第92話「幻想郷に広まる噂」






 魔理沙、霊夢、アリスが消えた幻想郷では、ある噂が広まりつつあった。


 失踪した霧雨魔理沙、目撃される


 文々新聞に、字が躍った。
 失踪した魔理沙の目撃情報が出て来る。
 そして、目撃情報が有った近くで物が無くなる事件が相次いで発生している。

 新聞には、別の文字も踊っている。


 万年金欠の博麗の巫女も関与か


 本人たちの知らないところで犯人にされる。
 行いが行いだけに仕方ないことである。
 霊夢も犯人にされていた。



 その後も、魔理沙と霊夢が起こしたと思われる事件が相次ぐ。


 また、紅白巫女と白黒魔法使い


 連日、新聞を騒がせ続ける。


 そして翌日……。


 博麗神社の賽銭箱に大量の現金発見!!
 盗まれた現金の額と一致!!
 博麗の巫女、御用へ……


 新聞に霊夢の犯行が載せられる。
 だが、幻想郷に霊夢はいない。
 もし、幻想郷に戻ればフルボッコ確実だ。



 紅魔館では……。
「咲夜。霊夢と魔理沙の行方は?」
「残念ながら、未だに分かりません」
 紅魔館のメイドの力を持ってしても探し出せないでいた。
「そう。最近、こぁが良く外出しているみたいだけど何か知ってる?」
「魔理沙が盗んで行った本の回収をパチューリ様がお命じになったそうです」
 魔法の森との往復だ。
 一日に何冊も持って帰ることなど不可能だ。
 其の上、魔理沙の家は散らかって居るので有名だ。
 探すだけでも大変なのだ。
「それで、見つかったの?」
「まだ、見つかっていないようです」
「じゃあ、明日は魔理沙の家の家探しして頂戴」
「畏まりました」
「ついでだから魔理沙の家を解体しちゃって」
「解体ですか?」
「何なら、皆の用が済んだら弾幕の標的にして破壊してもいいわよ」
 レミィの言葉は、翌日実行されることになる。


 魔理沙の家……。
 紅魔館のメイド総動員で家探しが行われていた。
「捜索指定の書発見」
 汚い魔理沙の家から捜索指定物が次々発見される。
 その模様は、文々新聞に乗るのだった。


 家探しが終わると魔理沙の家は、解体されてしまった。
 解体された木材は、燃料として人間の里に譲られたのだった。
 魔理沙の家があった形跡はない。


 翌日……。


 白黒魔法使いの家で家探し
 盗品多数発見!!
 昨日、紅魔館の使用人たちによって白黒魔法使いの家の家探しが行われた。
 家探しの結果、多数の盗品が発見され、元の持ち主に返還された。
 制裁として白黒魔法使いの家は解体された。



 魔理沙の家があったところは、空き地になっている。




 自分の家が解体されたとも知らない魔理沙は……。
「来る日も来る日も掃除ばかりだぜ!」
 魔理沙は、来る日も掃除をさせられていた。
「そろそろ弾幕ごっこがしたいぜ」
「私もしたいわよ」
「霊夢もか?」
「そんなにしたければ相手をしてやろう」
 すずかが相手をするらしい。
「私達が勝ったら幻想郷に帰してもらうわよ。それから契約も結んでもらうから」
「そなた達が勝てればな」
 すずかは言う。
 すずかは、スペルカードを持っていない。
 だが、最凶の武器がある。
 統一言語だ。
 統一言語を使えば、無条件で勝てるのである。
「霊夢。あいつにスペルカードの作り方と使い方教える必要はないぜ」
「それもうそうね。あたしが勝ってあいつには血を一滴も飲めない契約を結ばせてやるわ」
 魔理沙と霊夢は、悪知恵を巡らせる。
 勝つためなら何でもするのだ。
 だが、相手が悪すぎた。


