第31話「ドキドキ!お風呂場は熱き戦場なの!? 前編」






 
 授業終了のチャイムが鳴って今日も1日、学校での授業が終わりました。


「う〜ん! あぁ、ねむかったぁ〜」
「アリサちゃん、ちょっとうとうとしてたね」
「だって、退屈なんだもん。私の席、窓際だから日差しがポカポカあったかいし……」


 私、高町なのはは、小学三年生!
 今年の春までは、1年生の頃からの親友二人……。
 アリサちゃん、すずかちゃんと一緒に平凡な小三ライフを満喫していたはずだったのですが、いろいろな事件があって私の暮らしには、ちょっとした変化がおきました。
 なかでも、最近一番、大きな変化は……

「じゃぁ、ありがとうなフェイト」
「またあしたね」
「なんだよ、オマエ、また忘れ物して……フェイトに借りたのか?」
「うるせぇな!! たまたまだよ! たまたま」
「あはははっ。じゃあな、フェイト、アリシア」
「また明日……」
「ばいばい〜」
「フェイトちゃん、アリシアちゃん!」
「なのは……」

 春先に出逢って、それから暫く離れ離れだった大好きな友達……。
 フェイト・テスタロッサちゃんとそのお姉ちゃんのアリシアちゃんがウチのクラスに転入してきてくれた事。

「さぁ、早く帰って、昨日の映画の続きを見るわよ」
「うん。なのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃん! 準備いい?」
「うん」

 こんなぐわいで、何時も5人で一緒なのです。

「フェイトちゃんとアリシアちゃんももうすっかり学校に慣れた?」
 フェイトとアリシアに聞くすずか。
「多分少しは……」
「私も……」
 だきっ!
 すずかに抱きつくアリシア。
「でも、クラスの皆とも普通になじんでいるじゃない」
「うん。皆、いい子達ばかりだよね。話しかけたりしてくれるの凄く嬉しいよ」
「うん」
「フェイトとアリシア、体育のスーパープレイ以降、男子に人気あるしね」
「アレは、別に……そんな、スーパーとかじゃ」
「フェイトちゃんとアリシアちゃん、サッカーとかにも誘われていたしね」
「やってみたけどサッカーは難しいよ」
 すずかは、シュートで何人も男子を吹き飛ばしていた。
「ウチのクラスの男子、サッカー好きな子多いから、頼めばきっと教えてくれるよ?」
「うん、でも、外で遊ぶのもいいけど……私は皆と、すずかやアリサやなのはと一緒が楽しいよ」
「……うん!」
「ありがとう、フェイトちゃん!」
「すずか、今日もろうよ」
 また、バトろうと言うアリシア。
「アリシアって、バトルマニアだった?」
「そう言う、アリサちゃんは?」
「そう言えば、此処最近、血が騒いでいるような……」
「じゃあ、これから王族の庭園ロイヤルガーデンでやる?」
「あそこなら、何の心配も無いわよね」
「予定を変更して、すずかの家へGO!」
 すずかの家へと向かう仲良し5人組み。


「うわぁ〜デッケぇ車!」
「ほんまやぁ」
 それは、バニングス家の車なのだ。
「キャデラックのリムジンやな」
「キャデジンのデラックス?」
「くすっ。まぁ、そんな感じや!」
 ヴィータのボケに笑うはやて。
「おっ、信号青や! ヴィータ!?」
「はやて、発進!!」
 某宇宙戦艦の発進と同じ台詞を言う。
「レッツGO!!」
 車椅子を押すヴィータ。
 その横を小学生達が通り過ぎていく。
「小学校の下校時間なんだな……どおりで、うるせぇと思った」
「みんな元気でえぇことや!」
「あの白い制服って、アレだよね……。えっと……はやてに写真を見せてもらったあの子の……」
「すずかちゃんの学校の制服やね」
「そうだ!」
「ヴィータ、学校に興味あるか?」
「うぇぇ!?」
 突然の台詞に驚くヴィータ。
「いや、べつにそんなことないけど……」
「ヴィータ、一年生ぐらいかな? 制服着たらかわええやろうな」
「そう言うの苦手だ!」
 その時、クラクションがなる。
「あっ、シグナムだ!」
「あっ、ほんまや!!」
 はやてもシグナムに気づく。
「シグナム!!」
「はい」

