第五話「吸血姫月村すずか誕生なの!?」






 
 さつきは、テレサの城に向かっている。
 なのはとユーノを連れてだ。
「此処から落ちるでないぞ!!」
 移動中も警告をするさつき。
「落ちても知らぬからな」
 テレサの城へ急ぐ。


 テレサの城
「姫様!!」
「わかっておる。何者かがわらわの城に近づいてきているのであろう」
 テレサもさつきの接近に気づいたようだ。
「いったい何者なんでしょうか!?」
「向かってくる気配は三つ……一つはあの時、痛めつけてやったヤツと同じ気配だ!! 後一つは知らぬ気配だ」
「姫様、死者たちに迎え撃ちさせますか?」
「いや、よい。其れよりも昨日捕らえた小娘を連れてまいれ!! 人質として使う」
「畏まりました」
 セバスチャンが捕らえたすずかを牢から出しにいく。
 少ししてすずかをつれて来た。
「姫様、連れてまいりました」
 その時、階下から爆発音がし建物が揺れた。


「目障りだ!! 消えうせろ!!」
 さつきが爪を振るっただけで大勢の死者が灰になった。
「なんて破壊力なんだ」
「ふぇぇえっ!!」
 あたふたするなのはを他所に死者を処刑していくさつき。



「姫様!! 音が近づいてまいります」
「この城の死者達だけでは止められぬか……」
(死者どもよ道を開け玉座の間まで下がれ!!)
 テレサが死者たちに命令を出す。


「我を誘っているのか!?」
 下がって行く死者の行動を見て判断するさつき。
「下がっても親の吸血鬼と一緒に処刑してやるまでよ」
 死者たちが下がって出来た道を一気に駆け上がる。
「ま、待ってください」
 なのはは、はるか上の階へあがって行ったさつきを階段で追いかける。


「その方がこの城の吸血鬼か?」
「貴様!! 姫様の御前だぞ、跪かんか!!」
 セバスチャンがさつきに跪くよう言う。
「よい。わらわがこの城の主、テレサ・ブリュンスタッドだ!!」
「貴女は、誰の許しを得てブリュンスタッドの姓を名乗っておる」
「許しを請う必要があると思うか? この世界の王はわらわだぞ」
 この世界の王は自分だというテレサ。
「わらわの城に侵入したからに覚悟は出来ていような!?」
「真祖の王族である我に問うとは愚かな……」
「貴様、名の名乗れ!!」
「我に名乗れと言うか!? 一度しか言わぬからよく聞くが良い」
 さつきがテレサに名乗る。
「弓塚さつき・ブリュンスタッド」
「ブリュンスタッドだと!! ブリュンスタッドを語る事は許さぬ。ブリュンスタッドを名乗っていいのはわらわだけだ」


