第十九話「能力V」






 
 さつきとベルチェが壮絶な肉弾戦を繰り広げてくるころ……。
 
 《SIDEムーンタイズ》
『……はぁい、クェス・グランチェスタ……』
「……リカです……」
『あらん? どうしたのリカ? 昨日は報告書が来なかったけど……』
「ちょっと、いろいろありまして……その原因を含めて、昼までには報告書を提出します……」
『なにか、あった?』
「……はい、あの……その件について、お伺いしたいことが……ダイラス・リーンについてなのですが……」
『待って、こっちから掛け直すわ……』
「……あ、はい……了解しました……」
 了解したと言うリカ。
「……………………」
 ため息をつく。
「……はい……」
 折り返し電話が掛かって来た。
『お待たせ。それで? 聞きたいことって?』
「……………………」
『リカ……?』
「あの……ダイラス・リーンについてです……」
『うん』
「……………………」
『あのねリカぁ? 私も貴女も、時間は有限なのよぉ?』
「……薬……」
『うん……?』
「……人工吸血鬼を作り出す薬の話です……」
『あぁ、ブルーペインね? それがどうかしたの?』
「最近、ブルーペインが盗難されたり、不正に使用されたというケースは報告されていませんか……?」
『んん〜? どうかしらぁ? その辺りは1班の装備課の管轄だから……でも、そう言った事実があれば、私にも報告があると思うけどぉ……リカも知っているでしょう? ブルーペインは製剤コストが高いから、1本紛失しただけで大問題になるの。それが盗まれたり、こっそり紛失するなんて、まず無理よぅ?』
「……です……よね? ありえませんよね……? では……あの! 何処かの組織で、似たような薬が開発されて、市場に出回っているという可能性は……ないでしょうか?」
『……似たような薬ねぇ……確か去年の9月に、日本のヤタガラス製薬が、ブルーペインに代わる安価な代替薬品としていくつかサンプルを持ち込んできたけど、どれも使い物にはならなかったわね……。基本的にダイラス・リーン以外では製剤できないと思うわ?』
「……そう……ですか……」
『なにかあったの……?』
「いえ……後で報告書にまとめて提出します……」
『……質問は以上?』
「はい……お姉さま……」
『では引き続き任務に就きなさい……』
「了解……引き続き、荻島潤を監視します……」
『なにかあったら、すぐに連絡するのよぅ……? あぁ、それと応援は要る?』
「……応援……ですか?」
『丁度埼玉で訓練教科を上がって来たばかりの子が居るのよねぇ……。貴女一人で手に余るようであれば、雑用として、貴女の下に付けてあげるけど?』
「……いえ……お心遣いはありがたいのですが……私一人でも十分ですので……」
『そう? 可愛いわよぅ? ほら、朝霞の研究員って、ロリコンばっかりだから、小さくて可愛い子が多いのよ。会うだけ会ってみたら?』
「……いえ……」
『……まだ……妹を持つ気にはならない……?』
「……私の妹になっても……死なせてしまうだけですから……」
『あれは仕方なかったのよ……貴女がやらなければ……私がやっていたわ……』
 リカには、暗い過去があるようだ。
「あの……そのお話しは、また今度聞きます……私、授業がありますので……」
『……自分を孤立させるのが罰だなんて……考えちゃ駄目よ……?』
「はい……あの……ありがとうございました……」
『ん? なにがぁ?』
「……私を……気にかけていただいて……」
『やぁねぇ……貴女は私の妹なんだもの、当たり前でしょおぅ?』
「……はい……」
『リカ……頑張って? 貴女には期待しているわ……』
「はい、お姉さま……では、失礼します……」
 電話を切るリカ。
「……ふぅ……」
 ため息をつく。
「……こんな……半端に吸血鬼になってしまった私でも……お姉さまは私を妹と呼んでくださるのね……」

 ……やっぱり……ブルーペイン流出の事実はないか……。
 別に……ダイラス・リーンを疑うわけじゃないけど……一応ね……。
 ……そうなると怪しくなるのが代替薬品を製剤した会社……ヤタガラス製薬か……。


「ん〜? どうしたミス・ペンブルトン。もうホームルームは始まっているぞ?」
「Sorry……I'm Physical condition is not finebut I……」
「あー……いいから、早く席に着きなさい」
「Thank you……」
「あ〜……これで全員そろったな? じゃあ、続けるぞ」

 …………ぁ……まただ……。
 ……また……荻島潤の感情が流れ込んでくる……。
 黄色い感情……私が体調が悪いって言ったから……心配してくれているんだ……。
 ……平気よ、体調悪いなんって嘘だから……。
 むしろ絶好調かも……?
 ……やっぱり……昨日の『充電』のおかげなのかしら……?
 ……なんか、複雑……。