「シグナム、買い物カート持ってきてくれておおきになぁ」
「いえ、シャマルの指示ですから……」
「帰りに買い物していくんだよね? はやて、アイス買っていい?」
「ええけど、エロサイズはアカンで!? ヴィータ、また食べ過ぎて、お腹痛くしたらあかんしなぁ」
「人の過去の傷跡を……」
「そう言えば、先程は、お話しの途中ではありませんでしたか?」
「あぁ、学校の話しやったね」
「おう! 別になんでもない話だけどさ」
「学校……ですか……。石田先生が仰っていましたね。貴女の足がもう少しよくなったら、きっと復学できると……」
「石田先生らしい励ましやな」
 はやてを勇気付ける励ましのようだ。
「私は、別に学校は行っても行かなくても……」
「そうなの?」
「私が家に居らんかったら、みんなのお世話ができへんやんか!」
「すみません。お世話になっております」
「感謝してます」
「あはははっ。『闇の書』と守護騎士『ヴォルケンリッター』の主として当然の勤めや!」


「お帰りなさい! はやてちゃん!!」
「ただいま、シャマル」
「買い物、はいよ!!」
「ありがとう、ヴィータちゃん」
「主はやて、失礼します」
「うん」
 シグナムがはやてを抱える。
「やっぱり、シグナムのダッコはえぇ感じやなぁ〜」
「そうですか?」
「は、はやてちゃん! わたしのダッコは駄目なんですか?」
「あまいでぇ〜シャマル! シャマルのダッコは素敵な感じや!」
「わぁ〜い♪」
「どっちが上なの?」
 どっちが上か聞くヴィータ。
「さて、どっちや!?」
「行き先は、リビングで宜しいですか?」
「宜しいよ!」

 私、八神はやては、つい此間までは、ごくごく平凡な小学三年生相当の女の子やったんですが、誕生日に起きたとある事件がきっかけで異世界の古代遺産、『闇の書』のマスターになってしまいました。


「イチゴのアイスは私のだから手を出すなよ!」
「私は、イチゴよりバニラが好きだよ」
「名前でも書いておけ!! それなら間違わん!!」
「あはははっ! ザフィーラ、ただいまぁ」

 私は、『闇の書』とその守護騎士四人のマスターとして皆の暮らしを守っています。

「さて、ヴィータちゃん! 車椅子のタイヤ、拭いてきてくれる?」
「あいよ!!」
「ヴィータ、おおきにな……」
「ちくわに、大根。昆布、さつま揚げ……。今夜は、おでんですか?」
「あたり!」
「いいですね」
「じっくり煮込んで美味しく作るから楽しみにな」
「はい」
「お手伝いします」

 時々大変な事もあるけど、皆と暮らしは、毎日が楽しいです。


「あぁっ、かっこよかった! 私将来は、ガンマンになろうかな?」
「アリサちゃん、また?」
「影響されやすいんだから……」
「アリサ似合いそうだよ。デバイスも銃形態もあるし」
「でしょうでしょう!」
 アリサのデバイスに銃形態があるようだ。
 既にバトったようだ。
「まだ少し時間があるね。ゲームでもしようか?」
「うん」
「いいねぇ」
「何やろうか?」
 何のゲームをやるか相談する。
「対戦だよ、やっぱり」
「負けないよ……自信ないけど……」
「わ、私も……」
「なのはちゃん、対戦強いものね」
 なのはは、対戦が強いようだ。
「ハンデ5つぐらいつけないと……」
「えぇ〜なんでなんでぇ〜」

 そして、帰る時間になったら……。
 家が直ぐ近所の私とフェイトちゃんとアリシアちゃんは、一緒に送ってもらって……。

「また明日ね」
「ばいばい。アリシアちゃん、フェイトちゃん、なのはちゃん」
「ばいばい〜」
「また明日……」

 晩御飯までの時間は、お互いの家で三人で過ごすのが何時ものパターン。
 今日は、フェイトちゃんとアリシアちゃんのお家です。
「「ただいま〜」」
「おじゃましま〜す」
 ハラオウン家に上がるなのは。
「あれ? 今日は、エイミィさん達いないの?」
「う、うん。リンディ提督とクロノとヒバリさんは本局で、エイミィはアレックス達のところへ行くって……」
「そっかぁ」