「はぁっはぁっはぁっ。や、やっと追いついた」
 階段を駆け上がって来たなのはは息が切れている。
「あの時の小娘か!? まだ、殴られたりなかったか?」
 なのはに殺気を向けるテレサ。
「セバスチャン!!」
「はい」
 セバスチャンがすずかを後ろから羽交い絞めにする。
「や、やめて」
 振りほどこうとするすずか。
 吸血鬼の力で羽交い絞めにされているため振りほどけない。
「す、すずかちゃん!!」
 助けようとすずかに近寄ろうとするなのは。
「動くな!! 少しでも動けば、この娘を殴る」
 すずかを盾に脅すテレサ。
「ひ、卑怯だぞ!!」
「動いたな? 先ずは、一発……」
 そう言うとすずかの腹に強烈なパンチを叩き込んだ。
 すずかの腹部にテレサの拳が埋没している。
 其の拳は、明らかに背中に達している。
 すずかは目を閉じ口からは血の混じった液体が筋をひいている。
「もう一度言うぞ。動けば、この娘を死ぬまで殴る」
 なのはの動きを封じるテレサ。
「そっちも動くな!! 動けばこの娘が血を吐くだけだぞ」
 テレサは、さつきも牽制する。
「出来る物ならやってみるが良い」
「言ったな!? 如何なっても知らんぞ!!」
 テレサは言い終わるとすずかの方に向き直った。
 すずかの方に向き直ったテレサは、すずかの腹に強烈なパンチを何度も叩き込む。
 すずかの腹にテレサの強烈パンチが叩きこまれる度に口から赤い液体があふれ出す。
 強烈なパンチに混じって何度かに一回破壊力満点の膝蹴りがすずかの腹に突き刺さる。
 膝蹴りをされた時に一際大量の血を吐いている。
 胃に溜まった血が膝蹴りのときに一気に押し出されているようだ。
「ひどいよ!!」
 すずかの腹を殴るテレサの手が止まる。
 テレサの両ではすずかが吐いた血で真っ赤に染まっている。
「何か言ったか!?」
 テレサの眼光に縮むなのは。
「そう言えば、お前は青い石を探していたな? これ以上、この娘が痛めつけられるところが見たくなければ青い石をわらわに差し出せ!!」
 なのはに青い石を渡すよう言うテレサ。
「渡しちゃ駄目だ、なのは!!」
「ジュエルシードは渡さない!!」
「この娘がもっと苦しみながら死ぬ所を見るがいい」
 テレサは、さっきより力を強くしてすずかの腹を殴った。
 すずかの腹からなのはが殴られた時の何倍もの嫌な音が聞こえた。
 一瞬すすかの体がピクンと動いた直後、之まで吐いた以上の量の血を吐いた。
「うがふっ!!」
「如何した!? 早くしないとこの娘が死ぬぞ!!」
 再びすずかの腹を殴りつける。
 テレサによる圧倒的な暴力がすずかへ加え続けられる。
「そら、早くしろ!! 本当に殺すぞ!?」
 殴られるごとにすずかの顔色は悪くなっていく。
 其れも急速にだ。
 幾つもの内臓が破壊されている為、尋常な速さではない。
「これ以上、すずかちゃんが傷つく所を見たくないよ」
「わらわに渡す気になったか?」
「如何しようか!? ユーノくん」
 まったくすずかの助けようがないなのはがユーノに聞いた。
「如何しようと言われても僕には助ける術がないんだ」
「わらわに渡す気になったのではないのか?」
 なのはは、渡すか迷っている。
「渡してはならぬぞ!!」
 さつきにかけられた声で思いとどまるなのは。
「すずかは、わらわが助ける」
「助けるたって如何やって……」
(我が使い魔達よ行け!!)
 さつきが気づかれないように使い魔を放った。
「そおら死ね!!」
 その一撃は、今まで以上の破壊力を持ってすずかの腹部に突き刺さった。
 すずかは、更に大量の血を吐いた。
「セバスチャン、お前も殴りたいか?」
「はい。ぜひ殴らせてください」
「では、その娘を鎖で吊るし好きなだけ殴るがいい」
 セバスチャンがグッタリしたすずかを鎖に吊るそうとした一瞬をさつきは見逃さなかった。
(逝け!!)
 さつきが使い魔に命じる。
 命じられた使い魔がセバスチャンへ襲い掛かる。
「うがぁっ!!」
 羽交い絞めにしていたすずかを鎖に吊るそうとしていたセバスチャンが悲鳴を上げる。
 鎖に吊るされようとしていたすずかが自ら吐いた血の海に倒れこんだ。
「セバスチャン!!」
 セバスチャンは、肩口を食いちぎられていた。
「ひ、姫様!!」
「セバスチャン、大丈夫か?」
 テレサの注意がそれた一瞬。
 血の海に沈んでいるすずかをさつきの使い魔が救出した。