そなた達は、スペルカードをつかえない
 唯、一言だった。
 それだけで、霊夢と魔理沙は、スペルカードが使えなくなってしまった。
 其の後の魔理沙と霊夢は……。


「勝てなかったぜ」
「なんで、スペルカードを使わなかったのよ!!」
「使おうと思ってたんだが、使えなかったんだぜ」
「出し惜しみしたんでしょ」
「そう言う霊夢もじゃないのか?」
 霊夢と魔理沙は、何も出来ずに負けたのだ。
「私がその気なら1秒よ」
 そう豪語する霊夢。
「じゃあ、0.5秒だぜ」
 何故か、時間勝負になる霊夢と魔理沙。
「どっちが上か勝負よ魔理沙」
「その勝負、受けるぜ」


 仕事、そっちぬけで勝負を始める霊夢と魔理沙。
 周囲の損害等気にせず暴れ続ける。
 調度品等も破壊していく。
 その結果……。


「仕事を怠けて暴れた理由、O・HA・NA・SHしてくれるよね」
 魔理沙と霊夢は、正座させられていた。
「悪いのは、霊夢だぜ」
 魔理沙の言い分を無視する。
「毎日、調度を壊されたのでは堪りません。これでは、給金をお出しすることは出来ません」
 ノエルは言う。
 二人は、減点が多すぎると……。
 その減点は、簡単にプラスに出来ないくらいの大減点なのだ。
 普通の減点なら、何とかけせる。
 だが、二人の減点は……。




 そして、幻想郷……。

 タタリ霊夢とタタリ魔理沙が大暴れしていた。
 無差別に弾幕を撃ちこんでいたのだ。
 之によって、魔理沙と霊夢に恨みを持つ者が増えていった。
 この霊夢と魔理沙が現れた原因は幻想郷に入り込んだタタリの残滓にあった。
 その残滓が時間を掛け復活したのだ。

 連日、幻想郷各所に出没しては、恨みを買っていた。
「どうやら、魔理沙は懲りていないみたいね」
「そのようです」
 魔理沙は、懲りなかったと判断するレミィ。
 今は、まだ魔理沙と霊夢だけだ。
 今は……。


「今夜は、どこを襲うか?」
「人間の里ばかりじゃつまらないな」
「それじゃ、紅魔館にしようぜ」
「そうね。今夜は、紅魔館にしましょう」
 タタリ魔理沙とタタリ霊夢は、紅魔館を襲撃することを決めた。




 そして、その夜。
「そろそろ行くぜ」
 計画通り行動に移すタタリ魔理沙とタタリ霊夢。
 空を飛んで紅魔館を目指す。



「そろそろ紅魔館だぜ」
 攻撃態勢に入るタタリ魔理沙とタタリ霊夢。
「弾幕はパワーだぜ」
 紅魔館に攻撃開始するタタリ魔理沙とタタリ霊夢。
 紅魔館に着弾する弾幕。
 紅魔館の外壁に穴を穿っていく。
 建物内部に損傷を与えるには至らない。