 そう、普段は平凡な小学三年生の私とフェイトちゃんとアリシアちゃんですが、現在は時空管理局の元で、ある重大な事件に関わっている魔導師でもあるわけで ……管理局の司令官であるリンディさん、それとクロノくんとヒバリさんも忙しく働いているし……。

「それに私とフェイトちゃん、アリシアちゃんの大切なパートナーとデバイスが……」
「ユーノとアルフは、大丈夫かな?」
「うん……。それに、レイジングハートとバルディッシュとヴァルディッシュも……」

 ある事件……。
「現在、『闇の書』事件と仮称されているこの事件に対して管理局が本格的に動くことになった切欠は、私が襲撃を受けた事……。危険なロストロギア『闇の書』と、それを守る守護騎士達……。彼女達の襲撃によって、私の杖『レイジングハート』は傷ついてしまって……私も魔力を奪われて、助けに来てくれたフェイトちゃんも怪我をして、『バルディシュ』とアリシアちゃんの『ヴァルディッシュ』も傷ついて……」
「でも……きっと大丈夫。 ユーノは、デバイスの事とか詳しいし、『ヴァルディッシュ』も『バルディッシュ』も『レイジングハート』も強い子だから……」
「うん」
「なのはの魔力が戻るまでの間……私、ちゃんとなのはを守るから」
「わたしも、守ってあげるから……」
「フェイトちゃん……アリシアちゃん……」
 涙ぐむなのは。
「魔力が戻ってからもだよ? もちろん」
「ありがとう、フェイトちゃん、アリシアちゃん」
「はぁ、はやく魔力が戻らないかな〜? 前に『レイジングハート』と相談してた新魔法、完成間近だったから」
「そうなんだ……」
「うん。『レイジングハート』も色々考えてくれるから……頑張らないとって」
「いいね、『レイジングハート』は世話やきさんで……『バルディッシュ』は無口なこだから……なのに無茶するし、大丈夫? って聞いても『yes sir』ばかりだし ……」
「私の『ヴァルディッシュ』も」
「そうだよね。『バルディッシュ』と『ヴァルディッシュ』は兄弟機だから……」
「三機とも早く元気になって戻ってきてくれるといいんだけど」
「うん」
「新魔法で思い出したんだけど、なのはは、すずかの新魔法のこと聞いた?」
「う〜んうん。聞いていないよ」
「アリシアは?」
「私も聞いていないよ」
「よくは、分からないんだけど、なのはのスターライトを連射するんだって」
「私のスターライトを? アレ、チャージするのに時間が掛かるのフェイトちゃんは知っているよね」
「うん」
「スターライトって、チャージに時間が掛かるの?」
「凄く掛かるよ」
「すずかは、スターライトを6連射させる為にデバイスを改造させるんだって」
「スターライトを6連射!?」
 驚くなのは。
「もしかして、もしかして、6連射を1発に纏めて撃てたりして……」
「それはないよ、なのは!」
 この時のなのはの予想は当たっていた。
 『闇の書』のコアを消滅させる時に現実のものになるのだった。

「ねぇ、フェイトちゃん、アリシアちゃん!! 私たち、さつきさんやすずかちゃんぐらい強くなろうね!?」
「なのは?」
「ユーノくんやアルフさん、リニスさんを不安にさせない。リンディさんやクロノくん、ヒバリさん、エイミィさん達にも心配をかけない。『レイジングハート』と『バルディッシュ』と『ヴァルディッシュ』に無茶をさせなくていいくらい……私たちが強く……」
「「うん」」
「三人で強くなろう? 傷つけなくてもいいくらい……」
「「うん」」
「じゃあ、早速、トレーニングでもしようか? なのは、大丈夫?」
「うん」