「……(リカちゃん……リカちゃんってば)……」
「……(なによ)……」
「……(大丈夫……? なんか、体調悪いの?)……」
「……(あぁ、別に平気よ……。っていうか、さっき私がなんって言ったか、理解できたんだ……)……」
「……(アレぐらいの英語、中学生でもわかるよ……。それにボク、英語結構得意だよ?)……」
「……(あぁ、そう……)……」
「……(え、え〜と……ドッグ……ペンシル……)……」
「……(? 犬鉛筆?)……」
「……(いや、とりあえず知っている単語を並べて見ただけ……)……」
「……(ヤバイぐらい非現実的な英会話ね……日本語大丈夫?」
「……(まかせろ)……」
「……(いや、アンタは背負って立つな……)……」
「……(オウノゥ! 懊悩……なんちて……)……」
 ギャグを言う操。
「……(うるさい、もう喋るな)……」

 ……はぁ……。
 リアン・ディメルモールのせいで席替えになったのは良いんだけど……この子の後ろの席になったのは誤算だったわ……。
 ことあるごとに、くだらないことをグダグダと……。
 そんなことより……昼までに報告書を書いて提出しないと……。
 ……えーと……まずは現状の報告と……昨日の事件の報告……。
 使用した兵装の補充依頼書も書いて……後は……傾向と対策……。
 昨日の事件を……どう解釈するか……。
 考えられる可能性としては……ヤタガラス製薬が……極秘に新薬の試験を行っているパターン……。
 それなら……昨日のストーカーの半端な吸血鬼化ぶりも納得がいく……。
 でも……薬で『爆弾化する』なんて……出来るの……?
 あれは……なんかもっと違う……そう、吸血鬼化した人間と、爆弾化した人間とは別って考えたほうがいいのかも……。
 吸血鬼化するのは、『薬』さえあれば誰でも出来る……。
 でも、吸血鬼を爆弾化するには……強い命令能力を持つ吸血鬼が居る筈……。
 例えば、死徒二十七祖と呼ばれるぐらいの強い吸血鬼が……。
 やっぱり吸血鬼の存在は必須ってことか……。
 それって……ヤタガラス製薬内部に吸血鬼が居るってこと?
 それとも……ヤタガラス製薬の『薬』を手に入れた吸血鬼が居て……って……犯人が吸血鬼なら、薬を使う必要は無いか……。

「……う〜ん……」

 ……駄目だ……上手く結びつかない……。
 というか……苦手なんだよね……こういうの考えるの……。


「……(リカちゃん……本当に大丈夫? なんか変な声出しているよ?)……」
「……(うるさいわね……ちょっと眠いだけよ……放っておいて……)……」
「……(……あ……リカちゃん?)……」
「……(うるさい、寝るから話しかけないで)……」

 ……まったく……。
 ……………………。
 ……後で……荻島潤に相談してみようか……。
 ……別に……彼に何かを期待するわけじゃないけど……私が思いつかない視点の意見が聞けるかも……。
 ……あいつ……変に頭の回転速いし……。
 でも……それって……ダイラス・リーンの秘密……ブルーペインの存在を認めることになってしまう……。
 それは……出来ない……。
 吸血鬼を撲滅する側が、吸血鬼を作り出してるなんて……言える訳がない……。
 まして、聖堂協会に絶対に知られてはいけない……。
 はぁ、困った……。
 やっぱり……こういう時……相談できる相手が欲しい……。
 ……妹……かぁ……。

