人の某国における評価は某スプリガンの某メイゼル博士並。

 

  アリサが速人のやたらハイスペックな理由を推測しましたがその通りです。

  速人は人間が精神とか自我とか感情とか人格とか性格とかに振り分ける脳の領域の殆どを別な事に使用しており、その結果驚異的な記憶力や演算力や身体制御等が可能になっているというわけです。

  身体制御に優れているということはつまり、速人は自分の思考した身体操作が能力的に可能ならば外的要因に阻害されない限りは思考通りに動かせ、反復練習を一切必要としないわけです。それと三話でドーピングにより半神速状態になったのを経験しているので、既にドーピング無しで神速状態になれます。

  はっきり言って速人の習熟速度は規格外です。一度でも体験したことは次回からほぼ全て再現可能で、見聞きしたことでも能力的に可能ならば自分に適したように変更し直して再現可能できることが殆どです。

  完成されたヒトに限りなく近い存在ですが、代償に人間らしさが相当欠落しており、人間らしさを手に入れようとするならば何かを削ぎ落とすなりなんなりする必要があります。

  因みに現実世界でもそういう御方は居られ、一分野に突出した能力を保持している代わりに精神病と呼ばれるものを患っている御方が殆どです。

 

 

  やたらと誤字修正版を投稿しているにも拘らず毎回全て掲載して下さる管理人様に感謝を申し上げます。御読みして頂いた上に感想も頂け本当に楽しみです。

  そしてこのSSを御読み下さっている方、オリジナルキャラの暴走が目立ち始めた拙い文を御読み下さり感謝します。




今回、少し速人の事が分かったかも。
美姫 「てっきり、アリサの優先順位が上がったり、感情らしきものが出たのかと思ったけれどね」
いや、それらしきものも生まれようとしている感じではあるけれどな。
美姫 「今回の件で速人自身もより正確に自分を分析したみたいだけれど」
果たして、これから先どうなるのかな。
美姫 「次回も待っていますね」
待ってます。



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