「そこで、ゴー!」
「しまった!」
 撃墜されたようだ。
「私は、この機動じゃ駄目なんだね!?」
「あははっ! 勝利♪」
「も、もう一回! 今度は負けないから……」
「うん!!」
「次は、私の番!!」
 次は、自分の番というアリシア。
「なのは、まだ帰らなくて大丈夫?」
「うん。お父さん達もフェイトちゃんのおうちなら安心だって……」
「そっかぁ……じゃあもう少し……」
 その時、なのはの携帯がなる。
「あれ〜リンディさんだ!」
 電話はリンディ提督からだ。
「はいっ! なのはです。はっ、はい! 一緒です。今、マンションの屋上で練習を……。はい、かわりますね。フェイトちゃん、リンディさん……」
「うん」
 なのはから携帯を受け取るフェイト。
「はい! フェイトです。は、はい。私とアリシアは大丈夫ですが……。はい……聞いてみますね」
 なのはに聞くフェイト。
「なのは、提督が今日は外食にするから、良かったらなのはも一緒にどう? って……」
「本当?」
「もし良ければ、提督から、なのはのお家に連絡してくれるって」
「うん! わたしは、大丈夫!!」
「もしもし? 大丈夫だそうです。はい。はいっ。そうですか。わかりました。それじゃ……」
「すずかも誘って!」
 すずかを誘ってて言うアリシア。
「あの、提督! アリシアがすずかを誘ってて言っているんですけど……」
 アリシアの対応に困るフェイト。
「はい。はいっ。すずかの方もお願いします」
 電話を切るフェイト。
「提督とクロノとヒバリさんは、もうじき帰るから、先にお風呂済ませちゃいなさいねって……」
「うん!」
 浴槽にお湯を張るフェイト。
「なのは、お風呂、お先にどうぞ」
 先に入るように進めるフェイト。
「そんなぁ〜! フェイトちゃんのおうちなんだから、フェイトちゃんとアリシアちゃん、お先に……」
「あ〜えっと……。やっぱり、なのは、お先に……」
「そんな、そんなフェイトちゃん……」
「本当に……」
 お互いに譲り合うなのはとフェイト。
「何やってんのよ! 三人で一緒に入れば、いいじゃない! 吸血鬼どおし仲良く……」
 妖艶な雰囲気で言うアリシア。
「私、吸血鬼じゃ……」
「私も……」
「それは、血が眠っているだけ……血が目覚めれば吸血鬼化するわよ」
「それって……こう言うのが使えるの?」
 混沌を出すなのは。
「なのはは、可也吸血鬼化が進行してるね」
「私は?」
「フェイトは、暫く大丈夫と思うよ」
「なのは、以前にさつきか、すずかの血を受けた事は?」
 なのはの脳裏に嫌な記憶が蘇る。
「ある。春先に吸血鬼にお腹を殴られて死に掛けた時に……」
「それじゃ、吸血鬼化が進行しても仕方ないよね」
「アリシアちゃんは?」
「残念だけど、私は吸血鬼として生き返ったから……」
「なのはと私も何れは吸血鬼化するってこと?」
「フェイトは、まだ大丈夫だけど、なのはは、デッドライン一歩手前って所かな?」
「私、人間じゃなるなるんだ……」
 落ち込むなのは。

「ただいまぁ〜」
「あっ、エイミィさんだ!」
 エイミィが帰ってきたようだ。
「おう、なのはちゃん!」
「おじゃましてま〜す♪」
「ただいま」
「おかえり……エイミィ……」
「おかえり……」
「どうしたの? フェイトちゃん! 顔、真っ赤だよ?」
「べつに……なんでも……」
「あっ、お風呂場の前でそんな格好だということは、三人ともお風呂はまだ?」
「はい! ちょうど入ろうかな? って……」
「う〜ん! それは、グッドタイミング!」
 指を鳴らすエイミィ。
「こっちもグッドタイミング!」
「こんにちわ〜おじゃましま〜す!」
 美由紀がやってきた。
「お姉ちゃん!?」
「美由紀さん!」
「美由紀ちゃん、いらっしゃい」
「おじゃまするよ」
「あっ、エイミィさん、お姉ちゃん! いつの間に仲良しに?」
「ほら、下の子同士が仲良しなら、上の子同士もやっぱりねぇ」
「えへへへ」
「意気投合したのは今日なんだけどね」
「へぇぇ〜」
「ほら、これ! 美由紀ちゃんが教えてくれたの」
「え〜と……」
「海鳴スパラクーア、新装オープン!?」
「えっとね、要するに皆ではいる大きっなお風呂屋さん。温泉とか、泡のお風呂とか、楽しいお風呂がいっぱいなの」
「そうなんですか」
「よりわかりやすくいうとスーパー銭湯とか……いったりするんだけど」
「なるほど……」
「へぇ〜そんなのができたんだ」
「ねぇ、美由紀ちゃんと一緒に行こうって話になって、私は着替えをとりに着たというわけだ」
「なのはたちも一緒に行く!?」
「あぁ! いいの!?」
「フェイトちゃんとアリシアちゃんも……」
「フェイトちゃん! 行こう行こう!」
「うぅ、うん」
「アリシアちゃんは?」
「すずかが来るのなら……」
「じゃあ決まり!」
「アリサちゃんたちも誘ってみていい?」 
「いいよ」
「じゃあ、出発準備!!」
「「「はぁ〜い♪」」」


