第三話「吸血鬼殺人」






 〜大道寺邸
『おはようございます。今朝のニュースをお伝えします』
 テレビからニュースが流れる。
『まず、昨夜、友枝町で起こった殺人事件ついてからお送りします。昨夜、11時ごろ友枝駅周辺で無差別に通行人を襲い殺す事件が発生しました。通報を受けた警察が駆けつけた所、多数の人が殺されているのが見つかりました。之までの捜査で、見つかった死体は、体中の血液が無くなっていたりバラバラに引きちぎられていたとのことです』
 ニュース原稿を読み上げるニュースキャスター。
『なお、事件の影響で鉄道、バスは始発から運休で運行再開の目処は立っていないとのことです。事件現場の会社では、本日を臨時休業日として従業員を自宅待機にしているとのことです』
「やってくれたわね」
 アテネが言う。
「さくら、此のままほっとく分けにも行かんで」
「では、カードキャプターの出番ですわね」
 知世は、目を輝かせて言う。
『では、現場を呼んで見ましょう。現場の有坂さん!?』
『此方、現場の有坂です』
 現場のキャスターは、有坂というらしい。
『有坂さん。現場は、如何いう状況ですか?』
『現場は、悲惨な状況です。バラバラに裂かれた死体が当たり一帯に散らばっており一面血の海です』
 現場の状況を伝える有坂。
『一部の死体に血がないとの情報があるのですが本当ですか?』
『はい。本当です。一部の死体には血液が全くありませんでした』
 テレビのチャンネルを変えると何処も友枝で起きた殺人事件のニュースだった。




 〜三咲高校
「おい。遠野、テレビ見たか!?」
「見てないけど、何かあったのか?」
「今度は、友枝とか言う町で吸血鬼殺人があったて」
「吸血鬼殺人!?」
「知らないのか……」
「知らない」
 知らないと言う志貴。
「じゃあ、此のことも知らないよな。ウチのクラスから行方不明者が出たっという事もしらんだろうな」
 行方居不明者が出たという有彦。
「誰が行方不明になったんだ?」
「女子達は、大騒ぎだぜ。クラスのアイドルが失踪したってな」
「お前ら、席に着け!! 出席をとる」
 話をしているところに担任がやって来た。
「先生!! ウチのクラスから行方不明者が出たって本当ですか!?」
「本当だ!! 例の事件に巻き込まれたらしい」 
「例の事件て、吸血鬼殺人ですか?」
「其れは、わからん。今言えるのは、昨日家に帰って来なかったという事だ」
 教室を見渡すと一つだけ主の居ない机があった。
 そう行方不明の弓塚の席だ。


 昼休みになり志貴は食堂に居た。
『では、此処からは昨日深夜発生した無差別殺人事件についてお送りします』
 テレビから流れるニュース。
『昨夜、友枝町の友枝駅周辺で無差別殺人事件が発生しました。犠牲者の殆どは、会社員で体中の血液が無くなっていました』
「物騒だな」
「そうですよ。遠野君」
「シエル先輩!!」
「物騒なんですよ」
『警察の発表によりますと犠牲者は、50名以上に上っているとの事です』
「うぇっ」
「有彦、きたねぇ!!」
「食事時にグロテスクな映像を流すな」
 口を押さえて言う有彦。
『事件の手口が三咲町で発生している猟奇殺人事件と似ている事から関連があるものと見て捜査を続けております』
「そう言えば、こっちの事件の犯人捕まってないよな」
 事件の話をする有彦。
「お前は、吐くか、食うか、喋るかどれかにしろ!!」
『事件から半日以上たった今も現場周辺では規制線が敷かれた状態が続いており、住人の生活に影響が続いております』
「友枝って隣じゃなかったけ?」
(よりにもよって、あの町ですか)
 シエルは、聞こえないように呟く。
『事件による交通マヒは終日続く見通しです』
「弓塚の奴、事件に巻き込まれたんじゃないか? なぁ、遠野!!」
「俺は、弓塚さんを途中まで送ったが……」
「そうですよ。何で最後まで送ってあげなかったんですか!?」
 皆して遠野を苛める。
『現場に残された遺体は、バラバラに引き裂かれたものや体中の血液が無くなっていることから三咲町の事件の犯人が潜伏している可能性もあるとして付近の住民に注意を呼びかけています』