 ……私には……妹がいた……。

 《リカの回想》
「は、はじめまして! 本日よりリカお姉さまのお側で学ばせていただきます、シーア・ブリュンデルです!! よ、よそし…… がっ!」
 舌をかんだようだ。
「落ち着きなさいよ……別にとって喰いやしないから……」
「あぅ! はぅ!」
「……泣くな、鬱陶しい……」
「……あ、あの……クビでしょうか?」
「貴女はここに何をしにきた訳?」
「……あの、吸血鬼退治です……」
「獲物は何を使うの?」
「……えっと……カードです……」
「カード?」
「はい、あの……特殊な法力を込めたカードを使います……トラップカードとか……」
「パッシブ系か……私がアクティブだから、サポートには丁度いいのかもね……。シアなんて名前だから、てっきりアクティブ系でガンガン銃をブッ放すような子だと思ったのに」
「……ご期待を裏切ってしまったようで……申し訳ありません……。ですけどあの……私の名前はシアではなくシーアで……」
「まぁ、いいわ。実力の方は追々見せてもらうとして、まずはこの部屋で私と暮らす上でのルールを言っておくわ」
「あ……はい……」
「とりあえず、2段ベッドの下は私、貴女は上。私物はロッカーの中へ、ベッドの上は自由に使って良いけど、はみ出さないように。それと、壁にポスターの類を貼るのは禁止、家族の写真はそれらに含まないけど、張り過ぎは遠慮して欲しい」
「は、はい……」
「消灯は10時、それまでに夕食と入浴を済ませて、9時半までには部屋に戻っていること。10時を1秒でも過ぎたら、ドアに鍵を掛けて締め出すからそのつもりで」
「りょ、了解です……」
「起床は午前4時30分、起きたらまずベッドを片付けて、部屋の掃除をする。5時になったら食堂が開くから、5時30分までに朝食と洗顔と着替えを済ませること」
「はい!」
「5時30分からは、私と一緒に走ってもらうから。丘の上の展望台まで行って、折り返してくる毎朝7キロのランニング。あぁ、ちなみに、6時の朝礼に間に合わせるために、展望台に到着した時点で5時47分を回っていたら、帰り道はダッシュしてもらうからね?」
「は、はい! 頑張ります!!」
「もし朝礼に遅刻したら、私も貴女と一緒にクェスお姉さまに怒られるから、私に迷惑をかけないでね?」
「し、死ぬ気で走ります!!」
「……その程度で死なれても困るんだけど……まぁ、いいわ……。大体のルールはそんなところ、なにか質問は?」
「はい! あの! お洗濯はどうしいたしましょうか!?」
 洗濯について聞く。
「あぁ……洗濯は二日に一度、まとめて洗うわ」
 洗濯は二日に一回らしい。
「火曜日は礼拝があるから除外して、水曜日は私、金曜日は貴女、日曜日は……そうね、手が空いている方が担当するということで……」
「……あ、あのっ!」
「なに?」
「お洗濯は……妹の仕事です。お姉さまのお手を煩わせる訳には……」
「貴女、出身は?」
「あ……メリーランドです……」
「そうじゃなくて、どこの教育課で、寮はどこだった?」
「アルタバスタのコープランド寮です……」
「その寮でも、洗濯は二日交代だったでしょう?」
「は……はい……」
「だったらここでも同じで良いわ。習慣が変わると生活のリズムが狂うでしょう?」
「……ですけど……」
「いいのよ、その分訓練に集中しなさい。わかっている? 貴女は実戦に参加するのよ? ましてや、この私とバディを組む以上は、最前線……それこそ吸血鬼の吐く血生臭い息が顔に掛かる距離で戦うことになるのよ……? 洗濯なんてしている暇があったら、0.1秒でも早く敵から逃げられるように足でも鍛えなさい」
「……あ……はい……」
「戦闘中……しかも、深夜の森の中ともなれば、その0.1秒が貴女の命を左右することもあるんだからね……覚えておきなさい」
「はい!」
「あぁ、あと細かいことをいくつか……。この部屋は私と貴女で使うけど、この部屋にある私の銃には絶対に触らないこと。それと、どんな小さな問題でも、必ず私に相談すること、一人で悩まない。いい?」
「はい! 了解しました!!」
「ではシア・ブリュンデル……これからよろしく」
「はい! こちらこそ! よろしくご指導ぼぺんぱつ……がっ!」
 舌を噛んだ。
「……良く噛むこだなぁ……」
「ご指導ご鞭撻! よろしくお願いします!!」
「まぁ、あまり硬くならないで良いよ……私も妹なんか持つの初めてだからさ……あまり細かいことでグチャグチャ言わないつもりだから」
「はい! リカお姉さまのご期待に添えますよう! 努力いたします!!」
「はいよ、頑張って頂戴」
「……それで……あのですね……」
「なによ?」
「あのぅ……私の名前……シアではなく……シーアなのですが……」
「あ、そう」
「あ、そうて……」



 ……それが……私とシアとの出会いだった……。
 吸血鬼に親を殺され……吸血鬼に対する復讐心しかなかった私……。
 メリーランドの敬虔なカソリック教徒の両親の間で、なに不自由なく育ってきたシア……。
 彼女は叔父の強い勧めでダイラス・リーンに入ったらしいけど……そんなシアと私が、上手くやっていけるかは疑問だった……。
 でも、蓋を開けてみれば、そんな不安も杞憂でしかなくて……。
 私とシアの生活も……既に半年……。特に大きなトラブルもなく順調に過ぎて行った……。




