はじめに

とらハ3×Fate/Stay nightの短編です。

恭也強いんで、そういうのが嫌な人はごーとぅーばっく!

勢いで書いたんで、穴が結構ありそうですがご了承ください。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

罠があっても食い破る!

そんな意気込みを持って、セイバーは柳洞寺へと続く石段を駆け上がる。

所在の判明したキャスターを打倒せんと、彼女の主の意向にまで逆らって・・・・・・

 

監視こそあるもののたいした妨害もなく、ほどなく山門まで近づいたところで、

 

「生憎だが―――」

 

漆黒の現代風の衣服を身に纏った

 

「―――ここより先は通行止めだ」

 

黒衣の青年が彼女の前に立ちはだかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とらいあんぐるハート3 & Fate/stay night

黒衣の剣神

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!?」

 

威風堂々と山門の前に立っていた青年にセイバーは驚きの声を上げ、少々困惑する。

容姿が整っていることにはあえて触れない。

強き意思を持つ瞳にもまた同様だ。

サーヴァント―――英霊であるならば、そのくらいは持っていてもおかしくないからだ。

問題は衣装。

前回の聖杯戦争(・・・・・・・)を踏まえても、彼の服装は過去のものではなくこの時代に近いものがある。

凝った変装をされられたので、その辺の感性には自信がある。

さらに彼から感じる気配は一般人のそれに近く、とても戦闘者とは思えない。

しかし、彼はサーヴァントであるとセイバー自身が理解している。

 

サーヴァントの気配を持つ、一般人。

 

青年はそんな印象を与えるような雰囲気を身に纏っていた。

 

「ふむ・・・西洋の甲冑に身に纏う剣気。 そして気高き心を表したような瞳・・・・・・なるほど、君がセイバーか」

「・・・・・・っ」

「驚くことではないだろう? 簡単な消去法だ。 槍兵とは戦ったし、魔術師はこの奥にいる。 理性を失っているようにも見えないし、弓兵なら正面から挑んではこないだろう。 そもそもそれだけの剣気を纏っている時点で、セイバーでなかったとしても、剣使いであることに間違いはない」

 

その話を聞いて、セイバーにも彼のクラスが特定できた。

ランサーはマスターこそ不明だが正体はクー・フーリンと判明しており、戦闘済み。

アーチャーは、同盟の相手である遠坂凛のサーヴァントだ。

ライダーは彼女の主である衛宮士郎がすでに出会っている。

バーサーカーはイリヤスフィール・フォン・アインツベルンのサーヴァントで既に戦闘済み。

キャスターはこの奥にいると彼が言っていた。

つまり―――

 

「貴方はアサシン、ですか」

「・・・些かお喋りが過ぎたか。 いや、どちらにせよ俺のクラスに辿り着くのは時間の問題か・・・・・・」

 

暫し熟考するように手を組みながら目を瞑り、やがて青年は目を開けて真っ直ぐセイバーを見る。

 

「アサシンのサーヴァント、高町恭也だ」

「なっ!?」

 

本来隠すはずの真名を明かしたアサシン―――恭也にセイバーは驚きを隠せない。

 

サーヴァントは真名を隠すものだ。

伝承に伝わる英雄である以上、真名から宝具の名前や効果、さらには弱点まで露見してしまうからだ。

逆もまた然りで、宝具から相手の真名を知ることもできる。

英雄とその象徴たる宝具はワンセットになっているからだ。

実際にランサーことクー・フーリンは刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)を使ったことで、真名をセイバーに知られている。

 

「・・・何のつもりですか、アサシン」

「む? 別にどうということでもないだろう。 この場に呼ばれはしたが、英雄なんて大層なものでもないのでな。 それと俺の名前は恭也だ」

 

不思議そうな顔で問い返してくる恭也に、セイバーは返す言葉を失う。

 

「・・・・・・キョウヤ」

「うむ。 それで、何用だセイバー。 この先は通行禁止なのだが・・・・・・」

 

恭也にペースを崩されていたセイバーは、その言葉で名を名乗るかどうかの逡巡さえ忘れて、本来の目的を思い出す。

 

「キャスターを打倒しに来ました」

「ふむ・・・・・・だが生憎とこの先へ行かせるわけにはいかない」

 

そう言って恭也は左腕を振る。

と、いつの間にかその手には、鞘に納まった刀より短く脇差より長い―――所謂小太刀と呼ばれる刀が握られていた。

それを腰に差し、すら、とその刃を引き抜く。

恭也の動きに呼応するように、セイバーも己が不可視の剣を構える。

 

「彼女には恩がある。 通りたければ、俺を打倒してから通るのだな」

「言われずとも!」

 

会話の終わりと同時にセイバーが石段を駆け上がる。

大して恭也はその場を動かずにセイバーを迎え撃つ。

そうしてセイバーは己が間合いに入り、恭也を両断せんと不可視の剣を振り下ろす!