 〜私立星條高校
「昨日、クラブ活動中止と言ったが、昨夜の事件を受けて緊急職員会議を行って対応を決めた。校長の判断は、事件が解決するまで午前中授業とすると言うことだ」
 教室内は、騒がしい。
「静かにしろ!!」
 怒鳴る担任。
「良いか、お前ら。事件があった駅周辺には、行くなよ。もし行ったら警察に補導してもらうからな」
 脅しをかける担任。
「連絡事項は、以上だ!! 気をつけて帰れよ」




 〜大道寺邸
「今夜の行動を確認しよう」
 ウォンが今夜の行動を確認する。
「さくら様は、暫くは動けん。アテネよ、お前一人で死者狩りは大丈夫か!?」
「誰に言っているの?」
「そうじゃったな」
 話し合いの結果、アテネが死者を狩ることになった。
 残りは、大道寺邸で待機兼護衛だ。




 〜友枝町廃ビル
「さぁ、今夜も兵隊を増やしてやる」
 廃ビルの屋上で街中を見下ろす。
「同属か?」
「誰だ!! 俺の領地に」
「ネロ・カオス……」
「二十七祖が俺の領地に何の用だ!!」
「貴様は、此の領地をどれ位で得たか?」
「たったの一晩だ」
「たったの一晩か……面白い。同胞達に貴様の事を伝えてやろう」
「終に俺も二十七祖の一柱に成れるのか!!」
「お前が二十七祖に成れるか決まったわけではない。お前は、蛇の事は知っているか?」
「蛇? あの二十七祖にも数えられていない奴だろ」
「蛇は、私の親友だ」
「じゃあ、貴様は認めているのか?」
「戯言を……。奴は、吸血種の意味を成さない。だが、他の奴らよりアレを理解しているつもりだ」
 ネロと話す年若い吸血鬼。
「貴様、名は?」
「俺の名か!? 俺の名は、佐々木省吾」
「佐々木省吾か……。貴様の軍勢を強化するのを手伝ってやろう」
「手伝ってくれるのか?」
「貴様もアレが邪魔では動けんだろう」
 ネロはそう言ってビルから降りていく。

 
「コラ!! 此処は立ち入り禁止区域だぞ」
 警官がネロに言う。
「食事の時間だ。喰らえ!!」
 ネロから無数の獣達が出て行って片っ端から警官を喰らっていく。
「うわぁ。丸呑みかよ」
「さぁ。邪魔者は、喰らってやった。後は、好きなだけ軍勢を増やすがいい」 
「此れから何処へ行くんだ!?」
「知れたこと。真祖の姫君を喰らいに行く」
「真祖の姫君って、あの処刑人か?」
「如何にも」
 省吾は、震える。
 あのアルクェイドを取り込もうというからだ。
「貴様に一つだけ言っておく。此の町にも真祖が居る」
「馬鹿なこと言う。真祖は、アルクェイド以外居ないはずだ」
「信じる、信じないは、貴様の勝手だ!!」
 そう言うとネロは、何処かへ消えていった。
「今日は、城に戻るとするか」


 ネロと省吾が去った後、交代の警官が見たもの……。
 其れは、同僚の変わり果てた姿だった。
「本部!! 本部!!」
『如何した!? 何があった?』
「ど、どど」
 其の警官は、報告できない。
「貴様も我の軍勢に加われ!!」
「ぎゃぁぁぁっ!!」
『報告をしろ!! 何があった!? 出木杉巡査!!』
 一人の警官の一生の幕が下りた。
「早く、城に戻るか……」
 新たな兵を得た省吾は、現場を後にした。