「ちょっと! シアッ!? こっちいらっしゃいっ!! コレはどういうことっ!?」
「ひゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!! ご、ごべんだざいい〜〜〜っ!!」
「今日の洗濯当番は私でしょうっ!? なんで勝手にやるっ!?」
「だばっ……だって! リカお姉さま……今日は作戦会議があって、午後から本部へいくって言うから! パリッとした制服を着ていただこうと! 妹としてっ! 妹としてぇぇぇぇ!!」
「わかっているっ!! 貴様に悪気がないのはわかっているさ! 別に、制服焦がしたことを怒っている訳じゃない!!」
「焦げてないですっ!! ちょっと色が変わっただけですっ!!」
「それを焦げたと言うんだ! このどアホゥっ!!」
「うわぁぁぁぁぁん! やっぱ怒っているじゃないでづがぁぁ!!」
「だからぁ!! 焦がしたことを怒っているんじゃない!! なぜ洗濯する前に私に相談しない!? 私と貴女はバディなのよ!? 小さな連携の不一致が命取りになると教えたでしょうっ!?」
「ぼべんだばいーーーーーーーー!!!」
「ハッキリと喋れーーーーーーっ!!」
「むがぁぁぁん!!」
「泣くなぁぁぁっ!! 私が苛めているみたいじゃないかぁぁぁっ!!!」
「わだぢが悪いんでぶーーー!! 制服が焦げたのも! 電信柱が高いのも!! 郵便ポストが青いのも!! れんぶわらひが悪いんま゛〜〜っ!!」
「シアッ!!」
「がはっ……げふっ……おえぇぇぇぇ〜〜……」
 吐いたようだ。
「吐くなっ!! 泣きながら吐くなっ!! 赤ん坊かオマエっ!!」
「……ずびばぜん……吐きません……んっぐ……飲みます……んっぐ……」
「飲むなっ!! 気持ち悪いっ!! いいから聞きなさいシアッ!!」
「……はぅ……ぐす……」
「いい? ミスをしたことは、確かに良くない……。でも、一番良くないことは、私に相談することで防げたかも知れないミスを犯したということよ……」
「……あぅ゛……ごめんなさい……お姉さま……」
「これに懲りたら、もう勝手に自分一人で判断しないこと! 相談すべきこと、するまでもないこと、それらを上手に見極められるようになりなさい? 貴女が本気で悩んでいるのなら、どんな小さなことでも、私は真面目に話を聞くから……ね?」
「ばい……あぢがどうございまず……ぐず……」
「……とは言え……どうするかな……制服……。まさかこのまま着ていく訳にもいかないし……かと言って、普段の制服で本部に出頭する訳にもいかないし……」
「……あのぅ……私の礼装服ならありますけれど……」
「いや……アンタのは小さいから無理でしょ……」
「いやいや! お姉さま細いですから! 着れますって! 試してください!!」
「あ、こら! シアッ!」
「平気平気!! 着れます! なんか、根性で!!」
「服は根性で着るものじゃないわよっ!!」
「持ち前のガッツで!!」
「ガッツ関係ない!!」
「ほら、着れるじゃないですか!! よくお似合いです!! 素敵です!! 抱かれたいって思います!!」
「抱かんっ!! というか……胸が苦しい!! ボタンがしまらないじゃなのよっ!!」
「うわっ!! お姉さま!! そんなに無理をしたら……っ!!」
「……あ……ぎゃぁぁぁぁぁ!!! や、破れた!! 破れました!! 背中が! 背中がバリッと!! だ、脱皮!?」
「……だから言ったじゃないのよ……」

 結局その日は……いつもの黒い制服で本部に出頭した……。
 その日の本部会議は、近日行われる予定の大掛かりな吸血鬼討伐作戦の話で……オフシーズンに、スキー場にあるロッジに数匹の吸血鬼がネストを作っているという話だった……。
 ネストの中には最低でも5匹のロゥム……2匹のセカンドブラッド、そしてマスタークラスが1匹以上は必ず居るという話で……。
 作戦規模の大きさから、1班との合同作戦、そして私たち3班は新人を現場に導入することが決定した……。



「お帰りなさいませ、お姉さま! お風呂になさいますか? お食事になさいますか? お風呂でしたら、私がお背中を……」
「……シア……聞いて。貴女のデビュー戦が決まったわ……」
「……え?」
「明後日の19時、モンタナでの作戦に、貴女にも参加してもらうわ……」
「は」……はいっ!!
「明日の18時からブリーフィング。20時にはここを出るから、それまでに2種先頭装備を整えておきなさい」
「はい……あの……2種……ですか?」
「なにがあるかわからないし、日帰りできるとは限らないでしょう? 部隊から孤立しても、一人で帰還出来るだけの装備を用意しておきなさい」
「はい! 了解しました!」
「あぁ、シュラフは冬用ではなく、夏用を2枚持っていくこと。冬用ひとつより夏用2つの方が運びやすいし、現地の気温に対応しやすいから」
「はい! なんだか遠足に行くみたいで、ドキドキしてきました!」
「あのね……遊びに行くんじゃないのよっ?」
「はい! それはもちろん! 理解しています! 1匹でも多くの吸血鬼に鉄槌を!」
「……本当に……大丈夫なんだろうか……メチャ不安……。貴女、戦闘になったら私から離れないでよ?」
「了解です! 死んでもお姉さまについていきますっ!!」
「……いや、だから、死ぬなって言っているんだけど……」
「大丈夫です!! 私達には、ファーザーの加護があります!!」
「まぁ……死なない程度に頑張りなさい。初陣での戦果なんて、誰も期待してないから……」
「頑張ります!!」
「……不安……」
 不安になるリカ。