 

ギィン!

 

金属音を立てて不可視の剣の軌道が逸れる。

腕の位置と足運びから剣の位置を予測した恭也が、小太刀で剣の軌道を逸らしたのだ。

 

ギィン! ガキィン!

 

続いて迫る二撃目三撃目を同じく小太刀で捌いていく。

 

「・・・っ!」

 

攻撃の手を休めることなくセイバーは剣を振るう。

その重い攻撃を恭也は左手に持った小太刀で捌いていく。

 

剛の剣を振るって叩き斬ろうとするセイバーと、柔の剣でそれを捌く恭也。

 

奇しくも西洋の剣と東洋の剣が、どちらが上かを競っているようにぶつかり合う。

セイバーが攻勢に攻勢を重ねるのに対し、恭也は攻撃をせずに防御に徹している。

立ち位置に変化はないものの、徐々に恭也が押し込まれていく。

そして遂にセイバーの剣を受けた恭也が体勢を崩しながら後退させられる。

 

(取った!)

 

勝利を確信し、その刃を振り下ろそうと間合いを詰めた瞬間、彼女の直感が警報を鳴らす。

 

それ以上踏み込むと、死ぬ

 

「――っ!?」

 

その警報に従って即座に地を蹴って後退しようとする。

しかしそれは僅かに遅く、セイバーの目にさえも体勢を崩したと映っていた恭也は何事もなかったかのように(・・・・・・・・・・・・)身体を限界まで捻り、小太刀を持った腕を引く。

そこから少しのタイムラグもなく、地を蹴って弾丸の如くセイバーに迫る!

 

「“御神流 奥義之参――”」

 

その言葉を聞いた瞬間、ぞわっと寒気がセイバーの背筋に奔り、警報が最大音量で鳴り響く。

 

「“射抜”」

 

繰り出される刺突。

銀色の閃光がセイバーの心臓目掛けて一直線に突き進む。

セイバーの直感をして、『死』を強く感じさせるその閃光を、

 

「ぁぁぁあああああああ!!」

 

彼女は己が剣を強引に振ることで、突き出された小太刀に僅かに掠らせて軌道を逸らす。

心臓には当たらなかったものの肩に直撃したその『刺突』は、セイバーを軽々と後方へ吹き飛ばした。

 

「くっ!」

 

空中で体を捻って足から着地するも、セイバーは山門からかなり引き離された。

 

「ふむ・・・今ので決まりと思ったのだが、流石はセイバーというところか」

 

そんな淡々とした恭也の言葉をセイバーは苦々しい思いで聞いていた。

 

アサシンと聞いて、少なからず正面から戦えば勝てるという侮りがあった。

その慢心が、先ほど彼がわざと崩した体勢(・・・・・・・・)を勝機と感じて疑いもせずに、勝負を決めようとしてしまった。

自身の直感によって助かったとはいえ、あの場面でやられていてもおかしくはなかった。

とても暗殺者とは思えないほどの剣腕を持ち、少しの隙でも見せれば先程のような必殺の攻撃を放ってくるだろう。

 

―――彼は、強い!

 

「・・・・・・非礼を、お詫びいたします」

「そんな必要はない。 むしろそのままのほうが楽なのだが」

 

セイバーの謝罪にもどこ吹く風、と侮られたことを大して気にしていない恭也。

そして不意に真剣な表情でセイバーを見据えると

 

「だが・・・慢心が無くなったのならば――」

 

恭也が右腕を振る。

最初の小太刀のときと同じようにもう一本(・・・・)黒塗りの小太刀が出現する。

既に差してある小太刀の鞘にクロスするように小太刀を差した後、すらりと小太刀を抜く。

 

「一本では少し厳しいか」

「―――二刀流!?」

 

