朝倉音姫。

英雄と呼ばれる祖父母、両親を持つ朝倉家の長女。
そんな才能豊かな一族の血を色濃く受け継ぎ、努力することを惜しまず、自身も将来を有望視された魔法使い。

彼女にはもう一つの顔がある。
大陸随一のエリート学園、風見真央武術学園の現生徒会長。
成績優秀、運動神経良し、やさしくてしっかり者でそのうえ料理もうまい。
高名な親族を持つ者にありがちな他者を見下すといったことなく、むしろ気取らず、誰に対しても平等に接するその姿は男女問わず 全校生徒の憧れの的であった。


しかし、そんな音姫にも例外的に接する存在がいた。

一人は実の妹である、朝倉由夢。

そしてもう一人が……―――――――――










◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
                       
第5話 朝倉家の人々

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











 「あ〜〜、弟くん、み〜〜っけ!」


背後から聞こえる声に義之の肩が思わずビクッ!と跳ね上がる。
長年の経験から即座に声の主に検討がつく。
そして、おそらく自分がこれから置かれるであろう状況にも。
義之は身体の向きはそのまま、ゆっくりと顔だけ肩越しに振り返る。
廊下の先。そこにあったのは大勢の生徒の集団。
その中心から人混みを掻き分けるようにこちらに向かってくる人の頭だけが見えた。
おそらく先程の声の主なのだろう。
義之の下に辿り着くにはまだ時間が掛かりそうだった。

いっそ聞こえなかった事にして立ち去ろうかとも考える。
しかしそんな事をしたが最後、声の主はもちろん、その熱狂的ファンによる熱い、熱い制裁が待っているのは間違いなかった。
残ろうが、逃げようが、どちらにしても結果に大差はなかった。
ならば声の主だけでも悲しませないようにしようと義之は身体を人混みの方に向ける。
と同時に人混みを掻き分け、一人の女子生徒がその姿を見せる。

長い茶色い髪を桜色の大きなリボンで後ろに纏め、見る者全ての心を奪うかのような暖かい笑顔の美少女。
義之の姉がわり――もはや実の姉と言っても過言ではない――である朝倉音姫。その人であった。

ぱっちりと眼が開かれ、にっこりと表情が崩れる。
そのまま義之の傍に小走りでやってくる。
軽く息を切らせて義之の目の前に立つ。


 「えへへ〜」


とろけそうなくらいの笑顔だった。
見慣れている筈の義之も思わず見惚れそうになる。


 「弟くん、授業の帰り?」

 「あ、ああ、うん。まあ、ね……」


一瞬、先程の授業でのことを知られたかと思わず口ごもる。
が、さすがにまだ音姫の耳には入っていないらしく何も言ってはこなかった。


 「音姉は……生徒会の仕事?」

 「え?……う〜ん、厳密に言うと生徒会の仕事って訳じゃないんだけどね」

 「?どういうこと」

 「あのね、今やってるのは武術大会について学園側でやらなきゃいけないお仕事なの。本来は生徒会じゃなくて学園長がやるんだけど……」

 「そっか……さくらさん、まだ帰ってきてないから」

 「うん、だから私が代わりにやってるの」


風見真央武術学園の学園長は現在、不在だった。
以前から良くどこかに出かけていたのでそれ自体は珍しくはなかったが、今回は不在の期間がいつもより長く、武術大会間近のこの時期に学園を不在にするのは初めてだった。
それゆえ、生徒会長である音姫への負担もいつもより大きいのだろう。


 「ご苦労様、音姉」

 「え……えへへ〜」


義之から労いの言葉を掛けられると、音姫はうれしそうな笑顔を見せる。
それを見た義之は照れを隠すように顔を軽く伏せ、左手で後頭部を掻く。
そこで音姫はある事に気付く。


 「あ、弟くん……その手」

 「手?」


音姫の言葉に義之は頭の後ろにまわしていた自分の左手に眼を移す。
どうやら先程の模擬戦のときにリングの破片か何かが当たっていたらしい。
左手の甲には薄らとだが赤い線――血の跡があった。
しかし掠り傷程度のもので痛みは全くない。
現に音姫に言われるまで、義之は気付きもしなかったのだから。
気付きはしたものの、この程度の傷、治療の必要もないだろうと義之が考えていると…音姫が右手を差し出す。