 実際に戦闘が始まる前に、あまり不安を煽るのも良くないけれど……。
 まぁ、明日の出発前になって、法衣に着替えたら気分もまた変わってくるはず……。
 変わると思うんだけど……うん……。

 そして翌日……。


「……おえぇ!! うおぇぇぇええぇえっ!!」
「ちょっと……大丈夫なの?」
「……うぐ……胃が……胃が痛いです……」
「まぁ……初めての実戦だからねぇ……そら胃も痛くなるか……っていうか、シアアンタ、戦闘法衣似合わないわねぇ〜。なんか大きすぎない? それ……」
「あぅ……どうせすぐ身体が大きくなるから、大き目のにして置きなさいって、お母さんが……」
「貴女が私の元に来て半年経つけど……その間に1インチも伸びていないじゃない……」
「s、そのうち大きくなりますよぅ……」
「……着れば誰も身が引き締まる戦闘法衣なのに……着る人間によっては、こうもだらしなく見えるとは……。ほら、もぉ、脇の下のベルトを締めなさいよ、そこがダラッとしているからだらしなく見えるのよ?」
「あぅ……でも、ここを締めてしまうと、カードが取り出しにくくなってしまうのですよ……」
「これはそのうち、改造してもらった方がいいわね……。ピシッと身体に合わせないと、動くたびに音が出るし……深い森の中とか走ると、枝に引っ掛けて転ぶわよ?」
「はい……今回の戦闘が終わったら、法衣の不具合をレポートで出せってメイガンさんに言われてます……」
「うん、とりあえず今回は、私の補佐に回りなさい? 直接戦闘には参加しないでいいから……」
「は、はい……」
「いい? 絶対に私の側から離れないこと。敵を見つけることより、私を見失わないことが一番の目標よ? わかった?」
「はい!」
「……そろそろ時間ね、集合場所に移動しましょう」
「あ! お姉さま、カバンは私がお持ちします!!」
「あらそう? 持てるものなら、持ってごらん?」
「……フンぐっ!! んぐっ!! んぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃ!!!」
「はいはい、無理はしないの。そのカバン、貴女の体重と同じぐらいの重さなのよ?」
「うぅ……持ち上がりません……」
「はい、交代。カバンは自分で持つから。よいしょっと……」
「……うわ! 片手で……!」
「さ、行くわよ……」
「はいっ! リカお姉さま!!」


 ……ずっと……嫌な予感がしていた……。
 なにか、取り返しのつかない失敗を犯してしまいそうな不安……。
 そしてそんな嫌な予感ほど、的中してしまうのは、なぜなんだろう……。