 省吾が去った後……。
「逃げた後か……」
 気配を察知して駆けつけたアテネが見たものは、殺された警官たちだった。
「随分、やってくれたわね。見つけ出して処刑してやるから……」
 其れだけ言うとアテネは、夜の街へ消えていった。

 無線が途切れた事を不審に思って駆けつけた警官が見たものは無残な同僚達の姿だった。
 二夜連続で夜の友枝町にパトカーのサイレンが鳴り響いた。



 〜大道寺邸
 一夜明けた朝のニュースは、警官殺害の事件だった。
『おはようございます。一昨日、多数の住人が殺害された友枝町で昨日も殺人事件が発生しました』
 昨夜の警官殺人事件を伝えるニュースキャスター。
『殺害された警官は、一昨日発生した殺人事件の現場の警戒に当たっていたとの事です』
「これ以上、被害の拡大をほっておくわけにも行かんな」
「今夜は、暴れても宜しいのですね」
「だが、城を見つけん事には暴れられんぞ」 
 現に友枝町に潜伏している死徒の城は、見つかっていないのだ。
『今日も友枝町の交通は終日乱れる見込みです』
「さっちゃんも城を探すの手伝って貰わないと」
「わたし、出歩けないんですけど」
 出歩けないと言うさつき。
「何で? 気持ち良いよ」
「さつきさんは、行方不明中ですよ。警察に見つかれば、最重要参考人として連行されちゃいますよ」
「残念……。アルクちゃんに紹介しようと思ったのに」 
「急がずとも近いうちに会う事になるじゃろう」
「じゃあ、私とアンゼロットで城を探すから」
「ワシは、アルシャードとさつきに魔法でも教えるかの」
 さつきに魔法を教えるというウォン。
「ウォン。協会が言う魔法を教えるの?」
「協会が言う魔法じゃない。クロウの魔法じゃ」
「さっちんにクロウの魔法が使えるの?」
「真祖に成った逸材じゃ。問題ない」
『たった今入ってきた情報です。三咲町で、死後2〜3日経った死体が発見されました』
 速報を伝えるテレビ局各局。
 どの局も、速報で伝えている。
『友枝テレビから住民の皆さんにお知らせがあります』
 友枝町には、友枝テレビという局があるようだ。
『友枝駅周辺は、警察による封鎖が続いております。危険ですので近づかないようにしてください』
「では、わたしは学校へ行ってきますわ」
 知世は、さくらと合流して登校して行った。




 ケロちゃんにおまかせ
「こにゃにゃちわ〜ケロちゃんにおまかせの始まりや」
 テーブルの上には、マイクとジュース、お菓子が山のように詰まれた皿がある。
「まさか、友枝に死徒が入り込むとは思わへんかったわ。流石のクロウも予想出来へんかったんか?」
 ジリリリリンと電話が鳴る。
「もしもし。ケルベロスや!! あんさん、誰や?」
『私ですよケルベロス』
「イキナリ電話してくんな」
『今回電話をしたのは、友枝町に入り込んだ死徒についてです。私……いえ、クロウ・リードは、始からロアとネロ・カオス以外の死徒が入り込む事を知っていました』
「知っているなら、何故話さんかったんや!!」
『私が教えたら対価を貰う事になるからです』
「確認するけど、友枝に入り込んだ死徒の結末も知っとるんやな」
『はい。其の死徒が如何なるか知っています』
 結末を知っていると言うエリオル。
『ほんじゃ、ワイは仕事あるさかい』
 エリオルからの電話を切り話を再開する。
「友枝の死徒が如何いう結末を迎えるかは、シナリオが進んでからのお楽しみや」
 シナリオが進んでからのお楽しみと言うケルベロス。
「ネタバラシになるが、三咲町にも死徒が入り込むらしいんや。そいつ等の容姿は、まだ教えられへんねん」
 一息つこうとジュースを飲む。
「また、中途半端な所で時間切れみたいや」
 コーナー終了の時間が来たようだ。
「次回も張り切ってお送りするから楽しみにしててな。ほな!!」






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