相手が本気でないことが先の刺突で分かっていたのだが、二刀流とは思っていなかった。

確かに彼は、一本のときでも左手だけで小太刀を扱っていて、右手はたまに添える程度であった。

そこを多少不審に思ったものの、大して気にはしていなかったのだが、二刀流であるのならそれにも納得できる。

 

しかし問題はそこではない。

 

一刀の状態ででも恭也の防御を突破することはかなわなかったのに、二刀になったことで単純に手数が倍に増えることになる。

それは鉄壁の防御を意味することでもあり、また・・・・・・

 

「さて、今度はこちらから行くぞ」

「っ!」

 

先程までのようなセイバーの一方的な攻勢にはならないということだ。

何気ない動作で石段を降りつつ恭也はセイバーに迫る。

二本に増えたからといっても、間合いが広がったわけではない。

故に先制はセイバー、剣の間合いに恭也が入った瞬間に迎撃する。

それを左の小太刀で恭也は捌きながら間合いを詰める。

 

ギィン!

 

剣と刀がぶつかって火花を散らす。

ここまで先程と大して変わらない。

しかし、打ち合ったセイバーには違いが体に染み渡るほど理解できた。

 

(重い!? 先程までにはなかった、芯に響くような重みが加わっている!)

 

魔力を大量に乗せていなければ、腕が痺れてしまうのではないかと思わせるような一撃。

それが両方の小太刀から攻撃されるたびに、襲い掛かってくるのだ。

 

「くっ!」

 

一旦間合いを離すために、しゃがんでかわすには低く、飛んでかわすには高い微妙な高さで剣を横薙ぎに振る。

セイバーとしては恭也に攻撃を受けさせることで、間合いを離そうとしたのだが・・・

 

「――なっ!?」

 

恭也は、まるで不可視の剣が視えているかのように、紙一重の位置で退いて(・・・)かわす。

そしてセイバーが動揺した隙に、自信の間合いに入って小太刀を振るう。

 

「――!」

 

強引に地を蹴って剣を上げながらそれを防ごうとするセイバー。

しかしあろうことか恭也の小太刀は、そこに剣があるとは感じさせないようにセイバーの剣をすり抜けて(・・・・・)、セイバーの胴を斬りつける。

 

「なぁっ!?」

「・・・む?」

 

間髪入れずに恭也の鋭い蹴りがセイバーの鳩尾に直撃し吹き飛ばす(・・・・・)

辛うじて受身を取ったものの、セイバーが顔を上げたときには恭也は既に山門の前に戻っていた。

 

「・・・・・・どういうつもりですか」

 

お腹を押さえつつ立ち上がったセイバーは、恭也を睨みつけながら憤りをあらわにする。

 

先程の場面で、蹴りではなく、あの刺突を繰り出されたら間違いなくセイバーはやられていた。

それは受けた本人が一番よく分かっている。

そして最後の蹴り。

芯に響くような重みがなく、ただ単に吹き飛ばすだけの代物であったのだ。

 

仕留められたのに仕留めなかった。

視線だけで相手を射殺せるような視線を浴びながらも、恭也はその視線を受け止めた後、ちらりと周りの森に目を向ける。

 

「ふむ・・・・・・漁夫の利を得ようとしている輩がいるのでな。 そいつにいい思いをさせるのは気分が悪い」

 

その言葉を聞いて、セイバーは辺りの気配を探ってみる。

 

「・・・・・・・・・っ! サーヴァント!」

 

恭也との戦いに集中してて気づかなかったが、微弱だが確かにサーヴァントの気配を感じる。

 

「今日は帰れ、セイバー。 次に会うときは、その騎士剣を拝ませてもらえると嬉しい」

「――っ!?」

「刀身は三尺余り、幅四寸といったところか・・・典型的な騎士剣の形状をしている。 装飾は流石に分からんがな」

 

苦笑しながら語るその内容は、驚愕するには充分だった。

最初、鎌をかけているだけではと思ったセイバーだったが、ここまで完璧に言い当てられては押し黙るしかない。

 

「・・・・・・・・・・・・キョウヤ」

「なんだ?」

 

押し黙ったセイバーが恭也を見上げる。

そこには先程の怒りなどもう残ってはいなかった。

 

「私が貴方を打倒するまで、決して倒されないでほしい」

「・・・・・・・・・・・・」

 