「偽恋符『マスタースパーク』」
 タタリ魔理沙のスペルが発動する。
 タタリ魔理沙のマスタースパークは、紅魔館の外壁に大穴を穿った。
 まさに弾幕はパワーである。
 当然、気づかないレミィではない。
「好き勝手にやってくれるわね、霊夢、魔理沙!」
 レミィは、怒っているようだ。
「イキナリ、ラスボスの登場だぜ」
「私の紅魔館に攻撃して無事に帰れると思わないでね」
「帰れるとは、思っていないぜ」
 る気満々の魔理沙。
「じゃあ、殺しても文句はないわね」
「殺される前に紅魔館を落とすぜ」
 霊夢と連携して紅魔館を攻撃し続ける。
 紅魔館の損傷は拡大していく。
 紅魔館のあっちこっちから煙が噴き出ている。
「レミィ、弱くなったんじゃねえのか?」
「そういう魔理沙は、私の城を落とすんじゃなかったの?」
「心配しなくても落とすぜ! 一気に落としたら面白くないだろ」
「そうね。でも、一気に落とさなかったことを後悔するわよ」
 一気に攻め落とさなかったことを後悔すると言うレミリア。
「獄符『千本の針の山』」
 レミィがタタリ魔理沙に向け弾幕を放つ。
「あんたの相手は魔理沙だけじゃないわよ!!」
 タタリ霊夢もレミィに攻撃する。
 当然、紅魔館の破壊も忘れない。
「偽恋符『マスタースパーク』」
 また、マスタースパークを撃つタタリ魔理沙。
 タタリ魔理沙のマスタースパークでさらに紅魔館に大きな穴が開く。
 だが同時に、開放してはならない者も解き放ってしまった。
「偽恋符『マスタースパーク』」
 タタリ魔理沙は、マスタースパークを撃ち続ける。
 紅魔館は、その姿を崩していく。
「お嬢様!! フラン様が……」
「そう。咲夜」
「はい」
「フランの相手は、魔理沙と霊夢にしてもらうから」
 魔理沙と霊夢に責任を取らせるようだ。
「咲夜は、修理を始めてちょうだい」
「修理は、戦いが終わってからにしましょうか?」
「そうね。フランが暴れたらこれ以上壊れるしね。そうでしょ、フラン……」
「遊んでいいの!?」
「魔理沙と霊夢の偽者なら壊していいわよ」
「壊していいの?」
「魔理沙と霊夢もフランと遊びたいそうよ」
「じゃあ、遊んでくる♪」
 フランに遊ばれ始めるタタリ魔理沙とタタリ霊夢。

「危ないぜ」
 余裕の色が消えるタタリ魔理沙。
「魔理沙、あそぼ」
 フランに遊ばれるタタリ魔理沙。
 フランに一方的に攻撃され続けるタタリ魔理沙。
「このままじゃ、まずいぜ」
 一気に形勢が逆転した。
 遊ぶフランの前に防戦一方のタタリ魔理沙。


「霊夢は、遊んでくれないの?」
 タタリ霊夢は、レミィと戦っていた。
「遊ぶわけないでしょ!!」
 霊夢は、撤退を考えている。
 レミィ、フラン、咲夜の前から逃げるのは至難の業だ。


「霊夢、これ以上は無理だぜ」
 霊夢と合流するタタリ魔理沙。
「どうやって逃げるのよ」
「私のマスタースパークで、まとめて飛ばしてやるぜ」
 あくまで火力にこだわる魔理沙。
「逃がさないわよ」
「もっと遊ぼう」
「悪いが、今日は帰らせてもらうぜ」
「簡単に帰らせると思う!? 紅魔館をここまでして……」
「だが、逃げるぜ!! 偽恋符『マスタースマーク』」
 タタリ魔理沙は、マスタースパークで視界を塞いだ。
 タタリ魔理沙とタタリ霊夢は、逃げ出した。


「まぁ、いいわ。責任は、本人達にとってもらうとしましょう」
 責任は、本人に取らせるようだ。
「それから、かぎ付けて来ているんでしょ。文」
 どこからか、カメラを持った文が現れた。
「それで、私はどうすればいいのですか? レミリアさん」
「そうね。偽者のことは伏せて過大に宣伝して頂戴。二度と悪事が働けないように」
「確かに承りました。早速記事を書きます」



 翌朝、文々新聞が幻想郷を騒がせた。


 白黒魔法使いと紅白巫女、今度は紅魔館を襲撃
 紅魔館は半壊
 昨夜、白黒魔法使いと紅白巫女が紅魔館を襲撃。
 昨夜、紅魔館が白黒魔法使いと紅白巫女に襲撃され半壊した。
 現場は、建物の破片が散らばって居りとても人が住める状況ではない。
 紅魔館の主、レミリアさんは、修理代の請求をするとのことだ。





 数日後、幻想郷には様々な噂が広まっていた。
 その間もタタリ魔理沙とタタリ霊夢による襲撃は連日続いていた。
 其の襲撃に様々な偽の妖怪たちも加わっていった。
 其の加わったタタリたちも暴れに暴れ続けた。
 妖怪の本能のままに。
 もはや安全な場所はない。
 所かまわず暴れるのである。



