Side:なのは
会場内に現れた悪魔とガジェットはあらかた掃討したけど、地下に潜行して行ったスバル達の事が気になるかな?……柔な鍛え方をした覚えはないけど、実戦ではどんな事
が起きるか分からないから、その辺が少しだけ心配だよ。
「其処まで心配せんでもえぇやろなのはちゃん?
私の目から見ても、スバル達は六課のルーキーエースなのは間違いないで?……それこそ、私的には『良い買い物をした』って言うレベルの子達やったからな?
それを、あそこまでの使い手に育ててくれたなのはちゃんには、ホンマに頭が上がらへんて!!」
「其れはちょっと持ち上げすぎじゃないかなはやてちゃん!?」
「そうでもないと思うよ?
実際に、なのはの教導が有ってこそ、スバル達はその力を伸ばす事が出来たんだから、此れは素直に誇って良いと思うよ?
其れに、スバル達の方にはアミタやレヴィ達が援軍として向かってくれたから、きっと大丈夫だと思う。」
フェイトちゃん……だったら、此処は素直に受けておくのが礼儀だね?スバル達の方も、アミタさん達が行ってくれたんなら、多分大丈夫だろうし。
だけど、其れとは別に、私はマダマダ行ける……私は、如何すればいいのかな、八神はやて部隊長様?
「建物内からの市民の避難は略完了やけど、敵さんは街中にも現われとるから……市民の避難経路を確保しつつ、敵を見つけたら、問答無用でぶちのめせって所やな。
大量の下級悪魔とガジェットが、相手さんの主戦力みたいやから、先ずは其れを叩きのめして、戦力をそぐのが吉やろうからな……此処は一丁、大ハッスルすべきやろ!」
「異論はないよはやて。」
「私も異論はないよ……だったら、尚の事頑張らないとなの!!」
此処は私達で何とかするから、六課の方は任せたよネロ!!
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission85
『闘いの夜想曲〜Fight Nocturne〜』
Side:バージル
「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
「…………!!」
――ガキィィィィィィィン!!
此れは、予想以上にやるなネロ・アンジェロよ?
俺と言う器を失って、大きく弱体化したのではないかと思っていたが、その力は未だに健在だな?――或はそれも、新たなる憑代の力によるものなのかは分からんがな。
だが、驚いてやるのも此処までだ。――此処からは、俺の本気を見せてやろう。
「死の覚悟は出来たか?」
「!!!!」
――グワキィィィィン!!!
ほう?俺の居合を受けきり、そして捌くとは大したものだと褒めてやる。――だが、温い!!精々防いだ程度で、俺の剣から逃れられると思ったら大間違いだと知るが良い。
日本刀を持ってして戦う場合、武器となるのは刃のみならず、その刃を覆う鉄拵えの鞘もまた十二分な武器となるのだ。
流石に、対象を断ち切る事は出来んが、棍として、鈍器として使用するには申し分がない。
「……!!」
「抜身の剣での戦い方しか知らない貴様には、如何やら想像も出来なかったようだな?
否、貴様と言う存在を作り出した魔帝が、そもそもスパーダの剣技を半分しか知らなかったのだから仕方ないと言えるのかも知れん……スパーダは、魔帝ムンドゥスと戦っ
た時には、己の名を冠した魔剣一本で戦い、閻魔刀は使わなかったらしいからな。
如何に貴様が、剣によるスパーダの剣を使い熟す事が出来ようとも、刀によるスパーダの剣が相手では完全に対処するのは難しいと見えるぞ。」
「…………」
加えて、貴様の剣が俺に通じるとでも思っているのか?
自我を奪われて居たとは言え、一度は貴様の器となった身故に、攻撃の太刀筋など既に承知済み――そして、刀だけが俺の戦い方ではない。
「喰らえ、疾風迅雷脚!」
「!!!」
砌穿を使っての体術もまた俺の戦い方だ。
この体術もスパーダの技を元にはしているが、俺もダンテも体術に関しては大幅に自己流のアレンジを加えているが故に、貴様の知識の範囲では対処不可能だろうがな。
――シュン!
ほう?このままでは形勢不利と見て、仕切り直しの為に瞬間移動で距離を取ったか。まぁ、悪い手ではないと評価してやる。
だが、俺が言った事を忘れた訳ではあるまいな?俺の間合いは、零にして無限――如何に間合いを取った所で、そんなモノは無意味だ……俺に不得手な間合い等ない!