 「手、かして」

 「へ?」

 「お姉ちゃんが治療してあげる」


満面の笑みだった。


 「えっ……いや別にいいよ。わざわざ治療しなくても唾でも浸けとけばなお…」

 「だめだよぉ!いくらちっちゃな傷でもバイ菌が入って腐っちゃうかもしれないんだよ!」


「治る」と言い切る前に言葉を遮られる。
治療の申し出を断ろうとする義之に、音姫は右手を腰に当て、人差し指を立てた左手を顔の横に、頬を膨らませる。
本人はだらしない弟を怒っているつもりなのだろうが、その顔は可愛らしかった。
それを遠目に見ていた周囲から溜息がこぼれる。主にむさい男子生徒の。
だが、本当に治療など必要ないのだと、なおも義之は断ろうとする。


 「本当に大丈夫だから。気にしなくても……」

 「いいから、かして?」

 「いや、でも」

 「かして?」

 「……」

 「か・し・て?」


馬の耳に念仏とはこのことか。
義之の意見などまるで聞こえないかのように笑顔で同じ言葉を繰り返す音姫。
笑顔のまま自己主張を続ける「もう聞く耳持ちませんモード」(命名:義之)に入っていた。
この状態の音姫にはもう何を言っても無駄であり、それを良く知っている義之は素直に左手を差し出す。


 「よろしい」


満足そうに、差し出された義之の手を左手に乗せ、右手で傷を覆い隠す。
掌から淡い光が漏れ出す。
その光は見ている者の心も癒すような不思議な色彩を放つ光だった。
光が治まり音姫が右手をゆっくりと離すとそこには先程の傷跡などない、文字通り無傷の手があった。

回復魔法――魔力により身体の治癒速度を速め、瞬時に傷を癒す高等魔法。

魔法の中でも習得が難しいと言われるそれを、音姫は呪文の詠唱もなしに呼吸をするかのように簡単にやって見せた。
それだけで音姫の魔法使いとしての力が伺えた。
周囲から今度は驚嘆の溜息がこぼれる。


 「うん。これでよし」


そんな周囲の様子などまったく気にせず、当の本人は満足げな笑みを浮かべる。


 「はは……サンキュー、音姉」


苦笑いで義之は礼を言い、手を離そうとする……が。


 「音姉?」

 「じー……」


何故か音姫は手を離そうとはせずに、義之の手をじっと見つめていた。
まだ傷跡でも残っているのだろかと義之も自分の左手に視線を落とす。
が、特に目立った傷跡はなく綺麗な……男の手で綺麗というのも少々気持ちの悪い話だが、とにかく綺麗な手だった。
ならばなぜ音姫は自分の手を凝視しているのかと、ますます考える義之に音姫が言葉を発する。


 「弟くんの手……おっきくなったね」

 「……は?」


予想外の言葉に思わず間の抜けた声を上げる。


 「昔はもっとちっちゃくて柔らかいかわいい手っだったのに」

 「えーー……っと……」

 「いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろうね」


柔らかな笑みを浮かべ、幼い頃を思い出すかのように、幸せそうに義之の手を握ったまま離そうとしなかった。

そんな音姫とは対称的に、義之は背中に冷汗を掻いていた。
場所は学園の廊下、周囲には大勢の生徒、そんな状況で手を握っていれば嫌でも目立つ。
実際、周囲からはヒソヒソと噂されている事が分かる。
その上、相手は全校生徒の憧れの的、人気者の美少女生徒会長さま。
背後から向けられる鋭い――渉を始めとしたむさい野郎どもの――視線。
正直、生きた心地がしなかった。


 (俺……生きて帰れるかな)


もはや死をも覚悟しだす義之。
しかし、そんな彼を神は見捨てていなかった。


 「ほーら、音姫。もうそのくらいにしときなさい」

 「あ、まゆきぃ」


現れた天の使い。
音姫の背後から声をかける女子生徒が一人。
副生徒会長で音姫の親友の高坂まゆきである。
活発そうな顔立ちに似合ったさっぱりとした髪、健康的な笑顔、行動的で親しみやすい性格の彼女もまた生徒から慕われていた。
また、風見真央武術学園ブラックリストトップに名を列ねる杉並を常日頃から捕獲しようと挑戦を続ける女傑であった。
とにかく、彼女の登場は義之にとってまさに天の助けであった。


 (ああ、まゆき先輩……今あなたの後ろに後光が射して見えます)