「うん。仕込みはOK!」
「う〜ん、いい匂い。はやて、おなかへったぁ」
「まだまだぁ。このまま置いといて、お風呂、入って出てきたころが食べごろや」
「うぅ、待ち遠しい……」
「ヴィータちゃんとシグナムは、これでも食べて繋いでてね。はい」
 何かを出すシャマル。
「これは?」
「私が作ったあえ物よ。ワカメとタコのゴマ酢あえ」
「大丈夫?」
 疑うヴィータ。
「大丈夫って……」
「お前の料理は、たまに暴発って言うか、深刻な失敗の危険がある」
「見た目にだまされるだよな」
「あ〜ひっどい!」
「シャマルのお料理も、大分上達しとるし……平気やよ。さっき、わたしが味見したし」
「なら、安心です」
「いただきま〜す♪」
「ザフィーラ! うちのリーダーとアタッカー、ひどいと思わない?」
「聞かれても困る」
「ザフィーラも……ひどい」
「シャマル!? ザフィーラ、困っているやん! そんな細かいこと愚痴こいたらあかんよ?」
「はやて? 今の思念通話受けてないよね?」
「あっ、思念通話してた?」
「失礼しました。お耳に入れるようなこてではないと思いましたので、失礼しました」
「いいよ。べつに……。ザフィーラ、滅多にしゃべらへんから、たまに声を聞けるとうれしいよ」
「はやて! 問題! 今、はやての言葉を受けてザフィーラはどんな事を考えているか?」
「う〜ん。そうやな〜『お言葉はありがたいですが、無闇に言葉を発しないのが我が主義ですゆえ……』とか?」
「どう?」
「寸分たがわずに……」
「すごい! すごい! はやて、何でわかるの?」
「もう、半年も一緒におるんやで? わかるよ、それくらい」
「それは、すばらしいことです」
「理解あふれる主を持って、幸せですね? 私たち……」
「あはははっ。褒めても、なにもでぇへんよ!」
「さて、お風呂の準備、そろそろいいかしら?」
 お風呂を見に行くシャマル。
「ふむ。主はやての料理と比べるまでもないが、シャマルのこれも悪くはないな……」
「うん……とりあえず、腹には入る」
「あかんで? シャマルかて、努力しているんやから」
 そう言って、はやてもつまむ。
「おいしいやん! ほら、ザフィーラも……」
 ザフィーラにも進めるはやて。
 その時……。
「きゃぁぁぁぁっ!!」
 シャマルの悲鳴が聞こえた。
「シャマル!」
「シャマル! どないしたんや?」
「あはっ、ごめんなさーい!!」
 なぜか謝るシャマル。
「お風呂の温度設定、間違えちゃって、冷たい水が湯船一杯に……」
「えぇぇぇ〜!!」
「これは、沸かしなおしか……」
「せやけど、このお風呂の追い炊き時間がかかるからなぁ〜」
「シャマル、しっかりしてくれ!」
「ごめんなさ〜い」
「シグナムさぁ、レヴァンティン燃やして水に突っ込めばすぐに沸くんじゃ……」
「断る!」
「闇の書のマスターらしく、私が魔法で何とかできたらええねんだけど……」
「いえ、そんなぁ……ここは、私が何とか……」
「炎熱系なら私だが、微妙な調整は難しいな」
「火事でも起こしたらシャレになんないぞ!」
「っと言うか、えぇって! よう考えたら、こんなしょうもないものに魔力をつかったらあかんやん!!」
「……………………」
「あっ、そうや! シャマル!?」
「……はいっ……!」
「ポストに入ってたチラシの束、とっといてあるか?」
「はい。今週の分だけですけど……」
「チョイ持ってきて!」
 チラシを持ってきてと頼むはやて。
「はっはい……」
 チラシをとるシャマル。
 そのチラシを見るはやて。
「これや!」
「海鳴スパラクーア、新装オープン……」
「記念大サービス」
「なにこれ?」
「皆ではいる、おっきなお風呂やさんやな」
「皆……で、ですか?」
「もちろん、男女は別やで」
 話を続けるはやて。
「温泉に、滝の打たせ湯、泡のお風呂に、バイブレーションボディマッサージバスに紅茶風呂……いろんなお風呂が12種類もあるんやって!」
「それは、またすばらしいですね」
「なんか楽しそう」
「新装サービスで安い! しかも、3名様以上やと更に割引やて」
「はぁっ♪」
「これは、もう。行っとけとちゃうか? 行ってみたい人!」
「「はぁ〜い♪」」
「我が家で一番のお風呂好きさんが、なんや、反応鈍いで?」
「あぁっ、いえ……」
「(シグナムももっと、身内の失態を主に補ってもらわんでもよくないと思っているか?)」
「(えっ……はい)」
「(何度目か注意になるけど、シグナムは、ごっつ真面目さんで、それは皆のリーダーとしてえぇことやねんけど……あんまり真面目すぎるんは、よくないよ?)」
「(すみません)」
「(わたしが、えぇ言うたら、えぇねん! 皆の笑顔が私は、一番うれしいんやから)」
「(はい。申し訳ありません)」
「(もうしわけんでえぇから、私を主と思ってくれるんなら、私の言葉を信じてな)」
「(はい。信じています。我が主!)」