「………!!」
――ドウ!!
ふむ、間合いを離してからの魔力弾『メテオ』で攻撃して来たか。
魔力弾のサイズも特大で、着弾時の爆発も有って、単発射撃乍ら相当な破壊力を秘めている攻撃だが……単発の射撃で、俺を倒せると思っているのならば大間違いだ!
確かに、メテオは最強クラスの魔力弾である事は認めるが、其れは物理的に弾き返す事も可能なのだ。――この様にな!!!
――バガァァァァァッァァァァァッァン!!
ふん……反射攻撃はギリギリで避けたか……だが、奴は何処に行った?
――ズバァァァァァァァァァ!!
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
く……メテオを放った直後に、瞬間移動で俺の背後に移動していたのか!!
スパーダの血を引いた半魔であるから、身体の頑丈さには自信が有ったのだが、今のは流石に効いたな……恐らく、普通の人間であったら即死だっただろう。
「………!!!」
「む……ぐ……ぐぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
更に其処から、ボディブロー、アッパーカット、蹴り上げ、回し蹴りの格闘コンボか……成程、悪くない攻撃だ。
一発一発の威力が重い上に、その身に纏った鉄製の甲冑が更に威力を高めているからな?……相手が、そんじょ其処等の並の魔導師ならば、此れで終わって居た筈だ。
だが、生憎と俺は並の魔導師ではないのでな……反撃させて貰おうか!!
――ドガァァァァァァッァァァァァァァァァァン!!!
「!!?」
「フン……何を驚いているのだ?此れ位は、寧ろ想定の範囲内だろう?……スパーダの血筋の頑丈さを舐めて貰っては困るな?」
其れ以前に、貴様は少々調子に乗り過ぎだネロ・アンジェロ。
確かに、その女を憑代にした事で幾らか力を増したようだが、所詮はその程度か……ならば教えてやろう、真のスパーダの剣と言う物をな!!
「図に乗るなよ?」
「!!?」
姿を消しての疾走居合いと次元斬の連続複合攻撃『絶刀』。――大人しく、此れで散れ!!
――ババババババババババババババババババババババ!!
不可視の連続斬撃となれば、如何に魔帝に生み出された存在とは言え、見切る事は出来まい?……Die just as it is.(そのまま死ぬが良い。)
「……………!」
――ガクリ……
リインフォースとやらの身体が膝をついて崩れると同時に、肌の色が普通の人間の色に戻り、服装も黒甲冑からリインフォース・ツヴァイの騎士服に酷似した物になったか。
そして、其れのみならず、身体から青白い炎が飛び出し、其れが人型に変化し……どうやら、引き剥がせたようだな、貴様の事を。
『グゥワァ……!!』
「ふん、漸くその女の中から出て来たか、ネロ・アンジェロよ。ある意味で、懐かしい姿だが、己の汚点を見ているが故にあまり良い気分ではないが……。
しかし、貴様も中々に悪運が強い奴だな?本来ならば、マレット島の爆発で俺の身体共々消える筈が、俺が次元震に巻き込まれた事で俺から剥がされた状態で次元震に
巻き込まれて今よりも過去に飛び、消えゆく存在だったその女を憑代にしたと言う訳か。
詳しい事は知らんが、その女は、攻撃力も防御力も、そして内包している魔力量も、恐らくはスパーダに匹敵する物が有ったのだろうと推測する事は出来る――貴様にとっ
ては、俺以上の器であった事は間違いあるまい?
尤も、憑代の力の方が強過ぎて、その力を完全に使い熟す事は出来ていなかったようだがな。」
もしも、その力を完全に使い熟していたのならば、俺とてデビルトリガーを発動せねば相当な苦戦を強いられたであろう事は想像に難くないが、強い器を選び過ぎたな。
強い器を求めたが故に、その力を使い熟す事が出来ずに、今こうして器から引き剥がされたのだからな?……何よりも、俺の汚点でしかない貴様は、この手で滅さねばだ。
来るが良い、ネロ・アンジェロ、魔帝の落とし子よ――かつて貴様の器であった俺が、この手で逝かせてやろう。
『ムゥゥゥン!!』
「スティンガーか……中間距離からの奇襲としては悪くないが、其れも戦闘の流れの中で使わねば意味がないぞ?