そんなことを言われるとは思っていなかった恭也は、ぽかん、と呆気にとられた表情をした後、楽しそうに笑い、

 

「君のほうこそ、な」

「ええ、勿論です」

 

そう言葉を交わした後、セイバーは石段を駆け降りていく。

そのセイバーを追撃するでもなく見送った恭也は、こちらの様子を伺っていたサーヴァントが帰るまでずっと頭上の月を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の剣士の約束。

それが果たされるかは、神のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

あ〜、七彩です。

電波です、ちょっと気が向いたからこんな感じのを書いてみました。

恭也は強すぎですが、その辺はスルーしてもらえると助かります。

アハト氏のとらハ×デュエルを見て書きたくなっただけですから・・・・・・

では。

 

 

 

あとがき2

矛盾してたところを修正したのと、パラメータを付け足してみました。

恭也の持つ宝具を知りたくなければスキル以降をスクロールしないでください。

なおパラメータの数値はエミヤの数値を基準にこんなもんかな、という範囲で付けてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーヴァントデータ

 

クラス:アサシン

マスター:???

真名:高町恭也

性別:男 身長176cm 体重69kg

属性:中庸・善

能力

筋力:B(A) 魔力:E(D)
耐久:D(C) 幸運:B(A)
敏捷:B(A) 宝具:A〜EX

()内は『護衛』スキル発動時のパラメータ

スキル

御神真刀流小太刀二刀術 正統奥義『鳴神』―――極限の修練・死闘の経験の積み重ねによって得られる見切りの境地。 得られた情報と戦闘経験に基づく冷静な状況判断力によって活路を見出す。 別名、御神真刀流小太刀二刀術 貫式奥義之極『鳴神』

心眼(偽):B―――直感による危機の回避。

投擲:B―――ものを投擲する力。 話によると銃弾並の速度と威力を出せたらしい(扱いが悪いと嘆く某弟子談

気配遮断:A―――暗殺者たる不破の血を継いで、その技術を磨いたためランクは高い。

護衛:A―――戦場に護るべき対象がいるとき、又は護りの戦いのとき、全てのステータスがランクアップ。

永全不動八門一派 御神真刀流小太刀二刀術:A+―――恭也が扱う古流剣術。 A+は、正統奥義『鳴神』の域に達して、斬式奥義之極『閃』を使うことができるといこと。

神速:A―――知覚力を増大させリミッターを解除、それに呼応して敏捷値が++修正される。 結果、超高速で行動することが可能になる。 御神の剣士が最強と呼ばれる理由の一つ。

 

 

 

宝具

 

護るために殺す刃(八景)

レンジ:一人 対人宝具 ランクA

不破に伝わる伝承刀。

長い年月の間に不破の剣士の想念が込められており、読んで字のごとく、不破の存在理由(レゾンデートル)である『対象を護るために相手を殺す(・・・・・・・・・・・・・)』効果を持つ。

しかしいつでも使えるわけではなく、発動するに当たってクリアしなければならない条件がある。

1.護る対象が危機に瀕していないと使うことはできない。

2.さらにその護るべき対象と、護るために殺す相手が恭也の小太刀の間合いにいなければならない。

以上の二つをクリアすると『八景』は発動可能となり、護る対象に向けられた危機の要因を無効化して(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)相手を斬り殺す。

 

御神の理を成す、護衛の刃(龍鱗)

レンジ:恭也の前面から背後の範囲 結界宝具? ランクA〜EX

御神宗家に伝わる伝承刀で、長い年月の間に御神の剣士の『護る』という想念が込められている。

護りに特化し、発動すれば『護衛』という言葉を表した『自身と護衛対象を護りきる(・・・・・・・・・・・・)』という効果を持つ。

護衛対象を護りたいと思う気持ちが強ければ強いほど、強固な護りとなる。

『八景』と同じような使用条件があり、

1.護る対象が危機を迎えていないと使うことはできない。

2.護る対象を背に庇うこと。

この二つを満たすと、発動が可能になる。

 

 




セイバーと恭也の戦い。
美姫 「一応、引き分けね」
うんうん。あのまま戦っていたら、どうなっていたか。
美姫 「あの状況からすると恭也の勝ちなんだけれどね」
もし、セイバーが万全だったとしたらどうなるかな。
美姫 「それはちょっと面白そうね」
ともあれ、投稿ありがとうございました。
美姫 「ありがと〜」



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