 「愛しの弟くんを構いたいのは分かるけど、そろそろ仕事するよ」

 「………」


余計なことも言うが…とにかく今は義之にとっての助けとなった。


 「う〜でもぉ……」

 「でもじゃない。悪いね弟くん、音姫借りてくから」

 「はい、どーぞ、どーぞ」


言い終わるやいなや、まゆきは音姫の襟を掴んで引きずって行く。
自然と握られていた手は解放され、義之は自由の身となる。


 「あっ、おとうとくぅ〜ん」


引きずられながら名残惜しそうに義之を呼ぶ。
そんな音姫に義之は片手を軽く振って答える。
が、ここでとどめの爆弾が投下される。


 「まだお喋りしたいこといっぱいあるからね〜。また後でね〜」

 「………」


なぜ最後にそんな余計なことをと義之は思う。
どうせ家に帰ればそうなるのだからわざわざ言わなくても。
しかもこんなところで…。
そんな義之の肩が背後からおもいっきり掴まれる。
義之は背中にドッと冷汗を感じ、ゆっくりと振り返る。
そこには義之に向けられる多数の殺意の込められた視線。


 「な、なんでございましょう?渉さま」

 「なんつーか……時間はたっっっぷりとあるっつーか、なあみんなぁ!!」

 『おお!!!!』


周囲の男子生徒――嫉妬集団から野太い声が重なって聞こえる。
全員の眼が血走っていた。
義之の肩を掴む手に更に力が入り爪がくい込む。


 「いっ! わ、渉!? くいこんでる、くいこんでるって!!」

 「うるせー!お前が堪能した幸せに比べりゃーこれでもまだ足りねー位だっつーの!!」

 『そうだ!そうだ!!』


周囲から浴びせられる非難の声。
義之は瞬時に悟った。
「このままここにいては殺られる」と。

その瞬間、渉が掴んでいた義之の肩がピクリと跳ね、その場から義之の姿が消える。
義之は自らが出せる最高の速度でその場から瞬時に移動していた。
そのままこの場から離脱するつもりだった。
が、しかし……


 「そぉこかぁーー!!」


その動きを渉の視線が追い、義之の姿を捉える。


 「なっ!?」


まさか自分の最速の動きを見極められるとは思っていなかった義之は驚く。
嫉妬集団の視線も渉に続き、動きの止まった義之を捕らえる。
殺気をみなぎらせたその視線に耐え切れず、義之は脱兎の如く逃げる。
それを渉と嫉妬軍団が追いかける。


 「なっ、なんでだー!」


逃げながらも義之は自分の動きを見切られたことが納得できなかった。
それもそのはず、渉は全力でない由夢の動きですら辛うじて見える程度だった筈である。
今の義之はあの時の由夢のスピードを軽く超えていた。
それなのに何故?


 「嫉妬の炎は人の限界を超えるーー!」


……恐るべきは嫉妬の力か。
だが……


 (そんなんで納得できるかーー!!)


一対複数の逆鬼ごっこは長くなりそうだった。





     ●





……その後、どこからか話を聞きつけた由夢に、


 「兄さん! 不潔です!!」


と機嫌を損ねられた……。


 「俺のせいじゃねーだろ……」







     ●





義之たちが命懸けの鬼ごっこを繰り広げていたその同時刻。

サーカス王国首都ダカーポ。
その象徴ともいえる王宮ダカーポ城。

その城内の廊下を歩く一つの人影があった。
歩く姿に一切の隙はなく、それだけでその人物が只者ではないことが解る。

茶色い髪、頭の上で跳ねたくせ毛、首には何故か鈴の付いたチョーカーを巻いた、どちらかといえば可愛いい系の顔の、しかし凛とした雰囲気を持つ一人の女性。
その外見はせいぜい三十代前半に見える。
しかし実年齢はプラス二十歳、五十代前半という恐ろしく若作りであった。
若作りといっても化粧をして誤魔化すようなものではなく、本人の要素による百パーセント天然の若作りであった。
それゆえ彼女に憧れを抱く女性は数知れなかった。

その姿を見た城内の人間は例外なく尊敬の意を込め頭を下げる。
それに女性は暖かな笑顔で返す。
そんなやりとりを繰り返し、女性は城内の一室を目指す。

やがて目的地に到着した女性は扉をノックする。しかし返事は返ってこない。
女性は扉の前で一呼吸おく。
別に緊張しているわけではない。
ただ、その扉の向こう側にいるであろう人物の姿を思い浮かべ、心を落ち着かせようとしただけである。
準備ができるとドアノブを握り、扉を開け室内へと入る。

しかし、室内に人影はなく静かなものだった。
いつものことで慣れているのか、そんなことには全く動じず、おそらく奥の部屋にいるのだろうと奥へと進む。
そしてその先の光景を見て、


 「…………」


“英雄”の一人、『舞姫』朝倉音夢は額に特大の怒りマークを浮かべた。





     ●





音夢の目の前には書斎の机に頬杖をついている一人の男性。
年の頃は三十代後半といったところか。傍から見れば、頬杖をつき何か考えことをしている、そんな様子に見えた。

しかし音夢は瞬時にそれが他者を欺く擬態である事を見抜く。

なぜならこの男性こそ、かつて“英雄”のリーダーであり、現・聖騎士団総隊長、そして音夢の人生の伴侶である夫、『剣聖』朝倉純一その人なのだから。

純一のやることなど長年連れ添った音夢には手に取るように解った。
できればこんな馬鹿げた事解りたくはないのだが……。
音夢は机に近づき、おもむろに、

ギュュューー! 

