Side:ネロ


取り敢えず、シャッハの方は何とかなったが……おい、大丈夫かヴィヴィオ?生真面目なせいで、ちょっとばかしおっかねぇお姉さんはもう居ねぇから大丈夫だぞ?



「……………」

「お〜い、聞こえてるかヴィヴィオ?」



――コンコン



頭を軽く小突いても、まるで反応なしか……こりゃあ、完全にシャッハの気迫やら何やらに圧されて呆けちまってるな?……果てさて、こりゃ如何したモンかな、なのは?



「此れは……切り札を使う時だね。
 コホン……やぁヴィヴィオ、初めまして。僕、君とお友達になりたいんだけど、仲良くしてくれるかなぁ?」

「……成程、ぬいぐるみを使って話しかけるってか。」

確かに此れなら、呆けてる子供でも反応するだろうし、シャッハが与えちまった恐怖心を取り除く事も出来るかも知れねぇ――何よりも、なのはの語り口が優しくて、そし
て安心できる感じだから、ヴィヴィオもきっと安心してくれる筈だぜ。



「え?お友達?」

「「そうだよ。僕の名前は『ラヴィ』って言うんだ。宜しくね、ヴィヴィオ。」」


って、思いっきり被っちまったな?……まさか、同じ事考えてたとは驚きだぜなのは?



「其れはこっちのセリフだよネロ。
 って言うか、ネロがこんな事するなんて、寧ろそっちの方が予想外かな?……ぬいぐるみの動きに合わせて声を当てるなんて……予想外な事この上ないの。」

「そうかも知れないが……ほっとけっての。
 フォルトゥナの孤児院で、ガキ共を相手にするうちに、自然と身についちまったんだよ!――くれぐれもダンテにだけは言うなよ?絶対にからかいのネタにするから!」

「其れは、分かってるよネロ♪」



頼むぜ?
まぁ、今のでヴィヴィオの緊張やら何やらは解きほぐせたみたいだから良いけどな。


そんで、お前は如何するヴィヴィオ?――俺達と一緒に来るか?



「うん、一緒に行く。」

「OK、其れじゃあ行くとしようぜ?――機動六課の面々は、お前の事を歓迎してくれるだろうからな。」

……取り敢えず、オッサンが要らん事を教えねぇように、目を光らせておく必要はあるんだろうが――ヴィヴィオを、無事に保護できたって言うのは、喜ばしい事だよな。














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission78
『とある予言〜The Prediction〜』











Side:なのは


そんな訳で、ヴィヴィオを六課宿舎に連れて来た訳なんだけど、やっぱり少し緊張してるのかな?辺りを見回して、なんだか落ち着かなそうなの。
六課全員の自己紹介も終わって、ヴィヴィオも自分の名を名乗ったけど、此れは慣れるまでは其れなりの時間がかかっちゃうのかな?……簡単には行かない事だね。

現実に、ヴィヴィオは私の後ろに隠れちゃってるし……良く見れば、目元に涙が溜まってる?



「ママとパパは…何処?」

「!!!!」

鈍器で頭を殴られたような衝撃って言うのは、きっとこう言う事を言うんだね。
幾ら安心させようとしても、ヴィヴィオ位の歳の子供にとって、親が居ない不安て言うのは計り知れない物が有る――5歳の頃の私がそうだったからね。

そして、その不安を取り除く事が出来るのは親以外には存在しない………どうしたモノだろう?



「大丈夫だよヴィヴィオ、なのはさんがママなんだよ?」

「え?」

如何しようかと考えてた矢先に、スバルがこんな事を言った。
普通なら、何を言ってるのかと言うところだけど、何故かそれを自然に受け入れる事が出来たのは、保護責任者になる事を決めていたからなのか、或はもっと別の――



「マ……マ?」

「…うん、ママでいいよ?」

「う……ひっく……ママ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」



だけど、其れで安心したのか、私に抱き付いて来たヴィヴィオを見ると、何で如何して私がヴィヴィオのママだって言う事を受け入れられたのかなんて言う事は、とっても
些細な事に思えて来るよ……よしよし、大丈夫だよヴィヴィオ。

ん?でも、私がママだと、誰がヴィヴィオのパパになるのかな?