 救出されたすずかの状態を確認するユーノ。
「酷すぎる」
「ユーノくん、すずかちゃんは?」
「もう手遅れだよ。今から治療しても助ける事はできないよ。心臓が止まりかけているんだ。もう何時止まってもおかしくないんだ」
 すずかの余命は残っていないようだ。
「すずかちゃんと二度とお話できないなんて嫌だよ」
 なのはの目から涙が零れる。
「なかないで、なのはちゃん……なのはちゃんに涙は似合わないよ」
 すずかが、凄く小さい声でなのはに言う。
「す、すずかちゃん。今直してあげるから」
「無理だよ。私が助からないというのはわかっているから……だって私のお腹の中グチャグチャになっているから」
 すずかの目から涙が溢れる。 
 なのはの間にさつきが割り込んですずかを抱き起こす。
「その方を助ける方法が一つだけある」
 すずかに助ける方法が在ると言うさつき。
「血は、飲めるか?」
「血は飲みたくない」
「我と同じ拒血か……嫌でも飲んでもらう。本当はわらわもこの方法を使いとうない!! 今この場でその方を助ける方法は其れしかない」
 すずかに血を飲めというさつき。
「飲まぬというのなら無理にでも飲ます。星の息吹よ!!」
 そう言うとすずかを床に寝かせ空想具現化で出した鎖ですずかの体を拘束した。
「何で彼女を拘束するんだ!!」
「すずかちゃんを鎖で縛るなってひど過ぎます。すずかちゃん、死に掛けているんですよ」
「そなた等はすずかに引き裂かれたいか?」
「すずかちゃんが私を引き裂くって……」
「万が一の時の保険だ!! 我の血を飲んで昂るやもしれぬ」
「昂るって……」
「すずかが夜の一族の吸血鬼でも昂ればどうなるかわからぬであろう」
 そう言ってさつきは爪で手首を割いてすずかの口に流し込んだ。
 真祖の王族であるさつきの血を受けたすずかの体に変化が起こる。
 さつきの血を受け、すずかの遺伝情報が書き換えられていく。
 遺伝情報が書き換えられるとグチャグチャに破壊された内臓が再生され始める。
 すずかの復元呪詛がフルに働く。 


「幾ら血を飲ませた所で其の娘を助ける事などできん!!」
 テレサがすずかを助ける事は出来ないと言う。
「セバスチャン、腕は再生できたか?」
「何とかできました」
「貴様らは、生きては返さぬ。此処で八つ裂きにしてくれる」
「その方らの相手は、我一人で十分だ!!」
 テレサとセバスチャンの相手は一人で十分だと言うさつき。
「たった一人でわらわとセバスチャンの相手をするだと!?」
「そう言ったであろう」
「其の言葉を後悔するがいい!! 死者どもよ、死に損ないの娘もろともあの娘を殺せ!!」
 すずかと共になのはを殺せと言ったテレサ。

 なのはとユーノに迫る死者の群れ。
「す、すずかちゃん?」
 さっきまで呻き声と共に鎖を引きちぎろうとしていたすずかが落ち着いた。
「な、なのはちゃん!! 其れに私……」
 すずかは、死のふちから蘇った。
「すずかちゃん、目が……」
 蘇ったすずかの目は、赤に変わっていた。
「話は後、あの化け物を片付けてくるね」
 死者たちを片付けてくると言うすずか。
「なのはでも倒せないのに無理だ!!」
 ユーノの言葉とは裏腹にすずかは死者たちを引き裂いていく。
「ねぇ、ユーノくん」
「なんだい、なのは!?」
「すずかちゃんから魔力を感じない?」
「確かに魔力の気配だ!!」
 今のすずかからは魔力を感じている。
 其の魔力はなのはを一回り二回り上まっている。
「今まで魔力を持っていなかった子が何故!?」
 すずかが巨大な魔力を身につけた事に疑問を感じるユーノ。
「アレだけ酷かったダメージが嘘のように消えている」
「すずかちゃん、さつきさんに血を飲まされただけだよね」


「何故だ!? 何故、あの死にかけていた小娘が蘇った?」
「まだ判らぬのか!?」
 テレサは、まだ理解していない。
「真祖の王族である我の血を与えたまでよ」
「血を飲ませただけで治せるものでは無いであろう」
「戯け!! 真祖の王族、アルクェイド・ブリュンスタッドの血を受けし我の血だ」
「何故、アルクェイドの名が出てくる!? 貴様は、何者なのだ?」
「我は、アルクェイドの孫だ」
「アルクェイドの孫が何故この世界に来ている」
「我は、“クロウの後嗣”にこの世界に飛ばされただけだ」
 テレサの体が震える。
「“クロウの後嗣”だと!! 何故、貴様が其の二つ名を知っている?」
「其の知識は、その方を吸血鬼にした者の知識だな!?」
 図星をつかれるテレサ。
「その方を吸血鬼にした者は如何した?」
「わらわの親!? そんなヤツ、とうの昔に殺してやったわ」
「死徒の伝統、親殺しをしたというわけか……」
「姫様!! 死者たちが、死に損ないの小娘に……」
 テレサの死者たちがすずかによって倒されてく。
「あの小娘は、何故血による支配を受けずに自我を保っているのだ!?」
 すずかは、さつきの血の支配を受けずに自我を保っていた。
「何故、吸血衝動が起こっておらぬのだ!!」
「そんな事もわからぬのか!? あの娘は、生来の吸血鬼の血筋ぞ。確か“夜の一族”だったかの……」
 すずかは生来の吸血鬼だった。
「後は、その方と其処の死徒だけだぞ!!」
 すずかによって死者は狩りつくされていた。
「成り立ての小娘に死者を全滅させられるとは思わんかった」