と純一の耳を力いっぱい引っ張った。


 「いっ!? いててててて!!」


当然純一は突然の激痛により眼を覚ます。


 「オハヨウゴザイマス、オニイサマ」

 「ねっ音夢!?取れる!取れるって!!」


裏モード全開の音夢に純一が猛講義する。
しかし音夢は全く離そうとしない。


 「私に面倒な仕事を押し付けて御自分はゆうゆうとお昼寝ですか。さぞや気持ちのいいことでしょうねぇ」


丁寧な口調の裏に確かな怒りを感じる。


 「わ、悪かった!だから手を離せって!!」

 「離せ?」

 「は、離して下さい。お願いします」


その言葉を聞くと音夢はスッと手を離す。
何とも上下関係の分かり易い夫婦だった。
とても五十代前半の夫婦には見えなかった。
そう、五十代前半なのである。純一も音夢に負けないくらい若く見えた。
“英雄”というのは皆こうなのだろうか……。
ともかくやっと開放された純一は耳を擦りながら音夢に問いかける。


 「音夢よ。愛すべき夫にこの仕打ちはどうかと思うのだが?」

 「あーら、愛すべき妻に仕事を押し付けておいて何を仰るのかしら。この旦那さまは」

 「………」


駄目だと純一は悟った。
これ以上裏モードの音夢に何を言っても無駄だと。
なので早々にこちらから折れることにする。折れるも何も非は完全に純一にあるのだが……。

純一は思う。
第一自分は本来現役を引退した身なのだ。
ある理由から再び総隊長の座に就いてはいるが、一度終わったと仕事をまたやれなどというのは実にかったるい話だ。
やはり部下から新しい総隊長を選出して、いやいや、それができないから今自分はこうしているのだ。
できるものなら当の昔にやっている。大体………
などと煮え切らないことを考える。

知らない者が見れば、本当にこのかったるい男が一国の騎士団の総隊長を務めていていいのかと疑問に思うだろう。
しかし、ひとたび剣を握ればその力は超然絶塵。
その剣の一振りは百の敵を切り裂き道を開く。後にも先にも並ぶもの無し。
今なお最強の剣士。
その戦う姿は周りを惹きつけるカリスマとも言える存在だった。
それゆえ周りも総隊長には純一しか考えられず、その補佐役として音夢も同時に現役復帰しているのであった。