今の様に、一時的に戦闘が止まった状態からの再開時に使っても、其れでは軌道が丸見え故に、高速突進突きの真価をまるで引き出す事は出来ていない……だから、こ
うして、簡単に捌く事が出来る。」
『グゥゥゥゥゥゥ!!』
捌かれた直後に、攻撃範囲の広いハイタイムを繰り出したのは見事だが、その攻撃もまた間合いの外に逃げてしまえば如何と言う事は無い。特に空中に逃げればな。
大振りの斬り上げであるハイタイムは、空振りすると隙が大きく、次の動作に即時移行する事が出来ず、決定的な隙を作ってしまうモノだ。
そして、その隙を見逃してやる程、俺は甘くはない……喰らうが良い!
――斬!!
『グワァァァァァァァァァァァァァ!!!』
「俺の全体重を乗せた兜割は、如何に頑丈な甲冑に護られてるとは言え中々に効くだろう?
そして、これで終わりではない……行くぞ!昇龍裂破!!」
――バキィ!!ゴッスゥゥゥゥゥゥ!!!
『ゴワァ!グアァァァァァァアッァァ……ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
――シュゥン!!
む……昇龍裂破を真面に喰らった事で、形勢不利と見て逃げたか?……まぁいい、何処に逃げようとも、再び戦いが起これば貴様は其処にやってくるだろうから、その時に
仕留めてやるとしよう。
今は貴様を追うよりも、六課本部を護る事が重要なのでな。
「く……此処は?……私は……そうだ、消えようとしていた時に、奴に乗っ取られて……」
「気が付いたようだな?」
「!!……君は?」
バージルだ。今は、貴様の主の協力者と言う立場にある。そして、貴様を乗っ取っていたネロ・アンジェロを貴様から引き剥がした。
「我が主の!……そして、君が私の事を、アレから解き放ってくれたのか……感謝するよ。――だが、この状況は一体……?」
「見ての通り戦闘中でな……六課の防衛戦真っ最中と言う訳だ。」
「どうやら、相当に激しい戦いの真っ最中の様だな?……ならば、手伝わせてくれ。
私がアレに乗っ取られて居た時に使っていた剣は、今此処にこうして残っているから、此れを使えばそこそこ戦う事も可能だろうからね――構わないか?」
好きにするが良い。俺がとやかく言う事でもないからな。
それにしても、妙だな?
ネロ・アンジェロはスカリエッティの勢力ではないが、其れを差し引いても戦力が余りにも低くはないか?
ネロとダンテが相手をしていた、エキドナとファントムにしても、上級の悪魔である筈なのに、殆ど何も出来ずに叩きのめされてしまったからな?……如何にも、裏があるな。
最大級の警戒は、しておいた方が良さそうだ。
――――――
Side:シグナム
市民の避難経路を確保する為との事だが、此れだけの大軍を相手にすると言うのは、中々に骨が折れるモノだな?
圧倒的な強者が相手であるならば心躍るものがあるのだが、少し手荒く扱ってやれば直ぐに壊れる下級悪魔とガジェットの群れ等、只面倒くさい相手でしかないのが事実。
この程度は軽くあしらえる故に、デビルトリガーを解除したのは正解だったな――ネロとは違い、私のデビルトリガーは発動限界があるから、無駄遣いは禁物だ。
主はやてや高町達も、この程度の相手にデビルトリガーは必要ないと判断したのか、デビルトリガーを解除しているみたいだからな。
だが――
「道を開けて貰おうか、闇の書の騎士よ……」
「其れに応える事は出来んな?」
私の背後に現れた騎士の力は凄まじい物だ。
デビルトリガーを発動した私ならば、簡単に完封できるかもしれないが、素の状態であったならば苦戦は免れん……そう思わせる程の強者と言う事かお前は?
「さて、如何だろうな?」
「そう簡単に語る事はしないか……だが、此処から先に進みたいのならば、私を倒していくが良い。
夜天の魔導書の筆頭騎士にして、騎士を束ねる将として、貴様を此処から先には通さん……烈火の将シグナム、この身に変えても、此処は絶対に通さんぞ!!」
「シグナムか…良い名だな。
ならば俺もなのろう!我が名はゼスト!狂った科学者の力で生かされている死者よ……だが、俺にはやらねばならぬ事が有る……此処は押し通る!!」
己の目的の為ならば、危険は顧みぬか……成程、お前は『騎士』だったのだな。
ならば、私も騎士として、最大の力を持って其れに応えなくてはな……来いゼスト、貴様の心の奥底に溜まって居るモノを全て発散してこい!