「さっきのお礼を何億倍にして返してあげようか」
 両手を真っ赤に染めたすずかが言う。
「血を失っている状態で何が出来るというのだ!?」
「くすっ。くすくすくすっ」
「何がおかしい?」
「だって、貴女は私に殺されるんだから……」
 自分に殺されるとテレサに言うすずか。
「出来るものならやってみるがいい」
「さつきさん、なのはちゃんと少し離れていてください」
 何も言わずにすずかから離れるさつき。
「真祖ともあろうものが逃げるのか?」
「その方は、固有結界は使えるのか?」
「使えぬ」
「ならば、其の身で味わってみるがいい。この娘の固有結界をな……」
 すずかは、固有結界が使えるようだ。
「此処は、危険だ!! もう少し下がるぞ」
「危険って……」
「見ていればわかる。其の前に……」
 さつきは、自分の周りに固有結界から身を守る結界を張った。

「我は、夜の一族の吸血鬼なり」
 すずかが、固有結界を発動させる呪文を詠唱し始めた。
「血を吸う鬼なれど人の心は捨てず」
 すずかが詠唱を続けるにつれ魔力が高まる。
 詠唱の末、其れは完成した。
「“月夜庭城”」
 真名が唱えられた瞬間景色が一変する。
 其処には、すずかの心情風景が具現化されていた。
「何なんだ此処は!?」
「此処は、私の心情世界」
「何だ!? 体に力が入らぬ」
「姫様!!」
 セバスチャンの体が崩れていく。 
「貴方に一番最初にお腹を殴られた時のお返しがまだだったね」
 すずかがセバスチャンお返しをすると言う。
「私の攻撃に耐えてね」
 すずかが笑顔の中に殺意を込める。
 すずかは、セバスチャンの腹に力一杯のパンチを叩き込んだ。
 在ろうことか、すずかのパンチはセバスチャンの腹部を突きぬけ背骨をへし折り背中側から腕が出ていた。
「あがぁぁぁっ」 
 激しい苦痛に呻き声をあげるセバスチャン。
「直ぐに楽になれると思わないでね」
 すずかは、セバスチャンから腕を引き抜くと今度は首を掴んで持ち上げた。
 少女の細い腕が大の大人を軽々持ち上げていた。
 セバスチャンの首からは骨が軋む音が聞こえてくる。
「月の裁きを受け逝け!!」
 セバスチャンから月の加護を奪い取るすずか。
 月の加護を止められたセバスチャンの体の崩れが加速する。
 そしてセバスチャンの体が完全に灰になった。
「貴様、セバスチャンに何をした!?」
「この結果内では月の力は全て私のものになるの」
 すずかの固有結界は、月の力を独占出来るものの様だ。
「貴女は、まだ動けるんだね」
 動けるといってもテレサの動きは鈍っている。
「私が味わった苦しみを何億倍にして返してあげるね」
 今度は逆にすずかがテレサにお返しとばかりに攻撃した。
「うがぁっ」
「如何!? 苦しいでしょう」
「あがぁっ」
「私がどれだけ苦しい思いをしたか理解出来た?」
 膝を折って苦しむテレサ。
「うごふっ」
 口から血を吐くテレサ。
「私が受けた苦しみは、そんな程度じゃないよ」
 地面で苦しんでいるテレサを片手で持ち上げるとすずかはテレサの鳩尾を殴りつけた。
 すずかによる復讐が開始される。
 テレサは、黙って受け続ける事しかできない。