『A班リーダー、ロゥム2匹……2階のバルコニーに追い詰めました……外から狙撃できませんか……?』
『……見えないわ……どこに居るって?』
『北側バルコニーです……あっ! 移動している!! このっ!!』
「大分……混乱してきているみたいですね……」
「……ははっ……まさか地下室があって、そこからワラワラ沸いて来るとは思ってなかったからね……。シア、新しいアモを……」
「はい……どうぞ……」
 アモを差し出すシア。
「残りは? アモは後何発残ってる……?」
「えっと……9ミリが後45発……357マグナムが18発です……」
「……足りるかな……。ちぇ……こんな乱戦になるなら、イサカにすれば良かったな……。」
「イサカ?」
「ショットガンよ……。一応持ってきてるんだけど……カバンの中だわ……ドジッタなぁ……」
「リカ……状況は……?」
「はい。突入時の奇襲で撃破したロゥムは8体、残りの建物の上部に逃げたロゥム2匹は現在A班が追跡中です……」
「こっちも……セカンドブラッド2体は処理したわ」
 随所で戦闘が行われているようだ。
「女の方をキッチンで、男の方を南側階段の手前で射殺……今処理班が死体をプラスチックで固めているところよ……」
「……ということは……残ったのは……」
「マスタークラスが1匹と……盾代わりのロゥムが数匹……の筈だったんだけど……」
「……だったんだけど……?」
「キッチンで倒したセカンドブラッド……メリル・オコナーだったのよ……」
「……っ!? ということはっ!!」
「そう、ここにはメリル・オコナーの飼い主……ハリー・ヤングスが居るってことね……」
「……真祖……ですか……」
「……ちょっと……計算外に厄介な相手だってことね……」
「……ハリー・ヤングス……ついに見つけた……」
『……こちら狙撃班……建物外壁を移動していたロゥム2匹を狙撃……。1体は東側斜面……もう1体は川に転落しました…… 斜面側1体は沈黙。川に転落した方は確認できません……』
「……本部了解。処理班を向かわせます。狙撃班はそのまま建物周囲の監視を続行……。不審者を発見次第報告せよ」
『……狙撃班リーダー、了解……』
「……表は片付いたみたいですね……」
「そうね、後は……地下室へ逃げ込んだハリー・ヤングスとロゥムが何体か……」
「追いますか?」
「焦らなくても、相手は地下よ……逃げ場所なんてないわ……増援が到着するまで待ちましょう……」
「でも……我々はこの別荘の地下室の存在を知りませんでした……ということは、我々の知らない逃げ道があるかもしれません ……今ここで逃げられたら……」
「……また同じように……被害者がでる……」
「そうです……。それに、狭い地下なら、大人数より、少人数の方が、同士討ちのリスクが減ります……」
「……そうね……」
「行かせてください! 必ずし止めて見せます!」
「……貴女……真祖の怖さがまるで解かっていないのね……。それに……ハリー・ヤングスは……」
「……はい……私の両親の……仇です……」
「だからこそ、貴女を地下にやるわけには行かないのよ……冷静な判断が出来るとは思えないわ……」
「大丈夫です! 無理だと判断したら、逃げ帰ってきますから!」
「本当に……?」
「約束します! 行かせてください!こうしている間にも、逃げられてしまうから」
「……私はこの場所の指揮があるから……貴女について行ってあげられないのよ……?」
「かまいません! 私一人で行きます……」
「そんなっ!! リカお姉さま! 私はっ……」
「貴女はここに残りなさい」
 残留を命じられるシア。
「でも! 私はお姉さまの側を離れないって……!」
「ハッキリ言うと、足手まといなのよ。貴女はここでクェスお姉さまの護衛に就きなさい」
「そんなぁ……お姉さま……」
「いいから弾をよこしなさい」
「……はい……」
「……やぁねぇ……あの泣き虫だったリカが、こんなことを言う日が来るなんて長生きはするものねぇ〜……」
「お、お姉さま……今はそんなことを言っている場合じゃ……」
「……いいわ、行ってらっしゃい。その代わり7分で戻りなさい」
「7分……?」
「7分で地下捜索隊を組織します。それまで、貴女がハリー・ヤングスを足止めしておくのよ。貴女が戻り次第、地下捜索隊を突入させます」
「……了解です……7分で戻ります……。戻らなかったら、そのまま捜索隊を突入させてください」
「必ず戻るのよ。貴女一人で倒そうなんて考えないこと、相手は真祖なのよ? 貴女の目的は、ハリー・ヤングスの逃亡阻止だけ。理解できた?」
「わかりました……。行ってきます」
「……お姉さまっ!!」
「大丈夫よ……あの子、私の命令には逆らわないから……必ず戻ってくるわよ」
「はい……」
「……本部より緊急招集。A班、B班、C班のリーダーとサブリーダーは、戦闘態勢のまま、至急、東側通路デルタ4に集合せよ……」
『……A班リーダー、了解……』
「……B班リーダー、およびサブリーダー了解……」
『……C班リーダー、サブリーダー了解……』
「さて……後はリカが戻ってくる前に、フォーメーションを考えないと……」
「あの! クェスお姉さま!!」
「ん? なぁに?」
「あの! わ、私! 表に出て、リカお姉さまのカバンから、弾薬とイサカを取ってきます!!」
「……え? ちょっと……」
「リカお姉さま! アホみたいにバカバカ撃つんで! 戻ってきたら、きっと弾がなくなってると思うんです!! それに! イサカがあれば有利になるって! だから! 行ってきます!!」
「あ! こらっ!! 勝手に持ち場を離れてっ!! 戻りなさい!!」
 シアは、命令無視をして持ち場を離れていった。
「……本部より狙撃班へ。今からC班所属の新人が建物の外に出るわ……勢いよく飛び出してきても敵と間違えて発砲しないように……」
『……狙撃班了解……』
「……まったく……あわてんぼで無鉄砲で考えナシなのは、リカによく似ているか……」


 ……………………
 ……………………
 …………………………………………

「…………」
「……暗れぇ〜……」
 暗いところに居るようだ。
「……って……当たり前か……吸血鬼のネストなんだしね……」

 こんな場所じゃ……うかつに明かりもつけられないな……。
 ……それにしても……意外と広いな……壁にコンクリートが打たれていないってことは……作っている途中なのか……それとも吸血鬼たちが勝手に掘った穴なのか……。
 まいったな……建物の図面に載っていないから全体の広さがわからない……。


「……とりあえず……レーダーを……」
 レーダーを作動させるリカ。

 反応はナシ……か……。
 もう逃げ出したか……それとも、予想外に地下が広いのか……。
 とにかく……時間があまりない……移動するしかないか……。
 これだけ広いとなると……帰り道がわからなくなるかも……。

「……とりあえず……足跡を残していかないと……」
 目印を残すことにするリカ。
「とりあえず……これで帰り道はわかるけど手持ちが6本しかない……あまり奥まで調べられないかな……」
 其の時、何かが反応した。
「……あ……」

 反応がっ!!