 「で、武術大会の準備はどうなってる?」


と言っても純一は雑務など殆どせず、音夢にまかせっきりにしていた。
音夢に怒られるのも仕方がなかった。


 「大体は終わったよ。あとは……風見学園との最終確認ぐらいかな」


風見学園と聞いて、純一はそこの学園長を務める従姉妹のことを思い出す。


 「そういえば、さくらは帰ってきてるのか?」

 「ううん。まだみたい。だからその分、音姫ちゃんが頑張ってくれてるみたい」

 「そうか……まったく音姫に迷惑掛けて。どこほっつき回ってんだ、あいつは」

 「兄さんは人のこといえないでしょ」


そう言って音夢は純一の額を人差し指で軽く押す。
さっきまでの怒りは何処へやら。
年甲斐も無くラブラブだった。
純一は押された額を擦りながら話を続ける。


 「音姫と言えば、由夢や義之も武術大会出るのか?」

 「うん。そうみたいだね。まあ、あの子たちなら問題ないと思うけど」

 「何せ俺の弟子だからな」

 「由夢ちゃんは私のだけどね」


二人は顔を緩め、自慢げに孫の話をする。
嬉しそうに孫たちの話をするその姿は、英雄でも、騎士団総隊長とその補佐でもなく、親馬鹿ならぬ、立派?な祖父母馬鹿であった。


 「ああ……音姫と義之の作る飯……喰いてーなー」

 「そうだね……最近は忙しくて全然帰れてなかったものね……」

 「王宮の豪華な飯もいいけど、やっぱり家庭の味が恋しくなるんだよな」

 「そうだね。あ、由夢ちゃんもお料理できるようになったかな?」

 「それはないだろ。由夢は誰に似たのか料理の腕は絶望的だから」

 「それを言うなら由夢ちゃんの『かったるい』って口癖、誰に似たんでしょうかねー」

 「ぬう」

 「むう」


しばし睨み合う二人。
また始まるのかと思ったが


 「くっ……」

 「ぷっ……」


二人は同時に噴出し笑顔で笑いあう。


 「ははは、それじゃあ早く帰れるように……」

 「ふふふ、ちゃっちゃと仕事を済ませようか?」


意見の一致した二人は並んで仕事へと向かう。
その光景は、仲睦まじい夫婦、というよりも未だに恋人同士のようであった。










 「かったりぃ……」

 「………」


半刻もしないうちに音を上げた純一が音夢に小言を言われたのはまた別のお話である。

























あとがき。

と、いう訳で第5話です。タイトルについては触れないで下さい。まったく思いつかなかったので適当なものになってしまいました。
前回のあとがきで予告したとおり、今回はほのぼの系です。
ダ・カーポUをやった人は解ると思いますが、前半部分は原作の共通ルート序盤であった音姫と義之のやり取りをベースにちょこっとアレンジを加えただけのお話になりました。いやね、好きなんですよ、あのシーン。
なので二次創作をするならどっかで使いたいなーと思っていた訳なのですよ。
で、第4話を書き終えた時点である重大な事実に気が付いたのです。
それは学園で音姫の登場シーンがないということ。
当初の予定(まあ、かなり曖昧なんですが)によると実は第5話の内容は次の第6話の内容のハズだったんですよ。
つまりこの第5話は最初存在しておらず、急遽組み込まれた話なんですよ。なのでちょっと前話との流れがおかしくなったかなーと自分でも思っています。

後半部分は登場人物が純一と音夢の二人というキャラ紹介の話。
自分で書いといてなんだがこの二人の年取った姿って、まったく想像できねー!
ゲームの純一は白髪のお爺さんだったけど、ここではまだ50代前半の設定だし……。その結果がコレとなってしまいました。
しゃべり方とか見てるとあんまり年取ってるようには感じられんな…。
しかも本文中で二人が義理の兄妹だったってこと説明し忘れてるし…まあ、ほとんどの人は知ってると思うので支障は無いとは思うが(無責任)。
ちなみに純一はアニメ第1期の純一をイメージして書いてるのでそのつもりで見て頂けたらと。
とにかく二人の初登場となるお話。
本編だけだと設定良く分からんという人も多いと思うのでここで少し補足しておこう。


朝倉純一。
前大戦における英雄の一人。現在、ダ・カーポ国の聖騎士団・総隊長。
義妹であった朝倉音夢を妻に持つ。
大魔法使いを祖母に持ち、祖母譲りの高い魔力を持つ。並外れた剣技の持ち主でもあり「剣聖」とも呼ばれる人物。
しかし実際には「かったるい」が口癖のものぐさであり、なるべく労力を使わないように余生を生きたいと考えている。
一度は騎士団長の座を娘婿に譲り前線から退いていたが、10年前の事件の後空席となった総隊長の座に再び就いた。
物質創造・他人の夢をのぞき見る能力を持つ。後者の能力は若いときには制御できなかったが、現在ではある程度制御できる。
36年前に一度は枯れ果てた世界樹・桜花をさくらと共に再び咲かせ世界に平和を取り戻した。

朝倉音夢。
前大戦における英雄の一人で純一の妻。現在、ダ・カーポ国の聖騎士団・総隊長補佐。
ものぐさな純一を立場上嗜めることが多いが、夫婦仲は睦まじく、義之曰く「理想の夫婦」。
義妹であるため魔法使いの才能はないが、神がかり的な剣技をもつ。
前大戦時、敵すらも魅了する美しき剣技により「舞姫」の名で恐れられていた。
純一同様、一度は前線を退いたが10年前に空席となった総隊長補佐の座に再び就いた。
「裏モード」の初代創始?者である。


とまあこんな感じ。
でもこれから先、話の流れで設定は変わるかもしれませんがそこはご了承ください。

それと……前々から思っていたことだが……話の終わらせ方が分からん。
いつもいつも中途半端な感じで終わっている気がする……何とかしたいものだ……。


ではでは、次回のあとがきで。



純一と音夢にまで出番があるとは。
美姫 「年を取った感じのしない会話だけれど、そっちの方が面白いわね」
だな。しかし、相変わらずのようだな。
美姫 「孫がいても変わらず。うんうん」
さてさて、次回はどんなお話になるのかな。
美姫 「次回も待ってますね〜」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る