「でも、なんだか楽しそうですね?」
 はしゃいでいたシャマルとヴィータ。
「本当だぁ♪」

「そやから、シグナムも行こう?」
「わかりました。では、お言葉に甘えて……」
「「わぁぁっ♪」」
「ザフィーラも行こうか? 人間態になって、普通の服着てったらええんやし」
「お誘い真にありがたいのですが、私は留守を預からせていただきたく……」
「そうなんか?」
「夕餉の見張りも御座いますゆえ」
「……って言うかザフィーラ、お風呂苦手だしな……」
 ザフィーラは、お風呂が苦手のようだ。
「……………………」
「そうやった……まぁ、皆で行ってもザフィーラは、男湯で一人になってしまうし……ほんなら、ごめんな! ザフィーラは、留守番って言うことで」
「御意に……」
「ほんなら、皆、着替えとタオルを持って、お出かけの準備や!」
「「おぅっ!!」」
「シャマル、私の分も頼むぞ!」
「はぁ〜いっ!!」

「主にたしなめられたか?」
「あぁ。だがなぜだろう? 恥じ入る気持ちはあるのだが、不思議と心が温かい……」
「真の主従の絆とは、そういうものだな……」
「そうなのかな?」
「不安もあるだろうが、心身の休息も戦いのうちだ!」
「うん」
「主と共にゆっくりくつろいで来るがよかう……」
「うん。お前も少し眠っているといい。今夜の蒐集は深夜からだ!」
「こころえている」

「シグナム〜準備できたわよ」
 シャマルがシグナムを呼ぶ。
「あぁ、いま行く!!」


 次回予告

 なのは「フェイトちゃんと入る大きなお風呂♪」

 フェイト「なのは、洗ってあげるよ」

 アリシア「私はすずかを……」

 なのは「楽しいはずのお風呂で一触触発の事態が……」

 ヴィータ「てめぇ!! ここで、此間の借りを返してやる!!」

 アリサ「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第32話『ドキドキ!お風呂場は熱き戦場なの!? 後編』」


普通に日常の風景になるかと思ったけれど。
美姫 「さり気なく、バトルマニアの面が見えたり、吸血鬼化している話が出たり」
デバイス関連の話もちょこっと出てたな。
美姫 「今後どうなるかしらね」
まあ、それは置いておいて、今回はなのはたちとはやてたちが風呂に行く事になったみたいだけれど。
美姫 「どうなっちゃうかしらね」
そんな後編はこの後すぐ。



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