 ……反応は3つ……距離は……約20メートル……。
 反応の強さは、どれも同じようなものだわ……。
 この3つの中に……ハリーは居ないと見るべきね……。
 ということは……ハリーが盾代わりにしているロゥム……。
 まずは雑魚をけしかけて……こっちの戦力を見る気……?
 それとも、雑魚を戦わせている隙に自分は逃げ出すつもりか……。
 どっちにしろ……あまり時間は掛けられないわね……。

 再びレーダーで確認する。


 ……っ!? は、速い! 接近する速度がロゥムのそれよりずっと……!
 15……10……5……もう、すぐ目の前に居るっ!?


「……くっ!!」
 身構えるリカ。

 駄目だ!! 全然見えない!! あ、明かりを……。

「……んっ!」
 ロゥムに襲われる。
「……がっ……!?」

 フェンリルッ……!? いや……!! リカントロープ!!


「……この……っ!」
 銃をブッ発なす。
「……ヤッ……バッ……!!」

 マズイ!! ロゥムならまだしも!! ライカン3匹じゃ分が悪すぎる!!
 ……どうする!? ここは一旦引いて入り口付近まで……。


 ゆっくり考えている余裕もない。
「……ちっ……くしょ……こっ!!」
 爪で襲ってくる。
「……あっ!!」

 くっそ……銃を落とした……。
 マズイ……あいつら匂いでこっちの位置がわかるんだ……これじゃ法衣のステルスコートシェルの意味がないっ! 闇にまぎれて逃げるなんて無理だっ……!

「ははっ……リカ先生、早くもピ〜ンチ……参ったね……」

 ちぇ……イサカを持ってこなかったのが本当に悔やまれる……。
 ……とにかく……背中を見せたら一気に噛り付かれる……ありったけの弾をブッ放し長柄後ろ向きに逃げるしかないか……。


「……バ〜カ! 攻撃パターン同じじゃない!!」
 リカは銃を連射する。
「……ちっ……」

 当たっているやら、いないやら……まったく手応えがない……。
 まさか、ハリーの術中に落ちて、幻と戦ってるんじゃないでしょうね……?
 ……ヤバイな……弾も、もうあんまりない……。
 あんまり無駄撃ちしたくないんだけどな……。

「でも、弾残したまま死体になったらダイラス・リーンの恥だしね……っ!!」
 銃を撃つ。
 直ぐに違和感を感受る。


 ……おかしいな……なんで襲い掛かってこない……?
 逃げた……とか?
 ……まさか……ね……。


 レーダーで確認してみる。
「……あれ……? マジで……?」

 なぜ急に……?
 状況的には……向こうの方が有利だったはず……。
 だったらどうして……?


『リカッ! 聞こえる!? 今すぐ戻ってっ!!』
「お姉さま……? でも、まだ7分経ってませんが……」
『いいから!! ハリー・ヤングスが現れたのよっ!!』
「どこにですっ!?」
『駐車場横の井戸の中から!! どうやら地下と繋がっていたらしいわ!!』

 そうか……ライカンはハリーが逃走するまでの時間稼ぎか……!!

「了解!! 今すぐそちらへ……!!」
『……あっ!!』
「お姉さまっ……!?」
 向こうの状況がわからないリカ。
「……な、なにが……あったの……?」


 ……嫌な……胸騒ぎがする……
 ……ずっと……嫌な予感がしていた……。
 なにか……取り返しのつかない失敗を犯してしまいそうな不安……。
 そしてそんな嫌な予感ほど……的中してしまうのは、なぜなんだろう……。

「……リカ……」
「お姉さま! ハリーは……ハリー・ヤングスはっ!!」
「……やられたわ……人質をとられてしまって……追跡したんだけど……」
「……にげ……られた……ということですか……?」
「そうね……。リカ、落ち着いてよく聞いて……」
「追撃部隊を編成するなら! 私も加えてくださいっ!! お願いしますっ!!」
「……リカ……落ち着きなさい……」
「でも……っ!!」
「気持ちはわかるわ……でも、森に逃げ込んだ吸血鬼を追うのは危険すぎるわ……それは貴女が一番よく知っているでしょう……?」
「……ですけど……」
「とにかく落ち着いて……それより……こっちへいらっしゃい……」
「なんです……?」
 リカを誘うクェス。
「……私達だって……ただ何もせずハリーを逃がした訳じゃないのよ……」
 リカに話すクェス。
「……ううん……なにも出来なかった……というのが正解ね……」
「……人質……ですか……連れ去られたのですか……?」
「……いいえ……森に入ったところで……足手まといになると判断したのでしょう……人質は解放されたわ……でも……」
「……でも……?」
「……自分の目で確かめなさい……」
 クェスは言いにくそうだ。
「まさか……っ!!」
 其のまさかだった。
「シアッ!!」
「……治療班がすぐに処置をしたのだけど……真祖に首を噛まれたのよ……手の施しようがなかったわ……」
「シアッ!! シアッ!!」
 シアの目が開かれる。
「……お姉さま……」
「……ぁ……貴女……どうして……」

 ……首を……首を噛まれている……あぁ……これじゃ……感染部を切り落とすことも出来ない……。
 どうして……なんで……こんなことに……?