 固有結界の発動から1時間……
「本当はもっと苦しませてあげたいけど、此の結界の維持にも力が要るから次で終わらせるね」
 次で終わらせると言うすずか。
「貴女は、どんな方法で死にたい?」
「わらわを殺すとだと!?」
 悪あがきをしようとするテレサ。
「後悔しながら死んでね」
 すずかによるテレサへの死刑執行が行われた。
 テレサの体はすずかによって原型もわからないくらいに引き裂かれる。
 実際には後悔する間すら与えられなかった。
 テレサの死刑執行を終えるとすずかは、固有結界を解いた。
 其処には、テレサの肉片一つ残っていなかった。
「疲れたよ」
 力を使いすぎたのかすずかが倒れる。
 倒れる前にさつきがすずかを抱きとめた。
「本当は我が倒さねばならぬ相手だったが、そなたに倒されてしまったな……」
「すずかちゃんは?」
 心配したなのはが駆け寄る。
「血を失った状態で力を酷使した為に意識を失っただけだ。後で血を補給すれば目を覚ますであろう」
「なのは、奪われていたジュエルシードの封印を」
 なのはには大事な仕事が残っていた。
 ジュエルシードの封印という大事な仕事が……
「リリカルマジカル、ジュエルシード全部封印!!」
≪Sealing≫
 なのはは奪われていたジュエルシードを封印し終えた。
「なのは、お疲れ様」
「吸血鬼事件も何とかなったね」
「わらわの青い石を返せ!!」 
 すずかに殺されたはずのテレサが蘇る。
 粉々になっていた体が完全に再生されている。
「すずかを連れ下がっておれ。我が片をつける」
 だが、すずかを連れ下がることが出来ない。
「再生に殆どの魔力を使ってしまったぞ!! 貴様たちを殺した後で町の人間を襲って血を吸えば良いだけのこと」
「二度とその方が血を吸う事などありはせぬ」
 二度と血を吸うことは叶わないと言うさつき。
「わらわの石を返せ!!」
 テレサは、ジュエルシードを取り戻そうとなのはを襲おうとする。
 テレサの前に立ちはだかるさつき。
「其処をどけ!!」
「そなたにいいものを見せてやろう……」
「いいものだと!? わらわに何を見せるというのだ!!」
「本物のブリュンスタッド城をな」
 ブリュンスタッド城を見せると言うさつき。
 軽く目を瞑って何か呟く。
「何なんだ!?」 
「之がブリュンスタッド城だ」
 其処にはブリュンスタッド城が具現化されていた。
「本物の真祖の王族に喧嘩を売っていたのか……」
 既にテレサは戦意を失っていた。
「我が手、我が爪こそ星の息吹と知るがいい!!」
 さつきは、自らの爪でテレサを引き裂いた。
 引き裂かれたテレサは今度こそ完全に消滅した。
「命を賭した遊戯、見事であった」
「もう、復活する事は無いんですよね」
「二度と蘇る事はない。我が爪で完全に引き裂いてやった」
 二度とテレサが復活する事はないと言うさつき。
「引き上げるぞ!! そなた等も早く家に帰って休むがよい」
「すずかちゃんは?」
「すずかは、我が連れてまいる」
「巡回中のお巡りさんに見つかった如何しよう……」
「仕方ない。我が送ってやろう」
 なのはは、さつきによって家の前まで送ってもらい巡回中の警察に見つかることは無かった。
 そして、すずかを抱えてさつきも月村邸に帰った。

 月村家に帰ったさつきは、すずかをメイドに託し着替えてベットに倒れこんだ。
 そして、なのはにライバルが現れようとしていた。


 次回予告

 なのは「吸血鬼事件を解決したわたしたち」

 なのは「皆で遊びに行ったすずかちゃんお家は猫も子猫も沢山」

 なのは「ところが子猫の一匹がなんだか、とんでもない事になってもう大変」

 なのは「そして現れる新たなる魔法使い!! 彼女の目的は!?」

 なのは「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第6話『ライバル!? もう一人の魔法使いなの!』」


無事にと言えるかどうかは分からないけれど、すずかの救出はできたみたいだな。
美姫 「とは言え、真祖の血を飲んだみたいだけれどね」
なのはの方もさつきのお蔭で楽に回収できたし。
美姫 「今回は特に問題もなさそうだったわね」
だな。それじゃあ、この辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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