PAST REMINISCENCE 〜BEGINNING OF HAPPINESS〜




  

ピピピピピピピピピ・・・・・・・・・・・

 

どこかから音が聞こえる・・・・・・・

枕もとのほうから・・・・・

 

ピピピピピピピピピ・・・・・・・・・・・

 

それが目覚まし時計だということに気づくのに数瞬の時間が必要だった。

シーツをかぶったまま枕もとに手を伸ばす。

何回かの空振りのあとにようやく目覚まし時計のスイッチを押して音はやんだ。

頭までかぶったシーツを通して朝日が差し込んでまぶしい。

二度寝をしたかったけれども余りのまぶしさにそれを諦めて半身を起こした。

まだボーとしている頭がなぜか今朝の夢を克明に覚えていた。

 

「・・・・懐かしい夢・・・・」

思わず口に出してしまう。

そして・・・・・・

夢の続きを思い出す。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ふと枕もとのデスクの上を見つめてみた。

そこには書類やファイルに混じって写真たてが立っている。

 

数年前に、自分がそこを発ったときの写真。

 

やさしく微笑んでいる愛さんと、

あの夢よりちょっと大きくなった美緒ちゃん。

あのあとで入ってきた寮生たちと、

啓吾さんの後の後の管理人さん。

かなり涙目で私に抱きついているおねえちゃんと。

ちょっと目が潤んでいて、けれど満面の笑みで笑っているわたし。

 

夢のときのわたしでは決して作れなかった笑顔。

それを作ってくれたのは。

写真のみんな。

みんなのことを思うと懐かしさで胸がいっぱいになる。

 

「知佳ー。はいるよー。」

そのときノックとともにテレサが入ってきた。

国際救助隊の同期の彼女の部屋はすぐ隣り。

「テレサ。おはよー。」

「おはよう、知佳。ってなにしてんのよ、そんなしけた顔して。」

テレサの言葉に思わず顔に手を当ててしまう。

「ええぇ!どんな顔してた?わたし!」

あきれたような顔でテレサがぼやく。

「どんな顔って、知佳。あんた、なんか感傷に浸ってるって感じ。」

「感傷??」

「そっ。いってみるならセンチメンタル的な顔ね。」

「ってどんな顔よ!!」

「なんか懐かしい夢でも見たの??それとも昔の男から電話でも??」

思わず「あの二人」直伝の突っ込みを入れたくなるような衝動をこらえてテレサを睨みつける。

「ったくわたしに男はいません!!」

「どっちかっていうと前者。夢よ、夢。」

それを聞くや否やテレサはにやりと笑う。

どこかで見たような笑みに少しだけどこかの誰かが重なった。

「さて、知佳。いったい全体どんな夢を見たのかなー!」

「べーつに、テレサには関係ないの。」

「教えなさいよー。」

しつこく追いすがるテレサに向かってわたしはいった。

「そうね・・・・強いて言うなら・・・・・」

「強いて言うなら・・・・・・・!!」

 

「幸せの始まりかな?」

 

「幸せの始まり??」

「そう。」

わたしはベットから身体を起こして手早く着替える。

まだ顔をかしげているテレサをとりあえず無視して身支度を整える。

「テレサ、行くよ!!」

「あっ、知佳。待ちなさい!!」

 

早足で歩きながら考える。ふと、

 

過去の追憶が。

 

幸せの始まり。

 

今日はいいことがあるかもしれない。

   

   


あとがき

 

さてこんにちは、無精筆のコウです。

相当停滞してました『PAST(以下略)』久方ぶりの更新です。

そして最終回です。なんかはじめの3回の更新が早かったな〜〜〜〜〜

遅いぞ最終回!!

ネタはあったんですけどなんかうまくまとまんなくて・・・・・

〜TEARS〜はなんかどっかいっちゃった感が・・・・・・・

まあいいさ!!祝・完結!!!!!

そして新ネタ始動!!

 

また次で逢いましょう

 

でわでわ   ごきげんよう

    


コウさん、お疲れ様〜。
美姫 「お疲れ様〜」
いやー、完結したね。
美姫 「したわね。何か、感慨深いわね」
うんうん。さて、それは兎も角、新ネタが発動されるらしいよ。
美姫 「そっちも楽しみにね」
うんうん。
コウさん、頑張って下さい〜。
美姫 「ではでは〜」





頂きものの部屋へ戻る

SSのトップへ