「……パパ?」

「ん?……まぁ、別にそう呼んでくれても構わないぜ?」



突然、ネロの方を向いて『パパ』って言うヴィヴィオ。そして、ネロもそう呼んでくれて構わないって……えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?///



「なのはさんがママで、ネロさんがパパと言う事は……なのはさんとネロさんは夫婦ですね♪」

「何言ってんだスバル?まだ夫婦じゃねぇだろ。」



ネロ!?まだってなに、まだって!何れは夫婦になるって言う事ととっていいのかな?って言うか取るからね?異論は認めないからね?取り消し不可能だよ!



「おぉっと、盛大に混乱してんなぁなのは嬢ちゃん?ま、仕方ねぇかもだけど。
 にしても坊主も大胆だねぇ?『まだ夫婦じゃねぇ』と来たか?……OK、OK、坊主の『叔父さん』として、此処は祝福してやろうじゃないの。
 てか、坊主が『パパ』だと、坊主の親父であるアンタは『お爺ちゃん』だなバージルよぉ?孫が出来たってのは、どんな気分なんだ『バージルお爺ちゃん』?」



――ドスゥ!



「その口を閉じろ愚弟が……本気で刺すぞ?

「ぐふぅ!?……だ、だから刺してから言うなっての………」



ダンテさんとバージルさんがお馴染みのやり取りをしてるけど、それどころじゃない感じなの!
多分ネロだって無自覚だったんだろうけど、『まだ』って言う事は、きっと将来的には言う事だよね?……私とネロが夫婦……あうぅぅ、想像しただけで顔が熱いよぉ…!



「ん?如何したなのは、顔が赤いぜ?熱でもあるのか?」

「だ、大丈夫だよネロ!熱が有るとかそう言うのじゃないから!!」

「なら良いが、無理だけはするなよ?
 お前はスターズの分隊長なんだから、隊長が体調を崩したなんてのは洒落にもならないし、何よりも俺が心配しちまうからな……本気で調子悪い時は絶対言えよ?」



分かってるよネロ……8年前みたいな事は、もう2度と御免だからね。
それに、成り行きとは言えヴィヴィオって言う娘が出来たから、余計に無茶は出来ないよ……尤も、必要であるならば無茶も無理も押し通して、事を成すだけだけどね。

其れは、ネロだって同じでしょ?



「分かり切った事を聞くなよな?
 確かに無理や無茶は良くねぇが、其れが必要なら選ばないとだろ?――つーか、そんな覚悟なんざ、とっくの昔に決めてるぜ?教団騎士になったその時からな。」

「だよね♪」

そう考えると、私とネロって、意外と『似た者同士』なのかも知れないね?
自分の信念は絶対に曲げないし、相手が強大でも決して折れずに立ち向かって、其れで最終的には何とかしちゃうって言うんだから。――周りに心配もかけるけどね。



「ま、心配してくれる奴がいるってのはある意味で果報者って言えるんじゃねぇか?そう言う奴がいるからこそ、生きて戻ろうって思う訳だからな。
 ――って、そう言えばヴィヴィオは如何した?」

「そう言えば……スバル、ヴィヴィオは?」

「……あそこです。」








「すご〜い!はや〜い!!」

「あ〜〜〜〜っはっは!雷光散らして僕は飛ぶ!
 強くて凄くてカッコいい、雷刃の襲撃者とは、この僕『レヴィ・ザ・スラッシャー』のことだ〜〜〜!!!分かったか、びびお〜〜〜。」

「分かった〜〜〜。」






此れは、レヴィがヴィヴィオを抱っこして、部屋の中を縦横無尽に飛び回ってる!?
ヴィヴィオは喜んでるみたいだから良いけど、何で如何してこんな事になっちゃったの!?



「レヴィがヴィヴィオに興味が有ったらしくて、何時もの調子で話しかけたんすよ。
 まぁ、流石にあのテンションにはヴィヴィオも驚いたみたいなんですけど、レヴィが『一緒に遊ぼうか!』って言ってヴィヴィオを抱きかかえると、そのまま高速で飛び跳
 ね始めちまって……そんで、あんな状態になっちまってるって訳です…」



な、成程ね。
でも、レヴィが子供の面倒が見れるって言うのは意外だったかな?