私の本気が、其れを全て粉砕してやる。――行くぞ、ゼスト!!
「うむ……いざ、尋常に――」
「勝負!!!」
――ガキィィィィィィィィィン!!!!
余りにも相手が雑魚過ぎて、些か退屈していたんだ――その退屈を埋めてくれるのだろうゼストよ?
マダマダ始まったばかりだが、お前ほどの使い手は、戦乱期のベルカでもお目にかかる事は出来なかったからな……精々楽しませて貰おうか、貴様との戦いと言う物をな!
――――――
Side:スバル
何なんだろう、この胸騒ぎは?
ギン姉とヴィッツさんが先行してるから、大丈夫な筈なのに、なんでアタシの胸はこんなにもざわつくんだろう?……まるで、最悪の未来が待っているかのように。
って、何馬鹿な事考えてるのよ……そんな事が起きる筈がないって言うのに。
『おいコラ、少し先走り過ぎだぜスバル!!』
『此のまま陣形を崩してしまうのは良くありません……少し進行スピードを落としてくださいスバルさん!!』
ノーヴェ、其れにアミタさん……其れは分かってる。先走ってるなんて言う事は分かってるんだけど……なんだか凄く嫌な予感がするんだよ……気のせいじゃ済ませられない
程の、アタシの15年の人生の中で最大級の『嫌な予感』なんだ。
だから、ゴメン!!アタシは先に進むよ!!
『スバル!!……んの、馬鹿野郎が!!
今直ぐ脳天に唐竹割喰らわしてやりたい所だが……そう言う事なら、アタシも手を貸すぜ?……双子の姉の、無謀な突貫を見過ごす事は出来ねぇからな?」
『私も、精一杯頑張りますよ!!』
ノーヴェ、アミタさん………そっか、そうだよね――なのはさんは、絶対に独断専行を良しとはしなかった。あくまで、全員無事で戻る事に重点を置いていたから。
其れに疑問を思った事も有るけど、其れがきっとなのはさんの根幹にあるモノで譲る事は出来なかったんだろうなぁ……と、今では理解する事も出来る。
でも、増援に来てくれたのが予想以上の人で良かった。
取り敢えず、此のまま進むけど、問題は無いかな?
『今の所は大丈夫だけど。……ゴール地点では何かが起きる筈だから、くれぐれも油断しないでねスバル?』
「了解したよ、ディー姉!!」
そもそも何が起きたって、対処できるようになのはさんに鍛えて貰ったからね……此処が訓練の見せ所だよ!!!
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……バキィィィイン!!
そんでもって、一気にゴール地点に到着!!大人しくお縄に着け、最高評議会!!――って、何此れ………?
「…………」
「―――――」
辿り着いた先には、確かに私達に仇なす者達が居た……其れだけならばまだ良い……倒して其れで終わりなんだから。
だけど、アタシが辿り着いた地下室で見たのは、血だらけになって倒れ込むヴィッツさんと、首から下を奪われて、ほぼ完全破壊されてしまったギン姉の姿……う、嘘でしょ?
なんで、どうしてギン姉とヴィッツさんがこんな事にならないといけないの?……何で、如何して?
如何して、如何してこんな事になっちゃうんだよぉぉォォォォォォォ!!!!
――バキィィィィィィィィン!!
「「「「!!???」」」」
アンタ達が何者かなんて言う事は、この際如何でも良い。
だけど、返せよ……アンタ達が奪ったそいつを返せ――ギン姉を、アタシ達のお姉ちゃんを返せ!返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇっぇ!!
――轟!!
「スバル!?」
「スバルさん!?」
ノーヴェとアミタさんが何か言ってるけど、そんな事は如何でも良い……アタシにとって今一番大事なのは、コイツ等がギン姉をぶっ壊したって言う事だからね。
――覚悟は良いよね?………ギン姉とヴィッツさんに此れだけの事をしたんだから、その代償は払って貰うよ?――他でもない、貴女達の身体でね!!
To Be Continued…
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