 そして、海鳴市……。
 月村邸。


 其の日、すずかは、ある物を入手していた。
 其のある物を持って魔理沙たちのところへ向かった。
「今日も仕事だぜ」
「貴女達、幻想郷で何をやったのか、O・HA・NA・SHしてくれるよね」
 すずかは、笑顔で聞く。
「私たちは、何もしていないぜ」
 何もしていないという魔理沙。
「じゃあ、之はどういう事かO・HA・NA・SHしてくれる?」
 すずかは、手に持っていた新聞を見せる。
 魔理沙は、すずかから新聞を奪い取って見る。
 書かれていたのは……。


 白黒魔法使いと紅白巫女、今度は紅魔館を襲撃
 紅魔館は半壊
 昨夜、白黒魔法使いと紅白巫女が紅魔館を襲撃。
 昨夜、紅魔館が白黒魔法使いと紅白巫女に襲撃され半壊した。
 現場は、建物の破片が散らばって居りとても人が住める状況ではない。
 紅魔館の主、レミリアさんは、修理代の請求をするとのことだ。


「私は、知らないぜ」
「じゃあ、なんで新聞に書かれているのかO・HA・NA・SHしてもらうよ」
「って、言うか、なんで幻想郷の新聞を持っているんだ!?」
 魔理沙は、逆にすずかを問い詰める。
「貰ったんだけど……」
「貰ったって、誰に貰ったんだ!?」
「もしかしてスキマ妖怪じゃないでしょうね」
 スキマ妖怪の関与を疑う霊夢。
「誰ですかね? 親切にも、毎回送ってくれるんですよ」

「犯人は、紫ね……。それから文、今度会ったら謝罪文書かせてやるから」
 霊夢の怒りは収まらない。
「そうだぜ。文のやつを吹っ飛ばしてやらんと私の気は静まらんぜ」
 新聞のせいで苛立っている魔理沙と霊夢。
 そして火力にこだわる魔理沙。
 火力が全てだと考えているようだ。
「じゃあ、幻想郷で異変を起こしている犯人を退治できる?」
「私と霊夢に掛かれば、あっという間に解決だぜ」
 自分たちなら直ぐに解決できると言う魔理沙。
「指名手配されている貴女達に出来るならね」
「指名手配が何だ! やってやるぜ」
 指名手配など気にせず暴れると言う魔理沙。
「やれでばね。でも、幻想郷に帰ったら色んな人からのO・HA・NA・SHは覚悟していてね」





「それで、すずかちゃん。うち等に用ってなに?」
 はやてが聞く。
「幻想郷に連れて行ってあげる」
「ほんまか!?」
「すずか、問題でも起こったの?」
「皆、タタリの事を覚えている?」
 すずかがタタリの事を聞く。
「私たちの偽者が現れた事件?」
「うん。その時のタタリの残滓が幻想郷に入り込んでたみたいなの」
「それで、うち等に協力してほしいと……」
「すずかなら、私たちの助けが無くても解決できるんじゃ」
「複数個所同時は、私でも無理だよ」
「そうか……」
「んで、幻想郷には何時!?」
「今度の週末……。授業が終わったらすぐ」
「向こうに行ったら、アレが飲めるんやな」
 はやては、アレが飲みたいようだ。


 次回予告

 なのは「幻想郷を訪れた私達……」
 アリサ「ピリピリした殺気を放つ幻想郷」
 アリシア「帰還と同時に袋にされる二人の容疑者」
 ???「良く顔を出せたな……」
 フェイト「そこに待っていたのは……」


 はやて「次回『魔法少女リリカルなのは〜吸血姫が奏でる物語〜』第93話『幻想郷』」

 すずか「この我の物になるが良い!!」


霊夢や魔理沙がいなくなった幻想郷で異変が発生したな。
美姫 「しかも、原因はタタリね」
これにより、すずかたちも幻想郷入りするみたいだけれど。
美姫 「どんな事態になるやら」
無事に終息すれば良いけれど。
美姫 「それじゃあ、この辺で」
ではでは。



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