「面倒見てるんじゃねぇだろアレは?単にレベルが同じだけだ。
 分かり易く言えば、レヴィとヴィヴィオは精神レベルに大きな差がない子供同士ってこった――子供ってのは、総じて単純に仲良くなれるもんだから、そうなんだろ。」

「私達の中でも、レヴィは特に精神的には幼いのが否めませんからね。」



そ、其れを言ったら元も子もないんだけど、ヴィヴィオと仲良く出来たのは良い事だと思うの。
おかげでヴィヴィオの緊張も解れたと思うから、六課の皆と打ち解ける事が出来るかも知れないでしょ?そうなれば、其れはとっても良い事だと思うからね♪





――ゴン!!





と、思ってた矢先に何かに盛大にぶつかる大きな音……レヴィが頭から煙出してるみたいだから、レヴィが何かに頭でもぶつけたのかな?



「おいウェンディ、アイツは一体今『何』に頭ぶつけたんだ?」

「分からねっス。行き成りないもない空間に頭ごっつんこしてダウンしちゃったッス……不可視の『光の壁』でも展開されてたんすかね?」

「知らねぇ……つーか、大丈夫かレヴィは?」



何もない空間に激突って、何なの其れ?
若しかしなくても、此れが噂に聞いた『レヴィの三次元ムーブ』って言うやつなのかな?……えっと、其れは其れとして、大丈夫なのかなレヴィは?



「油断したーーー!だけどこの程度で僕は止まらない!!!
 楽しい事をするためだったら、僕はどんな困難だって超えて見せる!!さぁ、まだまだいっくぞ〜〜びびお〜〜〜!!!」

「おーーーーー!!」



だ、大丈夫みたいだね。
フェイトちゃんベースではあるけど、レヴィの頑丈さは私に匹敵するからね……何かにぶつかった程度じゃダメージにはならないのかも知れないね?

で、何か言いたそうだねネロ?



「大した事じゃねぇんだが――レヴィってのは途轍もない大物だと思うんだが、お前は如何思うなのは?」

「た、多分気のせいじゃないかな?」

って言うか、そう思いたいの。

だけど、そのお蔭でヴィヴィオが六課に慣れる事が出来るかも知れないから、結果オーライって言うやつだよネロ。先ずは、ヴィヴィオが慣れてくれないとだったからね。








――――――








Side:はやて


スマンなぁフェイトちゃん、レディさん、態々付き合ってもろて……ホンマやったらゆっくりしといて欲しかったんやけど、事が事だけに私以外も居た方が良かったからな?



「水臭い事言わないでよはやて?私達は、友達でしょ?」

「フェイトの言う通りよ?少なくとも、私達は仲間だと思ってるんだから、此れくらいは何て言う事もないわ。
 ――其れに、個人的に聖王教会のお偉いさんが出した『予言』て言うのにも興味があるしね。」



おおきにな、フェイトちゃん、レディさん。

にしてもレディさんが予言に興味があるってのは、ある意味で意外やったなぁ?
何て言うか、私のイメージ的には、レディさんは銃器ぶっ放しながら、悪魔を撃滅して利を得る『現実主義者』やったから、予言なんてもんに興味を示したのは意外やで。



「あら?予言て言うモノは馬鹿に出来ないモノでしょ?
 確かに予言や伝承の書って言うのは、眉唾物の偽物が多いけれど、此れから会う人は、リアルタイムでの予言を行うんでしょう?……其れって、楽しみじゃない?」

「そらまぁ、否定は出来へんわな。」

なんて事を話してる内に協会に到着やね。
……たのもー!騎士カリムは居るかぁぁぁ!!!居ったら、逃げんとこっちにこいや!!!来ないなら、こっちから乗り込んで行くで!!!!