「……ごめんなさい……お姉さま……」
「どうして……なぜこんなことに……?」
「シーアは……貴女が弾切れで戻ってきた時の為にショットガンを取りに戻ったのよ……」
 クェスは説明する。
「……駐車場で……貴女のカバンを開けている途中で……地下から逃げ出してきたハリーと鉢合わせしたの……」
「……シア……貴女……だって私……言った筈よね……? クェスお姉さまの側を離れるなって……言ったわよね……?」
「ごめんなさい……でも……お姉さま……イサカがあればって……だから……私……」
「……貴女……シア……貴女……これで何度目よ……勝手に行動を起こす前に……わた……私に……相談しろって……あれほど……」
「ごめんなさい……お姉さま、ごめんなさい……」
 謝るシア。
「私……本当……なん度言われても……本当……物覚え悪くて……ごめんなさい……お姉さま……」
「……バカ……」
「……リカ……こっちへ……」
 リカを呼ぶクェス。
「お姉さま……」
「……対吸血鬼規約42条……第2項……。わかるわね……?」

 Vウイルスに感染し、処置可能範囲を越えし者は……いかなる立場……いかなる身分においても……速やかに処理せよ……。


 それは、シアを殺せと言っている。
「……………………」
「……ハリー・ヤングスはまだ若いと言え……真祖の吸血鬼……後8分もすれば……吸血鬼化が始まるわ……」
「……まだ8分あります……」
「……リカ……わかっているでしょう? 例外はないのよ……そこを退きなさい……私がやります……」
「待ってくださいっ!! まだ! まだ時間はあります!!」
「……退きなさい……」
「お願いしますっ!! 私が! 私がやります!! だから! もう少し!! もう少しだけ……!!」
「……リカ……」
「お願いします……」
「……………………」
 クェスは考える。
 そしてリカに告げる。
「……1分だけよ……」
「……あ……ありがとう……ございます……」
 1分……。
 それがクェスがリカに与えた最大の時間だ。


 どうして……こんなことになってしまったのだろう……?
 なにが……いけなかったのだろう……?
 この子が……どんな罪を犯したというのだろう?
 なぜこのような……重い業を背負わされるのだろう……?


「……シア……」
「……お姉……さま……」
「最初に言っておくわ……私が貴女を殺します……人間のうちに……」
「……はい……ご面倒を……おかけします……」
「貴女も運がなかったわね……私のような女の妹にならなければ……こんなことにはならなかったのに……」
「……いえ……私……リカお姉さまの妹になれて……本当にうれしかったです……。……初めてリカお姉さまを見かけた時…… お姉さまは……地下の射撃場で……ターゲットを粉々に撃ち砕いていらっしゃいました……。その姿は……射撃練習という眼差しではなくて……ただひたすら……憎しみだけがギラギラとしていて……人に話を聞けば……1年間に……1万7千発の弾丸を消費する人だって聞いて……怖い人だって……あんな人の妹になるのだけは嫌だなって……思ってました……」
「悪かったわね……」
「私の方こそ……無能な妹で……本当……申し訳ありませんでした……」
「それは違う……無能な妹なって居ない……。居るのは……妹の扱い方も知らないくせに……偉そうにしている姉だけよ……」
「私は……そんな不器用なお姉さまが大好きでした……」
「……時間だわ……なにか……言い残すことは……?」
「……両親には……私は勇敢に吸血鬼と戦って死んだと……」
「わかった……。他には……?」
「あとは……特になにも……では……お先に逝かせていただきます……お姉さま……」
「うん……じゃあ……またね……シア……」
「……あは……お姉さま……最後まで私の名前、覚えてくれなかっ……」
 リカは、銃の引き金をひいた。


 シーア・ブリュンデル……。
 私は忘れない……。
 シーア・ブリュンデル……。
 私の……最初で最後の妹……。
 私が……この手で殺した……たった一人の妹……。


 あとがき
 今回はリカの過去をお送りしました。
 ちょっと重い話になったかな?
 次は軽い話にはなるかな?
 予定としては月姫メインになるはず。



リカの過去。
美姫 「妹の存在ね」
かなりシリアスだったな。
美姫 「そうね。この件はまだリカにとっては癒えてないでしょうね」
かもな。で、次回は月姫サイドになるみたいだな。
美姫 「どんな話になるのかしらね」
それではこの辺で。
美姫 「まったね〜」



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