「ガラが悪いよはやて!?」

「此れがジャパニーズ『ドージョー破り』……為になったわ。」



いやまぁ、此れは外せへんやろフェイトちゃん?
それに、シャッハが『またですか』って顔しながらもすんなりと開けてくれたおかげで、アッサリと中に入れたからな?――お疲れ様やねシスター・シャッハ♪



「偶には、普通に来ていただけませんか八神総司令?……正直な所、いい加減対応が面倒になってきましたので。」

「其れは言うだけ無駄やろシャッハ?
 って言うか、突っ込みがメンドクサイとか言うなや!!突っ込みなしは、関西人にとっての死刑宣告やで!?私に死ね言うてんのかアンタはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「言ってませんよ!?」



うん、知っとる♪
ホンマにシャッハはからかうと良い反応を返してくれるなぁ?……やから、こう言った事が止められへん訳やけどね。


まぁ、其れは其れとして、態々カリムが呼びつける言う事は、相当な『予言』が出た――って言うよりも、出てしまったんやなシャッハ?



「……はい、その通りです。
 改めて、こちらへどうぞ。騎士カリムが待っていますから。」



さてと、聖王教会の予言騎士様は、一体『どんな予言』を出してもうたんや?……カリムの予言の的中率は8割超やから、事と次第によっては見過ごす事は出来へん。
其れこそ、六課の戦力を全投入せなアカン事が起こらないとも限らへんからね――



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・



んでもって、応接説に案内されて、出されたお茶を飲みながら、カリムの予言を見たんやけど――此れは、何て言うかホンマに洒落にならん内容やで!?
こんな事言ったられやけど、其れこそ、此れが現実に成ったらミッドは崩壊して滅びへの道を一直線やないの!?



『旧い結晶と無限の欲望が交わる地、死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る。
 死者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる。』



この予言はまるで――って言うか、確実に管理局の崩壊を示唆しとるからなぁ?
……まぁ、其れが分かっただけでも設けモンや、管理局は一枚岩の組織やないって言う事が浮き彫りになったとも言える事やからな……最高評議会の連中が、要らん
事してくれたら、其れこそこの予言は――



せやけど、この予言もまた明確でない部分があるのは仕方ないんやろな――あくまでも『予言』であって、確定じゃない訳やしね。


死者達は踊りって件も、スカリッティが再生した死者なのか、其れとも復活したクレドさんなんか、判断に迷う感じやからね……せやから、警戒を怠らない様にって思うの
は当然の事やろ?



「そうですね。
 私の予言は、あくまでも予言に過ぎず、其れは確定した未来ではありませんから、彼方達のやり方によって、予言とは違う未来を選ぶ事だって出来るんです。
 ――予言は、絶対的な未来の提示ではないと言う事を、如何なる時でも心に留めておいてくださいね?」



了解やカリム。
予言はあくまでも予言、其れの示唆する最悪を回避して、最善の未来を掴み取るのが私等の役目やからね――この予言は、絶対に現実にはさせへんよ。



「其れを聞いて安心しました。
 私の予言は高い確率で的中しますが、しかし100%ではない……其処に予言を覆す隙は残されて居る訳ですからね。
 ――どうか、この予言を現実にさせないで下さいはやて。聖王教会の予言騎士として、何よりも、貴女の友人として、其れを心からお願いします。」



任せとき。
何よりも、友人からの『お願い』を聞かんわけにはいかへんからなぁ?……まぁ、私の出来る範囲で何とかやってみるわ。

幸いにして、機動六課は稀代の精鋭揃いやから、大概の事は何とかできるやろうし、政治的な彼是だってレティ提督に頼み込めば大概何とかなってまうからね本気で。


やから大丈夫や。

管理局の崩壊――引いてはこの世界の崩壊も、絶対に止めてやろうやないか!!
大体にして、機動六課は、のっぴきならない事が起きてもうた場合に即座に対応できるようにって設立した、私の私設部隊やからな……その力、今こそ見せたるわ!!



次に何かを起こしたその時がアンタの命日やで、ジェイル・スカリエッティ。
管理局に――否、私等『機動六課』に喧嘩吹っかけてもうた事を、精々後悔するんやな。


アンタが何を企んでるかは知らんけど、どんだけの謀をしたところで、私等は負けへん――何がどうなろうとも、最終的に勝つのは、私等『機動六課』やからな!!!













 To Be Continued… 





なのはとネロをそれぞれママ、パパと認識したヴィヴィオ。
美姫 「特に問題もなさそうだしね」
元々、そういうつもりだったみたいだしな。
美姫 「はやての方は少しシリアス展開、かと思ったんだけれど」
まあ、はやてらしいかな。
美姫 「次回も楽しみね」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」



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